JP5761939B2 - 風味増強剤 - Google Patents
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式(1)
R1は、グルコース、キシロース、ガラクトース、ラムノース、フルクトース、マンノースから選ばれる糖基から誘導された1−デオキシ−2−ケトース−1−イル基であり;
R2は、セリン、グリシン、プロリン、ヒスチジン、アルギニン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ピログルタミン酸、フェニルアラニン、トレオニン、システイン、シスチン、グルタミン、アスパラギン、メチオニン、チロシン、トリプトファン、バリン、イソロイシン、リジン、ロイシンから選ばれるアミノ酸分子から−NH2を取り除いてできる1価の基である)で表されるアマドリ化合物又はその塩からなることを特徴とする風味増強剤である。
さらに、本発明は、グルタミン酸又はその塩1質量部に対して上記風味増強剤を0.001〜1質量部添加することを特徴とする風味増強方法である。
本発明で使用するアマドリ化合物(Amadori compound)は、「Roeper et al., Carbohydr. Res., 116, 183-195 (1983).」に記載された合成方法によって得ることができる。
具体的には、グルコースとアミノ酸との反応によるシッフ塩基(Schiff base)の生成、次いで酸を触媒とするアマドリ転位及び異性化によってアマドリ化合物を得ることができる。
添加量は、風味増強剤の精製の程度により多少異なるが、一般的には飲食物に対して0.1〜105ppmの添加量(有効成分として)が適当であるが、飲食物の本来の香味に影響を及ぼさない範囲内で添加する観点からは0.1〜104ppmが好ましく、その有効性の観点からは1〜104ppmが特に好ましく、使用形態としては10〜104ppmが最も好ましい。
本発明の風味増強剤を含有する調味料としては、砂糖、塩、酢、醤油、味噌など一般の調理に用いられる調味料の他、食品添加物として用いられる調味料に好適に用いられる。
ここでいう食品添加物調味料とは、L−アスパラギン酸、DL−アラニン、グリシン、L−グルタミン酸ナトリウムなどのアミノ酸系調味料、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−リボヌクレオチド二ナトリウムなどの核酸系調味料、クエン酸三カリウム、コハク酸などの有機酸系調味料、塩化カリウム、リン酸三カリウムなどの無機塩系調味料が挙げられ、好ましくはアミノ酸系調味料及び核酸系調味料に用いられ、特にL−グルタミン酸ナトリウムおよび5’−イノシン酸ナトリウムに好適に用いられる。
特に、グルタミン酸又はその塩1質量部に対して本発明の風味増強剤を0.001〜1質量部添加することが好ましい。
本発明の風味増強剤は、各種飲食物に特に制限なく使用することができる。例えば、果実類又はその加工品、野菜又はその加工品、魚介類又はその加工品、練製品、調理食品、総菜類、スナック類、珍味類、加工食品、栄養食品、茶飲料及びコーヒー飲料などの嗜好飲料、果汁飲料、炭酸飲料、清涼飲料、機能性飲料、アルコール飲料、アイスクリーム、シャーベット等の冷菓類、ゼリー、プリン、羊かん等のデザート類、クッキー、ケーキ、チョコレート、チューイングガム、饅頭等の菓子類、菓子パン、食パン等のパン類、ジャム類、ラムネ菓子、タブレット、錠菓類などが挙げられる。
グルタミン酸ナトリウム12.8g、D−グルコース62.7g、亜硫酸水素ナトリウム7.6gを80mLの蒸留水に溶解し、3時間還流した。還流後、45mLの蒸留水及び125mLのエタノールを加え、カチオン交換樹脂(SK−1B(三菱化学株式会社製)で精製を行い、N−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−ピログルタミン酸0.4gを得た。
実施例1で得られたN−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−ピログルタミン酸をグルタミン酸ナトリウム溶液に添加して官能評価を行った。
L−グルタミン酸ナトリウム一水和物100.0mgを水200mLに溶解し対照品とし、さらにN−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−ピログルタミン酸を80mgを添加したグルタミン酸ナトリウム溶液について、旨味、コク味の強さ、飲食物らしい呈味のまろやかさを18名のパネルで評価した。評価基準は、対照品の呈味を2とし、
非常に強い呈味を5、非常に弱い呈味を1とした場合の5段階相対評価とした。その結果を表1に示す。
実施例1で得られたN−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−ピログルタミン酸をイノシン酸ナトリウムに添加して官能評価を行った。
イノシン酸ナトリウム200.0mgを水200mLに溶解し対照品とし、さらにN−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−ピログルタミン酸を100mgを添加したイノシン酸ナトリウム溶液について、旨味、コク味の強さ、飲食物らしい呈味のまろやかさを18名のパネルで評価した。評価基準は、対照品の呈味を2とし、非常に強い呈味を5、非常に弱い呈味を1とした場合の5段階相対評価とした。その結果を表2に示す。
実施例1で得られたN−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−ピログルタミン酸を市販コンソメスープに添加し、官能評価を行った。市販コンソメ粉末10gに、アマドリ化合物10mgを加え、熱湯を加えて全量を600mLとしたコンソメスープを調製し、評価用試料とした。
対照品として、上記市販コンソメ粉末10gに熱湯を加えて全量を600mLとしたコンソメスープを調製し、2種類のコンソメスープについて、旨味、コク味の強さ、コンソメスープらしい呈味のまろやかさを10名のパネルで評価した。評価基準は、対照品の呈味を2とし、非常に強い呈味を5 、非常に弱い呈味を1とした場合の5段階相対評価とした。その結果を表3に示す。
バリン7.0g、D−グルコース43.9g、亜硫酸水素ナトリウム5.8gを50mLの50%メタノール水溶液に溶解し、4時間還流した。還流後、190mLの50%エタノール水溶液を加え、カチオン交換樹脂(SK−1B(三菱化学株式会社製)で精製を行い、N−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−バリン1.8gを得た。
実施例2で得られたN−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−バリンを市販コーヒー飲料に添加し、官能評価を行った。市販コーヒー飲料1000gに、N−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−バリン30mgを添加し、評価用試料とした。
対照品として上記市販コーヒー飲料を用い、それぞれのコーヒー飲料について、旨味、コク味の強さ、コーヒー飲料らしい呈味のまろやかさを10名のパネルで評価した。評価基準は、対照品の呈味を2とし、非常に強い呈味を5、非常に弱い呈味を1とした場合の5段階相対評価とした。その結果を表4に示す。
メチオニン5.7g、D−グルコース27.4g、亜硫酸水素ナトリウム3.6gを50mLの50%メタノール水溶液に溶解し、4時間還流した。還流後、190mLの50%エタノール水溶液を加え、カチオン交換樹脂(SK−1B(三菱化学株式会社製)で精製を行い、N−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−メチオニン2.0gを得た。
実施例3で得られたN−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−メチオニンを
市販緑茶飲料に添加し、官能評価を行った。
市販緑茶飲料1000gにN−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−メチオニン30mgを添加し、評価用試料とした。対照品として上記市販緑茶飲料を用い、それぞれの緑茶飲料について、旨味、コク味の強さ、緑茶飲料らしい呈味のまろやかさを10名のパネルで評価した。評価基準は、対照品の呈味を2とし、非常に強い呈味を5、非常に弱い呈味を1とした場合の5段階相対評価とした。その結果を表5に示す。
市販濃口醤油に実施例1のN−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−ピログルタミン酸を0.1質量部添加し、和風調味料を調製したところ、無添加品に比べてコクが強く、まろやかで広がりのある和風調味料が得られた。
市販味噌に実施例1のN−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−ピログルタミン酸を0.1質量部添加し、味噌を調製したところ、無添加品に比べてコクが強く、まろやかで広がりのある味噌が得られた。
牛乳10質量部、水80質量部、コーンペースト10質量部、砂糖2質量部、食塩0.5質量部を加熱撹拌し、10000rpm、5分間乳化を行った。さらに、実施例1のN−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−ピログルタミン酸を0.01質量部添加し、コーンスープを調製したところ、無添加品に比べて旨味が強く、コクと広がりのあるコーンスープが得られた。
パーム油50質量部に薄力粉50質量部を加え、弱火でゆっくり炒め、牛乳500質量部、水600質量部、チキンコンソメパウダー3質量部、食塩6質量部を加えてよく混合し、粘度が出るまで弱火でゆっくり加熱した後、実施例2のN−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−バリンを1質量部添加し、ホワイトソースを調製したところ、無添加品に比べて旨味が強く、コクと広がりのあるコーンスープが得られた。
強力粉1400質量部に水に溶解させた生イースト40質量部を加えてよく撹拌し、28℃、4時間発酵させた。得られた生地に強力粉600質量部、砂糖100質量部、牛乳100質量部、食塩40質量部、実施例3のN−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−メチオニンを2質量部添加し、生地をよくこねた後、容器に詰め、38℃、40分間発酵後、220℃、40分間焼成し、食パンを調製したところ、無添加品に比べて旨味、甘味が強く、コクと広がりのある食パンが得られた。
ショートニング15質量部、砂糖30質量部、全卵3質量部、食塩1質量部、実施例3のN−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−メチオニンを0.1質量部添加し、30分間撹拌後、30分間エージングを行った。得られた生地を型に流し入れ、220℃、5分焼成し、ハードビスケットを調製したところ、無添加品に比べて旨味、甘味が強く、まろやかで広がりのあるハードビスケットが得られた。
砂糖60質量部、水あめ40質量部、水35質量部を合わせて155℃まで加熱した後、130℃まで冷却し、コーヒーエキス5質量部、カラメル0.3質量部、実施例1のN−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−ピログルタミン酸を0.01質量部添加し、混合、成型し、コーヒーハードキャンディーを調製したところ、コク味が増強されコーヒーが持つ広がりのある自然な甘味を持ったコーヒーハードキャンディーが得られた。
水に果糖ブドウ糖液糖10質量部、砂糖5質量部、ゲル化剤1質量部を加え、85℃まで加温し、オレンジ濃縮果汁3質量部を添加し撹拌溶解した。さらに、実施例1のN−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−ピログルタミン酸を0.01質量部添加し、全量を100質量部に補正後、85℃で20分間殺菌してオレンジゼリーを調製したところ、オレンジが持つ呈味が強まったのみならず、後味の苦味が低減されすっきりとした甘味を持ったオレンジゼリーが得られた。
全脂加糖練乳15質量部、果糖ぶどう糖液糖3質量部を蒸留水に溶解し、予め蒸留水に分散させていた全脂粉乳2質量部、脱脂粉乳1質量部を加え加熱し40℃付近で、上白糖3.5質量部、安定剤0.7質量部、乳化剤0.02質量部を加え80℃まで加温した。コーンスターチ0.3質量部を加えた後、殺菌した(80℃、15分間)。お湯で100質量部に質量調整し、クリアミックスにて乳化した。
実施例1のN−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−ピログルタミン酸を0.01質量部加え撹拌した後、ガラス容器にて冷却してミルクプリンを調製したところ、ミルクの持つ自然な甘味が増強されるとともに旨味が付与されたミルクプリンが得られた。
Claims (3)
- N−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−ピログルタミン酸、N−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−バリン及びN−(1−デオキシ−D−フラクトス−1−イル)−メチオニンからなる群より選ばれた1種又は2以上のアマドリ化合物又はその塩からなることを特徴とする、コク味又は旨味増強剤。
- 請求項1に記載のコク味又は旨味増強剤を有効量添加したことを特徴とするコク味又は旨味調味料。
- 有効成分としての請求項1に記載のコク味又は旨味増強剤を10 2 〜10 5 ppm含有することを特徴とする請求項2に記載のコク味又は旨味調味料。
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