JP5757558B2 - 家畜飼料の製造方法及び家畜飼料 - Google Patents

家畜飼料の製造方法及び家畜飼料 Download PDF

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Description

本発明は家畜飼料の製造方法、及び家畜飼料に係り、特に牛等の反芻動物の給餌に好適な家畜飼料の製造方法、及び家畜飼料に関する。
近年、我が国では牛の畜産において生産効率を上げるために濃厚飼料依存型の飼育方式が主流になっている。
しかしながら、この濃厚飼料依存型の飼育方式は、牛等の反芻動物の生理を無視することになる。このため、濃厚飼料依存型の飼育方式は、ルーメン(第一胃)機能異常にともなうルーメンアシドーシス等の消化器病を中心とした代謝性疾病発生の原因になっている。
ルーメン機能異常の主な原因は、ルーメン液のpHが中性域に維持できず5.5以下まで低下し、ルーメン内に生育する微生物の恒常性が破壊されることにある。この現象は、濃厚飼料の主要なエネルギー源であるデンプン等の易分解性炭水化物が消化され、揮発性脂肪酸や乳酸が短時間に生成されることにより起こる。
特に、ルーメン機能の安定化に重要な役割を果たしているプロトゾア(原生動物)はpH6.0以下の状態が長く続くとルーメンから消失する。このpHの低下を抑制するためには、牧草などの粗飼料の給与を増やすことが求められている。
しかしながら、粗飼料の生産には広大な農地と労働力を要するため、北海道を除いては慢性的な不足を来たしている。
このため、我が国においては、粗飼料を牧草や稲わらの輸入に頼る傾向がある。我が国においても稲わらは水稲により生産されるが、ほとんどが収穫時に田に鋤き込まれ、粗飼料としては流通していないためである。
さらに、我が国においては、穀物からなる濃厚飼料は、100%輸入されている。また、上述のように粗飼料も輸入されている。
したがって、我が国の畜産経営は輸入飼料穀物価格、輸送費の原油価格に影響される状況にあるため、畜産業の基盤は、きわめて不安定になっている。
また、濃厚飼料や粗飼料の輸入により、口蹄疫等の家畜に感染するウイルスや微生物の持ち込みが懸念されている。
さらに、畜産・酪農の分野においても、国産飼料の増産による我が国の食糧自給率の向上への寄与が求められている。
ここで、牧草と主要な成分が同じである木材は反芻動物の粗飼料として注目されてきた。
従来の木材を用いた反芻動物の粗飼料として、特許文献1を参照すると、飼料成分として鋸屑(オガコ)等の木材チップと、微生物培養液で処理され黒酵母菌を含有する発酵生成物とを配合または混合させたことを特徴とする牛用飼育餌が記載されている(以下、従来技術1とする。)。
従来技術1の牛用飼育餌は、発酵生成物として黒酵母菌を含むことから、木材チップの消化分解を著しく促進させるとの効果の記載がある。
しかしながら、木材では、構成成分であるリグニンが、飼料になる栄養成分であるセルロースやヘミセルロースのような糖質を覆い、消化を阻んでいる。リグニンは、高等植物の木化に関与する高分子のフェノール性の生体高分子化合物であり、高度に重合して、巨大な三次元網目構造(以下、リグニン構造と呼ぶ。)を形成している。また、リグニンは、反応性が乏しい難分解性の化合物であり、反芻動物のルーメン内の通常の微生物では消化できず、通常の酵母でも分解できない。
このため、従来技術1の牛用飼育餌中の木質成分は、実際には、ほとんど消化されない。よって、当該木材チップの給与は、主にルーメンを刺激する効果が期待できるのみであった。
そこで、従来の木材を用いた反芻動物の粗飼料として、特許文献2を参照すると、木材より得られるチップ原料を加圧条件下で蒸煮し、次いで得られた蒸煮物を擂り潰し、繊維状とすることを特徴とする家畜粗飼料の製造方法が記載されている(以下、従来技術2とする。)。
従来技術2の家畜粗飼料は、木材チップを高圧・高温下で蒸煮し、さらに牛が食べやすいように解繊機ですり潰して繊維状にすることで、消化酵素による分解を受けやすくすることができる。
この従来技術2の家畜粗飼料のように、一般に木材を高温・高圧の水蒸気で蒸煮するとヘミセルロースに含まれるアセチル基が遊離して酢酸が生成し、酸性状態になる。この酸性下でヘミセルロースの一部が加水分解し、低分子化して水に可溶になる。また、リグニンも可塑化して、有機溶媒やアルカリで抽出が可能になるとされている。
この状態の家畜粗飼料は、ヘミセルロースが水に溶けて流出し、更に木材の細胞壁構造が破壊されているので、消化酵素が侵入しやすくなる。よって、セルロースやヘミセルロースが、栄養として消化されるようになる。
実際に、蒸煮法で製造された木質飼料は、牛を対象にした野外実証試験で、通常飼料を与えた牛と成長状態に差がないことが実証されている。
特開2000−4801号公報 特開2004−121118号公報
ここで、上述したように、従来技術1の牛用飼育餌のように、未処理の木材チップは殆ど消化されなかった。
また、従来技術2の木質飼料のように、蒸煮法により製造された木質飼料は、牧草などの粗飼料と比較して割高であるという問題があった。さらに、熱によりヘミセルロースが流出しているので栄養価が低いという問題もあった。加えて、加熱処理により牛の貧血・運動障害を起こす有害物質であるフルフラールが生成する可能性がある、という問題があった。このため、蒸煮法により製造された木質飼料は、あまり普及していない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを課題とする。
本発明の家畜飼料の製造方法は、粉砕媒体質量が17.9G以上の加速度で木質原料に高衝撃力を付加する乾式の粉砕装置により、木材から得られる含水率20%以下の木質原料のリグニン構造を粉砕して微粒子化し、前記微粒子化された微粉末を反芻動物の飼料として用いることを特徴とする。
本発明の家畜飼料の製造方法は、前記微粒子化は、前記微粉末の平均粒径が10μm〜50μmになるように微粒子化することを特徴とする。
本発明の家畜飼料の製造方法は、更に、前記微粉末を、圧縮成型機で成型加工することを特徴とする。
本発明の家畜飼料の製造方法は、前記木質原料は、間伐材をチップ化することで得られる含水率100%以下の木材チップを衝撃式粉砕機で含水率を20%以下に調整し、500μm程度の粒径にして用いることを特徴とする。
本発明の家畜飼料の製造方法は、前記木質原料は、杉間伐材を皮つきのままチップ化して用いることを特徴とする。
本発明の家畜飼料は、前記家畜飼料の製造方法により製造されたことを特徴とする。
本発明の家畜飼料は、食品副産物又は食品廃棄物を含むことを特徴とする。
本発明の家畜飼料は、前記食品副産物又は食品廃棄物は、ふすま、米糠、醤油粕、おから、ビール粕、焼酎粕、酒粕、廃糖蜜のいずれかであることを特徴とする。
本発明によれば、含水率20%以下の木質原料を高衝撃粉砕装置によりリグニン構造を粉砕して微粒子化することで、木質原料から、安価で、栄養価が高く、安全性の高い反芻動物用の家畜飼料を提供することができる。
本発明の実施の形態の実施例1に係る杉材微粉末の平均粒径と結晶化度の経時変化を示すグラフである。 本発明の実施の形態の実施例2に係る杉材微粉末の平均粒径と対ホロセルロース糖化率の関係とを示すグラフである。 本発明の実施の形態の実施例2に係る杉材微粉末の結晶化度と対ホロセルロース糖化率の関係とを示すグラフである。 本発明の実施の形態の実施例2に係る粉砕時間と対ホロセルロース糖化率の関係とを示すグラフである。 本発明の実施の形態の実施例2に係る杉材微粉末の濃度と、ホロセルロース糖化率の関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態の実施例5に係る木質飼料ペレットの配合割合と乳牛の選択率の関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態の実施例5に係る木質飼料ペレットの配合割合と乳牛の残飼量の関係を示すグラフである。
<実施の形態>
本発明の発明者は、上述の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、木材、特に利用用途がほとんどない杉間伐材を原料とし、これをチップ状にした後に粉砕装置により微細化することによりリグニン構造を機械的に破壊することを思いついた。
本発明の発明者は、このように微細化された杉間伐材においては、反芻動物の消化率と高い相関性があるセルラーゼ糖化率が90%以上に達していることを見出し、本発明を開発するに至った。
本発明の実施の形態に係る家畜飼料は、間伐材等の未利用木材を、高衝撃力が付加できる粉砕装置により微細化し、次いで得られた微粉末を圧縮成型機でペレットに圧縮成型加工することにより得られる。
具体的に説明すると、本発明の実施の形態に係る家畜飼料は、木材より得られる木質原料を高衝撃力が付加できる粉砕装置により平均粒径が10μm〜50μmまで微細化する。
その後、得られた微粉末を、圧縮成型機で成型加工することにより、木質の家畜飼料を製造する。
本発明の実施の形態に係る家畜飼料の木質原料となる木材チップは、特に樹種に制約がなく、生の木材を利用することが好ましい。特に、資源が豊富であり、新規用途の開発が求められている杉間伐材を利用することが好適である。
具体的に、本発明の実施の形態に係る家畜飼料を製造する場合、まず、間伐材をチップ化することで得られる含水率100%以下の木材チップを、衝撃式粉砕機で含水率を20%以下に調整すると同時に500μm程度の粒径の予備粉砕物にする。
この予備粉砕物を木質原料として、さらに高衝撃力が付加できる粉砕装置により平均粒径が10μm〜50μmまで微細化する。これにより、杉等の針葉樹において、通常の粉砕機では破壊の難しいリグニン構造を粉砕することができる。
粉砕装置としては、特開2009−233542号公報に記載の高衝撃粉砕装置を用いることが好適である。
なお、この高衝撃粉砕装置は、円筒容器内で粉砕媒体を転動させるのと同時に自転させることによって、該円筒容器内の木材を複数の粉砕媒体で粉砕する粉砕装置であって、前記円筒容器の振動は、該円筒容器の静止状態の中心軸と略同じ位置になる仮想軸を中心とした振動であり、前記粉砕媒体のそれぞれは、周辺に必要に応じて複数の凸部が形成され、中央に軸方向の穴部が形成された回転体であるとともに、該粉砕媒体は、該粉砕媒体の中心軸を前記円筒容器の中心軸に平行にして、軸方向に複数並べられつつ、前記円筒容器内に転動可能に収容されることを特徴とする粉砕装置である。
微細化された木材の微粉末は、それ自体を牛の飼料として給餌することができるが、筒状ペレットに圧縮成型加工することにより飼料給与の作業効率を向上することができる。
木材の微粉末を成形する方法は、燃料用木質ペレットの製造で通常用いる圧縮成型機を用いることができる。
たとえば、筒状ペレットの直径に相当する穴を多数設けたダイスとそのダイスの上で回転して木材微粉末を穴で圧縮成型する加圧ローラを備えたディスクダイス方式の成形装置(例えば、遠藤 展、「木のエサをペレットにする」、林産試だより、日本、地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 森林研究本部 林産試験場、1989年、10月号、p.6−9を参照)を用いることができる。
また、スクリューシャフトに固定した押し出し羽根を用いて木材微粉末を強制的に穴のあいた環状ダイスに押し付けることにより筒状ペレットを作製する連続型混合・成形装置(例えば、遠藤 展、「連続型混合・成形装置の開発」、林産試だより、日本、地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 森林研究本部 林産試験場、1991年、7月号、p.16−19)を用いることもできる。
ペレット形状とペレットの大きさについては、任意の形状と大きさにすることができる。たとえば、市販配合飼料と混合させるのに適するよう、市販配合飼料と同じ形状及び同じ大きさ〜半分の大きさ等のペレットに成型することができる。
こうして製造された木質飼料ペレットは、濃厚飼料と組み合わせた配合飼料として牛に給与することができる。
また、粗飼料と濃厚飼料を均一に混合したオール混合飼料(Total Mixed Ration、TMR)に混合して用いることも可能である。
これらの配合飼料やオール混合飼料においては、ふすま、米糠、醤油粕、おから、ビール粕、焼酎粕、酒粕、廃糖蜜等の糟糠類のような食品副産物、及び/又は食品廃棄物等を加えることができる。この食品副産物、及び/又は食品廃棄物は、1種又は複数種を、所定の割合で混合して用いることができる。この割合としては、牛が好適に選択するように、牛の好む組み合わせになるよう混合し、栄養価のスコアをより高めるように配合して提供可能である。
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
本発明の実施の形態に係る家畜飼料は、杉間伐材等の木材を皮つきのままチップ化して木質原料とし、高衝撃力が付加できる粉砕装置によりリグニン構造を粉砕するまで微細化し、次いでペレット状に圧縮成型する。これにより、安価で、反芻動物で消化され、栄養価が高く、加熱していないので有害物質を含まない牛等の家畜の給餌に好適な木質飼料を提供することができる。
具体的には、本発明の実施の形態に係る家畜飼料は、蒸気加熱を行わず、高衝撃力が付加できる粉砕装置により平均粒径が10μm〜50μmまで微細化するだけなので、安価に製造できる。
また、牛において、代表的な牧草であるアルファルファヘイキューおよび稲わらの消化率は、それぞれ約60%、約40%である。これに対して、本発明の実施の形態に係る家畜飼料は、本木質飼料は90%以上が消化されることが、実験により分かっている。
また、アルファルファヘイキューブの乾物の栄養価を示す値である可消化養分総量(Total Digestible Nutrients、TDN)は、60.2%であるのに対して、本発明の実施の形態に係る家畜飼料に用いる杉粉末のTDNは68%(セルロース:40%、ヘミセルロース:28%)である。このため、牧草よりも優れたエネルギー飼料となる。
また、本発明の実施の形態に係る家畜飼料は、栄養成分がセルロースとヘミセルロースであるので、牛のルーメン機能を正常に保つことができる。
また、本発明の実施の形態に係る家畜飼料は、杉間伐材等の生の木材を用いているため、草と異なり、栄養価や収穫量等が天候に左右されない。このため、一定の栄養価で、一年を通じて安定に供給できる。
また、本発明の実施の形態に係る家畜飼料は、我が国の杉間伐材等を有効利用して用いることができる。すなわち、廃棄される木材部位を用いるため安価であり、価格の変動が少ない。
また、本発明の実施の形態に係る家畜飼料は、木材をそのまま用いることができるため、品質のコントロールが容易であり、安全性が高くなる。
また、本発明の実施の形態に係る家畜飼料は、機械給餌に適合した形状に形成するため、取り扱いが容易である。
このような特徴から、本発明の実施の形態に係る家畜飼料は、安全性の高い安価な飼料を製造して畜産農家に安定的に供給することにより畜産を振興することができる。
さらに、間伐材の有効利用は林業、林産業全体の活性化に繋がる。
なお、本発明の実施の形態に係る木質飼料は、上述の高衝撃粉砕装置以外の粉砕装置にて微粒子化することも可能である。この場合でも、リグニン構造を粉砕する微粒子化を行うことが好適である。また、この微粒子化においては、木材の粉末が加熱されないように適宜冷却しながら微粒子化を行うことが望ましい。
また、本発明の実施の形態に係る木質飼料は、杉間伐材以外にも、マツ、クヌギ等の木材を用いることができる。さらに、チップ化されていない鋸屑、樹皮、根、葉等についても用いることができる。
以下において、本発明の実施の形態に係る家畜飼料の製造方法及び家畜飼料を具体的に実施例として説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(杉材の微粉末化と平均粒径、結晶化度の測定)
まず、杉材鋸屑の含水率を10%程度に調整した。この杉材鋸屑の含水率は、低ければ低いほど良い。
次に、含水率を調整した杉材鋸屑を、振動式ロッドミルで予備粉砕し、500μmメッシュの篩を通過した予備粉末800gを、上述の高衝撃粉砕装置により微粉砕を行い、杉材微粉末(微粒子)とした。この杉材微粉末は、家畜飼料に用いることができる。
なお、本実施例の高衝撃粉砕装置は、バッチ式で周辺部に突起の付いた突起付リング媒体を用いた振動ミルであり、複数枚の円板あるいはリングを用い、粉砕容器が水平方向に、または水平および垂直方向に4G〜14Gの加速度を与える振動を行う。これにより、粉砕媒体が粉砕容器内面を高速で転動及び自転し、粉砕媒体質量で16G〜64Gの加速度を持つ。この加速度による高衝撃力により、粉砕容器と粉砕媒体間で原料を微細化する。なお、上述の公報の「回転体2、10」及び「小回転体21」がリング媒体であり、「凸部3」が周辺部の突起である。
以下、この杉材微粉末の性質についての各実験結果について説明する。
まず、図1を参照して、高衝撃粉砕装置を用いて杉材微粉末を木質原料として粉砕を行った際の、粉砕物(微粒子)の平均粒径と結晶化度の経時変化について説明する。
この実施例においては、高衝撃粉砕装置は、振動数1500cpm、振幅4mmにおいて粉砕容器の加速度が10Gとなる。そして、この高衝撃粉砕装置には、1枚3kgで粉砕容器内径と粉砕媒体外径の差が32mmである10枚の粉砕媒体が粉砕容器内部に装着されており、それぞれが40Gの加速度を得る。なお、結晶化度は、リグニンの構造に関連する値である。
図1においては、縦軸は平均粒径(μm)又は結晶化度(%)、横軸は粉砕時間(分、min)を示す。
結果として、杉材微粉末の平均粒径は20分の粉砕で20μmに到達し、結晶化度は80分の粉砕で最小となった。平均粒径が20分以降上昇しているのは、一旦粉砕された粒子が振動ミルの突起付リング媒体との接触圧力で集合し、見かけ上粒径が大きくなったためである。
なお、平均粒径は、日機装株式社製「マイクロトラックHRA−X−100」で測定した。
結晶化度は、株式会社リガク製「自動X線回折装置RINT2500」での測定値より、結晶化度={(最大強度)−(2θ=18°における強度)}/最大強度の評価式で求めた。
(杉材微粉末の対ホロセルロース糖化率の測定)
次に、実施例1の杉材微粉末を、粉砕時間ごと(0、10、20、30、40、60、80、100分)にサンプリングして、0.02M酢酸緩衝液(pH5.0)2mLに2%(w/v)、セルラーゼ酵素0.1%入れ、50℃で48時間の糖化する試験を行った。この結果を、図2〜5を参照して説明する。上述したように、セルラーゼ糖化率は、反芻動物の消化率と高い相関があることが当業者に知られている。
図2は、杉材微粉末の平均粒径と対ホロセルロース糖化率の関係を粉砕時間の順に点を線で結んで示したグラフである。なお、セルロースとヘミセルロースを合わせた成分を、ホロセルロースという。図2の縦軸は、対ホロセルロース糖化率(%)を示し、木材に含まれるホロセルロースの何%がグルコースに加水分解されたかを表している。横軸は、平均粒径(μm)を示している。
図3は、杉材微粉末の結晶化度と対ホロセルロース糖化率の関係を粉砕時間の順に点を線で結んで示したグラフである。縦軸は対ホロセルロース糖化率(%)を示し、横軸は結晶化度を示す。
これらの結果によると、平均粒径の低下および結晶化度の低下にともない、糖化率が上昇していた。すなわち、高衝撃粉砕装置で高衝撃力を付加する粉砕により、杉材微粉末の平均粒径と結晶化度を十分に低下させることで、高い酵素糖化率を得ることができる。この際の最適な平均粒径は、10μm〜50μm程度である。特に平均粒径が20μm〜30μm程度になるよう、粉砕するのが好適である。
図4は、粉砕時間と対ホロセルロース糖化率の関係を示しているグラフである。縦軸は対ホロセルロース糖化率(%)を示し、横軸は粉砕時間(分、min)を示す。
この結果によると、40分程度の粉砕した杉材微粉末では糖化率が60%程度に達し、60〜80分間粉砕した杉材微粉末糖化率が、ほぼ最大値に達していることが分かる。すなわち、40〜60分以上の粉砕で、家畜が十分に糖化できる飼料を製造可能となる。
なお、糖化溶液中の糖量測定はSchales試薬法を用いて行った。使用した測定器は日立製作所製分光光度計U−3000で、測定に波長420nmを用いた。較正曲線については、グルコース検量線を用いた。
また、杉材微粉末の濃度による糖化の影響を調べるため、実施例1で得られた杉材微粉末を0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)20mlにセルラーゼ酵素単独、又はセルラーゼ酵素及びヘミセルラーゼ酵素を両方入れ、50℃で48時間の糖変換を行った。この実験結果を図5を参照して説明する。
図5は、杉材微粉末の濃度と、ホロセルロース糖化率の関係を示すグラフである。縦軸は糖液濃度(mg/mL)を示し、横軸は溶液中の杉材微粉末濃度(%、w/v)である。セルラーゼ酵素のみの場合でも杉材粉末濃度が35%まで対ホロセルロース糖化率70%で糖変換が行われ、175mg/mLの糖液濃度が達成できた。
なお、本実施例の杉材微粉末を35%以上の濃度にすると、反応液の固形物が多すぎて充分に攪拌できないため、実験を行わなかった。
(杉チップの含水率と杉材微粉末の対ホロセルロース糖化率)
次に、木質原料である杉チップの含水率を7%、11%、18%、43%、64%にして実施例1に記載したように振動ミルを用いて60分間微粉砕を行った。その後、得られた微粉末の含水率と対ホロセルロース糖化率を測定した。この結果を下記の表1に示す:
Figure 0005757558
表1によると、含水率は粉砕前含水率7%、11%、18%では、粉砕後も含水率はほとんど変わらなかった。しかしながら、粉砕前含水率が、43%、64%の場合は、粉砕中に空気の注入により乾燥して含水率がそれぞれ19%、34%に減少した。対ホロセルロース糖化率は、粉砕前含水率7%、11%、18%、43%、64%のそれぞれにおいて84%、70%、60%、50%、22%であった。
この結果から、杉チップの含水率を20%以下にすることにより、対ホロセルロース糖化率が高くなることが分かる。
(木質飼料ペレットの製造)
実施例1で記載したように、杉材鋸屑の含水率を10%程度に調整後、振動式ロッドミルで予備粉砕し、500μmメッシュの篩を通過した予備粉末800gを、高衝撃粉砕装置を用いて60分間、微粉砕した。
こうして得られた杉材微粉末20kgをフラットダイ方式のペレタイザー(木質ペレット製造機)で筒状ペレットに加圧成型した。
ダイスの細孔の径を8mmとし筒状ペレットの長さが約10mmになるようにカッターで切断した。こうして、木質飼料ペレットを20kg製造した。
なお、ペレット形状とペレットの大きさは、この形と長さに限定されるものではない。
(乳牛に対する木質飼料の給与試験)
杉材を原料として実施例4に記載した方法で製造した木質飼料ペレットの乳牛に対する給与試験を実施し、その嗜好性を評価した。カフェテリア方式で試験を実施した。供試動物はホルスタイン種泌乳後期牛3頭を用いた。提示飼料は、市販配合飼料に対して木質飼料ペレットが現物割合でA:10%、B:20%、C:30%含まれる3種類を調製した。
このA〜Cの三種類の飼料を、(1)〜(3)の3パターンの組み合わせで、牛に10分間提示した。この提示の組み合わせは、(1)A:10%対B:20%、(2)A:10%対C:30%、(3)B:20%対C:30%である。提示量は、1試技、A〜Cの各1種0.5kgとした。この提示は、3反復で行った。
図6と図7を参照して、試験結果について説明する。
図6は、選択率を示すグラフであり、横軸は(1)〜(3)の各パターン、縦軸は選択率(%)を示す。値は平均値±標準誤差を示す。図7は、残飼量を示すグラフであり、同様に横軸は(1)〜(3)の各パターン、縦軸は残飼量(kg)を示す。値は平均値±標準誤差を示す。各グラフにおいて、「*」は、t−testで有意差があったもの(P<0.05)を示す。
結果として、選択率は、木質飼料ペレットの混合割合が低い方の選択率が高かった。特に、20%と30%の比較では、有意に20%を選択した。
また、残飼量は、選択率が高いほど少なくなった。しかし、10%混合では、その量は非常に僅かであった。つまり、絶対的に採食を阻害するものではなく、飼料利用の可能性が十分にあると考えられる。
なお、この飼料利用の際に、ふすま、米糠、醤油粕、おから、ビール粕、焼酎粕、酒粕、廃糖蜜のような食品副産物や食品廃棄物のうち、適切なものを加えることで、木質飼料ペレットをより多い割合で飼料に混合しても、牛の食欲を増進可能であることが示唆されている。
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
本発明の家畜飼料の製造方法は、含水率20%以下の木材原料を平均粒径が10μm〜50μmまで微細化することで、栄養価の高い家畜用飼料を製造できるため、産業上利用可能である。

Claims (8)

  1. 粉砕媒体質量が17.9G以上の加速度で木質原料に高衝撃力を付加する乾式の粉砕装置により、木材から得られる含水率20%以下の木質原料のリグニン構造を粉砕して微粒子化し、
    前記微粒子化された微粉末を反芻動物の飼料として用いる
    ことを特徴とする家畜飼料の製造方法。
  2. 前記微粒子化は、前記微粉末の平均粒径が10μm〜50μmになるように微粒子化する
    ことを特徴とする請求項1に記載の家畜飼料の製造方法。
  3. 更に、前記微粉末を、圧縮成型機で成型加工する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の家畜飼料の製造方法。
  4. 前記木質原料は、間伐材をチップ化することで得られる含水率100%以下の木材チップを衝撃式粉砕機で含水率を20%以下に調整し、500μm程度の粒径にして用いる
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の家畜飼料の製造方法。
  5. 前記木質原料は、杉間伐材を皮つきのままチップ化して用いる
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の家畜飼料の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の家畜飼料の製造方法により製造された
    ことを特徴とする家畜飼料。
  7. 更に、食品副産物又は食品廃棄物を含む
    ことを特徴とする請求項6に記載の家畜飼料。
  8. 前記食品副産物又は食品廃棄物は、ふすま、米糠、醤油粕、おから、ビール粕、焼酎粕、酒粕、廃糖蜜のいずれかである
    ことを特徴とする請求項7に記載の家畜飼料。
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