JP5755190B2 - 衝突力推定装置、方法、プログラム、およびそれを備えた機械式駐車システム - Google Patents
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Description
また、下記特許文献2では、横揺れだけでなく縦揺れの地震にも対応するよう、パレットを水平方向の拘束だけでなく上下方向にも拘束し、地震発生時のパレット飛び出しや落下を防止する技術が提案されている。
しかしながら、実環境においてパレットは、車両の重量(以下「車重」という)や大きさの異なる車両を載置した実パレット、或いは、車両が載置されない空パレットとなり、かかる重量が異なる場合があるにも関わらず、上記技術基準においては、駐車室の満空状況や車重が考慮されておらず、パレットと落下防止装置との正しい衝突力が推定できず、地震発生時にパレットの落下が防止できないという問題が生じていた。
本発明は、車両を載置するパレットを搬送装置で駐車室に格納する機械式駐車装置に適用され、前記駐車室における前記パレットの落下を防止する落下防止装置に対する衝突力を推定する衝突力推定装置であって、前記落下防止装置と前記パレットとを含む前記駐車室および前記車両を垂直断面で2次元にモデル化され、前記パレットに載置される前記車両は2質点系モデルとして生成された解析モデルに基づいて、所定の地震波が前記機械式駐車装置に入力された場合における、前記パレットと前記落下防止装置との衝突力を推定する推定手段を具備する衝突力推定装置を提供する。
このように、車両を2質点系モデルでモデル化するので、衝突力の推定に車重を考慮することができ、パレットと落下防止装置との衝突力を正しく推定することができる。また、2質点系モデルの車重を異ならせることにより、異なる車重に応じた衝突力の推定ができるので、より実環境に合った衝突力が推定でき、パレットの確実な落下防止に繋がる。
2質点系モデルでモデル化された車両の振動特性をパラメータとして解析モデルを設定することで、実環境に沿った衝突力の推定に繋がる。
落下防止装置のパレット落下の防止を左右するばねのばね定数をパラメータとして解析モデルに設定することで、実環境に沿った衝突力の推定に繋がる。
機械式駐車装置10は、複数の階を有する構造物内に設置され、車両12を昇降させるリフト搬送機14、リフト搬送機14が昇降する昇降路16に沿って複数の階に配設された格納棚18、及びリフト搬送機14により把持され、入出庫させる車両12を載置するパレット17を備える。
さらに、衝突力推定装置20は、パレット17やリフト搬送機14等を駆動させるためのモータ(不図示)を制御するモータ制御部、及びパレット17やリフト搬送機14等の動作状態を検知するセンサ(不図示)からの信号を受信するセンサ信号受信部50を備えている。
図3は、衝突力推定装置20が備える機能を展開して示した機能ブロック図である。衝突力推定装置20は、地震波選定部(地震波選定手段)21、解析モデル設定部22、および推定部(推定手段)23を備えている。
なお、本実施形態では、既往3波のエルセントロ波、タフト波、および八戸波をレベル2に基準化したものを入力地震波として使用することとして説明するが、地震波の種類およびレベルはこれに限定されない。
本実施形態においては、塔体応答加速度の最大値となったのはエルセントロ波であるので、エルセントロ波を所定の地震波として選定することとする。
図7は、駐車室11のパレット17に載置される車両12の地震に対する応答を求めるための2質点(2自由度)系モデルであり、車両12および駐車室11を格納方向に2次元化して生成した解析モデルを示している。また、解析モデルは衝突力推定装置20の外部から入力され、或いは、衝突力推定装置20に予め設定されている。
図7に示す2質点系モデルは、車両12の上部(主にキャビン)の質量をm2とし、車ばね定数をk2とし、車減衰係数をc2とし、車両12の下部(主にタイヤ、車軸など)の質量をm1とし、車ばね定数をk1とし、車減衰係数をc1とし、パレット17の質量をm3とし、パレット17と落下防止装置30との間隔をdとし、ローラ31への摩擦力をcf1とする。落下防止装置30が、付勢力によりパレット17の落下を防ぐばねを有している場合における落下防止装置30のばね定数をkとする。ここで、質量m2と質量m1との重量の比率は、m2:m1=6:4とすることが好ましい。
このように、実際の加振試験により計測された、ばね定数と車両12の振動特性との結果に基づいて解析モデルの各パラメータが与えられるので、解析モデルを用いることにより、高い精度で衝突力を推定できる。
また、推定部23は、パレット17と落下防止装置30との距離dを勘案して、パレット17と落下防止装置30との衝突力を推定する。
既往3波をレベル2地震動に基準化した入力地震波、および機械式駐車装置10の高さと立駐規模と満空状況との異なる条件を組み合わせて生成された24条件の立駐モデルに基づいて、入力地震波ごとに24条件の立駐モデルに対して時刻歴応答解析が行われ、機械式駐車装置の最大塔体応答加速度が算出される(図9のステップSA1)。車両12の質量m1,m2および固有値などに基づき、車両12が、車ばね定数k1,k2、および車減衰係数c1,c2等を含む2質点系モデルでモデル化され、駐車室11が、パレット質量m3および落下防止装置30のばね定数kなどに基づいて、格納方向に垂直断面で2次元にモデル化され、解析モデルが設定される(図9のステップSA2)。
また、実際に車両12を揺らして試験する大型振動台による加振試験では試験機の能力限界があり、大地震の衝突力を実証できないことがあるが、本発明は解析により衝突力を推定するので、入力地震波を大地震である場合を想定した衝突力の推定ができる。
これらのことから、本発明で用いる解析モデルは、パレット上の積載条件に関わらず、位相(挙動)、衝突力ともに加振試験を精度よく再現でき、加振試験で実施できないような100%応答波での衝突力の推測にも適用できる。
11 駐車室
20 衝突力推定装置
21 地震波選定部
22 解析モデル設定部
23 推定部
30 落下防止装置
100 機械式駐車システム
Claims (8)
- 車両を載置するパレットを搬送装置で駐車室に格納する機械式駐車装置に適用され、前記駐車室における前記パレットの落下を防止する落下防止装置に対する衝突力を推定する衝突力推定装置であって、
前記落下防止装置と前記パレットとを含む前記駐車室および前記車両を垂直断面で2次元にモデル化され、前記パレットに載置される前記車両は2質点系モデルとして生成された解析モデルに基づいて、所定の地震波が前記機械式駐車装置に入力された場合における、前記パレットと前記落下防止装置との衝突力を推定する推定手段を具備する衝突力推定装置。 - 前記推定手段は、前記パレットと前記落下防止装置との距離を勘案して前記パレットと前記落下防止装置との衝突力を推定する請求項1に記載の衝突力推定装置。
- 実際に計測された前記車両の振動特性をパラメータとして前記解析モデルに設定する請求項1または請求項2に記載の衝突力推定装置。
- 前記落下防止装置が、付勢力により前記パレットの落下を防ぐばねを有する場合に、
前記ばねのばね定数をパラメータとして前記解析モデルに設定する請求項1から請求項3のいずれかに記載の衝突力推定装置。 - 前記機械式駐車装置の高さ条件を含む立駐規模および前記駐車室の満空情報の条件が異なる複数の立駐モデルと、複数の入力地震波とをパラメータとし、時刻歴応答解析に基づいて算出される塔体応答加速度の最大値をもたらした前記入力地震波を、前記所定の地震波として選定する地震波選定手段を具備する請求項1から請求項4のいずれかに記載の衝突力推定装置。
- 請求項1から請求項5のいずれかに記載の衝突力推定装置と、機械式駐車装置とを備えた機械式駐車システム。
- 車両を載置するパレットを搬送装置で駐車室に格納する機械式駐車装置に適用され、前記駐車室における前記パレットの落下を防止する落下防止装置の衝突力を推定する衝突力推定方法であって、
前記落下防止装置と前記パレットとを含む前記駐車室および前記車両を垂直断面で2次元にモデル化し、前記パレットに載置される前記車両は2質点系モデルとして生成した解析モデルに基づいて、所定の地震波が前記機械式駐車装置に入力された場合における、前記パレットと前記落下防止装置との衝突力を推定する衝突力推定方法。 - 車両を載置するパレットを搬送装置で駐車室に格納する機械式駐車装置に適用され、前記駐車室における前記パレットの落下を防止する落下防止装置の衝突力を推定する衝突力推定プログラムであって、
前記落下防止装置と前記パレットとを含む前記駐車室および前記車両を垂直断面で2次元にモデル化され、前記パレットに載置される前記車両は2質点系モデルとして生成された解析モデルに基づいて、所定の地震波が前記機械式駐車装置に入力された場合における、前記パレットと前記落下防止装置との衝突力を推定する衝突力推定プログラム。
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