以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
<実施の形態1>
図1Aおよび図1Bを参照して、本実施の形態に係る発光装置について説明する。
図1Aは、本発明の実施の形態1に係る発光装置の平面状態を示す平面図である。
本実施の形態に係る発光装置1は、基板10と、基板10に載置された発光素子チップ11と、発光素子チップ11を封止する封止部12とを備える。また、発光装置1は、封止部12から離れて封止部12を挟むように対向して基板10に配置された光散乱部15を備える。
したがって、発光装置1は、封止部12から離れた位置に光散乱部15を有することから、発光素子チップ11から放射された光を封止部12の外側へ放出し、封止部12から水平方向へ放出された光LL1を光散乱部15で散乱して照射対象としての外部光学部材(例えば、図1Bで示す導光板38)へ向かう光に変換するので、封止部12の直上に配置された外部光学部材(導光板38)へ入光させるに際し、構成部材での反射・吸収等によって生じる光損失を極力低減して直接入光させることができ、外部光学部材に対する結合効率を高めることができる。
基板10は、適宜の配線パターン(図1Aでは、不図示。図2Aないし図2Kで例示する。)が形成されたセラミック基板である。LED(Light Emitting Diode)チップで構成された発光素子チップ11が配線パターンに対応して実装され、ワイヤ13を介して適宜接続されている。なお、図1Aでは、2個の発光素子チップ11を直列に接続した状態を示すが、並列に接続することも可能である。接続形態は、要求される電気的特性、光学特性に応じて適宜設定すれば良い。
内層部に金属板を有し、表面に絶縁層を形成した放熱性の高いメタルコア基板をセラミック基板の代わりに適用することも可能である。また、高い放熱特性がそれほど必要とされない場合には、放熱性の良い基板材料ではなく、プリント配線基板のような単層、多層の樹脂製の絶縁基板を使用しても良い。なお、基板10の平面形状は、例えば3mm〜4mm角程度とすることができる。
発光素子チップ11の電極は、どのような形態であっても良い。例えば、フリップチップ方式、チップの上下両面にアノ−ド電極/カソ−ド電極を分けて配置したもの、チップの表面にアノ−ド電極/カソ−ド電極の両方を備えたものなどがある。電極への接続は、発光素子チップ11のアノ−ド電極/カソ−ド電極の形態によってワイヤ−の適用、バンプ電極でのボール接続などがある。
また、発光素子チップ11は、直方体状であり、平面視で長方形状である。アノ−ド電極/カソ−ド電極は、発光素子チップ11の表面で対向する配置となるように長方形の長手方向で両端部の近傍にそれぞれ形成されている。発光素子チップ11は、発光素子チップ11の長辺が基板10の1辺に平行になるよう配置される。発光素子チップ11は、1つでも良いし、複数であっても良い。図1Aでは、2個の発光素子チップ11を配置した状態を示す。
なお、複数の発光素子チップ11は、各発光素子チップ11の長辺が平行になるように配置することが好ましい。このような配置により、後述する発光素子チップ11を覆う封止部12の上面から見た面積を小さくできる。
発光素子チップ11の周囲は、発光素子チップ11を覆うように直方体状の封止部12によって被覆されている。封止部12は、蛍光体(微小粒子であり、図面の見易さを考慮して図示を省略する。)を含む封止用透光性樹脂12r(図5F参照)で形成されている。つまり、封止部12は、蛍光体を含有する。なお、封止用透光性樹脂12rについては、図5Fでさらに説明する。
蛍光体は、発光素子チップ11からの光の一部を吸収して別の波長の蛍光を放出する。したがって、蛍光体により変換して放出された蛍光と発光素子チップ11からの光との混色により白色光を放出させることができる。つまり、発光装置1は、蛍光体粒子の波長変換によって放射される光の波長を調整することから、適宜の波長の光を発生させることができる。
基板10の平面形状は、四辺形であり、封止部12および光散乱部15は、基板10の例えば1辺10hに平行となるように直線状に延長されている。したがって、発光装置1は、光散乱の制御性を容易かつ高精度に確保し、生産性を向上させることが可能となる。
光散乱部15は、封止部12の端部12tを開放するように分離されている。つまり、2つの光散乱部15の間で、端部12tは、長手方向(長手方向の側面)で露出された形状となっている。したがって、発光装置1は、光散乱部15による制御を及ぼす主要な方向を光散乱部15(長手方向)と交差する方向に制限して光散乱部15による光散乱方向を調整することができる。
光散乱部15は、例えば、1辺10hに平行に配置され、直線状に延長されている。また、光散乱部15の端部15tは、適宜の丸みを帯びた円弧状にされ略球面状に形成されている。光散乱部15の長手方向に垂直な断面は、略半円状あるいは外周が基板10に対して突出している凸形状であることが望ましい。
封止部12の端部12tおよび光散乱部15の端部15tは、基板10の周縁より内側に配置されている。したがって、発光装置1は、封止部12および光散乱部15の配置を高精度に制御することが可能となり、また、複数の基板10を並置した集合基板10s(図5Aないし図5M参照)を分割して基板10を製造するときの生産性を向上させることができる。
光散乱部15の端部15tから基板10の周縁までの距離Lsは、封止部12の端部12tから基板10の周縁までの距離Lpより短い。したがって、発光装置1は、封止部12の端部12tから放射される光に対しても光散乱部15の作用を有効に及ぼすことが可能となる。
つまり、光散乱部15の端部15tは、封止部12の端部12tより基板10の周縁近傍まで伸びるように延長されていることが好ましい。この構成によって、封止部12の両方の端部12tから放出された光は、光散乱部15による作用を受けることが可能となることから、十分に散乱され、封止部12、光散乱部15の位置からさらに外部の方向へ光を向けることができる。
光散乱部15は、発光素子チップ11や蛍光体で放射され封止部12の外部(空気)に放出された光のうち、発光素子チップ11から横方向(チップ側面方向)へ放出された光を散乱させ、散乱された光の少なくとも一部は、基板10の垂直方向で基板10とは反対側へ向けて放射(散乱)される。
また、基板10の表面から光散乱部15の最上面までの高さ(頂点15cの高さ)は、基板10の表面から封止部12の最上面までの高さ(頂面12cの高さ)と同等かそれ以上であることが好ましい。つまり、光散乱部15の基板10からの高さは、封止部12の基板10からの高さに対して同じであること、または、高いことが好ましい。この構成によって、封止部12から放出された光が光散乱部15の作用を受けやすくなり、光LL2を外部方向(基板10の垂直方向での外部方向)へさらに多く向けることが可能となる。
光散乱部15は、光拡散材(例えば、酸化チタン:TiO2)を含有する透光性樹脂15r(図5Kでさらに説明する。)で形成されている。したがって、発光装置1は、光散乱部15の光拡散性を容易にかつ精度良く制御することができる。
光散乱部15に含有させる光拡散材は、光散乱部15の母材である透光性樹脂15r(図5K参照)に均一に分散される。光拡散材としては、TiO2の他に、SiO2、ZnO、ポリスチレン粒子などを用いることができる。また、光拡散材としてのTiO2と、増粘材としてのシリカ(SiO2)を混合して透光性樹脂15rに均一に分散させても良い。
封止部12は、全体に蛍光体を分散させて含有する形態とすることも可能であるが、蛍光体を含有して発光素子チップ11を封止する第1封止部12fと、第1封止部12fに重なる第2封止部12sとを備える形態とすることも可能である。なお、第2封止部12sは、蛍光体を含有しない封止用透光性樹脂で形成される。
この構成により、発光装置1は、蛍光体粒子の波長変換で放射される光の発生を第1封止部12fの範囲に限定することから、第2封止部12sの表面から空間に放射される光の中で入射角が小さい光の割合を増加させることができ、第2封止部12sの表面で全反射を生じる臨界角より小さい入射角を有する光の割合を増加させて外部へ放出する光を増加させることができる。
つまり、発光装置1は、光の発生源を第1封止部12fの範囲に限定することになり(蛍光体粒子が点光源、発光素子チップ11が面光源として作用する)、光の発生源から放出された光を第2封止部12sによって空気中(外部)へ放出するので取り出し効率を改善することができる。また、第1封止部12fの上に第2封止部12sが配置されることから、点光源/面光源として作用する蛍光体粒子/発光素子チップ11から第2封止部12sの表面(空気に対する界面)までの距離が長くなる。したがって、蛍光体粒子や発光素子チップ11から放出された光は、空気との界面である第2封止部12sの表面に対する入射角が小さいものの割合が増加する。言い換えれば、第2封止部12sの表面で全反射を起こす臨界角度より小さな入射角度を有する光の割合が増えることになり、第2封止部12sから外部へ放射される光を増加することが可能となる。
また、第1封止部12fおよび第2封止部12sで構成される封止部12は、平面視で四辺形を基本形状としている。また、両側に光散乱部15が配置されることから、基本的な形状としては、長手方向を有する長方形となる。つまり、封止部12の長手方向の一辺は、基板10の1辺10hに平行となる。また、封止部12は、基板10の中央部に配置されることが望ましい。なお、基本形状は長方形であっても、角部に円弧状の面取りを施すことも可能である。図1Aの場合では、長方形の4隅がそれぞれ半円状の円弧とされている。
また、発光素子チップ11としてフリップチップを使用する場合は、第1封止部12fをチップの表面側にのみ対応させて形成し、第1封止部12fおよび発光素子チップ11を覆うように第2封止部12sを形成することも可能である。
なお、第1封止部12fは、蛍光体を含有する例えば封止用透光性樹脂で形成され、第2封止部12sは、蛍光体を含有しない例えば封止用透光性樹脂で形成される。封止部12(第1封止部12f、第2封止部12s)の具体的な製造方法は、図5Fで例示する。
封止部12の外側には、封止部12の長手方向に沿って封止部12から離れた位置に基板10の1辺10hと平行な光散乱部15が形成されている。光散乱部15は、封止部12の両側に配置されることから、基板10の辺にそれぞれ沿って形成されている。つまり、それぞれの光散乱部15は、封止部12の長手方向に沿って延長され、基板10の周縁より内側に形成されている。
なお、光散乱部15は、基板10の2つの辺に沿ってそれぞれ形成され、残りの辺に対しては、延長(形成)されていない。したがって、封止部12の長手方向の端部12tは、基板10の表面および封止部12の長手方向を延長した位置に対応する側面から見た場合に、光散乱部15によって遮蔽されず、露出した構成となっている。つまり、光散乱部15は、封止部12の長手方向の端部12tを開放するように対向して2つ形成されている。
本実施の形態に係る発光装置1の作用について、封止部12と光散乱部15を離間させず、封止部12と光散乱部15とを接触させた場合を想定して比較説明する。
封止部12と光散乱部15とを接触させた場合、発光素子チップ11や蛍光体から放出された光のうち、封止部12の表面(頂面12c)ではなく側面12d(図1B参照)から光散乱部15へ向かった光は、光散乱部15で散乱され、一部は、基板10の表面や発光素子チップ11に到達し、到達した光の一部は光吸収される。また、封止部12の表面に向けて放射された光の内、臨界角以上の入射角で入射した光は、封止部12の表面で全反射されることから、基板10の表面や発光素子チップ11に到達し、到達した光の一部は光吸収される。
すなわち、封止部12と光散乱部15とを接触させた場合、発光素子チップ11からの光は、封止部12の外部に取り出されずに構成部材(基板10、光散乱部15)や発光素子チップ11で吸収され、光損失が生じる確率が高くなる。
これに対し、本実施の形態に係る発光装置1では、封止部12と光散乱部15との間を離す構成とすることで、発光素子チップ11や蛍光体から放出された光を封止部12の外部にそのまま取りだすことができる。したがって、封止部12の周囲に配置される構成部材による反射、吸収を極力抑制して、光損失を最小限に留めることができる。
図1Bは、図1Aに示した発光装置をバックライト装置の導光板適用したときの配置状態を示す概念図である。なお、図1Aで示したワイヤ13は、図の見易さを考慮して省略してある。
導光板38を備えるエッジライト方式のバックライト装置に適用した場合を例示して発光装置1の作用を説明する。外部光学部材としての導光板38は、光出射面38sおよび入射端面38tを備える。光源としての発光装置1は、入射端面38tに対向させて配置される。
上述したとおり、発光装置1は、封止部12と光散乱部15とを互いに離間する構成とされているので、直方体状の封止部12の表面(頂面12c)からだけでなく側面12d(直方体の高さ方向の面)からも光LL1を取り出すことができる。側面12dから放射された光LL1は、光散乱部15によって、基板10に垂直な空間方向へ放出される。
つまり、発光素子チップ11や蛍光体から放出された光のうち、頂面12cから入射端面38tに向けて直接入射する光とは別に封止部12の側面12dから放射された光LL1は、光散乱部15の作用を受ける。すなわち、側面12dから光散乱部15へ放出された光LL1は、光散乱部15で散乱され、導光板38の入射端面38tへ向かう光LL2に変換される。
したがって、例えば、導光板38を備えるエッジライト方式のバックライト装置に発光装置1を適用したとき、導光板38の入射端面38tへ発光装置1からの光を効率よく入射させることができ、結合効率を向上させ、システム全体として実効上の発光効率を向上させることが可能となる。
また、発光装置1は、封止部12をレンズ形状とする必要がないことから、封止部12の頂面12cは、平面状とされている。例えば、発光装置1を導光板38の入射端面38tに対向させたときに、発光装置1の基板10に垂直な方向の厚み(基板10の表面から入射端面までの距離Ld)を低減することができ、導光板38の入射端面38tに配置される発光装置1を含む外形を縮小して導光板38に対して配置される額縁部36の面積を縮小することができる。
つまり、導光板38の光源として発光装置1を適用した場合、基板10の表面から入射端面38tまでの距離Ldを縮小して導光板38の光源として必要な配置領域を縮小することが可能となる。また、距離Ldを縮小することから、発光装置1と導光板38との結合効率をさらに向上させることができる。
<実施の形態2>
図2Aないし図2Kを参照して、本実施の形態に係る発光装置について説明する。なお、本実施の形態に係る発光装置は、実施の形態1に係る発光装置1の変形例(変形例1〜変形例8)であるので、符号を適宜援用(あるいは省略)し、主に異なる事項について説明する。
また、本実施の形態では、実施の形態1で省略した配線パターン14を図示している。配線パターン14は、いずれか一方がアノード電極用配線パターンとなり、他方がカソード電極用配線パターンとなる。配線パターン14は、発光素子チップ11のアノード電極、カソード電極へ適宜の手段(例えば、ワイヤ。なお、本実施の形態では、図の見易さを考慮してワイヤの図示は省略してある。)で接続される。
図2Aは、本発明の実施の形態2に係る発光装置(変形例1)の平面状態を示す平面図である。
本変形例では、図1Aの発光装置1に比較して、2つの発光素子チップ11のレイアウトを変更したものであり、2つの発光素子チップ11の長辺を光散乱部15の長手方向に平行になるように配置したものである。
本変形例では、発光素子チップ11の表面に形成され、光遮蔽部として作用するアノ−ド電極/カソ−ド電極(図示しない)は、基板10の表面で光散乱部15の側に配置されない。各発光素子チップ11は、封止部12の長手方向に沿って並ぶように配置されているので、発光装置1の中心付近の発光強度を増加させることができる。
図2Bは、本発明の実施の形態2に係る発光装置(変形例2)の平面状態を示す平面図である。
本変形例では、光散乱部15の端部15tは、封止部12の端部12tと同じ位置(参照線RF参照)まで伸びるように形成されている。したがって、封止部12の端部12tから放出される光は、光散乱部15の影響を受けず、そのまま水平方向へ放出されてしまう。しかし、本変形例に係る発光装置1を複数並べて、封止部12および光散乱部15の長手方向が直線状になるように配置した場合、封止部12が互いに近接することになり、隣接する発光装置1の間での輝度をあげることができる。
つまり、本変形例に係る発光装置1では、光散乱部15の端部15tから基板10の周縁までの距離は、封止部12の端部12tから基板10の周縁までの距離と同じである。したがって、発光装置1は、光散乱部15および封止部12を長手方向に複数配置して使用する場合に発光装置1の間での輝度の低下を抑制することができる。
図2Cは、本発明の実施の形態2に係る発光装置(変形例3)の平面状態を示す平面図である。
本変形例では、長方形の発光素子チップ11は、長手方向に直線状に配置されている。したがって、封止部12の平面視での形状をさらに細長くすることができる。例えば、導光板38の入射端面38tの形状に対して整合性のある形状とすることができるので、導光板38に対する結合効率をさらに向上させることが可能となる。
また、発光素子チップ11の表面に形成され、光遮蔽部として作用するアノ−ド電極/カソ−ド電極(図示しない)が、基板10の表面で光散乱部15の近傍に配置されないようにしているので、封止体12から光散乱部15の方へ向かう光を多くさせることができる。
図2Dは、本発明の実施の形態2に係る発光装置(変形例4)の平面状態を示す平面図である。
本変形例では、光散乱部15は、基板10の周縁まで延長して形成されている。また、封止部12の端部12tは、光散乱部15の端部15tより基板10の中央よりに配置されている。光散乱部15は、基板10の周縁まで延長して形成されているので、封止部12から放出される光の内、封止部12の端部12tの周辺から放出される光に対しても光散乱部15の作用を確実に及ぼすことが可能となる。
したがって、封止部12の端部12tの周辺に対しても光散乱部15が作用することから、外部(垂直方向)へ放出される光をさらに増加させることができ、発光効率を向上させる。また、封止部12および光散乱部15を長手方向で輝度を向上させることができる。
図2Eは、本発明の実施の形態2に係る発光装置(変形例5)の平面状態を示す平面図である。
本変形例は、変形例4を変形したものである。つまり、本変形例では、光散乱部15は、長手方向だけでなく、短手方向も基板10の周縁まで延長して形成されているので、光散乱部15は、3方向(基板10の隣接する3辺)で基板10の周縁まで延長されている。したがって、光散乱部15の面積を拡大することが可能となり、外部(垂直方向)へ放出される光をさらに増加させることができる。
図2Fは、本発明の実施の形態2に係る発光装置(変形例6)の平面状態を示す平面図である。図2Gは、図2Fに示した発光装置を矢符2G方向から見た側面状態を示す側面図である。
本変形例では、光散乱部15は、後述する発光装置1の製造方法(図5K参照)で示す基板10への透光性樹脂の塗布ではなく、予め形成された硬質の樹脂部材を貼り付けて形成された光反射部に置き換えている。つまり、光散乱部15(光反射部)は、封止部12に対向する面が斜面状とされた硬質の樹脂部材で形成され、封止部12に対向する面に金属膜の蒸着や反射性塗料の塗布が施されているので、光散乱部15からの光に対して光散乱性(光反射性)を有する。
なお、光反射部の場合は、光の反射・散乱特性がその反射面の傾きや表面状態によって変わるが、光散乱部15の場合は、光の反射・散乱特性が、その散乱面の傾きや表面状態だけではなく、透光性樹脂内部の光拡散材の配置や光拡散材の粒径や形状にも左右される。
光散乱部15を反射部材ではなく光散乱部材で形成した場合、光の反射・散乱特性の散乱面の傾きや表面状態への依存性を高めるためには、透光性樹脂の内部で光拡散材を散乱面近傍に過剰に配置する等の処置を施す。
本変形例に係る光散乱部15(発光装置1)によっても他の変形例と同様な作用を及ぼすことができる。
図2Hは、本発明の実施の形態2に係る発光装置(変形例7)の平面状態を示す平面図である。図2Jは、図2Hに示した発光装置を矢符2J方向から見た側面状態を示す側面図である。
本変形例は、変形例6を変形したものである。つまり、本変形例では、光散乱部15は、長手方向および短手方向において基板10の周縁まで延長して形成されているので、光散乱部15は、3方向(基板10の隣接する3辺)で基板10の周縁まで延長されている。したがって、光散乱部15の面積を拡大することが可能となり、外部(垂直方向)へ放出される光をさらに増加させることができる。
本変形例に係る光散乱部15(発光装置1)によっても他の変形例と同様な作用を及ぼすことができる。
図2Kは、本発明の実施の形態2に係る発光装置(変形例8)の平面状態を示す平面図である。
本変形例では、光散乱部15は、封止部12の外周を囲む四角環状に形成されている。光散乱部15は、平面形状が異なるのみであり、実施の形態1と同様に形成することができる。光散乱部15は、封止部12の周囲を囲むことから、封止部12から水平方向に放出された光を全方位で外部(垂直方向)へ散乱することが可能となり、光損失を低減し、輝度を向上させることができる。光散乱部15は、基板10の周縁に対して内側へ配置される。したがって、光散乱部15を一括して環状に形成することができるので、生産性が良く、低コストで発光装置1を形成することができる。
なお、光散乱部15の平面視での形状は、四角環状に限らず、円環状、多角形環状など適宜設定することができる。また、本変形例に係る発光装置1は、小型の面光源として種々多用な用途(例えば、一般照明機器の光源として適用する発光装置)への適用が可能となる。
<実施の形態3>
図3Aおよび図3Bを参照して、本実施の形態に係る発光装置について説明する。なお、本実施の形態に係る発光装置は、実施の形態1、実施の形態2に係る発光装置1の変形例(変形例9)であるので、符号を適宜援用(あるいは省略)し、主に異なる事項について説明する。なお、配線パターンの図示は、省略してある。
図3Aは、本発明の実施の形態3に係る発光装置(変形例9)の平面状態を示す平面図である。また、図3Bは、図3Aに示した発光装置を矢符3B方向で見た断面状態として示す断面図である。
本実施の形態に係る発光装置1sは、長手方向を有する長方形の基板10、発光素子チップ11(図示省略)、基板10の長手方向に直線状に配置された封止部12、封止部12に沿って一体に形成された光散乱部15を備える。つまり、発光装置1sは、複数の発光素子チップ11、複数の封止部12を備え、光散乱部15は、基板10の長手方向で1辺10hに沿って延長されている。また、隣接する封止部12の間に、副光散乱部16が光散乱部15と交差する方向に配置されている。したがって、発光装置1sは、線状の面光源モジュール化されている。
封止部12は、一定の間隔、あるいは一定の規則性の下で配置されている。光散乱部15は、直線状に配置された複数の封止部12の両側で1辺10hに沿って直線状に配置され、封止部12を両側から挟む形態とされている。したがって、本実施の形態に係る発光装置1sは、実施の形態1、実施の形態2と同様に作用することが可能となる。
副光散乱部16の高さは、発光素子チップ11が有する発光部11fの位置(発光面位置)と同等か、あるいは、より高い位置を有するように形成される。つまり、発光部11fに対して高さHd(>0)を有するように形成される。副光散乱部16は、対向する封止部12から平面方向に放出された光を基板10の垂直方向に散乱させ、隣接する封止部12の間の中間領域で輝度の向上を図り、隣接する封止部12の間での輝度むらを改善する。
なお、基板10の2つの短辺に対応する最外側の副光散乱部16は、形成されても無くてもいずれでも良い。つまり、適用される装置の状態に応じて適宜設定すれば良い。
また、副光散乱部16は、光散乱部15に対して離間するように形成されていても良く、また、接触するように形成されていても良い。なお、光散乱部15、副光散乱部16は、実施の形態1、実施の形態2での光散乱部15と同様に光拡散材を含む透光性樹脂で、基板10の周縁より内側に形成される。
また、副光散乱部16は、光散乱部15に比べて上面から見て基板10の長手方向に幅広く扁平な形状となっていてもよい。これにより、封止部12の側方から放出された光の一部をより多く基板10に垂直な上方向に光の向きを変えて放出させることができ、隣接する封止部12の間での光強度を高めることができる。
本実施の形態に係る発光装置1sの形態によれば、予め長手方向に複数の発光素子チップ11、封止部12を配置し、封止部12に対応させて長手方向に延長した一体の光散乱部15を有することから、導光板38を備えるエッジライト方式のバックライト装置に適用した場合、発光装置1の実装工程を簡略化することができる。
<実施の形態4>
図4Aないし図4Cを参照して、本実施の形態に係る面光源装置および面光源装置を適用した液晶表示装置について説明する。本実施の形態に係る面光源装置20は、本実施の形態に係る液晶表示装置30に対してエッジライト方式のバックライト装置として適用されている。
なお、本実施の形態に係る面光源装置、液晶表示装置に適用する発光装置は、実施の形態1、実施の形態2に係る発光装置1(図2Kを除く)と同様であるので、符号を適宜援用(あるいは省略)し、主に異なる事項について説明する。また、実施の形態3に係る発光装置1sを本実施の形態に係る面光源装置、液晶表示装置に適用することも可能である。
図4Aは、本発明の実施の形態4に係る面光源装置、面光源装置を適用した液晶表示装置の配置状態を概念的に示す側面図である。また、図4Bは、図4Aに示した面光源装置、液晶表示装置を矢符4Bの位置で見たときを平面状態として概念的に示す平面図である。なお、導光板および面光源装置の配置関係を透視的に示している。図4Cは、図4Aに示した面光源装置の平面状態を示す平面図である。
本実施の形態に係る面光源装置20は、実施の形態1、実施の形態2に係る発光装置1と、発光装置1が複数実装された実装基板21とを備え、各発光装置1の封止部12が直線状になるように実装基板21に配置されている(図4C)。
したがって、面光源装置20は、直線状(帯状)の面光源として機能することから、導光板38の入射端面38tに対向して配置された場合には、導光板38に対する結合効率を向上させることが可能となる。また、封止部12を平面状とされた発光装置1を適用することから、薄型化することができる。
また、面光源装置20では、各発光装置1の光散乱部15は、直線状になるように実装基板21に配置されている。したがって、面光源装置20は、各発光装置1の間で光を遮蔽する部材が存在しないことから、各発光装置1の間の領域での輝度の低下を抑制して輝度むらを抑制することが可能となり、輝度と均一性を向上させることができる。
つまり、面光源装置20は、実装基板21の長手方向に対して封止部12の長手方向、光散乱部15の長手方向を揃えることによって、効果的に発光装置1を配置し、発光特性を向上させることができる。
本実施の形態に係る液晶表示装置30は、表示面となる液晶パネル31、光学特性を調整する光学シート32、液晶パネル31の周囲に配置された表面側反射シート33、液晶パネル31に光出射面38sを対応させて配置された導光板38、導光板38に対応して配置された裏面側反射シート34を相互に重ねるように備え、周囲を筐体35で保護している。また、導光板38が有する入射端面38tに対向させて面光源装置20が配置され、面光源装置20を外部から目隠しするように額縁部36が配置されている。
裏面側反射シート34は、導光板38の下面で面光源装置20まで伸びるように配置されている。なお、裏面側反射シート34の代わりに筐体35の表面を反射面としても良い。面光源装置20から入射端面38tに入射された光は、導光板38の内部を伝播し、導光板38の下面に配置された裏面側反射シート34で反射されたりなどして、光出射面38s(表示画面側)から放出される。
つまり、液晶表示装置30は、面光源装置20と、面光源装置20からの光を入射させる入射端面38tと交差する光出射面38sを有する導光板38と、光出射面38sに平行に配置された液晶パネル31とを備える。
したがって、液晶表示装置30は、高い輝度で均一性に優れた光出射面38sを有する導光板38を備えることから、優れた表示特性を実現することができる。また、薄型化が可能な面光源装置20を適用することから、面光源装置20の配置に必要な額縁部36の領域を縮小することができるので表示面積に対する額縁部36の面積を低減することができる。
線状の面光源として構成された面光源装置20(封止部12)は、矩形状の入射端面38tに対向するように配置される。つまり、入射端面38tの長手方向は、面光源装置20の長手方向に対応し、入射端面38tの短手方向(導光板38の厚さ方向)は、面光源装置20の短手方向に対応する。
なお、実施の形態3の発光装置1sを本実施の形態に係る面光源装置20と同様に適用することも可能である。
面光源装置20では、光散乱部15は、直線状に配置された封止部12の配置方向(長手方向)で実装基板21の対向する2辺に沿って形成されており、実装基板21に配置した各発光装置1の間で光を遮る壁が存在しないので、隣接する発光装置1の相互の中間位置での輝度低下を抑制できる。したがって、入射端面38tに均一な光を入射させることが可能となり、入射端面38tに垂直な光出射面38sから出射される光の輝度分布を均一化することができ、液晶パネル31の表示面での輝度むらを均一化することができる。また、表示面での全光束も向上することができる。
<実施の形態5>
図5Aないし図5Nを参照して、本実施の形態に係る発光装置の製造方法について説明する。本実施の形態は、実施の形態1、実施の形態1に係る発光装置1の製造方法であるが、他の実施の形態に係る発光装置1についても同様に適用することが可能である。
図5Aは、本実施の形態に係る発光装置の製造方法の製造工程で、発光素子チップを基板に載置した平面状態を示す平面図である。図5Bは、図5Aに示した製造工程での断面状態を拡大して示す拡大断面図である。
基板10に発光素子チップ11を載置する。基板10は、3.2mm角のセラミック基板であり、表面に配線パターン14(アノード電極、カソード電極)が形成されている。配線パターン14は、セラミック基板の内部を貫通してセラミック基板の裏面に形成された対応するアノ−ド外部電極(不図示)、カソ−ド外部電極(不図示)と接続されている。なお、配線パターン14の形成は、従来のセラミックパッケ−ジの一般的な金属層形成方法に基づき形成される。
発光素子チップ11は、基板10の中央のダイボンドエリアにダイボンドペ−ストなどでダイボンドされる。2つの発光素子チップ11は、各チップの長手方向の一辺が、基板10の1辺に垂直になるように、基板10の1辺に沿って並んで配置される。つまり、封止部12(図5G参照)の長手方向にほぼ垂直となるように封止部12の長手方向に沿って並べて配置されている。
発光素子チップ11は、LEDチップであり、サファイア基板上に形成されたInGaN系の青色LEDチップである。LEDチップのアノ−ド電極、カソ−ド電極は、最表面に形成されており、配線パターン14に対して直列接続となるようにワイヤボンドにより接続される。また、2つのLEDチップの間は、表面の電極同士をワイヤボンドによって接続する形態としてある。
本実施の形態では、LEDチップを直列接続として示すが、並列接続とすることも可能である。なお、LEDチップの載置数は適宜設定すれば良い。
基板10は、予め複数の基板10が一体に形成された集合基板10sとされている。集合基板10sを利用することから、以下の製造工程で複数の発光装置1を一括して製造するので、生産性を向上させることができる。なお、基板10は、集合基板10sの内側にマトリックス状に配置されるので作業の容易性を確保することができる。なお、集合基板10sには、基板10に分割する工程(図5L、図5M参照)の作業性を考慮して予め分離溝10gが裏面に形成されている。
図5Cは、本実施の形態に係る発光装置の製造方法の製造工程で、発光素子チップを封止するための樹脂成形用枠部材を基板に載置した平面状態を示す平面図である。図5Dは、図5Cに示した製造工程での断面状態を拡大して示す拡大断面図である。
封止部12に対応する位置に貫通穴41hが形成された樹脂成形用枠部材41を基板10(集合基板10s。以下、単に基板10と記載することがある。)に重ねて載置(貼り付け)する。樹脂成形用枠部材41は、封止部12の厚さに対応させた適宜の厚さを有し、封止部12を形成する封止用透光性樹脂12r(図5F参照)に対する離型性の高い材料で形成されている。本実施の形態では、フッ素系樹脂のシート材を適用した。なお、基板10に接着する面には接着シートが予め貼り付けてある。
図5Eは、本実施の形態に係る発光装置の製造方法の製造工程で、樹脂成形用枠部材の貫通穴に封止用透光性樹脂を注入した平面状態を示す平面図である。図5Fは、図5Eに示した製造工程の途中での断面状態を拡大して示す拡大断面図である。
樹脂成形用枠部材41の貫通穴41hに封止用透光性樹脂12rを注入する。封止用透光性樹脂12rには、予め蛍光体が混入されている。封止用透光性樹脂12rとしては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などを適用することができる。封止用透光性樹脂12rの注入は、樹脂封止用/樹脂注型用の定量吐出装置45を利用することによって作業性良く実行される。
本実施の形態では、封止用透光性樹脂12rに含有させた蛍光体を沈降させるため、所定時間放置することによって硬化させた。蛍光体を沈降させることによって蛍光体を含有する第1封止部12f(蛍光体含有封止層)と、蛍光体を含有しない第2封止部12s(蛍光体非含有封止層)とを併せて形成することができる(図5H参照)。蛍光体を沈降させて形成する場合、第1封止部12fと第2封止部12sとの間の境界は、厳密には、区分されない。
また、封止用透光性樹脂12rの注入工程は、蛍光体を含有させた状態の封止用透光性樹脂12rで第1封止部12fを形成し(第1封止用透光性樹脂注入工程)、蛍光体を含有させない状態の封止用透光性樹脂12rで第2封止部12sを形成し(第2封止用透光性樹脂注入工程)の2段階を備える封止部形成工程とすることも可能である。このとき、第1樹脂工程で注入した樹脂を硬化させた後、第2樹脂注入工程を実施することによって第1封止部12f、第2封止部12sの境界(図5H参照)を明確にすることができる。
なお、樹脂成形用枠部材41は、スクリ−ン印刷でマスク形成工程として形成しても良い。
図5Gは、本実施の形態に係る発光装置の製造方法の製造工程で、封止部を形成して樹脂成形用枠部材を基板から剥離した平面状態を示す平面図である。図5Hは、図5Gに示した製造工程での側面状態を拡大して示す拡大側面図である。
封止用透光性樹脂12rを硬化させた後、樹脂成形用枠部材41を基板10から剥離する。封止部12(第1封止部12f、第2封止部12s)が基板10に形成されている。
図5Jは、本実施の形態に係る発光装置の製造方法の製造工程で、光散乱部を形成した後の平面状態を示す平面図である。図5Kは、図5Jに示した製造工程の途中での側面状態を拡大して示す拡大側面図である。
光拡散材を含有する透光性樹脂15rは、基板10の対向する2辺に沿って、封止部12の長手方向にほぼ平行に塗布される。透光性樹脂15rの塗布は、定量吐出装置46(ディスペンサ−)を適用することによって、容易かつ高精度に実行される。
光散乱部15の位置は予め設定された配置とする。なお、基板10の外周(分割溝10g)より内側に光散乱部15を形成することによって、後工程の分割工程(基板10を集合基板10sから分割する工程)で、光散乱部15が基板10から剥がれるという不具合を防止することができる。
直線状に塗布した透光性樹脂15rを硬化することによって、光散乱部15を形成する。なお、透光性樹脂15rとしては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などを適用することができる。また、光拡散材は透光性樹脂15rの内部で均一に分散させている。
透光性樹脂15rの粘度、塗布速度、硬化条件などにより、光散乱部15の長手方向に交差する断面形状を調整することができる。光散乱部15の長手方向に交差する断面形状は、側面図として示すように、基板10に対して突出させた凸状とすることができる。凸形状は例えば、半円状、放物線に対応したドーム状に形成することができる。本実施の形態では、線幅を400μmとすることができた。
定量吐出装置46を適用して光散乱部15を塗布して形成する方法によれば、光散乱部15の断面形状をドーム状で例えば数10μm〜数100μm程度の線幅を持つものとすることができる。したがって、本実施の形態に係る光散乱部15の製造方法は、基板10が例えば1mm角程度の小さい場合にも十分な量産性を有する。
なお、基板10がさらに小さい寸法である場合、光散乱部15の形成を定量吐出装置46から、インクジェット印刷方式に変更することで光散乱部15をさらに小さく、また、制御性良く形成することができる。この場合、透光性樹脂15rに添加する光拡散材は、粒径の小さなナノコンポジットなどとすることが望ましい。
また、分割工程の後、個々の発光装置1をピックアップするに当り、ピックアップ用の吸着ノズルで保持できるようにするため、光散乱部15と基板10の周縁との間に一定幅以上の余白部を設けることが好ましい。
なお、実施の形態2の図2F、図2Gで示した発光装置1の製造方法での注意事項について補足説明する。
図2F、図2Gに示した光散乱部15(光反射部)は、斜面に予め光散乱性、光反射性を持たせてある。また、光散乱部15(光反射部)は、硬質の樹脂部材で形成され、基板10に貼り付けられる。光散乱部15(光反射部)の寸法、貼り付ける位置は、透光性樹脂15rの塗布と同様に、基板10の外周(分離溝10g)より内側になるように設定する。
光散乱部15(光反射部)を基板10に貼り付ける製造方法の場合、光散乱部15を基板10へ貼り付けるときに用いる接着層が40μm〜60μm程度の厚みとなる。このとき、接着層の基板10からの高さと、発光素子チップ11の発光部11f(発光面位置。図3B参照)の基板10からの高さとは、同程度となる。つまり、発光素子チップ11(封止部12)から水平方向へ放出された光の大半は、光散乱部15(光反射部)には届かず、接着層に取り込まれる。
接着層は光吸収層として機能することから、光散乱部15の作用を発揮させることはできず、光の取り出し効率が低下してしまう恐れがある。したがって、この場合は、接着層の高さ、発光部11fの高さの関係を予め調整することが必要である。
また、上述した問題を回避する方法としては、光散乱部15(光反射部)を貼り付ける基板10の表面箇所を接着層の厚み分またはそれ以上の厚み分一段低く形成し、段差部を設ける方法がある。この場合、上述した不具合は生じない。
光散乱部15(光反射部)を基板10に貼り付ける方法は、光散乱部15(光反射部)を複数の発光装置1で共有するように形成する場合(例えば、図2H、図2Jの場合)には有利であるが、光散乱部15(光反射部)を含めた分割工程が必要となり、基板10と光散乱部15(光反射部)との界面でのバリ発生などのリスクがある。
光散乱部15(光反射部)を含めた分割を避けるために、個々の発光装置1のそれぞれに光散乱部15(光反射部)を別部材として貼り付けて形成する場合は、光散乱部15(光反射部)の貼り付け作業の手間、精度が問題となる。どちらにせよ、上述した基板10の周縁より内部に光拡散材を含有する透光性樹脂15rを基板10に直接塗布する方法の方が、光散乱部15(光反射部)を基板10に貼り付ける製造方法に比べて、工程が簡単で、コストも低く、より優れた方法といえる。なお、光拡散材を含有する透光性樹脂15rを基板10に直接塗布した場合にはこのような問題は生じない。
なお、実施の形態2の図2E、図2Hで示した発光装置1の製造方法での注意事項について補足説明する。
図2E、図2Hに示した光散乱部15(反射部材、散乱部材)は、基板10の隣接する3辺にまで延長されている。分割する前の集合基板10sの上で、分割線DL(図5L、図5M参照)に対応させて隣接する複数の光散乱部15を一括して形成することができるので、光散乱部15を発光装置1毎に個別に形成する必要がなく、その点では、工程を簡略化することができる。しかし、後工程の分割工程で、光散乱部15の分割への対応が必要になる。なお、分割工程については、後述する。
図5Lは、本実施の形態に係る発光装置の製造方法の製造工程で、集合基板を個々の基板に分割するときの平面状態を示す平面図である。図5Mは、図5Lに示した製造工程での側面状態を拡大して示す拡大側面図である。図5Nは、図5Lに示した製造工程で個々に分割された基板の平面状態を拡大して示す拡大平面図である。
光散乱部15を形成する工程の後、分離溝10gに沿って集合基板10sを分割線DLで折る(ブレークする)ことで個々の基板10に分離(分割)する。分離溝10gは、マトリックス状に配置された基板10の間を分離できるように基板10の間に対応させて予め形成されている。分離溝10gは、マトリックス状に配置された基板10に対応させて、分割領域10dに対応させて格子状に形成されている。
光散乱部15は、分割領域10dより内側、すなわち発光装置1の基板10の周縁より内側にくるように配置されているので、容易に分割することができる。
また、光散乱部15を分割領域10dに重なるように形成した場合、光散乱部15の剥がれや基板10との間でのバリ発生などの対策が必要となる。剥がれ対策、バリ対策が十分であれば、分離溝10gを用いたブレークではなく、フルダイスによって分割することも可能である。
なお、切断機(ダイサー)を用いた切断では、専用の高価な切断装置が必要となる。切断装置を適用する場合、分離溝10gを用いたブレ−クとは異なり、切断に時間がかかることから製造タクトが長くなる。また、切断のための刃の磨耗、目詰まりが生じることから、高価な刃の交換が必要となり、ランニングコストが大きくなる。また、光散乱部15の剥がれや基板10との間のバリ発生などを避けて通ることはできない。したがって、切断機を利用しないで分割することが望ましい。
切断装置を適用して集合基板10sを基板10に分割する場合、形成された光散乱部15を避けて分割する工程とすることも可能である。光散乱部15を避けて分割することによって、高精度に形成された光散乱部15の形状を維持した状態で各発光装置1を製造することができる。また、バリ発生などの切断装置に対する過大な負荷も軽減することができる。
なお、本実施の形態に係る発光装置1の製造方法では、分割領域10dより内側、つまり、基板10の周縁より内側に光散乱部15を形成し、分割領域10dに形成された分離溝10gによって基板10を一括して分割する。本実施の形態に係る製造方法では、光散乱部15の剥がれ、基板10との間でのバリ発生などの切断装置に関連する問題がなく、また、マトリックス状に配置された基板10を行毎、あるいは列毎に一括して分割することができるので、生産性を向上させることができる。
光散乱部15の形成は、定量吐出装置46を適用するが、定量吐出装置46は、封止部12を形成する定量吐出装置45と共用することが可能である。したがって、装置に係るコストを大幅に低減することができ、また、新たな投資も不要となる。つまり、本実施の形態に係る発光装置の製造方法は、極めて生産性が高く、低コストで安価な発光装置1を製造することができる。
上述したとおり、本実施の形態に係る発光装置1の製造方法は、基板10と、基板10に載置された発光素子チップ11と、発光素子チップ11を封止する封止部12と、封止部12から離れて封止部12に対向して基板10に配置された光散乱部15とを備える発光装置1の製造方法であって、基板10に発光素子チップ11を載置する工程と、封止部12を形成する工程と、光散乱部15を形成する工程とを備える。
したがって、本実施の形態に係る発光装置1の製造方法は、容易かつ高精度に封止部12および光散乱部15を形成することができるので、安価な発光装置1を製造することが可能となる。
また、発光装置1の製造方法では、複数の基板10が分割領域10dを介して一体とされた集合基板10sを予め構成してあり、光散乱部15は、分割領域10dを避けて形成される。
したがって、発光装置1の製造方法は、集合基板10sの状態の各基板10に対して分割領域を避けて光散乱部15を形成するので、光散乱部15を高精度に形成することができ、また、集合基板10sを容易にかつ作業性良く各基板10に分割することができる。
また、発光装置の製造方法では、複数の基板10が一体とされた集合基板10sを予め構成してあり、光散乱部15を避けて集合基板10sを各基板10に分割する工程を含む。
したがって、発光装置1の製造方法は、光散乱部15を避けて集合基板10sを各基板10に分割するので、高精度に形成した光散乱部15を維持した状態で各発光装置1を形成することができる。また、切断装置に対する光散乱部15による過大な負荷を軽減することができる。
また、発光装置の製造方法では、光散乱部15は、光散乱剤を含む透光性樹脂15rを基板10に塗布することによって形成される。したがって、発光装置1の製造方法は、容易かつ高精度に光散乱部15を形成することができる。
また、発光装置の製造方法では、透光性樹脂15rは、定量吐出装置46を適用して基板10に塗布される。したがって、発光装置1の製造方法は、光散乱部15を容易にかつ精度良く形成することができる。
また、発光装置の製造方法では、光散乱部15は、封止部12を挟んで封止部12の端部12tを開放するように分離された直線状に形成される。したがって、発光装置1の製造方法は、相互に対向する2つの光散乱部15を封止部12の両側へ容易かつ高精度に形成することができるので、光損失を抑制した発光装置1を容易にかつ高精度に形成することができる。
また、発光装置の製造方法では、封止部12を形成する工程は、封止部12に対応する貫通穴41hを有する樹脂成形用枠部材41を基板10に載置し、貫通穴41hへ封止用透光性樹脂12rを注入する工程を備える。
したがって、発光装置1の製造方法は、安価に形成できる樹脂成形用枠部材41を適用して容易かつ高精度に封止部12を形成するので、生産性良く発光装置1を製造することができる。
また、発光装置の製造方法では、封止部12を形成する工程は、蛍光体を含有した封止用透光性樹脂12rを貫通穴41hへ注入した後、蛍光体を基板10の側へ沈降させる工程を備える。
したがって、発光装置1の製造方法は、蛍光体を含有して封止部12の下層側(発光素子チップ11を被覆する側)を構成する第1封止部12fと、蛍光体を含有しないで封止部12の下層側に重なる封止部12の上層側を構成する第2封止部12sとを1回の樹脂注入で形成することから、容易に生産性良く封止部12を形成することができる。