JP7266541B2 - スパークプラグの製造方法及びスパークプラグ - Google Patents
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Description
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示のスパークプラグの製造方法は、中心電極と、前記中心電極を内側に絶縁保持する筒状の主体金具と、前記主体金具に一端が接合され、他端に前記中心電極の端部に対向する貴金属チップが接合された接地電極本体と、を備えるスパークプラグの製造方法であって、前記接地電極本体に対して、前記他端の側に開口し、前記貴金属チップを配置するためのチップ配置溝と、前記チップ配置溝の溝壁を切り欠いた形状で前記貴金属チップを配置しない領域に拡張させた拡張溝と、を形成する溝形成工程と、前記チップ配置溝に前記貴金属チップを配置して前記貴金属チップと接地電極本体とを溶接する溶接工程と、を備える。
本構成によれば、溶接の際に貴金属チップをチップ配置溝に配置できると共に、溶接により貴金属チップの一部及び接地電極本体の一部が溶融状態となった場合であっても、チップ配置溝の溝壁を切り欠いて拡張された拡張溝に溶融した金属(溶融金属)を収容することが可能になる。よって、貴金属チップの表面の溶接ダレによる不具合を抑制することができる。
このようにすれば、溶接の際に、溝壁のうち、接地電極本体の一端の側にある奥壁を伝って貴金属チップの表面に生じる溶接ダレを抑制することができる。
このようにすれば、溶接の際に、溝壁のうち、側壁を伝って貴金属チップの表面に生じる溶接ダレを抑制することができる。
このようにすれば、接地電極本体について、溶融金属を収容可能な拡張溝の面積を確保することができる。
本構成によれば、拡張溝に溶融部が広がることにより、チップ配置溝の内部のみに溶融部が形成される構成と比較して、接地電極本体と溶融部との接触面積が増加する。これにより、溶融部と接地電極本体との接合強度が向上する。また、溶接の際に貴金属チップの一部及び接地電極本体の一部が溶融状態となったときに、拡張溝に溶融金属を収容することが可能になる。よって、貴金属チップの表面の溶接ダレによる不具合を抑制することができる。
本開示のスパークプラグ100の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1は実施形態1のスパークプラグ100の断面図である。図2は、図1のスパークプラグ100の先端部を拡大した断面図である。図1の一点破線は、スパークプラグ100の軸線AXを示している。図1の下方向を先端方向FDといい、図1の上方向を後端方向BDという。
絶縁体10は、軸線AXに沿って延び、絶縁体10を貫通する軸孔12を有する略円筒状の部材である。絶縁体10は、例えば、アルミナ等のセラミックスを用いて形成されている。絶縁体10は、鍔部19と、後端側胴部18と、先端側胴部17と、縮外径部15と、脚長部13と、を備えている。
主体金具50は、全体として円筒形状であって、内燃機関のエンジンヘッドに固定可能とされ、導電性の金属材料(例えば、低炭素鋼材)で形成されている。主体金具50には、軸線AXに沿って貫通する通し孔59が形成されている。主体金具50は、絶縁体10の径方向の周囲に配置され、主体金具50の通し孔59内に、絶縁体10が挿入、保持されている。絶縁体10の後端は、主体金具50の後端よりも後端側に突出している。
キン8を省略することは可能である。この結果、絶縁体10は、加締部53からの押圧
力と段部57からの押圧力とで主体金具50に固定される。また、内燃機関の燃焼室内の混合気が、主体金具50と絶縁体10との隙間から外部に漏れることが、板パッキン8によって防止される。主体金具50の先端側には、絶縁体10の脚長部13及び中心電極20を円筒形状に包囲する周壁50Aが設けられている。
中心電極20は、軸線AXに沿って延びる棒状の中心電極本体21と、発火部29と、を備えている。中心電極本体21は、絶縁体10の軸孔12の内部の先端側の部分に保持されている。すなわち、中心電極20の後端側は、軸孔12内に配置されている。中心電極本体21は、耐腐食性と耐熱性が高い金属、例えば、ニッケル(Ni)製またはニッケル(Ni)が一番多く含まれる合金(例えば、NCF600、NCF601等のNi合金)製とされている。中心電極本体21は、NiまたはNi合金で形成された母材と、その母材の内部に埋設された芯部と、を含む2層構造を有してもよい。この場合には、芯部は、例えば、母材よりも熱伝導性に優れる銅(Cu)製または銅(Cu)が一番多く含まれる合金で形成される。
端子金具40は、軸線方向に延びる棒状の部材である。端子金具40は、絶縁体10の軸孔12に後端側から挿通され、軸孔12内において、中心電極20よりも後端側に位置している。端子金具40は、導電性の金属材料(例えば、低炭素鋼)で形成され、端子金具40の表面には、例えば、防食のために、Niなどのめっきが形成されている。
抵抗体70は、絶縁体10の軸孔12において端子金具40の先端と中心電極20の後端との間に配置されている。抵抗体70は、例えば、1[kΩ]以上の抵抗値(例えば、5[kΩ])を有し、火花発生時の電波ノイズを低減する機能を有する。抵抗体70は、例えば、主成分であるガラス粒子と、ガラス以外のセラミック粒子と、導電性材料と、を含む組成物で形成されている。
接地電極30は、主体金具50の先端に接合された接地電極本体31と、四角柱形状の貴金属チップ39と、を備えている。接地電極本体31は、断面が四角形の湾曲した棒状体である。接地電極本体31は、主体金具50の先端面に、例えば、抵抗溶接によって、接合されている。これによって、主体金具50と接地電極本体31とは、電気的に接続される。接地電極本体31は、例えば、ニッケルまたはニッケルを主成分とする合金(例えば、NCF600、NCF601等のNi合金)を用いて形成されている。あるいは、ニッケルまたはニッケルを主成分とする合金で形成された母材と、その母材の内部に埋設された芯部と、を含む2層構造を有してもよい。接地電極本体31の先端部の上面31Aには、図2,図3に示すように、溶接溝32が形成されている。溶接溝32は、貴金属チップ39を配置するためのチップ配置溝33と、貴金属チップ39を配置しない領域に拡張させた拡張溝35と、を有する。
スパークプラグ100の製造方法について、接地電極30の製造方法を中心に説明する。先ず、曲げられる前の棒状の接地電極本体31と、貴金属チップ39とを用意する。
(溝形成工程)
図5に示すように、溶接溝32に対応する形状を有する図示しない押圧部材PMとを用いて、図示しないプレス機により、押圧部材PMを棒状の接地電極本体31の先端部の上面に押し当て下方に圧力を加えて接地電極本体31を変形させる。そして、接地電極本体31から押圧部材PMを取り外すと、接地電極本体31に溶接溝32が形成された状態となる(図6)。なお、押圧部材PMは、溶接溝32(の載置面33A及び延出面35A)と同じ底面(及び平断面)を有する形状とされている。そして、溶接溝32におけるチップ配置溝33に溶接前の貴金属チップ39を配置する。
次に、図7に示すように、図示しない治具を用いて、貴金属チップ39を下方(接地電極本体31側)に押さえながら、貴金属チップ39と接地電極本体31との境界に沿ってレーザL1(例えばファイバレーザ、YAGレーザ等)を照射してレーザ溶接を行う。このとき、溶融状態となった貴金属チップ39の一部、及び、接地電極本体31の一部は、溶接溝32内のチップ配置溝33だけでなく、拡張溝35に流れて拡張溝35内に収容され、チップ配置溝33及び拡張溝35内で固化した溶融部37(溜まり部37A)を形成する(図2)。
スパークプラグ100の製造方法は、中心電極20と、中心電極20を内側に絶縁保持する筒状の主体金具50と、主体金具50に一端が接合され、他端に中心電極20の端部に対向する貴金属チップ39が接合された接地電極本体31と、を備えるスパークプラグ100の製造方法であって、接地電極本体31に対して、他端の側に開口し、貴金属チップ39を配置するためのチップ配置溝33と、チップ配置溝33の溝壁34を切り欠いた形状で貴金属チップ39を配置しない領域に拡張させた拡張溝35と、を形成する溝形成工程と、チップ配置溝33に貴金属チップ39を配置して貴金属チップ39と接地電極本体31とを溶接する溶接工程と、を備える。
本実施形態のスパークプラグ100によれば、溶接の際に貴金属チップ39をチップ配置溝33に配置できると共に、溶接により貴金属チップ39の一部及び接地電極本体31の一部が溶融状態となった場合であっても、チップ配置溝33の溝壁34を切り欠いて拡張された拡張溝35に溶接ダレSを収容することが可能になる。よって、貴金属チップ39の表面の溶接ダレSによる不具合を抑制することができる。また、拡張溝35に溶融部37が広がることにより、チップ配置溝33の内部のみに溶融部37が形成される構成と比較して、接地電極本体31と溶融部37との接触面積が増加する。これにより、溶融部37と接地電極本体31との接合強度や熱伝導性を向上させることができる。
このようにすれば、溶接の際に、溝壁34のうち、接地電極本体31の一端の側にある奥壁34Bを伝って貴金属チップ39の表面に生じる溶接ダレSを抑制することができる。
次に、実施形態2について図10~図19を参照しつつ説明する。実施形態2は、実施形態1の溶接溝32に対して拡張溝の位置、数、形状を変えたものである。以下では、実施形態1と同じ構成については同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図10に示す溶接溝90は、チップ配置溝33と、貴金属チップ39を配置しない領域に拡張させた2つ(複数)の拡張溝35と、を備えている。複数の拡張溝35は、チップ配置溝33における奥壁34Bを切り欠いて形成されている。このようにすれは、拡張溝35が一つである構成と比較して、より多くの溶融金属を複数の拡張溝35に溜めることができる。
(1)拡張溝35の深さは、チップ配置溝33と同じ深さ(面一)としたが、これに限られず、例えば、拡張溝35をチップ配置溝33よりも深くしたりしてもよい。
Claims (7)
- 中心電極と、
前記中心電極を内側に絶縁保持する筒状の主体金具と、
前記主体金具に一端が接合され、他端に前記中心電極の端部に対向する貴金属チップが接合された接地電極本体と、を備えるスパークプラグの製造方法であって、
前記接地電極本体に対して、前記他端の側に開口し、前記貴金属チップを配置するためのチップ配置溝と、前記貴金属チップを配置しない領域に拡張させた拡張溝と、を形成し、前記拡張溝は、前記チップ配置溝の溝壁を切り欠いた形状で形成する溝形成工程と、
前記チップ配置溝に前記貴金属チップを配置して前記貴金属チップと前記接地電極本体とを溶接する溶接工程と、を備えるスパークプラグの製造方法。 - 前記拡張溝は、前記溝壁のうち、前記接地電極本体の前記一端の側にある奥壁を切り欠いた形状で形成されている請求項1に記載のスパークプラグの製造方法。
- 前記拡張溝は、前記溝壁のうち、前記接地電極本体の延びる方向に沿って延びる側壁を切り欠いた形状で形成されている請求項1または請求項2に記載のスパークプラグの製造方法。
- 前記拡張溝は、前記側壁から前記接地電極本体の端まで貫通している請求項3に記載のスパークプラグの製造方法。
- 中心電極と、
前記中心電極を内側に絶縁保持する筒状の主体金具と、
前記主体金具に一端が接合され、他端に前記中心電極の端部に対向する貴金属チップが接合された接地電極本体と、を備え、
前記貴金属チップは、前記貴金属チップの成分と前記接地電極本体との成分を含む溶融部を介して前記接地電極本体に接合されたスパークプラグであって、
前記接地電極本体は、
前記他端の側に開口し、前記貴金属チップが配置されたチップ配置溝と、前記貴金属チップを配置しない領域に拡張した拡張溝と、を備え、前記拡張溝は、前記チップ配置溝の溝壁を切り欠いた形状で形成するものであり、
前記溶融部は前記チップ配置溝及び前記拡張溝に形成されている、スパークプラグ。 - 前記チップ配置溝は、前記貴金属チップが載置される平坦な載置面を有し、
前記拡張溝は、前記載置面から延出された延出面と、前記延出面の周縁から起立する延出壁と、を有し、前記延出壁は、前記延出面と直交する方向から見て円弧状に湾曲した内面を有している請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスパークプラグの製造方法。 - 前記チップ配置溝は、前記貴金属チップが載置される平坦な載置面を有し、
前記拡張溝は、前記載置面から延出された延出面と、前記延出面の周縁から起立する延出壁と、を有し、前記延出壁は、前記延出面と直交する方向から見て円弧状に湾曲した内面を有している請求項5に記載のスパークプラグ。
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