JP5760928B2 - 高熱伝導性シリコーンゴム組成物、高熱伝導性熱定着ロール及び高熱伝導性熱定着ベルト - Google Patents

高熱伝導性シリコーンゴム組成物、高熱伝導性熱定着ロール及び高熱伝導性熱定着ベルト Download PDF

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Description

本発明は、金属珪素粉末含有の高熱伝導性シリコーンゴム組成物に関し、更に詳しくは、粉砕金属珪素粉末を特定の処方で表面疎水化処理した粉砕金属珪素粉末を所定量配合することにより、シリコーンゴム組成物(未硬化物)の低粘度化、並びに架橋性、保存安定性の改善及び硬化物(ゴム弾性層)のゴム物性の向上を実現した金属珪素粉末含有高熱伝導性シリコーンゴム組成物及びその製造方法並びにこの組成物を用いて形成された硬化物層を弾性層として有する高熱伝導性の熱定着ロール及び熱定着ベルトに関する。
シリコーンゴムは、電気絶縁性、耐熱性、耐候性、難燃性に優れているため、家電・コンピューター等の電気電子用、輸送機部品、OA機器や建築用途など、様々な分野で使用されている。特に、近年では、その耐熱性を生かして複写機やレーザービームプリンターのヒーターロール、加圧ロール等の定着ロールの被覆材として用いられてきた。
また、近年においては、ベルト基材上にシリコーンゴム弾性層を有する定着ベルトが普及している。カラータイプの複写機やプリンターの増加に伴い、より鮮明な画像特性を得るため、ベルトには弾性層が必要と考えられている。また、省エネルギーの観点からは、この弾性層には高熱伝導率の特性が要求され、かつ低硬度、低圧縮歪の技術が要求される。
これらのベルトには高熱伝導性のシリコーンゴム単体及びゴム上にフッ素ゴム又はフッ素樹脂を被覆するタイプが多く採用されている。
また、ここで用いられるヒートロール/ベルト用のゴムは、常時150〜250℃の高温にさらされるため、低圧縮永久歪が要求される。また、シリコーンゴム自体の熱伝導性は高くないため、高い熱伝導性を有するフィラーを添加する方法が一般的に行われている。このようなシリコーンゴムとしては、特許文献1〜6(特開昭58−219259号公報、特開平3−221982号公報、特開平10−39666号公報、特開2000−089600号公報、特許第3904853号公報、特許第3002642号公報)にあるように、シリコーンゴムに熱伝導性フィラーとして、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化珪素等が配合されているものである。しかしながら、熱伝導性を向上させるために多量の充填剤を配合することが必要になり、その結果、ゴムローラとして必要なゴム圧縮永久歪の悪化、耐熱性の低下や過度の充填剤の充填によってロール硬度が高くなってしまう、成形が困難になってしまう等の弊害があった。また充填剤自身の粉体密度の高さから充填剤の凝集や沈殿が問題となる事例があった。
そこで、本出願人は、特許文献7(特開2007−171946号公報)において、熱伝導性フィラーに金属珪素粉末を配合することにより、高熱伝導性、耐熱性、低圧縮永久歪、低硬度等の特性を有し、ヒーターロール/ベルトとして利用した場合に長期間安定した定着性が得られるシリコーン製高熱伝導ロール/ベルトを提案した。
また、本出願人は、特許文献8(特開2010−256585号公報)において、金属珪素粉末をあらかじめ熱処理、又は水洗あるいは水スラリー後に乾燥工程を行うことによって表面酸化膜を均一に形成させ、更に表面状態を管理することにより、架橋阻害が無く、硬化物(ゴム弾性層)のゴム硬度が安定で圧縮永久歪特性が良好なシリコーンゴム組成物が得られ、良好な定着特性を有する複写機やプリンターの定着ロール及び定着ベルトを提案した。
かかるシリコーンゴム組成物は、前述の従来技術の欠点が解消され、高熱伝導性、低圧縮永久歪等に優れるほか、組成物の密度が低いため硬化前組成物が沈殿、凝集しにくく、容易に成型、加工が可能な定着ロール/ベルトとして極めて好適な材料であるが、その後の検討によると、金属珪素粉末の表面酸化膜がシリカ粉末(SiO2)に似た親水性であるためにシリコーンポリマーへの分散がし難く、また混合後の粘度が高いため、高充填が難しいことが判明し、また多量添加した場合に架橋後のゴム物性の圧縮永久歪が悪化してしまう場合があった。
特開昭58−219259号公報 特開平3−221982号公報 特開平10−39666号公報 特開2000−089600号公報 特許第3904853号公報 特許第3002642号公報 特開2007−171946号公報 特開2010−256585号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、金属珪素粉末をシリコーンポリマーへ多量添加し易く、また混合後の材料粘度を低下させ、更には架橋速度の安定化及びゴム物性の安定化、特に、硬化物(ゴム弾性層)の硬度や圧縮永久歪が改善された高品質な高熱伝導性シリコーンゴム組成物及びその製造方法並びにこの組成物を用いて形成された硬化物層を弾性層として有する高熱伝導性の熱定着ロール及び熱定着ベルトを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために、金属珪素粉末の表面処理方法について種々検討した結果、金属珪素を疎水化する方法に際して、通常の、シリカ粉末の疎水化処理のように粉末にシランカップリング剤等の表面処理剤を滴下又はスプレーする方法では表面処理度が低く、粉体表面の疎水性が思うように上がらないことを知見した。そこで、粉砕法によって製造される粉砕金属珪素粉末に関して、粉砕処理中に、粉砕雰囲気内にシランカップリング剤等の表面処理剤を添加しながら粉砕を進める、あるいは粉砕終了直後に酸素を遮断して密封保管した後に、シランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理するか、あるいは粉砕後、低酸素濃度(10容積%以下)の雰囲気下に保管した後、粉砕後3日以内にシランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理を行うことにより処理効率が飛躍的に向上し、疎水化度の高い金属珪素粉末が得られることを見出したものである。表面が十分疎水化された疎水化度の高い金属珪素粉末により、充填効率に優れ、組成物の粘度が低く、更には架橋阻害が無く、硬化物(ゴム弾性層)のゴム硬度が安定で圧縮永久歪特性が良好なシリコーンゴム組成物が得られ、該組成物の硬化物は、各種複写機やプリンターの定着ロール及び定着ベルトの弾性層や放熱グリス、放熱シートとして、有効に用いられることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は、下記に示す疎水化された金属珪素粉末含有の高熱伝導性シリコーンゴム組成物、高熱伝導性熱定着ロール及び高熱伝導性熱定着ベルトを提供する。
〔1〕 (A)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
(B)疎水化度が35%以上である粉砕金属珪素粉末: 1〜1,000質量部、
(C)上記(A)成分を硬化しうる量の硬化剤
を含有してなり、(B)成分の粉砕金属珪素粉末が、
(i)粉砕中に表面処理剤が添加され、粉砕されながら表面疎水化処理された金属珪素粉末、
(ii)粉砕後、酸素濃度が10容積%以下の容器又は雰囲気に保管され、粉砕後3日以内に表面疎水化処理された金属珪素粉末、及び
(iii)粉砕直後に酸素を遮断し密封保管された後、表面疎水化処理された金属珪素粉末
から選ばれるものであることを特徴とする高熱伝導性シリコーンゴム組成物。
〔2〕 (B)成分の粉砕金属珪素粉末の表面処理剤が、少なくとも1つの加水分解性基を有する有機珪素化合物であることを特徴とする〔1〕記載の高熱伝導性シリコーンゴム組成物。
〔3〕 定着ロール又は定着ベルト用である〔1〕又は〔2〕記載の高熱伝導性シリコーンゴム組成物。
〔4〕 〔1〕又は〔2〕記載のシリコーンゴム組成物の硬化物を弾性層として有する高熱伝導性熱定着ロール。
〔5〕 〔1〕又は〔2〕記載のシリコーンゴム組成物の硬化物を弾性層として有する高熱伝導性熱定着ベルト。
〔6〕 (i)金属珪素の粉砕中に表面処理剤を添加し、粉砕しながら表面疎水化処理する、
(ii)金属珪素の粉砕後、酸素濃度が10容積%以下の容器又は雰囲気に保管し、粉砕後3日以内に表面疎水化処理する、又は
(iii)金属珪素の粉砕後、酸素を遮断し密封保管した後、表面疎水化処理する
ことによって粉砕金属珪素粉末を得た後、これを一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンに混合する工程を含むことを特徴とする高熱伝導性シリコーンゴム組成物の製造方法。
〔7〕 砕金属珪素粉末の表面処理剤が、少なくとも1つの加水分解性基を有する有機珪素化合物であることを特徴とする請求項6記載の高熱伝導性シリコーンゴム組成物の製造方法。
〔8〕 高熱伝導性シリコーンゴム組成物が定着ロール又は定着ベルト製造用である請求項6又は7記載の高熱伝導性シリコーンゴム組成物の製造方法。
本発明によれば、架橋阻害が少なく、硬化物(ゴム弾性層)が安定なゴム硬度を有し、高熱伝導性、耐熱性、低圧縮永久歪、低硬度等の特性を有する、高熱伝導性熱定着ロール又は高熱伝導性熱定着ベルト用として好適に適用できるシリコーンゴム組成物が得られ、斯かるシリコーンゴム組成物の硬化物を用いて形成された弾性層を有する高熱伝導性の熱定着ロール及び熱定着ベルトは、長期間安定した定着性が得られる定着部材となり得る。
本発明の高熱伝導性熱シリコーンゴム組成物の(A)成分は、一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有し、室温で液状又は生ゴム状(自己流動性のない非液状)のオルガノポリシロキサンであり、下記平均組成式(1)で示されるものを用いることができる。
1 aSiO(4-a)/2 (1)
式中、R1は互いに同一又は異種の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、aは1.5〜2.8、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.95〜2.05、更に好ましくは1.98〜2.02の範囲の正数である。
ここで、上記R1で示される珪素原子に結合した非置換又は置換の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられるが、全R1の90モル%以上、特には、後述するアルケニル基以外の全てのR1がメチル基であることが好ましい。
また、R1のうち少なくとも2個、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個程度がアルケニル基(炭素数2〜8のものが好ましく、更に好ましくは2〜6であり、特に好ましくはビニル基である。)であることが必要である。なお、アルケニル基の含有量は、オルガノポリシロキサン中1.0×10-6〜5.0×10-3mol/g、特に5.0×10-6〜1.0×10-3mol/gとすることが好ましい。アルケニル基の量が1.0×10-6mol/gより少ないと、架橋が不十分で、ゲル状になってしまう場合があり、また5.0×10-3mol/gより多いと、架橋密度が高くなりすぎて、脆いゴムとなってしまうおそれがある。このアルケニル基は、分子鎖末端の珪素原子に結合していても、分子鎖途中(即ち、分子鎖非末端)の珪素原子に結合していても、両者に結合していてもよいが、少なくとも分子鎖両末端に珪素原子に結合したアルケニル基を含有するものであることが好ましい。
このオルガノポリシロキサンの分子量については、室温(23℃)で液状又は流動性のない生ゴム状であり、重合度(重量平均重合度、以下同様。)が50〜50,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは80〜20,000、更に好ましくは100〜1,100程度の範囲である。本発明において分子量又は重合度は、例えば、トルエンを展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算の重量平均分子量又は重量平均重合度等として求めることができる。また、粘度については、例えば、23℃において回転粘度計(BL型、BH型、BS型等)等によって測定することができる。
また、このオルガノポリシロキサンの構造は、基本的には主鎖が、例えば、ジメチルシロキサン単位、ジフェニルシロキサン単位、メチルフェニルシロキサン単位、メチルトリフルオロプロピルシロキサン単位、ビニルメチルシロキサン単位等のジオルガノシロキサン単位(R1 2SiO2/2(R1は上記と同じ、以下同様))の繰り返しからなり、分子鎖両末端が、例えば、トリメチルシロキシ基、ビニルジメチルシロキシ基、ジビニルメチルシロキシ基、トリビニルシロキシ基、ビニルジフェニルシロキシ基、ビニルメチルフェニルシロキシ基、フェニルジメチルシロキシ基、ジフェニルメチルシロキシ基等のトリオルガノシロキシ基(R1 3SiO1/2)で封鎖された直鎖状構造を有するが、部分的には分岐状の構造、環状構造等であってもよい。
(B)成分は、本発明の組成物に熱伝導性を付与するための高熱伝導性無機粉体であり、疎水化された粉砕金属珪素粉末である。
金属珪素は良好な熱伝導性をもち、またモース硬度が低く、金属の特性として展性が低いため、高剪断を与えても金属粉自体が凝集しにくい特性をもつ。そのため、粉砕による微粒子化が容易で、ポリオルガノシロキサンへの分散性に優れる特性をもつ。
金属珪素粉末の粉砕方法としては、特に限定されるものではないが、珪石を還元して金属珪素としたものをボールミルなど既存の破砕機や粉砕器にて粉砕したもの、半導体製造工程等より発生する金属珪素(ウエハー)や切削くず等を原料として微粉化したものなどの粉砕法により粉末化したものが挙げられ、金属珪素の結晶構造の単結晶、多結晶は任意である。
金属珪素粉末の表面には、粉砕直後より空気中の酸素によりごく薄い自然酸化膜が形成され、形成された膜は、例えばガラスと同じように熱や酸や汚れに強く、電気が流れにくく、熱に安定である。しかしながら、粉砕粉末化された金属珪素粉末は隣り合う粒子や圧縮される影響で酸素に触れることができない場合があり、金属表面が露出された状態が一部残ることにより、シリコーンゴムの付加架橋、有機過酸化物架橋の架橋阻害成分となることが判明している。
そのため通常、シリコーンゴムへ金属シリコン(金属珪素)をフィラーとして添加する場合、粉体表面の酸化によるSiO2化、あるいは表面を化学処理する必要があった。
しかしながら、金属珪素粉末を高充填する場合は自然酸化膜のみの状態、すなわちSiO2化表面の場合は親水性であるため、多量添加による粘度上昇及び圧縮永久歪の悪化を伴うため、一般的なフィラーと同様に、金属珪素粉末の表面を疎水化することが有効である。
本発明者は金属珪素粉末に疎水化処理を行う場合の最適条件を検討したが、金属珪素粉末の場合、表面に酸化膜(SiO2膜)ができてしまうと、その後の疎水化処理を効率的に行うことができないという現象に悩まされた。
そこで鋭意検討の結果、本発明者は、粉砕直後より周囲の雰囲気中の酸素による自然酸化膜の形成が進む金属珪素粉末を効率的に疎水化する方法として、粉砕法によって製造される粉砕金属珪素粉末に関して、粉砕処理中に粉砕雰囲気内にシランカップリング剤等の表面処理剤を添加しながら粉砕を進めるか、あるいは粉砕終了直後に酸素を遮断して密封保管した後にシランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理するか、あるいは粉砕後、低酸素濃度(10容積%以下)の雰囲気下に保管した後、粉砕後3日以内にシランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理を行うことにより処理効率が飛躍的に向上し、疎水化度の高い金属珪素粉末が得られることを見出したものである。
ここで、上記のように粉砕処理し、疎水化処理して得られる粉砕金属珪素粉末は、後述する疎水化度測定法による疎水化度が35%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上であり、本発明はかかる疎水化度の金属珪素粉末を用いるものである。疎水化度が35%に満たない疎水化度の金属珪素粉末を用いると、組成物の粘度が著しく上昇したり、硬化物の耐圧縮永久歪性が劣ったものとなるという不利が生じる。
金属珪素粉末の表面を疎水化するための処理剤は特に限定されるものではないが、シリカ粉末等に使用される公知の粉体処理剤を任意選択して使用可能である。金属珪素粉末の表面を疎水化する表面処理剤としては、例えば、シリコーンオイル(例えば、直鎖状又は環状のジメチルポリシロキサン等)、シラン化合物(オルガノクロロシラン類、オルガノヒドロキシシラン類、オルガノアルコキシシラン類等)、シランカップリング剤(有機官能基を含有するオルガノアルコキシシラン等)、チタネート系カップリング剤、炭化水素系オイル、ワックス等が挙げられる。好ましくは、少なくとも1つの加水分解性基を有する有機珪素化合物、例えばトリメチルシラノール等のアルキルヒドロキシシランなどのオルガノヒドロキシシラン、アルキルクロロシラン、アルケニルクロロシラン、アリールクロロシラン等のオルガノクロロシラン、アルキルアルコキシシラン、アルケニルアルコキシシラン、アリールアルコキシシラン等のオルガノアルコキシシラン又はそれらの部分加水分解物、シランカップリング剤(有機官能基を含有するオルガノアルコキシシラン等)又はその部分加水分解物、有機シラザン類(ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン等のヘキサオルガノジシラザン等)、加水分解性官能基含有オルガノポリシロキサン等が好適に使用される。前述のシランカップリング剤において、有機官能基としては、ビニル基、アリル基等のアルケニル基やアミノ基、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、メルカプト基等の官能基で置換されたアルキル基などが挙げられる。
具体的処理方法としては、金属珪素粉砕工程中に、該粉体の表面処理剤として金属珪素100質量部に対して0.01〜5質量部の表面処理剤処理剤を添加して所定の粒子径となるように粉砕処理を進めながら、機器内で粉砕と表面処理を同時に行う。
また、目的の粒子径まで粉砕後に、追加工程として余分の表面処理剤を揮発させたり、更に表面処理剤を粉体表面へ密着あるいは化学反応を促進させる目的で、40〜300℃程度の熱処理を行ってもよい。
本発明は金属珪素粉末の金属面に対して粉体処理効果が高いという知見に基づいた発明であるため、金属珪素の粉砕と同時あるいは直後に上記の疎水化処理を行うことが有効な手段であるが、また、粉砕直後に酸素を遮断して一旦密封保管したのち、疎水化処理工程を行ってもよい。あるいは、粉砕後、酸素濃度が10容積%以下の容器又は雰囲気内に保管した後、粉砕後3日以内に表面疎水化処理工程を行ってもよい。その場合、粉砕中及び粉砕後、保管中に、なるべく酸素に粉体が触れないよう(自然酸化膜が生成しないよう)に配慮することが必要である。またその後の追加工程としての40〜300℃程度の加熱処理も同様に任意に行うことができる。
また、本発明に使用する金属珪素粉末(表面処理前及び表面処理後)の粒子径は0.5〜20μm、特に1〜10μm、更には2〜8μm程度の平均粒子径をもつものが望ましい。平均粒子径が0.5μm未満の粒子は、製造が困難であると共に、多量に配合するのが困難となる場合があり、平均粒子径が20μmを超えると100μmを超える粗粒が混入し易く、ロールやベルトを薄層とした際に表面性能に問題が生じるおそれがある。
100μm以上の粗粒の混入は、本発明のロール/ベルトを作製した際、表面に50μm以上の凹凸が発生してしまう場合があり、良好なトナー定着性能が得られない場合がある。またロール/ベルトの肉厚を300μm以下の薄層タイプとした場合には、粗粒の粒子径が肉厚を上回る場合があり、顕著な凹凸が発生してしまい不適当である。金属珪素粉末のメッシュによる粗粒カットは任意に行うことができ、金属珪素粉末の粗粒は近年のロールやベルトの薄肉化を鑑みると45μmにて粗粒除去することが望ましい。
また、充填剤の粒子径は、粉体の分級により希望する粒度のものを得ることができる。また、粒度分布をコントロールする方法としては、平均粒子径の異なる2種類以上の金属珪素粉末のブレンドにより調整することが一般的である(大きい粒子径のものと小さい粒子径のもののブレンドにより粒度分布をコントロールする)。
なお、粒度分布測定における平均粒子径、標準偏差は、レーザー光回折法等による粒度分布測定装置を用いて、累積重量平均値D50(又はメジアン径)等として求めることができる。
(B)成分の、表面疎水化処理された金属珪素粉末の配合量は、(A)成分100質量部に対し1〜1,000質量部、好ましくは40〜600質量部である。1質量部未満では高い熱伝導性を得ることができず、1,000質量部を超えると、粉末の配合が非常に困難となり、ゴム強度等の物性も著しく低下してしまう。
なお、本発明には、低圧縮永久歪や耐熱性を損なわない範囲で(B)成分以外の他の熱伝導性物質を併用してもよい。その場合は、本組成物に配合した熱伝導性物質全体の体積率(容積率)のうち50%以上、特に70%以上が本発明の表面疎水化処理した金属珪素粉末であることが望ましい。
他の熱伝導性物質としては既知の物質が利用可能で、特に限定されるものではないが、具体的には、アルミナ、アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、グラファイト等が挙げられ、平均粒子径は0.5〜20μm、特に1〜10μmのものが望ましい。また直径1〜10μm、繊維長3〜2,000μmの繊維状グラファイト、繊維長1μm以下のカーボンナノファイバー等が挙げられる。
本発明の(C)成分の硬化剤は、既知の付加反応による硬化剤又は有機過酸化物硬化剤である。
この場合、付加反応硬化剤は、(C−1)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと(C−2)付加反応触媒との組み合わせである。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C−1)は、(A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンとヒドロシリル化付加反応により、組成物を硬化させる架橋剤として作用するものであり、下記平均組成式(2)
2 bcSiO(4-b-c)/2 (2)
(式中、R2は炭素数1〜10の非置換又は置換の一価炭化水素基である。またbは0.7〜2.1、特に0.8〜2.0、cは0.001〜1.0で、かつb+cは0.8〜3.0、特に1.0〜2.5を満足する正数である。)
で示され、一分子中に少なくとも2個(例えば2〜300個)、好ましくは3個以上(通常、3〜200個程度)、より好ましくは3〜100個、特に3〜50個の珪素原子結合水素原子(SiH基)を有するものが好適に使用される。
この珪素原子結合水素原子は、分子鎖末端の珪素原子に結合したものであっても、分子鎖途中(分子鎖非末端)の珪素原子に結合したものであっても、これらの両方に結合したものであってもよい。
ここで、R2としては、式(1)中のR1と同様の基を挙げることができるが、好ましくはアルケニル基等の脂肪族不飽和結合を有さないものがよい。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、一分子中の珪素原子の数(又は重合度)は2〜1,000、好ましくは3〜500、より好ましくは3〜300、特に好ましくは4〜150程度のものを使用することができる。
上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C65)SiO3/2単位とからなる共重合体等やこれらの例示化合物において、メチル基の一部又は全部をエチル基、プロピル基等の他のアルキル基、フェニル基等のアリール基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などで置換したものなどが挙げられる。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜50質量部、より好ましくは0.1〜30質量部、更に好ましくは0.3〜30質量部、特に0.3〜20質量部とすることが好ましい。
また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基に対する(C−1)成分中の珪素原子に結合した水素原子(即ち、SiH基)のモル比が0.5〜5モル/モル、好ましくは0.8〜4モル/モル、より好ましくは1〜3モル/モルとなる量で配合することもできる。
付加反応触媒(C−2)は、(A)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基と上記オルガノハイドロジェンポリシロキサン(C−1)のSiH基とのヒドロシリル化付加反応を促進するための触媒であり、この付加反応触媒としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒が挙げられる。なお、この付加反応触媒の配合量は触媒量とすることができるが、通常、白金族金属として(A)及び(C−1)成分の合計質量に対して0.5〜1,000ppm、特に1〜500ppm程度配合することが好ましい。
一方、有機過酸化物硬化剤(C−3)としては、有機過酸化物硬化型オルガノポリシロキサン組成物において、(A)成分の架橋反応を促進するための触媒として使用されるものであればよく、従来公知のものを使用することができる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−ビス(2,5−t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシカルボキシ)ヘキサン等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
なお、有機過酸化物の添加量は触媒量であり、硬化速度に応じて適宜選択すればよいが、通常は(A)成分100質量部に対して0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜2質量部の範囲とすることができる。
また、本発明においては、上記付加架橋と有機過酸化物架橋とを併用してもよい。なお、液状オルガノポリシロキサン組成物の硬化には、付加架橋が推奨される。
本発明のシリコーンゴム組成物は、上記成分に加えて、必要に応じ、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、溶融シリカ、焼成シリカ、ゾル−ゲル法の球状シリカ、結晶シリカ(石英粉)、ケイソウ土等のシリカ微粒子(なお、これらシリカのうち、特に溶融シリカ、結晶シリカは、他の熱伝導性物質としても作用する)、炭酸カルシウム、クレイ、ケイソウ土、二酸化チタンのような補強、準補強性の、前記の熱伝導性物質以外の充填剤、補強剤となるシリコーン系のレジン、窒素含有化合物やアセチレン化合物、リン化合物、ニトリル化合物、カルボキシレート、錫化合物、水銀化合物、硫黄化合物等のヒドロシリル化反応制御剤、酸化鉄、酸化セリウムのような耐熱剤、ジメチルシリコーンオイル等の内部離型剤、接着性付与剤、チクソ性付与剤等を本発明の効果を損なわない範囲で任意に配合することができる。また、酸化鉄、酸化セリウム、オクチル酸鉄等の耐熱性向上剤、接着性や成形加工性を向上させるための各種カーボンファンクショナルシラン、難燃性を付与させる窒素化合物、ハロゲン化合物を添加混合してもよい。重合度が100以下の低分子量シロキサン、シラノール基含有シラン、アルコキシ基含有シラン等を分散助剤として添加してもよい。
また導電性材料を添加して導電性シリコーンゴム組成物とすることは任意である。導電性材料の種類、配合量は制限されないが、導電性カーボンブラック、導電性亜鉛華、金属粉等が使用でき、また導電性材料は1種又は2種以上を併用してもよい。
これら熱伝導性無機粉体の混合方法は、プラネタリーミキサーやニーダー等の機器を用いて(A),(B)成分と常温で混合してもよいし、あるいは100〜200℃の高温で混合してもよい。
熱処理を行う場合、例えば(A),(B)成分及び微粉状シリカ系充填剤等を予め混合してベースコンパウンドを調製しておき、これに各種添加剤、カーボンブラック粉等を同様に混練機で混合して調製してもよく、更には硬化剤を添加、混合しても差し支えない。
また、本発明のシリコーンゴム組成物は、粘度が5〜3,000Pa・s(23℃)であることが好ましく、より好ましくは、10〜1,000Pa・s(23℃)、最も好ましくは、20〜600Pa・s(23℃)である。シリコーンゴム組成物の粘度を上記値とするには、例えば、ベースポリマーである(A)成分のオルガノポリシロキサンとして粘度(23℃)が10Pa・s(10,000mPa・s)以下、特には0.01〜5Pa・s(10〜5,000mPa・s)程度の成分を使用することが望ましい。また、(A)〜(C)成分を含有する組成物を、希釈用有機溶媒を用いて希釈することによって、架橋前の組成物粘度を見かけ上、上記粘度範囲となるように調整してもよい。該希釈用有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
また、本発明のシリコーンゴム組成物は、その硬化物の熱伝導率が1.0W/m・K以上、好ましくは1.5W/m・K以上、更に好ましくは2.0W/m・K以上であることが望ましい。硬化物の熱伝導率を上記値とするには、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して、(B)成分の金属珪素粉末を、おおよそ160質量部以上の割合で配合することによって達成することができる。
なお、本発明において、粘度は回転粘度計等により測定することができ、熱伝導率は細線加熱法、レーザーフラッシュ法等の方法により測定することができる。
このようにして得られた高熱伝導性シリコーンゴム組成物は、LIM射出成形、金型加圧成形等、通常シリコーンが成形される種々の成形法によって必要とされる用途に成形することができ、その成形条件は別に限定されないが、100〜400℃で数秒〜1時間の範囲が好ましい。また、成形後に2次加硫する場合においては、150〜250℃で1〜30時間の範囲で2次加硫することが好ましい。
本発明の定着ロール又はベルトは、芯金/ベルト上に上記シリコーンゴム組成物の高熱伝導性硬化物層を形成するものであるが、この場合、芯金やベルトの材質、寸法等は要求に応じて適宜選定し得る。また、シリコーンゴム組成物の成形、硬化法も適宜選定し得る。
例えば、アルミニウム又はSUS(ステンレススチール)芯金やベルト素材にポリアミド/ポリアミドイミドあるいは薄膜SUS、薄膜ニッケル電鋳を用いた基材に、シリコーンゴム組成物を注入成形、移送成形、射出成形、コーティング等の方法によって成形することができ、加熱により硬化される。シリコーンゴム層の厚さは、例えば、定着ロールの場合であれば、150μm〜10cm、特には200μm〜3cm程度、定着ベルトの場合であれば、50μm〜1cm、特には80μm〜0.5cm程度とすることが望ましい。
また、シリコーンゴム層の外周に、例えば0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm程度の厚さで、更にフッ素樹脂もしくはフッ素ゴム層を設けてもよい。この場合、フッ素樹脂もしくはフッ素ゴム層は、フッ素系樹脂コーティング材やフッ素系樹脂チューブ等により形成され、上記シリコーンゴム層を被覆する。ここで、フッ素系樹脂コーティング材としては、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)のラテックスや、ダイエルラテックス(ダイキン工業社製、フッ素系ラテックス)等が挙げられ、またフッ素系樹脂チューブとしては、市販品を使用し得、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、フッ化エチレン−ポリプロピレン共重合体樹脂(FEP)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリフッ化ビニル樹脂等が挙げられるが、これらのうちで特にPFA、PTFEラテックスが好ましい。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、実施例中の粘度は23℃において回転粘度計にて測定した値であり、部は質量部である。また、実施例中、シリコーンゴム組成物及びゴム硬化物の評価は次のようにして行った。
・粘度 TOKIMEC社製 回転粘度計BSタイプ
ゴムシートの測定
・硬さ JIS K 6249 タイプAデュロメーター
・放熱性(熱伝導率) 京都電子社製 迅速熱伝導率計QTM−500
・密度 JIS K 6249
・圧縮永久歪 JIS K 6249 180℃、25%圧縮、22時間
・架橋速度(T10/T90) モンサント社製 MDR2000、温度130℃、
2minMAX
金属珪素の疎水性評価条件
<疎水化度測定法(Methanol Wettability)>
1.試料0.2gを100mLビーカーに採取し、純水50mLを加える。
2.電磁撹拌しながら(撹拌速度120rpm)室温(20〜25℃)において液面下にメタノールを滴下する。
3.液面上に試料が認められなくなった点を終点とする。
4.消費したメタノール量から次式により疎水化度を算出する。
Figure 0005760928
また、実施例、比較例で使用した金属珪素粉末は以下の通りである。hは時間を示す。
金属珪素粉末(1) ;粉砕法で作製された平均粒子径5.0μmの金属珪素粉末であり、ヘキサメチルジシラザン1質量%と共に粉砕されながら表面処理されたもの。
金属珪素粉末(2) ;粉砕法で作製された平均粒子径5.0μmの金属珪素粉末であり、トリメチルシラノール1質量%と共に粉砕されながら表面処理されたもの。
金属珪素粉末(3) ;粉砕法で作製された平均粒子径5.0μmの金属珪素粉末であり、ヘキサメチルジシラザン1質量%と共に粉砕されながら表面処理された後、200℃/30分乾燥熱処理されたもの。
金属珪素粉末(4) ;粉砕法で作製された平均粒子径5.0μmの金属珪素粉末であり、オクタメチルシクロテトラシロキサン1質量%と共に粉砕されながら表面処理された後、200℃/30分乾燥熱処理されたもの。
金属珪素粉末(5) ;粉砕法で作製された平均粒子径5.0μmの金属珪素粉末であり、粉砕直後に酸素濃度が5容積%以下となるように調整された密閉容器に48時間保管され、その後ドラム撹拌機にてヘキサメチルジシラザン1質量%と共に30分常温(23℃)にて表面処理されたもの。
金属珪素粉末(6) ;粉砕法で作製された平均粒子径5.0μmの金属珪素粉末であり、粉砕直後に酸素濃度が5容積%以下となるように調整された密閉容器に48時間保管され、その後ドラム撹拌機にてヘキサメチルジシラザン1質量%と共に30分常温にて表面処理された後、100℃/1hの温度で熱処理されたもの。
金属珪素粉末(7) ;粉砕法で作製された平均粒子径5.0μmの金属珪素粉末であり、粉砕中及び直後に窒素置換と共に脱酸素剤と共に密封された容器に1ヶ月間保管され、その後ドラム撹拌機にてヘキサメチルジシラザン1質量%と共に30分常温にて表面処理された後、150℃/1hの温度で熱処理されたもの。
金属珪素粉末(8) ;粉砕法で作製された平均粒子径5.0μmの金属珪素粉末であり、ヘキサメチルジシラザン1質量%及び純水0.5質量%と共に粉砕されながら表面処理された後、200℃/30分乾燥熱処理されたもの。
金属珪素粉末(9) ;粉砕法で作製された平均粒子径5.0μmの金属珪素粉末であり、粉砕後20kg荷姿の紙袋に入れて保管され、常温保管にて一年経過したもので、外気に触れ易い容器上部から4cm以内の層より取り出した粉体。
金属珪素粉末(10) ;粉砕法で作製された平均粒子径5.0μmの金属珪素粉末であり、粉砕後に酸素雰囲気化にて250℃/1h気体流動層にて熱処理し、粉体表面にSiO2酸化膜処理を行った後、ドラム撹拌機にてヘキサメチルジシラザン1質量%と共に30分常温にて表面処理されたもの。
金属珪素粉末(11) ;粉砕法で作製された平均粒子径5.0μmの金属珪素粉末であり、粉砕後20kg荷姿の紙袋に入れて保管され、常温保管にて3ヶ月経過したもので、外気に触れ易い容器上部から4cm以内の層より取り出した粉体を、ドラム撹拌機にてヘキサメチルジシラザン1質量%と共に30分常温にて表面処理されたもの。
金属珪素粉末(12) ;粉砕法で作製された平均粒子径5.0μmの金属珪素粉末であり、粉砕後ステンレス容器(深さ10cm、蓋無し)に保管され、常温にて120h経過したものを、外気に触れ易い容器上部から4cm以内の層より取り出した粉体を、ドラム撹拌機にてヘキサメチルジシラザン1質量%と共に30分常温にて表面処理されたもの。
[実施例1〜8、比較例1〜4]
分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(重合度500)20部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、メチルビニルシロキサン単位(−Si(CH3)(CH=CH2)O−)中のビニル基として、側鎖にビニル基を持つジメチルポリシロキサン(重合度400、ビニル価0.000084mol/g)80部、比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(日本アエロジル(株)製R−972)1部、平均粒子径0.10μmの酸化鉄(Fe23)1部、純度96質量%の金属珪素粉末(1〜12)240部をプラネタリーミキサーに入れ、室温(23℃)で1時間撹拌を行った。この混合物を3本ロールにかけて充填剤の分散を行った後、再びプラネタリーミキサーに戻し、分子鎖両末端及び側鎖にSiH基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度17、SiH量0.0038mol/g)を2.3部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.1部、白金触媒(Pt濃度1質量%)0.2部を添加し、15分撹拌を続けてシリコーンゴム組成物を得た。上記シリコーンゴム組成物は撹拌直後に回転粘度計にて粘度測定、130℃における架橋速度(硬化速度)測定を行った。
このシリコーンゴム組成物を120℃で10分間プレスキュアし、更に200℃で4時間オーブンキュアを行った後、硬さ、ゴム密度及び180℃/22時間後の圧縮永久歪を測定した後、厚さ12mmのシートについて、熱伝導率を測定した。
Figure 0005760928
以上の結果より、本発明のシリコーンゴム組成物(実施例)は、粘度が低く配合性が良好で、熱伝導性に優れ、良硬化性をもち、圧縮永久歪が低く、定着ロールや定着ベルト用の高熱伝導性シリコーンゴム組成物として優れた特徴を有することがわかる。

Claims (8)

  1. (A)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン: 100質量部、
    (B)疎水化度が35%以上である粉砕金属珪素粉末: 1〜1,000質量部、
    (C)上記(A)成分を硬化しうる量の硬化剤
    を含有してなり、(B)成分の粉砕金属珪素粉末が、
    (i)粉砕中に表面処理剤が添加され、粉砕されながら表面疎水化処理された金属珪素粉末、
    (ii)粉砕後、酸素濃度が10容積%以下の容器又は雰囲気に保管され、粉砕後3日以内に表面疎水化処理された金属珪素粉末、及び
    (iii)粉砕直後に酸素を遮断し密封保管された後、表面疎水化処理された金属珪素粉末
    から選ばれるものであることを特徴とする高熱伝導性シリコーンゴム組成物。
  2. (B)成分の粉砕金属珪素粉末の表面処理剤が、少なくとも1つの加水分解性基を有する有機珪素化合物であることを特徴とする請求項1記載の高熱伝導性シリコーンゴム組成物。
  3. 定着ロール又は定着ベルト用である請求項1又は2記載の高熱伝導性シリコーンゴム組成物。
  4. 請求項1又は2記載のシリコーンゴム組成物の硬化物を弾性層として有する高熱伝導性熱定着ロール。
  5. 請求項1又は2記載のシリコーンゴム組成物の硬化物を弾性層として有する高熱伝導性熱定着ベルト。
  6. (i)金属珪素の粉砕中に表面処理剤を添加し、粉砕しながら表面疎水化処理する、
    (ii)金属珪素の粉砕後、酸素濃度が10容積%以下の容器又は雰囲気に保管し、粉砕後3日以内に表面疎水化処理する、又は
    (iii)金属珪素の粉砕後、酸素を遮断し密封保管した後、表面疎水化処理する
    ことによって粉砕金属珪素粉末を得た後、これを一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンに混合する工程を含むことを特徴とする高熱伝導性シリコーンゴム組成物の製造方法。
  7. 砕金属珪素粉末の表面処理剤が、少なくとも1つの加水分解性基を有する有機珪素化合物であることを特徴とする請求項6記載の高熱伝導性シリコーンゴム組成物の製造方法。
  8. 高熱伝導性シリコーンゴム組成物が定着ロール又は定着ベルト製造用である請求項6又は7記載の高熱伝導性シリコーンゴム組成物の製造方法。
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