JP5764012B2 - コンバイン - Google Patents

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本発明は、運転部を覆うキャビンの天井部の前部に空調装置が備えられ、前記空調装置から出力されてダクトを介して供給される給気を前記キャビン内に吹き出すための吹き出し口が、前記天井部における前部側箇所及び横側箇所に形成されているコンバインに関する。
従来のコンバインでは、キャビンの天井部における前部側箇所に形成される給気の吹き出し口が、機体横幅方向中央部付近に位置して後部下方に向けて給気を排出させるような形態で設けられるものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
特開2010−166865号公報
上記構成は、空調装置から出力された給気が吹き出し口からキャビン内に吹き出されることにより、キャビン内部を快適な状態にして良好に収穫作業を行うことができるようにしたものである。空調装置から出力される給気としては、例えば、夏場であれば外気より低温の空気がキャビン内に吹き出されることになる。
しかしながら、上記従来構成では、前部側箇所に形成される給気の吹き出し口が、機体横幅方向中央部付近に位置して後部下方に向けて給気を排出させる構成となっており、しかも、前部側箇所に形成される給気の吹き出し口は、空調装置よりも下側あるいは後部側に寄った位置に設けられることになるから、それだけ運転者に近い位置に設けられることになる。その結果、吹き出し口から吹き出される給気が運転者に向けて勢いよく吹き付けられることがあり、運転者が不快に感じるおそれがあった。
本発明の目的は、キャビン内にて運転している運転者が不快に感じるおそれが少なく快適な状態で収穫作業が行えるようにすることが可能となるコンバインを提供する点にある。
本発明に係るコンバインは、運転部を覆うキャビンの天井部の前部に空調装置が備えられ、前記空調装置から出力されてダクトを介して供給される給気を前記キャビン内に吹き出すための吹き出し口が、前記天井部における前部側箇所及び横側箇所に形成されているものであって、その第1特徴構成は、前記前部側箇所に形成される前部側吹き出し口が、前記空調装置における機体横幅方向外方側に位置する状態で形成されており、
前記空調装置の給気出口から機体後方に向けて排出される前記給気を前記前部側吹き出し口に供給する前記ダクトが、機体横幅方向に向けて延びる状態で設けられている点にある。
第1特徴構成によれば、前部側吹き出し口が、空調装置における機体横幅方向外方側に位置する状態で形成されている。空調装置は、キャビンの天井部の前部に備えられており、しかも、空調装置は大型の装置であるから機体横幅方向に沿って所定の幅を占有することになる。つまり、空調装置における機体横幅方向外方側に位置する前部側吹き出し口は、天井部における機体横幅方向端部に近い位置、言い換えると、キャビンの機体横幅方向中央部に位置する運転座席から機体横幅方向外方側に離れた位置に形成されることになる。
又、前部側吹き出し口が空調装置における機体横幅方向外方側に位置する状態で形成されるので、空調装置の後方側箇所におけるダクト配設用の領域を機体前後方向に沿って狭くすることが可能となり、その分だけ運転者の上方側の内部空間を広くすることが可能となる。
従って、空調装置から出力され且つダクトを介して供給されて前部側吹き出し口から吹き出される給気は、運転者に向けて吹き付けられるおそれが少ないものとなり、しかも、運転者の上方側の内部空間を広くすることが可能となって、キャビン内にて運転している運転者が不快に感じるおそれが少なく快適な状態で収穫作業が行えるようにすることが可能となるコンバインを提供できるに至った。
さらに、空調装置の給気出口から給気が機体後方に向けて排出されるが、ダクトは、その空調装置から排出される給気を空調装置における機体横幅方向外方側に位置する前部側吹き出し口に向けて供給するものであるから、空調装置の給気出口から給気が勢いよく排出され、その給気出口付近での流動速度が大であっても、その給気はダクトの機体後方側の内壁面にて一旦受止められて流速が低下したのち、機体横幅方向外方側に向けて案内されるので、前部側吹き出し口付近では流動速度が低下することになる。
従って、前部側吹き出し口から排出されるときには給気の流動速度が低速になり、運転者に向けて給気が勢いよく吹き付けられることを回避させることができる。
本発明の第特徴構成は、前記ダクトが、前記給気を前記前部側吹き出し口に供給する前側ダクト部分と、前記給気を前記横側箇所に形成される横側吹き出し口に供給する後側ダクト部分とに分岐形成されている点にある。
特徴構成によれば、空調装置の給気出口から排出される給気が、ダクトにおける前側ダクト部分を通して前部側吹き出し口に供給されるとともに、ダクトにおける後側ダクト部分を通して横側吹き出し口に供給されることになる。そして、このようにダクトが前側ダクト部分と後側ダクト部分に分岐形成されるものであるから、前部側吹き出し口に供給するための前部側の専用のダクトと横側吹き出し口に供給するための後部側の専用のダクトとを各別に備える構成に比べて、設置スペースを少なくして構成の簡素化を図れるものとなる。
本発明の第特徴構成は、前記前部側吹き出し口が、前記空調装置の機体後方側端部よりも機体前部側に位置する状態で形成されている点にある。
特徴構成によれば、空調装置の機体後方側端部よりも機体前部側であって且つ空調装置における機体横幅方向外方側に位置する箇所を有効に利用して、前部側吹き出し口を形成することができ、空調装置よりも機体後方側箇所に前後方向に幅広のダクト配設用の空間を形成する必要がない。
つまり、空調装置よりも機体後方側箇所において、前後方向に幅広のダクト配設用の空間が不要となる分だけ運転者の上方側の内部空間を広くすることができ、運転者は広い居住空間でより一層快適な状態で収穫作業が行えるものになる。
コンバインの左側面図である。 コンバインの右側面図である。 コンバインの平面図である。 運転部の平面図である。 キャビン装着部の一部切欠側面図である。 キャビンの天井部の一部切欠平面図である。 キャビンの天井部の一部斜視図である。 図6のVIII−VIII線断面図である。
以下、図面に基づいて、本発明に係るコンバインの実施形態について説明する。
図1及び図2に示すように、コンバインは、左右一対のクローラ式の走行装置1の駆動により走行機体2が走行自在に構成され、その走行機体2の前部に、圃場の植立穀稈を刈り取り、刈り取った穀稈を後方に搬送する刈取部3が横軸芯P1周りに揺動自在に設けられている。
刈取部3は、刈取対象穀稈を分草する分草具4、倒伏姿勢の植立穀稈を立姿勢に引起す引起し装置5、植立穀稈の株元を切断するバリカン型の刈取装置6、及び、刈取穀稈を後方に搬送する縦搬送装置7等を備えて構成されている。
走行機体2は、刈取部3にて刈り取られた刈取穀稈を受け取って脱穀および選別処理する脱穀装置8と、脱穀装置8にて脱穀および選別処理することにより得られた穀粒を貯留する穀粒タンク9とが機体フレーム10に搭載されるとともに、機体フレーム10に支持される状態で穀粒タンク9の前方箇所に運転部11が設けられ、運転部11の上方を覆うキャビン12が備えられている。
図4及び図5に示すように、運転部11は、運転座席13の前方側に運転部ステップ14から立設する状態で操縦塔15が設けられ、この操縦塔15の上部には、操縦レバー16や各種の情報を表示する表示装置17等を備えたフロントパネル18が備えられている。運転座席13の左側には、変速レバー19その他の操作具を備えたサイドパネル20が設けられ、このサイドパネル20の下方側の右側面は壁体21によって機体内部と仕切られており、運転座席13の下側は、後述するようなエンジンボンネット22の前側カバー部22Aによって原動部内部と仕切られている。又、運転座席13の後部側も後述するように外部と仕切られる構成となっている。
そして、この運転部11は上方がキャビン12によって覆われ、運転部11には外部空間と仕切られる状態で閉塞された空間である運転室R1(キャビン12の内部空間に相当)が形成されている。
運転座席13の後方側には、エンジン23における燃焼空気吸気系に接続されるエアークリーナ24を備えた給気部R2が仕切り壁29によって運転室R1と仕切られる状態で備えられている。又、エアークリーナ24に吸気ホース25を介して連通接続されたプレクリーナ26がエアークリーナ24の上方側の高い位置に配備され、機体上方の塵埃の少ない外気がプレクリーナ26およびエアークリーナ24で浄化されてエンジン燃焼空気として供給されるように構成されている。
エアークリーナ24は、機体フレーム10から立設された支持フレーム27にブラケット28を介して支持されており、プレクリーナ26はキャビン12の上部の後端部に取り付け支持されている。
運転部11における運転座席13の下方には原動部30が設けられ、図5に示すように、原動部30は、エンジン23、冷却風生起用のファン32、エンジン23を囲うエンジンボンネット22、及び、図示しない冷却用のラジエータや防塵網等を備えて構成されている。
次に、キャビン12の構成について説明する。
図1、図2及び図5に示すように、キャビン12は、上部側ほど機体前方側に位置する斜め姿勢に形成される前部ガラス面40及びその左右両側に連なる側面視で略三角形状の側部ガラス面41とを備えた前面部42、運転座席13の左側に位置して、横方向にスライドさせることにより開閉自在なスライド式窓部43を備えた左側面部44、運転座席13の後方に位置して、左右両側の円弧状のガラス面45及び平面状のガラス面46を備えた後面部47、及び、上方の全面を覆う略板状の天井部48の夫々により構成されている。
キャビン12の右側部には乗降用の開口50が形成され、この乗降用の開口50を閉じる閉状態と乗降用の開口50を形成する開状態とにわたり、機体前部側の縦向き軸芯Y1周りで揺動開閉自在にドア51が備えられている。又、天井部48の前端部には、照明灯70が設けられ、キャビン12の天井部48の前部に運転室R1の内部を空調するための空調装置52が備えられている。
図5及び図6に示すように、空調装置52には、空調処理された後の給気(例えば冷気)を機体後方に向けて排出させるように、機体後部側面に給気出口53が形成されており、この給気出口53から排出される給気を案内供給するダクト54が備えられ、空調装置52から出力されてダクト54を介して供給される給気をキャビン12内に吹き出すための複数の吹き出し口55,56が、天井部48における前部側箇所及び横側箇所に夫々形成されている。
ダクト54は、空調装置52の後部側に位置して機体横幅方向に向けて延びる状態で設けられている。すなわち、図5及び図6に示すように、このダクト54には、空調装置52の機体後部側に位置して横長状に形成された横向きダクト部分57が備えられ、横向きダクト部分57の機体前部側壁部に形成された通過孔58を通して空調装置52の給気出口53から排出される給気がダクト54内に排出されるように、横向きダクト部分57と空調装置52とが連通接続されている。
天井部48における前部側箇所に形成される前部側吹き出し口55が、空調装置52における機体横幅方向外方側に位置する状態で、且つ、空調装置52の機体後方側端部Lよりも機体前部側に位置する状態で形成されている。
ダクト54は、横向きダクト部分57の機体横幅方向両側部において、給気を前部側吹き出し口55に供給する前側ダクト部分59と、給気を天井部48における横側箇所に形成される横側吹き出し口56に供給する後側ダクト部分60とに分岐形成されている。
すなわち、ダクト54は、横向きダクト部分57と、左右両側の前側ダクト部分59と、左右両側の後側ダクト部分60とを備えて構成され、これらダクト部分57,59,60が一連に連なる状態で一体形成される構成となっている。
そして、ダクト54は、横向きダクト部分57の機体前部側壁部57aにて空調装置52の給気出口から排出される給気を受止めたのち、横向きダクト部分57の機体横幅方向両側外方側から左右両側の前側ダクト部分59を介して左右両側の前部側吹き出し口55夫々に向けて給気を流動案内させ、且つ、横向きダクト部分57の機体横幅方向両側外方側から左右両側の後側ダクト部分60を介して左右両側の横側吹き出し口56に向けて給気を流動案内させるように構成されている。
このように前部側吹き出し口55が、空調装置52における機体横幅方向外方側に位置する状態で形成されているので、空調装置52の機体後方側のダクト配設用空間を機体前後方向に幅狭にすることができる。
その結果、機体後方側のダクト配設用空間と運転座席13の上方空間とを仕切るように、キャビン12の内部空間(運転室R1)の天井面を形成するインナールーフ66にて形成される縦壁部分71を、機体前方に寄った状態で形成することができ、運転者の上方空間を広くすることができる。
図7に示すように、前部側吹き出し口55及び横側吹き出し口56夫々には、給気の排出方向を変更調整自在な周知構造の風向調整具61が備えられている。詳述はしないが、この風向調整具61は、外形が円弧状に形成された筒状の支持部62が回動操作自在に保持され、支持部62の内部に風向を規制するための複数の風向案内板63が備えられ、支持部62にて支持される風向案内板63による案内向きを変更させることができるようになっている。
次に、ダクト54の支持構造について説明する。
ダクト54の横向きダクト部分57は空調装置52の後部側に一体的に連設される状態で取り付けて支持されている。図6に示すように、空調装置52は、天井部48の周囲を囲うように備えられたフレーム64から固定延設された左右両側のブラケット65により固定支持される構成となっている。又、図5に示すように、空調装置52が配備される配置用空間は、前記インナールーフ66と、天井部48の上方を覆う状態で備えられるルーフカバー67とにより区画される構成となっている。
そして、ダクト54の左右両側の後側ダクト部分60は、ルーフカバー67とフレーム64との間で挟み込む状態で固定するように構成されている。具体的には、図6及び図8に示すように、左右両側の後側ダクト部分60には、前後方向に離間する状態で3箇所に横側外方に突出する舌片68が形成されており、この舌片68をルーフカバー67とフレーム64との間で挟み込む状態で固定するようになっている。
天井部48にダクト54の左右両側の後側ダクト部分60を組み付けるときには、各舌片68をフレーム64の上面に載置支持させて、ダクト54の左右両側の後側ダクト部分60をフレーム64上に仮置きしている状態で、上方からルーフカバー67を装着して、ルーフカバー67とフレーム64とを図示しない連結部材を介して固定することにより、ダクト54を固定状態で装着することができる。
ルーフカバー67には、舌片68が入り込む凹部69が形成されており、ルーフカバー67とフレーム64とを連結固定すると、ダクト54が前後方向に位置ずれすることがない状態で固定できるようになっている。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、空調装置52が給気を機体後方に向けて排出させるように機体後部側面に給気出口53が形成されるものを示したが、このような構成に代えて、空調装置52が機体前部側に向けて排出させる給気出口53を形成する構成としたり、横側に向けて排出させる給気出口53を形成する構成としてもよい。
(2)上記実施形態では、ダクト54が、給気を前部側吹き出し口55に供給する前側ダクト部分59と、給気を横側箇所に形成される横側吹き出し口56に供給する後側ダクト部分60とに分岐形成される構成としたが、このような構成に限らず、給気を前部側吹き出し口55に供給するための専用の前部ダクト(図示せず)と、給気を横側吹き出し口56に供給するための専用の後部ダクト(図示せず)とを各別に独立させた状態で備える構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、前部側吹き出し口55が、空調装置52の機体後方側端部よりも機体前部側に位置する状態で形成される構成としたが、前部側吹き出し口55が空調装置52の機体後方側端部よりも機体後部側に位置する状態で形成される構成としてもよい。
本発明は、運転部を覆うキャビンの天井部の前部に空調装置が備えられたコンバインに適用できる。
11 運転部
12 キャビン
48 天井部
52 空調装置
53 給気出口
54 ダクト
55 前部側吹き出し口
56 横側吹き出し口
59 前側ダクト部分
60 後側ダクト部分
L 機体後方側端部

Claims (3)

  1. 運転部を覆うキャビンの天井部の前部に空調装置が備えられ、前記空調装置から出力されてダクトを介して供給される給気を前記キャビン内に吹き出すための吹き出し口が、前記天井部における前部側箇所及び横側箇所に形成されているコンバインであって、
    前記前部側箇所に形成される前部側吹き出し口が、前記空調装置における機体横幅方向外方側に位置する状態で形成されており、
    前記空調装置の給気出口から機体後方に向けて排出される前記給気を前記前部側吹き出し口に供給する前記ダクトが、機体横幅方向に向けて延びる状態で設けられているコンバイン。
  2. 前記ダクトが、前記給気を前記前部側吹き出し口に供給する前側ダクト部分と、前記給気を前記横側箇所に形成される横側吹き出し口に供給する後側ダクト部分とに分岐形成されている請求項記載のコンバイン。
  3. 前記前部側吹き出し口が、前記空調装置の機体後方側端部よりも機体前部側に位置する状態で形成されている請求項1又は2記載のコンバイン。
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