JP5760023B2 - 安全性の改善された発現ベクター - Google Patents

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Description

本発明は、目的タンパク質の発現のために使用し得る内部プロモータを含む発現ベクターを提供する。一態様において、本発明はエンハンサーを欠失させたU3領域を含むレトロウイルスのベクターを提供する。
遺伝子の伝達は、通常、転写及び発現させるため、細胞へ遺伝物質を導入して行われる。この方法は、タンパク質の発現及び治療目的にとって理想的である。DNAの導入(transfection)及びウイルスの導入(transduction)のような多様な導入方法が知られている。ウイルス媒介の遺伝子伝達が注目されており、これは、伝達効率及び高いレベルの転移遺伝子を発現させるだけではなく、自然親和性や偽類型化(pseudotyping)を通じて必要な場合に、特定の受容体及び/又は細胞のタイプを標的化する可能性を有している。
特に、レトロウイルスベクターは、細胞のゲノム内に取り込まれるその能力によって、より長期間発現させるのに有用である。最も一般的なレトロウイルスベクターは、マウス白血病ウイルス(murine leukemia virus, MLV)系ベクターで、多くのバックボーンプラスミド及びパッケージング細胞株と共に、多様な用途に適合的に利用することができる(例えば、非特許文献1参照)。全ての“単純”レトロウイルス、例えば、構造的及び酵素的なウイルスのタンパク質だけをコードし、ウイルスのアクセサリータンパク質を用いないレトロウイルスのように、MLVベクターは、分裂する細胞のみに取り込まれ得る。ベクターとしての利用に潜在的に適した他の単純レトロウイルスとして、哺乳類C型ウイルス(例えば、マウス幹細胞ウイルス、ハ-ベイマウス肉腫ウイルス及び脾臓壊死ウイルス)、B型ウイルス(例えば、マウス乳腺腫瘍ウイルス)及びD型ウイルス(例えば、メイソン・ファイザーサルウイルス)等がある。本発明において、レトロウイルスベクターとしての利用に適した他のレトロウイルスには、トリレトロウイルス(例えば、ラウス肉腫(Rous sarcoma)ウイルス)、スプマウイルス(spuma viruse)(例えば、泡沫状(foamy)ウイルス)及びHTLV-BLVウイルス(例えば、HTLV-1)が含まれる。
レンチウイルスは、ウイルスアクセサリータンパク質を発現し、分裂細胞だけでなく非分裂細胞にも感染し、取り込まれ得るレトロウイルスのサブグループである。
レンチウイルス由来のベクターは、標的細胞に外来遺伝子を導入するための理想的な道具といえる。その理由は、分裂及び非分裂細胞のゲノム内に安定して取り込まれ、遺伝子の発現を長期間媒介する能力を有しているからである(非特許文献2、3及び4参照)。
レンチウイルスは、霊長類、例えばヒト及びサルの免疫不全ウイルス(HIV-1、HIV-2、SIV)、及び、非霊長類、例えばネコの免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、ウマ感染性ウイルス(EIAV)、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)及びビスナ(visna)ウイルス等を含む多くの脊椎動物種から分離される。これらの内、HIV及びSIVが現在最もよく知られている。非霊長類のベクターの内、FIV(非特許文献5参照)及びEIAV(特許文献1参照)由来のベクターが最もよく使われている。
ベクターには、マウスの白血病ウイルス(MLV)又はレンチウイルスを基礎とするのかどうかに関係なく、レトロウイルスの遺伝子治療に関連して、相当の注目を集めてきた二つの主な安全性側面が存在する。具体的に、前記側面とは、複製可能なレトロウイルス(replication competent retrovirus, RCR)の存在及び挿入突然変異(insertional mutagenesis)の発生である。前者の問題は、ベクターとパッケージングゲノム間のウイルス配列の重複を含まない最小サイズのレトロウイルスベクターの開発によって大きく改善された。しかし、後者の可能性は、主に、X-SCIDヒト試験で発見された3つの白血病事例によって、最近、にわかな関心を集めている(非特許文献5参照)。初めの2つの白血病事例の回帰分析の結果、おそらく白血病は、染色体内へのレトロウイルスの挿入、及びこれに続いて生じる長い末端反復配列(long terminal repeat, LTR)によるものである。このLMO2遺伝子の活性化は、レトロウイルスの挿入の近傍に位置するLMO2部位遺伝子の活性化に起因するものとして明らかになった。ベクター媒介の腫瘍発生が前記疾患及びその遺伝子の特定の性質によってX-SCID遺伝子の治療に限定されうることが議論されてきたが、現在、現実世界において実行可能な治療形態となるためには、レトロウイルスベクターの安全性がより改善される必要があるのはいうまでもない。
ベクター媒介による腫瘍発生の可能性を減らすための様々な方法が存在する。一つの方法として、LTRのU3領域を除去することが考えられる(非特許文献7及び8参照)。レトロウイルスLTRは、U3、R及びU5の領域からなり、U3領域は、遺伝子発現を調節するエンハンサー及びプロモータ配列を含んでいる(非特許文献9及び10参照)。従って、ベクターによる挿入活性化は、U3領域を除去することによって減少させることができる。この場合、U3欠失ベクターは、もはやLTRにおいてプロモータ配列を含んでおらず、標的遺伝子の発現を誘導するためには、ベクターに、更に追加のプロモータを提供しなければならない。
前述のように、U3領域が不活性化されたレトロウイルスベクターは、標的遺伝子を発現させるために内部プロモータを必要とする。レトロウイルスベクターにおいて最もよく用いられる内部プロモータの内の一つに、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)即時型初期(immediate-early, IE)プロモータ((非特許文献11参照)、BDバイオサイエンシスから市販されているpQCXIN)又はCAのような関連プロモータ(HCMV IEエンハンサー/トリβアクチンプロモータ)(非特許文献12参照)がある。しかし、HCMVIEプロモータは、ヒト初代細胞において迅速に不活性化するものとされているが、特定遺伝子には作用しない(非特許文献13参照)。従って、通常用いられるプロモータは、異種遺伝子の発現を減少させ、特定細胞のタイプでは不活性を呈し、LTR誘導の転写を潜在的に活性化させる。これらは全てレトロウイルスベクターの安全性及び効率性を減少させるものとして明らかになっている。
最後に、U3不活性化のレトロウイルスベクターは、一般的に用いられるプロモータによるプロモータ抑制に起因する極めて低い力価を示す。一般的に用いられるプロモータとは、例えば、パッケージングのためのゲノムRNAの転写を減少させるCMV及びSV40などである(非特許文献13参照)。実際に、MLV系U3欠失ベクターは、完全なU3領域を持つMLVベクターに比べ、1/4未満の力価しか示さない(非特許文献14参照)。従って、高レベルの異種遺伝子転写を誘導するだけではなく、高いウイルス力価を提供させるプロモータの発見は、驚くべきことである。よって、レトロウイルスベクターにおいて、内部プロモータとして用いるための新しいプロモータの開発が必須である。
米国特許出願公開第2001/0044149号
Millerand Buttimore, Mol. Cell. Biol. 6:2895, 1986 Gilbertet al., Somat. Cell. Mol. Genet. 26:83, 2001 Mitrophanous et al., GeneTher. 6:1808, 1999 Naldini et al., Science272:263, 1996 Sauteret al., Somat. Cell Mol. Genet. 26:99, 2001 Curran et al., Curr.Top. Microbiol. Immunol.261:75, (2002) Hacein-Bey-Abina et al., Science302:415, 2003 Yu et al., Proc.Natl. Acad. Sci. USA 83:3194, 1986 Hawley et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:2406, 1987 Yee et al., Proc.Natl. Acad. Sci. USA 84:5197, 1987 Sunet al., J. Virol. 69:4941, 1995 Wahlers et al., Mol. Ther. 6:313, 2002 Jaalouk et al., Virol.J. 3:27, 2006 Ramezani et al., Mol.Ther. 14:245, 2006 Herweijer et al., J. GeneMed. 3:280, 2001 Olsonet al., J. Virol. 68:7060, 1994
本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、異種内部プロモータを含む発現ベクターを提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明の一態様において、前記ベクターは、5’LTR及び3’LTRを含むヌクレオチド配列を有している。他の態様において、3’LTR又は3’LTRと5’LTRの両方のエンハンサーエレメントU3領域が欠失している。
一態様において、ベクターはプラスミドベクターである。
また、その他の態様において、ベクターは、一つ以上のエンハンサー欠失U3領域を有し、レトロウイルスベクターが高いウイルス力価および異種遺伝子の高いレベルの転写を提供できるよう、異種遺伝子で作動可能に連結された内部プロモータを更に含むレトロウイルスベクターである。
前記ベクターは、また、レトロウイルスベクターに対し、当該分野で知られているように、逆転写、パッケージング等に必要なシス作用のエレメントを含んでいる。
また、他の態様において、ベクターは、一つ以上のエンハンサー欠失U3領域を有するレトロウイルスベクターをコードする。
本発明の一態様において内部プロモータは、真核細胞、原核細胞或いはウイルスプロモータである。
他の態様において、内部プロモータは、哺乳類細胞遺伝子プロモータである。
また、その他の態様において、内部プロモータは、RPL10プロモータ(配列番号8)、LENG8プロモータ(配列番号9)、SNX3プロモータ(配列番号10)、UQCRQプロモータ(配列番号17)、又はITGB4BPプロモータ(配列番号16)から選択される。
他の態様において、内部プロモータは、全長プロモータの断片又はバリアントであり、異種遺伝子の高レベルの転写を誘導することが可能でありながら、プロモータを含むベクターは、高いウイルス力価を提供することができる。
一態様において、前記プロモータの断片又はバリアントを含むベクターは、実質的に野生型プロモータを含むベクター同様、高いウイルス力価及び高レベルの転写を提供する能力を有する。また、他の態様において、内部プロモータは、必須的にTATAボックスで構成される。
一部の態様において、内部プロモータは、また、高レベルの遺伝子発現のためのスプライシング部位を含んでいる。又、他の態様において、ベクターは、当該分野で知られているように、ポリアデニル化部位、インスレーター配列、スプライシング部位、内部リボソームの結合部位(IRES)、そして、他の転写及び翻訳の作動因子配列を含むその他の配列をさらに含むレトロウイルスベクターである。
また、他の態様において、ベクターは、エンハンサー欠失U3領域を持つ3’LTRを含むレトロウイルスベクターをコードするDNAを含むプラスミドである。
また、他の態様において、前記プラスミドは、5’及び3’LTR両方においてエンハンサー欠失U3領域を持つベクターをコードする。
他の態様において、両方のLTRに共にエンハンサー欠失U3領域を有するベクターRNAが封入された感染性レトロウイルス粒子が提供される。
また、他の態様において、前記ベクターは、一つ又は二つのU3領域のエンハンサーが欠失しているRNA或いはDNAの形態を有している。
また、他の態様において、異種遺伝子は、目的転写物をコードする。目的転写物は、生物学的に活性である転写物、例えば小干渉RNA(small interfering RNA)、リボザイム、アンチセンスRNA又はデコイRNA等があるが、これに限らない。
また、他の態様において、異種遺伝子は、ポリペプチドをコードする。ポリペプチドは、任意の目的タンパク質、例えば治療用タンパク質やマーカー又はマーカータンパク質であってもよい。
一態様において、異種遺伝子は、eGFP又はgp91をコードする。
本発明によれば、ベクター及び適当な担体を含む組成物もやはり提供することができる。前記組成物は生体内投与に適合可能である。
本発明によれば、ベクターによって形質転換された標的細胞や、感染性粒子の生成に必要な因子、例えばレトロウイルスenv及びgag-pol、そして必要によって他の因子をコードする追加の配列及びベクターを含む産生細胞を含め、本発明のベクターを含む細胞が提供される。
標的細胞及び産生細胞は、任意の適当な真核細胞タイプ、例えば哺乳類細胞でもよい。
また、他の態様において、前記細胞は、ヒト、霊長類又はマウス由来の細胞であってもよい。細胞は、初代培養細胞又は細胞株であり得る。
又、本発明によれば、上述のように、レトロウイルスベクター或いはレトロウイルスベクターをコードするプラスミドを含む産生細胞株を培養して上清液を集め、培地を濾過して細胞を含まないウイルスの上清液を得ることを含む、感染性のレトロウイルスベクター粒子を生成する方法が提供される。前記産生細胞株の作製に用いられるパッケージング細胞株は、現在、当該分野で知られている任意の細胞株、必須のウイルスタンパク質をコードする遺伝子を細胞株内に導入することで作製されたものであってもよい。この細胞株への遺伝子導入では、パッケージングシグナルを含むレトロウイルスベクターが、一旦細胞内で転写され、レトロウイルスベクターが感染性粒子内に封入される。
又、本発明によれば、標的細胞と、上述したように製造されて本発明による感染性のレトロウイルスベクター粒子を有するウイルスの上清液とを接触させることを含む、標的細胞を形質導入する方法が提供される。上述のように、標的細胞は、哺乳類細胞、ヒト細胞、霊長類細胞又はマウス細胞等であり得るが、これに限らない。標的細胞は、初代培養細胞又は細胞株であってもよい。
又、本発明によれば、異種遺伝子が、治療に有効なポリペプチド或いは転写物をコードする本発明のベクター及び適当なベクターを含んでいる組成物を投与することを含む、対象物を治療する方法が提供される。
他の態様において、前記方法は、遺伝子疾患、増殖性疾患或いは感染性疾患を治療するためのものである。
又、本発明によれば、本発明のポリヌクレオチド及びベクターを含むキットが提供される。
エンハンサー欠失U3を有するレトロウイルスベクターpMT及びpI-Dを示す図である。 エンハンサー欠失U3を有するレトロウイルスベクターpI-NDを示す図である。 エンハンサー欠失U3を有するレトロウイルスベクターpI-LND-nを示す図である。 表示されているプロモータを含む、エンハンサー欠失U3を有するレトロウイルスベクターの異種遺伝子発現(gp91)レベルを示し、対照群は、MT-gp91-nである。 GAPDHに対するプロモータ配列(配列番号7)を示す図である。 RPL10に対するプロモータ配列(配列番号8)を示す図である。 LENG8に対するプロモータ配列(配列番号9)を示す図である。 SNX3に対するプロモータ配列(配列番号10)を示す図である。 ITGB4BPに対するプロモータ配列(配列番号16)を示す図である。 UQCRQに対するプロモータ配列(配列番号17)を示す図である。 (a)〜(e)は、本発明の各実施例で用いられるプライマー対を示す図である。 (a)〜(d)は、本発明の各実施例で用いられるプライマー対を示す図である。 (a)〜(c)は、本発明の各実施例で用いられるプライマー対を示す図である。 (a)〜(d)は、本発明の各実施例で用いられるプライマー対を示す図である。 (a)及び(b)は、本発明の各実施例で用いられるプライマー対を示す図である。 (a)〜(c)は、本発明の各実施例で用いられるプライマー対を示す図である。 (a)〜(d)は、本発明の各実施例で用いられるプライマー対を示す図である。 (a)〜(c)は、本発明の各実施例で用いられるプライマー対を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
本発明は、異種内部プロモータを含む発現ベクターに関する。一態様において、ベクターは、異種遺伝子に作動可能に連結された異種プロモータを持ち、一つ又は両方のLTRにエンハンサー欠失U3領域を含む。このベクターは、異種遺伝子の高いレベルの転写及び高いウイルス力価を提供することのできるレトロウイルスベクターである。また、他の態様において、ベクターは、一つ又は両方のLTRにエンハンサー欠失U3領域を含むレトロウイルスベクターをコードする。
-ベクター-
本願で用いられるように、用語“レトロウイルス”は、その複製サイクルの間、逆転写酵素を用いるRNAウイルスに関して使用される。レトロウイルスゲノムRNAは、逆転写酵素によって二重鎖DNAに転換される。ウイルスの前記二重鎖DNAは、感染した細胞の染色体内に挿入することが可能であり、一旦挿入されると“プロウイルス”と称される。プロウイルスは、RNAポリメラーゼIIに対する鋳型として作用し、新たなウイルスの粒子を産生するのに必要な構造タンパク質及び酵素をコードするRNA分子の発現を誘導する。
本願で用いられるように、用語“ベクター”は、適切な調節エレメントと結合した時に複製が可能であり、遺伝子配列を細胞間で転移させることのできる任意の遺伝エレメント、例えばプラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、レトロウイルス、ビリオン等をいう。従って、前記用語は、クローニング用及び発現用の媒体(vehicles)のみならず、RNA又はDNA形態のウイルスベクターを含んでいる。当該分野で知られている多くのベクターを、核酸を操作して遺伝子内にレスポンスエレメント及びプロモータを組み込ませる等に用いることができる。可能なベクターとしては、例えばラムダ誘導体のようなバクテリオファージ、pBR322、又はpUCプラスミド誘導体のようなプラスミド、或いはブルースクリプトベクターを含め、例えばプラスミド又は改変されたウイルスが含まれる。ウイルスベクター、特にレトロウイルスベクターは細胞及び生きた動物を対象とする極めて多様な遺伝子伝達の用途に用いられている。使用可能なベクターには、レトロウイルス、アデノ関連ウイルス、ポックスウイルス、バキュロウイルス、ワクシニアウイルス、単純ヘルペスウイルス、エプスタイン-バ-ルウイルス、アデノウイルス、ジェミニウイルス及びカリモウイルスベクター等が含まれるが、これに限定されない。非ウイルスベクターには、プラスミド、リポソ-ム、電気荷電した脂質(サイトフェクチン)、DNAタンパク質複合体及び生体重合体が含まれる。真核細胞ベクターの例としては、ストレイタジーン(Stratagene)から市販されているpW-LNEO, pSV2CAT,pOG44, pXT1及びpSG,アマシャムファーマシアバイオテック(Amersham Pharmacia Biotech)から市販されているpSVK3,pBPV, pMSG及びpSVL,及びクローンテック(Clontech)から市販されているpCMVDsRed2-エクスプレス、pIRES2-DsRed2, pDsRed2-Mito及びpCMV-EGFPが含まれるが、これに限定されない。他の多くのベクターが良く知られており、商業的に市販されている。レスポンスエレメント及びプロモータに相応するDNAの断片を適当なベクター内に挿入するには、適切なDNA断片を、相補性粘着性末端を有する選択されたベクターに接合させることによって達成されうる。又はDNA分子の末端を酵素的に改変又はヌクレオチド配列(リンカ-)をDNA末端に接合することによって、任意の部位を生成することができる。前記ベクターは、マーカーを細胞ゲノム内に混入した細胞の選別を提供する選択性マーカー遺伝子が含まれるように処理することができる。前記マーカーは、マーカーによってコードされたタンパク質を混入し、発現する宿主細胞の確認及び/又は選別を可能にする。
上述のように、本発明のレトロウイルスベクター又は本発明のベクターによってコードされたレトロウイルスベクターは、単純レトロウイルス、例えばMLV、レンチウイルス、例えばHIV、又は任意の他のレトロウイルスを基礎とすることができる。これらのベクターは、感染性粒子の生成に必要なシスエレメントを有している。前記エレメントは、ウイルスRNAをウイルスカプシド又は粒子内にカプセル化するために必要なレトロウイルスゲノムの5’LTRに隣接して位置するパッケージングシグナルを含んでいる。幾つかのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムのカプシド化(encapsidation)に必要な最小パッケージング信号(プサイ(Ψ)配列とも称される)を用いる。また、他のシスエレメント、例えばプライマーの結合部位、ポリプリン領域及びその他の配列が当該分野で知られており、レトロウイルスベクター内に含まれている。しかし、ウイルスタンパク質をコードする配列は、全長ウイルスタンパク質が発現されないよう、ベクターから除去される。感染性粒子の産生に必要な任意のウイルスタンパク質は、パッケージング構造物によってトランスに提供される。
ベクターは又、ポリアデニル化配列、インスレ-タ-配列、接合部位、IRESそして他の転写及び翻訳の作動因子配列のような配列を含むことができる。
本願で用いられるように、用語“ポリアデニル化部位”、”ポリA部位”又は“ポリA配列”は、初期のRNA転写物の終了及びポリアデニル化の二つを何れも誘導するDNA配列を意味する。ポリAテイル(tail)の欠如した転写物が不安定で迅速に分解されるため、組み換え転写物の効果的なポリアデニル化が好ましい。本発明のベクターに用いられるポリAシグナルは、“異種”又は“内因性”であり得る。内因性のポリAシグナルは、ゲノムにおいて、該当遺伝子のコード領域の3’末端で自然に発見されるものである。異種ポリAシグナルは、ある遺伝子から分離され又他の遺伝子の3’末端に配置されたものである。通常用いられる異種ポリAシグナルは、制限酵素237bp BamHI/BcIIの断片上に含まれており、終了及びポリアデニル化の二つを誘導する。本発明において適合するポリアデニル化配列には又、ウシ成長ホルモン(bovine growth hormone,bGH) ポリアデニル化シグナル、β-グロビンポリA部位及びヘルペスウイルスチミジーンキナーゼポリA部位が含まれるが、これに限定されない(Sambrooket al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring HarborLaboratory Press, New York, pp.16.7-16.8, 1989)。
又、本発明のベクターによれば、細胞にとっても、ベクターの核酸によって発現したタンパク質を効率的及び効果的に処理させるのに十分な、その他の核酸配列、例えばイントロン配列、接合配列、局在化(localization)配列又はシグナル配列を含むことができる。イントロン配列の例としては、β-グロビンイントロン及びヒトEF-1aイントロン(米国特許第7、049、143号)が含まれる。接合シグナルは、初代RNA転写物からイントロンの除去を媒介し、スプライスドナー及び受容体部位で構成される(Sambrook et al., Molecular Cloning: ALaboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York,pp.16.7-16.8, 1989)。
本願で用いられるように、用語“内部リボソーム結合部位”又は“IRES”ファージシストロン性(dicistronic)mRNAの翻訳の内部開始によって第2の遺伝子由来の発現産物の生成を許容するポリシストロニック遺伝子との間に位置する配列をいう。内部リボソーム結合部位の例として、手足口病ウイルス(FDV)、脳心筋炎ウイルス、ポリオウイルス及びRDV由来のものが含まれるが、これに限定されない(Scheperet al., Biochem. 76:801, 1994; Meyer et al., J. Virol. 69:2819, 1995; Jang etal., J. Virol. 62:2636, 1998; Haller et al., J. Virol. 66:5075, 1995)。IRESを混入するベクターは、当該分野で知られているように作製することができる。例えば、ポリシストロニク配列を含むベクターは、内部プロモータ、異種遺伝子、内部リボソーム結合部位及び第2の異種遺伝子のようなエレメントの作動が可能な関係を含むことができる。
前記追加の配列は、転写が必要な場合、プロモータ配列と、又は、更に翻訳及び処理が必要な場合、開始及び処理の配列と作動可能に連結されるように、ベクター内に挿入される。或いは、挿入された配列はベクター内の任意の位置に置く事ができる。
本発明のベクター作製のための標準技術は、当該分野において通常の技術を有する者に知られている技術であり、(Sambrooket al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring HarborLaboratory Press, New York, 1989)のような参考文献から探すことができる。DNAの断片を接合するために、多様な方法を用いることができるが、その選択はDNA断片末端の性質によって異なり、熟練した専門家によって、容易に選択することができる。
本発明によれば、発現ベクター及び適当な担体を含む組成物もやはり提供される。前記担体は、当該分野において知られており、これと共に治療剤が投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤又は媒体(behicle)をいう。前記適当な担体は、水や石油、動物、植物又は化学合成由来の、ピーナッツオイル、大豆油、鉱物油、ごま油等を含む油のような滅菌の液体であり得る。組成物を静脈内に投与する場合は、水を担体とすることが好ましい。食塩水液、そしてブドウ糖及びグリセロールの水溶液もやはり、特に注射液に液体の担体として使用しうる。適合する薬理学的賦形剤には、澱粉、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、滑石、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール等が含まれる。場合によって、前記組成物は又、少量の湿潤剤或いは乳化剤、又はpH緩衝剤を含むことができる。これらの組成物は、溶液、懸濁液、乳化液、製剤、丸剤、カプセル、粉末、除放性の剤型等の形態を取ることができる。組成物は通常の結合剤及び担体、例えばトリグリセライドを使って座薬として剤型化することができる。経口用の剤型は、薬剤等級のマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等のような標準的な担体を含むことができる。適当な担体の例は、マーチン(E.W.Martin)の文献「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記述されている。前記組成物は、患者に適切な投与の形態を提供するために、適当量の担体と共に治療有効量のレトロウイルスベクターを有している。剤型は、投与方式に適合しなければならない。
-U3領域-
上述のように、レトロウイルスゲノムは、レトロウイルスの寿命サイクルの間、複製において重要な配列を含むゲノムの5’及び3’末端に長い末端反復配列(LTR)を含んでいる。U3領域のプロモータ及びエンハンサーエレメントは、複製する際、レトロウイルスゲノムの全長転写物を生成するのに重要である。逆転写する際、3’LTRの一部分は、3’及び5’LTRの二つのいずれにとっても鋳型として作用するので、3’LTRの配列は5’LTRにコピーされる。従って、3’のU3領域において、欠失または突然バリエーションは、5’LTRにコピーされ、二つのU3領域がいずれも実質的に不活性化される。3’LTRの前記コピーは、パッケージング時にベクター配列が非改変5’U3領域を含むようにし、5’LTRからの全長転写物が生成されてパッケージングされるようにする。しかし、コピー時に5’U3はエンハンサー欠失U3領域を含む3’U3領域の5’LTRへの複写のために消失する。このような方式で全長転写物がパッケージングの間に生成されるが、ベクターは、二つのLTRのいずれもが1回コピーされた後に転写休止期に入るため自己不活性化する。或いは、二つのLTR両方のU3領域のエンハンサーが欠失する場合もあり、異種プロモータを用いて全長ゲノムの転写物が生成され得る。
本発明において”エンハンサー欠失”とは、エンハンサーが実質的に不活性化されるようにエンハンサー内及び/又はエンハンサーの周囲でエンハンサーの全体又は一部が欠失、付加及び/又は置換によって改変されたU3領域を示すために用いられる。エンハンサーは、エンハンサーの改変が実質的にU3によって誘導される転写物を除去するのに十分な場合、実質的に不活性化したものとみなされる。
一態様において、内部プロモータ誘導の遺伝子発現に比べ、レトロウイルス転写物全体の1%未満がLTRのU3領域から誘導される。本発明の一態様において、転写物全体の0.1%未満がLTRのU3領域から誘導される。また、他の態様において、検出可能なU3誘導の転写物は発見されていない。
本発明の一態様において、エンハンサー欠失U3領域は、実質的に、前記領域でエンハンサー及びプロモータエレメントの一部又は全体の欠失によって不活性化される。また、他の態様において、U3領域は、実質的にU3領域においてヌクレオチドの置換又は挿入によって不活性化される。他の態様においては、U3領域全体が欠失する。周知のレトロウイルスベクター及び本発明での使用に適合する野生型レトロウイルスの二つのU3領域は、当該分野において周知であり、容易に認められる(Coffin, JM, Fundamental Virology, pp.790-800, Fields et al., eds., 3rd Ed., Lippincott-Raven Publ., 1996)。
-内部プロモータ-
本発明によれば、エンハンサー欠失U3レトルウイルスベクター環境において、高いウイルス力価及び高いレベルの遺伝子発現の提供が可能なプロモータが提供される。一態様において、内部プロモータはベクターにとって異種、即ち自然発見されるようなベクターには存在しない。HCMV IEプロモータ(配列番号1)、MLVU3領域(配列番号2)、CMVエンハンサー/ユビキチンプロモータ(配列番号3)、サイトメガロウイルスエンハンサー/トリβアクチン(CAG)プロモータ(配列番号4)、ヒト延長因子1アルファ(EF-1α)プロモータ(配列番号5)、ヒトβアクチン(ACTB)プロモータ(配列番号6)、グリセルアルデヒド燐酸エステル脱水素酵素(GAPDH)プロモータ(配列番号7)、ヒトリボソームタンパク質L10(RPL10)プロモータ(配列番号8)、ヒト白血球受容体群メンバー8(LENG8)プロモータ(配列番号9)、ヒトソーティングネキシン3(SNX3)プロモータ(配列番号10)、ヒトCCR4-NOT転写複合体、サブユニット3(CNOT3)プロモータ(配列番号11)、ヒトコピーンI(CPNE1)プロモータ(配列番号12)、ヒト仮説タンパク質(HYPO)プロモータ(配列番号13)、ヒト先天性異常角化症1、ダイスケリン(dyskerin)(DKC1)プロモータ(配列番号14)、ヒト液胞タンパク質ソーティング72(VPS72)プロモータ(配列番号15)、インテグリンベータ4結合タンパク質(ITGB4BP)プロモータ(配列番号16)、及びユビキノールサイトクロームcリダクターゼ、複合体IIIサブユニットVII(UQCRQ)プロモータ(配列番号17)を含め、多様なプロモータをテストした。UQCRQ,SNX3,ITGB4BP,GAPDH,RPL10及びLENG8等、これらのプロモータは、高いウイルス力価および高いレベルの遺伝子発現を提供できるものとして明らかになった。これらのデータは、本発明の細胞プロモータが、エンハンサー欠失U3レトロウイルスベクターにおいて遺伝子の発現を誘導することができることを示している。本発明の一態様において、内部プロモータは、高いウイルス力価および高いレベルの遺伝子発現を提供することのできる、上記に列挙したプロモータの断片又はバリアントであってもよい。本願で用いられるように、プロモータの断片は、天然プロモータと同一であるが、その全長よりも短い配列を含むポリヌクレオチドをいう。一態様において、前記断片は、全長プロモータの転写活性の少なくとも約20%以上(例えば、約30、40、50、60、70、80、85、90又は95%)を有している。使用し得る断片としては、ヌクレオチド配列の約-50番目乃至約+143番目(配列番号8のヌクレオチド951番目乃至約1143番目)、約-100番目乃至約+143番目(配列番号8のヌクレオチド901番目乃至約1143番目)、約-200番目乃至約+143番目(配列番号8のヌクレオチド801番目乃至約1143番目)、約-350番目乃至約+143番目(配列番号8のヌクレオチド651番目乃至約1143番目)、約-500番目乃至約+143番目(おおよそ、配列番号8のヌクレオチド501番目乃至約1143番目)、約-1000番目乃至約+143番目(配列番号8のヌクレオチド1番目乃至約1143番目)又は約-350番目乃至約+1番目(配列番号8のヌクレオチド651番目乃至約1001番目)を有する又はこれらで構成されたRPL10プロモータの断片、及びヌクレオチド配列の約-50番目乃至約+305番目(配列番号9のヌクレオチド970番目乃至約1325番目)、約-100番目乃至約+305番目(配列番号9のヌクレオチド920番目乃至約1325番目)、約-200番目乃至約+305番目(配列番号9のヌクレオチド820番目乃至約1325番目)、約-385番目乃至約+305番目(配列番号9のヌクレオチド635番目乃至約1325番目)、約-1020番目乃至約+305番目(配列番号9のヌクレオチド1番目乃至約1325番目)又は約-385番目乃至約+1番目(配列番号9のヌクレオチド635番目乃至約1020番目)を含むLENG8プロモータの断片(転写開始部位は、各プロモータに対して+1と見做す)が含まれるが、これに限らない。本願で用いられるように、プロモータのバリアントは、天然のプロモータ配列と約70%以上(例えば、約80,85,90,91,92,93,94,95,96,97,98又は99%)同一であり、天然プロモータの転写活性の約20%以上(例えば、約30,40,50,60,70,80,85,90又は95%)を有する配列を含むポリヌクレオチドをいう。プロモータのバリアントは又、前記プロモータの断片であり得る。
本願において“高いウイルス力価”とは、エンハンサー欠失U3レトロウイルスベクターが、二つのLTRの何れにおいても機能的に改変されないU3領域を持ち、同一ベクターとして、前記ベクターを含む感染性レトロウイルスベクターの粒子を10%以上生成することを意味するために使用される。他の態様において、エンハンサー欠失U3ベクターの力価は、U3に機能するベクターに比べて、20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, 90%, 100%, 110%, 120%, 130%,140%, 150%, 160%, 170%, 180%, 190%, 200%以上である。前記力価の比較は、様々な方法によってなされる。例えば、形質導入された細胞におけるレポータ遺伝子、即ちGFP又はルシフェラーゼの発現や、ベクターによって発現した選択性マーカーを用いた形質導入細胞の選別、或いはベクターによる治療遺伝子の発現によって行うことができる。前記ウイルス力価の測定方法の多くが、当該分野で知られている。
“高いレベルの異種遺伝子の転写”又は“高いレベルの遺伝子の発現”は、レトロウイルスベクターによって生成された転写物全体の70%以上(80, 90, 95, 96, 97, 98又は99%以上)であり、二つのLTRの両方で機能的に改変されないU3領域を持つ同一ベクターにおいて、同一遺伝子の転写又は発現の10%以上である異種遺伝子の転写或いは発現を含む。他の態様において、エンハンサー欠失U3ベクターでの異種遺伝子の転写又は発現は、U3が機能しているベクター内の同一遺伝子に比べ、20%, 30%, 40%, 50%, 60%, 70%, 80%, 90%, 100%,110%, 120%, 130%, 140%, 150%, 160%, 170%, 180%, 190%, 200%以上である。前記比較は、レポータ遺伝子の発現を測定することによって、又は、標準的な分子生物技術、例えばノーザンブロット(Northern blot)分析法、RT-PCR、ウエスタンブロット分析法、免疫組織化学及び酵素結合免疫吸収分析法(ELISA)等を用いて生成された異種転写物或いはタンパク質の量を分析することによって行うことができる。
本発明のプロモータは、真核細胞、原核細胞又はウイルス由来のプロモータを含むことが可能であり、細胞で末端に位置する配列(プロモータ配列の3’末端に結合している配列)の転写を誘導するには十分である。内部プロモータは、産生細胞株において、ゲノムRNAの生成及びパッケージングを行う間中、高いウイルス力価を許容する一方で、それに作動可能に連結している異種遺伝子の高レベルの転写を誘導しなければならない。前記プロモータは又、更にエンハンサーエレメントを含むことができる。プロモータ及びエンハンサーは、転写に伴う細胞タンパク質と特異的に相互作用するDNA配列の短い配列で構成されている(Maniatis et al., Science 236:1237,1987)。プロモータ及びエンハンサーエレメントは、酵母、昆虫及び哺乳類の細胞を含む、多様な真核細胞供給源、並びにウイルスの遺伝子から分離されてきた(アナログな調節エレメントは又、原核細胞でも発見される)。特定のプロモータ及びエンハンサーの選択は、目的タンパク質を発現するためにどのような細胞タイプを用いるのかによって異なってくる。
プロモータ、エンハンサー及び他の調節エレメントは、組織特異的または細胞特異的であり得る。用語“組織特異的”は、調節エレメントに適用される際、特定タイプの組織(例えば肝臓)に、異種遺伝子の選択的発現を、他のタイプの組織(例えば肺)における同じ目的ヌクレオチド配列の発現よりも大きく誘導することのできる調節エレメントをいう。本願で用いられるように、用語“組織特異的”(例えば肝臓に特異的)とは、発現の絶対特異性を必要としない相対的な用語である。即ち、用語“組織特異的”とは、一方の組織で極めて高いレベルの発現を示し、他方の組織で全く発現を示さないことを要さない。一方の組織での発現が、他方の組織での発現よりも大きければ十分である。対照的に、“厳格な”または“絶対的な”組織特異的な発現とは、他の組織では発現が検出されず且つ単一組織のタイプ(例えば肝臓)で発現することを意味する。同様に、用語“細胞タイプに特異的”とは、調節エレメントに適用される際、同一組織内の違うタイプの細胞(例えば、ガン細胞のような過増殖細胞)において、同じ目的ヌクレオチド配列の発現よりも、特定タイプの細胞において、目的ヌクレオチド配列の選択的発現をより大きく誘導することのできる調節エレメントをいう。用語”細胞タイプ特異的”とは、調節エレメントに適用される際に、単一組織内の領域で目的ヌクレオチドの選択的発現を促進することのできる調節エレメントを意味する。
本発明は、高いウイルス力価を提供し且つ高いレベルの転写を提供できる任意の内部プロモータを含み、一態様において内部プロモータは、細胞性プロモータである。他の態様において、内部プロモータは、RPL10プロモータ(配列番号8),LENG8プロモータ(配列番号9),SNX3プロモータ(配列番号10),UQCRQプロモータ(配列番号17)又はITGB4BPプロモータ(配列番号16)から選ばれる。また、他の態様において、内部プロモータは、全長プロモータのバリアントで異種遺伝子の高レベルの転写を誘導することが可能でありながら、プロモータを含むベクターは高いウイルス力価を提供することができる。他の態様において、内部プロモータは、必須的にTATAボックスで構成されている。一部の態様において、内部プロモータはまた、高レベルの遺伝子発現のための一つ以上のスプライシング部位を含む。
内部プロモータから挿入活性化の可能性を減少させるため、インスレ-タ配列を使って、周辺遺伝子に対する内部プロモータの活性化効果を遮断することができる「Ramezani et al., Mol. Ther. 14:245,2006」。その他のアプロ-チ方法は、追加のポリアデニル化シグナルを挿入してベクターを改変し、内部プロモータからリードスルーを抑制することである(Ramezaniet al., Mol. Ther. 14:245, 2006)。
-異種遺伝子-
用語”作動可能に連結されている”とは、遺伝子配列の転写が、作動可能に連結されているプロモータ配列によって誘導されるように、遺伝子配列と、プロモータや他の調節又は処理配列との間の結合を記述するために用いられる。
用語”遺伝子”とは、ポリペプチドや転写物の生成に必須の調節およびコード配列を含むDNAをいう。前記用語はまた、構造遺伝子のコード領域を含み、遺伝子が全長mRNAの長さに相応するよう、一方の末端上に約1kb以上の長さで5’及び3’末端上のコード領域に隣接して位置する配列を含む。コード領域の5’末端に位置し、mRNA上に存在する配列は、5’未翻訳配列と呼ばれている。コード領域の3’末端或いは下流に位置し、mRNA上に存在する配列は、3’未翻訳配列と呼ばれている。用語”遺伝子”は、遺伝子のcDNA及びゲノムの形態のどちらも含む。遺伝子のゲノム形態またはクローンは、“イントロン”或いは“介在領域(intervening region)”、又は“介在配列”と呼ばれる非コード配列によって遮断されたコード領域を含む。イントロンは、核RNA(hnRNA)に転写される遺伝子の断片で、エンハンサーのような調節エレメントを含み得る。イントロンは、核又は初代転写物から除去されたり、“スプライスアウト”されるので、メッセンジャーRNA(mRNA)転写物には存在しない。mRNAは、翻訳時に新生ポリペプチドにおいて配列又はアミノ酸の順序を指定する機能を果たす。
用語“ポリヌクレオチド”又は“核酸分子”とは、本願で互換的に用いられるように、任意の長さ、例えば二つ以上のヌクレオチドポリマーを意味し、DNA及びRNAの両方を含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ(改変されたリン酸塩の残基、塩基又は糖を含む)、あるいは適当な酵素、例えばDNAポリメラーゼ又はRNAポリメラーゼによってポリマー内に組み込み得る任意の基質である。
当該分野の熟練者に認識されているように、挿入された目的ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、任意のヌクレオチド配列であり得る。例えば、ポリヌクレオチド配列は、レポータ遺伝子の配列又は選択性マーカー遺伝子の配列であり得る。本願で用いられるように、レポータ遺伝子配列は、発現する際にその存在又は活性をモニタリングできるタンパク質の生成を惹起する任意の遺伝子配列である。レポータ遺伝子には、例えばルシフェラーゼ(例えば、文献(deWet et al., Mol. Cell. Biol. 7:725, 1987)及び米国特許第6,074,859号、第5,976,796号、第5,674,713号及び第5,618,682号(これらは全て本願で参考として引用される)参照)、緑色蛍光タンパク質(例えば、ジーンバンク登録番号U43284、カリフォルニア州パロアルト、クローンテックラボラトリー(CLONTECHLaboratories)から市販されている多くのGFPバリアント)、クロラムフェニコールアセチル転移酵素、β-ガラクトシダーゼ、アルカリ性脱リン酸酵素及びホースラディッシュパーオキシダーゼが含まれるが、これに限らない。又、レポータ遺伝子の配列は、その発現が細胞の生理機能に影響を及ぼす遺伝子の産物を生成する任意の遺伝子配列であり得る。本発明のポリヌクレオチド配列は、既に一つ以上のプロモータ、開始配列または処理配列を有する一つ以上の遺伝子配列を含むことができる。
レポータ遺伝子の配列は、選択性マーカーであり、前記選択性マーカーは、その存在が、それを含む細胞を選択的に増殖させるようにするタンパク質を発現させることのできる任意の遺伝子配列であり得る。選択性マーカーは、”優性”であり、優性である選択性マーカーは、任意の原核細胞株から検出可能な酵素の活性をコードする。優性の選択性マーカーの例として、哺乳類の細胞において薬物G418に対する耐性を提供する細菌性アミノグリコシド3’リン酸転移酵素遺伝子(ネオ(neo)遺伝子とも称される)、抗生物質ハイグロマイシンに対する耐性を提供する細菌性ハイグロマイシンGリン酸転移酵素遺伝子(hyg遺伝子)、及びマイコフェノール酸の存在下で成長する能力を提供する細菌性キサンチン-グアニンホスホリボシル転移酵素遺伝子(gpt遺伝子とも称される)が含まれるが、これに限らない。他の選択性マーカーは、関連する酵素の活性が欠如した細胞株と一緒に使用しなければならないという点で、優性ではない。非優性の選択性マーカーの例として、tk細胞株と一緒に使われるチミジンキナーゼ(tk) 遺伝子、CADが欠損している細胞とともに使われるCAD遺伝子、及びhprt細胞株と共に使われる哺乳類ハイポキサンチングアニンホスホリボシル転移酵素(hprt)遺伝子が含まれる。哺乳類の細胞株において選択性マーカーの使用に対する概観は、文献(Sambrook,J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring HarborLaboratory Press, New York, pp.16.9-16.15, 1989)に掲載されている。
レポータ遺伝子の配列は、正常な細胞においてベクターの認識又は選択を許容するには十分である。本発明の一態様において、レポータ遺伝子の配列は、通常、哺乳類細胞には存在しないので、その存在が前記細胞でベクターの存在を決定的に確証させることができる酵素又は他のタンパク質をコードすることができる。
本発明のレトロウイルスベクターは、ウイルス粒子内に異種遺伝子を混入し、異種核酸が含まれている、感染した宿主細胞の数を増幅させる手段を提供する。異種遺伝子の混入は、ウイルスの粒子内で異種遺伝子の複製、及びその中の異種転写物又はタンパク質に続く生成を促進する。遺伝子は、細胞内に遺伝子を伝達するために用いられる野生型に天然に存在しない場合、異種とされる。本願で用いられたように、異種遺伝子という用語は、核酸分子を示すためのものである。
異種遺伝子は又、生物学的に活性である適当なタンパク質或いはポリペプチド、免疫源又は抗原タンパク質或いはポリペプチド、又は治療活性タンパク質或いはポリペプチドのように、所望の生成物のコード配列を含むことができる。ポリペプチドは、宿主細胞において、内因性タンパク質の欠損或いは不在発現を補うことができる。前記遺伝子配列は、DNA, cDNA, 合成DNA, RNA又はその組み合わせを含む多様な供給源から誘導することができる。前記遺伝子配列は、天然のイントロンを含む又は含まないゲノムDNAで構成され得る。また、前記ゲノムDNAは、プロモータ配列或いはポリアデニル化配列と一緒に得ることができる。本発明の遺伝子配列は、cDNAが好ましい。ゲノムDNA或いはcDNAは、様々な方法で得ることができる。ゲノムDNAは、当該分野で知られている方法によって、適当な細胞から抽出して精製することができる。また、mRNAは、細胞から分離されて、逆転写或いは他の方法によって、cDNAを調製するために使用することができる。また、ポリヌクレオチド配列は、RNA配列に相補的な配列、例えばアンチセンスRNA配列を含むことが可能であり、前記アンチセンス配列は、別々の細胞で、相補的ポリヌクレオチド配列を阻害するために、個別に投与され得る。
異種遺伝子の発現は、抗体反応を達成するために、免疫原性又は抗原性のタンパク質或いはポリペプチドを提供することができる。上記のように誘導された抗体は、動物から血液、血清又は腹水のような体液中に集めることができる。
異種遺伝子は又、転写が可能な任意の目的核酸であり得る。一般的に、外来遺伝子はポリペプチドをコードする。ポリペプチドは、多少の治療メリットを有するのが好ましい。ポリペプチドは、宿主細胞において内因性タンパク質の欠損或いは不在発現を補うことができる。ポリペプチドは、キメラシグナル伝達受容体のように、宿主細胞上に新しい性質を提供することができる(米国特許第5,359,046号参照)。通常の技術を持つ者であれば、本願で述べられて当該分野で知られている異種遺伝子の実行技術の適切性を決定することができる。例えば、専門家であれば、異種遺伝子がカプシド化に適したサイズであるか否か、及び異種遺伝子の産物が適切に発現されるか否かを知り得る。
本発明で使用可能な特定の異種遺伝子は、ここでは重要ではない。しかし、一態様において異種遺伝子は、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン、抗体、工学処理された免疫グロブリン様分子、単一鎖抗体、融合タンパク質、酵素、免疫性共刺激分子、免疫調節分子、アンチセンスRNA、リボザイム、RNA外部ガイド(externalguide)配列、標的タンパク質のトランスドミナントネガティブ(transdominant negative)バリアント、毒素、暫定的毒素、抗原、腫瘍抑制タンパク質及び成長因子、膜タンパク質、血管活性タンパク質及びペプチド、抗ウイルスタンパク質またはそのバリアントをコードする。
他の態様において、異種遺伝子は、免疫グロブリン、エリスロポエチン、アルファインターフェロン、アルファ1プロテナーゼンヒビター、アンジオゲニン、抗トロンビンIII、ベータ酸デカルボキシラーゼ、ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、ブタ成長ホルモン、ヒト血清アルブミン、ベータインターフェロン、子牛腸アルカリホスファタ-ゼ、嚢包性繊維症膜通過レギュレータ、因子VIII、因子IX, 因子X,インスリン、ラクトフェリン、組織プラスミノゲンアクチベータ、ミエリン塩基性タンパク質、インスリン、プロインスリン、プロラクチン、B型肝炎抗原、免疫グロブリン断片(例えばFAB)、モノクローナル抗体CTLA4 Ig, Tag72モノクローナル抗体、Tag72単一鎖抗原結合タンパク質、タンパク質C、サイトカイン及びその受容体(例えば、腫瘍壊死因子アルファ及びベータ、その受容体及びその誘導体を含む;レニン;、成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク;アルファ-1抗トリプシン;濾胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;血友病因子;心房性ナトリウム利尿因子;肺表面活性剤;ウロキナーゼ;ボンベシン;トロンビン;造血成長因子;エンケファリナーゼ;ヒトマクロファージ炎症タンパク質(MIP-1-アルファ);血清アルブミン(例えばミュラ-管抑制物質);リラクシンA鎖;リラクシンB鎖;プロリラクシン;マウス性腺刺激ホルモン関連プペチド;ベータラクタマ-ゼ;DNA分解酵素;インヒビン;アクティビン;血管内皮成長因子(VEGF);ホルモン又は成長因子に対する受容体;インテグリン;タンパク質A又はD;リューマチ因子;神経栄養因子、例えば骨由来の神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3、-4、-5または-6(NT-3, NT-4, NT-5又はNT-6)、或いは神経成長因子(例えばNGFベータ);血小板由来成長因子(PDGF);繊維芽細胞成長因子(例えばaFGF及びbFGF);表皮成長因子(EGF);形質転換成長因子(TGF)、例えばTGF-α、及びTGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4又はTGF-β5を含めTGF-β;インスリン様成長因子-I及びII(IGF-I及びIGF-II);デス(1-3)-IGF-I(脳IGF-I)、インスリン様成長因子結合タンパク質;CDタンパク質(例えばCD-3, CD-4,CD-8及びCD-19);骨誘導因子;免疫毒素;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン(例えばインターフェロンアルファ,ベータ、及びガンマ);コロニー刺激因子(CSF)(例えば、M-CSF,GM-CSF及びG-CSF);インターロイキン(IL)(例えばIL-1及びIL-12);スーパーオキシドジムスターゼ;T細胞受容体;表面膜タンパク質;分解促進因子;ウイルス抗原(例えばAIDS外皮の一部);輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレシン;調節タンパク質;抗体;キメラタンパク質、例えば免疫接合剤(immunoadhesin)、及び上記列挙したポリペプチド中の任意の断片又は融合体を含むが、これに限らず、ポリペプチドをコードすることができる。他の態様において、異種遺伝子は、オキシダーゼ、特にNADPHオキシダーゼ、例えばNADPHオキシダーゼのgp91サブユニットをコードする。これらタンパク質に対する核酸及びタンパク質の配列ファージーンバンクのような公共データベースから利用することができる。
特定タンパク質が、一つ以上のサブユニット(例えば免疫グロブリン)を有している場合、前記配列をコードする遺伝子は、一つ以上のIRESエレメントによって分離され、ベクターにおいてポリシストロニック配列に整列され得る。又は、タンパク質の異なるサブユニットをコードする遺伝子は、別のベクター上で宿主細胞内に導入され得る。本発明によれば、目的タンパク質をコードする遺伝子は、一つ以上のイントロンを含むのが好ましい。イントロンは、通常、遺伝子に関連するイントロンであるか、又は合成あるいは外因性のイントロンであり得る。一部の態様において、遺伝子はその通常のイントロンよりも少なくてもよい。例えば、天然イントロンを確保しながら、その一部を遺伝子から除去するか又は一つ以上の天然イントロンを一つ以上の外因性イントロンに取り替えることができる。
“野生型”またはネイティブとは、ヌクレオチド或いはアミノ酸配列が天然発見の配列と同じであるということである。
“バリアント”とは、実質的に、類似した配列を含んでいることを意味する。従ってヌクレオチド配列又はアミノ酸配列の場合、バリアントは機能的に同等の配列、例えば野生型配列の一つ以上の活性の20%以上(例えば、30, 40,50, 60, 70, 80又は90%)を有する配列を含む。バリアントヌクレオチド配列はまた、例えば部位指向性の突然変異発生(site directed mutagenesis)によって生成されてきたが、それにも拘らず、ネイティブ配列の機能を保持している、合成的に誘導されたヌクレオチド配列を含む。一般的に、本発明のヌクレオチド配列バリアント又はアミノ酸配列バリアントは、その各々の天然ヌクレオチド配列に対して70%以上、一般的に80%, 85%, 90%, 91%, 92%, 93%, 94%,95%, 96%, 97%, 98%又は99%の配列同一性を有する。
熟練者であれば、開示されている核酸構造物の多くの保存的バリエーションによって、機能的に同じである構造物が提供されることを認識するであろう。特定の核酸配列の保存的バリアントは、必須的に同一或いは同一であるアミノ酸配列、又は前記核酸がアミノ酸配列をコードしない場合に、同一配列を必須的にコードする核酸をいう。遺伝子コードの縮重によって、機能的に同じである多くの核酸が任意の該当ポリペプチドをコードする。例えば、遺伝子コードの縮重によって、“サイレント置換(silent substitution)”(例えば、コードされたポリペプチドに改変を惹起しない核酸配列の置換)は、アミノ酸をコードする全ての核酸配列の特性を示す。同様に、パッケージングまたはパッケージング可能な構造物のアミノ酸配列中の一つまたは少数のアミノ酸が極めて類似した性質を持つ異なるアミノ酸に置換される“保存的アミノ酸置換”はまた、開示されている構造物と極めて類似していることが容易に確認される。例えば、コドンCGU,CGC,CGA,CGG, AGA及びAGGは何れもアミノ酸アルギニンをコードする。従って、アルギニンがコドンによって指定された全ての位置で、コドンは、コードされたポリペプチドを改変せずに、上述の該当コドンの内の任意のコドンへと改変され得る。前記核酸バリエーションとは、“サイレントバリエーション”であり、これは“保存的に改変されたバリエーション”と同じ種類に属する。本願においてポリペプチドをコードする全ての核酸配列は又、全ての可能なサイレントバリエーションを述べている。熟練者であれば、核酸において、各々のコドン(通常、メチオニンに対する唯一のコドンであるAUGは除く)が、標準的な技術によって改変されて機能的に同じ分子を精製することができることを認識するであろう。従って、ポリペプチドをコードする核酸の各々の”サイレントバリエーション”は、上述の任意の配列に内在している。又、熟練者であれば、コードされた配列において、単一アミノ酸または少ない比率のアミノ酸(典型的には5%未満、より典型的には1%未満)を改変、付加または欠失させる個々の置換、欠失或いは付加が、化学的に類似したアミノ酸によるアミノ酸の置換を惹起する“保存的に改変されたバリエーション”であることを認識するであろう。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表は、当該分野で周知である。次の6つの群は各々、お互いに保存的置換であるアミノ酸を含んでいる。
1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、
2)アスパラギン酸(D),グルタミン酸(E)、
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、
4)アルギニン(R)、リジン(K)、
5)イソロイシンン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)及び
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)
又、文献(Creighton (1984) Proteins, W.H. Freeman andCompany)を参照することにする。最後に、核酸分子の活性を変化させない配列、例えば非機能的配列の付加は塩基性核酸の保存的改変である。各々の、開示されている配列の前記保存的に置換されたバリエーションは、本発明の特徴である。
本発明のベクターシステムに用いられる多様な全長または成熟ポリペプチドに対するアミノ酸配列に関連し、バリアントは、天然ポリペプチドのN末端および/またはC末端に一つ以上のアミノ酸の欠失(いわゆる、切断(truncation))或いは付加、天然ポリペプチドの一つ以上の部位において一つ以上のアミノ酸の欠失或いは付加、又は天然ポリペプチドの一つ以上の部位において一つ以上のアミノ酸置換によって、天然ポリペプチドから誘導されたポリペプチドを含む。前記バリアントは、例えば遺伝子の多形性またはヒトの操作から引き起こされ得る。前記操作方法は、当該分野において、一般的に知られている方法である。
熟練者であれば、該当する核酸構造物で改変を惹起する多くの方法を認識するであろう。前記周知の方法には、部位指向性の突然変異発生(site derected mutagenesis)、変性オリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅、突然変異剤または放射線への核酸含有細胞の暴露、目的オリゴヌクレオチドの化学的合成(例えば、巨大核酸を生成するために接合及び/又はクローニングと一緒に)、及び他の周知の技術が含まれる。
天然ヌクレオチド配列または天然ポリペプチドのバリアントは、天然配列或いは天然ポリペプチドと実質的に同一性を有する。バリアントは、1乃至10個程度のアミノ酸残基、例えば6乃至10個、5個程度、4、3、2、又は1個のアミノ酸残基程度、違ってもよい。ヌクレオチド配列のバリアントは、1乃至30個のヌクレオチド、例えば6乃至20個と、5個程度、4,3,2または1個のヌクレオチド残基程度、違ってもよい。
「配列同一性」とは、バリアントのヌクレオチド配列又はアミノ酸配列の特定の隣接部分(CONTIGUOUSSEGMENT)をアラインメントさせて、レファランス配列のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列と比較した場合に、同一のヌクレオチド又はアミノ酸残基がバリアント配列及びレファランス配列内で発見されることである。配列のアラインメント及び配列間の同一性を測定する方法は、当該分野で知られている。2個のヌクレオチド配列の最適なアラインメントに関し、バリアントヌクレオチド配列の隣接部分は、レファランスヌクレオチド配列に対して付加的ヌクレオチド又は欠失したヌクレオチドを有することができる。同様に、2つのアミノ酸配列の最適なアラインメントのために、バリアントアミノ酸配列の隣接部分は、レファランスアミノ酸配列に対して付加アミノ酸残基又は欠失したアミノ酸残基を有することができる。レファランスヌクレオチド配列又はレファランスアミノ酸配列と比較するために用いられた隣接部分は、20個以上の隣接ヌクレオチド又はアミノ酸残基を含み、30、40、50、100個以上のヌクレオチド又はアミノ酸残基であり得る。バリアントヌクレオチド配列又はアミノ酸配列において、ギャップ(gap)の封入に関連する増加した配列同一性に対する調整は、キャップペナルティ(gappenalty)を指定することによって行うことができる。
-細胞-
本発明の発現ベクターを有する細胞もやはり含まれる。一態様において、エンハンサー欠失U3レトロウイルスベクターを有する細胞もやはり含まれる。本発明の発現ベクターによって形質導入された標的細胞は、哺乳類細胞、鳥類細胞、両生類細胞、植物細胞、魚類細胞及び昆虫細胞を含み、試験管内或いは生体内の何れに位置していても形質導入することができる任意の真核細胞タイプであり得る。一態様において、標的細胞は、哺乳類細胞、特にヒト細胞である。標的細胞は初代培養細胞又は細胞株であり得る。
一態様において、本発明のベクターを含む感染性レトロウイルス粒子を産生するために必須のウイルスタンパク質をトランスに含む産生細胞株が本発明に含まれる。前記産生細胞株は、レトロウイルスカプシドを生成してレトロウイルスベクターを転写させる。レトロウイルスベクターは、引き続きパッケージングシグナルを通じてウイルスカプシドへと復元される。産生細胞株の製造に必要なパッケージング細胞株は、当該分野で知られており、典型的に、感染性レトロウイルス粒子に必要な酵素(例えば逆転写酵素)及び構造タンパク質(例えばGag及びEnv)を提供するレトロウイルスgap-pol及びevn遺伝子を含んでいる。前記パッケージング細胞は、例えばPG13, ψCRIP, PA317, GP+envAm12, FLYA13,FLYRD18, フェニックスアムホ(Phoenix-Ampho), フェニックスエコ, フェニックスGALV, PE501, GP+E86, PT67, BING,BOSC23, プロパック(ProPak)A等、及びレンチウイルスパッケージング細胞株が知られている(Logan et al., J Virol. 78:8421-8436, 2004)。また、パッケージング細胞株は、短期間使用のために一時的にトランスフェクトされるか、或いは長期使用のためにそのゲノム内に取り込まれたウイルス遺伝子を持ち得る。
パッケージング細胞の多くが、レトロウイルスベクターを基礎とするレトロウイルスの天然エンベロープを使用している。又、他の密接に関連するウイルスからエンベロープ遺伝子を用いることによって、本発明のウイルスベクターが感染させ得る細胞の宿主の範囲を改変することも可能である。即ち、他のウイルスのカプシド化に関与している特定ウイルスのエンベロープタンパク質の能力のメリットを取ることによって、本発明のレトロウイルスベクターの宿主の範囲を拡げることができる。レトロウイルス由来のenv遺伝子には、水疱性口内炎ウイルスのGタンパク質(VSG-G)、テナガザル類人猿白血病ウイルス(GaLV),ネコ内在ウイルスRD114、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、両親和性(amphotropic)モロニー(Moloney)マウス白血病ウイルス(MoMuLV)、同種指向性(ecotropic)モロニー(Moloney)マウス白血病ウイルス(MoMuLV)、10A1マウス白血病ウイルス、モロニーミンク細胞フォーカス誘発ウイルス(MCFV)、Mus dunni内在ウイルス(MDEV)、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)等が含まれるが、これに限らない。これらウイルスのエンベロープタンパク質は、何れも効果的に他のウイルスのゲノム及び細胞間質成分と偽ビリオンを形成する。本願で用いられるように、用語“偽型(pseudotype)”とは、あるウイルスの核酸と、それとは別のウイルスのエンベロープタンパク質を有するウイルス粒子をいう。一般的に、VSV-G又はGaLVの偽ベクターは、極めて広範囲な宿主範囲を有し、それにも拘らず、高レベルの感染性を維持しながら超遠心分離によって高濃度の力価にペレット化することができる。
-本発明の方法-
本発明は又、上述のような産生細胞株を培養し、培養液から上清液を集め、上清液を濾過して細胞を含まないウイルスの上清液を得ることによって、本発明のレトロウイルスベクターを含む感染性レトロウイルス粒子を産生する方法を提供する。当該分野の熟練者であれば、例えば適切な培養培地を使い、集めるのに最適な時期や培養液中の細胞密度を測定し、優れたウイルス力価を得るための条件を容易に最適化するであろう。
本願では又、上述のように調製され、本発明による感染性レトロウイルス粒子を有するウイルスの上清液と標的細胞とを接触させることを含む、標的細胞を形質導入する方法を提供する。上述のように、標的細胞は、哺乳類細胞、ヒト細胞、霊長類或いはマウス細胞等があるが、これに限らない。標的細胞は,初代培養細胞または細胞株であり得る。前記方法は又、ウイルスの上清液に、形質導入を増大させるための物質、例えばポリブレン,レトロネクチン及び/又はプロタミン硫酸塩の添加を含むことができる。また、前記方法は、更に、一度ウイルスの上清液に適用すれば、低速遠心分離を用いることができる。前記及び他の形質導入最適化技術は、当該分野で知られており、通常、よく用いられている。
本発明はまた、異種遺伝子が治療に有効なポリペプチドや転写物をコードする、本発明のレトロウイルスベクターに形質導入された細胞を投与することによって、対象物を治療する方法を提供する。一態様において、前記細胞は試験管内或いは生体外に形質導入される。
本発明は又、異種遺伝子が治療に有効なポリペプチドや転写物をコードする、本発明の発現ベクター及び適当な担体を有する組成物の投与を含む、対象物を治療する方法を提供する。一態様において、目的核酸は治療剤をコードする。用語“治療に有効な”とは、一般的な意味として使われ、治療剤、予防薬剤及び代替薬剤を含む。治療剤は、疾患または疾病の一つ以上の症状を改善する、或いは防ぐ場合に、治療的なものとして見なすことができる。本発明のベクター及び/又は方法によって治療が可能な遺伝子疾患として、治療核酸の長期間の発現を含む疾患が好ましい。他の態様において、前記方法は、遺伝子疾患、増殖性疾患又は感染性疾患を治療するためのものである。また、他の態様では、神経疾患、免疫系疾患、筋肉疾患、出産障害、胃腸疾患、肺疾患、心血管疾患、腎臓疾患、増殖性疾患及び/又は癌疾患並びに疾病が含まれるが、これに限らず、一つ以上の疾患、疾病又は症状を治療するための方法を含む。また、他の態様は、神経退行性疾患又は疾病、アルツハイマー病,精神分裂病,癲癇、腫瘍、癌及びAIDS、或いは目的遺伝子の代替又はアップダウン調節を必要とする、異なる疾患の治療を含む。
本発明の発現ベクターの投与方法は、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外および経口経路を含むが、これに限らない。ベクター又は組成物は、任意の便利な経路によって、例えば注射や静脈内一時注射(bolus injection)によって、上皮や皮膚粘膜内壁(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜等)を通じた吸収によって投与することが可能で、他の生物学的に活性である薬剤と共に投与することができる。投与は、全身或いは局所的に行うことができる。また、本発明のベクター又は組成物を、脳室内及び硬膜内注射を含め、任意の適当な経路によって中枢神経系に導入するのが好ましく、脳室内注射は、脳室内カテーテル,例えばオンマヤ槽(Ommaya reserboir)のようなリザバーに付いている脳室内カテーテルによって促進することができる。肺への投与、例えば、吸入器又は噴霧器の使用及びエアゾール剤を使った剤型による肺投与も利用することができる。
-キット-
本発明の、また別の目的は、本願に記述した方法に用いるためのベクターを含むキット又は薬物伝達システムを提供することにある。標的化レトロウイルス粒子の投与に必要な必須物質又は試薬の全てがキットに納められている(例えば、パッケージング細胞構造物又は細胞株)。キットの成分は、多様な剤型によって提供され得る。本発明の一つ以上のレトロウイルスベクターは、一つ以上の薬剤(例えば化学治療剤)と共に、単一の薬理学的に許容される組成物又は別の薬理学的に許容される組成物によって剤形化され得る。
前記キット又は薬物伝達システムの成分はまた、乾燥或いは凍結乾燥の形態で提供される。試薬や成分が乾燥形態で提供される場合、一般的に、その復元(reconstitution)は、他の容器手段によって提供され、適当な溶媒を添加することによって行われる。本発明のキットには、投与量及び/又は投与情報に関する説明書も含まれている。本発明のキット又は薬物伝達システムには、また、典型的に、例えば商業的販売のため、注射等を入れるためのビンを密閉状態にするための手段或いは吹き込み形成されたプラスチック容器が含まれる。容器の数やタイプとは関係なく、キットにはまた、対象物の体内に最終複合組成物の注射/投与或いは配置を促進させるための器具を含むか又はその器具と一緒に包装されている。前記器具は、塗布具、吸入器、注射器、ピペット、鉗子、計量スプーン、点眼器又は医療的に承認されている任意の伝達媒体であり得る。
本明細書及び添付した請求の範囲で用いられるように、単数形“一つ(a), (an)”,“その(the)”等は、特に明記しない限り、複数の意味を含むことを周知しなければならない。従って、例えば“ポリヌクレオチド”に対する言及は多数のポリヌクレオチドを含み、“細胞”は多数の細胞を含んでいる。
本願で用いられたように、用語“試験管内”とは、人工的な環境、及び人工的な環境内で起こる過程又は反応をいう。試験管内環境は、試験管及び細胞培養物によって構成され得るが、これに限らない。用語“生体内”とは、自然環境(例えば、動物又は細胞)、及び自然環境内で起こる過程又は反応をいう。
下記の実施例は、本発明の方法を例示するものであり、限定されるものではない。医学的治療及び薬理科学の分野で通常的に接する、当該分野の熟練者にとって明白な多様な条件及びパラメータへの他の適切な修正及び改変は、本発明の真意及び範囲内に属する。
(実施例)
-実施例1-
本実施例では、多様なプロモータの作製過程が提供される。
(1)ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、即ち初期(IE)プロモータ(配列番号1)
HCMVIEプロモータをpCNプラスミド(Lee et al., Biochem.Biophys. Res. Commun. 272:230, 2000)から得た。
(2)MLVのU3(配列番号2)
MLVLTRのU3領域は、強力なエンハンサー及びプロモータ配列を含んでいる。MLV 3' LTRのU3領域は、鋳型としてMLVベクターであるMT(文献「Honget al., J. Gene. Med. 6:724, 2004」、及び米国特許第6,451,595号)を使い、PCRで増幅させた。図11(a)に示すプライマー対をPCRに使用した。
200ngの鋳型プラスミドDNA及び1μlの各々のプライマー(10ピコモル/μl)を含むPCR反応液100 μlを拡張高性能(Expand High Fidelity)PCRシステム(Cat# 92351824,(ロシュ社)によって、35サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、95℃で30秒間(変性)、55℃で30秒間(アニーリング)及び72℃で30秒間(重合)行われた。
455bpの増幅された断片をpGEM T easyベクター(Cat#A1360, プロメガ社製、米国ウィスコンシン州)内にクローニングし、pGEM-T-MTU3を得た。
(3)CMV/ユビキチンプロモータ(配列番号3)
A. CMVエンハンサー
鋳型としてpCK(PCT/KR99/00855)を使い、PCRによってCMVエンハンサーを増幅させた。図11(b)に示すプライマー対がPCRに使われた。
200ngの鋳型プラスミドDNA及び2μlの各々のプライマー(5ピコモル/μl)を含むPCR反応液50μlを拡張高性能PCRシステムによって、30サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、94℃で1分間(変性)、55℃で1分間(アニーリング)及び72℃で1分間(重合)行われた。
増幅された断片をpGEM T easyベクター内にクローニングし、pGEM-T-MTU3を得た。ヌクレオチド配列は、配列分析により確認された。
B.ヒトポリユビキチンCプロモータ(Gill et al., Gene Ther. 8:1539, 2001)
ヒトポリユビキチンCプロモータ(-333番目乃至+877番目)を鋳型とし、HT1080 細胞から分離されたゲノムDNAを使って増幅させた。図11(c)に示すプライマー対がPCRに使われた。
200ngの鋳型DNA及び2μlの各々のプライマー(5ピコモル/μl)を含むPCR反応液50μlを、拡張高性能PCRシステムによって30サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、94℃で1分間(変性)、55℃で1分間(アニーリング)及び72℃で1分30秒間(重合)行われた。
1230bpの増幅された断片をpGEM T easyベクター内にクローニングし、pGEM T-UbCを得た。ヌクレオチド配列は、配列分析によって確認された。
C.CMVエンハンサー/UbCプロモータ
CMVエンハンサー/UbCプロモータで構成されたハイブリッドプロモータを作製するため、pGEM Teasy-EnhからSalI-XbaIの断片を切り取り、pGEMT Easy-UbCのSalI-XbaI部位に挿入してpGEMT Easy-Enh+UbCを生成した。
(4)CAG(サイトメガロウイルスエンハンサー、トリβ-アクチンプロモータ)プロモータ(配列番号4)
CAG(サイトメガロウイルスエンハンサー、トリβ-アクチンプロモータ)(配列番号4)を得るため、pAxCAwt(タカラバイオ社製(Takara Bio)、日本、大津)からKlenow断片処理されたSaII-SwaI断片を、pGEM T easy(プロメガ、米国ウィスコンシン州)内にクローニングし、pGEM T easy-CAGを生成した。ヌクレオチド配列を配列分析によって確認した。
(5)ヒト延長因子1アルファ(EF1-α)プロモータ(配列番号5)([Kim et al., Gene 91:217, 1990)
ヒト延長因子1アルファ(EF1-α)プロモータ(-341番目乃至+1007番目)を鋳型に、HT1080細胞(ヒト繊維肉腫細胞株、ATCC CCL-121)から分離されたゲノムDNAを使って増幅させた。PCRに用いられたプライマー対のヌクレオチド配列は図11(d)に示すとおりである。
500ngの鋳型ゲノムDNA、1μlの各々のプライマー(10ピコモル/μl)及び5μlのDMSO(ジメチルスルホキシド)を含有するPCR反応液50 μlを、拡張高性能PCRシステム(Cat# 92351824,ロシュ社製)によって30サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、95℃で1分間(変性)、55℃で1分間(アニーリング)及び72℃で1分30秒間(重合)行われた。
増幅した断片を、まず、pGEM T easyベクター内にクローニングし、pGEM T easy-EFを得た。ヌクレオチド配列を配列分析によって確認した。
(6)ヒト-βアクチンプロモータ(配列番号6)(Nakajima-Iijimaet al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:6133, 1985;及びMiyamoto,Nucleic Acids Res. 15:9095, 1987)
ヒトβ-アクチンプロモータ(-387番目乃至+944番目)を鋳型に、K562細胞(ヒト骨髄性細胞株、ATCCCCL-243)から分離されたゲノムDNAを使って増幅させた。PCRに用いられたプライマー対のヌクレオチド配列は図11(e)に示すとおりである。
500ngの鋳型ゲノムDNA、1μlの各々のプライマー(10ピコモル/μl)及び5μlのDMSOを含有するPCR反応液50μlを、拡張高性能PCRシステムによって30サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、95℃で1分間(変性)、55℃で1分間(アニーリング)及び72℃で1分30秒間(重合)行われた。
増幅した断片を、pGEM T easyにクローニングし、pGEM T easy-BAを得た。ヌクレオチド配列を配列分析によって確認した。
(7)ヒトグリセルアルデヒド燐酸脱水素酵素(GAPDH)プロモータ(配列番号7)(Ercolani et al., J. Biol. Chem. 263:15335, 1988)
ヒトGAPDH(グリセルアルデヒド燐酸脱水素酵素)プロモータ(-350番目乃至+315番目)を鋳型に、HT1080細胞から分離されたゲノムDNAを使って増幅させた。PCRに用いられたプライマー対のヌクレオチド配列は図12(a)に示すとおりである。
500ngの鋳型ゲノムDNA、1μlの各々のプライマー(10ピコモル/μl)及び5μlのDMSOを含有するPCR反応液50μlを、拡張高性能PCRシステムによって30サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、95℃で1分間(変性)、55℃で1分間(アニーリング)及び72℃で1分30秒間(重合)行われた。
増幅した断片を、pGEM T easy内にクローニングし、pGEM T easy-GAPDHを得た。ヌクレオチド配列を配列分析によって確認した。
(8)ヒトリボソームタンパク質L10(RPL10)プロモータ(配列番号8)(NCBI登録番号:NM_006013, NT_011726;(Bignon et al., Biochem. Biophys. Res. Commun.184:1165, 1992))
ヒトRPL10(リボソームタンパク質L10)プロモータ(-350番目乃至+143番目)(配列番号8のヌクレオチド651番目乃至1143番目)を鋳型に、HT1080細胞から分離されたゲノムDNAを使って増幅させた。PCRに用いられたプライマー対のヌクレオチド配列は図12(b)に示すとおりである。
500ngの鋳型ゲノムDNA、1μlの各々のプライマー(10ピコモル/μl)及び5μlのDMSOを含有するPCR反応液50μlを、拡張高性能PCRシステムによって30サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、95℃で1分間(変性)、55℃で1分間(アニーリング)及び72℃で1分30秒間(重合)行われた。
増幅した断片を、pGEM T easy内にクローニングし、pGEM T easy-RPLを得た。ヌクレオチド配列を配列分析によって確認した。
(9)ヒト白血球レセプター群クラスターメンバー8(LENG8)プロモータ(配列番号9)(NCBI登録番号:AL834532, NT_011109、及び(Cooper et al., GenomeRes. 16:1, 2006)
ヒトLENG8(白血球レセプター群(LRC)クラスターメンバー8)プロモータ(-385番目乃至+305番目、+1908番目乃至+2121番目(配列番号9のヌクレオチド635番目乃至1538番目)を鋳型に、HT1080細胞から分離されたゲノムDNAを使って増幅させた。PCRに用いられたプライマー対のヌクレオチド配列は図12(c)に示すとおりである。
500ngの鋳型ゲノムDNA、1μlの各々のプライマー(10ピコモル/μl)及び5μlのDMSOを含有するPCR反応液50μlを、拡張高性能PCRシステムによって30サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、95℃で1分間(変性)、55℃で1分間(アニーリング)及び72℃で1分30秒間(重合)行われた。
増幅した断片を、pGEM T easy内にクローニングし、pGEM T easy-LENG1及びLENG2を得た。ヌクレオチド配列を確認後、pGEM T easy-LENG1のMluI-PmeI断片をpGEM T easy-LENG2のMluI-PmeI部位内にクローニングし、pGEM T easy-LENG8を調製した。
(10)ヒトソーティングネキシン3(SNX3)プロモータ(配列番号10)(NCBI登録番号:NM-152828,NT_025741、及び(Haft et al.,Mol. CellBiol. 18:7278-7287, 1998)
ヒトSNX3(ソーティングネキシン3)プロモータ(-353番目乃至+338番目)を鋳型に、HT1080細胞から分離されたゲノムDNAを使って増幅させた。PCRに用いられたプライマー対のヌクレオチド配列は図12(d)に示すとおりである。
500ngの鋳型ゲノムDNA、1μlの各々のプライマー(10ピコモル/μl)及び5μlのDMSOを含有するPCR反応液50μlを、拡張高性能PCRシステムによって30サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、95℃で1分間(変性)、55℃で1分間(アニーリング)及び72℃で1分30秒間(重合)行われた。
増幅した断片を、pGEM T easy内にクローニングし、pGEM T easy-SNXを得た。ヌクレオチド配列を配列分析によって確認した。
(11)ヒトCNOT3(配列番号11)(CCR4-NOT転写複合体、サブユニット3)プロモータ(NCBI登録番号: NM_014516、及び(Albert et al., Nucleic Acids Res. 28:809, 2000))
ヒトCNOT3(CCR4-NOT転写複合体、サブユニット3)プロモータ(-350番目乃至+654番目、+5076番目乃至+5266番目を鋳型に、HT1080細胞から分離されたゲノムDNAを使って増幅させた。PCRに用いられたプライマー対のヌクレオチド配列は図13(a)に示すとおりである。
500ngの鋳型ゲノムDNA、1μlの各々のプライマー(10ピコモル/μl)及び5μlのDMSOを含有するPCR反応液50μlを、拡張高性能PCRシステムによって30サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、95℃で1分間(変性)、55℃で1分間(アニーリング)及び72℃で1分30秒間(重合)行われた。
増幅した断片を、初めにpGEM T easy内にクローニングし、pGEM T easy-CNOT1及びCNOT2を各々得た。ヌクレオチド配列を確認後、pGEM T easy-CNOT1のMluI-BamHI断片を、pGEM T easy-CNOT2のMluI-BglII部位内にクローニングし、pGEM T easy-CNOT3を調製した。
(12)ヒトCPNE1(コピンI)プロモータ(配列番号12)(NCBI登録番号: NM_152926、及び(Creutz et al.,J.Biol.Chem.273:1393,1998))
ヒトCPNE1(コピンI)プロモータ(-300番目乃至+489番目、+5612番目乃至+5999番目を鋳型に、HT1080細胞から分離されたゲノムDNAを使って増幅させた。PCRに用いられたプライマー対のヌクレオチド配列は図13(b)に示すとおりである。
500ngの鋳型ゲノムDNA、1μlの各々のプライマー(10ピコモル/μl)及び5μlのDMSOを含有するPCR反応液50μlを、拡張高性能PCRシステムによって30サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、95℃で1分間(変性)、55℃で1分間(アニーリング)及び72℃で1分30秒間(重合)行われた。
増幅した断片を、まず、pGEM T easy内にクローニングし、pGEM T easy-CPNEF及びCPNERを各々得た。ヌクレオチド配列を確認後、pGEM T easy-CPNEFのMluI-BamHI断片を、pGEM T easy-CPNERのMluI-BglII部位内にクローニングし、pGEM T easy-CPNE1を調製した。
(13)ヒトHYPO(仮説タンパク質)プロモータ(配列番号13)(NCBI登録番号: AF351613)
ヒトHYPO(仮説タンパク質)プロモータ(-350番目乃至+66番目)を鋳型に、HT1080細胞から分離されたゲノムDNAを使って増幅させた。PCRに用いられたプライマー対のヌクレオチド配列は図13(c)に示すとおりである
500ngの鋳型ゲノムDNA、1μlの各々のプライマー(10ピコモル/μl)及び5μlのDMSOを含有するPCR反応液50μlを、拡張高性能PCRシステムによって30サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、95℃で1分間(変性)、55℃で1分間(アニーリング)及び72℃で1分30秒間(重合)行われた。
増幅した断片を、初めにpGEM T easy内にクローニングし、pGEM T easy-HYPOを得た。ヌクレオチド配列を配列分析によって確認した。
(14)ヒトDKC1(先天性異常角化症1、ダイスケリン)プロモータ(配列番号14)(NCBI登録番号:BC 009928;及び(Strausberg et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:16899, 2002))
ヒトDKC1(先天性異常角化症1、ダイスケリン)プロモータ(-473番目乃至+91番目)を鋳型に、HT1080細胞から分離されたゲノムDNAを使って増幅させた。PCRに用いられたプライマー対のヌクレオチド配列は図14(a)に示すとおりである。
500ngの鋳型ゲノムDNA、1μlの各々のプライマー(10ピコモル/μl)及び5μlのDMSOを含有するPCR反応液50μlを、拡張高性能PCRシステムによって30サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、95℃で1分間(変性)、55℃で1分間(アニーリング)及び72℃で1分30秒間(重合)行われた。
増幅した断片を、まず、pGEM T easy内にクローニングし、pGEM T easy-DKC1を得た。ヌクレオチド配列を配列分析によって確認した。
(15)ヒトVPS72(液胞タンパク質ソーティング72)プロモータ(配列番号15)(NCBI登録番号:NM_005997;及びHorikawa et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 208:999, 1995))
ヒトVPS72(液胞タンパク質ソーティング72)プロモータ(-466番目乃至+43番目)を鋳型に、HT1080細胞から分離されたゲノムDNAを使って増幅させた。PCRに用いられたプライマー対のヌクレオチド配列は図14(b)に示すとおりである。
500ngの鋳型ゲノムDNA、1μlの各々のプライマー(10ピコモル/μl)及び5μlのDMSOを含有するPCR反応液50μlを、拡張高性能PCRシステムによって30サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、95℃で1分間(変性)、55℃で1分間(アニーリング)及び72℃で1分30秒間(重合)行われた。
増幅した断片を、初めにpGEM T easy内にクローニングし、pGEM T easy-VPS72を得た。ヌクレオチド配列を配列分析によって確認した。
(16)ヒトITGB4BP(インテグリンベータ4結合タンパク質)プロモータ(配列番号16)(NCBI登録番号: BC011845, NT_028392、及び(Strausberg et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:16899, 2002))
ヒトITGB4NP(インテグリンベータ4結合タンパク質)プロモータ(-350番目乃至+304番目)を鋳型に、HT1080細胞から分離されたゲノムDNAを使って増幅させた。PCRに用いられたプライマー対のヌクレオチド配列は図14(c)に示すとおりである。
500ngの鋳型ゲノムDNA、1μlの各々のプライマー(10ピコモル/μl)及び5μlのDMSOを含有するPCR反応液50μlを、拡張高性能PCRシステムによって30サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、95℃で1分間(変性)、55℃で1分間(アニーリング)及び72℃で1分30秒間(重合)行われた。
増幅した断片を、初めにpGEM T easy内にクローニングし、pGEM T easy-ITGB4BPを得た。ヌクレオチド配列を配列分析によって確認した。
(17)ヒトUQCRQ(ユビキノールサイトクロームcリダクターゼ、複合体IIIサブユニットVII)プロモータ(配列番号17)(NCBI登録番号:BC090048, NT_034772、及び(Strausberg et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:16899, 2002))
ヒトUQCRQ(ユビキノールサイトクロームcリダクターゼ、複合体IIIサブユニットVII)プロモータ(-350番目乃至+217番目)を鋳型に、HT1080細胞から分離されたゲノムDNAを使って増幅させた。PCRに用いられたプライマー対のヌクレオチド配列は図14(d)に示すとおりである。
500ngの鋳型ゲノムDNA、1μlの各々のプライマー(10ピコモル/μl)及び5μlのDMSOを含有するPCR反応液50μlを、拡張高性能PCRシステムによって30サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、95℃で1分間(変性)、55℃で1分間(アニーリング)及び72℃で1分30秒間(重合)行われた。
増幅した断片を、初めにpGEM T easy内にクローニングし、pGEM T easy-UQCRQを得た。ヌクレオチド配列を配列分析によって確認した。
-実施例2-
本実施例では、発現ベクターにおいて、強化緑色蛍光タンパク質(enhanced green fluorescence protein,eGFP)の遺伝子発現に対する実施例1で調製されたプロモータの効果を比較した。
1.eGFP発現ベクターの作製
先ず、PCRによって、pAxCAwt(タカラバイオ社製、日本)から、ウサギのベータグロビンポリA配列を得た。PCRに用いられたプライマーのヌクレオチド配列は図15(a)に示すとおりである
100ngの鋳型pAxCAwt DNA(1μl)、1μlの各々のプライマー(10ピコモル/μl)及び5μlのdNTP(10mM)を含有するPCR反応液50μlを、拡張高性能PCRシステムによって30サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、95℃で1分間(変性)、55℃で1分間(アニーリング)及び72℃で1分30秒間(重合)行われた。
増幅した断片を、初めにpGEM T easy内にクローニングし、pGEM T easy-RGpAを得た。ヌクレオチド配列を配列分析によって確認した。
引き続き、pC-LND-GFP-n,pG-LND-GFP-n, pR-LND-GFP-n, pL-LND-GFP-n, pIT-LND-GFP-n及びpU-LND-GFP-n(実施例7で記述)からのMluI-BglII断片を、pGEM T easy-RGpAのMluI-BamHI部位内にクローニングし、pC-GFP-RGpA, pG-GFP-RGpA,pR-GFP-RGpA, pL-GFP-RGpA, pIT-GFP-RGpA及びpU-GFP-RGpAを得た。pS-GFP-RGpAを作製するため、pS-LND-GFP-nのEcoRI-XhoI断片を平滑化した後、pGEM T easy-RGpAの平滑化BamHI部位にクローニングした。
2.eGFP発現の分析
eGFP遺伝子を有する発現ベクターを、製造業者の指示に従い、FuGene6を使って293T細胞内に導入(トランスフェクト)した。GFPの発現レベルをフローサイメトリー分析(flow cytometry)により測定した。前記フローサイメトリー分析は、次のように行われた。トランスフェクトの48時間後に293T細胞を回収し、0.1%のアジ化ナトリウムを含有するリン酸緩衝食塩水(PBS)(FACS緩衝液)で1回洗浄した。続いて、細胞をPBSに再懸濁し、セルクエスト(ベクトン ディキンソン社)データ収集及び分析用ソフトウェアを用い、FACSort(ベクトン ディキンソン、米国カリフォルニア州ロサンゼルス)によって分析した。結果を表1に示す。
Figure 0005760023
上記データは、HCMV及びGAPDHプロモータに匹敵する高レベルのGFP発現を示したものを表している。他のプロモータ、例えば、RPL10, LENG8及びITGB4BPもまた、相当なGFPの発現を誘導しており、真核細胞の遺伝子発現システムにおいて、プロモータとしてその使用の可能性を示している。
-実施例3-
実施例1で調製された多様なプロモータの内、RPL10及びLENG8のプロモータを選択し、遺伝子発現に必要なプロモータの配列を分析するため、更に特性化した。
1.一連のRPL10プロモータの作製
(1)一連のRPL10プロモータの作製
多様な長さのRPL10プロモータをPCRにより調製した。鋳型として、HT1080のゲノムDNAを用い、RPLプロモータを増幅させた。PCRに用いられたプライマー対のヌクレオチド配列は図15(b)に示すとおりである。
1μgの鋳型ゲノムDNA、1μlの各々のプライマー(10ピコモル/μl)及び5μlのdNTP(10mM)を含有するPCR反応液50μlを、拡張高性能PCRシステムによって30サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、95℃で1分間(変性)、60℃で1分間(アニーリング)及び72℃で1分30秒間(重合)行われた。
RPLプロモータ(-350番目乃至+143番目)(配列番号8のヌクレオチド651番目乃至1143番目)は、実施例1(8)に記述されている。
RPL50プロモータ(-50番目乃至+143番目)(配列番号8のヌクレオチド951番目乃至1143番目)を、プライマー対RPL F50及びRPLRを使って増幅させ、pGEM T easyにクローニングし、pGEM T easy-pRPL50を得た。
RPL100プロモータ(-100番目乃至+143番目)(配列番号8のヌクレオチド901番目乃至1143番目)を、プライマー対RPL F100及びRPLRを使って増幅させ、pGEM T easyにクローニングし、pGEM T easy-pRPL100を得た。
RPL200プロモータ(-200番目乃至+143番目)(配列番号8のヌクレオチド801番目乃至1143番目)を、プライマー対RPLF200及びRPLRを使って増幅させ、pGEM T easyにクローニングし、pGEM T easy-pRPL200を得た。
RPL500プロモータ(-500番目乃至+143番目)(配列番号8のヌクレオチド501番目乃至1143番目)を、プライマー対RPL F500及びRPLRを使って増幅させ、pGEM T easyにクローニングし、pGEM T easy-pRPL500を得た。
RPL1000プロモータ(-1000番目乃至+143番目)(配列番号8のヌクレオチド1番目乃至1143番目)を、プライマー対RPL F1000及びRPLRを使って増幅させ、pGEM T easyにクローニングし、pGEM T easy-pRPL1000を得た。
RPLTSSプロモータ(-350番目乃至-1番目)(配列番号8のヌクレオチド651番目乃至1000番目)を、プライマー対RPL F及びRPL R TSSを使って増幅させ、pGEM T easyにクローニングし、pGEM T easy-pRPL TSSを得た。
ヌクレオチド配列は、配列分析により確認された。
(2)RPL10プロモータを有する一連のeGFP発現ベクターの作製
pGEM Teasy-GFP(実施例4に記述)からのBamHI断片を、pGem T easy-RGpA(実施例2に記述)のBamHI部位内に挿入し、pGEM T easy-GFP-RGpAを作製した。引き続き、pGEM T easy-pRPLプロモータのMluI-BamHI断片を、pGem T easy-RGpAのMluI-BamHI部位内にクローニングし、pRPL-, pRPL50-, pRPL100-,pRPL200-, pRPL500-, pRPL1000-およびpRPL TSS-GFP-RGpAを得た。
2.一連のLENG8プロモータの作製
(1)一連のLENG8プロモータの作製
実施例1(9)で述べたように、2個の断片(LENG1及びLENG2)を連結し、LENG8プロモータを製造した。多様な長さのLENG8プロモータを調製するため、一連のLENG1断片をPCRで得た。引き続き、LENG1断片を、実施例1(9)で述べたLENG2断片に連結し、最終LENG8プロモータを生成した。鋳型としてHT1080のゲノムDNAを使用した。PCRに用いられたプライマー対のヌクレオチド配列は図16(a)に示すとおりである。
1μgの鋳型ゲノムDNA、1μlの各々のプライマー(10ピコモル/μl)及び5μlのdNTP(10mM)を含有するPCR反応液50μlを、拡張高性能PCRシステムによって30サイクルのPCR増幅反応に適用した。各々のサイクルは、94℃で1分間(変性)、55℃で1分間(アニーリング)及び72℃で2分間(重合)行われた。
L50の断片(-50番目乃至+305番目)(配列番号9のヌクレオチド970番目乃至1325番目)を、プライマー対LENG F50及びLENG8R1を使って増幅させ、pGEM T easyにクローニングし、pGEM T easy-pL50を得た。
L100の断片(-100番目乃至+305番目)(配列番号9のヌクレオチド920番目乃至1325番目)を、プライマー対LENG F100及びLENG8R1を使って増幅させ、pGEM T easyにクローニングし、pGEM T easy-pL100を得た。
L200の断片(-200番目乃至+305番目)(配列番号9のヌクレオチド820番目乃至1325番目)を、プライマー対LENGF200及びLENG8R1を使って増幅させ、pGEM Teasyにクローニングし、pGEM T easy-pL200を得た。
L1000の断片(-1020番目乃至+305番目)(配列番号9のヌクレオチド1番目乃至1325番目)を、プライマー対LENG F1000及びLENG8R1を使って増幅させ、pGEM T easyにクローニングし、pGEM T easy-pL1000を得た。
引き続き、pGEMTT easy-pL50, -pL100, -pL200及び-pL1000のMluI-PmeI断片を、実施例1(9)で述べたpGEM T easy-LENG2のMluI-PmeI部位内にクローニングし、pGEM T easy-pLENG50P, -pLENG100P, -pLENG200Pおよび-pLENG1000Pを生成した。
LENGTSSプロモータ(-385番目乃至-1番目)(配列番号9のヌクレオチド635番目乃至1019番目)を、プライマー対LENGF及びLENG R TSSを使って増幅させ、pGEM Teasyにクローニングし、pGEM T easy-pLENG TSSを生成した。
LENG8プロモータ(-385番目乃至+305番目、+1908番目乃至+2121番目)(配列番号9のヌクレオチド635番目乃至1538番目)は、実施例1(9)に記述されている。
(2)LENG8プロモータを有する一連のeGFP発現ベクターの作製
eGFP遺伝子を有する発現ベクターを作成するため、pGEM T easy-pLENGプロモータのMluI-EcoRI断片(平滑化されたEcoRI部位)を、pGEM T easy-GFP-RGpAのMluI-BamHI部位(平滑化されたBamHI部位)にクローニングし、pLENG-, pLENG50-, pLENG100-, pLENG200-およびpLENG100-GFP-RGpAを得た。pGEM T easy-pLENG TSSのMluI-PmeI断片を、pGEM T easy-GFP-RGpAのMluI-BamHI部位(平滑化されたBamHI部位)にクローニングし、pLENG TSS-GFP-RGpAを生成した。
3.eGFP発現の分析
293T細胞に、製造業者の指示に従い、FuGene6(ロシュ社、独)を使ってeGFP発現ベクターを導入(トランスフェクト)し、48時間培養した。GFPの発現レベルは、フローサイメトリー分析により測定された。フローサイメトリー分析は、次のように行われた:トランスフェクトの48時間後に293T細胞を回収し、0.1%のアジ化ナトリウムを含有するPBSで1回洗浄した。続いて、細胞をPBSに再懸濁し、セルクエストデータ獲得及び分析用ソフトウェアを用い、FACSortによって分析した。結果を表2に示す。
Figure 0005760023
最短プロモータであるRPL50又はLENG50は、バックグラウンドよりもかなり高いGFPの発現を誘導することができ、転写開始部位の50bp上流の存在が、基本活性に十分であることを示している。しかし、eGFPの発現率は、プロモータRPL10及びLENG8の両方に対する遺伝子発現にとって、より長いプロモータを使用した際に、より高かった。最長RPL10プロモータ、RPL1000は、RPL500又は他のものよりも高いeGFPの発現レベルを誘導することができた。最長LENG8プロモータであるLENG1000もまた、多様なLENGプロモータの内、最高のプロモータ活性を示した。また、プロモータの活性は、転写開始部位(TSS)と、翻訳開始部位との間にエレメントが含まれている場合に、より優れている。
-実施例4-
本実施例では、内部プロモータを、レトロウイルスベクター内にクローニングし、ウイルス力価及びeGFP遺伝子発現のレベルに対するその効果を比較した。
1.eGFP発現レトロウイルスベクターの作製
(1)レトロウイルスベクターの作製
1-1)I-D
U3が欠失しているレトロウイルスプラスミドを作製した。まず、MLVの正常な3`LTRを鋳型に、pMT((Hong et al., J. GeneMed. 6:724, 2004)、および米国特許第6,451,595号)を使って増幅させた。PCRに使用されたプライマー対のヌクレオチド配列は図16(b)に示すとおりである。
増幅した断片を、初めにpGEM T easyにクローニングし、pGEM T easy-3`LTRを得た。
3`LTRが欠失した形態は、鋳型にpMTを使って増幅させた。PCRに使用されたプライマーのヌクレオチド配列は図16(c)に示すとおりである。
増幅した断片を、まず、pGEM T easyにクローニングし、GEM T easy-3`dLTR-1を得た。NheI-SalIの断片をpGEM T easy-3`LTRのNheI-SalI部位にクローニングし、pPreSIN2を得た。pPreSIN2からBamHI-SalI断片をpMTのBamHI-SalI部位にクローニングし、I-Dを製造した。
1-2)I-ND
クローニングを促進するため、新たなマルチプルクローニング部位(MCS)を、レトロウイルスプラスミドI-D内に導入した。新しいMCSの長さ52bpの断片を、鋳型無しで、ポリメラーゼの反応により調製した。図17(a)に示すプライマー対を使用した。
MluI,PmeI, SacII, EcoRI, BamHI, DraIII, StuI, BglII及びXhoIに対する制限酵素の部位を有する、増幅した断片を、初めにpGEM T easyにクローニングした。ヌクレオチド配列を確認した後、MluI-XhoI断片をI-DのMluI-XhoI部位にクローニングし、I-NDを得た。
(2)eGFP遺伝子を有するレトロウイルスベクターの作製
2-1)eGFP遺伝子
eGFP遺伝子を発現するレトロウイルスベクターを作製するため、図17(b)に示すプライマー対を使い、pIRES2-EGFP(クローンテックラボラトリー社製、米国カリフォルニア州パロアルト、Cat.#6029-1)からeGFPの遺伝子を増幅させた。
増幅したeGFPの配列をpGEM T easyにクローニングし、pGEMT easy-eGFPを生成した。BamHI-BglIIの断片を、レトロウイルスベクターpI-DのBamHI部位にクローニングしてpI-D-GFPを獲得し、レトロウイルスベクターI-NDのBamHI部位に挿入し、I-ND-GFPを調製した。
2-2)eGFP遺伝子を有するレトロウイルスベクターの作製
pGEM Teasy-eGFPのBamHI-BglII断片を、野生型LTRを有するレトロウイルスベクターpMTのBamHI部位に挿入し、pMT-GFP([Kimet al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 343:1017, 2006]を作製した。
欠損LTRを持つレトロウイルスベクターのために、実施例1の多様な内部プロモータを、各々GFP配列を有するレトロウイルスベクターにクローニングした。
pCNプラスミドからのMluI-BamHI断片、HCMV IEプロモータをpI-D-GFPのMluI-BamHI部位にクローニングし、pC-D-GFPを得た。pGEM T Easy-MTU3からのMluI断片をpI-D-GFPのMluI部位に挿入し、pM-D-GFPを調製した。pGEM T Easy-Enh+UbCからのMluI断片をpI-D-GFPのMluI部位に挿入し、pCU-D-GFPを生成した。
pCNプラスミドからのMluI-BamHI断片、HCMV IEプロモータを、pI-ND-GFPのMluI-BamHI部位内にクローニングし、C-ND-GFPを得た。pAxCAwt(タカラバイオ社製)からKlenow断片処理されたSalI-SwaI断片を、pI-ND-GFPのPmeI部位にクローニングし、pCA-ND-GFPを得た。pGEM T easy-EFからのMluI-BamHI断片をpI-ND-GFPのMluI-BamHI部位にクローニングし、pE-ND-GFPを得た。pGEM T easy-BAからのMluI-BamHI断片を、pI-ND-GFPのMluI-BamHI部位にクローニングし、pB-ND-GFPを得た。pGEM T easy-GAPDHからのMluI-PmeI断片をpI-ND-GFPのMluI-PmeI部位にクローニングし、pG-ND-GFPを得た。pGEM T easy-RPLからのMluI-BamHI断片を、pI-ND-GFPのMluI-BamHI部位にクローニングし、pR-ND-GFPを得た。pGEM T easy-LENG8からのMluI-EcoRI断片をpI-ND-GFPのMluI-EcoRI部位にクローニングし、pLe-ND-GFPを得た。pGEM T easy-SNXからのEcoRI-BamHI断片をpI-ND-GFPのEcoRI-BamHI部位にクローニングし、pS-ND-GFPを得た。pGEM T easy-CNOT3からのMluI-BamHI断片をpI-ND-GFPのMluI-BamHI部位にクローニングし、pCo-ND-GFPを得た。pGEM T easy-CPNE1からのMluI-BamHI断片をpI-ND-GFPのMluI-BamHI部位にクローニングし、pCP-ND-GFPを得た。pGEM T easy-HYPOからのMluI-BamHI断片をpI-ND-GFPのMluI-BamHI部位にクローニングし、pHY-ND-GFPを得た。pGEM T easy-DKC1からのMluI-EcoRI断片をpI-ND-GFPのMluI-EcoRI部位にクローニングし、pD-ND-GFPを得た。pGEM T easy-VPS72からのMluI-EcoRI断片をpI-ND-GFPのMluI-EcoRI部位にクローニングし、pV-ND-GFPを得た。pGEM T easy-ITGB4BPからのMluI-PmeI断片をpI-ND-GFPのMluI-PmeI部位にクローニングし、pIT-ND-GFPを得た。pGEM T easy-UQCRQからのMluI-PmeI断片をpI-ND-GFPのMluI-PmeI部位にクローニングし、pU-ND-GFPを得た。
2.eGFP発現の分析
293T細胞に、アンホトロピックパッケージング構造物、pVM-GPおよびpVM-AE(Yu et al., Gene Ther. 10:706, 2003)と共に、eGFP遺伝子を有する各々のレトロウイルスベクターを導入し、48時間培養した。培養上清液を0.45μmフィルターで濾過し、細胞を含まないウイルス液を調製し、2 x105個のHT1080およびK562細胞を各々形質導入するために使用した。細胞を48時間インキュベートし、分析のために回収した。GFP陽性細胞の比率及びGFPの発現レベル(平均蛍光強度)をFACS分析により測定した。(表3及び表4参照).
FACS分析は次のように行われた:形質感染の48時間後に、HT1080及びK562の細胞を収穫し、0.1%のアジ化ナトリウムを含有するリン酸緩衝食塩水(PBS)(FACS緩衝液)で1回洗浄した。続いて、細胞をPBSに再懸濁し、セルクエスト(ベクトン ディキンソン社製)データ獲得及び分析用ソフトウェアを用い、FACSort(ベクトン ディキンソン社製、米国カリフォルニア州ロサンゼルス)により分析した。
まず、欠損LTRを持つレトロウイルスベクターからのGFP発現を、野生型LTRを有するレトロウイルスベクターMT-GFPからの発現と比較した。表3に示すように、C-D-GFPベクターだけではなく、MT-GFPも行った。C-D-GFPからのGFP陽性細胞の比率は、HT1080細胞の方が高く、MT-GFPベクターから誘導されたものに比べ、K562細胞では80%以上であった。C-D-GFPベクターから誘導されたGFPの発現レベルは、HT1080細胞の方が高く、MT-GFPベクターから誘導されたものに比べ、k562細胞では約70%であった。上記の実験から、HCMVプロモータが、GFPの発現に優れた性能を示すことが確認できた。しかし、HCMVプロモータと同じくらいに作用する他のプロモータは発見できなかった。CMV/ユビキチンハイブリッドプロモータもやはり、HCMVプロモータよりは低いが、高いウイルス力価及び高いGFP発現レベルを提供している。
Figure 0005760023
次のステップとして、HCMVプロモータ以外の他の多様な内部プロモータを有する、より多くのレトロウイルスベクターをテストした。結果を表4に示す。
Figure 0005760023
表4に示すように、HCMVプロモータは、HT1080およびK562細胞の両方で最高レベルの遺伝子発現(平均蛍光強度参照)及び多数のGFP陽性細胞を示している。しかし、LENG8およびRPL10プロモータが、HT1080およびK562細胞の両方で、最高のウイルス力価(形質導入細胞の比率)を提供している。上記二つのプロモータから誘導されたGFPの発現レベルは、HT1080細胞では比較的低いが、K562細胞では、HCMVプロモータに比べて30%以上である。従って、LENG8およびRPL10プロモータを、一部の細胞タイプにおいて、レトロウイルスベクターシステムでの遺伝子発現に使用することができる。また、GAPDH, UQCRQ, ITGB4BPおよびSNX3プロモータは、比較的高いウイルス力価(CMVプロモータの80%以上)を提供している。
CA-ND-GFPおよびE-ND-GFPベクターは、K562細胞において最高レベルのGFP発現を提供したが、これらのベクターからのウイルス力価はきわめて低く、これらベクターの使用は難しい。
-実施例5-
本実施例では、ウイルス力価及びgp91遺伝子の発現レベルに対する内部プロモータの効果を比較した。
1.gp91発現レトロウイルスベクターの作製
(1)gp91-phox遺伝子(NCBI登録番号: NM_000397)
ヒトgp91-phoxを発現するレトロウイルスベクターを作製するため、gp91cDNAをヒト末梢血リンパ球のトータルRNAから、RT-PCRによりクローニングした。このステップで用いられたプライマーのヌクレオチド配列は図17(c)に示すとおりである。
増幅した断片を、初めにpGEM T easyにクローニングしてpGEM T easy-gp91を生成し、そのヌクレオチド配列を確認した。
(2)pプロモータND
pCNプラスミドからのMluI-BamHI断片、HCMV IEプロモータを、pI-NDのMluI-BamHI部位内にクローニングし、pC-NDを得た。pGEM T easy-GAPDHからのMluI-PmeI断片をpI-NDのMluI-PmeI部位にクローニングし、pG-NDを得た。pGEM T easy-RPLからのMluI-BamHI断片を、pI-NDのMluI-BamHI部位にクローニングし、pR-NDを得た。pGEM T easy-LENG8からのMluI-EcoRI断片を、pI-NDのMluI-EcoRI部位にクローニングし、pL-NDを得た。pGEM T easy-SNXからのEcoRI-BamHI断片を、pI-NDのEcoRI-BamHI部位にクローニングし、pS-NDを得た。pGEM T easy-ITGB4BPからのMluI-PmeI断片をpI-NDのMluI-PmeI部位にクローニングし、pIT-NDを得た。
(3)gp91発現レトロウイルスベクターの作製
pGEM Teasy-gp91のBamHI断片をpMTに挿入し、MT-gp91ベクターを作製した。
pGEM Teasy-gp91からのBamHI-XhoI断片を、pC-ND, pG-ND, pR-ND, pL-ND,pS-NDおよびpIT-NDのBamHI-XhoI部位内に挿入し、pC-ND-gp91, pG-ND-gp91, pR-ND-gp91, pL-ND-gp91, pS-ND-gp91およびpIT-ND-gp91を各々得ることによって、内部プロモータによってgp91-phoxの発現が誘導されるレトロウイルスベクターを作製した。
レトロウイルスベクターpR-LND-gp91-phox-n, pR1000-LND-gp91-nおよびpR1000-LND-gp91-pA-n-revの作製過程は、実施例7(3)に述べられている。
2.gp91発現の分析
リン酸カルシウム沈殿法により、パッケージング構造物、pVM-GP及びpVM-GeR(Kim et al., Biochem. Biophys. Res.Commun. 343:1017, 2006)と一緒に、gp91遺伝子を有する各々のレトロウイルスベクターを293T細胞に導入し、48時間培養した。培養上清液を0.45μmフィルターで濾過して、細胞を含まないウイルス液を調製し、K562細胞の形質導入に使用した。
K562細胞の形質導入の前日に、6ウェルプレ-トに1ウェル当り2.5 x 105の細胞を接種した。8μg/mLポリブレンの存在下、1ウェル当り、同じ容量のウイルス上清液を加え、プレ-トを32℃、2800rpmで90分間遠心分離(エッペンドルフ(Eppendorf)遠心分離機5810R)した。形質導入後、37℃、CO2インキュベータで細胞を2日間インキュベートした。
gp91タンパク質の発現は、フローサイメトリー分析により行った。K562又はPLB-985/gp91-/- 細胞を形質導入してから2日後に回収し、PBSで洗浄した。引き続き、細胞を100μl PBSに再懸濁し、4℃で30分間、1μlの抗-gp91抗体(7D5; MBL, 日本)で染色した。次に、細胞をPBSで2回洗浄し、100μlのPBSに再懸濁し、4℃で、ヤギから得たFITCコンジュゲート抗マウス抗体(サザンバイオテクノロジ-社製)、米国アラバマ州バ-ミンガム)1μlで30分間染色した。次いで、細胞をPBSで3回洗浄し、500μlのPBSに再懸濁した。セルクエスト(BD)データ獲得及び分析用ソフトウェアを用い、FACSort(BD, カリフォルニア州サンホセ)により、フローサイメトリーを行った。
まず、レトロウイルスベクターMT-gp91, C-ND-gp91, G-ND-gp91, R-ND-gp91,L-ND-gp91, S-ND-gp91およびIT-ND-gp91からのgp91発現を比較した。結果を表5に示した。多様なU3欠失のレトロウイルスベクターから、R-ND-gp91およびS-ND-gp91は、他の物よりも高いウイルス力価(K562細胞でMT-gp91の70%以上)を提供している。R-ND-gp91ベクターから誘導されたgp91の発現レベルは、k562の細胞でS-ND-gp91ベクターから誘導されたものよりも高かった。C-ND-eGFPが、高レベルのeGFP発現を提供することができるとはいえ、C-ND-gp91ベクターは、gp91陽性細胞を生成しなかった(表4)。
Figure 0005760023
実施例3では、より長い形態のRPLプロモータは、短いものよりも高レベルのGFP遺伝子発現を誘導できることが認められた。これが、gp91の発現にも適用されるか否かをテストした。最長RPOL10プロモータ、RPL1000(pR1000-LND-gp91-n)を有するgp91発現レトロウイルスベクターを作製し、gp91遺伝子発現に対する効果を確認した。また、RPL1000プロモータ誘導のgp91遺伝子発現カセットが逆方向に挿入されたレトロウイルスベクターpR1000-LND-gp91-n-revを作製し,gp91遺伝子の発現を比較した。結果を表6に示した。
Figure 0005760023
R1000-LND-gp91-nベクターは、R-LND-gp91-nベクターに比べ、それ有するレベルのウイルス力価(gp91+細胞の%)及び、より高いレベルのgp91遺伝子発現(相対平均蛍光強度)を提供することができる。R1000-LND-gp91-n-revベクターは、最高レベルのgp91遺伝子発現を誘導することができるが、そこから提供可能なウイルス力価はR-LND-gp91-nベクターの半分である。
-実施例6-
本発明のレトロウイルスベクターは、生体外遺伝子の伝達に用いることができる。
CD34+造血幹細胞を、対象物から集めた。CD34+細胞の供給源は、骨髄吸引物や起動化末梢血であり得る。集められたCD34+細胞を、共に300ng/mLのヒト幹細胞因子(SCF)、ヒトFLT-3L, 100ng/mLのヒトトロンボポエチン(TPO)及び20ng/mLのヒトIL-3を有する無血清SCGM培地(セルグロ(CellGro)、独)中に、Vuelife培養バッグで、37℃で5%のCO2(事前刺激)下で、2日間培養した。ヒトフィブロネクチン(レトロネクチン、タカラバイオ社製)のCH296断片で予めコ-ティングされているVuelife培養バッグを使って形質導入を行った。事前に刺激された細胞を、レトロネクチンでコ-ティングされたVuelife培養バッグに移し、レトロウイルスの上清液を2日間3回加えた。次に、細胞を回収して食塩水で3回洗浄し、注入液(1%のヒト血清アルブミンを含有する食塩水)に再懸濁し、対象物に注入した。
-実施例7-
本実施例では、パッケージング細胞株PG13で、ウイルス力価および遺伝子発現レベルに対する内部プロモータの効果をテストした。
1.eGFP発現レトロウイルスベクターの作製
(1) レトロウイルスベクターの作製
1-1)pI-LND
U3欠失レトロウイルスベクターは、5`及び3`LTRの何れもが、形質導入後、欠損しやすいので、初めのサイクルのレトロウイルスベクターの形質導入後、起動化することができない。従って、レトロウイルスのパッケージング細胞にpDNAを取り込ませ、レトロウイルスのパッケージング細胞のゲノムに、ベクターを安定してに取り込めるようにすることによって、安定した産生細胞株を得た。ベクターDNAの線形化は、全ての形質転換体がその染色体に適切なDNA配列を含有させるのに重要である。
線形化に便利なレトロウイルスベクターを作製するため、線形化のための2個の制限酵素部位を、レトロウイルスプラスミドpI-NDに導入した。断片L1を、約200bpの距離で5`LTRの前方に挿入し,他の部位L2を3`LTRの後方に挿入することによって、制限酵素の部位中一つを導入した。ポリメラーゼ反応を行い、L1断片を、鋳型無しで製造した。L2断片は、鋳型としてpUC18(プロメガ、米国ウィスコンシン州)を使い、増幅させた。プライマーのヌクレオチド配列は図17(d)に示すとおりである。
SapI,PmlI, BclI, SwaI, BstBI及びSapIに対する制限酵素の部位を有する、増幅されたL1の断片を、初めにpGEM T easy(プロメガ、米国ウィスコンシン州)にクローニングし、pGem T easy-L1を得た。ヌクレオチド配列を確認後、pGem T easy-L1から放出されたSapIの断片を、pI-NDのSapI部位に挿入し、pI-L1NDを得た。StuI, BstEII, SfiI, PmlI, BclI, SwaI及びSspIに対する制限酵素の部位を有する、増幅されたL2の断片を、初めにpGEM T easy(プロメガ、米国ウィスコンシン州)にクローニングし、pGem T easy-L2を得た。ヌクレオチド配列を確認後、pGem T easy-L2から放出されたStuI-SspIの断片を、pI-L1NDのSspI部位にクローニングし、pI-LNDを得た。
1-2)pI-LND-n
高いウイルス力価を持つ産生細胞株を作製するために、レトロウイルスベクターDNAを有する形質転換体を選択することが重要である。このため、薬物耐性遺伝子をしばしば使用する。しかし、ベクターゲノムの内部に薬物耐性遺伝子があるのは望ましくないが、内部に含まれている場合、前記遺伝子が生体内に発現され得るからである。よって、レトロウイルスゲノムの外部に薬物耐性遺伝子のカセットを持つベクターの構造物を調製した。
まず、形質転換体を選別するために、ネオマイシン耐性遺伝子を使用した。ネオマイシン耐性遺伝子を発現させるために、ヒトβアクチンプロモータ及びポリアデニル化配列を、細菌性Neoコード配列に連結させた。
ヒトβアクチンプロモータを、k562からのゲノムDNAを使って増幅させた。PCRに用いられたプライマーのヌクレオチド配列は図18(a)に示すとおりである。
増幅した断片を、pGEM T easyにクローニングし、pGEM T easy-pBAを得た。
細菌性Neoコード遺伝子を、pcDNA 3.1(インビトロジェン社製、米国カリフォルニア州)を使って増幅させた。PCRに用いられたプライマーのヌクレオチド配列は以下の図18(b)に示すとおりである。
増幅した断片を、pGEM T easyにクローニングし、pGEM T easy-Neoを得た。
ポリアデニル化シグナルの配列は、pTet-On(クローンテック、タカラバイオ社)を使って増幅させた。PCRに用いられたヌクレオチド配列は図18(c)に示すとおりである。
増幅した断片を、pGEM T easyにクローニングし、pGEM T easy-pAを得た。
ヌクレオチド配列を確認後、pGEM T easy-pAから得たXhoI-NdeIの断片を、pGEM T easy-NeoのXhoI-NdeI部位に挿入し、pGEM T easy-NeopAを得た。BglII-NdeIの断片を、pGEM T easy-pBAのBamHI-NdeI部位にクローニングし、pGEM T easy-pBA-Neo-pAを得た。MluI-EcoRI-Klenow処理された断片をpI-LNDのSspI部位にクローニングし、pI-LND-nを得た。
(2)eGFP遺伝子を有するレトロウイルスベクターの作製
2-1)pI-LND-GFP-n
pGem T easy-eGFP(実施例2に記述)から得たBamHI-BglIIの断片をpI-LND-nのBamHI部位にクローニングし、pI-LND-GFP-nを得た。
2-2)eGFP遺伝子を有するレトロウイルスベクターの作製
実施例1の多様な内部プロモータを、GFP配列を有するレトロウイルスベクター各々にクローニングした。
pCNプラスミドからのMluI-BamHI断片、HCMVIEプロモータを、pI-LND-GFP-nのMluI-BamHI部位にクローニングし、pI-LND-GFP-nを得た。pGEM T easy-GAPDHからのMluI-PmeI断片をpI-LND-GFP-nのMluI-PmeI部位にクローニングし、pG-LND-GFP-nを得た。pGEM T easy-RPLからのMluI-BamHI断片をpI-LND-GFP-nのMluI-BamHI部位にクローニングし、pR-LND-GFP-nを得た。pGEM T easy-LENG8からのMluI-EcoRI断片をpI-LND-GFP-nのMluI-EcoRI部位にクローニングし、pL-LND-GFP-nを得た。pGEM T easy-SNXからのEcoRI-BamHI断片をpI-LND-GFP-nのEcoRI-BamHI部位にクローニングし、pS-LND-GFP-nを得た。pGEM T easy-ITGB4BPからのMluI-PmeI断片をpI-LND-GFP-nのMluI-PmeI部位にクローニングし、pIT-LND-GFP-nを得た。pGEM T easy-UQCRQからのMluI-PmeI断片をpI-LND-GFP-nのMluI-PmeI部位にクローニングし、pU-LND-GFP-nを得た。
(3)gp91-phox遺伝子を有するレトロウイルスベクターの作製
3-1)pプロモータLND
実施例1の多様な内部プロモータを、pI-LNDにクローニングした。
pCNプラスミドからのMluI-BamHI断片、HCMVIEプロモータを、pI-LNDのMluI-BamHI部位にクローニングし、pC-LNDを得た。pGEM T easy-GAPDHからのMluI-PmeI断片をpI-LNDのMluI-PmeI部位にクローニングし、pG-LNDを得た。pGEM T easy-RPLからのMluI-BamHI断片をpI-LNDのMluI-BamHI部位にクローニングし、pR-LNDを得た。pGEM T easy-LENG8からのMluI-EcoRI断片をpI-LNDのMluI-EcoRI部位にクローニングし、pL-LNDを得た。pGEM T easy-SNXからのEcoRI-BamHI断片をpI-LNDのEcoRI-BamHI部位にクローニングし、pS-LNDを得た。pGEM T easy-ITGB4BPからのMluI-PmeI断片をpI-LNDのMluI-PmeI部位にクローニングし、pIT-LNDを得た。pGEM T easy-UQCRQからのMluI-PmeI断片をpI-LNDのMluI-PmeI部位にクローニングし、pU-LNDを得た。pGEM T easy-pR1000からのMluI-BamHI断片をpI-LNDのMluI-BamHI部位にクローニングし、pR1000-LNDを得た。
3-2)pプロモータLND-n
pGEM Teasy-pBA-Neo-pAからのMluI-EcoRI-Klenow処理された断片を、pC-LND, pG-LND, pR-LND, pL-LND, pS-LND, pIT-LND, pU-LND及びpR1000-LNDのSspI部位にクローニングし、pC-LND-n, pG-LND-n, pR-LND-n, pL-LND-n, pS-LND-n, pIT-LND-n, pU-LND-n及びpR1000-LND-nを生成した。
3-3)gp91-phox遺伝子を有するレトロウイルスの作製
pGEM Teasy-gp91からのBamHI断片を、pC-LND-n, pG-LND-n, pR-LND-n, pL-LND-n, pS-LND-n,pIT-LND-n, pU-LND-n及びpR1000-LND-nのBamHI部位にクローニングし、pC-LND-gp91-phox-n, pG-LND-gp91-phox-n,pR-LND-gp91-phox-n, pL-LND-gp91-phox-n, pS-LND-gp91-phox-n, pIT-LND-gp91-phox-n,pU-LND-gp91-phox-n及びpR1000-LND-gp91-phox-nを生成した。
また、gp91遺伝子発現カセットが逆方向に挿入されるレトロウイルスも作製した。 pC-LND-gp91-pA-n-revを、(i) pC-LND-gp91-nからのMluI-BamHI断片をpI-LND-nのBamHI-StuI部位に挿入してpC-LND-n-revを生成し、(ii) pGem T easy-gp91のBamHI断片をpC-LND-n-revのBamHI部位にクローニングしてpC-LND-gp91-n-revを生成し、引き続き(iii) pGEM T easy-RGpAのEcoRI断片を、pC-LND-gp91-n-revのPmeI部位に挿入してpC-LND-gp91-pA-n-revを得ることによって作製した。
pR1000-LND-gp91-pA-n-revを、(i) pR1000-LND-gp91-nからのMluI-BamHI断片をpI-LND-nのBamHI-StuI部位に挿入してpR1000-LND-n-revを生成し、(ii) pGem T easy-gp91のBamHI断片をpR1000-LND-n-revのBamHI部位にクローニングしてpR1000-LND-gp91-n-revを生成し、引き続き(iii) pGEM Teasy-RGpAのEcoRI断片をpR1000-LND-gp91-n-revのPmeI部位に挿入してpR1000-LND-gp91-pA-n-revを得ることによって作製した。
対照群として、MluI-EcoRIの断片をpMT-gp91のSapI部位に挿入し、pMT-gp91-nを作製した。
2.産生細胞株の作製
(1)レトロウイルスベクターの線形化
eGFP又はgp91を有するレトロウイルスベクターを線形化するために、10μgのレトロウイルスプラスミドを制限酵素(SwaI)で16時間処理した。レトロウイルスベクターを有するDNAの断片をアガロ-スゲルから溶出して沈殿させ、30μlの蒸留水に再懸濁した。DNAの濃度を測定後、電気穿孔に使用した。
(2)電気穿孔
PG13の細胞株を電気穿孔に使用した。7.5 x 105個の細胞を、容量0.5 mLの無血清DMEM培地中で、0.4cmのキュベット(バイオラッドラボラトリ-ズ社製、ヘルクレス、カリフォルニア州)に加え、電気穿孔する前に5分間10μl(1μg/μl)の線形化レトロウイルスプラスミドと共にインキュベートした。200Vの電圧下で、ジーンパルサーエクセル(登録商標)(バイオラッド社)を使い、電気穿孔を20msec間行った。電気穿孔後、懸濁液を10%のプレミアムFBSを有するDMEM培地に、直ちにプレーティングした。
(3)選別
電気穿孔後、G-418(1μg/mLの最終濃度)を使い、ネオマイシン耐性に対する細胞を選別した。選別の10日後に、プラスミドが組み込まれた細胞が得られた。
3.eGFP発現の分析
5x106個のPG13産生細胞株細胞を、10%のプレミアムFBSを有するDMEM倍地中で100mmの皿にプレ-ティングした。48時間後、上清液を集め、0.45μmのフィルタ-で濾過した。前記上清液を使い、リアルタイムPCRを用いてウイルスの力価を測定し、HT1080及びK562細胞を各々形質導入させた。細胞を48時間インキュベートし、分析のために回収した。GFP陽性細胞の比率及びGFPの発現レベル(平均蛍光強度)を、FACS分析により測定した。
4. gp91発現の分析
PG13産生細胞株の5x106 細胞を、10%のプレミアムFBSを有するDMEM倍地中で100mmの皿にプレ-ティングした。48時間後、ウイルスを含有する上清液を集め、0.45μmのフィルタ-で濾過した。前記上清液を使い、K562細胞を形質導入させた。
K562細胞を形質導入するため、形質導入の前日に、6ウェルプレ-トに1ウェル当り2.5 x 105個の細胞を接種した。8μg/mLのポリブレンの存在下、1ウェル当り、同量のウイルス上清液を加え、プレ-トを32℃、2800rpmで90分間遠心分離(エッペンドルフ遠心分離機5810R)した。形質導入後、37℃、CO2インキュベータで細胞を2日間インキュベートした。
gp91タンパク質発現の定量分析のため、FACSを行った。K562細胞を回収し、PBSで洗浄した。引き続き、細胞を100μl PBSに再懸濁し、4℃で1μlの抗-gp91抗体(7D5)によって30分間染色した。次に、細胞をPBSで2回洗浄し、100μlのPBSに再懸濁し、ヤギから得たPE-結合抗マウス抗体(サザンバイオテクノロジー社製、米国アラバマ州バーミンガム)1μlで、4℃で30分間染色した。次いで、細胞をPBSで3回洗浄し、500μlのPBSに懸濁した。セルクエストデータ獲得及び分析用ソフトウェアを用い、FACSortにより、フローサイメトリー分析を行った。結果を図4に示す。GP91陽性細胞の比率及び平均蛍光強度(カッコ内の値)を図に示す。図4に示したように、R1000プロモータは、高レベルのgp91遺伝子発現を誘導することができた。また、R1000プロモータは、発現カセットが逆方向に挿入された場合、より高いウイルス力価及びより高い遺伝子発現レベルを提供することができた。実際、逆方向にR1000プロモータを有するベクターから提供されたウイルス力価は、野生型MLV LTRを持つMT-gp91-nから得た値よりも高かった(gp91陽性細胞の比率参照)。
細胞を0.5% DMF(ジメチルホルムアミド、C3H7NO)で処理し、細胞の分化を誘導した後、ジヒドロロ-ダミン-123(DHR)分析によって、NADPHオキシダーゼの活性レベルを測定した。細胞をDMFの存在下で6日間培養し、分析のために回収した。回収した細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄した。細胞をBSに懸濁し、1.8μlのDHR(モレキュラ-プロ-ブ,米国、29mM)と混合した。細胞を37℃で5分間インキュベートした後、10 μlのホルボールミリステートアセテ-ト(PMA, 1 μg/mL)で刺激した。次に、活性食細胞の比率及びそのオキシダーゼ活性をFACS分析により測定した。
本発明を詳しく述べてきたが、当該分野で通常の技術を持つ者であれば、本発明の範囲又はその任意の態様に影響を及ぼさずに、広範囲で同等な範囲の条件、剤型及びその他のパラメ-タ内において同様に行うことができることを認識するであろう。本願で引用された全ての特許、特許出願及び出版物は、本願にそのまま参考として引用される。

Claims (33)

  1. プロモータであるRPL10、そしてその断片又はバリアントで構成された群から選ばれた異種内部プロモータを含む発現ベクターであって、
    前記断片は、RPL10の転写開始部位に対し、(i)-350番目から-1番目までの配列(配列番号8のヌクレオチド651番目乃至1000番目)または(ii)-50番目から+143番目までの配列(配列番号8のヌクレオチド951番目乃至1143番目)を有し、
    前記バリアントは、前記RPL10の配列と90%以上同一であり、
    前記ベクターは、5’の長い末端反復配列(long terminal repeat, LTR)及び3’LTRを含むヌクレオチド配列を含み、前記3’LTRのU3領域のエンハンサーエレメントが欠失している発現ベクター。
  2. 請求項1において、
    前記断片は、RPL10の一部であり、全長(full length)RPL10のプロモータの転写活性の20%以上を有している発現ベクター。
  3. 請求項1において、
    前記断片は、RPL10の一部であり、全長RPL10のプロモータの転写活性の40%以上を有している発現ベクター。
  4. 請求項3において、
    前記断片は、RPL10の一部であり、全長RPL10のプロモータの転写活性の60%以上を有している発現ベクター。
  5. 請求項1において、
    前記断片は、RPL10の転写開始部位に対し、-100番目から+143番目までの配列(配列番号8のヌクレオチド901番目乃至1143番目)を有する発現ベクター。
  6. 請求項5において、
    前記断片は、RPL10の転写開始部位に対し、-200番目から+143番目までの配列(配列番号8のヌクレオチド801番目乃至1143番目)を有する発現ベクター。
  7. 請求項6において、
    前記断片は、RPL10の転写開始部位に対し、-350番目から+143番目までの配列(配列番号8のヌクレオチド651番目乃至1143番目)を有する発現ベクター。
  8. 請求項7において、
    前記断片は、RPL10の転写開始部位に対し、-500番目から+143番目までの配列(配列番号8のヌクレオチド501番目乃至1143番目)を有する発現ベクター。
  9. 請求項8において、
    前記断片は、RPL10の転写開始部位に対し、-1000番目から+143番目までの配列(配列番号8のヌクレオチド1番目乃至1143番目)を有する発現ベクター。
  10. 請求項1乃至9の何れか一つにおいて、
    前記ベクターは、プラスミドベクターである発現ベクター。
  11. 請求項1乃至10の何れか一つにおいて、
    前記ベクターは、エンハンサーを欠失させたレトロウイルスベクターをコードする発現ベクター。
  12. 請求項1乃至10の何れか一つにおいて、
    前記ベクターは、エンハンサーを欠失させたレトロウイルスベクターである発現ベクター。
  13. 請求項12において、
    前記5’LTRのU3領域のエンハンサーエレメントが欠失している発現ベクター。
  14. 請求項1乃至13の何れか一つにおいて、
    前記異種内部プロモータは、前記プロモータの断片又はバリアントであり、前記断片又はバリアントを含む前記ベクターが実質的に野生型プロモータと同様の高いウイルス力価又は高い転写レベルを提供する能力を有する発現ベクター。
  15. 請求項1乃至14の何れか一つにおいて、
    前記プロモータは、一つ以上のスプライシング部位を含んでいる発現ベクター。
  16. 請求項10乃至13の何れか一つにおいて、
    前記ベクターは、オンコレトロウイルス系(oncoretroviral-based)のレトロウイルスベクターである発現ベクター。
  17. 請求項16において、
    前記オンコレトロウイルス系のレトロウイルスベクターは、MLV系のレトロウイルスベクターである発現ベクター。
  18. 請求項10乃至13の何れか一つにおいて、
    前記ベクターは、レンチウイルス系のレトロウイルスベクターである発現ベクター。
  19. 請求項1乃至18の何れか一つにおいて、
    前記ベクターは、前記異種内部プロモータで作動可能に連結された目的ポリヌクレオチドを含み、前記異種内部プロモータを有する前記ベクターは、高いウイルス力価及び目的ポリヌクレオチドの高い転写レベルを提供できる発現ベクター。
  20. 請求項19において、
    前記目的ポリヌクレオチドは、ポリペプチドをコードする発現ベクター。
  21. 請求項20において、
    前記ポリペプチドは、治療タンパク質又はレポータタンパク質である発現ベクター。
  22. 請求項21において、
    前記ポリペプチドは、eGFPである発現ベクター。
  23. 請求項21において、
    前記ポリペプチドは、gp91である発現ベクター。
  24. 請求項19において、
    前記目的ポリヌクレオチドは、RNA, アンチセンスRNA, 小干渉(small interfering)RNA又はリボザイムをコードする発現ベクター。
  25. 請求項19において、
    前記目的ポリヌクレオチドは、ポリアデニル化配列、IRES, インスレーター配列、スプライシング配列又はその一部の組み合わせを更に有している発現ベクター。
  26. 請求項1乃至25の何れか一つに記載の発現ベクター及び適当な担体を含んでいる組成物。
  27. 請求項1乃至25の何れかの一つに記載の発現ベクターを有する細胞。
  28. 請求項27において、
    前記細胞は哺乳類の細胞である細胞。
  29. 請求項28において、
    前記細胞はヒト細胞である細胞。
  30. 請求項28において、
    前記細胞が産生細胞株である細胞。
  31. 請求項30に記載の産生細胞株を、適当な培地において培養するステップと、前記培地を集めるステップと、細胞を含まないウイルスの上清液を得るために前記培地を濾過するステップとを含む、感染性レトロウイルス粒子の生成方法。
  32. 哺乳類の細胞を請求項31に記載の前記細胞を含まないウイルスの上清液と一緒にインキュベートするステップを含む、哺乳類細胞の導入方法。
  33. 請求項1乃至25の何れか一つの発現ベクターを含んでいるキット。
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