JP5758680B2 - バリ取り装置 - Google Patents
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Description
バリ取り装置としては、研磨材を塗布した研磨ベルトを連続的に送っていわゆるベルトサンダーのようにワークを研磨するもの(特許文献1)のほか、研磨ベルトとワークとを接触させた状態で面方向の振動を加えることにより研磨するものが知られている(特許文献2)。
このような振動式のバリ取り装置では、研磨ベルトの表面のうち特定の研磨領域でバリ取りを行う。研磨領域においては、バリ取りの進行に伴って研磨性能が低下する。このような場合、研磨ベルトを研磨領域分以上送ることで研磨領域に配置される研磨材を新鮮なものに更新し、これにより研磨性能を回復させることがなされている。
これに対し、近年多用されている多関節ロボットアームによりワークを持ち上げ、その表裏を順次研磨ベルトに接触させるようにすれば、多方向のバリ取りを一括して行うことが可能となる。
しかし、ロボットアームでワークを裏返すためには、研磨ベルトから一旦大きく離れてワークを裏返しに転回させる等の煩雑な動作が必要になり、処理時間も長くなるという問題があった。
この際、研磨部では一対の表面(互いに外向きとされた保持プレートの外面)にそれぞれ研磨ベルトが配置されるため、一方の表面でワークの表面を研磨し、ワークの裏面を反対側の表面で研磨することができる。つまり、ワークの表裏のバリ取りを行う場合でも、ワークを裏返しに転回させる必要がなく、効率よくバリ取りを行うことができる。
また、研磨ベルトは、供給部から研磨部に供給しつつ回収部で回収することで順次更新することができるため、研磨部において常時良好な研磨性能を得ることができる。特に、研磨ベルトを一対2系統とし、研磨部の各表面にそれぞれ新鮮な研磨ベルトを供給することができるため、一対の表面の何れにおいても常時良好な研磨性能を得ることができる。
このような供給リールおよび回収リールを用いることで、研磨ベルトの取り扱い性能を高めることができる。供給リールおよび回収リールに同じ規格のリールを用いることで、順次使い回しを行うことができる。
本発明において、前記導入部および前記回収部には、研磨ベルトを保持プレートに沿わせるための構成を用いることが望ましい。導入部としては、保持プレートの端部それ自体をガイドのように用いてもよく、近接ないし離れた位置にガイドローラ等を設置してもよい。回収部としては、ローラもしくは抑え部材等を用いることができ、着脱式の抑え部材を用いて研磨ベルトを保持プレートに押さえつけることで、研磨時の安定性を高めることができる。
このような本発明では、ワークを研磨ベルトの表面側に接触させると、背面側がクッション材であるために研磨ベルトが僅かに窪み、研磨ベルトとワークの辺縁等との接触が十分に得られ、バリ取り性能を高めることができる。
このような本発明では、研磨部がフローティング支持されているため、研磨ベルトにワークを押し付けた際に研磨部が適宜逃げ、研磨ベルトに対するワークの接触圧力を略一定に維持することができる。このため、過剰な接触圧力によるワークの過剰研磨を回避できるとともに、一定の接触圧力による適切なバリ取りを行うことができる。また、ワークの接触に従ってフローティング機構が適宜変位することができ、ワークの微少な寸法のばらつき等があっても、これを許容することができる。
図1、図2、図3および図4において、本実施形態のバリ取り装置1は、平板状の研磨部10と、研磨部10に研磨ベルトを供給する収容部20と、研磨部10を振動させる加振部30と、を有する。収容部20は研磨部10の上流側に設けられ、加振部30は収容部20の上流側に設けられている。なお、ここでは、研磨ベルトが収容部20から研磨部10へ供給されるので、研磨部10側に対して収容部20側を上流側としている。
研磨部10および収容部20は、地面上に設置された基台2に固定された前フレーム3に支持されている。加振部30は、前フレーム3とは独立し、前フレーム3の上流側に設けられた後フレーム4を介して基台2に固定されている。
天板3Bの上面には加振部30から研磨部10へ向かう方向に延びる一対のガイドレール41が設置され、このガイドレール41にはガイドプレート42が摺動自在に支持されている(図3および図4参照)。これらのガイドレール41およびガイドプレート42によりガイド機構40が構成されている。
ここで、フローティングレール51およびフローティングプレート52により本発明の支持体が構成され、コード56,57が本発明の付勢体に相当し、これらの支持体および付勢体により本発明のフローティング機構50が構成され、フローティングプレート52は変位可能な方向の外力を受けない限りフローティングレール51の略中間位置に維持される。
図5にも示すように、研磨部10は、平板状とされかつ一対の表面にそれぞれ研磨ベルト9が配置されるものであり、所定間隔で平行に、且つ、地面に対して垂直な状態(板厚方向が地面に対して水平となる状態)で配置された一対の保持プレート11と、保持プレート11の先端側(下流側の先端部分)に設置された転回部12と、保持プレート11の基端側(上流側の先端部分)の内面側に設置された導入部13と、保持プレート11の基端側の外面側に設置された送出部としてのクランプ14とを有する。
図6および図7に示すように、保持プレート11は、全体が金属製の板材とされて、一方の面には基端側(図中右側)3/5の部分から先端側(図中左側)にかけて凹部11Aが形成され、この凹部11A内にはシート状のクッション材11Bが張られている。なお、クッション材11Bは、全体が合成樹脂材料の発泡体等で形成されるが、表面に低摩擦性材料からなる表面フィルムを有し、研磨ベルト9との摺動抵抗を少なくできるように構成されている。
転回部12は、保持プレート11の先端側に装着されたガイドローラ12Aで構成され、一対の保持プレート11の内側を通って先端側に到達した研磨ベルト9を逆向きに転回させ、各保持プレート11の外側の表面(クッション材11Bが張られている表面)に沿って送り出すことができる。
送出部であるクランプ14は、一対の保持プレート11の基端側の外面側に設置された抑え部材14Aを備えている。抑え部材14Aは、持ち出し部材43の上面に固定されたソレノイドあるいはエアシリンダ等による駆動源14Bにより駆動され、一対の保持プレート11の基端側の外面に圧接または離隔することが可能である。研磨部10において、研磨ベルト9を送る際には抑え部材14Aを離隔させ、研磨を行う際には抑え部材14Aで研磨ベルト9を抑えることで、研磨ベルト9を保持プレート11に密着させることができる。
供給リール21Bは供給リール21Aに対して、また、回収リール21Dは回収リール21Cに対して、バリ取り装置1の幅方向(研磨ベルト9の供給方向と直交する方向)の中心線に対して対称に配置されている。また、供給リール21A,21Bは加振部30の下流側近傍に配置され、回収リール21C、21Dはリール21A,21Bの下流側に配置されている。
巻き取り側のリール21C,21Dとクランプ14との間の経路途中には、ガイドローラ22C,22Dが設置され、クランプ14から回収リール21C,21Dへ回収される一対の研磨ベルト9間の幅寸法を、クランプ14の幅(クランプ14を構成する一対の抑え部材14A間の隙間のサイズ)に維持した状態でリール21C,21Dの近傍まで案内することができる。
研磨ベルト9を送る際には、供給リール21A,21B、回収リール21C,21Dをそれぞれ回転駆動するが、研磨ベルト9に適宜な張力が得られるように、回収リール21C,21Dの回転トルクを供給リール21A,21Bよりもやや強くすることが望ましい。
また、研磨部10において一対の研磨ベルト9の送りが等速になるように、回収リール21C,21Dおよび供給リール21A,21Bはそれぞれ回転を同期させることが望ましい。
図1に示すように、加振部30は、電動モータ等を用いた円筒状の振動発生装置31を有し、この振動発生装置31は、バリ取り装置1の幅方向の中心線に直交する方向を軸としてバリ取り装置1の幅方向の両端を回転自在に後フレーム4に支持されるとともに、背面の上下2点の当接ボルト32A,32Bの突き出し量を調整することで、振動軸線方向を調整可能である。
通常、振動発生装置31の振動軸線方向はガイド機構40のガイドレール41の方向に合わせて調整される。
振動発生装置31の出力軸31Aはガイド機構40のガイドプレート42に連結され、振動発生装置31が発生した振動はガイドプレート42からフローティング機構50を経て研磨部10に伝達される。
このような加振部30からの振動により、研磨部10はその表面に沿った方向に振動を生じ、研磨ベルト9にワークを押し付けることでワークの振動研磨を行うことができる。
この際、研磨部10では一対の表面にそれぞれ研磨ベルト9が配置されるため、一方の表面でワークの表面を研磨し、ワークの裏面を反対側の表面で研磨することができる。つまり、ワークの表裏のバリ取りを行う場合でも、ワークを裏返しに転回させる必要がなく、効率よくバリ取りを行うことができる。
導入部13においては、保持プレート11の端部それ自体をガイドのように用いたため、簡単な構造でありながら、内側に送り込まれる研磨ベルト9を保持プレート11に沿わせることができる。
送出部であるクランプ14においては、着脱式の抑え部材14Aを用いて研磨ベルト9を保持プレート11に押さえつけるようにしたため、研磨時の安定性を高めることができる。
研磨部10を支持するフローティング機構50を採用したため、研磨ベルト9にワークを押し付けた際に研磨部10が適宜逃げ、研磨ベルト9に対するワークの接触圧力を略一定に維持することができる。このため、過剰な接触圧力によるワークの過剰研磨を回避できるとともに、ワーク寸法のばらつきにも対応でき、一定の接触圧力による適切なバリ取りを行うことができる。
例えば、収容部20において、供給部および回収部に同じ規格のリール21A〜21Dを用いることは必須ではなく、異なる種類のリールを用いてもよい。また、リールではなく、供給部においては折り畳んだ状態の研磨ベルト9を引き出すようにしてもよく、回収部においては研磨ベルト9を直ちに裁断して廃棄してもよい。
また、リール21A〜21Dを駆動する駆動モータ23A〜23D、全てが必須ではなく、少なくとも巻き取り側から引っ張るように研磨ベルト9を駆動できればよい。但し、円滑な動作のためには全ての駆動モータ23A〜23Dを用いることが望ましい。
前記実施形態では、フローティング機構50により研磨部10をフローティング支持したが、クッション材11Bの調圧性能が高い場合など、フローティング支持を省略してもよい。
フローティング機構50において、付勢手段はコード56,57に限らず、コイルばね等であってもよく、磁力等を利用するものであってもよい。あるいは、保持プレート11を支持する部分に弾性体を用いてワークの接触に対する逃げを可能としてもよい。
2…基台
3…前フレーム
4…後フレーム
9…研磨ベルト
10…研磨部
11…保持プレート
11B…クッション材
12…転回部
12A…ガイドローラ
13…導入部
14…送出部であるクランプ
14A…抑え部材
14B…駆動源
20…収容部
21A,21B…供給部である供給リール
21C,21D…回収部である回収リール
22A〜22D…ガイドローラ
23A〜23D…駆動モータ
30…加振部
31…振動発生装置
40…ガイド機構
41…ガイドレール
42…ガイドプレート
50…フローティング機構
51…フローティングレール
52…フローティングプレート
Claims (4)
- 平板状とされかつ一対の表面にそれぞれ研磨ベルトが配置される研磨部と、前記研磨部を前記表面に沿った方向へ振動させる加振部と、前記研磨部と前記加振部との間に設置され、前記研磨ベルトを前記研磨部に供給しかつ前記研磨部から回収する収容部と、を有し、
前記収容部は、前記研磨部の各表面にそれぞれ前記研磨ベルトを供給する供給部と、前記研磨部の各表面から前記研磨ベルトを回収する回収部と、を有し、
前記研磨部は、所定間隔で平行に配置されて互いの内面が向かい合いかつ外面が外向きとされた一対の保持プレートと、前記保持プレートの前記加振部とは反対側に設置された転回部と、前記保持プレートの前記加振部側に設置され、前記供給部から前記研磨ベルトが導入される導入部と、前記保持プレートの前記加振部側に設置され、前記回収部へ前記研磨ベルトを送出する送出部とを有し、
一対の前記研磨ベルトは、それぞれ前記供給部から前記導入部に供給されて前記保持プレートに沿って送られ、前記転回部で転回されて前記保持プレートに沿って戻され、前記送出部から前記回収部に回収されるように配置され、かつ前記保持プレートの前記外面に沿った部分でワークを研磨することを特徴とするバリ取り装置。 - 請求項1に記載したバリ取り装置において、
前記導入部は、前記保持プレートの前記加振部側の前記内面側に設置され、
前記送出部は、前記保持プレートの前記加振部側の前記外面側に設置され、
前記供給部は、前記回収部よりも前記加振部寄りに設置され、
一対の前記研磨ベルトは、前記供給部から前記導入部に導入され、前記保持プレートの前記内面側間を通して送られ、前記転回部で転回され、前記保持プレートの前記外面側に沿って戻され、前記送出部から送出され、前記回収部に回収されるように配置されていることを特徴とするバリ取り装置。 - 請求項1または請求項2に記載したバリ取り装置において、
前記研磨部の外側となる前記保持プレートの外面にはクッション材が張られていることを特徴とするバリ取り装置。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載したバリ取り装置において、
前記研磨部を支持するフローティング機構を有し、前記フローティング機構は、前記研磨部を前記保持プレートの厚み方向に変位可能に支持する支持体と、前記研磨部を前記厚み方向の両側へ付勢する一対の付勢体とを有し、前記一対の付勢体は前記研磨部を前記支持体の変位範囲の略中央に保持する付勢力に調整されていることを特徴とするバリ取り装置。
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