JP5761928B2 - 活性エネルギー線硬化性組成物 - Google Patents

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本発明は、活性エネルギー線の照射によりカチオン重合が進行して硬化し得る組成物に関する。より詳しくは、新規なインクジェット用インクに関する。
インクジェット方式による印刷(インクジェット印刷)は家庭用のプリンター(コンシューマー用プリンタ)で比較的古くから採用されている。これに対し、近年では、各種の工業製品に付する製品番号、ロット番号、製造年月日等のほか、ダイレクトメール等の宛名のような可変データを大量かつ高速に印字するために、インクジェット印刷が産業用としても幅広く実用化されている。
インクジェット印刷は、プリンタヘッド上に配置された複数のノズルから非常に微小なインク液滴を吐出させることにより画像を形成する印刷方法であり、非常に鮮明で高精細な画像を印刷することができる。また、ラインヘッドと呼ばれる固定型のインクジェットヘッドを用いることにより、より高速で印字することも可能である。
インクジェット印刷に用いられるインクとして最も多用されているタイプは、コンシューマー用プリンタに採用されている水系インクであるが、これをそのまま産業用として用いる場合は印刷層の耐水性において問題がある。また、水系インクでは基本的には溶媒である水を基材が瞬間的に吸収して画像を定着させることができるものの、例えば合成樹脂系フィルムのような吸収性に乏しい基材に印刷する場合は基材表面に特別なインク受容層を形成する必要がある。
一方、主に産業用で使用されている溶剤系インクでは、揮発成分が健康上・安全上の問題を引き起こすおそれがあり、そのための対策を講じる場合はそれだけ多くのコストがかかってしまう。また、溶剤系インクでは、インクジェットのノズル表面で溶剤が揮発した場合は、ノズルを詰まらせることにより、印字抜けを発生させる原因となりかねない。
これらの問題を解決するため、最近では紫外線(UV)、電子線(EB)等で代表される活性エネルギー線の照射を受けてモノマーが重合・硬化するインク(活性エネルギー線硬化性インク)を用いたインクジェット印刷が注目されている。活性エネルギー線硬化性インクは、基本的には無溶剤であるため、その揮発成分による健康上・安全上の問題がない。また、このインクは、一定量以上の活性エネルギーが照射されない限りは重合反応が開始しないため、インクを長期間安定した状態に保つことができるうえ、インクの増粘によるノズルの目詰まりといった障害を生じさせるおそれもほとんどない。しかも、活性エネルギー線を照射した後は、直ちに重合が進行し、硬化するため、大規模な乾燥設備も必要としないだけでなく、滲み等の印刷トラブルも回避することができる。
このように多くの利点を有する活性エネルギー線硬化性インクとしては、特にラジカル型紫外線硬化性化合物を用いたインク(いわゆるラジカルUVインク)が多く用いられている。ラジカルUVインクは、UV照射を受けた光開始剤がラジカルを生成し、これがモノマーに作用することによって重合(ラジカル重合)が進行するものである。ところが、ラジカルUVインクも次のような問題を有している。第一に、ラジカル型紫外線硬化性化合物の多くは臭気が強く、高い皮膚刺激性を有するため、作業現場、取引等で人が触れた場合に健康上の問題を引き起こすおそれがある。第二に、ラジカル型紫外線硬化性化合物は、紫外線光が照射された直後は重合反応性が最も高くなり、時間の経過に従って徐々に反応性が低下し、最終的には未反応のモノマーが存在する状況下であっても重合反応が停止してしまい、再度紫外線光を照射しない限り重合反応を進行させることができない。
これに対し、カチオン型紫外線硬化性化合物を用いたインク(いわゆるカチオンUVインク)も知られている。カチオンUVインクは、UV照射を受けた光開始剤が酸を生成し、これがモノマーに作用してカチオンを生成させて重合(カチオン重合)が進行するものである。カチオン型紫外線硬化性化合物は、臭気が少なく、皮膚刺激性も低いため、作業環境等に与える影響も小さいという利点をもつ。また、カチオン型紫外線硬化性化合物は、紫外線光の照射が終了した後であっても、経時的に重合反応が続く性質(暗反応)を有しているため、未反応のモノマーが残存する可能性も低い。
このようなカチオンUVインクとしては、例えば1) オキシラン基含有化合物10〜50重量%、2)オキセタン環含有化合物50〜90重量%、および3)ビニルエーテル化合物0〜40重量%からなる液状成分に、4)顔料を分散してなることを特徴とする非水系活性エネルギー線硬化型インクジェットインキが知られている(特許文献1)。その他にも種々のインクジェットインクがこれまでに提案されている(特許文献2〜5)。
特許第4061876号 特開2006−232989号 特開2004−91553号 特開2001−220526号 特開2004−25479号
ところで、インクジェットでは、インクをノズルから押し出す力が比較的低いため、より低い粘度をもつインクの使用が望まれている。しかし、従来のインクではインク粘度が比較的高い。一方、溶剤等の配合によりインク粘度を下げることも可能であるが、粘度を下げると硬化速度が低下するという別の問題が生じる。あるいは、インクの初期粘度を下げたとしても、経時的に増粘することもあり、この点においても改善の余地がある。
従って、本発明の主な目的は、安定した低粘度を有しながらも良好な硬化性能を発揮できる活性エネルギー線硬化性組成物を提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特に、特定のモノマー成分と特定の光重合開始剤とを含む組成を採用することによって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の活性エネルギー線硬化性組成物に係る。
1. 活性エネルギー線の照射によりカチオン重合が進行して硬化し得る組成物であって、
(1)オキシラン環含有化合物及びオキセタン環含有化合物を重合性モノマーとして含み、前記オキシラン環含有化合物が1,2−エポキシ−4−(2−メチルオキシラニル)−1−メチルシクロヘキサンであり、前記オキセタン環含有化合物が3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタンであり、
(2)前記重合性モノマー100重量部に対して光重合開始剤2重量部以上及び増感剤2重量部以上を含み、
(3)前記光重合開始剤としてスルホニウム塩のモノ体を含み、前記スルホニウム塩のモノ体が、下記化学式(1)
(但し、X はPF を示す。)で示される化合物であり、
(4)溶剤の含有量が5重量%以下であり、
(5)25℃における粘度が20mPa・sec以下である、
ことを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
2. オキシラン環含有化合物及びオキセタン環含有化合物の合計100重量部において、オキシラン環含有化合物が10〜50重量部含まれ、オキセタン環含有化合物が90〜50重量部含まれる、前記項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
3. UV−LEDランプの照射により重合・硬化する、前記項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
4. 調製直後から70℃で1週間保存した後の粘度(25℃)の変化率[(V −V )/V ]×100(但し、V は調製直後の粘度(25℃)、V は調製直後から70℃で1週間放置した後の粘度(25℃)を示す。)が10%以下である、前記項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
5. 調製直後から70℃で1週間保存した後の粘度(25℃)が20mPa・sec以下である、前記項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
6. インクジェット用インクのために用いられる、前記項1〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
本発明によれば、安定した低粘度を有し、なおかつ、良好な硬化性能を発揮できる活性エネルギー線硬化性組成物を提供することができる。一般に、粘度を低くすればそれだけ硬化速度が遅くなる傾向にあるが、とりわけ本発明組成物では特定のモノマー成分と特定の光重合開始剤との組合せにより、低粘度化と硬化速度の向上とを一挙に達成することが可能である。しかも、本発明組成物は、経時的に大きな増粘を生じることがなく、低い粘度で安定しているという特徴も有している。
また、本発明組成物は、照射光が単一波長であり、かつ、照射エネルギーが比較的弱いUV−LEDによっても満足できる硬化速度を得ることができるので、そのような光源をもつ装置を利用できる結果、省エネルギー化、省スペース化等という点でも貢献できるものである。
このような特徴をもつ本発明組成物は、各種の印刷用インクとして使用することができるが、特にノズルからの吐出力が弱いインクジェット用インクとして好適に用いることができる。
試験例1で硬化性能を調べるための装置の概略図である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物(本発明組成物)は、活性エネルギー線の照射によりカチオン重合が進行して硬化し得る組成物であって、
(1)オキシラン環含有化合物及びオキセタン環含有化合物を重合性モノマーとして含み、
(2)前記重合性モノマー100重量部に対して光重合開始剤2重量部以上及び増感剤2重量部以上を含み、
(3)前記光重合開始剤としてスルホニウム塩のモノ体を含み、
(4)25℃における粘度が20mPa・sec以下である、
ことを特徴とする。
本発明組成物は、前記の通り、活性エネルギー線の照射によりカチオン重合が進行して硬化し得る。すなわち、活性エネルギー線の照射により重合性モノマーがカチオンとなり、そのカチオンが重合することによって硬化するものである。以下、本発明組成物の成分等について説明する。
重合性モノマー
本発明組成物では、重合性モノマーとして、オキシラン環含有化合物及びオキセタン環含有化合物を含む。重合性モノマーとして、オキシラン環含有化合物及びオキセタン環含有化合物以外の成分が含まれていても良いが、重合性モノマー中90〜100重量%がオキシラン環含有化合物及びオキセタン環含有化合物からなることが好ましい。また、本発明組成物中における重合性モノマーの含有割合は一般的には85〜95重量%程度とすれば良い。
オキシラン環含有化合物としては、1分子中に少なくとも1つのオキシラン環を有するものであれば特に限定されず、公知のカチオン重合型インクジェットインクで採用されているものと同様のものを使用することができる。例えば、芳香族エポキシド化合物、脂環式エポキシド化合物、脂肪族エポキシド化合物等が挙げられる。これらは単量体のほか、オリゴマー、ポリマー等の形態であっても良い。本発明組成物では、特に硬化性能の点において脂環式エポキシド化合物をより好ましく採用することができる。脂環式エポキシド化合物としては、例えば特開2001−220526、特許第4061876号等で例示されたシクロヘキセンオキサイド、シクロペンテンオキサイド等を使用することができるが、特に1,2−エポキシ−4−(2−メチルオキシラニル)−1−メチルシクロヘキサンを最も好ましく使用できる。これは、例えば製品名「セロキサイド3000」(ダイセル化学工業社製)として市販されているものである。
オキセタン環含有化合物としては、1分子中に少なくとも1つのオキセタン環を有するものであれば限定的でなく、公知のカチオン重合型インクジェットインクで採用されているものと同様のものを使用することができる。例えば、特開2001−220526、特許第4061876号等で例示された化合物も使用することが可能である。特に、本発明では、硬化性能等の見地より1分子中に2つのオキセタン環を有する化合物が好ましい。特に、本発明では、3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタンが最も好ましい。すなわち、本発明では、オキシラン環含有化合物としての1,2−エポキシ−4−(2−メチルオキシラニル)−1−メチルシクロヘキサンと、オキセタン環含有化合物としての3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタンとの組み合わせにより、安定した低粘度特性と硬化性能との両立に効果的に寄与することができる。
オキシラン環含有化合物及びオキセタン環含有化合物の含有比率は特に制限されないが、より高い硬化性能を得るという見地から、通常はオキシラン環含有化合物及びオキセタン環含有化合物の合計100重量部において、オキシラン環含有化合物が10〜50重量部(好ましくは20〜40重量部)含まれ、オキセタン環含有化合物が90〜50重量部(好ましくは80〜60重量部)含まれるようにすることが望ましい。すなわち、より優れた硬化性能等を得るためにオキセタン環含有化合物リッチの組成とすることが望ましい。
光重合開始剤及び増感剤
また、本発明組成物では、光重合開始剤及び増感剤(光増感剤)を含む。これらの含有量は、前記重合性モノマー100重量部に対して光重合開始剤2重量部以上(好ましくは3〜10重量部、より好ましくは3〜6重量部)及び増感剤2重量部以上(好ましくは2〜8重量部、より好ましくは2〜6重量部)である。
光重合開始剤としては、スルホニウム塩のモノ体を用いる。すなわち、スルホニウム塩としては、1分子中に1個のスルホニオ基を有するモノ体のほか、1分子中に2個のスルホニオ基を有するビス体があるが、本発明ではモノ体を用いる。
また、本発明組成物では、その他の光重合開始剤(スルホニウム塩のビス体も含む。)も併用することができるが、スルホニウム塩のモノ体が光重合開始剤のうち95〜100重量部を占めることが好ましい。
スルホニウム塩のモノ体としては、光重合開始剤として公知又は市販の化合物を使用することができるが、特に下記式(1);
で示されるスルホニウム塩のモノ体(但し、Xはアニオン種を示す。)を好適に用いることができる。前記アニオン種としては、PF、SbF、特殊リン系アニオン等が例示できる。これらも市販品を用いることができる。このようなスルホニウム塩のモノ体としては、例えば製品名「CPI−100P」(サンアプロ社製)、製品名「CPI−200K」(サンアプロ社製)等を挙げることができる。
増感剤は、特に制限されず、公知又は市販の増感剤を使用することができる。例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9−メトキシ−10−メチルアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−tブチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン、9−ベンジルオキシ−10−メチルアントラセン等のアントラセン誘導体;1−メトキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジメトキシナフタレン等のナフタレン誘導体;9−ヒドロキシフェナントレン、9−メトキシフェナントレン、9−エトキシフェナントレン、9−ベンジルオキシフェナントレン、9,10−ジメトキシフェナントレン、9−ヒドロキシ−10−メトキシフェナントレン、9−ヒドロキシ−10−エトキシフェナントレン等のフェナントレン誘導体等のほか、チオキサントン誘導体等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
その他の成分
本発明組成物では、前記の各成分のほか、公知のインクジェットインクに配合されている成分を含んでいても良い。例えば、着色材(顔料又は染料)、分散剤、レベリング剤、重合禁止剤、溶剤、消泡剤、充填剤、界面活性剤等が挙げられる。これらの添加量は、通常は前記重合性モノマー100重量部に対して10重量部以下の範囲内で適宜設定すれば良い。
なお、本発明組成物は、溶剤の含有量が5重量%以下という少量(好ましくは無溶剤)であっても所定の粘度を得ることができるので、この点においても硬化性能等の向上に寄与することができる。
また、公知のインクジェットインクで用いられるビニルエーテル化合物は重合性モノマーとして使用されており、本発明組成物でも添加しても良いが、本発明組成物はビニルエーテル化合物を含まなくても低粘度を維持できる。従って、その添加量は、前記重合性モノマー中0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%とすることができる。これにより、インクの硬化時における塗膜の収縮をより効果的に回避することができるため、良好な印刷特性を得ることができる。
本発明組成物の物性
本発明組成物の粘度(25℃)は20mPa・sec以下であり、好ましくは16mPa・sec以下であり、より好ましくは15mPa・sec以下である。また、初期粘度に対する変化率は、10%以下であることが好ましく、特に8%以下であることがより好ましい。上記変化率は、調製直後のインク粘度(25℃)Vとし、調製直後から70℃で1週間放置した後のインク粘度(25℃)Vとしたとき、[(V−V)/V]×100(%)で算出される値である。
本発明組成物の調製
本発明組成物は、上記のような各成分を均一に混合できる限り、その製造方法は特に制限されない。例えば、ミキサー、ニーダー、サンドミル、ロールミル、ジェットミル等の公知の混合機・攪拌機に各成分を投入し、均一に混合すれば良い。この場合、各成分の添加順序は特に限定されないが、反応を制御しやすくする等の理由より、光重合開始剤及び増感剤以外の成分を先に添加混合した後、光重合開始剤及び増感剤を添加することが望ましい。
インクジェット用インク
本発明組成物は、インクジェット用のインクとして好適に用いることができる。すなわち、インクジェットタイプのプリンターのインクとして最適である。特に、インクジェットタイプの中でも、ピエゾ方式により駆動するプリンターに好適である。ピエゾ方式としてより具体的にはシェア型、ベント型又はプッシュ型のいずれであっても良い。これらのプリンターは公知又は市販のものをそのまま適用することができる。インク供給方法としては、カートリッジ式、タンク式等のいずれも採用することができる。
また、印刷の対象(印刷媒体)としては、公知のインクジェットタイプのプリンターで採用されている記録材料等と同様のものを使用できる。例えば、紙(加工紙、塗工紙等を含む。)、合成樹脂(合成ゴムを含む。)、金属、セラミックス、織物及び不織布等のほか、これらの加工品(シート、フィルム、成形品等)のいずれにも適用することができる。
本発明組成物を用いて印刷媒体上に付与した後、活性エネルギー線の照射により本発明組成物を硬化させることによって、所定の画像が形成される。活性エネルギー線としては、例えば紫外線、電子線、太陽光等のいずれであっても良いが、本発明では特に紫外線を用いることが望ましい。紫外線の光源としては限定されず、例えば低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、無電極水銀ランプ、キセノンフラッシュランプ、エキシマランプ、紫外LED(UV−LED)等を挙げることができる。この中でも、特にオゾンを生成しない、熱の発生量が少ない、長寿命、省スペース・省エネルギー、ON/OFFの切り替えが容易等の見地より、紫外LED(UV−LED)を好適に用いることができる。UV−LEDの照度としては、通常10W/cm以下、特に5W/cm、さらには1W/cm以下であることが望ましい。照度の下限値は、硬化可能である限りは限定されないが、一般的には0.1W/cm程度とすれば良い。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
実施例1
インク組成として、オキシラン環含有化合物(製品名「セロキサイド3000」ダイセル化学製)40重量部及びオキセタン環含有化合物(製品名「OXT−221」東亜合成社製)60重量の合計100重量部に対して、カーボンブラック(製品名「MA−100R」三菱化学社製)2重量部、光重合開始剤(製品名「CPI−100P」サンアプロ社製)5重量部、増感剤(製品名「アントラキュアーUVS−1331」川崎化成工業社製)3重量部、分散剤(製品名「アジスパーPB822」味の素ファインテクノ社製)1.2重量部、レベリング剤(製品名「ペレノールF40」コグニクスジャパン社製)0.2重量部及び重合禁止剤(トリイソパノールアミン)0.1重量部を用いた。まず、光重合開始剤及び増感剤以外の上記各成分をサンドミルに投入して4時間分散させた後、得られた混合物に光重合開始剤及び増感剤を添加し、均一に混合することによってインクを調製した。調製直後の25℃におけるインクの粘度(初期粘度)は14.1mPa・sであった。
参考例2
光重合開始剤として製品名「CPI−200K」サンアプロ社製)5重量部を用いたほかは、実施例1と同様にしてインクを調製した。調製直後の25℃におけるインクの粘度(初期粘度)は14.1mPa・sであった。
実施例3
光重合開始剤の配合量を前記合計100重量部に対して3重量部としたほかは、実施例1と同様にしてインクを調製した。調製直後の25℃におけるインクの粘度(初期粘度)は14.1mPa・sであった。
実施例4
増感剤の配合量を前記合計100重量部に対して5重量部としたほかは、実施例1と同様にしてインクを調製した。調製直後の25℃におけるインクの粘度(初期粘度)は14.1mPa・sであった。
比較例1
光重合開始剤として製品名「アデカオプトマーSP−152」アデカ社製)5重量部を用いたほかは、実施例1と同様にしてインクを調製した。調製直後の25℃におけるインクの粘度(初期粘度)は14.1mPa・sであった。
比較例2
光重合開始剤として製品名「UVI−6992」ダウケミカル社製)5重量部を用いたほかは、実施例1と同様にしてインクを調製した。調製直後の25℃におけるインクの粘度(初期粘度)は14.1mPa・sであった。
比較例3
光重合開始剤として製品名「WPI−113」和光純薬工業社製)5重量部を用いたほかは、実施例1と同様にしてインクを調製した。調製直後の25℃におけるインクの粘度(初期粘度)は14.1mPa・sであった。
比較例4
光重合開始剤の配合量を前記合計100重量部に対して1重量部としたほかは、実施例1と同様にしてインクを調製した。調製直後の25℃におけるインクの粘度(初期粘度)は14.1mPa・sであった。
比較例5
増感剤の配合量を前記合計100重量部に対して1重量部としたほかは、実施例1と同様にしてインクを調製した。調製直後の25℃におけるインクの粘度(初期粘度)は14.1mPa・sであった。
試験例1
実施例及び比較例で得られたインクについて、硬化性能及び保存安定性について調べた。その結果を表1に示す。また、表1には、参考例1として、市販のインクジェットインク(25℃における粘度26.6mPa・s)についての測定結果も併せて示す。
なお、表1の各物性の測定方法(実施例、比較例及び参考例で示した粘度の測定も含む。)は次のようにして実施した。
(1)硬化性能
基材(印刷媒体)として、二軸延伸され、かつ、表面処理が施されていないポリエチレンテレフタレート製フィルム(PETフィルム)を用いた。次いで、このPETフィルム上にインクをワイヤーバー(線径200μm)で展色した後、温度約20℃及び湿度48%RHの雰囲気下でUV−LEDランプ(波長385nm、0.25W/cm)を照射しながら硬化させた。試験は、図1に示すような装置を用い、インクを展色した前記フィルムをベルトコンベア上に載せた後、UV−LEDランプの照射エリアを所定の速度で通過させ、通過後の塗膜が硬化したときのベルトコンベアの移動速度を求めた。より具体的には、上記速度を徐々に高くしていき、明らかに塗膜が硬化しきれない速度まで試験を繰り返し行いながら、塗膜が硬化可能な前記移動速度(m/min)を「硬化速度」とした。
(2)保存安定性(粘度)
調製直後のインクの25℃における粘度をB型粘度計(製品名「ビスメトロンVG−4」芝浦システム社製、低粘度アダプタ使用、回転数12rpm)により測定してVを求めた。次に、そのインクを70℃で1週間保存した後の粘度(V)を同様にして測定して求めた。そして、計算式[(V−V)/V]×100(%)により粘度の変化率を求めた。

表1に示すように、比較例のインクは硬化性能及び保存安定性の少なくとも一方で問題があることが確認された。また、参考例1の市販インクは、硬化速度が比較的遅いことがわかる。これに対し、実施例のインクはいずれも硬化性能及び保存安定性ともに優れた効果を発揮することがわかる。すなわち、実施例では、いずれも硬化速度20m/min以上であり、かつ、保存後粘度が20mPa・s以下であって、変化率も10%以下という高性能であることがわかる。特に、実施例1等のインクのように、保存後であっても15mPa・s以下という極めて低い粘度を維持しているうえ、良好な硬化速度を有していることがわかる。

Claims (6)

  1. 活性エネルギー線の照射によりカチオン重合が進行して硬化し得る組成物であって、
    (1)オキシラン環含有化合物及びオキセタン環含有化合物を重合性モノマーとして含み、前記オキシラン環含有化合物が1,2−エポキシ−4−(2−メチルオキシラニル)−1−メチルシクロヘキサンであり、前記オキセタン環含有化合物が3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタンであり、
    (2)前記重合性モノマー100重量部に対して光重合開始剤2重量部以上及び増感剤2重量部以上を含み、
    (3)前記光重合開始剤としてスルホニウム塩のモノ体を含み、前記スルホニウム塩のモノ体が、下記化学式(1)
    (但し、X はPF を示す。)で示される化合物であり、
    (4)溶剤の含有量が5重量%以下であり、
    (5)25℃における粘度が20mPa・sec以下である、
    ことを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
  2. オキシラン環含有化合物及びオキセタン環含有化合物の合計100重量部において、オキシラン環含有化合物が10〜50重量部含まれ、オキセタン環含有化合物が90〜50重量部含まれる、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. UV−LEDランプの照射により重合・硬化する、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  4. 調製直後から70℃で1週間保存した後の粘度(25℃)の変化率[(V −V )/V ]×100(但し、V は調製直後の粘度(25℃)、V は調製直後から70℃で1週間放置した後の粘度(25℃)を示す。)が10%以下である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  5. 調製直後から70℃で1週間保存した後の粘度(25℃)が20mPa・sec以下である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  6. インクジェット用インクのために用いられる、請求項1〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
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