JP5757953B2 - ソーダ石灰シリカガラスセラミック材料 - Google Patents

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Description

本発明の分野は、ソーダ石灰シリカ系のガラス材料の分野である。より詳細には、本発明は、良好な機械的強度、特にスクラッチ伝播に対する良好な耐性を有し、かつ改良された焼入れを可能にするソーダ石灰シリカガラスセラミック材料に関する。本発明による材料は、これらの特性を心地良い美的外観と組み合わせて有する。
ガラスは、その最も広い定義では、非晶質であり、結晶秩序を持たず、等方性である材料である。結晶化可能な化合物の成分を含むかかるタイプの非晶質材料の製造時に、失透として知られる結晶化現象が起こりうる。ソーダ石灰シリカガラスの特別な場合において、ガラスの組成は、この望ましくない現象を制限するために数十年間にわたって最適化されている。実際、結晶化が偶然に又は制御されない態様で起こるとき、それは、結晶の形成に導き、それは、相対的に大きく、極めて種々のサイズを有し、かつしばしば表面で針状結晶の形でガラスマトリックスに不均一に分散されている。かかる結晶の存在は、得られたガラスの光学的欠陥(透明性の低下)及び/又は機械的欠陥(機械的応力に対する抵抗力の低下)をもたらす。
それでもなお、非晶質無機ガラスの微小構造界面の不存在は劣った機械的特性に導く。この固有の機械的脆性は機械的衝撃に対する抵抗性の低下をもたらす。特に、ガラスの美的外観は、その使用及び/又はその輸送時にスクラッチ又は摩耗の形成によって大きく劣化されることが多い。さらに、たとえガラスが硬くても、それは脆く、あまり強靭ではない。即ち、切れ目及び粒子境界の不存在に続いてスクラッチの伝播に対する抵抗性がない。
同様に、あまり良好に熱を伝導しないソーダ石灰シリカガラスは、それが加熱される場所で高い膨張率を示す。膨張されたガラスは周囲部分に圧力を及ぼし、それはガラス物体の破裂に導き、いわゆる「熱破壊(thermal breakage)」に導く。
今日、ソーダ石灰シリカガラス産業に極めて広く使用されるガラスの熱的な「焼入れ」は、機械的強度及び耐熱性を改良することを可能にする。
不幸にも、この熱処理は、いったん実施されたら、例えばそれがシートの形であるなら、製品の続く切断を可能にしない。この場合において、機械的加工及び最終的な縁取りを焼入れの前に実施することが重要である。後者のポイントは、タイル張りの床又はカウンターのような改良された機械的強度を要求するガラス製品に対して大きな欠点を示す。なぜなら、それはその設置のために切断を要求することが多いからである。さらに、ソーダ石灰シリカガラスの焼入れは扱いにくく、「薄板ガラス(thin glass)」として知られるガラス、即ち約2.5mm未満の厚さを有するシートの形のガラスに対しては不可能である。実際、焼入れによって誘導される100MPaのオーダの表面の圧縮応力はかかるガラスシートに対して不可能である。この制限は、90×10−7/℃のオーダのソーダ石灰シリカガラスの熱膨張率(CTE)の値に由来する。
しかしながら、ガラス材料の世界では、CTEが増加するときに焼入れが促進されることが良く知られている。従って、ソーダ石灰シリカガラスに対する高いCTE値は改良された焼入れを可能にし、焼入れされた薄板ガラスへのアクセスを提供するだろう。
ガラスの機械的強度、特にそのスクラッチ伝播に対する耐性を改良する一つの既知の方法は、ガラス上に付着された表面層の適用である。この技術は、外部の機械的応力に対して前記層の特別な機械的強度から恩恵を受けることを目的とする。それでもなお、保護層の厚さは制限され、肉眼で見えるスクラッチは、保護されていないガラスを外部の環境に露出し、ガラスの砕けやすい領域にクラック開始の創成に導く。さらに、かかる層の付着は、ガラスのスクラッチ伝播に対する耐性を改良するだけであり、その熱膨張率をいかなる方法でも改変しない。
ガラス材料の分野では、非晶質ガラス相及び結晶質相を含むガラスは従来周知である。これらのガラスは、ガラスの制御された均一な失透から生じる。ガラス結晶材料としても知られ、一般にガラスセラミック材料として知られる半結晶セラミックへの変換は、制御された熱処理によってガラスから得られ、その熱処理は、材料の体積に均一に分散された高密度の小結晶を生成することを可能にする。制御されない失透とは異なって、結晶のこの均一な分布は、製品の機械的特性を改良することを可能にする。実際、あるガラスセラミックは高いスクラッチ耐性及び高い引張強度を有し、さらに高温での膨張の不存在を有し、それはそれらを熱衝撃に対して実際に攻撃されにくくする。
これらの特性に基づいて、かかるタイプのガラスに対して多数の用途が開発されている。ガラスセラミックは例えば暖炉内の横棚又は煙突壁の製造のために使用されている。
数十年間にわたって、そして1950年代の中頃に市場へのガラスセラミックの出現以来、幾つかの会社が、ガラスの部分結晶化に基づいてガラスセラミックを開発している。既知の組成は、例えばLiO−SiO(シリケート)系又はLiO−Al−SiO(アルミノケイ酸塩)系に基づく。さらに、それらは、TiO、ZrO又はPのような一種以上の核形成剤を持つことが多い。
多くの既知のガラスセラミック材料は、非晶質ソーダ石灰シリカガラスよりずっと高い機械的強度及び耐熱性を有するが、それらは、それでもなお製造するにはずっと費用が高く、従って経済的な理由のために標準的な用途に置き換えることができない。その製造の容易性及び原材料の低コスト価格のため、ソーダ石灰シリカガラスは、ガラス産業において、特に建造物、自動車及び装飾市場に対して優位な地位を維持している。
従って、増大した機械的特性、特にスクラッチ伝播に対する良好な耐性を有し、かつ改良された焼入れを可能にするソーダ石灰シリカ材料を製造することに明らかな経済的な利点がある。
さらに、ガラス相及び結晶質相を含む「乳白ガラス」として知られるガラスもまた、従来良く知られており、結晶の意図的な又は制御された結晶化によって乳白剤(通常はフッ化物)をケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、又はホウケイ酸塩中に導入することによって得られる(フッ化物の添加の場合、結晶は通常はCaF又はNaFである)。毎日の生活に多く存在する乳白ガラスは、不透明であり、光を拡散する。それゆえ、主に装飾用途において、そして食卓用食器類または照明器具のような消費者製品の製造において多く使用されている。商標Arcopal(登録商標)の下で販売される従来の乳白ガラスは、主に白色であり、フルオロケイ酸塩である。それでもなお、ガラス組成物中へのフッ化物のような従来の乳白剤の導入は、二つの主要な欠点:即ち(i)環境に対する否定しようがない負の影響、及び(ii)溶融炉の耐火材料の腐食現象の増加を与える。
従って、乳白ガラスに匹敵する心地良い美的外観を有するが、フッ素を含有しないソーダ石灰シリカ材料を得ることに関心がある。
本発明の一つの目的は、特に技術的課題を解決することによって従来技術の欠点を克服すること、即ち、増大した機械的特性、特にスクラッチ伝播に対する良好な耐性を有し、かつ改良された焼入れを可能にするソーダ石灰シリカ材料、即ちNaO−CaO−SiO系に属する材料を得ることである。
本発明の別の目的は、所望の機械的強度、及び改良された焼入れを可能にすることに加えて、意図される用途の機能として望ましい美観を有するソーダ石灰シリカ材料を提供することである。本発明は、この文脈において、透明であるか、又は乳白剤の添加なしで乳白ガラスに匹敵しうる心地良い乳白色の外観を有するソーダ石灰シリカ材料を提供することを提案する。
最後に、本発明の一つの目的は、簡単で、経済的で、かつ環境への影響が少ない、従来技術の欠点に対する解決策を提供することである。
一つの特別な実施形態によれば、本発明は、主成分としてSiO、NaO及びCaOを有するガラスセラミック材料に関する。
本発明によれば、ガラスセラミック材料は、SiOから本質的に構成されかつ非晶質マトリックスの体積に均一に分散された結晶粒子を含む。
従って、本発明による材料は、従来技術からの材料の欠点を克服し、上述の技術的課題を解決することを可能にする。特に、本発明者は、従来技術の教示とは逆に、ソーダ石灰シリカガラスセラミック材料を得ることが可能であることを証明した。実際、それは科学文献において、特にPhysics and Chemistry of Glasses(Vol.14,No.2,1973年4月)に発行されたStrnadらによる論文において、この系に属するガラスの体積において均一な結晶を生成することが不可能であること、そして制御されない不均一な結晶がこの場合において得られうることが主張されている。従来技術はさらに、非晶質相、及び前記非晶質相の体積において均一に分散された結晶質相を含むソーダ石灰シリカ系においていかなるガラスセラミックも提案していない。逆に、ソーダ石灰シリカガラスの一般的な用途(建造物、自動車など)に必要な透明性は、常に当業者が非晶質材料だけを考えるように導き、常に当業者がガラスの組成及びその製造方法を最適化して望ましくない失透現象を防止又は少なくとも制限することを促している。
さらに、本発明者は、極めて驚くべきことに、ガラスセラミックタイプのソーダ石灰シリカ材料が、対応する非晶質ガラスより高いCTE値を達成できることを証明した。
従って、本発明によるソーダ石灰シリカガラスセラミック材料は、増大した機械的強度、特にスクラッチ伝播に対する良好な耐性を有し、それはまた、改良された焼入れを可能にする。本発明のガラスセラミック材料はさらに、経済的であり、建築産業、自動車産業、装飾又は小さな瓶の製造における標準的な用途に対して美観的に受け入れ可能である。
一つの特別な実施形態によれば、非晶質マトリックスの体積に均一に分散された結晶粒子は5nm〜500μmのサイズを有する。好ましくは、透明な材料を得るためには、結晶粒子は5nm〜500nmのサイズを有する。好ましくは、乳白ガラスに匹敵する乳白色の外観を有する材料を得るために、結晶粒子は500nm〜500μmのサイズを有する。
本発明はまた、前述のようなガラスセラミック材料から構成されたシート、及びかかるシートを少なくとも一枚含む物品に関する。
本発明は、より詳細にかつ限定されない態様で記載されるだろう。
図1は、本発明による材料の電子顕微鏡写真によって得られた画像である。
本発明による材料はガラスセラミック材料である。用語「ガラスセラミック」は、ガラス相及び結晶質相の両方を有し、ガラスの制御された失透から生じる材料を意味するものとして理解される。
本発明による材料は、ソーダ石灰シリカ材料、即ちNaO−CaO−SiO系に属する材料である。従って、本発明による材料は、主成分としてSiO、NaO及びCaOを有する。特に、本発明の材料は、全重量による百分率として60〜85%のSiO、1〜25%のNaO、及び1〜25%のCaOを含む。さらに、それはKaO、MgO、Al、BaO、様々な染料、又はレドックスを改変する添加剤から生じる残余のような少量の他の成分(NaNO、NaSO、コークスなど)を含んでもよい。好ましくは、これらの成分は、もしそれらが本発明の材料に存在するなら、合計で材料の15重量%を越えないだろう。
本発明の一つの特別な実施形態によれば、材料はフッ素元素を含有しない。従って、かかる材料は、特に乳白ガラスと比較して環境への影響が低い。なぜなら、その乳白剤は従来フッ化物に基づいているからである。本明細書において、「フッ素元素を含まない」という表現は、材料が微量のフッ素元素しか含まないこと意味する。好ましくは、材料は500ppm(重量による)未満の量のフッ素元素しか含有しない。
さらに、本発明の一つの特別な実施形態によれば、ガラスはリチウム元素を含有しない。酸化リチウムはNaO及びCaOのような酸化物より高価であるので、ソーダ石灰シリカタイプのかかるガラスは、通常、酸化リチウムを含む従来技術から知られたガラスセラミック材料と特に比較すると、否定できない経済的な利点を持つ。「リチウム元素を含まない」という表現は、本発明のガラスがこの元素を微量しか含まないことを意味する。好ましくは、ガラスは500ppm(重量による)未満の量のリチウム元素しか含有しない。
あるいは、本発明の別の特別な実施形態によれば、ガラスは、酸化物の形態で表わすと3重量%付近までの範囲の量でリチウムを含むことができる。これらの量でのリチウムの存在は、溶融状態のガラスの粘度を低下し、従って結晶化を有利にすることを可能にする。
別の好ましい実施形態によれば、本発明のガラスは鉛元素を含まない。「鉛元素を含まない」という表現は、本発明のガラスがこの元素を微量しか含まないことを意味する。
別の好ましい実施形態によれば、本発明のガラスはホウ素元素を含まない。「ホウ素元素を含まない」という表現は、本発明のガラスがこの元素を微量しか含まないことを意味する。
本発明による材料は、非晶質マトリックスの体積に均一に分散された結晶粒子を含む。
材料は、幾つかの粒子の集合体の形で又は分離された形で結晶粒子を含むことができる。
本発明によれば、結晶粒子は、5nm以上で500μm以下のサイズを有する。用語「サイズ」は、粒子の最大寸法を意味するものとして理解される。
本発明の一つの特別な実施形態によれば、結晶粒子は、5nm以上で500nm以下のサイズを有する。有利には、粒子のサイズが可視スペクトルの波長範囲より小さいことによって、この実施形態によるガラスセラミック材料は、高い機械的強度に加えて透明である。
本発明の別の特別な実施形態によれば、結晶粒子は、500nm以上で500μm以下のサイズを有する。有利には、粒子のサイズが可視スペクトルの波長範囲内にあることによって、この実施形態によるガラスセラミック材料は、高い機械的強度に加えて、乳白ガラスに匹敵する心地良い乳白色の外観を有する。
本発明による結晶粒子は本質的にSiOから構成される。材料の組成から生じる成分や非晶質マトリックスに本質的にある不純物はそこに少量存在させてもよい。もしかかる不純物が結晶粒子に存在するなら、それらは全体で5重量%未満の量で存在させることが好ましい。より好ましくは、それらは全体で2重量%未満の量で存在させる。
本発明の一つの特別な実施形態によれば、結晶粒子はこの成分の単一多形の形態である。本発明の別の特別な実施形態によれば、結晶粒子は複数のSiO多形の形態である。本発明による材料はまた、後者の二つの実施形態の各々による粒子を含んでもよい。
SiO多形の例は石英(α又はβ)、クリストバライト(α又はβ)又はトリジマイト(α又はβ)である。
本発明の一つの実施形態によれば、SiOの結晶粒子は本質的にクリストバライトの形態である。
本発明による材料は、SiOから本質的に構成されかつ非晶質マトリックスの体積に均一に分散された結晶粒子を含む。組成物を材料の全重量として考えることによって、この非晶質マトリックスは、結晶粒子の存在によってSiOにおいて消耗される。
本発明によるガラスセラミック材料は、対応する非晶質ガラスと比較して高い機械的強度、特にスクラッチ伝播に対する良好な耐性を有する。
材料の機械的強度は、硬度及び強靱性に関して表現されることが多い。硬度は、引っ掻き(スクラッチ)又は摩耗される材料の能力を特徴づける(MPa又はGPaで表示)。強靱性は、存在するクラックの伝播に耐える材料の能力である。脆性(B)はこれらのパラメータを補足し、硬度(H)と強靭性(Kc)の間の比(H/Kc)(μm−0.5で表示)に相当する。本発明では、硬度と脆性はビッカース圧子によって測定される。
好ましくは、本発明によるガラスセラミック材料は6.5μm−0.5未満の脆性を有する。比較すると、この値は、特別な処理なしの非晶質ソーダ石灰シリカガラスについては約7μm−0.5である。
さらに、ガラスセラミック材料は、対応する非晶質ガラスより高いCTEを有する。
材料の部分的加熱又は部分的冷却は、もしそれが低い熱伝導性を持つなら、ソーダ石灰シリカガラスに対する場合と同様に熱破壊を起こしうる応力に導きうる。
部分的加熱又は部分的冷却のそれぞれの時の材料のこの膨張又は収縮現象の大きさは通常、線形熱膨張率によって規定される。この熱膨張率(CTE)は1℃の変動に対する単位長さあたりの伸長に相当する(℃−1として表示)。
好ましくは、本発明によるガラスセラミック材料は、25〜300℃の範囲の温度変化に対して測定すると、100×10−7/℃より大きいCTEを有する。比較すると、特別な処理のない非晶質ソーダ石灰シリカガラスの同じ温度範囲のCTEは90×10−7/℃のオーダである。
この高いCTE値のため、本発明の材料は改良された焼入れを可能にする。改良された焼入れを可能にする材料は、対応する非晶質ガラスに等価な表面での圧縮応力を得るために低温でかつ/又は短かい時間で焼入れを要求する材料であるものとして理解される。従って、この利点はエネルギーの節約を可能にし、それは環境及び経済の見地から本発明の追加のプラスの効果をもたらす。同様に、改良された焼入れを可能にする材料はまた、等価な熱処理に対して、対応する非晶質ガラスより大きい表面での圧縮応力を有する材料を意味するものとして理解される。最後に、改良された焼入れを可能にする材料はまた、この材料から作られた「薄板」材料の焼入れを可能にする材料を意味するものとして理解される。
本発明によるソーダ石灰シリカガラスセラミック材料は、非晶質マトリックスの体積においてSiOの結晶粒子を発生することができるいかなる方法によっても得られることができる。
特に、本発明による材料は、二つの手段:(i)溶融状態の材料の制御された熱処理(セラミック化(ceramization))、又は(ii)同じ全体組成を有するが非晶質状態で前もって凝固された材料の制御されたアニーリングによって得られることができる。
両場合において、セラミック化として知られる熱処理が実施される。セラミック化は一般に公知の方法で以下の工程を含み、それは数回繰り返されることができる。
a)温度を、核形成範囲を越えて位置される温度T(セラミック化プラトー)まで上昇させる;
b)温度Tを時間tの間、維持する;
c)周囲温度まで急冷する。
本発明による材料は、異なる形状及びサイズの物品を製造するために使用されることができる。それは、例えば瓶、照明設備の球形のガラス器及び装飾物体を製造するために使用されることができる。
特に、本発明のガラスセラミック材料は、前記材料のシートを製造するために使用されることができる。この実施形態によれば、そのスクラッチ伝播に対する耐性の増加によって、それは例えば台所又は実験室のカウンター、テーブル及び棚のために、又は床(敷石、通路)として使用されることができる。さらに、この実施形態によれば、材料が改良された焼入れを可能にすることによって、それはまた、太陽電池パネル又は自動車窓ガラスユニットを製造するために使用されることができる。
前記ガラスセラミック材料を一枚より多く含む本発明による物品の一例は、安全面を改良するために「積層」された、即ち一枚以上のプラスチック中間層フィルムによって合わせられた二枚のシートを含む壁である。
他の詳細及び有利な特徴は、本発明による材料の限定されない例示的な実施形態の記載から以下に現われるだろう。
組成物Cは、全体重量の百分率として、80.3%のSiO、10.3%のNaO、及び9.4%のCaOを含む。
この組成物は1550℃の温度で溶融され、次いで1センチメートルの高さを有する4cm×4cmの型内に注がれた。組成物Cの徐冷却によって得られた非晶質ガラスは次いで1000℃の温度で1時間、加熱(アニーリング)によって熱的に処理された後、再び周囲温度まで徐冷却された。材料Mは組成物Cに対して得られた。
線形熱膨張率(CTE)、硬度、及び脆性は材料Mについて評価された。硬度(H)及び脆性(B)はビッカース圧子(荷重:0.5Kg、付加時間:25秒)によって測定され、CTEは25〜300℃の温度の範囲に対して膨張計を使用して得られた(ISO7991:1987標準規格)。これらの技術は、ガラス材料及びガラスセラミック材料の分野で熟練した人に良く知られているので、さらに説明されないだろう。
これらのパラメータはまた、組成物C(アニーリングなし)に対して得られた非晶質ガラスVについて得られた。得られた値は以下の通りである:
これらの結果は、本発明による材料Mが良好な機械的強度、特に対応する非晶質ソーダ石灰シリカガラスに対してスクラッチ伝播に対する良好な耐性を有することを示す。それらはまた、非晶質ソーダ石灰シリカガラスよりずっと高い熱膨張率を示す。
さらに、Mの材料はまた、走査電子顕微鏡によって及びX線回折によって分析された。図は、材料Mの走査電子顕微鏡によって得られた画像を表わす。
分析は、この材料がマトリックスの体積に均一に分散された粒子を含むことを示した。粒子は結晶質であり、マトリックスは非晶質である。従って、この材料はガラスセラミック材料である。結晶粒子はクリストバライトの形態のSiOの結晶であり、それらは、約0.5μmから約5μmまでで変動するサイズを有する。
材料Mは乳白色の外観を有し、従ってフッ素含有乳白ガラスに匹敵する美的外観を有する。

Claims (9)

  1. 主成分としてSiO、NaO、及びCaOを有するガラスセラミック材料から構成されるシートであって、前記ガラスセラミック材料が、ガラスセラミック材料の全重量に基づいて、60〜85%のSiO2、1〜25%のNa、1〜25%のCaO、及び酸化物の形態で表わすと3重量%までのリチウムを含むものにおいて、前記ガラスセラミック材料が、クリストバライトの形態でSiO から本質的に構成されかつ非晶質マトリックスの体積に均一に分散された結晶粒子を含むことを特徴とするシート。
  2. ガラスセラミック材料がフッ素元素を含まないことを特徴とする請求項1に記載のシート
  3. ガラスセラミック材料が鉛元素を含まないことを特徴とする請求項1または2に記載のシート
  4. 結晶粒子が5nm〜500μmのサイズを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシート
  5. 結晶粒子が5nm〜500nmのサイズを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシート
  6. 結晶粒子が500nm〜500μmのサイズを有することを特徴とする請求項4に記載のシート
  7. ガラスセラミック材料がビッカース圧子によって測定すると6.5μm−0.5未満の脆性を有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のシート
  8. ガラスセラミック材料が25〜300℃の範囲の温度変化について測定すると100×10−7/℃より大きいCTEを有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のシート
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のシートを少なくとも一枚含むことを特徴とする物品。
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