JP5761102B2 - 高輝度半導体ナノ粒子集積体 - Google Patents

高輝度半導体ナノ粒子集積体 Download PDF

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本発明は、発光強度の高い半導体ナノ粒子集積体に関する。
近年、バイオイメージングにおける標識剤として蛍光発光する半導体ナノ粒子が用いられている。そして、半導体ナノ粒子の一粒子当たりの輝度が高いほど視認性の点で有利なことから、一粒子当たりの輝度のより高い粒子が望まれている。
蛍光発光する半導体ナノ粒子としては、II−VI族、及びIII−V族の化合物半導体ナノ粒子が広く知られている。一般的に、コア半導体ナノ粒子のみでは発光強度は低いが、コア粒子にシェルを付加させたコア/シェル構造を有する半導体ナノ粒子にすると発光強度が数倍から数十倍向上する。これはコア粒子よりもバンドギャップの広い半導体材料をシェルとして用いることにより、量子井戸構造が形成され量子閉じ込め効果により発光効率が著しく向上するためと考えられている。
また、バイオ標識体をより高輝度化させる1つの手法として、半導体ナノ粒子の集積化が考えられている。即ち、半導体ナノ粒子を集積化させることにより、1粒子あたりの発光強度を向上させる技術である。
しかし、半導体ナノ粒子は一般的に球状であるため、集積化させた場合、半導体ナノ粒子間に空隙、発光に関与しない空間ができてしまう。この空間は励起光を受光できない領域であり、半導体ナノ粒子集積体1粒子の発光効率を考えた場合、集積前の半導体ナノ粒子に比べて、1粒子単位体積あたりの発光効率が低下することになる。例えば、近年、半導体ナノ粒子をガラス等のマトリクス中に分散固定する形で閉じ込める蛍光ガラス粒子が提案されている。これに関連して、特許文献1には、テルル化カドミウムナノ粒子やセレン化亜鉛ナノ粒子を、有機アルコキシシラン存在下ゾル−ゲル法を用いて、珪素を含むマトリクス中に分散させることにより蛍光体が得られることが記載されている。また、特許文献2には、テルル化カドミウムナノ粒子を、有機アルコキシシラン存在下ゾル−ゲル法を用いて得られた、蛍光ガラス粒子が記載されている。
このような蛍光ガラス粒子では、半導体ナノ粒子間がガラス材で満たされているが、ガラス材は一般的にバンドギャップエネルギーが大きく、通常バイオイメージングの励起光で用いられる可視光は吸収できず、集積体の単位体積あたりの発光効率の減少が生じる。また、半導体ナノ粒子集積体の最外層部では一般的にダングリングボンド等の局在準位が存在することが多く、この準位において、発光に寄与しない電子正孔対の再結合が生じ、こちらによっても発光効率の低下する問題が生じている。
国際公開第2004/000971号パンフレット 特開2005−281019号公報
本発明は、上記課題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、高い発光強度を有する半導体ナノ粒子集積体を提供することである。
本発明に係る上記課題は、以下の[1]〜[]に示す手段により解決される。
[1] 複数の半導体ナノ粒子を集積してなる半導体ナノ粒子集積体と、
該半導体ナノ粒子集積体を被覆するシェル材と
を含み、
前記シェル材が、
前記半導体ナノ粒子集積体を構成するいかなる半導体に対しても、より大きなバンドギャップエネルギーを有し、且つ、
前記半導体ナノ粒子が、蛍光を発する
シェル材被覆半導体ナノ粒子集積体。
] 前記半導体ナノ粒子集積体が、
前記半導体ナノ粒子を構成するいかなる半導体に対しても、同等またはより大きなバンドギャップエネルギーを有する半導体からなるマトクス部分をさらに含有する前記[1に記載のシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体。
] 前記半導体ナノ粒子が、コア/シェル構造を有する前記[1]〜[]のいずれかに記載のシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体。
] II−VI族半導体化合物、III−V族半導体化合物およびIV−VI族半導体化合物からなる群から 選択される1種以上の半導体化合物から構成される前記[1]〜[]のいずれかに記載のシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体。
] 前記半導体化合物が、CdSe、CdS、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、PbS、PbSe、PbTe、AlN、AlP、AlAs、GaN、GaP、GaP、InN、InP、InAsからなる群から選択される前記[]に記載のシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体。
本発明のシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体は、ナノ粒子集積体全体で励起光を吸収すること、および、最外層をシェル材で被覆することにより、発光効率が改善される。したがって、本発明は、高い発光強度を有する半導体ナノ粒子集積体を提供することができる。
本発明に係るシェル材被覆コアシェル半導体ナノ粒子(a)の構造及び励起時のエネルギー移動の様子を、コアシェル半導体ナノ粒子(b)と比較して示す図である。 本願実施例・比較例で得られた各種粒子または集積体について、粒子径と輝度との関係を示す図である。
以下、本発明について、図1を参照しながら具体的に説明する。
〔シェル材被覆半導体ナノ粒子集積体〕
本発明に係るシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100は、
半導体ナノ粒子110を複数個含有する半導体ナノ粒子集積体101と、
該半導体ナノ粒子集積体101を被覆するシェル材102と
を含む。
ここで本発明は、外部から与えられたエネルギーを内部に閉じ込めるために、半導体ナノ粒子集積体101をシェル材102が被覆した構造を有しているという点に最大の特徴がある。これについて、図1を用いて説明する。
シェル材102が被覆した構造を有さない従来の半導体ナノ粒子集積体200では、外部から与えられたエネルギーが集積体内部に伝達し、半導体ナノ粒子110に届いたところで半導体ナノ粒子110を構成する半導体の電子が励起される。そして、この励起された電子が励起状態から基底状態に戻る際に、バンドギャップに対応する波長の蛍光を発光する。ここで図1(b)には、半導体ナノ粒子110として、コア111と内部シェル112とからなるコアシェル半導体ナノ粒子が含まれる従来の半導体ナノ粒子集積体200を示したが、この場合には、通常コア111において蛍光発光が生じることになる。
ただ、従来の半導体ナノ粒子集積体200では、外部から与えられたエネルギーの一部が、集積体内部に伝達することなく外部に流出することから、外部から与えられたエネルギーから光エネルギーへの変換が充分に行われない。
これに対して、本発明に係るシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100では、半導体ナノ粒子集積体101を被覆するシェル材102によって、外部から半導体ナノ粒子集積体101に与えられたエネルギーが外部に流出することを防ぐことができるので、外部から与えられたエネルギーを効率よく光エネルギーに変換することができ、これによって、蛍光強度を高めることができるのである。本発明においては、このような効果を確実に発揮できるよう、シェル材102は、半導体ナノ粒子集積体101を構成するいかなる半導体に対しても、より大きなバンドギャップを有する材質からなることが好ましい。そのようなシェル材102を有するシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100では、図1(a)に示すように、半導体ナノ粒子集積体101に届いた外部からのエネルギーが、半導体ナノ粒子集積体101とシェル材102との間に形成されたエネルギー障壁によって外部に流出しにくくなり、半導体ナノ粒子110を構成する半導体の電子をより多く励起させることができる。
なお、本明細書において、「蛍光」は、外部からのX線、紫外線または可視光線の照射を受けて励起し、励起状態から基底状態に到る過程における発光を指す。したがって、本発明にいう「蛍光」は、励起状態から基底状態に戻るときの遷移態様の如何を問うものでなく、励起一重項からの失活に伴う発光である狭義の蛍光であってもよいし、三重項からの失活に伴う燐光であってもよい。
・半導体
本発明で用いられる半導体は、良導体と絶縁体との中間の電気的性質を示す物質であり、外部から一定のエネルギーを受けることによって電子が励起し、その後励起状態から基底状態に戻る過程で蛍光発光を生じさせるものであれば特に限定はない。
ただ、本発明では、半導体ナノ粒子集積体101を構成する半導体は、可視領域から近赤外領域における蛍光発光を生じさせるようなバンドギャップを有する半導体が好ましく、具体的には、200〜700nmの範囲内の波長の紫外〜可視光により励起されたときに、400〜900nmの範囲内の波長の可視〜近赤外光の発光を示すことが好ましい。そのような半導体として、II−VI族、III−V族およびIV−VI族の無機半導体が好適に用いられる。ここで、II−VI族の無機半導体の好適な例として、CdSe、CdS、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTeが、IV−VI族の無機半導体の好適な例として、PbS、PbSe、PbTeが、III−V族の無機半導体の好適な例として、AlN、AlP、AlAs、GaN、GaP、GaAs、InN、InP、InAsがそれぞれ挙げられる。また、II−VI族、III−V族およびIV−VI族の無機半導体のほかに、Si、GeのようなIV族の無機半導体を用いることもできる。以上に挙げた無機半導体は、2以下の元素からなるものに限られるものでなく、InGaPなどのように3以上の元素からなるものであってもよい。
一方、上記II−VI族、III−V族およびIV−VI族の無機半導体などの半導体は、シェル材102を構成する材質としても用いることができるが、この場合、半導体ナノ粒子集積体101を構成するいかなる半導体に対しても、より大きなバンドギャップを有する半導体を、シェル材102を構成する材質として採用することが好ましい。
・半導体ナノ粒子集積体
本発明のシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100を構成する半導体ナノ粒子集積体101は、複数の半導体ナノ粒子110を集積してなるものである。具体的には、図1(a)に示すように、複数の半導体ナノ粒子110がシェル材120によって集積した構造を有している。つまり、本発明のシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100を構成する半導体ナノ粒子集積体101自体は、図1(b)に示されるような従来の半導体ナノ粒子集積体と同様の構造を有している。
この半導体ナノ粒子集積体101は、図1(b)に示されるような従来の半導体ナノ粒子集積体200と同様、蛍光体として機能する。
なお、本明細書において、「半導体ナノ粒子集積体」とは、複数の半導体ナノ粒子が相互に接触した状態で集まった集合体を含有してなる粒子のことをいう。
半導体ナノ粒子
本発明において、半導体ナノ粒子集積体101を構成する半導体ナノ粒子110は、本発明のシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100において、外部から与えられたエネルギーを受けて励起し、励起状態から基底状態に戻る過程で蛍光を発する役割を有する。
本発明において、半導体ナノ粒子110は、上記「半導体」の項で上述した半導体を含んでおり、このような半導体として、特に、CdSe、InPがより好ましく用いられる。
半導体ナノ粒子110を構成する半導体は、1種単独であってもよく、あるいは、2種以上を組み合わせたものであってもよい。ここで、半導体ナノ粒子110として2種以上の半導体を用いる場合、1種単独の半導体からなる半導体ナノ粒子を2種以上組み合わせて半導体ナノ粒子110として用いてもよく、2種以上の混合物からなる1種類の半導体ナノ粒子を半導体ナノ粒子110として用いてもよく、あるいは、2種以上の混合物からなる半導体ナノ粒子を2種以上組み合わせたものを半導体ナノ粒子110として用いてもよい。
また、半導体ナノ粒子110は、全体として均一な構造を有していてもよいし、構成成分の組成が異なる2以上の構造を有していてもよいし、あるいは、構成成分の組成が位置によって連続的に変化する構造を有していてもよい。本発明においては、発光効率の高い点から、半導体ナノ粒子110がコア/シェル構造を有することが特に好ましい。すなわち、本発明の好適な態様において、半導体ナノ粒子110は、図1(a)に示すように、コア111と、該コア111を被覆する内部シェル112とからなるコアシェル半導体ナノ粒子である。この場合、コア111の平均粒径が0.5〜15nmであることが好ましい。このようなコアシェル半導体ナノ粒子を2種以上組み合わせたものを半導体ナノ粒子110として用いうることはいうまでもない。
また、粒径によっても発光波長が変わるという半導体ナノ粒子の性質に着目すると、2種以上の発光波長を有するシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100を得るために、構成成分が同じで粒径のみが異なる2種以上の半導体ナノ粒子を、半導体ナノ粒子110として用いることもできる。
ただ、いずれの場合にも、半導体ナノ粒子110を構成する半導体は、本発明のシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100を構成するそれ以外の部分を構成するいかなる半導体に対しても、同等またはそれより小さいバンドギャップエネルギーを有することが好ましく、少なくとも、シェル材102を構成する材質よりも小さいバンドギャップエネルギーを有することが好ましい。
また、半導体ナノ粒子110は、合成過程で用いうる安定剤、界面活性剤、溶媒など、蛍光体としての構成半導体の機能を損なわないその他の成分を含んでいてもよい。
ここで、半導体ナノ体粒子110の平均粒径は、半導体ナノ粒子集積体101としての粒径がナノサイズ(1〜1000nm)におさまるよう、1〜20nmであることが好ましい。
マトリクス部分
本発明において、半導体ナノ粒子集積体101は、複数個の上記半導体ナノ粒子110がそれ自体で互いに凝集しあうことにより集積されてなる集積体であってもよいが、半導体ナノ粒子集積体101における半導体ナノ粒子110同士の結合をより強固にする上では、複数個の半導体ナノ粒子110がマトリクス部分120を介して互いに結着することにより集積されてなる集積体であることが好ましい。
本発明では、このマトリクス部分120が、上記半導体ナノ粒子110を構成するいかなる半導体に対しても、同等またはより大きなバンドギャップエネルギーを有する半導体からなることが好ましい。言い換えると、本発明では、半導体ナノ粒子集積体101が、上記半導体ナノ粒子110を構成するいかなる半導体に対しても、同等またはより大きなバンドギャップエネルギーを有する半導体からなるマトクス部分をさらに含有することが好ましい。かかる場合、マトリクス部分120に届いた外部からのエネルギーが、半導体ナノ粒子110に移行しやすくなり、半導体ナノ粒子110から発せられる蛍光の発光強度を大きくすることができるからである。ここで、マトリクス部分120を構成しうる具体的な半導体として、上記「半導体」の項で上述した各種半導体が挙げられる。
ここで、マトリクス部分120を構成しうる半導体は、上記半導体ナノ粒子110を構成する半導体と同じ成分組成を有してもよいし、上記半導体ナノ粒子110を構成する半導体とは異なる成分組成を有してもよい。例えば、半導体ナノ粒子110を構成する半導体としてCdSを用い、シェル材102を構成する半導体としてZnSを用いる場合に、マトリクス部分120を構成する半導体としてCdxZn(1-x)S(xは0より大きく1より小さい。例えば、0.5)で示される複合半導体を用いることもできる。
本発明では、マトリクス部分120を構成する材質として上記半導体以外の材質を用いることを妨げるものではないが、従来公知の半導体ナノ粒子集積体を得るために多用されるシリカ、ポリスチレンポリマーなどバンドギャップが非常に大きい材質を用いると、シェル材102を構成する材質よりバンドギャップが大きくなる場合があり、シェル材102による被覆を行っても可視光から近赤外領域において蛍光発光の増強効果が得られないことがある。
また、マトリクス部分120についても、上記半導体ナノ粒子110と同様、合成過程で用いうる安定剤、界面活性剤、溶媒などその他の成分を含んでいてもよい。
本発明においては、複数の半導体ナノ粒子110を集積してなる半導体ナノ粒子集積体101は、通常ナノサイズ(1〜1000nm)、好ましくは5〜1000nm、より好ましくは50〜500nmの平均粒径を有する。なお、本明細書において、「平均粒径」というときは、特に別の記載がない限り体積平均粒径を意味する。
また、本発明において、半導体ナノ粒子集積体101に内包される半導体ナノ粒子110の内包数については、特に限定はされないものの、多ければ多いほどよく、例えば粒径が100nmの半導体ナノ粒子集積体では、内包数100以上が好ましい。
・シェル材
本発明のシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100を構成するシェル材102は、前記半導体ナノ粒子集積体101を被覆するものである。このシェル材102は、外部から与えられた励起エネルギーを閉じ込めて、半導体ナノ粒子集積体101の内部に送り込む役割を有している。したがって、本発明では、シェル材102が、半導体ナノ粒子集積体101を構成するいかなる半導体に対しても、より大きいバンドギャップを有する材質からなることが好ましい。本発明の好適な態様では、シェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100において、バンドギャップが、シェル材102、マトリクス部分120、半導体ナノ粒子110の順に次第に小さくなっている。
ここで、本発明においては、シェル材102が、半導体ナノ粒子集積体101を構成するいかなる半導体に対しても、より大きいバンドギャップを有する半導体からなることが特に好ましい。ここで、シェル材102を構成しうる具体的な半導体として、上記「半導体」の項で上述した各種半導体が挙げられるが、バンドギャップの大きな半導体が好ましい。とりわけ、可視〜近赤外光領域で発光を生じない半導体が好ましく、可視光領域で発光しにくいZnSが特に好ましい。
ただ、本発明においては、シェル材102を構成する半導体は、半導体ナノ粒子集積体101を構成するいかなる半導体に対しても大きいバンドギャップを有する半導体からなるものである限り、マトリクス部分120を構成する半導体および半導体ナノ粒子110を構成する半導体と共通の元素を含むものであってもよい。また、シェル材102を構成する半導体が、マトリクス部分120を構成する半導体との関係で成分組成のみが異なるものであってもよい。
ここで、本発明のシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100において、
半導体ナノ粒子110の全体または内部シェル112を構成する半導体が、MXなる組成を有し(ここで、MはII族、III族またはIV族の元素であり、XはV族またはVI族の元素である。)、
シェル材102を構成する半導体が、前記元素Mとは異なるII族、III族またはIV族の元素M'と前記元素Xを含み、
マトリクス部分120を構成する半導体が、MxM’(1-x)X(ここで、0<x<1)の組成を有する複合半導体からなる
場合について見ると、前記シェル材102を構成する半導体は、M'Xなる組成を有する半導体であってもよいし、あるいは、MyM’(1-y)X(ここで、0<y<x<1)なる組成を有する複合半導体であってもよい。
より具体的な例を示すと、本発明のシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100において、
半導体ナノ粒子110の全体または内部シェル112を構成する半導体がCdSからなり、
シェル材102を構成する半導体が、ZnとSを含み、
マトリクス部分120を構成する半導体が、CdxZn(1-x)S(ここで、0<x<1)の組成を有する複合半導体からなる
場合では、前記シェル材102を構成する半導体は、ZnSであってもよいし、あるいは、CdyZn(1-y)S(ここで、0<y<x<1)なる組成を有する複合半導体であってもよい。
本発明では、シェル材102を構成する材質として上記半導体以外の材質を用いることを妨げるものではない。ただ、ガラスなどシリカ系の材質でシェル材102を構成する場合、おそらく半導体ナノ粒子集積体101を構成する半導体の結晶格子構造に歪みを与える等の何らかの原因により、内部にある本発明の蛍光増強効果が充分に得られない場合がある。
本発明のシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100においては、シェル材102による被覆を有した状態での平均粒径が、6〜1100nmであることが好ましい。
≪シェル材被覆半導体ナノ粒子集積体の製造方法≫
本発明に係るシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100は、特にその製造方法には制限はないものの、通常、半導体ナノ粒子集積体101を製造してから、シェル材102による被覆を施すことによって得ることができる。半導体ナノ粒子集積体101の製造およびシェル材102による被覆は、いずれも従来公知の手法を用いて行うことができる。
・半導体ナノ粒子集積体101の製造方法
本発明に係るシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100を構成する半導体ナノ粒子集積体101は、従来公知の方法を用いて製造することができる。
具体的な方法として、液相法および気相法を挙げることができる。
液相法
本発明では、半導体ナノ粒子110の製造方法として、液相法を好適に用いることができる。液相法では、半導体ナノ粒子110を構成する各半導体は、対応半導体前駆体を適当な溶媒中で化学反応させることにより得られる。液相法に基づく製造方法としては、沈殿法、共沈法、ゾル−ゲル法、均一沈殿法、還元法などがある。そのほかに、逆ミセル法、超臨界水熱合成法、などもナノ粒子を作製する上で優れた方法である(例えば、特開2002−322468号、特開2005−239775号、特開平10−310770号、特開2000−104058号公報等を参照。)。
ここで、液相法により、半導体ナノ粒子集積体101を製造する場合において、半導体前駆体を還元反応により還元する工程を有していてもよい。
また、液相法による反応に際しては、半導体前駆体の反応を界面活性剤の存在下で行う工程を有する態様が好ましい。また、形成した半導体ナノ粒子110(、および、該当する場合には、コア111)が反応過程で不用意に凝集しないよう、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)などの安定剤の存在下で行う工程を有する態様が好ましい。なお、本発明で用いられる半導体前駆体は、上記の半導体材料として用いられる元素を含む化合物であり、たとえば半導体がSiの場合、半導体前駆体としてはSiCl4などが挙げられる。その他半導体前駆体としては、InCl3、P(SiMe33、ZnMe2、CdMe2、GeCl4、トリブチルホスフィンセレンなどが挙げられる。
半導体前駆体から所要の半導体に導く際の反応温度としては、半導体前駆体の沸点以上かつ溶媒の沸点以下であれば、特に制限はないが、70〜110℃の範囲が好ましい。
〈還元剤〉
半導体前駆体を還元する還元剤としては、従来周知の種々の還元剤を反応条件に応じて選択し用いることができる。本発明においては、還元力の強さの観点から、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素リチウム(LiBH(sec−C493)及び水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素カリウム、水素化トリエチルホウ素リチウムなどの還元剤が好ましい。特に、還元力の強さから水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)が好ましい。
〈溶媒〉
半導体前駆体の分散用溶媒としては、従来周知の種々の溶媒を使用できるが、エチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、トルエン、デカン、ヘキサンなどの炭化水素類溶媒を使用することが好ましい。本発明においては、特に、トルエン等の疎水性の溶媒が分散用溶媒として好ましい。
〈界面活性剤〉
界面活性剤としては、従来周知の種々の界面活性剤を使用でき、陰イオン、非イオン、陽イオン、両性界面活性剤が含まれる。なかでも第四級アンモニウム塩系である、テトラブチルアンモニウムクロリド、ブロミド又はヘキサフルオロホスフェート、テトラオクチルアンモニウムブロミド(TOAB)、またはトリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミドが好ましい。特に、テトラオクチルアンモニウムブロミドが好ましい。
なお、液相法による反応は、液中の溶媒を含む化合物の状態により大きく変化する。単分散性の優れたナノサイズの粒子を製造する際には、特に注意を要する必要がある。例えば、逆ミセル反応法では、界面活性剤の濃度や種類により、反応場となる逆ミセルの大きさや状態が変わってくるため、ナノ粒子が形成される条件が限られてしまう。したがって、界面活性剤と溶媒とを適切に組み合わせることが必要となる。
気相法
本発明では、半導体ナノ粒子110の製造方法として、気相法を用いてもよい。気相法による製造方法としては、(1)対向する原料半導体を電極間で発生させた第一の高温プラズマによって蒸発させ、減圧雰囲気中において無電極放電で発生させた第二の高温プラズマ中に通過させる方法(例えば特開平6−279015号公報参照。)、(2)電気化学的エッチングによって、原料半導体からなる陽極からナノ粒子を分離・除去する方法(例えば特表2003−515459号公報参照。)、(3)レーザーアブレーション法(例えば特開2004−356163号参照。)、(4)高速スパッタリング法(例えば特開2004−296781号参照。)などが用いられる。また、原料ガスを低圧状態で気相反応させて、粒子を含む粉末を合成する方法も、好ましく用いられる。
半導体ナノ粒子集積体101の形成
本発明では、上記液相法または気相法などの方法により半導体ナノ粒子110を製造した後に、得られた半導体ナノ粒子110を適当な方法により集積させることにより半導体ナノ粒子集積体101を得ることができる。このとき、複数の半導体ナノ粒子110が相互に接触した状態で集まった集合体を、マトリクス部分120の構築を行うことなくそのまま半導体ナノ粒子集積体101として用いてもよいが、より強固な集積体を得る観点からは、半導体ナノ粒子110を適当な方法によって凝集させて一旦集積体前駆体(複数の半導体ナノ粒子が相互に接触した状態で集まった集合体)とし、これに対して、上記液相法などの方法によってマトリクス部分120の形成を行うことが好ましい。
本発明に係る半導体ナノ粒子の集積体前駆体は、半導体ナノ粒子形成過程、又は形成後の分散過程において、半導体ナノ粒子及びその材料を殆ど溶解しない貧溶媒を使用することにより形成することができる。
ここで、貧溶媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)を用いることができる。
・シェル材102の製造方法
また、本発明に係るシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100を構成するシェル材102についても、従来公知の方法を用いることができる。ここで、半導体から構成されるシェル材102を製造するにあたっては、上記半導体ナノ粒子集積体101の製造方法と同様の方法を用いることができる。
〔本発明に係るシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体の応用〕
以下において、代表的な応用例について説明する。
・生体物質標識剤とバイオイメージング
本発明のシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100は、特にその用途に制限があるわけではないものの、生体物質標識剤の用途に好適に用いることができる。本発明に係る生体物質標識剤は、シェル剤被覆半導体ナノ粒子集積体100が、有機分子を介して分子標識物質と結合した構造を有している。ここで、標的(追跡)物質を有する生細胞もしくは生体に、本発明に係る生体物質標識剤を添加することで、標的物質と結合もしくは吸着し、当該結合体もしくは吸着体に所定の波長の励起光を照射し、当該励起光に応じて蛍光半導体微粒子から発生する所定の波長の蛍光を検出することにより、上記標的(追跡)物質の蛍光動態イメージングを行うことができる。
すなわち、本発明に係る生体物質標識剤は、バイオイメージング法(生体物質を構成する生体分子やその動的現象を可視化する技術手段)に利用することができる。
シェル材被覆半導体ナノ粒子集積体の親水化処理
上述したシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100表面は、未だ表面処理を行っていない状態では、一般的には、疎水性であるため、例えば生体物質標識剤として使用する場合は、このままでは水分散性が悪く、半導体ナノ粒子集積体が凝集してしまう等の問題がある。そのため、シェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100の表面に親水化処理を行って、親水化半導体ナノ粒子集積体とすることが好ましい。
親水化処理の方法としては例えば、表面に付着した親油性成分をピリジン等で除去した後に、シェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100表面に表面修飾剤を化学的および/または物理的に結合させる方法がある。表面修飾剤としては、親水基として、カルボキシル基・アミノ基を持つものが好ましく用いられ、具体的にはメルカプトプロピオン酸、メルカプトウンデカン酸、アミノプロパンチオールなどがあげられる。具体的には、例えば、Ge/GeO2型ナノ粒子10-5gをメルカプトウンデカン酸0.2gが溶解した純水10ml中に分散させて、40℃、10分間攪拌し、シェルの表面を処理することで無機ナノ粒子のシェルの表面をカルボキシル基で修飾することができる。
〔生体物質標識剤〕
本発明に係る生体物質標識剤は、上述したように得られた親水化半導体ナノ粒子集積体と、分子標識物質と有機分子を介して結合させて得られる。
分子標識物質
本発明に係る生体物質標識剤は分子標識物質が目的とする生体物質と特異的に結合および/または反応することにより、生体物質の標識が可能となる。
当該分子標識物質としては、例えば、ヌクレオチド鎖、抗体、抗原、糖鎖及びシクロデキストリン等が挙げられる。ここで、分子標識物質としてトラスツズマブなどの抗体医薬を用いる場合、本発明に係る生体物質標識剤は、このような抗体医薬が認識するHER2などのガンマーカーが組織切片などに存在するかどうかを確認するための組織染色に用いることができる。
有機分子
本発明に係る生体物質標識剤は、親水化半導体ナノ粒子集積体と、分子標識物質とが有機分子により結合されていることが好ましい。当該有機分子としては半導体ナノ粒子集積体と分子標識物質とを結合できる有機分子であれば特に制限はないが、例えば、タンパク質中でも、アルブミン、ミオグロビンおよびカゼイン等、またタンパク質の一種であるアビジンをビオチンと共に用いることも好適に用いられる。上記結合の態様としては特に限定されず、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合、物理吸着および化学吸着等が挙げられる。結合の安定性から共有結合などの結合力の強い結合が好ましい。
具体的には、シェル材被覆半導体ナノ粒子集積体100をメルカプトウンデカン酸で親水化処理した場合は、有機分子としてアビジンおよびビオチンを用いることができる。この場合上記親水化半導体ナノ粒子集積体のカルボキシル基はアビジンと好適に共有結合し、アビジンがさらにビオチンと選択的に結合し、ビオチンがさらに分子標識物質と結合することにより生体物質標識剤となる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[各種測定方法]
・粒径の測定方法
本願において、コアシェル構造を持つ半導体ナノ粒子及び半導体ナノ粒子集積体の粒径(体積平均粒径)は、動的光散乱法による粒径測定装置(Malvern Instruments社製、Zetasizer Nano S)を用いて、半導体ナノ粒子又は集積体作製直後(凝集前)の粒径分布を測定することにより求めた。なお、平均粒径(体積平均粒径)は、粒径分布のピーク(中心)位置の粒径とした。
・各集積体への半導体ナノ粒子の内包数の算出方法
また、半導体ナノ粒子集積体、および、シェル材被覆半導体ナノ粒子集積体に内包される半導体ナノ粒子の計算は以下のようにして行った。
まず、半導体ナノ粒子の元素比を、シーケンシャル形高周波プラズマ発光分析装置(ICPS−7500 島津製作所製)を用いて計測する。その後、再シェリングされた半導体ナノ粒子集積体の元素比を上記高周波プラズマ発光分析装置(ICP−AES)で計測することにより、再シェリングに用いられた濃度を計算する。半導体ナノ粒子、半導体ナノ粒子集積体の密度は既知であるので、上記動的光散乱法で計算した平均粒径と合わせて内包数を見積もることが可能である。内包数は多ければ多いほど好ましく、例えば粒径が100nmの半導体ナノ粒子集積体では、内包数100以上が好ましい。
[調製例1−1:CdSe半導体ナノ粒子の合成]
CdSe半導体ナノ粒子1の合成は以下のように行った。
Ar気流下、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)7.5gに、ステアリン酸2.9g、n−テトラデシルホスホン酸620mg、及び、酸化カドミウム250mgを加え、370℃に加熱混合した。これを270℃まで放冷させた後、トリブチルフォスフィン2.5mlにセレン200mgを溶解させた溶液を加えることによって、CdSe混合液を得た。そして、このCdSe混合液に貧溶媒であるアセトンを加えて沈殿を生じさせ、上澄みを除去し減圧乾燥したところ、TOPOで被覆されたCdSe半導体ナノ粒子1を得た。
[調製例1−2:CdSe半導体ナノ粒子集積体の合成]
CdSe半導体ナノ粒子集積体2は次のような手順で作製した。
まず、上記調製例1−1で得られたCdSe混合液を放冷し、室温まで冷却した後に貧溶媒であるエタノールをCdSe半導体ナノ粒子1の10倍モル量加えて沈殿を生じさせ、上澄みを除去することでCdSe半導体ナノ粒子集積体前駆体22を得た。次にこのCdSe半導体ナノ粒子集積体前駆体22にオクタデセン2mlを加え、溶媒をオクタデセンに再置換した。その際、CdSe半導体ナノ粒子集積体前駆体22は、個々のCdSe半導体ナノ粒子1に再分散することなく、オクタデセン添加前の形態、粒子径を維持したままであった。このCdSe半導体ナノ粒子集積前駆体22のオクタデセン混合液を窒素雰囲気中で、80℃に加熱し、酢酸カドミウムと酢酸亜鉛とドデカンチオールを、原料CdSe半導体ナノ粒子1の1mgに対して100mgずつ添加し、その後、80℃から230℃に昇温し、30分反応させることでCdSe半導体ナノ粒子集積体2の混合液を得た。
すなわち、このCdSe半導体ナノ粒子集積体2は、CdSe半導体ナノ粒子1を、CdxZn(1-x)Sからなるマトリクスで集積してなるものである。
[実施例1:シェル材被覆CdSe半導体ナノ粒子集積体3の合成]
CdSe半導体ナノ粒子集積体2をZnSシェルで被覆してなるシェル材被覆CdSe半導体ナノ粒子集積体の合成を、以下の手順に従って行った。
上記調製例1−2で得られたCdSe半導体ナノ粒子集積体2の混合液を三つ口フラスコに移し、80℃に加熱し、ステアリン酸亜鉛および硫黄を加えた(量はZn/S=1でCdSe半導体ナノ粒子集積体の10倍モル量のZnSとなるように加えた)。そして、得られる混合物を80℃から230℃に昇温し、その後230℃で30分間反応させたところ、シェル材被覆CdSe半導体ナノ粒子集積体3の混合液を得た。
[調製例2−1:CdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子の合成]
上記調製例1−1で得られたCdSe半導体ナノ粒子1 150mgに、TOPO15gを加えて加熱し、引き続き270℃でトリオクチルホスフィン10mlに酢酸カドミウム1.1gとトリオクチルホスフィンスルフィド1.1gを溶解した溶液を加えたところ、CdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子4の混合液を得た。
[調製例2−2:CdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子集積体の合成]
CdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子集積体5は次のような手順で作製した。まず、上記調製例2−1で得られたCdSe/CdSコア/シェル半導体ナノ粒子4の混合液を放冷し、室温まで冷却した後に貧溶媒であるエタノールをCdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子4の10倍モル量加えて沈殿を生じさせ、上澄みを除去することでCdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子集積体前駆体55を得た。次にこのCdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子集積体前駆体55にオクタデセンを加え、溶媒をオクタデセンに再置換した。その際、CdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子集積体前駆体55は、個々のCdSe/ZnSコア/シェル半導体ナノ粒子4に再分散することなく、オクタデセン添加前の形態、粒子径を維持したままであった。このCdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子集積前駆体55のオクタデセン混合液を窒素雰囲気中で、80℃に加熱し、酢酸カドミウムと酢酸亜鉛とドデカンチオールを、原料CdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子4の1mgに対して100mgずつ添加し、その後、80℃から230℃に昇温し、30分反応させることでCdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子集積体5の混合液を得た。
すなわち、このCdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子集積体5は、CdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子4を、CdxZn(1-x)Sからなるマトリクスで集積してなるものである。
[実施例2:シェル材被覆CdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子集積体6の合成]
CdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子集積体5をZnSシェルで被覆してなるシェル材被覆CdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子集積体6の合成を、以下の手順に従って行った。
上記調製例2−2で得られたCdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子集積体5を三つ口フラスコに移し、80℃に加熱し、ステアリン酸亜鉛および硫黄を加えた(量はZn/S=1でCdSe半導体ナノ粒子集積体の10倍モル量のZnSとなるように加えた)。そして、得られる混合物を80℃から230℃に昇温し、その後230℃で30分間反応させたところ、シェル材被覆CdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子集積体6の混合液を得た。
[比較例1:CdSe/ZnSコアシェル半導体ナノ粒子含有シリカ粒子]
比較例として、特開2005−281019号公報記載の実施例1に従い、シリカマトクス中にCdSe/ZnSコアシェル半導体ナノ粒子10が存在する半導体ナノ粒子集積体13を作製した。
CdSe/ZnSコアシェル半導体ナノ粒子分散液を25℃、pH=10の条件下、界面活性剤としてチオグリコール酸を加えることにより水溶化した。その後、疎水性有機溶媒としてのイソオクタン(2,2,4−トリメチルペンタン)25mlに、逆ミセル(逆マイクロエマルジョン)を形成させるために必要な界面活性剤ビス(2−エチルヘキシル)スルホこはく酸ナトリウム(エーロゾルOT)(「AOT」とも表記する。)1.1115gを溶解し、次に、この溶液を撹拌しながら、水0.74mlと、上記の水溶化CdSe/ZnSコアシェル半導体ナノ粒子溶液0.3ml加えて溶解した。次に、この溶液を撹拌しながら、ゾル−ゲルガラスの前駆体として、アルコキシドであるテトラエトキシシラン(TEOS)0.399ml、および、有機アルコキシシランである3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APS)0.079mlを加えた。
この分散液を2日間撹拌することによりシリカマトクス中にCdSe/ZnSコアシェル半導体ナノ粒子が存在する半導体ナノ粒子集積体7とした。
[結果]
以上で得た各種半導体ナノ粒子集積体についての内容と輝度測定の結果をまとめて表1、図1、図2に示す。ここで、上記実施例1で得られたシェル材被覆CdSe半導体ナノ粒子集積体3および上記実施例2で得られたシェル材被覆CdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子集積体6は、半導体ナノ粒子集積体101が、ZnSかなるシェル材102によって被覆された構造を有している一方で、上記調製例1−2で得られたCdSe半導体ナノ粒子集積体2および上記調製例2−2で得られたCdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子集積体5は、シェル材102による被覆を有さない構造を有している。例えば、シェル材被覆CdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子集積体6およびCdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子集積体5は、それぞれ、図1(a)および図1(b)に示すような構造を有している。そして、CdSe半導体ナノ粒子集積体2、およびCdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子集積体5は、CdSとZnSとからなるマトリクス部分120によって、上記調製例1で得られたCdSe半導体ナノ粒子1および上記調製例3で得られたCdSe/CdSコアシェル半導体ナノ粒子4を半導体ナノ粒子110としてそれぞれ集積した構造を有している。
Figure 0005761102
ここで、輝度測定は、光源として146nmの真空紫外線ランプ(ウシオ社製)を使用し、真空チャンバー内にサンプルをセットし、真空度1.33×10Paにて一定距離から照射し励起発光を輝度計で測定することによって行った。輝度の値については調製例2−1のCdSe/ZnSコアシェル半導体ナノ粒子4における輝度を3としたときの相対値で示した。得られた粒子及び集積体における結果は、表1の「発光強度」に示してある。
また、半導体ナノ粒子及び半導体ナノ粒子集積体の粒径(体積平均粒径)は、動的光散乱法による粒径測定装置(Malvern Instruments社製、Zetasizer Nano S)を用いて、半導体ナノ粒子又は集積体作製直後(凝集前)の粒径分布を測定することにより求めた。なお、平均粒径(体積平均粒径)は、粒径分布のピーク(中心)位置の粒径とした。
また、半導体ナノ粒子の内包数の計算は以下のようにして行った。
まず、半導体ナノ粒子の元素比を、シーケンシャル形高周波プラズマ発光分析装置(ICPS−7500 島津製作所製)を用いて計測した。その後、再シェリングされた半導体ナノ粒子集積体の元素比を上記高周波プラズマ発光分析装置(ICP−AES)で計測することにより、再シェリングに用いられた濃度を計算した。半導体ナノ粒子、再シェリング化合物の密度は既知であるので、上記動的光散乱法で計算した平均粒径と合わせて内包数を見積もった。
100・・・シェル材被覆半導体ナノ粒子集積体
101・・・半導体ナノ粒子集積体
102・・・シェル材
110・・・半導体ナノ粒子
111・・・コア
112・・・内部シェル
120・・・マトリクス部分
200・・・従来の半導体ナノ粒子集積体

Claims (5)

  1. 複数の半導体ナノ粒子を集積してなる半導体ナノ粒子集積体と、
    該半導体ナノ粒子集積体を被覆するシェル材と
    を含み、
    前記シェル材が、
    前記半導体ナノ粒子集積体を構成するいかなる半導体に対しても、より大きなバンドギャップエネルギーを有し、且つ、
    前記半導体ナノ粒子が、蛍光を発する
    シェル材被覆半導体ナノ粒子集積体。
  2. 前記半導体ナノ粒子集積体が、
    前記半導体ナノ粒子を構成するいかなる半導体に対しても、同等またはより大きなバンドギャップエネルギーを有する半導体からなるマトクス部分をさらに含有する請求項に記載のシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体。
  3. 前記半導体ナノ粒子が、コア/シェル構造を有する請求項1〜のいずれかに記載のシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体。
  4. II−VI族半導体化合物、III−V族半導体化合物およびIV−VI族半導体化合物からなる群から選択される1種以上の半導体化合物から構成される請求項1〜のいずれかに記載のシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体。
  5. 前記半導体化合物が、CdSe、CdS、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、PbS、PbSe、PbTe、AlN、AlP、AlAs、GaN、GaP、GaP、InN、InP、InAsからなる群から選択される請求項に記載のシェル材被覆半導体ナノ粒子集積体。
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