JP5760477B2 - ドリッパー - Google Patents

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本発明は、飲料を抽出するためにコーヒーカップ等の容器に載置されるドリッパーに関する。
従来から、コーヒー等の飲料を簡便に抽出するものとして、濾過用の袋体を厚手の紙体に固定して支持する使い捨てのドリッパーが利用されている。例えば、特許文献1では、展開した矩形状支持体の蓋部を除去してから濾過袋を開封し、矩形状支持体の左右両側の一定領域を折り曲げて支持脚片とした状態でコーヒーカップ等の容器に載置するコーヒー用の濾過器が開示されている。また、特許文献2では、ドリッパーの前後両面の上縁中央をそれぞれ指で掴んで外側に引っ張って袋体を開封し、筒状紙体の左右両側にある折込部を内方に折り込んで筒状紙体を変形させることで、袋体を開口状態にすることができるドリッパーが開示されている。
特開昭63−52888号公報 特開2008−245894号公報
しかしながら、上記特許文献1の濾過器では、容器に載置する前に、支持体の展開、蓋部の除去、濾過袋の開封、支持脚の形成という複数の手順を経ることが必要なため、組立てが簡便でないという問題がある。一方、上記特許文献2のドリッパーでは、簡易に組み立てることが実現されているものの、筒状紙体の変形が小さく前後方向へ大きく膨出することがないため、袋体が十分に開口せず、熱湯の注ぎ入れが困難であるという問題がある。また、上記特許文献2のドリッパーを容器へ載置するには、係合フラップを容器の上縁部分に沿わせることになるが、上記特許文献2に開示された構成では、その位置を容器のサイズに対応させて変更することができないため、容器のサイズによっては、係合フラップを上縁部分に沿わせることができず、載置状態時にドリッパーが容器の上で動いてしまうという問題がある。
そこで、本発明は、熱湯の注ぎ入れに十分な開口を形成するとともに、容器の大きさが異なっても、載置状態時における安定性を確保することができる組立て容易なドリッパーを提供することを課題とする。
かかる課題を解決するための手段として、本発明は、濾過用袋体と、上下が開口するように前後両面の左右両端が相互に連結された状態で前記濾過用袋体が内部に固定される折畳み可能な支持用紙体とからなるドリッパーにおいて、
前記支持用紙体は、前後両面のそれぞれに設けた支持用脚片と、左右両側縁を逆ハの字状になす一対の折曲部と、前記折曲部により折り畳まれた状態で斜め上方へ突出し、基端部に展開用山折り線が設けられた一対の保形用突片とを備え、
前記支持用脚片は、前記折曲部により折り畳まれた状態で前記一対の折曲部の間に上下に直線状に延びる一対の切目を挟んで延在し、前記一対の折曲部の下端よりも下方に突出しており、
前記支持用脚片は、前記支持用紙体の前後両面に形成された水平スリットと、前記水平スリットの両端から前記一対の切目のそれぞれの上端に向かって延びる一対の谷折り線とを有しており、
前記水平スリットと前記一対の谷折り線で屈曲して前記一対の切目が広がり、前記支持用脚片が拡開するよう構成されている
本発明によれば、使用の際の組立てが容易なだけでなく、上部領域が大きく変形して濾過用袋体を十分に開口させ、熱湯の注ぎ入れを容易にすることができる。また、変形した支持用紙体の漏斗状の美感を損なわずに、本体部の前後両面にある一対の支持用脚片のみをそれぞれ外方へ広げ、容器の上縁の大きさに対応するようにその下端を移動せせることができ、ドリッパーを安定した状態で容器に載置することが可能である。
(a)は、本発明の実施形態に係るドリッパーの正面図であり、(b)は、その背面図である。 図1のドリッパーを構成する濾過用袋体の展開図である。 図1のドリッパーを構成する濾過用袋体の正面図である。 図3に示すIV−IV線断面図である。 図1のドリッパーを構成する支持用紙体の展開図である。 図1のドリッパーを容器に載置した状態の斜視図である。
以下、本発明に係るドリッパーについて、添付の図面を参照しながら説明することとする。
図1は、本発明の実施形態に係るドリッパー1を示している。ドリッパー1は、図1に示すように、濾過用袋体2と、支持用紙体3とからなり、図6に示すように、コーヒーカップ等に載置されるものである。
図2〜図4は、本実施形態に使用される濾過用袋体2を示している。濾過用袋体2は、図1に示すように、支持用紙体3の内側に差し込まれた状態で支持用紙体3に固定され、コーヒー粉末等の内容物(不図示)を収納及び封入するとともに、飲料を抽出・濾過するものである。濾過用袋体2に使用される素材としては、濾過機能を果たすものであれば特に限定されるものではないが、加工のしやすさ等を考慮すれば、熱接着性のあるものが好ましく、例えば、最内層に変性ポリプロピレンを含有した三層構造の濾紙が挙げられる。濾過用袋体2は、例えば、図2に示すように、濾過用袋体2の上縁を構成する長辺側の弧状縁部の中央が突出した対称形状の一対の台形状領域4,4’と、該一対の台形状領域4,4’を短辺側で連結する横長な六角形状領域5とに区画された形状で断裁、打ち抜き等される。
濾過用袋体2は、左右シール部6a,6bと、封止シール部7と、一対の固定用突片8,8’とを有する。左右シール部6a,6bは、六角形状領域5でW折り(ガゼット折り)にすることで対向する一対の台形状領域4,4’の左右両端の内面同士を接着して、濾過用袋体2を袋状に構成する。封止シール部7は、弧状縁部より下方の所定位置で一対の台形状領域の内面同士を接着し、内容物を濾過用袋体2の内部に封入する。一対の固定用突片8,8’は、濾過用袋体2の前後両面の上縁中央より突出する。一対の固定用突片8,8’は、後述の支持用紙体3の本体部の前後両面14,14’の各中央突片9,9’にそれぞれ当接させてから折り返され、本体部の前後両面14,14’の外面側に貼着される。
図5は、本実施形態に使用される支持用紙体3の展開状態を示している。支持用紙体3は、図6に示すように、コーヒーカップ等に載置された時、濾過用袋体2を支持する。支持用紙体3に使用される素材としては、容器に載置された状態で濾過用袋体2を支持するのに十分な剛性を有するものであれば特に限定されるものではないが、熱湯や湯気に対する耐性を考慮すれば、濾過用袋体2と当接する内面又は両面にポリエチレン等の樹脂を塗布した厚紙が使用されるのが好ましい。支持用紙体3に使用される厚紙は、図5に示すように、傾斜した一方の側端で連結された略扇状の前面領域10及び後面領域11と、前面領域10の他方の側端に連結され、後面領域11の他方の側端の一定領域と同一形状に構成された糊代領域12とに区画された形状で断裁、打ち抜き等される。前記厚紙は、後面領域11の裏面側の他方の側端に糊代領域12を重ね合わせて接着され、支持用紙体3を構成する。
支持用紙体3は、一対の折曲部13a,13bと、本体部前面14及び本体部後面14’と、一対の保形用突片15a,15bとを備える。
一対の折曲部13a,13bは、前記厚紙の前面領域10と後面領域11の境界を折曲する山折り線と、前面領域10と糊代領域12の境界を折曲する山折り線とからなり、使用前において、ドリッパー1を平坦状に構成する。一対の折曲部13a,13bは、支持用紙体3の左右両側縁を逆ハの字状になす。
本体部の前後両面14、14’は、ともに略扇状に構成され、それぞれ、確認用窓部16,16’と、支持用脚片17,17’と、前述の中央突片9,9’とを有する。確認用窓部16,16’は、下縁がやや膨出した横長の略台形状に構成され、本体部の前後両面14,14’の上方中央に形成される。支持用脚片17,17’は、確認用窓部16,16’の下側に形成され、下方に向かって延在する。支持用脚片17,17’は、一対の切目18a及び18b,18a’及び18b’を介して一対の折曲部13a,13bの間を延在し、前記一対の折曲部13a,13bの下端よりも下方に突出する。一対の切目18a及び18b,18a’及び18b’は、確認用窓部16,16’の下縁両端の下側から各折曲部13a,13bの下端までそれぞれ垂直に延在する。中央突片9,9’は、偏平な略台形状に構成され、本体部の前後両面14,14’の上端中央より突出する。支持用脚片17,17’は、差込部19,19’を有する。差込部19,19’は、一対の差込用開口部20a及び20b,20a’及び20b’と差込用スリット21,21’とからなる。一対の差込用開口部20a及び20b,20a’及び20b’は、左右対称の略台形状に構成され、支持用脚片17,17’の下端の左右両側に形成される。差込用スリット21,21’は、一対の差込用開口部20a及び20b,20a’及び20b’の対向する側縁中央の間を弧状に延在し、一対の差込用開口部20a及び20b,20a’及び20b’を連結する。支持用脚片17,17’は、確認用窓部16,16’より下側の領域が膨出するように変形することを許容する水平スリット22,22’と一対の谷折り線23a及び23b,23a’及び23b’とを有する。水平スリット22,22’は、一対の切目18a及び18b,18a’及び18b’の上端よりも下方に位置し、一対の切目18a及び18b,18a’及び18b’の間を延在する。一対の谷折り線23a及び23b,23a’及び23b’は、それぞれ水平スリット22,22’の両端から、一対の切目18a及び18b,18a’及び18b’の上端まで斜め上方に延在する。中央突片9,9’の上縁は、上述したように、濾過用袋体2の固定用突片8,8’の折返し箇所と当接する。
保形用突片15a,15bは、略半円状に構成され、折曲部13a,13bを介して略扇状に折り畳まれた状態で斜め上方へ突出する。保形用突片15a,15bは、展開用山折り線24a,24bを有する。展開用山折り線24a,24bは、略くの状に構成され、本体部の前後両面14,14’と保形用突片15a,15bとの境界として、保形用突片15a,15bの基端部に形成される。保形用突片15a,15bは、展開用山折り線24a,24bを介して内方に折曲されることで展開し、支持用紙体3を漏斗状に変形させ、その状態を維持する。
次に、本実施形態に係るドリッパー1の使用方法とその作用について説明することとする。
まず、ドリッパー1の前後両面の上縁中央をそれぞれ指で掴んで外側に引っ張り、封止シール部7を剥離して、濾過用袋体2を開封する。次に、支持用紙体3の保形用突片15a,15bを展開用山折り線24a,24bで内方に折り曲げると、保形用突片15a,15bが支持用紙体3の内側で展開する。このように保形用突片15a,15bを展開すると、本体部の前後両面14,14’が膨出して、支持用紙体3が上方に向かうに従って拡開するような漏斗状に変形する。このように変形した支持用紙体3は、濾過用袋体2を大きく開口させ、その状態を維持する。この時、水平スリット22,22’と一対の切目18a及び18b,18a’及び18b’は、支持用脚片17,17’の変形を禁止するため、支持用脚片17,17’は、変形しないまま平坦な状態を維持する。以上のように、使用者は、比較的簡易な手順でドリッパー1の組立作業を完了することが可能である。
以上に述べた組立てが完了すれば、次に、差込用スリット21,21’に指を差し込んで支持用脚片17,17’の下端を外方へずらしながら支持用脚片17,17’を把持し、図6に示すように、差込部19,19’をカップ25の縁に差し込んで、ドリッパー1をカップ25上に載置する。カップ25への載置の際、一対の支持用脚片17,17’は、一対の切目18a及び18b,18a’及び18b’を介して外方に広げることが可能であるため、大きさの異なる種々のカップの縁に対応させて差込部19,19’を差し込み、漏斗状に変形した領域の美感を損なわずにドリッパー1をカップへ載置することができる。
カップ25への載置が完了すれば、開口した濾過用袋体2へ所望量の熱湯を注ぎ、抽出液をカップ25内へ流下させることで適量のコーヒーを生成する。この時、上方から観察しなくても、確認用窓部16,16’から注ぎ入れた湯量を確認することができる。熱湯の注ぎ入れに際しては、濾過用袋体2は大きく開口しているため、熱湯を容易に注ぎ入れることが可能である。また、ドリッパー1は、支持用脚片17,17’と濾過用袋体2とが十分に離隔した状態でカップ25に載置されるので、支持用紙体3の内面を汚すことなく、抽出液をカップ25へ流下させることができる。
1 ドリッパー
2 濾過用袋体
3 支持用紙体
4,4’ 台形状領域
5 六角形状領域
6a,6b 左右シール部
7 封止シール部
8,8’ 固定用突片
9,9’ 中央用突片
10 前面領域
11 後面領域
12 糊代領域
13a,13b 折曲部
14 本体部前面
14’ 本体部後面
15a,15b 保形用突片
16,16’ 確認用窓部
17,17’ 支持用脚片
18a,18b,18a’,18b’ 切目
19,19’ 差込部
20a,20b,20a’,20b’ 差込用開口部
21,21’ 差込用スリット
22,22’ 水平スリット
23a,23b,23a’,23b’ 谷折り線
24a,24b 展開用山折り線

Claims (4)

  1. 濾過用袋体と、上下が開口するように前後両面の左右両端が相互に連結された状態で前記濾過用袋体が内部に固定される折畳み可能な支持用紙体とからなるドリッパーにおいて、
    前記支持用紙体は、前後両面のそれぞれに設けた支持用脚片と、
    左右両側縁を逆ハの字状になす一対の折曲部と、
    前記折曲部により折り畳まれた状態で斜め上方へ突出し、基端部に展開用山折り線が設けられた一対の保形用突片とを備え、
    前記支持用脚片は、前記折曲部により折り畳まれた状態で前記一対の折曲部の間に上下に直線状に延びる一対の切目を挟んで延在し、前記一対の折曲部の下端よりも下方に突出しており、
    前記支持用脚片は、前記支持用紙体の前後両面に形成された水平スリットと、前記水平スリットの両端から前記一対の切目のそれぞれの上端に向かって延びる一対の谷折り線とを有しており、
    前記水平スリットと前記一対の谷折り線で屈曲して前記一対の切目が広がり、前記支持用脚片が拡開するよう構成されたドリッパー。
  2. 濾過用袋体と、上下が開口するように前後両面の左右両端が相互に連結された状態で前記濾過用袋体が内部に固定される折畳み可能な支持用紙体とからなるドリッパーにおいて、
    前記支持用紙体は、前後両面のそれぞれに設けた支持用脚片と、
    左右両側縁を逆ハの字状になす一対の折曲部と、
    前記折曲部により折り畳まれた状態で斜め上方へ突出し、基端部に展開用山折り線が設けられた一対の保形用突片とを備え、
    前記支持用脚片は、前記折曲部により折り畳まれた状態で前記一対の折曲部の間に上下に直線状に延びる一対の切目を挟んで延在し、前記一対の折曲部の下端よりも下方に突出しており、
    前記支持用脚片は、前記支持用紙体の前後両面に形成された水平スリットと、前記水平スリットの両端から前記一対の切目のそれぞれの上端に向かって延びる一対の谷折り線とを有しており、
    前記保形用突片を前記展開用山折り線で内方に折り曲げて、前記保形用突片を前記支持用紙体の内側で展開し、前記支持用紙体の前後両面が膨出した後、前記水平スリットと前記一対の谷折り線で屈曲して前記一対の切目が広がり、前記支持用脚片が外方に拡開するよう構成されたドリッパー。
  3. 前記水平スリットは、前記折曲部により折り畳まれた状態で、前記一対の切目の上端よりも下方に位置し、前記一対の谷折り線は、前記水平スリットの両端から前記一対の切目のそれぞれの上端まで形成された請求項1又は2に記載のドリッパー。
  4. 前記支持用脚片は、一対の差込用開口部と差込用スリットとを含む差込部を有し、前記差込用スリットは、対向する前記一対の差込用開口部の間を弧状に延在して前記一対の差込用開口部を連結する請求項1から3のいずれか一項に記載のドリッパー。
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