JP5755128B2 - スパークプラグの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スパークプラグの製造方法に関するものである。
内燃機関、例えば、ガソリンエンジンに対する点火用のスパークプラグの取り付け動作は、エンジンのシリンダヘッドに設けられたネジ孔にスパークプラグを嵌め込んで、スパークプラグの主体金具の外表面に形成されたネジ部を上記ネジ孔に螺合することにより行なわれる。このとき、スパークプラグとシリンダヘッドとの間のシール性は、スパークプラグが備える円環状のガスケットによって確保される。スパークプラグをシリンダヘッドに取り付ける際には、一般に、スパークプラグから脱落しないようにガスケットがスパークプラグに予め取り付けられる。このように、スパークプラグから脱落しないようにガスケットをスパークプラグに予め取り付けておくことで、スパークプラグをエンジンに取り付ける際に、スパークプラグの取り扱いの利便性が向上する。
ガスケットを、脱落しないようにスパークプラグに取り付けるために、従来は、ガスケットとなる円環状部材をスパークプラグに嵌め込んだ後に、円環状部材の内周近傍の部位に、脱落を妨げる係合爪部を形成していた。具体的には、例えば、スパークプラグのネジ部のネジ山部分の径と同等の大きさの径を有する円環状部材を、ネジ部を経由するようにしてスパークプラグに嵌め込み、その後、円環状部材の内周近傍に対してネジ部側から所定の治具を押し当てることにより、係合爪を形成していた(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−135370号公報
スパークプラグにおいては、スパークプラグをエンジンに取り付ける前だけでなく、スパークプラグをエンジンから取り外した後においても、スパークプラグからのガスケットの脱落が十分に抑えられていることが望ましい。スパークプラグをエンジンに取り付ける際には、スパークプラグを締め付けることにより、スパークプラグとエンジンの間でガスケットが圧縮される。そのため、エンジンからスパークプラグを取り外すときには、スパークプラグからガスケットが脱落して、シリンダヘッド上にガスケットが付着した状態となる場合が有り得る。スパークプラグの交換のために古いスパークプラグをエンジンから取り外したときに、シリンダヘッド上に古いガスケットが残留すると、そのまま新しいスパークプラグを取り付けた場合には、エンジンにおいて所望の燃焼状態が実現できなくなる可能性がある。余分のガスケットが残留することにより、発火ポイント(スパークプラグにおいて中心電極と接地電極の間に形成される火花ギャップの、エンジン燃焼室内における位置)にずれが生じるためである。そのため、スパークプラグの交換を行なった後にもエンジンの燃焼状態に対する信頼性を確保できるように、スパークプラグにおけるガスケットの脱落防止性能をさらに高めることが望まれていた。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、スパークプラグにおけるガスケットの脱落防止性能を高めることを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実施することが可能である。
[適用例1]
(a)スパークプラグを構成するための主体金具に対して、前記主体金具先端側に設けられたネジ部の側から、前記主体金具の後端側へと、前記スパークプラグが備えるガスケットを形成するための円環状部材を嵌め込む工程と、
(b)突起状の複数の成形爪を備える爪付治具を用いて、前記主体金具に嵌め込んだ前記円環状部材の内周近傍に対して、複数の前記成形爪を前記ネジ部の側から前記主体金具の後端側へと押し付けることによって、複数の前記成形爪を前記円環状部材の厚さ方向の途中まで圧入する工程と、
を備え、
前記ガスケットは、内周部から径方向内側へと張り出すように複数の前記成形爪によって形成された複数の係合爪を有し、該係合爪によって前記ガスケットが前記主体金具に係合するスパークプラグの製造方法において、
(c)前記(b)工程で複数の前記成形爪を前記円環状部材に押し付ける際に複数の前記成形爪が前記円環状部材の表面に接触した時以後に、前記爪付治具とは異なる他の治具を用いて前記爪付治具を変形させることにより、複数の前記成形爪の端部を、前記円環状部材の径方向内側へと変位させる工程を備えることを特徴とする
スパークプラグの製造方法。
適用例1に記載のスパークプラグの製造方法によれば、複数の成形爪を円環状部材に押し付ける際に複数の成形爪が円環状部材の表面に接触した時以後に、爪付治具とは異なる他の治具を用いて爪付治具を変形させることにより、複数の成形爪の端部を、円環状部材の径方向内側へと変位させる。そのため、ガスケットにおいて、係合爪がガスケットの中心側へと張り出す張り出し量を、より十分に確保することができる。その結果、スパークプラグにおけるガスケットの脱落を抑える効果を高めることができる。
[適用例2]
適用例1記載のスパークプラグの製造方法であって、前記(c)工程は、前記(b)工程において複数の前記成形爪を前記円環状部材に圧入させる動作と同時に行なう工程であることを特徴とするスパークプラグの製造方法。適用例2に記載のスパークプラグの製造方法によれば、主体金具に嵌め込んだ円環状部材からガスケットを形成する工程を簡素化し、ガスケット形成に要する時間を短縮できる。
[適用例3]
適用例2記載のスパークプラグの製造方法であって、前記(b)工程は、前記爪付治具を含む複数の治具を備える治具アセンブリの所定の箇所に、前記円環状部材を嵌め込んだ前記主体金具を含む製造途中の前記スパークプラグであるスパークプラグ形成部材を配置し、前記円環状部材に前記爪付治具の複数の前記成形爪を当接させつつ、前記スパークプラグ形成部材に対して押圧力を加えて、複数の前記成形爪を前記円環状部材に圧入する工程であり、前記(c)工程は、(c−1)前記スパークプラグ形成部材に対して前記押圧力を加える動作に伴って、前記治具アセンブリが備える前記治具のうちの一つの治具であって、前記スパークプラグ形成部材と前記円環状部材の少なくとも一方に接する移動治具が、移動する工程と、(c−2)前記(c−1)工程で前記移動治具が移動することにより、前記移動治具および前記爪付治具を含む複数の前記治具の間の係合関係が変化する工程と、(c−3)前記(c−2)工程で前記係合関係が変化することにより、前記治具アセンブリを構成する前記治具のいずれかによって、前記爪付治具を径方向内側に押圧して変形させる工程と、を備えるスパークプラグの製造方法。適用例3に記載のスパークプラグの製造方法によれば、スパークプラグ形成部材に対して押圧力を加える動作に伴って、治具アセンブリを構成する治具間の係合関係が変化することにより、成形爪の端部が変位する。そのため、成形爪の端部を変位させるために、スパークプラグ形成部材に押圧力を加えるための動力以外の動力を不要とすることが可能になり、成形爪の端部を変位させるための構造を簡素化できる。
[適用例4]
適用例3記載のスパークプラグの製造方法であって、前記移動治具は、前記治具アセンブリの前記所定の箇所に前記スパークプラグ形成部材が配置されたときに、前記円環状部材に接する部材であり、前記(b)工程は、所定の押圧治具を用いて前記スパークプラグ形成部材に対して前記押圧力を加えるために、前記押圧治具を前記スパークプラグ形成部材に押し当てたときに、前記移動治具に設けられた位置合わせ部によって、前記円環状部材を前記スパークプラグ形成部材に対して位置合わせする工程を含むことを特徴とするスパークプラグの製造方法。適用例4に記載のスパークプラグの製造方法によれば、成形爪の端部を変位させる際に働く移動治具が、位置合わせ部を備えるため、治具アセンブリにおいてスパークプラグ形成部材の位置合わせのための部材を別途設ける必要が無く、治具アセンブリの構成を簡素化することができる。
[適用例5]
適用例1ないし4いずれか記載のスパークプラグの製造方法であって、前記円環状部材として、中実の平板状部材を用いるスパークプラグの製造方法。適用例5に記載のスパークプラグの製造方法によれば、円環状部材として中実の平板状部材を用いる場合であっても、係合爪がガスケットの中心側へと張り出す張り出し量を十分に確保して、スパークプラグにおけるガスケットの脱落を抑える効果を高めることができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、本発明のスパークプラグの製造方法により製造されたスパークプラグや、ガスケットの形成方法、あるいは、ガスケットを形成するための治具アセンブリなどの形態で実現することが可能である。
スパークプラグ100の部分断面図である。 スパークプラグ100の製造工程の概要を示すフローチャートである。 治具アセンブリ70の構成を表わす分解斜視図である。 治具アセンブリ70の部分断面図である。 爪付治具80の構成を表わす説明図である。 成形爪81の端部近傍の様子を表わす断面図である。 移動治具90の部分断面図である。 移動治具90における後端側の第4の開口部91の近傍の様子を拡大して示す断面図である。 スパークプラグ形成部材60を治具アセンブリ70に挿入した様子を表わす説明図である。 ガスケット形成部材62が爪付治具80に当接したときの様子を表わす断面模式図である。 スパークプラグ形成部材60に対してさらに押圧力を加えた後の様子を表わす断面模式図である。 図11と同様の状態を治具アセンブリ70全体について表わした説明図である。
A.スパークプラグ100の構成および製造工程:
図1は、本発明の実施形態としてのスパークプラグの製造方法により製造されるスパークプラグ100の部分断面図である。スパークプラグ100は、図1に示すように、軸線100axに沿って伸長する細長形状を有している。図1において、一点破線で示す軸線100axの右側は、外観正面図を示し、軸線100axの左側は、スパークプラグ100の中心軸を通る断面でスパークプラグ100を切断した断面図を示している。以下の説明では、軸線100axに平行な方向において、図1の下方側を先端側と呼び、図1の上方側を後端側と呼ぶ。
スパークプラグ100は、絶縁碍子10と、中心電極20と、接地電極30と、端子金具40と、主体金具50とを備える。絶縁碍子10の一端から突出する棒状の中心電極20は、絶縁碍子10の内部を通じて、絶縁碍子10の他端に設けられた端子金具40に電気的に接続されている。中心電極20の外周は、絶縁碍子10によって保持され、絶縁碍子10の外周は、端子金具40から離れた位置で主体金具50によって保持されている。主体金具50に電気的に接続された接地電極30は、火花を発生させる隙間である火花ギャップを中心電極20の先端との間に形成する。スパークプラグ100は、内燃機関のエンジンヘッド200に設けられた取付ネジ孔201に主体金具50を介して取り付けられる。端子金具40に2万〜3万ボルトの高電圧が印加されると、中心電極20と接地電極30との間に形成された火花ギャップに火花が発生する。
絶縁碍子10は、アルミナを始めとするセラミックス材料を焼成して形成された絶縁体である。絶縁碍子10は、中心電極20および端子金具40を収容する軸孔12が中心に形成された筒状の部材である。絶縁碍子10の軸方向中央には外径を大きくした中央胴部19が形成されている。中央胴部19よりも端子金具40側には、端子金具40と主体金具50との間を絶縁する後端側胴部18が形成されている。中央胴部19よりも中心電極20側には、後端側胴部18よりも外径が小さい先端側胴部17が形成され、先端側胴部17の更に先には、先端側胴部17よりも小さい外径であって先端側へ向かうほど外径が小さくなる脚長部13が形成されている。
主体金具50は、絶縁碍子10の後端側胴部18の一部から脚長部13に亘る部位を包囲して保持する円筒状の金具である。本実施形態では、主体金具50は、低炭素鋼により形成され、全体にニッケルめっきや亜鉛めっき等のめっき処理が施されている。主体金具50は、工具係合部51と、取付ネジ部52と、ガスケット受け部54とを備える。主体金具50の工具係合部51は、スパークプラグ100をエンジンヘッド200に取り付ける工具(図示せず)が嵌合する。主体金具50の取付ネジ部52は、エンジンヘッド200の取付ネジ孔201に螺合するネジ山を有する。主体金具50のガスケット受け部54は、取付ネジ部52の後端側において、取付ネジ部52よりも径方向の外周側に張り出して、鍔状に形成されている。また、主体金具50には、ガスケット受け部54の先端側端部に接するように、中実の略円環状部材であるガスケット5が嵌挿される。このガスケット5によって、スパークプラグ100のガスケット受け部54とエンジンヘッド200との間のシール性が確保される。ガスケット5の詳しい構造及びその製造方法については、後に説明する。なお、主体金具50の先端面57は、中央部に開口を有する円形状に形成されており、その中央部では、絶縁碍子10の脚長部13から中心電極20が突出する。
主体金具50の工具係合部51より後端側には薄肉の加締部53が設けられている。また、ガスケット受け部54と工具係合部51との間には、加締部53と同様に薄肉の圧縮変形部58が設けられている。工具係合部51から加締部53にかけての主体金具50の内周面と絶縁碍子10の後端側胴部18の外周面との間には、円環状のリング部材6,7が介在されており、さらに両リング部材6,7間にタルク(滑石)9の粉末が充填されている。スパークプラグ100の製造時には、加締部53を内側に折り曲げるようにして先端側に押圧することにより圧縮変形部58を圧縮変形させる加締加工を行なう。加締加工を行なうことで、リング部材6,7およびタルク9を介し、絶縁碍子10が主体金具50内で先端側に向け押圧される。この押圧により、タルク9が軸線100ax方向に圧縮されて主体金具50内の気密性が高められる。
また、主体金具50の内周においては、取付ネジ部52の位置に形成された金具内段部56に、環状の板パッキン8を介し、絶縁碍子10の脚長部13の基端に位置する碍子段部15が押圧されている。この板パッキン8は、主体金具50と絶縁碍子10との間の気密性を保持する部材であり、燃焼ガスの流出が防止される。
中心電極20は、有底筒状に形成された電極母材21の内部に、電極母材21よりも熱伝導性に優れる芯材25を埋設した棒状の部材である。本実施形態では、電極母材21は、ニッケルを主成分とするニッケル合金から成り、芯材25は、銅または銅を主成分とする合金から成る。中心電極20は、電極母材21の先端が絶縁碍子10の軸孔12から突出した状態で絶縁碍子10の軸孔12に挿入され、セラミック抵抗3およびシール体4を介して端子金具40に電気的に接続されている。
接地電極30は、耐腐食性の高い金属から構成され、一例として、ニッケル合金が用いられる。この接地電極30の基端は、主体金具50の先端面57に溶接されている。接地電極30の先端側は、軸線100axと交差する方向に屈曲されており、接地電極30の先端部が、中心電極20の先端面と軸線100ax上で対向している。
図2は、本発明の実施形態におけるスパークプラグ100の製造工程の概要を示すフローチャートである。ステップS100では、主体金具50と、絶縁碍子10と、中心電極20と、接地電極30とが準備される。ステップS110では、主体金具50に接地電極30が接合される。ステップS120では、中心電極20を組み付けた絶縁碍子10を主体金具50に挿入する組み付け工程が実施される。ステップS130では、加締装置(図示省略)を用いて、主体金具50に対して既述した加締加工が実施される。この加締加工により、絶縁碍子10が主体金具50に固定される。ステップS140では、曲げ工具(図示省略)を用いて、接地電極30の先端が曲げ加工される。そして、ステップS150において主体金具50にガスケット5が装着されて、スパークプラグ100が完成する。ステップS150におけるガスケット5の取り付け工程については、後に詳しく説明する。
なお、図2に示した製造方法は単なる一例であり、これとは異なる種々の方法でスパークプラグを製造可能である。例えば、ステップS110〜S150の工程の順序は、ある程度任意に変更可能である。具体的には、主体金具50へのガスケット5の取付工程(ステップS150)を、スパークプラグの製造工程の最後ではなく途中で行なっても良い。例えば、主体金具50への接地電極30の接合に先立って、主体金具50に対してガスケット5の取付工程を行なっても良い。本実施形態では、図2に示すように、ガスケットを取り付ける工程を最後に行なっており、以下の説明では、ガスケットの取り付け完了前の製造途中のスパークプラグを、スパークプラグ形成部材60と呼ぶ。また、スパークプラグ形成部材60に取り付けてガスケットと成すための中実の平板円環状部材を、ガスケット形成部材62と呼ぶ。
B.治具アセンブリ70の構成:
図3は、ステップS150のガスケット5の取り付け工程で用いる治具アセンブリ70の構成を表わす分解斜視図である。また、図4は、治具アセンブリ70の部分断面図である。図4において、一点破線で示す軸線70axの右側は、外観正面図を示し、軸線70axの左側は、治具アセンブリ70の中心軸を通る断面で治具アセンブリ70を切断した断面図を示している。以下の説明では、軸線70axに平行な方向において、図4の下方側を先端側と呼び、図4の上方側を後端側と呼ぶ。図4(A)は、治具アセンブリ70の全体の様子を表わしており、図4(B)は、治具アセンブリ70の後端部近傍の様子を拡大して表わしている。
図3および図4に示すように、治具アセンブリ70は、爪付治具80と、移動治具90と、弾性治具72と、収納部73と、蓋体部71と、を備えている。爪付治具80は、後端側に突出する複数(本実施形態では8個)の成形爪81を有する本体部82と、本体部82よりも径が小さく形成され、外表面におねじ状のネジ溝が形成された取り付け部83とを備えている。移動治具90は、上下両方の端面に開口を有する中空の略円柱状部材である。弾性治具72は、コイルバネによって構成されている。ただし、軸線70axに平行な押圧力に対して反力を生じるならば、コイルバネ以外の弾性部材によって弾性治具72を構成しても良い。収納部73は、後端側に第1の開口部74を有する中空の略円柱状部材であり、第1の開口部74近傍の外壁面には、おねじ状のネジ溝が形成された第1のネジ部75が形成されている。また、収納部73における先端側底部には第3の開口部77が形成され、第3の開口部77の内壁面には、爪付治具80の取り付け部83に形成されたネジ溝に対応するめねじ状のネジ溝が形成されている。蓋体部71は、中空の略円柱状部材であって、後端側の端部には中ほどに第2の開口部76が設けられると共に、先端側の端部は全体が開口している。蓋体部71の内壁面には、上記第1のネジ部75に対応する形状のめねじ状の第2のネジ部78が形成されている。治具アセンブリ70を構成する各部材は、十分な剛性、および、後述するガスケットの取り付け工程の繰り返しに耐える強度を有していれば良く、例えば、鉄鋼材料により形成することができる。
図4に示すように、治具アセンブリ70では、収納部73の第3の開口部77に、爪付治具80の取り付け部83を嵌め込むことによって、収納部73内に爪付治具80が固定されている。そして、爪付治具80と収納部73との間の空間に、さらに、弾性治具72を先端側にして、弾性治具72および移動治具90が嵌め込まれる。その後、収納部73の第1のネジ部75に、蓋体部71の第2のネジ部78を嵌め込んで、蓋体部71を収納部73に固定することによって、治具アセンブリ70が完成する。
図5は、爪付治具80の構成を表わす説明図である。図5(A)は、爪付治具80の部分断面図であり、図5(B)は、上面視を示す平面図である。図5(A)において、一点破線で示す軸線80axの右側は、外観正面図を示し、軸線80axの左側は、爪付治具80の中心軸を通る断面で爪付治具80を切断した断面図を示している。本実施の形態の爪付治具80では、図5(B)に示すように、同じ大きさの成形爪81が、等間隔に設けられている。
図6は、成形爪81の端部近傍の様子を表わす断面図である。図6に示すように、爪付治具80が有する各成形爪81の端部には、段差が設けられている。成形爪81の最端部(爪付治具80の後端)には、成形爪81の他の部分よりも断面積が小さい成形部84が設けられている。また、成形爪81では、成形部84の近傍において、爪付治具80の後端側(成形爪81の端部側)に向かって次第に断面積が小さくなる第1の傾斜部85が設けられている。なお、図4,5,6では、爪付治具80の断面として、一つの成形爪81の幅方向の中央における断面の様子を示している。
図7は、移動治具90の部分断面図である。図7において、一点破線で示す軸線90axの右側は、外観正面図を示し、軸線90axの左側は、移動治具90の中心軸を通る断面で移動治具90を切断した断面図を示している。治具アセンブリ70内においては、移動治具90に係る軸線90axは、既述した爪付治具80に係る軸線80ax、および、治具アセンブリ70に係る軸線70axと平行になる(一致する)。図7に示すように、移動治具90は、後端側に第4の開口部91を有し、先端側に第5の開口部92を有する。
図8は、移動治具90における後端側の第4の開口部91の近傍の様子を拡大して示す断面図である。移動治具90の後端部には、移動治具90の外周が急激に縮径される段差部96が設けられており、段差部96よりも後端側には、他の部分よりも外周の径が小さく形成された突出部95が形成されている。そして、移動治具90の後端部の内壁面には、後端側に向かって内壁面の径が次第に大きくなる第2の傾斜部93が設けられている。この第2の傾斜部93は、本願請求項における位置合わせ部に相当する。また、移動治具90の後端部の内壁面において、第2の傾斜部93よりも先端側には、先端側に向かって内壁面の径が次第に大きくなる第3の傾斜部94が設けられている。
図4(B)に戻り、治具アセンブリ70では、移動治具90の突出部95における後端の位置と、蓋体部71における第2の開口部76が設けられた後端の位置とは、軸線70ax方向に対してほぼ同じ位置になっている。このとき、移動治具90の段差部96は、蓋体部71の後端の内壁面に接触している。また、成形爪81の端部(爪付治具80の後端)の位置は、蓋体部71における第2の開口部76が設けられた後端部の位置に対して、軸線70ax方向の先端側に奥まって配置されている。
C.ガスケットの取付工程:
ガスケット5は、中実の略円環状部材であり、円環の内周の近傍から、円環の中心側へと突出する複数(本実施形態では8個)の係合爪63(図1参照)を備えている。既述したように、ガスケット5は、表面が平坦な中実の円環状部材であるガスケット形成部材62を加工することにより形成される。なお、本実施形態では、ガスケット形成部材62として、銅合金から成る円環状部材を用いている。以下、ガスケット形成部材62をスパークプラグ形成部材60に取り付けて、ガスケット5を形成する工程について説明する。
図9は、ガスケット形成部材62を嵌め込んだスパークプラグ形成部材60を、治具アセンブリ70の所定の位置に配置した様子を表わす説明図である。ガスケット形成部材62のスパークプラグ形成部材60への嵌め込みは、ガスケット形成部材62を、スパークプラグ形成部材60の先端側から後端側に向かって、ガスケット受け部54の近傍へと嵌め込むことにより行なう。そして、ガスケット形成部材62を嵌め込んだスパークプラグ形成部材60を、治具アセンブリ70の所定の箇所に配置する。治具アセンブリ70におけるスパークプラグ形成部材60の配置は、蓋体部71の第2の開口部76から爪付治具80内の空間(複数の成形爪81によって囲まれた空間)へと、スパークプラグ形成部材60を先端側から挿入することによって行なう。
図9(A)は、スパークプラグ形成部材60を治具アセンブリ70の所定の位置に配置した様子を、図4(A)と同様に表わした部分断面図である。本実施形態では、治具アセンブリ70の所定の位置に配置したときのスパークプラグ形成部材60の軸線は、治具アセンブリ70の軸線70axと実質的に重なるため、図9(A)では、軸線70axのみを示している。図9(A)において、一点破線で示す軸線70axの右側は、外観正面図を示し、軸線70axの左側は、治具アセンブリ70およびスパークプラグ形成部材60の中心軸を通る断面で治具アセンブリ70およびスパークプラグ形成部材60を切断した断面図を示している。なお、図9および後述する図12では、スパークプラグ形成部材60については、治具アセンブリ70内に挿入される部分、および、その近傍のみを示している。また、図9(B)は、図9(A)に示した蓋体部71の第2の開口部76近傍の様子を拡大して示す図である。
図9に示すように、ガスケット5を成形する際には、治具アセンブリ70内にスパークプラグ形成部材60の先端部を挿入した状態で、スパークプラグ形成部材60に対して、軸線70axに平行に先端側に向かう押圧力を加える。具体的には、治具アセンブリ70に取り付けたスパークプラグ形成部材60に対して、後端側から所定の押圧治具を押し当て、押圧治具によって、上記した押圧力を加える。押圧治具としては、例えば、図1のステップS130で用いた加締工具が備える金型と同様の金型、すなわち、加締め後のスパークプラグ形成部材60の後端側の部分に対応する形状の金型を備える治具を用いることができる。押圧治具の構成は、上記形状の金型を備える以外の構成としても良いが、スパークプラグ形成部材60全体に対して均一な押圧力を加えることが望ましい。
ここで、図9に示すように、治具アセンブリ70内にスパークプラグ形成部材60の先端部を挿入すると、スパークプラグ形成部材60に嵌め込んだガスケット形成部材62が、移動治具90の第2の傾斜部93に当接する。第2の傾斜部93は、既述したように、後端側に向かって次第に径が大きくなる傾斜面を有している。治具アセンブリ70に先端部を挿入したスパークプラグ形成部材60に対して押圧力を加えるのに先立って、スパークプラグ形成部材60に対して押圧治具を押し当てると、スパークプラグ形成部材60は、治具アセンブリ70に対して位置合わせされる。すなわち、スパークプラグ形成部材60の軸線と治具アセンブリ70の軸線70axとが、実質的に重なる。これは、スパークプラグ形成部材60に対して軸線70ax方向に押し当てる力を加えることで、ガスケット形成部材62が第2の傾斜部93の傾斜面に導かれ、スパークプラグ形成部材60の軸線が軸線70axに重なる状態で安定するためである。なお、図9に示すように、治具アセンブリ70にスパークプラグ形成部材60の先端部を挿入したときには、爪付治具80の成形爪81の端部(成形部84)は、ガスケット形成部材62から離間している。また、このとき、爪付治具80と移動治具90との間も離間している。
上記のように治具アセンブリ70にスパークプラグ形成部材60の先端部を挿入し、押圧治具を用いてスパークプラグ形成部材60に対して押圧力を加えると、スパークプラグ形成部材60全体が、ガスケット形成部材62ごと、先端側へと移動する。このように、スパークプラグ形成部材60が先端側へと移動すると、ガスケット形成部材62を介して、移動治具90に対しても押圧力が伝えられ、スパークプラグ形成部材60およびガスケット形成部材62と共に、移動治具90も先端側へと移動する。なお、移動治具90が先端側に移動する際には、弾性治具72において、押圧力に対向する反力が発生する。
図10は、スパークプラグ形成部材60が、ガスケット形成部材62および移動治具90と共に先端側へと移動して、ガスケット形成部材62が爪付治具80の成形爪81の端部(成形部84)に当接したときの様子を表わす断面模式図である。図10では、スパークプラグ形成部材60の記載は省略しており、ガスケット形成部材62と移動治具90と成形爪81の位置関係のみを示している。図10に示すように、成形爪81の成形部84にガスケット形成部材62が当接した段階では、爪付治具80と移動治具90とは離間している。なお、図10および後述する図11では、スパークプラグ形成部材60を介して伝えられる押圧力を白抜き矢印で示しており、このような押圧力が伝えられることによって移動治具90が移動する様子を実線矢印で示している。
図11は、図10に示す状態から、さらに、スパークプラグ形成部材60に対して押圧力を加えた後の様子を、図10と同様に表わした断面模式図である。また、図12は、図11と同様の状態を、図9と同様に、治具アセンブリ70全体について表わした説明図である。図12(A)は、部分断面図であり、図12(B)は、図12(A)に示した蓋体部71の第2の開口部76近傍の様子を拡大して示す図である。
ガスケット形成部材62に成形部84が接触した後にさらに押圧力を加えると、成形部84が、ガスケット形成部材62の厚さ方向に圧入し始める。このように、押圧力が継続して加えられて、スパークプラグ形成部材60と共に移動治具90が先端側にさらに移動すると、やがて、移動治具90が爪付治具80に接触する。具体的には、爪付治具80の第1の傾斜部85に、移動治具90の第3の傾斜部94が接触する。図11および図12は、このように第1の傾斜部85と第3の傾斜部94とが接触した時の様子を表わしている。
ここで、爪付治具80は、既述したように、収納部73に対して固定されている。また、複数の成形爪81は、爪付治具80の後端部が複数に分割されることによって形成されており、各々の成形爪81は、先端側が固定された、いわゆる板バネ形状ということができる。そのため、第1の傾斜部85と第3の傾斜部94とが接触する状態で、先端側に向かう押圧力が継続して加えられると、移動治具90から爪付治具80に対して、治具アセンブリ70の中心に向かう向きの力が働く。そして、このような中心に向かう力によって各成形爪81が変形し、各成形爪81の端部(成形部84)が、治具アセンブリ70の中心に向かって変位する。図12(B)では、治具アセンブリ70の中心に向かうように成形爪81に働く力を白抜き矢印で示しており、この力によって成形部84が変位する様子を破線の矢印で示している。
上記のように成形部84を変位させる際に、第1の傾斜部85と第3の傾斜部94とが接触するタイミング(成形部84が変位を開始するタイミング)は、例えば、以下のような要素によって定まる。すなわち、爪付治具80における第1の傾斜部85の相対的な位置や第1の傾斜部85の傾斜の角度、移動治具90における第3の傾斜部94の相対的な位置や第3の傾斜部94の傾斜の角度、あるいは、爪付治具80と移動治具90の間の距離等である。スパークプラグ形成部材60に対して押圧力が加えられて、成形部84がガスケット形成部材62に接触した時以後に、成形部84が変位するように、上記した各要素が設定されていればよい。
また、爪付治具80の成形部84が治具アセンブリ70の中心に向かって変位する変位量は、上記した各要素と共に、治具アセンブリ70内へのスパークプラグ形成部材60の押し込み量によって、設定することができる。成形部84が所望量だけ変位した時に、成形部84がガスケット形成部材62において所望の深さまで圧入されるように、上記した各要素およびスパークプラグ形成部材60の押し込み量を、適宜設定すればよい。
上記のようにガスケット形成部材62への成形部84の圧入および成形部84の変位を伴う工程を行なうことにより、円環の内周部から径方向内側へと張り出す複数の係合爪63を有し、係合爪63によって主体金具50に係合するガスケット5が完成される。なお、本実施形態では、第2の傾斜部93によってスパークプラグ形成部材60が治具アセンブリ70に対して位置合わせされるため、8個の係合爪63を、ガスケット5の内周近傍において、偏り無く均一に形成することができる。
以上のように構成された本実施形態のスパークプラグの製造方法によれば、爪付治具80を用いてガスケット5を形成する際に、ガスケット形成部材62への成形爪81の圧入と共に、成形爪81の端部を変位させる工程を行なう。そのため、ガスケット5において、係合爪63がガスケット5の中心側へと張り出す張り出し量を、より十分に確保することができる。係合爪を設ける際に、成形爪81をガスケット形成部材62に圧入させる動作だけを行なっても、圧入に起因してガスケット形成部材62の構成材料が伸展するため、内周部から中心側へと張り出す係合爪を形成することは可能である。本実施形態では、成形爪81の端部を変位させることによって、係合爪の張り出し量を、さらに大きくすることができる。これにより、スパークプラグ100におけるガスケット5の脱落を抑える効果を高めることができる。
上記のようにガスケットの脱落を抑える効果が高まると、ガスケットを備えるスパークプラグをエンジンに取り付ける際に、スパークプラグからのガスケットの脱落に煩わされることがないため、スパークプラグの取り扱いの利便性が向上する。また、ガスケットの脱落を抑える効果が高まると、エンジンからスパークプラグを取り外した時に、ガスケットがエンジン側に付着した状態となることを抑制できる。そのため、シリンダヘッド上に余分のガスケットが残留する状態で新たなスパークプラグを取り付けることを防止可能となり、余分のガスケットに起因する火花ギャップの発火ポイントのずれを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、爪付治具80と移動治具90とを所定の形状にすることで、ガスケット形成部材62に成形爪81を圧入する動作と、成形爪81の端部を変位させて係合爪63の張り出し量を増加させる動作とを、同時に行なうことができる。そのため、ガスケット5の形成および取り付けの工程を簡素化し、ガスケット5の形成および取り付けに要する時間を短縮することができる。
以下に、本実施形態の製造方法により製造されたスパークプラグにおけるガスケット脱落の抑制効果を評価するための実験結果について説明する。ここでは、本実施形態の製造方法に基づき作製した実施例のスパークプラグと、比較例のスパークプラグとを作製し、各々のスパークプラグをエンジンに取り付け、その後、エンジンからスパークプラグを取り外した。そして、スパークプラグを取り外した時に、ガスケットが脱落するか否かを調べることにより、ガスケットの脱落防止性能を評価した。実験の結果を表1に示す。
Figure 0005755128
実施例および比較例では、スパークプラグとして、M12プラグ(取付ネジ部52の呼び径が12mmのプラグ)を用いた。また、実験例および比較例では、ガスケットを形成するために、厚み1.5mm、内径11.9mmのガスケット形成部材を用いた。
実施例のガスケットは、図5に示したように8個の成形爪81を備える爪付治具80を用いて形成したため、8個の係合爪63を有している。実施例のガスケットを形成する際に、爪付治具80の成形部84が治具アセンブリ70の中心に向かって変位する変位量は、0.22mmに設定した。
比較例のガスケットは、内周近傍において、爪付治具80とは異なる形状の治具をガスケット形成部材に押し付けることによって形成した係合爪を有している。具体的には、係合爪を形成するための治具として、ガスケット形成部材の内周よりも一回り径が大きい円環状の凸部である成形爪を端部に有する治具を用いた。このような成形爪を、ガスケット形成部材の内周近傍に押し当て、スパークプラグの軸方向に平行な押圧力を加えて、成形爪の先端を、ガスケット形成部材の厚み方向の途中まで圧入した。このようにして、円環状に連続した形状の凹部と、凹部よりも内側に形成された円環状の凸部である係合爪と、を有する比較例のガスケットを作製した。上記のようにガスケット形成部材に成形爪を圧入することにより、係合爪は、ガスケット形成部材の内周よりも中心寄りに張り出して形成される。ただし、比較例で用いた治具が備える成形爪は、圧入の動作の際に、実施例のように端部が径方向内側へと変位することはない。なお、上記したように成形爪が径方向に変化せず、軸方向に平行に圧入する動作のみにより係合爪を形成する場合には、通常は、上記比較例のように円環状の係合爪を設ける方が、互いに離間する複数の係合爪を設けるよりも、ガスケットの脱落防止性が向上することが分かっている。
また、実施例および比較例のガスケットにおいて、ガスケット形成部材に対して軸方向に平行に成形爪を圧入する圧入深さは、互いに同じとした。
評価実験を行なう際には、実施例のスパークプラグと比較例のスパークプラグとを5個ずつ用意して、エンジンへの取付を行なった。表1では、実施例と比較例の各々のスパークプラグについて、番号1〜5を付して区別している。評価実験では、まず、各々のスパークプラグについて、最も小さい締め付けトルクである20Nmにてエンジンへの取り付けを行なった後に、エンジンからの取り外しを行ない、ガスケットの脱落の有無を評価した。ここでは、エンジンからプラグを取り外した時にガスケットがプラグ側に係合しており、ガスケットを手で回してもプラグから取れない場合に、ガスケットの脱落無しと判断した。ガスケットが脱落していない場合には、一段階大きな締め付けトルクである25Nmにて再びエンジンへの取付を行ない、その後取り外しを行なって、同様にガスケットの脱落の有無を評価した。このようにして、各々のスパークプラグについて、締め付けトルクを20Nmから5Nm刻みで段階的に大きくしながら、ガスケットが脱落するまで評価実験を繰り返した。評価の条件としての締め付けトルクは、最大50Nmとした。
表1に示すように、実施例のスパークプラグを用いる場合には、締め付けトルクを50Nmまで大きくしても、エンジンからプラグを取り外した時にガスケットが脱落することはなかった。これに対して、比較例のスパークプラグを用いる場合には、締め付けトルクを35Nm〜45Nmにすると、エンジンからプラグを取り外した時にガスケットが脱落した。以上のように、本実施形態のスパークプラグの製造方法によれば、スパークプラグにおけるガスケットの脱落を抑制する効果が高まることが確認された。なお、M12プラグを用いる場合の締め付けトルクは、国際規格ISO 28741および日本工業規格JIS B8031において、最大で25Nmと規定されている。実施例のスパークプラグを用いるならば、規定の締め付けトルクを越えるトルクにてエンジンへの取り付けが行なわれる場合であっても、極めて高い信頼性で、エンジンからプラグを取り外したときのガスケットの脱落を抑制できることが確認できた。
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
D1.変形例1(成形爪の端部を変位させる構成の変形):
実施形態では、成形爪81の端部を変位させる力を移動治具90から爪付治具80へと加えるために、爪付治具80と移動治具90において、第1の傾斜部85と第3の傾斜部94とをそれぞれ設けたが、異なる構成としても良い。移動治具90の移動によって爪付治具80と移動治具90との係合関係が変化して、移動治具90から爪付治具80へと、成形爪81の端部を変位させる力を生じさせることができるならば、係合する部位の形状は、種々の変形が可能である。
また、実施形態では、移動治具90と爪付治具80との係合関係が変化することにより、成形爪81の端部を変位させる力を発生させたが、異なる構成としても良い。スパークプラグ形成部材と接する移動治具の移動により係合関係が変化する治具として、移動治具90と爪付治具80との間に、1つ以上の他の治具が介在することとしても良い。
さらに、実施形態では、治具アセンブリを構成する複数の治具の係合関係を変化させることによって、成形爪81の端部を径方向内側に変位させる力を発生させたが、異なる構成としても良い。例えば、治具アセンブリにおいて、移動治具90に代えて、所定のタイミングで成形爪を径方向内側に移動させる力を機械的に発生するアクチュエータを設けても良い。ただし、実施形態によれば、成形爪81の端部を変位させるために、スパークプラグ形成部材に押圧力を加えるための動力以外の動力を不要とすることができて望ましい。
D2.変形例2(成形爪の変位のタイミングに係る変形):
実施形態では、スパークプラグ形成部材60へと継続的に押圧力が加えられる時に、成形爪81の端部がガスケット形成部材62に接した後に、成形爪81の端部が変位を開始しており、押圧力を加える動作の停止と共に、成形爪81の変位も停止している。しかしながら、成形爪81を変位させる動作の開始は、成形爪81の端部がガスケット形成部材62に接した時以後であれば良い。例えば、成形爪81の端部がガスケット形成部材62に接した時と同時に、成形爪81が変位を開始しても良い。あるいは、ガスケット形成部材62への成形爪81の軸線方向の圧入が終了した後に、既述したアクチュエータを用いて、成形爪81の端部を変位させても良い。
D3.変形例3(その他の変形):
移動治具90に設ける位置合わせ部は、テーパ形状、すなわち、後端側に向かって内壁面の径が次第に大きくなる第2の傾斜部93以外の形状であっても良い。例えば、ガスケット形成部材62が係合可能な段差部を、位置合わせ部として移動治具90に設けても良い。また、治具アセンブリにおいて、移動治具90とは異なる他の治具において、位置合わせ部を設けても良い。ただし、実施形態のように移動治具90が位置合わせ部を有することとすれば、治具アセンブリにおいて部品点数を削減し、構成を簡素化することができて望ましい。
また、実施形態では、移動治具90は、ガスケット形成部材62と接し、ガスケット形成部材62を介して押圧力が加えられたが、異なる構成としても良い。移動治具90は、ガスケット形成部材62とスパークプラグ形成部材60の少なくとも一方に接触し、スパークプラグ形成部材60に対して押圧力が加えられた時に、スパークプラグ形成部材60と共に移動可能であればよい。
また、ガスケット形成部材として、中実円環状以外の形状の部材を用いても良い。例えば、中空円環状部材を用いることもできる。ただし、中実部材は中空部材に比べて変形加工が困難であるため、中実円環状部材を用いるならば、本発明を適用することにより、ガスケットの係合爪の張り出し量を確保する効果を、特に顕著に得ることができる。また、爪付治具80が備える成形爪81は、8個以外の複数個であっても良く、同じ大きさでなくても良く、また、等間隔に設けられていなくても良い。爪付治具は、ガスケットの形成時にガスケット形成部材の表面に押し当てられた後に、成形爪の端部が径方向内側へと変位可能に形成されており、スパークプラグからの脱落を十分に抑制可能な複数の係合爪63を形成可能であればよい。
3…セラミック抵抗
4…シール体
5…ガスケット
6,7…リング部材
8…板パッキン
9…タルク
10…絶縁碍子
12…軸孔
13…脚長部
15…碍子段部
17…先端側胴部
18…後端側胴部
19…中央胴部
20…中心電極
21…電極母材
25…芯材
30…接地電極
40…端子金具
50…主体金具
51…工具係合部
52…取付ネジ部
53…加締部
54…ガスケット受け部
56…金具内段部
57…先端面
58…圧縮変形部
60…スパークプラグ形成部材
62…ガスケット形成部材
63…係合爪
70…治具アセンブリ
71…蓋体部
72…弾性治具
73…収納部
74…第1の開口部
75…第1のネジ部
76…第2の開口部
77…第3の開口部
78…第2のネジ部
80…爪付治具
81…成形爪
82…本体部
83…取り付け部
84…成形部
85…第1の傾斜部
90…移動治具
91…第4の開口部
92…第5の開口部
93…第2の傾斜部
94…第3の傾斜部
95…突出部
96…段差部
100…スパークプラグ
200…エンジンヘッド
201…取付ネジ孔

Claims (5)

  1. (a)スパークプラグを構成するための主体金具に対して、前記主体金具先端側に設けられたネジ部の側から、前記主体金具の後端側へと、前記スパークプラグが備えるガスケットを形成するための円環状部材を嵌め込む工程と、
    (b)突起状の複数の成形爪を備える爪付治具を用いて、前記主体金具に嵌め込んだ前記円環状部材の内周近傍に対して、複数の前記成形爪を前記ネジ部の側から前記主体金具の後端側へと押し付けることによって、複数の前記成形爪を前記円環状部材の厚さ方向の途中まで圧入する工程と、
    を備え、
    前記ガスケットは、内周部から径方向内側へと張り出すように複数の前記成形爪によって形成された複数の係合爪を有し、該係合爪によって前記ガスケットが前記主体金具に係合するスパークプラグの製造方法において、
    (c)前記(b)工程で複数の前記成形爪を前記円環状部材に押し付ける際に複数の前記成形爪が前記円環状部材の表面に接触した時以後に、前記爪付治具とは異なる他の治具を用いて前記爪付治具を変形させることにより、複数の前記成形爪の端部を、前記円環状部材の径方向内側へと変位させる工程を備えることを特徴とする
    スパークプラグの製造方法。
  2. 請求項1記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記(c)工程は、前記(b)工程において複数の前記成形爪を前記円環状部材に圧入させる動作と同時に行なう工程であることを特徴とする
    スパークプラグの製造方法。
  3. 請求項2記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記(b)工程は、前記爪付治具を含む複数の治具を備える治具アセンブリの所定の箇所に、前記円環状部材を嵌め込んだ前記主体金具を含む製造途中の前記スパークプラグであるスパークプラグ形成部材を配置し、前記円環状部材に前記爪付治具の複数の前記成形爪を当接させつつ、前記スパークプラグ形成部材に対して押圧力を加えて、複数の前記成形爪を前記円環状部材に圧入する工程であり、
    前記(c)工程は、
    (c−1)前記スパークプラグ形成部材に対して前記押圧力を加える動作に伴って、前記治具アセンブリが備える前記治具のうちの一つの治具であって、前記スパークプラグ形成部材と前記円環状部材の少なくとも一方に接する移動治具が、移動する工程と、
    (c−2)前記(c−1)工程で前記移動治具が移動することにより、前記移動治具および前記爪付治具を含む複数の前記治具の間の係合関係が変化する工程と、
    (c−3)前記(c−2)工程で前記係合関係が変化することにより、前記治具アセンブリを構成する前記治具のいずれかによって、前記爪付治具を径方向内側に押圧して変形させる工程と、
    を備えるスパークプラグの製造方法。
  4. 請求項3記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記移動治具は、前記治具アセンブリの前記所定の箇所に前記スパークプラグ形成部材が配置されたときに、前記円環状部材に接する部材であり、
    前記(b)工程は、所定の押圧治具を用いて前記スパークプラグ形成部材に対して前記押圧力を加えるために、前記押圧治具を前記スパークプラグ形成部材に押し当てたときに、前記移動治具に設けられた位置合わせ部によって、前記円環状部材を前記スパークプラグ形成部材に対して位置合わせする工程を含むことを特徴とする
    スパークプラグの製造方法。
  5. 請求項1ないし4いずれか記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記円環状部材として、中実の平板状部材を用いる
    スパークプラグの製造方法。
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