JP5755853B2 - 液体検知器及び液体識別システム - Google Patents
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Description
近年では、このような光ファイバの特性を利用し、光ファイバの透過光量の変化を基に水中への油漏れを検知する油漏れ検知器が実用化されている(下記特許文献1参照)。
既に述べたように、光ファイバは、光の伝播路となる高屈折率のコアと、該コアを覆う低屈折率のクラッドとの2重構造となっている。このような光ファイバを屈曲させても、その屈曲部のコアを伝播する光の反射角が臨界角より小さければ、光はコア外部に漏れることなくコア内部を伝播する。しかしながら、光ファイバを大きく屈曲させて、その屈曲部のコアを伝播する光の反射角が臨界角より大きくなると、光はコア外部に漏れ出す。
本願発明者は、上記のような光ファイバの特性に着目し、光ファイバに屈曲部を設け、その屈曲部に液体を付着させる前と付着させた後との透過光量を測定することにより、複数種類の液体について屈曲部の曲げ半径と透過光量の変化率(つまり液体の付着による光漏れ量)との関係を鋭意検証した。
その結果、屈曲部の曲げ半径が小さい程、液体の付着による光漏れ量は大きくなり、屈折率がコアより低い液体、或いは屈折率がコアに近い液体であっても検知可能であることがわかった(勿論、屈折率がコアより高い液体でも検知可能)。
しかしながら、仮に光ファイバを1本だけ用い、屈折率がコアより低い液体に合わせて屈曲部の曲げ半径を設定したと仮定すると、その液体だけでなく、その液体より屈折率の高い液体であれば透過光量に変化が生じる(光漏れが生じる)ため、検知対象の液体が複数存在する場合には、付着した液体が何であるか識別することはできない。
そこで、本願発明者は、液体検知器の構成として屈曲部が設けられた複数の光ファイバを用い、各光ファイバの屈曲部の曲げ半径を検知対象液体の屈折率に応じて設定するという手段を採用することにより、上記課題を解決した。
例えば、検知対象液体として、屈折率がコアより低い液体A、屈折率がコアに近い液体B、屈折率がコアより高い液体Cとの3種類の液体が存在し、第1の光ファイバの屈曲部の曲げ半径は液体Aの屈折率に応じて設定され、第2の光ファイバの屈曲部の曲げ半径は液体Bの屈折率に応じて設定され、第3の光ファイバの屈曲部の曲げ半径は液体Cの屈折率に応じて設定されていると仮定する。
この場合、第1の光ファイバでは、液体A以上の屈折率を有する液体(つまり、液体A、B、C)が付着すると透過光量の変化が生じる。また、第2の光ファイバでは、液体B以上の屈折率を有する液体(つまり、液体B、C)が付着すると透過光量の変化が生じる。また、第3の光ファイバでは、液体C以上の屈折率を有する液体(つまり、液体C)が付着すると透過光量の変化が生じる。
従って、3つの光ファイバの内、第1の光ファイバのみに透過光量の変化が生じた場合には、液体Aが付着したと判断できる。また、第1及び第2の光ファイバのみに同時に透過光量の変化が生じた場合には、液体Bが付着したと判断できる。さらに、第1〜第3の光ファイバの全てにおいて同時に透過光量の変化が生じた場合には、液体Cが付着したと判断できる。つまり、光ファイバに付着した液体の識別が可能となる。
これによると、1つの光ファイバに設ける屈曲部の数を増やす程、光漏れ量は大きくなるため、液体の検知精度が向上する。しかしながら、あまりに光漏れ量が大きくなると、光ファイバの出射光量が大幅に低下してしまい、逆に検知精度が低下する虞がある。そのため、1つの光ファイバに設ける屈曲部の数は、2〜3個程度とすることが望ましい。
これによると、屈曲部に付着する検知対象液体の量が増大するため、液体の検知精度が向上する。例えば、上記の例を用いると、第1の光ファイバの屈曲部には液体Aを吸収する吸収材を装着し、第2の光ファイバの屈曲部には液体Bを吸収する吸収材を装着し、第3の光ファイバの屈曲部には液体Cを吸収する吸収材を装着すれば良い。
このような液体識別システムによれば、液体検知器の光ファイバに付着した液体の識別を自動的に行うことができる。
図1は、本実施形態における液体識別システムの構成概略図である。この図1に示すように、本実施形態における液体識別システムは、液体検知器1及び識別装置2から構成されている。なお、本実施形態では、検知対象液体として、屈折率が後述の光ファイバのコアより低い液体A(例えば水)、屈折率がコアに近い液体B(例えばケロシン系燃料)、屈折率がコアより高い液体C(例えば油)との3種類の液体が存在するケースを想定する。
第2の光ファイバ11Bに設けられた屈曲部の曲げ半径は、液体Bの屈折率(例えば1.44)に応じて設定されており、他の光ファイバと比べて中間程度の値に設定されている。
第3の光ファイバ11Cに設けられた屈曲部の曲げ半径は、液体Cの屈折率(例えば1.50)に応じて設定されており、他の光ファイバと比べて最も大きい値に設定されている。
第2の発光素子12Bは、第2の光ファイバ11Bに対して個別に設けられた発光ダイオードであり、識別装置2から外部入力される電気信号に応じた光を第2の光ファイバ11Bの一端に入射するものである。
第3の発光素子12Cは、第3の光ファイバ11Cに対して個別に設けられた発光ダイオードであり、識別装置2から外部入力される電気信号に応じた光を第3の光ファイバ11Cの一端に入射するものである。
第2の受光素子13Bは、第2の光ファイバ11Bに対して個別に設けられたフォトダイオードであり、第2の光ファイバ11Bの他端から出射される光に応じた電気信号を識別装置2に対して外部出力するものである。
第3の受光素子13Cは、第3の光ファイバ11Cに対して個別に設けられたフォトダイオードであり、第3の光ファイバ11Cの他端から出射される光に応じた電気信号を識別装置2に対して外部出力するものである。
なお、図1では、第1の光ファイバ11Aに1つの屈曲部が設けられているように図示されているが、これは図面の記載を容易にするために便宜上そのように図示したに過ぎず、実際には図2に示すように2つの屈曲部が設けられている。
保護カバー38は、上述したファイバコネクタ33、34及びケーブルコネクタ35を覆うように蓋体32の上面に設置されて各コネクタ類を保護するものである。
前述のように、光ファイバは、光の伝播路となる高屈折率のコアと、該コアを覆う低屈折率のクラッドとの2重構造となっている。このような光ファイバを屈曲させても、その屈曲部のコアを伝播する光の反射角が臨界角より小さければ、光はコア外部に漏れることなくコア内部を伝播する。しかしながら、図4(a)に示すように、光ファイバを大きく屈曲させて、その屈曲部のコアを伝播する光の反射角が臨界角より大きくなると、光はコア外部に漏れ出す。
その結果、屈曲部の曲げ半径が小さい程、液体の付着による光漏れ量は大きくなり、屈折率がコアより低い液体、或いは屈折率がコアに近い液体であっても検知可能であることがわかった(勿論、屈折率がコアより高い液体でも検知可能)。
そこで、本願発明者は、液体検知器の構成として屈曲部が設けられた複数の光ファイバを用い、各光ファイバの屈曲部の曲げ半径を検知対象液体の屈折率に応じて設定するという手段を採用した。
また、液体検知器1の第2の光ファイバ11Bに設けられた屈曲部の曲げ半径は、屈折率がコアに近い液体Bの屈折率に応じて設定されているため、液体B以上の屈折率を有する液体(つまり、液体B、C)が付着すると透過光量の変化が生じる(図4(b)参照)。
さらに、液体検知器1の第3の光ファイバ11Cに設けられた屈曲部の曲げ半径は、屈折率がコアより高い液体Cの屈折率に応じて設定されているため、液体C以上の屈折率を有する液体(つまり、液体C)が付着すると透過光量の変化が生じる(図4(b)参照)。
また、第1の光ファイバ11A及び第2の光ファイバ11Bのみに同時に透過光量の変化が生じた場合には、液体Bが付着した(液体Bが漏れている)と判断できる。
さらに、第1の光ファイバ11A、第2の光ファイバ11B及び第3の光ファイバ11Cの全てにおいて同時に透過光量の変化が生じた場合には、液体Cが付着した(液体Cが漏れている)と判断できる。つまり、各光ファイバに付着した液体の識別が可能となる。
まず、識別装置2は、液体検知器1に設けられた第1の発光素子12A、第2の発光素子12B及び第3の発光素子12Cの各々に対して基準光量を有する光が発生するような電気信号を出力する。
第1の受光素子13A、第2の受光素子13B及び第3の受光素子13Cは、それぞれ受光光量に応じた電気信号を識別装置2に出力する。
また、識別装置2は、第1の光ファイバ11A及び第2の光ファイバ11Bのみに同時に透過光量の変化が生じた場合には、各光ファイバに液体Bが付着した(つまり液体Bが漏れている)と判断する。
また、識別装置2は、第1の光ファイバ11A、第2の光ファイバ11B及び第3の光ファイバ11Cの全てにおいて同時に透過光量の変化が生じた場合には、各光ファイバに液体Cが付着した(つまり液体Cが漏れている)と判断する。
(1)上記実施形態では、1つの光ファイバに2つの屈曲部を設けた場合を例示して説明したが、屈曲部の数はこれに限定されず、1個、或いは3個以上設けても良い。なお、1つの光ファイバに設ける屈曲部の数を増やす程、液体の付着巾は増すが、あまりに光漏れ量が大きくなり、光ファイバの出射光量が大幅に低下してしまい、逆に検知精度が低下する虞がある。そのため、1つの光ファイバに設ける屈曲部の数は、2〜3個程度とすることが望ましい。
Claims (3)
- S字状に曲げられることにより2つの屈曲部が設けられると共に複数の検知対象液体の数に相当する個数の光ファイバと、
前記光ファイバの各々に個別に設けられ、外部入力される電気信号に応じた光を前記光ファイバの一端に入射する発光素子と、
前記光ファイバの各々に個別に設けられ、前記光ファイバの他端から出射される光に応じた電気信号を外部出力する受光素子と、
を具備し、
各光ファイバの屈曲部の曲げ半径は、それぞれが担当する前記検知対象液体が付着すると、前記発光素子から入射された光の透過光量の変化が生じるように設定されていることを特徴とする液体検知器。 - 前記屈曲部の各々には、それぞれが担当する検知対象液体を吸収する吸収材が装着されていることを特徴とする請求項1に記載の液体検知器。
- 請求項1または2に記載の液体検知器と、
前記液体検知器に設けられた前記発光素子の各々に対して基準光量を有する光が発生するような電気信号を出力すると共に、前記液体検知器に設けられた前記受光素子の各々から入力される電気信号に基づいて各受光素子の受光光量を各光ファイバの透過光量として求め、各光ファイバの透過光量の変化を基に前記検知対象液体の識別を行う識別装置と、
を具備することを特徴とする液体識別システム。
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