JP5754184B2 - 液体吐出ヘッド及び記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ノズル孔等の穴部からインク液滴等の液体を吐出する液体吐出ヘッドの構造、及びこれを用いた記録装置に関する。
画像形成装置として、ノズル孔からインク液滴を吐出して記録媒体上に着弾させることにより画像形成を行うインクジェットプリンタが広く普及しており、中でも記録に供するインク液滴のみを選択的に吐出する、いわゆるオンデマンド方式のものが主流となっている。このオンデマンド方式は、インク液が吐出する運動エネルギの発生原理により、電気・機械変換素子である圧電素子の動作により生じる加圧液室体積変位によってインク液中に圧力を発生させてこの圧力からインク液滴吐出の運動エネルギを得るいわゆるピエゾ方式、電気・機械変換素子として静電アクチュエータを用いる静電方式、電気・熱変換素子によりインク液中に気泡を発生させてこの気泡の膨張によりインクを排除することによりインク液滴吐出の運動エネルギを得るいわゆるサーマル方式等に分類される。
さらに、ピエゾ方式における駆動方式として、加圧液室に接して設けられた振動板を別の構造体に支持されたバルク状のピエゾ素子が押す(または引く)ことにより加圧液室体積変位を得るいわゆるブッシュモード、加圧液室に接して設けられた振動板上に形成された板状のピエゾ素子が内面方向に伸縮することにより振動板に撓み変形を生じさせて加圧液室体積変位を得るいわゆるベンドモード、加圧液室を構成する部材の一部が圧電素子であってこの圧電素子が剪断変形することにより加圧液室体積変位を得るいわゆるシェアモード等が挙げられる。何れの方式においても加圧液室及びノズル孔は列状あるいは格子状となるように複数配列されることが一般的であり、近年は記録装置に対する高画質化及び低コスト化への要求に応えるため、高解像度及び実装面積収縮を両立すべく実装の高集積化が進展している。
上述の動向に対応し、半導体プロセスやマイクロマシニング技術を利用した液滴吐出ヘッドの製造方法が提案されている。これは、シリコン基板の片面上に成膜法及びリソグラフィ法等により薄膜状のピエゾ素子のパターンを直接形成すると共に、このシリコン基板の反対側の面にリソグラフィ法により加圧液室を直接形成するものであり、この製造方法によるヘッドは振動板と薄膜状のピエゾ素子とが薄膜アクチュエータを構成し、駆動方式としてはベンドモードに該当する。この方法によれば、機械加工では困難な微細形状の実現が可能であると共に、振動板・ピエゾ素子貼付のような構造部材の位置合わせ工程を大幅に削減できるため、液滴吐出ヘッドの高集積化、低コスト化等の面で有利となる。
上述の液滴吐出ヘッドでは、一般に加圧液室の構造コンプライアンス(単位圧力当たりの体積変位量)が吐出特性に大きく影響する。薄膜アクチュエータを用いた液滴吐出ヘッドの場合には、構造コンプライアンスが最大となる部位は薄膜アクチュエータであり、特にアクチュエータの可動部面積のばらつきは吐出特性のばらつきに直結する。一方、高集積化されたヘッドの加工においては、加工深さを加工幅で除した値で定義されるアスペクト比が高くなりがちであり、これは列状にノズル孔を配列する場合に、平面形状として幅が狭く細長い形状を採る構成において顕著である。アスペクト比の高い加圧液室をリソグラフィ法で加工する場合にエッチング時における形状ばらつきの発生は不可避であるため、従来技術にみられる加圧液室端部がアクチュエータの可動部面積を規定する構成では構造コンプライアンスのばらつきを押さえることが困難であり、このことが不安定な吐出特性に繋がっていた。
上述の問題点を解決する方法として、加圧液室端部以外の部位により、あるいは別部材を配置することにより振動板の可動部面積を規定する構成が各種提案されている。例えば「特許文献1」には、静電方式の液滴吐出ヘッドに関し、加圧液室幅よりも間隔の狭い壁面に対向する側に振動板を配置してその可動部面積を高精度に規定する技術が、「特許文献2」には、ピエゾ方式の液滴吐出ヘッドに関し、加圧液室側に補強部である振動規制層を設ける技術がそれぞれ開示されている。これ等の技術では、加圧液室端部にて振動板の可動部面積を規定するものに比してより高精度に振動板の可動部面積を規定できるため、構造コンプライアンスのばらつきを低減させることができる。また、加圧液室と対向する側に補強部を設けることにより、補強部としてインク液との接液性による材質の制約を受けないため、補強部を構成する材質の選択自由度が高いというメリットもある。
しかし、さらなる構造コンプライアンスのばらつきを考え高集積な液滴吐出ヘッドを製作する場合には補強部の形成工程にもリソグラフィ法が選択されることとなるが、そのアスペクト比の低さから加圧液室形成時ほど顕著ではないものの加工ばらつきの発生は不可避である。これは、エッチング深さをエッチングストップ層によって規制したときに幅方向にエッチングが進行するためである。このばらつきは一般的に振動板近傍ほど大きなものとなるため、ばらつきの低減は振動板の可動部面積を規定する上で非常に重要となる。また、補強部によって振動板の可動部面積を規定していることから振動板の変形時において補強部にも応力が作用するが、補強部に作用する応力はその中立軸を中心として振動板側の面とこれとは逆側の面とでは逆方向となる。
本発明は上述の点に鑑み、加圧液室はもとより補強部においても構造コンプライアンスのばらつきを低減することが可能な液体吐出ヘッド及びこれを用いる記録装置の提供を目的とする。
請求項1記載の発明は、少なくとも一部が板状の可撓性部材からなる振動板と、前記振動板の一方の面上に形成された電気・機械変換素子の変形により前記振動板を変位させる変位発生手段と、前記振動板の他方の面に接続し流路隔壁により区画されてなる加圧液室と、前記加圧液室に連通するノズル孔とを有し、前記加圧液室に収容された液体が前記変位発生手段により生じた前記振動板の変位により加圧され、加圧された前記液体を前記ノズル孔より液滴として吐出する液体吐出ヘッドにおいて、前記振動板の一方の面上であって前記流路隔壁と対向する位置に配設された補強部材を有し、該補強部材は少なくとも2層以上の複数層を有する積層体からなると共に、前記積層体部分が前記流路隔壁よりも前記加圧液室側に突出し、その突出した端部は前記流路隔壁と前記電気・機械変換素子との間に位置し、前記積層体を構成する全ての層の中で最大の曲げ剛性を有する層が前記振動板に接する層以外の層であることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の液体吐出ヘッドにおいて、さらに前記最大の曲げ剛性を有する層は前記積層体を構成する全ての層の中で最大のヤング率を有する層であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の液体吐出ヘッドにおいて、さらに前記最大の曲げ剛性を有する層は前記積層体を構成する全ての層の中で最大の厚みを有する層であることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の液体吐出ヘッドにおいて、さらに前記積層体を構成する全ての層の中で最小の曲げ剛性を有する層が前記振動板に接する層であることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の液体吐出ヘッドにおいて、さらに前記最小の曲げ剛性を有する層は前記積層体を構成する全ての層の中で最小のヤング率を有する層であることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項4記載の液体吐出ヘッドにおいて、さらに前記最小の曲げ剛性を有する層は前記積層体を構成する全ての層の中で最小の厚みを有する層であることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の液体吐出ヘッドにおいて、さらに前記振動板に接する層が二酸化ケイ素からなることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか1つに記載の液体吐出ヘッドにおいて、さらに前記振動板に接する層以外の層が窒化ケイ素からなることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8の何れか1つに記載の液体吐出ヘッドにおいて、さらに前記補強部材に接続された支持部材を有し、前記支持部材の前記補強部材に接続される部位の幅が前記補強部材の幅よりも小さいことを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項1ないし9の何れか1つに記載の液体吐出ヘッドを有し、前記液体吐出ヘッドから液滴を吐出させて画像形成を行う記録装置であることを特徴とする。
本発明によれば、振動板の面上であって流路隔壁と対向する位置に流路隔壁よりも加圧液室側に突出した補強部材を設け、補強部材を少なくとも補強下層と補強上層との2層を有する積層体で構成し、積層体を構成する各層の中で最大の曲げ剛性を有する補強上層を振動板に接する層以外の層とすることにより大きな曲げ剛性向上効果を得ることができ、流路隔壁によって振動板の幅を規定する場合に比して構造コンプライアンスのばらつきを低減することができる。
本発明の一実施形態を適用可能な記録装置としてのインクジェットプリンタの概略正面図である。 本発明の一実施形態を適用可能な記録装置としてのインクジェットプリンタの概略側面図である。 本発明の一実施形態に用いられる液体吐出ヘッドの概略図である。 本発明の一実施形態に用いられる液体吐出ヘッドの部分拡大図である。 本発明の一実施形態に用いられる液体吐出ヘッドの製造工程を説明する概略図である。 本発明の一実施形態に用いられる液体吐出ヘッドの製造工程を説明する概略図である。 本発明の一実施形態に用いられる液体吐出ヘッドの製造工程を説明する概略図である。 本発明の一実施形態に用いられる液体吐出ヘッドの製造工程を説明する概略図である。 本発明の一実施形態に用いられる液体吐出ヘッドの製造工程を説明する概略図である。 本発明の一実施形態に用いられる液体吐出ヘッドの製造工程を説明する概略図である。
図1は、本発明の一実施形態を採用した記録装置としてのインクジェットプリンタ1の正面図を、図2は同左側面図を示している。インクジェットプリンタ1は、左右の側板9に横架されたガイドロッド2により図1における紙面方向である主走査方向に摺動自在に保持されたキャリッジ3を有しており、主走査モータ4によって駆動プーリ6Aと従動プーリ6Bとに掛け渡されたタイミングベルト5を走行移動させることにより、タイミングベルト5に接続されたキャリッジ3を図2において左右方向である主走査方向に移動走査する。ガイドロッド2とキャリッジ3との間には2個のガイドブッシュ3aが配設されている。
キャリッジ3には、例えばそれぞれイエロ(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)のインク液を吐出する2個の液体吐出ヘッドであるヘッド7が設けられており、各ヘッド7はそれぞれ複数のインク吐出口であるノズル列を主走査方向とは直交する方向に備え、インク滴の吐出方向が水平となるようにキャリッジ3に取り付けられている。ヘッド7については後述する。
キャリッジ3には、ヘッド7に各色のインクを供給するための各色に対応したヘッドタンクが搭載されている。このヘッドタンクには、インク供給チューブを介して図示しないインクカートリッジからインクが補充供給される。なお、インク滴を吐出するヘッド7以外に、インクと反応することによりインクの定着性を高める定着用インクを吐出するヘッドを備えることも可能である。ヘッド7のノズルは乾燥によるノズル詰まりが発生し易く、印字中のエラー等による装置停止中や電源オフ時等のキャリッジ非稼働時には、ノズル面に対してキャップを被覆して保湿を行っている。吸引キャップ71及び保湿キャップ72はクリーニング装置に設けられており、クリーニング装置は装置本体の左右どちらかに配置されている。
装置本体の下部には、給紙カセット10の用紙積載部11上に積載された用紙12を給紙する給紙部が配置されている。給紙部は、用紙積載部11から用紙12を給送する給紙ローラ13、給紙ローラ13に圧接配置され高摩擦抵抗部材からなる分離パッド14等を有しており、これ等により用紙積載部11上の用紙12が1枚ずつ分離給送される。
図1において給紙部の左方には、給紙部からの用紙12をヘッド7のノズル面に対して平行となるように搬送する搬送部が配設されている。搬送部は、用紙12を静電力により吸着して搬送する搬送ベルト21、給紙部より送られた用紙12を案内するガイド板15、用紙12の先端を検知する反射型センサからなる第1用紙有無検知センサ200、押さえ部材24により付勢され用紙12を搬送ベルト21に圧接させる先端加圧コロ25、押さえ部材24に固定され用紙12の先端を検知する反射型センサからなる第2用紙有無検知センサ201、搬送ベルト21の表面を帯電させる帯電ローラ26等を有している。無端ベルトからなる搬送ベルト21は搬送ローラ27とテンションローラ28との間に掛け渡されており、タイミングベルト32及びタイミングローラ33を介して副走査モータ31からの駆動力を受けた搬送ローラ27が回転駆動されることにより図2に示すベルト搬送方向(副走査方向)に走行駆動される。搬送ベルト21の裏面側であってヘッド7の画像形成領域と対応した部位にはガイド部材29が配設されている。
図2に示すように搬送ローラ27の回転中心軸には光を透過する透過部と透過しない非透過部とが交互に形成された円板型のエンコーダシート34が取り付けられており、搬送ローラ27の回転中心軸を支持する側板にはエンコーダシート34の透過部と非透過部とを検知するエンコーダセンサ35が配設され、これ等によってエンコーダ36が構成されている。帯電ローラ26は搬送ベルト21の表層に接触しており、搬送ベルト21の移動に従動して回転する。
キャリッジ3の前方側には、図1に示すように光を透過する透過部と透過しない非透過部とが交互に形成されたエンコーダシート42が設けられており、キャリッジ3の前面側にはエンコーダシート42の透過部と非透過部とを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサが設けられ、これ等によってキャリッジ3の主走査方向における位置が検知される。さらに、ヘッド7によって記録された用紙12を排紙するための排紙部として、搬送ベルト21から用紙12を分離する分離爪51、排紙ローラ52及び排紙コロ53、排紙される用紙12をストックする排紙トレイ54等が設けられている。
上述のインクジェットプリンタ1では給紙部から用紙12が1枚ずつ分離給送され、水平方向に給紙された用紙12はガイド板15によって垂直方向に案内されてその先端を第1用紙有無検知センサ200によって検知される。その後、用紙12は搬送ベルト21上に搬送され、先端加圧コロ25によって搬送ベルト21に押し付けられた状態で再度その先端を第2用紙有無検知センサ201によって検知される。このとき帯電ローラ26に対してプラス(正極)出力とマイナス(負極)出力とが交互に繰り返される交番電圧が印加され、搬送ベルト21にはその走行方向である副走査方向に、プラス及びマイナスの電荷が所定の幅で帯状に交互に印加される。このプラス及びマイナスに交互に帯電した搬送ベルト21上に用紙12が給送されると、用紙12が搬送ベルト21に静電力で吸着されて搬送ベルト21の周回移動により用紙12が副走査方向に搬送される。
上述の状態でキャリッジ3を移動させつつ画像信号に応じてヘッド7を駆動することにより、停止している用紙12にインク滴を吐出して1行分の記録を行い、用紙12を所定量搬送した後に次の行の記録を行う。記録終了信号または用紙12の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより記録動作が終了し、用紙12は排紙ローラ52及び排紙コロ53によって排紙トレイ54上に排出される。このインクジェットプリンタ1では、1方向の走査時にのみ画像を形成する片方向記録モードと両方向の走査時の何れにも画像を形成する両方向記録モードとがあり、これをユーザからの指定や印刷画像に応じて設定するか、あるいは何れかのモードのみを行うかを任意に設定可能である。
ヘッド7のノズルの回復やマシン停止中にノズルの保湿を行うクリーニング装置は、本実施形態においては図2に示すように装置本体の右側に配設されており、クリーニング装置のフレーム110は装置本体の右側板に位置決めされてねじにより固定されている。フレーム110内には図示しないキャッピング機構用ステッピングモータが配設されており、これを正回転させると図示しないギヤ及びカムを介して吸引キャップ71及び保湿キャップ72がキャッピングとデキャップ動作を実施する。また、図示しないキャッピング機構用ステッピングモータを逆回転させると、チュービングポンプによるポンプ駆動を実施する。
フレーム110内には、ヘッド7のノズル面をクリーニングするワイピング機構が設けられている。このワイピング機構は、撥水性を有しノズル面に当接しつつ移動するワイパブレード101、ワイパブレード101を保持するホルダ部102及びスライダ103、それぞれ図示しないギヤ、ステッピングモータ、スライダ103の移動をガイドするガイドレール106等を有している。スライダ103にはラック部が形成されており、これにステッピングモータの出力軸に接続されたギヤが噛合している。ホルダ部102とスライダ103とは、一体であっても別体であってもよく、スライダ103が下方へと移動することにより、ノズル面に付着したインクや紙粉等の異物をワイパブレード101が除去する。
ここで、本発明の特徴部であるヘッド7の構成について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に用いられるヘッド7を示している。ヘッド7は、振動板61、共通電極62、圧電素子63、個別電極64、パッシベーション膜65、流路板66、ノズル板67、補強部材68、支持部材としての支持フレーム69等を有している。
振動板61は、2〜4μm程度の厚みを有するシリコンオンインシュレーティングサブストレート(SOI:絶縁体層の上にケイ素層を形成するもの)、あるいはケイ素(Si)、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiN)等による積層板からなり、振動板61の一方の面上に共通電極62、圧電素子63、個別電極64が積層され、これら全体をパッシベーション膜65にて被覆したものにより変位発生手段としての薄膜アクチュエータ70が構成されている。共通電極62及び個別電極64はチタン(Ti)、プラチナ(Pt)あるいは酸化物電極材料等の材料が、パッシベーション膜65はアルミナ等の材料がそれぞれ成膜されたものにより構成され、圧電素子63はピエゾ素子(PZT)等の材料が1〜3μm程度の厚みで形成されたものにより構成されている。
振動板61の他方の面には流路板66が接続して配設されており、さらに流路板66に接続してノズル孔67aを有するノズル板67が配設されている。流路板66の一部は流路隔壁66aによって区画されており、これとノズル板67とによって閉じられた幅50〜100μm程度の空間により加圧液室66bが構成されている。振動板61を介して各流路隔壁66aと対向する位置には補強下層68a及び補強上層68bを有する積層膜からなる補強部材68がそれぞれ配設されており、この補強部材68には支持フレーム69が接着固定されている。
図4は、ヘッド7の補強部材68近傍を拡大した断面図を示している。補強下層68aは0.5μm程度の厚みを有する二酸化ケイ素(SiO2)によって形成されており、補強上層68bは2μm程度の厚みを有する窒化ケイ素(SiN)によって形成されている。そして補強部材68は、加圧液室66b端部の公称位置Aから実際に加工される位置A’との公差δの存在を前提として、自身が加圧液室66b端部よりも加圧液室66b側に張り出した張り出し量WOを有するように形成されている。
次に、ヘッド7の動作について説明する。加圧液室66bには、図示しない供給流路を経由して供給されたインク液が充填されている。この状態において共通電極62と個別電極64との間に電圧を印加すると、圧電素子63が収縮して振動板61に図3において二点差線で示す撓み変形が発生する。この撓み変形により加圧液室66b内に体積変位が生じ、これに伴い加圧液室66b内のインク液が加圧される。加圧されたインク液はノズル板67のノズル孔67aより流出し、これによりインク液の吐出が行われる。
次に、ヘッド7の製造工程について説明する。先ず図5に示すように、シリコン基板等からなる流路板66上に振動板61を形成する。振動板61としては、例えばシリコンオンインシュレーティングサブストレート(SOI)、あるいは二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiN)、ポリシリコン等を複数層積層成膜した構成等を選択可能である。次に図6に示すように、共通電極62、圧電素子63、個別電極64のパターニングを行い、その後全面にパッシベーション膜65を成膜することにより薄膜アクチュエータ70を構成する。共通電極62、個別電極64はチタン(Ti)、プラチナ(Pt)等から、圧電素子63はピエゾ素子(PZT)等から、パッシベーション膜65は酸化アルミニウム(Al2O3)等からそれぞれ構成される。
さらに図7に示すように、薄膜アクチュエータ70の全面に補強下層68a及び補強上層68bを成膜した後、図8に示すように圧電素子63の近傍のみをエッチングにより選択的に除去することで補強部材68が形成される。その後図9に示すように、流路板66を薄膜アクチュエータ70が形成されている面とは反対側よりエッチングすることで流路隔壁66a及び加圧液室66bが形成され、図10に示すように流路板66にノズル板67が、補強部材68に支持フレーム69がそれぞれ接合されることによりヘッド7が完成する。
上述のように製造されたヘッド7では、図4に示すように加圧液室66bの端部が公称位置Aに対してばらつきである公差δを有する位置A’に加工されるが、振動板61及び共通電極62及びパッシベーション膜65を介して加圧液室66bと対向する位置にはさらに加圧液室66b側に張り出した補強部材68が存在し、補強部材68によって振動板61が実質的に変形する幅が規定されているため、流路隔壁66aによって振動板61の幅を規定する場合に比して構造コンプライアンスのばらつきが低減されている。また、補強部材68においても公称位置Bと補強下層68aが振動板61と接する位置B’との間にばらつきが生じるが、補強上層68bを構成する窒化ケイ素(SiN)よりもヤング率が低い二酸化ケイ素(SiO2)によって補強下層68aを構成し、かつ補強上層68bの厚み2μmよりも補強下層68aの厚みを0.5μmと薄くすることにより上述のばらつきに対する曲げ剛性の感度を低減させることができ、構造コンプライアンスのばらつきをさらに低減させることができる。以下に、この理由を説明する。
層数Nからなる積層板の曲げ剛性は、幅をb、ヤング率をE、ポアソン比をν、各層境界の厚み方向位置をz、各層を区別する添え字をiとすると、
(b/3)Σ[{E/(1−ν )}{(zi+1−zn)−(z−zn)}]
で表される。ここで、ΣはiからNまでの総和を表す総和記号、znは積層板の曲げに関する中立軸位置であって、
zn=[Σ{E/(1−ν )×(zi+1−z)(zi+1+z)}]/[2Σ{E/(1−ν )×(zi+1−z)}]
で表される。上式より、中立軸から離れた(振動板61から離れた)位置にヤング率が高くかつ厚い層を配置すると大きな曲げ剛性向上効果が得られ、逆に中立軸に近い(振動板61に近い)位置にヤング率が低くかつ薄い層を配置すると加工位置Bのばらつきに対する曲げ剛性の感度を低減させることができる。
上述したように本発明によれば、振動板61の面上であって流路隔壁66aと対向する位置に流路隔壁66aよりも加圧液室66b側に突出した補強部材68を設け、補強部材68を少なくとも補強下層68aと補強上層68bとの2層を有する積層体で構成し、積層体を構成する各層68a,68bの中で最大の曲げ剛性を有する補強上層68bを振動板61に接する層以外の層とすることにより大きな曲げ剛性向上効果を得ることができ、流路隔壁66aによって振動板61の幅を規定する場合に比して構造コンプライアンスのばらつきを低減することができる。また、積層体を構成する各層68a,68bの中で最小の曲げ剛性を有する補強下層68aを振動板61に接する層とすることにより、剛性のばらつきを緩和して加工位置Bのばらつきに対する曲げ剛性の感度を低減させることができ、構造コンプライアンスのばらつきをより一層低減することができる。
なお、最大の曲げ剛性を有する層とは最大のヤング率を有する層または最大の厚みを有する層であり、最小の曲げ剛性を有する層とは最小のヤング率を有する層または最小の厚みを有する層であることは、上式より明らかである。上記実施形態では、積層体を構成する各層の中で最大の曲げ剛性を有する層を振動板に接する層以外の層としているが、最大の曲げ剛性を有する層は実質的な最外殻層とすることが望ましい。ここでいう実質的な最外殻層とは、コーティング等を目的として補強を目的としない薄層を含まず、補強を目的とした層の中で最外殻に位置するものをいう。
また、補強部材68に接続された支持フレーム69を設けることによりヘッド7全体の剛性をより高くすることができ、さらに支持フレーム69が補強部材68よりも小さな幅で補強部材68に接触することにより、支持フレーム69と補強部材68との接合位置ずれ等に起因する不具合現象の発生を防止することができる。
上記実施形態では、補強部材68として、補強下層68aに厚さ0.5μm程度の二酸化ケイ素(SiO2)を、補強上層68bに厚さ2.0μm程度の窒化ケイ素(SiN)を用いた2層構造のものを示したが、本発明の補強部材はこれに限定されることはなく、最大曲げ剛性を有する層が振動板61と接する層以外の層に配置されていれば、上記とは異なる層数、材質、厚みを選択してもよい。このとき最小曲げ剛性を有する層を振動板61に接する層とすることにより、構造コンプライアンスのばらつき低減効果をより好適に発揮することができる。
1 記録装置(インクジェットプリンタ)
7 液体吐出ヘッド(ヘッド)
61 振動板
66a 流路隔壁
66b 加圧液室
67a ノズル孔
68 補強部材
69 支持部材(支持フレーム)
70 変位発生手段(薄膜アクチュエータ)
特開2001−253073号公報 特開2008−143160号公報

Claims (10)

  1. 少なくとも一部が板状の可撓性部材からなる振動板と、前記振動板の一方の面上に形成された電気・機械変換素子の変形により前記振動板を変位させる変位発生手段と、前記振動板の他方の面に接続し流路隔壁により区画されてなる加圧液室と、前記加圧液室に連通するノズル孔とを有し、前記加圧液室に収容された液体が前記変位発生手段により生じた前記振動板の変位により加圧され、加圧された前記液体を前記ノズル孔より液滴として吐出する液体吐出ヘッドにおいて、
    前記振動板の一方の面上であって前記流路隔壁と対向する位置に配設された補強部材を有し、該補強部材は少なくとも2層以上の複数層を有する積層体からなると共に、前記積層体部分が前記流路隔壁よりも前記加圧液室側に突出し、その突出した端部は前記流路隔壁と前記電気・機械変換素子との間に位置し、前記積層体を構成する全ての層の中で最大の曲げ剛性を有する層が前記振動板に接する層以外の層であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 請求項1記載の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記最大の曲げ剛性を有する層は前記積層体を構成する全ての層の中で最大のヤング率を有する層であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  3. 請求項1記載の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記最大の曲げ剛性を有する層は前記積層体を構成する全ての層の中で最大の厚みを有する層であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  4. 請求項1ないし3の何れか1つに記載の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記積層体を構成する全ての層の中で最小の曲げ剛性を有する層が前記振動板に接する層であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  5. 請求項4記載の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記最小の曲げ剛性を有する層は前記積層体を構成する全ての層の中で最小のヤング率を有する層であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  6. 請求項4記載の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記最小の曲げ剛性を有する層は前記積層体を構成する全ての層の中で最小の厚みを有する層であることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  7. 請求項1ないし6の何れか1つに記載の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記振動板に接する層が二酸化ケイ素からなることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  8. 請求項1ないし7の何れか1つに記載の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記振動板に接する層以外の層が窒化ケイ素からなることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  9. 請求項1ないし8の何れか1つに記載の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記補強部材に接続された支持部材を有し、前記支持部材の前記補強部材に接続される部位の幅が前記補強部材の幅よりも小さいことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  10. 請求項1ないし9の何れか1つに記載の液体吐出ヘッドを有し、前記液体吐出ヘッドから液滴を吐出させて画像形成を行うことを特徴とする記録装置。
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