JP5761352B2 - アルカンの製造方法及びアルカン合成能を有する組換え微生物 - Google Patents

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Description

本発明は、例えばバイオディーゼル燃料に使用できるアルカンの製造方法及びアルカン合成能を有する組換え微生物に関する。
アルカンは、石油に含まれており分留によって精製され、様々な用途に利用される。また、アルカンは、化学工業における原料物質として広く利用されるのみならず、石油から得られるディーゼル燃料の主成分でもある。アルカンをバイオ技術によって製造する技術としては、例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1には、藍藻類由来のアルカン合成酵素遺伝子及びアシルCoAレダクターゼ遺伝子を導入した組換え大腸菌によりアルカンを合成する試みが開示されている。
また、特許文献2には、炭素数10〜25の範囲の炭化水素を生産できる微細藻類(Pseudochoricystis ellipsoidea)が開示されている。さらに、特許文献3には、アルデヒドをアルカンへ転換を触媒する脂肪酸アルデヒドデカボニラーゼ活性を有する酵母を利用して、アルカンを合成する技術が開示されている。さらに、非特許文献1には、酵素P450を用いてアルデヒドからアルカンを合成する方法が開示されている。
一方、特許文献4には、アルカンやアルカンモノオールを含む培地にて、CYP153-アルカン-1-モノオキシゲナーゼ遺伝子、フェレドキシン遺伝子及びフェレドキシンリダクターゼ遺伝子を発現する組換え大腸菌を培養することで、α、ωアルカンジオールを生合成する方法が開示されている。
上述のように、アルカン合成酵素遺伝子を発現する組換え微生物やアルカン合成能を有する微生物は公知であるものの、これらによるアルカン生産性は十分とは言えなかった。
WO2009/140695 WO2006/109588 特表2010-528627号公報 特開2007-74959号公報
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91, 10000-10004 (1994)
そこで、本発明は、上述したような実情に鑑み、アルカン合成酵素活性によりアルカンを合成する反応系において、アルカン生産性に優れたアルカンの製造方法及び組換え微生物を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、アルカン合成酵素によりアルカンを合成する系においてフェレドキシンの存在下でアルカン生産性が大幅に向上することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
(1)フェレドキシン存在下でアルカン合成酵素によりアルカンを合成する、アルカンの製造方法。
(2)アルカン合成能を有する微生物によりアルカンを合成することを特徴とする(1)記載のアルカンの製造方法。
(3)上記微生物は、アルカン合成酵素遺伝子が導入された組換え微生物であることを特徴とする(2)記載のアルカンの製造方法。
(4)上記微生物は、フェレドキシン遺伝子が導入された組換え微生物であることを特徴とする(2)記載のアルカンの製造方法。
(5)上記微生物は、アルカン合成酵素遺伝子及びフェレドキシン遺伝子が導入された組換え微生物であることを特徴とする(2)記載のアルカンの製造方法。
(6)上記フェレドキシンに加えてフェレドキシンNADPHレダクターゼの存在下でアルカンを合成する(1)記載のアルカンの製造方法。
(7)フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を、アルカン合成能を有する微生物に導入した組換え微生物によりアルカンを合成することを特徴とする(6)記載のアルカンの製造方法。
(8)上記組換え微生物は、酵母由来であることを特徴とする(3)〜(5)及び(7)いずれか1記載のアルカンの製造方法。
(9)上記アルカン合成酵素は、アルデヒドをアルカンに変換する活性を有することを特徴とする(1)記載のアルカンの製造方法。
(10)炭素数9〜16のアルカンを製造することを特徴とする(1)記載のアルカンの製造方法。
(11) フェレドキシン遺伝子を導入した、アルカン合成能を有する組換え微生物。
(12) フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を更に導入したことを特徴とする(11)記載の組換え微生物。
(13) 上記アルカン合成能は、アルカン合成酵素遺伝子を導入することで付与されたものであることを特徴とする(11)記載の組換え微生物。
(14) 組換え酵母であることを特徴とする(11)記載の組換え微生物。
本発明よれば、アルカン合成酵素によりアルカンを合成する反応系におけるアルカン合成の効率、すなわちアルカンの生産性を向上させることができる。すなわち、本発明に係るアルカンの製造方法は、非常に優れた生産効率でアルカンを製造することができ、アルカンの生産コスト低下に寄与することができる。また、本発明に係る組換え微生物は、従来のアルカン合成能を有する微生物と比較して、優れたアルカン合成能を有するため、アルカン製造に非常に有用である。
pESCpgkgap-URA-alkSの構成を模式的に示す図である。 pESCpgkgap-HIS-Yfdxの構成を模式的に示す図である。 pESCpgkgap-HIS-Yfdrの構成を模式的に示す図である。 pESCpgkgap-HIS-YfdxYfdrの構成を模式的に示す図である。 実施例で作製した各種形質転換体におけるアルカン(Tridecane)の合成量を示す特性図である。 alkS_pCDFの構成を模式的に示す図である。 Efdx-pCOLAの構成を模式的に示す図である。 Efdr-pCOLAの構成を模式的に示す図である。 EfdxEfdr-pCOLAの構成を模式的に示す図である。 実験例で作製した各種形質転換体におけるアルカン(Tridecane)の合成量を示す特性図である。
以下、本発明を図面及び実施例を用いてより詳細に説明する。
本発明は、アルカン合成酵素によりアルカンを合成する系においてフェレドキシンを存在させることで、アルカンの生産性を向上するものである。ここで、アルカン合成酵素によりアルカンを合成する系としては、アルカン合成能を有する微生物や、アルカン合成能を付与された組換え微生物といったin vivoの系、アルカン合成酵素により基質を含む反応液中でアルカンを合成するin vitroの系を含む意味である。如何なるアルカン合成系においても、フェレドキシンの存在下では、フェレドキシンの非存在下と比較して、アルカンの生産性が向上することとなる。
また、フェレドキシンに加えてフェレドキシンNADPHレダクターゼ(フェレドキシンNADP+レダクターゼと称する場合もある)を存在させることにより、アルカンの生産性を更に顕著に向上させることができる。すなわち、アルカン合成酵素によりアルカンを合成する系においてフェレドキシンとフェレドキシンNADPHレダクターゼを存在させることで、フェレドキシンが単独で存在する場合と比較して、アルカンの生産性がより顕著に向上スルこととなる。
<フェレドキシン>
フェレドキシンとは、内部に鉄-硫黄クラスター(Fe-Sクラスター)を含む鉄硫黄タンパク質であり、電子伝達体として機能するタンパク質である。アルカン合成酵素によりアルカンを合成する系においてフェレドキシンを存在させるには、一例として、アルカン合成能を有する微生物や、アルカン合成能を付与された組換え微生物にフェレドキシンをコードする遺伝子を導入すればよい。フェレドキシン遺伝子としては、特に限定されず、如何なる生物由来の遺伝子を使用しても良い。例えば、DDBJ/EMBL/GenBank 国際塩基配列データベース等の遺伝子情報を格納したデータベースを参照することで、様々な生物種由来のフェレドキシン遺伝子に関する塩基配列やフェレドキシンのアミノ酸配列を特定することができる。
一旦、フェレドキシン遺伝子の塩基配列が特定できれば、定法に従って当該遺伝子を単離することができる。例えば、特定した塩基配列に基づいて所定の生物由来のフェレドキシン遺伝子を全合成しても良いし、特定した塩基配列に基づいてプライマーを設計し、所定の生物ゲノムを鋳型として当該プライマーを用いたPCRによりフェレドキシン遺伝子を単離することもできる。
特に、アルカン合成能を有する微生物や、アルカン合成能を付与された組換え微生物にフェレドキシン遺伝子を導入する場合、フェレドキシン遺伝子としては当該微生物由来の遺伝子であることが好ましい。例えば、所定の酵母に対してアルカン合成関連遺伝子を導入して、アルカン合成能を獲得した組換え酵母に対しては、当該酵母由来のフェレドキシン遺伝子を導入すればよい。
より具体的に、アルカン合成能を獲得した組換え酵母(組換えS. cerevisiae)に対しては、S. cerevisiae由来のフェレドキシン遺伝子を使用することが好ましい。なお、S. cerevisiae由来のフェレドキシン遺伝子は、YAH1遺伝子(又はYfdx遺伝子)として公知である。S. cerevisiae由来のフェレドキシン遺伝子の塩基配列及び当該遺伝子によりコードされるフェレドキシンのアミノ酸配列をそれぞれ配列番号1及び2に示す。
なお、フェレドキシン遺伝子としては、配列番号2に示すアミノ酸配列をコードするものに限定されず、配列番号2に示すアミノ酸配列に対して70%以上の同一性、好ましくは80%以上の同一性、より好ましくは90%以上の同一性、更に好ましくは95%の同一性、最も好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなりフェレドキシンとして機能するタンパク質をコードする遺伝子でも良い。同一性の値は、BLASTアルゴリズムを実装したBLASTNやBLASTXプログラムにより算出することができる(デフォルトの設定)。なお、同一性の値は、一対のアミノ酸配列をペアワイズ・アライメント分析した際に完全に一致するアミノ酸残基を算出し、比較した全アミノ酸残基中の上記残基数の割合として算出される。
また、フェレドキシン遺伝子としては、配列番号2に示すアミノ酸配列をコードするものに限定されず、配列番号2に示すアミノ酸配列に対して、1〜20個のアミノ酸、好ましくは1〜15個のアミノ酸、より好ましくは1〜10個のアミノ酸、更に好ましくは1〜5個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなりフェレドキシンとして機能するタンパク質をコードする遺伝子でも良い。
さらに、フェレドキシン遺伝子としては、配列番号1に示す塩基酸配列からなるものに限定されず、配列番号1に示す塩基配列からなるDNAの相補鎖の全部又は一部に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフェレドキシンとして機能するタンパク質をコードするものでもよい。ここでいう「ストリンジェントな条件」とはいわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件を意味し、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual(Third Edition)を参照して適宜決定することができる。具体的には、サザンハイブリダイゼーションの際の温度や溶液に含まれる塩濃度、及びサザンハイブリダイゼーションの洗浄工程の際の温度や溶液に含まれる塩濃度によりストリンジェンシーを設定することができる。
なお、配列番号2に示すアミノ酸配列に対して所定のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列をコードする塩基配列や、配列番号1に示す塩基配列と異なる塩基配列からなるDNAを作製する方法としては、特に限定することなく、従来公知の手法を適宜使用することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発方法を使用して、所定の塩基を置換することができる。部位特異的突然変異誘発方法としては、例えばT. クンケル(Kunkel)の部位特異的変異導入法(Kunkel, T. A. Proc. Nati. Acad. Sci. U. S. A. 82, 488-492 (1985))、Gapped duplex法等が挙げられる。また、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutan-K(宝酒造社製)やMutan-G(宝酒造社製))などを用いて、あるいは、宝酒造社製のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて変異を導入することもできる。
一方、アルカン合成酵素により基質を含む反応液中でアルカンを合成するin vitroの系にフェレドキシンを存在させる場合、上述したフェレドキシン遺伝子の産物であるフェレドキシンを使用する。タンパク質としてのフェレドキシンは、従来公知の手法により得ることができる。使用可能なフェレドキシンは、未精製の状態でも良いし、粗精製の状態でも良いし、精製された状態のものでも良い。
<フェレドキシンNADPHレダクターゼ>
フェレドキシンNADPHレダクターゼとは、フェレドキシンとNADPHとの間の酸化還元反応を触媒する酵素である。アルカン合成酵素によりアルカンを合成する系においてフェレドキシンとともにフェレドキシンNADPHレダクターゼを存在させるには、一例として、アルカン合成能を有する微生物や、アルカン合成能を付与された組換え微生物にフェレドキシンをコードする遺伝子及びフェレドキシンNADPHレダクターゼをコードする遺伝子を導入すればよい。フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子としては、特に限定されず、如何なる生物由来の遺伝子を使用しても良い。例えば、DDBJ/EMBL/GenBank 国際塩基配列データベース等の遺伝子情報を格納したデータベースを参照することで、様々な生物種由来のフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子に関する塩基配列やフェレドキシンNADPHレダクターゼのアミノ酸配列を特定することができる。
一旦、フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子の塩基配列が特定できれば、定法に従って当該遺伝子を単離することができる。例えば、特定した塩基配列に基づいて所定の生物由来のフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を全合成しても良いし、特定した塩基配列に基づいてプライマーを設計し、所定の生物ゲノムを鋳型として当該プライマーを用いたPCRによりフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を単離することもできる。
特に、アルカン合成能を有する微生物や、アルカン合成能を付与された組換え微生物にフェレドキシン遺伝子及びフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を導入する場合、フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子としては当該微生物由来の遺伝子であることが好ましい。さらに、フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子としては、導入するフェレドキシン遺伝子と同じ生物由来の遺伝子であることがより好ましい。例えば、所定の酵母に対してアルカン合成関連遺伝子を導入して、アルカン合成能を獲得した組換え酵母に対しては、当該酵母由来のフェレドキシン遺伝子及びフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を導入すればよい。
より具体的に、アルカン合成能を獲得した組換え酵母(組換えS. cerevisiae)に対しては、S. cerevisiae由来のフェレドキシン遺伝子及びS. cerevisiae由来のフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を使用することが好ましい。なお、S. cerevisiae由来のフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子は、ARH1遺伝子(又はYfdr遺伝子)として公知である。S. cerevisiae由来のフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子の塩基配列及び当該遺伝子によりコードされるフェレドキシンNADPHレダクターゼのアミノ酸配列をそれぞれ配列番号3及び4に示す。
なお、フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子としては、配列番号4に示すアミノ酸配列をコードするものに限定されず、配列番号4に示すアミノ酸配列に対して70%以上の同一性、好ましくは80%以上の同一性、より好ましくは90%以上の同一性、更に好ましくは95%の同一性、最も好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなりフェレドキシンNADPHレダクターゼとして機能するタンパク質をコードする遺伝子でも良い。同一性の値は、BLASTアルゴリズムを実装したBLASTNやBLASTXプログラムにより算出することができる(デフォルトの設定)。なお、同一性の値は、一対のアミノ酸配列をペアワイズ・アライメント分析した際に完全に一致するアミノ酸残基を算出し、比較した全アミノ酸残基中の上記残基数の割合として算出される。
また、フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子としては、配列番号4に示すアミノ酸配列をコードするものに限定されず、配列番号4に示すアミノ酸配列に対して、1〜50個のアミノ酸、好ましくは1〜40個のアミノ酸、より好ましくは1〜30個のアミノ酸、更に好ましくは1〜20個のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列からなりフェレドキシンNADPHレダクターゼとして機能するタンパク質をコードする遺伝子でも良い。
さらに、フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子としては、配列番号3に示す塩基酸配列からなるものに限定されず、配列番号3に示す塩基配列からなるDNAの相補鎖の全部又は一部に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつフェレドキシンNADPHレダクターゼとして機能するタンパク質をコードするものでもよい。ここでいう「ストリンジェントな条件」とはいわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件を意味し、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual(Third Edition)を参照して適宜決定することができる。具体的には、サザンハイブリダイゼーションの際の温度や溶液に含まれる塩濃度、及びサザンハイブリダイゼーションの洗浄工程の際の温度や溶液に含まれる塩濃度によりストリンジェンシーを設定することができる。
なお、配列番号4に示すアミノ酸配列に対して所定のアミノ酸が欠失、置換、付加又は挿入されたアミノ酸配列をコードする塩基配列や、配列番号3に示す塩基配列と異なる塩基配列からなるDNAを作製する方法としては、特に限定することなく、従来公知の手法を適宜使用することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発方法を使用して、所定の塩基を置換することができる。部位特異的突然変異誘発方法としては、例えばT. クンケル(Kunkel)の部位特異的変異導入法(Kunkel, T. A. Proc. Nati. Acad. Sci. U. S. A. 82, 488-492 (1985))、Gapped duplex法等が挙げられる。また、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutan-K(宝酒造社製)やMutan-G(宝酒造社製))などを用いて、あるいは、宝酒造社製のLA PCR in vitro Mutagenesis シリーズキットを用いて変異を導入することもできる。
一方、アルカン合成酵素により基質を含む反応液中でアルカンを合成するin vitroの系にフェレドキシン及びフェレドキシンNADPHレダクターゼを存在させる場合、上述したフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子の産物であるフェレドキシンNADPHレダクターゼを使用する。タンパク質としてのフェレドキシンNADPHレダクターゼは、従来公知の手法により得ることができる。使用可能なフェレドキシンNADPHレダクターゼは、未精製の状態でも良いし、粗精製の状態でも良いし、精製された状態のものでも良い。
<組換え微生物>
本発明において、上述したフェレドキシン遺伝子やフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を導入する微生物は、アルカン合成能を有する微生物又はアルカン合成能を付与された組換え微生物である。
アルカン合成能を有する微生物としては、Synechococcus elongatus PCC7942、S. elongatus PCC6301、Synechocystis sp. PCC6803、Prochlorococcus marinus CCMP1986、
Anabaena variabilis ATCC29413、Nostoc punctiforme PCC73102、Gloeobacter violaceus PCC7421、Nostoc sp. PCC7120、Cyanothece sp. PCC7425及びCyanothece sp. ATCC51142を挙げることができる(参考:Science 30 July 2010. Vol. 329, No. 5991, pp. 559-562)。
また、アルカン合成能を付与された組換え微生物としては、上記のアルカン合成能を有する微生物より単離したアルカン合成酵素遺伝子を導入した組換え微生物を挙げることができる。例えば、アルカン合成酵素遺伝子としては、Nostoc sp. ATCC27347(PCC7120)から単離したalkS遺伝子、Science 30 July 2010. Vol. 329, No. 5991, pp. 559-562及びWO 2009/140695に記載の遺伝子を使用することができる。より具体的には、例えば、Nostoc punctiforme PCC73102、Synechococcus elongates PCC7942、Synechocystis sp. PCC6803、Cyanothece sp. ATCC51142、Acaryochlloris marina MBIC11017、Gleobacter violaceus PCC7421及びProchlorococcus marinus str. MIT9303から単離したアルカン合成酵素遺伝子等を使用することができる。
アルカン合成酵素遺伝子を導入する微生物としては、酵母を挙げることができる。酵母としては特に限定されないが、Pichia stipitis等のPichia属酵母、Saccharomyces cerevisiae等のSaccharomyces属酵母及びCandida tropicalisやCandida prapsilosis等のCandida属酵母等を挙げることができる。なかでも、アルカン合成酵素遺伝子を導入する微生物としてはSaccharomyces cerevisiaeを使用することが好ましい。一例としては、Nostoc sp. ATCC27347由来のalkS遺伝子をSaccharomyces cerevisiaeに導入し、アルカン合成能を有する組換えSaccharomyces cerevisiaeを使用することが好ましい。
上述したフェレドキシン遺伝子を宿主となる微生物ゲノム、例えば酵母ゲノムに導入することにより、本発明に使用できる組換え微生物、例えば組換え酵母を作製することができる。なお、上述したフェレドキシン遺伝子に加えて、上述したフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を宿主となる微生物ゲノム、例えば酵母ゲノムに導入することにより、本発明に使用できる組換え微生物、例えば組換え酵母を作製することができる。
例えば、フェレドキシン遺伝子やフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を含むDNA断片を、宿主微生物で機能する発現ベクター、好ましくはマルチコピー型のベクターと連結して組換えDNAを作製し、これを微生物に導入して形質転換すればよい。使用可能な発現ベクターは、特に限定されず、プラスミド型ベクター、又は宿主生物中のゲノムに組み込み可能な染色体導入型ベクターを挙げることができる。発現ベクターとしては、特に限定されず、入手可能な如何なる発現ベクターを宿主微生物に応じて適宜選択すればよい。なお、発現ベクターとしては、例えば、プラスミドDNA、バクテリオファージDNA、レトロトランスポゾンDNA、人工染色体DNA(YAC:yeast artificial chromosome)などが挙げられる。
プラスミド DNAとしては、例えばpRS413、pRS414、pRS415、pRS416、YCp50、pAUR112又はpAUR123などのYCp型大腸菌-酵母シャトルベクター、pYES2又はYEp13などのYEp型大腸菌-酵母シャトルベクター、pRS403、pRS404、pRS405、pRS406、pAUR101又はpAUR135などのYIp型大腸菌-酵母シャトルベクター、大腸菌由来のプラスミド(pBR322、pBR325、pUC18、pUC19、pUC118、pUC119、pTV118N、pTV119N、pBluescript、pHSG298、pHSG396又はpTrc99AなどのColE系プラスミド、pACYC177又はpACYC184などのp15A系プラスミド、pMW118、pMW119、pMW218又はpMW219などのpSC101系プラスミド等)、アグロバクテリウム由来のプラスミド(例えばpBI101等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110、pTP5等)などが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ(Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP)、φX174、M13mp18又はM13mp19などが挙げられる。レトロトランスポゾンとしては、Ty因子などが挙げられる。YAC用ベクターとしてはpYACC2などが挙げられる。さらに、レトロウイルス又はワクシニアウイルスなどの動物ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。
発現ベクターにおいて、フェレドキシン遺伝子やフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子は、それぞれ発現可能な状態でベクターに組み込まれることが必要である。発現可能な状態とは、フェレドキシン遺伝子やフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子が導入される宿主生物において所定のプロモーターの制御下に発現されるように、これらフェレドキシン遺伝子やフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子とプロモーターとを連結してベクターに組み込むことを意味する。発現ベクターには、フェレドキシン遺伝子やフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子のほか、プロモーター及びターミネータ、所望によりエンハンサー等のシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(SD配列)等を連結することができる。なお、選択マーカーとしては、例えば、アンピシリン耐性遺伝子やカナマイシン耐性遺伝子やハイグロマイシン耐性遺伝子などの抗生物質耐性遺伝子が挙げられる。
また、発現ベクターを用いた形質転換法としても、従来公知の方法を適宜使用することができる。形質転換方法としては、塩化カルシウム法、コンピテントセル法、プロトプラスト又はスフェロプラスト法、電気パルス法等を例示することができる。
一方、フェレドキシン遺伝子やフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子のコピー数を高めるように導入しても良い。すなわち、フェレドキシン遺伝子やフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を微生物の染色体DNA上に多コピー存在させるように導入しても良い。微生物の染色体DNA上にフェレドキシン遺伝子やフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を多コピーで導入するには、染色体DNA上に多コピー存在する配列を標的に利用して相同組換えにより行うことができる。
さらに、フェレドキシン遺伝子やフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子の発現の増強は、内在する又は導入したフェレドキシン遺伝子やフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子のプロモーター等の発現調節配列を、より高発現可能なものに置換する方法、所定の遺伝子の発現を上昇させるようなレギュレーターを導入する方法などによっても達成される。高発現可能なプロモーターとしては、特に限定されないが、例えば、lacプロモーター、trpプロモーター、trcプロモーター、pLプロモーター等を挙げることができる。また、内在する又は導入したフェレドキシン遺伝子やフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子の発現制御領域に突然変異を導入し、より高発現できるものに改変することも可能である。
<アルカン製造>
以上で説明したように、本発明によれば、アルカン合成能を有する微生物や、アルカン合成能を付与された組換え微生物といったin vivoの系、アルカン合成酵素により基質を含む反応液中でアルカンを合成するin vitroの系によってアルカンを優れた生産性で合成できる。
アルカン合成能を有する微生物や、アルカン合成能を付与された組換え微生物を使用する系では、これら微生物に適した培地にて培養し、当該培地中にアルカンを生産することができる。より具体的には、本発明によれば、アルカン合成酵素によるアルカン合成能を向上させることができ、その結果、アルカンの生産性を向上することができる。
ここで、アルカン合成能を向上させるとは、アルカン合成酵素によるアルデヒドからアルカンに変換する活性を向上させることを含む意味である。すなわち、アルカン合成酵素によるアルデヒドを基質としたアルカン合成反応は、フェレドキシンの存在によって反応効率が向上する。例えば、上述のNostoc sp. ATCC27347(PCC7120)から単離したalkS遺伝子によりコードされるAlkSタンパク質は、テトラデカノールをテトラデカンに変換する活性を示すが、フェレドキシンの存在下においてはフェレドキシンの非存在下と比較してより大量のテトラデカンを合成することができる。また、このときフェレドキシンに加えてフェレドキシンNADPHレダクターゼが存在すると、より大量のテトラデカンを合成することができる。
同様に、アルカン合成酵素により基質を含む反応液中でアルカンを合成するin vitroの系においても、アルカン合成酵素によるアルデヒドを基質としたアルカン合成反応は、フェレドキシンの存在によって反応効率が向上する。したがって本発明によれば、この反応系においてもアルカンの生産性を向上できる。
本発明において、生産対象のアルカンとしては特に限定されないが、例えば炭素数が9〜16の範囲、好ましくは13〜16の範囲のアルカンとする。これらは、粘度の高い液体であり、軽油(ディーゼル油)や航空機燃料に使用することができる。このようなアルカンは、上述したin vivo或いはin vitroの反応系から定法に従って単離し、その後、精製することができる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
本実施例では、アルカン生産能を付与するとともに、フェレドキシン遺伝子及び/又はフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を導入した組換え体酵母を作製し、フェレドキシン、フェレドキシンNADPHレダクターゼのアルカン生産性能に対する効果確認した。
<pESCpgkgap-HISの作製>
クローニングした遺伝子の恒常的発現を目的とし、pESCベクター(STRATAGENE社製)への恒常性プロモーター(Ppgk及びPgap)の挿入を実施した。PgapとはSaccharomyces cerevisiae YPH499由来のGlyceraldehyde-3-Phosphate Dehydrogenase(gap)遺伝子のプロモーターである。まず酵母YPH499株からGenとるくん(タカラバイオ社製)を用いて精製したゲノムDNAを鋳型としたPCRによりPgapを含むDNA断片を取得した。ポリメラーゼはKOD-Plus-Ver.2(東洋紡社製)を用いた。Pgapを含むDNA断片を増幅するため以下の一対のプライマーを設計し、反応液組成及び反応サイクル条件は下記に示すとおりとした。
(Primer #1)EcoRI-Pgap-F, 5'-CACGGAATTCCAGTTCGAGTTTATCATTATCAA-3'(配列番号5)
(Primer #2)BamHI-Pgap-R, 5'-CTCTGGATCCTTTGTTTGTTTATGTGTGTTTATTC-3'(配列番号6)
〔反応液組成〕
YPH499 genome DNA(100 ng/μl) 1μl
10×buffer for KOD-Plus-Ver.2 5μl
2mM dNTPs 5μl
25mM MgSO4 4μl
Primer #1(10μM) 1.5μl
Primer #2(10μM) 1.5μl
KOD-Plus (1U/μl) 1μl
dH2O 31μl
50μl
〔反応サイクル条件〕
95℃ 2分-(95℃ 30秒、55℃ 30秒、72℃ 2分)×25サイクル-72℃3分-4℃ストック
PCR産物をQIAGEN社製MinElute PCR purification kitを用いて精製後、制限酵素BamHIとEcoRIで消化した。アガロースゲル電気泳動を行ない、0.7kbpの断片を切り出してQIAGEN社製MinElute Gel extraction kitを用いて精製した。制限酵素BamHIとEcoRIで消化したpESC-HISベクターにライゲーションした。得られた配列をシークエンスし、目的とするプラスミドが作製されていることを確認した。Pgapの塩基配列を配列番号7に示す。こうして得られたプラスミドをpESCgap-HISと命名した。
次に、Saccharomyces cerevisiae YPH499由来phosphoglycerate kinase (pgk)遺伝子のプロモーターであるPpgkについては以下のように取得した。まず、酵母 YPH499からGenとるくん(タカラバイオ社製)を用いて精製したゲノムDNAを鋳型にしてPCRによりPpgkを含むDNA断片を取得した。ポリメラーゼはKOD-Plus-Ver.2(東洋紡社製)を用いた。Ppgkを含むDNA断片を増幅するため以下の一対のプライマーを設計し、反応液組成及び反応サイクル条件は下記に示すとおりとした。
(Primer #1)MunI-Ppgk1-F, 5'-TAGGCAATTGCAAGAATTACTCGTGAGTAAGG-3'(配列番号8)
(Primer #2)EcoRI-Ppgk1-R, 5'-ATAAGAATTCTGTTTTATATTTGTTGTAAAAAGTAG-3'(配列番号9)
〔反応液組成〕
YPH499 genome DNA(100 ng/μl) 1μl
10×buffer for KOD-Plus-Ver.2 5μl
2mM dNTPs 5μl
25mM MgSO4 4μl
Primer #1(10μM) 1.5μl
Primer #2(10μM) 1.5μl
KOD-Plus (1U/μl) 1μl
dH2O 31μl
50μl
〔反応サイクル条件〕
95℃ 2分-(95℃ 30秒、55℃ 30秒、72℃ 2分)×25サイクル-72℃3分-4℃ストック
PCR産物をQIAGEN社製MinElute PCR purification kitを用いて精製後、制限酵素MunIとEcoRIで消化した。アガロースゲル電気泳動を行ない、0.7kbpの断片を切り出してQIAGEN社製MinElute Gel extraction kitを用いて精製した。制限酵素EcoRIで消化し、BAP処理したpESCgap-HISベクターにライゲーションした。インサートが正しい方向にライゲーションされていることをコロニーPCRで確認し、プラスミドを調製した。配列をシークエンスし、目的とするプラスミドが作製されていることを確認した。Ppgkの塩基配列を配列番号10に示す。こうして得られたプラスミドをpESCpgkgap-HISと命名した。
<pESCpgkgap-URAの作製>
上記で作製したpESCpgkgap-HISを制限酵素Bam HIとNot Iで消化し、得られた1.4kbpのインサート断片を、制限酵素Bam HIとNot Iで消化したpESC-URAベクターにライゲーションした。得られた配列をシークエンスし、目的とするプラスミドが作製されていることを確認した。こうして得られたプラスミドpESCpgkgap-URAと命名した。
<Nostoc sp. ATCC 27347由来アルカン合成酵素遺伝子発現用プラスミド(pESCpgkgap-URA-alkS)の作製>
Nostoc sp. AT27347のゲノムDNAを鋳型にしてPCRによりアルカン合成酵素遺伝子(alkS遺伝子)を含むDNA断片を取得した。PCRにはKOD-Plus-Ver.2 (東洋紡社製)を用いた。alkS遺伝子を含むDNA断片を増幅するため以下の一対のプライマーを設計し、反応液組成及び反応サイクル条件は下記に示すとおりとした。
(Primer #1)YalkS_F2, 5'-GAGAGGATCCAAAAATGCAGCAGGTTGCAGCCGATTTAG-3'(配列番号11)
(Primer #2)YalkS_R2, 5'-CAGACTCGAGTTAAGCTGCTGTAAGTCCGTAGG-3'(配列番号12)
〔反応液組成〕
Nostoc sp.PCC27347ゲノムDNA(100 ng/μl) 1μl
10×buffer for KOD-Plus-Ver.2 5μl
2mM dNTPs 5μl
25mM MgSO4 4μl
Primer #1(10μM) 1.5μl
Primer #2(10μM) 1.5μl
KOD-Plus (1U/μl) 1μl
dH2O 31μl
50μl
〔反応サイクル条件〕
94℃ 2分-(98℃ 10秒、55℃ 30秒、68℃ 1分30秒)×30サイクル-68℃ 3分-16℃ストック
PCR産物をQIAquick PCR purification kit(QIAGEN社製)で精製した後、制限酵素BamHIとXhoIで消化し、アガロースゲル電気泳動を行なって約0.7kbの断片を切り出し、MinElute Gel extraction kit(QIAGEN社製)で精製し、Insert部分とした。プラスミドpESCpgkgap-URAを制限酵素BamHIとXhoIで消化し、約7.4kbの断片を切り出し、MinElute Gel extraction kit(QIAGEN社製)で精製し、Vector部分とした。
上記Insert部分及びVector部分をLigation-Convenience Kit(ニッポンジーン社製)を用いてライゲーションし、大腸菌HST08(タカラバイオ社製)を形質転換した。50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地上で生育したコロニーを50μg/mlのアンピシリンを含むLB液体培地で培養しプラスミドを抽出した。抽出には、QIAprep spin Miniprep Kit(QIAGEN社製)を用いた。得られたプラスミドをシークエンスし、配列が正しいことを確認し、pESCpgkgap-URA-alkSと命名した(図1)。なお、alkS遺伝子の塩基配列及び当該遺伝子がコードするAlkSタンパク質のアミノ酸配列を、それぞれ配列番号13及び14に示す。
<S.cerevisiae由来フェレドキシン遺伝子発現用プラスミド(pESCpgkgap-HIS-Yfdx)の作製>
S.cerevisiae YPH499のゲノムDNAを鋳型にしてPCRによりフェレドキシン遺伝子(Yfdx遺伝子)を含むDNA断片を取得した。PCRにはKOD-Plus-Ver.2 (東洋紡社製)を用いた。Yfdx遺伝子を含むDNA断片を増幅するため以下の一対のプライマーを設計し、反応液組成及び反応サイクル条件は下記に示すとおりとした。
(Primer #1)Yfdx_F2, 5'-CACAGGATCCAAAAATGCTGAAAATTGTTACTCGGG-3'(配列番号15)
(Primer #2)Yfdx_R2, 5'-GGAACTCGAGTTAACTAAAATCGTTGTTATTAACG-3'(配列番号16)
〔反応液組成〕
YPH499 genome DNA(100 ng/μl) 1μl
10×buffer for KOD-Plus-Ver.2 5μl
2mM dNTPs 5μl
25mM MgSO4 4μl
Primer #1(10μM) 1.5μl
Primer #2(10μM) 1.5μl
KOD-Plus (1U/μl) 1μl
dH2O 31μl
50μl
〔反応サイクル条件〕
94℃ 2分-(98℃ 10秒、55℃ 30秒、68℃ 1分30秒)×30サイクル-68℃ 3分-16℃ストック
PCR産物をQIAquick PCR purification kit(QIAGEN社製)で精製した後、制限酵素BamHIとXhoIで消化し、アガロースゲル電気泳動を行なって約0.5kbの断片を切り出し、MinElute Gel extraction kit(QIAGEN社製)で精製し、Insert部分とした。プラスミドpESCpgkgap-HISを制限酵素BamHIとXhoIで消化し、約7.4kbの断片を切り出し、MinElute Gel extraction kit(QIAGEN社製)で精製し、Vector部分とした。
上記Insert部分及びVector部分をLigation-Convenience Kit(ニッポンジーン社製)を用いてライゲーションし、大腸菌HST08(タカラバイオ社製)を形質転換した。50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地上で生育したコロニーを50μg/mlのアンピシリンを含むLB液体培培養しプラスミドを抽出した。抽出には、QIAprep spin Miniprep Kit(QIAGEN社製)を用いた。得られたプラスミドをシークエンスし、配列が正しいことを確認しpESCpgkgap-HIS-Yfdxと命名した(図2)。なお、Yfdx遺伝子の塩基配列及び当該遺伝子がコードするフェレドキシンのアミノ酸配列を、それぞれ配列番号1及び2に示す。
<S.Cerevisiae由来フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子発現用プラスミド(pESCpgkgap-HIS-Yfdr)の作製>
S.cerevisiae YPH499のゲノムDNAを鋳型にしてPCRによりフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子(Yfdr遺伝子)を含むDNA断片を取得した。PCRにはKOD-Plus-Ver.2 (東洋紡社製)を用いた。Yfdr遺伝子を含むDNA断片を増幅するため以下の一対のプライマーを設計し、反応液組成及び反応サイクル条件は下記に示すとおりとした。
(Primer #1)Yfdr_F2, 5'-ATATGCGGCCGCAAAAATGAGCTTTGTTCAAATAAGGCAC-3'(配列番号17)
(Primer #2)Yfdr_R2, 5'-GGCCACTAGTTTATATGCCTTCTACACCGTTCC-3'(配列番号18)
〔反応液組成〕
YPH499 genome DNA(100 ng/μl) 1μl
10×buffer for KOD-Plus-Ver.2 5μl
2mM dNTPs 5μl
25mM MgSO4 4μl
Primer #1(10μM) 1.5μl
Primer #2(10μM) 1.5μl
KOD-Plus (1U/μl) 1μl
dH2O 31μl
50μl
〔反応サイクル条件〕
94℃ 2分-(98℃ 10秒、55℃ 30秒、68℃ 1分30秒)×30サイクル-68℃ 3分-16℃ストック
PCR産物をQIAquick PCR purification kit(QIAGEN社製)で精製した後、制限酵素NotIとSpeIで消化し、アガロースゲル電気泳動を行なって約1.5kbの断片を切り出し、MinElute Gel extraction kit(QIAGEN社製)で精製し、Insert部分とした。プラスミドpESCpgkgap-HISを制限酵素NotIとSpeIで消化し、約7.4kbの断片を切り出し、MinElute Gel extraction kit(QIAGEN社製)で精製し、Vector部分とした。
上記Insert部分及びVector部分をLigation-Convenience Kit(ニッポンジーン社製)を用いてライゲーションし、大腸菌HST08(タカラバイオ社製)を形質転換した。50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地で生育したコロニーを50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地で培養しプラスミドを抽出した。抽出には、QIAprep spin Miniprep Kit(QIAGEN社製)を用いた。得られたプラスミドをシークエンスし、配列が正しいことを確認しpESCpgkgap-HIS-Yfdrと命名した(図3)。なお、Yfdr遺伝子の塩基配列及び当該遺伝子がコードするフェレドキシンNADPHレダクターゼのアミノ酸配列を、それぞれ配列番号3及び4に示す。
<Yfdx遺伝子及びYfdr遺伝子共発現用プラスミド(pESCpgkgap-HIS-YfdxYfdr)の作製>
プラスミドpESCpgkgap-HIS-Yfdxを制限酵素NotIとSpeIで消化し、約7.9kbの断片を切り出し、MinElute Gel extraction kit(QIAGEN社製)で精製し、Vector部分とした。また、プラスミドpESCpgkgap-HIS-Yfdrを制限酵素NotIとSpeIで消化し、約1.5kbの断片を切り出し、MinElute Gel extraction kit(QIAGEN社製)で精製し、Insert部分とした。上記2つの断片をLigation-Convenience Kit(ニッポンジーン社製)を用いてライゲーションし、大腸菌HST08(タカラバイオ社製)を形質転換した。50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地上で生育したコロニーを50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地で培養しプラスミドを抽出した。抽出には、QIAprep spin Miniprep Kit(QIAGEN社製)を用いた。得られた
プラスミドをpESCpgkgap-HIS-YfdxYfdrと命名した(図4)。
<S.cerevisia YPH499形質転換体の作製>
上述したように作製した各種発現プラスミドを用いて酵母S.cerevisia YPH499株を形質転換した。形質転換にはFrozen Yeast Transformation Kit II(ZymoResearch社製)を用い、添付のマニュアルに従った。SD-Ura,His(BIO101社製)+adenine hemisulfate寒天培地上で生育したクローンを形質転換体として、アルカン生産性評価に供試した。なお、本例では、pESCpgkgap-URA-alkSを用いてalkS遺伝子を導入した形質転換体、pESCpgkgap-URA-alkS及びpESCpgkgap-HIS-Yfdxを用いてalkS遺伝子及びフェレドキシン遺伝子を導入した形質転換体、pESCpgkgap-URA-alkS及びpESCpgkgap-HIS-Yfdrを用いてalkS遺伝子及びフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を導入した形質転換体、並びにpESCpgkgap-URA-alkS及びpESCpgkgap-HIS-YfdxYfdr/YPH499を用いてalkS遺伝子、フェレドキシン遺伝子及びフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を導入した形質転換体を作製した。
<アルカン生産性評価>
上述のように作製した4種類の形質転換体を3mLのSD-Ura,His+adenine hemisulfate液体培地に植菌し、30℃で3日間培養した。得られた培養液の一部を最終濃度が1mMとなるようにTetradecanalを添加した5mLのSD-Ura,His+adenine hemisulfate液体培地に植菌し、30℃で3,4日間培養した。5mlの培養液を、室温、3000rpmで10min遠心し、上清を除き、飽和食塩水500μlに懸濁した後、20ml容バイアル瓶(Agilent社製)に移して、GC/MS分析を行なった。
Tetradecanalを基質として生合成されるアルカン(Tridecane)の分析をおこない、その生産性の評価を実施した。なお、GC/MS分析の条件は下記のとおりである。
<ヘッドスペースサンプラー分析条件>
ヘッドスペースサンプラー HP7694(Hewlett-Packard社製)
Zone Temp Oven 80℃
Loop 150℃
TR.LINE 200℃
Event Time GC CYCLE TIME 10min
Vial EQ TIME 15min
PRESSURIZ. TIME 0.50min
Loop Fill TIME 0.2min
Loop EQ TIME 0.2min
INJECT TIME 1.00min
Vial Parameter SHAKE HIGH
他 バイアル加圧 15psi
ループサイズ 3ml
<GC-MS分析条件>
GC/MS HP6890/5973 GC/MSシステム(Hewlett-Packard, Wilmington, DE)
使用カラム HP-INNOWAX(Agilent製:19091N-213)
インレット温度 260℃
検出器温度 260℃
インジェクションパラメーター
スプリット比 1/20
キャリアーガス ヘリウム1.0ml/分
オーブン加熱条件
60℃ 1分
25℃/分で260℃まで加熱
260℃ 1分
PRESSURIZ. TIME 0.50min
Loop Fill TIME 0.2min
Loop EQ TIME 0.2min
INJECT TIME 1.00min
Vial Parameter SHAKE HIGH
他 バイアル加圧 15psi
ループサイズ 3ml
結果を図5に示す。図5において、縦軸はアルカン(Tridecane)の合成量を示している。図5中、「YPH499」は形質転換前の宿主を意味し、「YPH499 alkS」はalkS遺伝子を導入した形質転換体を意味し、「YPH499 alkS Yfdx」はalkS遺伝子及びフェレドキシン遺伝子を導入した形質転換体を意味し、「YPH499 alkS Yfdr」はalkS遺伝子及びフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を導入した形質転換体を意味し、「YPH499 alkS Yfdx Yfdr」はalkS遺伝子、フェレドキシン遺伝子及びフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を導入した形質転換体を意味している。
図5に示した結果から、alkS遺伝子を導入した全ての形質転換体はアルカン(Tridecane)合成能を有することが判る。そして、図5に示すように、フェレドキシン遺伝子を導入した形質転換体は、フェレドキシン遺伝子を導入していない形質転換体と比較すると優れたアルカン合成能を有することが判る。一方、フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を単独で導入しても、アルカン合成能を有意に向上させることはできないことが判る。しかしながら、フェレドキシン遺伝子とフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を共に導入した形質転換体は、非常に優れたアルカン合成能を有することが判った。
〔実験例1〕
本実験例では、アルカン生産能を付与するとともに、フェレドキシン遺伝子及び/又はフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を導入した組換え体大腸菌を作製し、フェレドキシン、フェレドキシンNADPHレダクターゼのアルカン生産性能に対する効果確認した。
<alkS発現用プラスミド(alkS_pCDF)の作製>
Nostoc sp. ATCC27437のゲノムDNAを鋳型にしてPCRによりアルカン合成酵素遺伝子(alkS遺伝子)を含むDNA断片を取得した。PCRにはポリメラーゼとしてKOD-Plus-Ver.2(東洋紡社製)を用いた。alkS遺伝子を含むDNA断片を増幅するため以下の一対のプライマーを設計し、反応液組成及び反応サイクル条件は下記に示すとおりとした。
(Primer #1)alkS_F, 5'-GCGCGCGGTACCATGCAGCAGGTTGCAGCCG-3'(配列番号19)
(Primer #2)alkS_R, 5'-GCGCGCCTCGAGTTAAGCTGCTGTAAGTCCGTAG-3'(配列番号20)
〔反応液組成〕
Nostoc sp. ATCC27437ゲノムDNA(100 ng/μl) 1μl
10×buffer for KOD-Plus-Ver.2 5μl
2mM dNTPs 5μl
25mM MgSO4 4μl
Primer #1(10μM) 1.5μl
Primer #2(10μM) 1.5μl
KOD-Plus (1U/μl) 1μl
dH2O 31μl
50μl
〔反応サイクル条件〕
94℃ 2分-(98℃ 10秒、55℃ 30秒、68℃ 1分30秒)×30サイクル-68℃ 3分-16℃ストック
PCR産物をQIAGEN社製MinElute PCR purification kitを用いて精製後、制限酵素KpnIとXhoIで消化した。アガロースゲル電気泳動を行ない、0.7kbpの断片を切り出してQIAGEN社製MinElute Gel extraction kitを用いて精製し、Insert部分とした。プラスミドpCDFDuet-1(ノバジェン社製)を制限酵素KpnIとXhoIで消化し、約7.4kbの断片を切り出し、MinElute Gel extraction kit(QIAGEN社製)で精製し、Vector部分とした。
上記Insert部分及びVector部分をLigation-Convenience Kit(ニッポンジーン社製)を用いてライゲーションし、大腸菌HST08(タカラバイオ社製)を形質転換した。得られた配列をシークエンスし、目的とするプラスミドが作製されていることを確認した。こうして得られたプラスミドをalkS_pCDFと命名した(図6)。
<大腸菌W3110株由来フェレドキシン遺伝子発現用プラスミド(Efdx-pCOLA)の作製>
大腸菌W3110のゲノムDNAを鋳型にしてPCRによりフェレドキシン遺伝子(Efdx)遺伝子を含むDNA断片を取得した。PCRにはKOD-Plus-Ver.2 (東洋紡社製)を用いた。Efdx遺伝子を含むDNA断片を増幅するため以下の一対のプライマーを設計し、反応液組成及び反応サイクル条件は下記に示すとおりとした。
(Primer #1)Efdx_F, 5'-GAGATATACATATGCCAAAGATTGTTATTTTGCCTC-3'(配列番号21)
(Primer #2)Efdx_R, 5'-CAGACTCGAGTTAATGCTCACGCGCATGGTTG-3'(配列番号22)
〔反応液組成〕
W3110 genome DNA(100 ng/μl) 1μl
10×buffer for KOD-Plus-Ver.2 5μl
2mM dNTPs 5μl
25mM MgSO4 4μl
Primer #1(10μM) 1.5μl
Primer #2(10μM) 1.5μl
KOD-Plus (1U/μl) 1μl
dH2O 31μl
50μl
〔反応サイクル条件〕
94℃ 2分-(98℃ 10秒、55℃ 30秒、68℃ 1分30秒)×30サイクル-68℃ 3分-4℃ストック
PCR産物をQIAquick PCR purification kit(QIAGEN社製)で精製した後、制限酵素NdeIとXhoIで消化し、アガロースゲル電気泳動を行なって約0.4kbの断片を切り出し、MinElute Gel extraction kit(QIAGEN社製)で精製し、Insert部分とした。プラスミドpCOLADuet-1(ノバジェン社製)を制限酵素NdeIとXhoIで消化し、約3.7kbの断片を切り出し、MinElute Gel extraction kit(QIAGEN社製)で精製し、Vector部分とした。
上記Insert部分及びVector部分をLigation-Convenience Kit(ニッポンジーン社製)を用いてライゲーションし、大腸菌HST08(タカラバイオ社製)を形質転換した。50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地上で生育したコロニーを50μg/mlのアンピシリンを含むLB液体培培養しプラスミドを抽出した。抽出には、QIAprep spin Miniprep Kit(QIAGEN社製)を用いた。得られたプラスミドをシークエンスし、配列が正しいことを確認しEfdx-pCOLAと命名した(図7)。なお、Efdx遺伝子の塩基配列及び当該遺伝子がコードするフェレドキシンのアミノ酸配列を、それぞれ配列番号23及び24に示す。
<大腸菌W3110株由来フェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子発現用プラスミド(Efdr-pCOLA)の作製>
大腸菌W3110のゲノムDNAを鋳型にしてPCRによりフェレドキシンNADPHレダクターゼ(Efdr)遺伝子を含むDNA断片を取得した。PCRにはKOD-Plus-Ver.2 (東洋紡社製)を用いた。Efdr遺伝子を含むDNA断片を増幅するため以下の一対のプライマーを設計し、反応液組成及び反応サイクル条件は下記に示すとおりとした。
(Primer #1)Efdr_F, 5'-ATATCCATGGCTGATTGGGTAACAGGC-3'(配列番号25)
(Primer #2)Efdr_R, 5'-ATTCGGATCCTTACCAGTAATGCTCCGCTGTC-3'(配列番号26)
〔反応液組成〕
W3110 genome DNA(100 ng/μl) 1μl
10×buffer for KOD-Plus-Ver.2 5μl
2mM dNTPs 5μl
25mM MgSO4 4μl
Primer #1(10μM) 1.5μl
Primer #2(10μM) 1.5μl
KOD-Plus (1U/μl) 1μl
dH2O 31μl
50μl
〔反応サイクル条件〕
94℃ 2分-(98℃ 10秒、55℃ 30秒、68℃ 1分30秒)×30サイクル-68℃ 3分-4℃ストック
PCR産物をQIAquick PCR purification kit(QIAGEN社製)で精製した後、制限酵素NcoIとBamHIで消化し、アガロースゲル電気泳動を行なって約0.8kbの断片を切り出し、MinElute Gel extraction kit(QIAGEN社製)で精製し、Insert部分とした。プラスミドpCOLADuet-1(ノバジェン社製)を制限酵素NcoIとBamHIで消化し、約3.7kbの断片を切り出し、MinElute Gel extraction kit(QIAGEN社製)で精製し、Vector部分とした。
上記Insert部分及びVector部分をLigation-Convenience Kit(ニッポンジーン社製)を用いてライゲーションし、大腸菌HST08(タカラバイオ社製)を形質転換した。50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地上で生育したコロニーを50μg/mlのアンピシリンを含むLB液体培培養しプラスミドを抽出した。抽出には、QIAprep spin Miniprep Kit(QIAGEN社製)を用いた。得られたプラスミドをシークエンスし、配列が正しいことを確認しEfdr-pCOLAと命名した(図8)。なお、Efdr遺伝子の塩基配列及び当該遺伝子がコードするフェレドキシンのアミノ酸配列を、それぞれ配列番号27及び28に示す。
<Efdx遺伝子及びEfdr遺伝子共発現用プラスミド(EfdxEfdr-pCOLA)の作製>
プラスミドEfdx-pCOLAを制限酵素NcoIとBamHIで消化し、約4.1kbの断片を切り出し、MinElute Gel extraction kit(QIAGEN社製)で精製し、Vector部分とした。また、プラスミドEfdr-pCOLAを制限酵素NcoIとBamHIで消化し、約0.8kbの断片を切り出し、MinElute Gel extraction kit(QIAGEN社製)で精製し、Insert部分とした。上記2つの断片をLigation-Convenience Kit(ニッポンジーン社製)を用いてライゲーションし、大腸菌HST08(タカラバイオ社製)を形質転換した。50μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地上で生育したコロニーを50μg/mlのアンピシリンを含むLB培地で培養しプラスミドを抽出した。抽出には、QIAprep spin Miniprep Kit(QIAGEN社製)を用いた。得られたプラスミドをEfdxEfdr-pCOLAと命名した(図9)。
<大腸菌BL21(DE3)株形質転換体の作製>
上述したように作製した各種発現プラスミドを用いて大腸菌BL21(DE3)株(ノバジェン社製)を形質転換した。形質転換は添付のマニュアルに従った。ストレプトマイシンおよびカナマイシンを各50μg/mlずつを含むLB寒天培地上で生育したクローンを形質転換体として、アルカン生産性評価に供試した。なお、本例では、alkS_pCDFを用いてalkS遺伝子を導入した形質転換体、alkS_pCDF及びEfdx-pCOLAを用いてalkS遺伝子及びフェレドキシン遺伝子を導入した形質転換体、alkS_pCDF及びEfdr-pCOLAを用いてalkS遺伝子及びフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を導入した形質転換体、alkS_pCDF及びEfdxEfdr-pCOLAを用いてalkS遺伝子、フェレドキシン遺伝子及びフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を導入した形質転換体を作製した。
<アルカン生産性評価>
上述のように作製した4種類の形質転換体を3mLのLB-Sm、Km(各50μg/ml)液体培地に植菌し、37℃で一晩培養した。得られた培養液の一部を最終濃度が1mMとなるようにTetradecanalおよびIPTGを添加した5mLのLB-Sm、Km(各50μg/ml)液体培地に植菌し、30℃で3,4日間培養した。5mlの培養液を、室温、3000rpmで10min遠心して上清を除き、飽和食塩水500μlに懸濁した後、20ml容バイアル瓶(Agilent社製)に移して、GC/MS分析を行なった。
Tetradecanalを基質として生合成されるアルカン(Tridecane)の分析をおこない、その生産性の評価を実施した。なお、GC/MS分析における<ヘッドスペースサンプラー分析条件>及び<GC-MS分析条件>は実施例1と同じである。
結果を図5に示す。図10において、縦軸はアルカン(Tridecane)の合成量を示している。図10中、「BL21(DE3)」は形質転換前の宿主を意味し、「BL21(DE3) alkS」はalkS遺伝子を導入した形質転換体を意味し、「BL21(DE3) alkS Efdx」はalkS遺伝子及びフェレドキシン遺伝子を導入した形質転換体を意味し、「BL21(DE3) alkS Efdr」はalkS遺伝子及びフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を導入した形質転換体を意味し、「BL21(DE3) alkS Efdx Efdr」はalkS遺伝子、フェレドキシン遺伝子及びフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を導入した形質転換体を意味している。
図10に示した結果から、alkS遺伝子を導入した全ての形質転換体はアルカン(Tridecane)合成能を有することが判る。ただし、図10に示すように、フェレドキシン遺伝子やフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子を更に導入しても、アルカン合成能が向上することはなかった。

Claims (3)

  1. アルデヒドをアルカンに変換する活性を有するアルカン合成酵素をコードするアルカン合成酵素遺伝子、フェレドキシン遺伝子及びフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子が導入されたアルカン合成能を有する組換え酵母を培地にて培養し、当該培地にアルカンを生産する、アルカンの製造方法。
  2. 炭素数9〜16のアルカンを製造することを特徴とする請求項1記載のアルカンの製造方法。
  3. アルデヒドをアルカンに変換する活性を有するアルカン合成酵素をコードするアルカン合成酵素遺伝子、フェレドキシン遺伝子及びフェレドキシンNADPHレダクターゼ遺伝子が導入された、アルカン合成能を有する組換え酵母。
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