JP2003245897A - 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents

静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置

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JP2003245897A
JP2003245897A JP2002047314A JP2002047314A JP2003245897A JP 2003245897 A JP2003245897 A JP 2003245897A JP 2002047314 A JP2002047314 A JP 2002047314A JP 2002047314 A JP2002047314 A JP 2002047314A JP 2003245897 A JP2003245897 A JP 2003245897A
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electrodes
diaphragm
electrostatic actuator
ink
head
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Akira Shimizu
明 清水
Tadashi Mimura
忠士 三村
Manabu Nishimura
学 西村
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2002/14411Groove in the nozzle plate

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで高吐出効率が得られない。 【解決手段】 振動板10は弾性率が2E11dyn/cm2
越えない材料で形成し、振動板10には電気的に互いに
絶縁分離された導電性を有する構造体からなる複数の電
極14を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は静電アクチュエータ、液
滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の
画像記録装置或いは画像形成装置として用いるインクジ
ェット記録装置において使用する液滴吐出ヘッドである
インクジェットヘッドは、インク滴を吐出する単一又は
複数のノズル孔と、このノズル孔が連通する吐出室(イ
ンク室、液室、加圧液室、圧力室、インク流路等とも称
される。)と、吐出室内のインクを加圧する圧力を発生
する圧力発生手段とを備えて、圧力発生手段で発生した
圧力で吐出室内インクを加圧することによってノズル孔
からインク滴を吐出させる。
【0003】なお、液滴吐出ヘッドとしては、例えば液
体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DN
Aの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどもあ
るが、以下ではインクジェットヘッドを中心に説明す
る。また、液滴吐出ヘッドのアクチュエータ部分を構成
するマイクロアクチュエータ、例えばマイクロポンプ、
マイクロ光変調デバイスなどの光学デバイス、マイクロ
スイッチ(マイクロリレー)、マルチ光学レンズのアク
チュエータ(光スイッチ)、マイクロ流量計、圧力セン
サなどにも適用することができる。
【0004】ところで、液滴吐出ヘッドとしては、圧力
発生手段として圧電素子などの電気機械変換素子を用い
て吐出室の壁面を形成している振動板を変形変位させる
ことでインク滴を吐出させるピエゾ型のもの、吐出内に
配設した発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いてイン
クの膜沸騰でバブルを発生させてインク滴を吐出させる
バブル型(サーマル型)のもの、吐出室の壁面を形成す
る振動板を静電力で変形させることでインク滴を吐出さ
せる静電型のものなどがある。
【0005】近年、環境問題から鉛フリーであるバブル
型、静電型が注目を集め、鉛フリーに加え、低消費電力
の観点からも環境に影響が少ない、静電型のものが複数
提案されている。
【0006】この静電型ヘッドの中には、振動板をイン
ク室側に押し込みインク室内の内容積を小さくすること
でインク滴を吐出させる押し打ち法で駆動するものと、
振動板をインク室の外側方向の力で変形させインク室内
の内容積を広げた状態から元の内容積になるように振動
板の変位を元に戻すことでインク滴を吐出させる引き打
ち法で駆動するものとがある。
【0007】押し打ち法タイプの静電型ヘッドとして
は、例えば特開平2−266943号公報に記載されて
いるように、一対の電極対の間にインクが充填されてお
り、片方あるいは両方の電極が振動板として働く形態
で、電極間に電圧を印加することによって電極間に静電
引力が働き、電極(振動板)が変形しそれによってイン
クが押し出され吐出するものがある。また、特開200
0−15805号公報に記載されているように、シリコ
ン基板からなる振動板表面に突起部を設け、この突起部
に電極を形成し、電極に電圧を印加することによって突
起部間に作用するという静電力によって振動板を変形さ
せ、インクを吐出するものもある。
【0008】引き打ち法としては、例えば特開平6−7
1882号公報に記載されているように、一対の電極対
がエアギャップを介して設けられており、片方の電極が
振動板として働き、振動板の対向する電極と反対側にイ
ンクが充填されるインク室が形成され、電極間(振動板
−電極間)に電圧を印加することによって電極間に静電
引力が働き、電極(振動板)が変形し、電圧を除去する
と振動板が弾性力によってもとの状態に戻り、その力を
用いてインクを吐出するものがある。また、特開200
1−47624号公報に記載されているように、櫛歯状
に形成され互いに入れ子になった電極対の片方に振動板
を備え、電極対に電圧を印加することによって櫛歯間に
静電力引力を発生させ、電極の変位により振動板を変形
させ、電圧を切った時に振動板の弾性力でインクを吐出
するものもある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平2−266943号公報記載の液滴吐出ヘッドにあ
っては、電極間にインクを充填しているので必然的に電
極間距離が大きくなる。電極間に働く静電力は電極間距
離の2乗に反比例するので電極間距離が大きくなると必
要な電圧が非常に大きくなってしまうという問題があ
る。この場合、インクの誘電率によってある程度電圧を
下げることはできるが、電極間距離の影響が大きいので
あまり効果がない。また、インクの誘電率を大きくする
必要がある、あるいはインクに電界がかかることよりイ
ンクの自由度は小さくなる。そのため、インクの色、p
H、粘度などのインク物性に制限が加わり、高画質化が
困難であるという課題がある。
【0010】また、前記特開平6−71882号公報記
載の液滴吐出ヘッドにあっては、電極間にインクを充填
していないのでインクに対する制限が少なく高画質化に
は有利である。しかしながら、低電圧化のためには電極
間のエアギャップを非常に小さくしなければならず、そ
のような微小なギャップを精度良く、バラツキ少なく形
成するのは非常に困難であり、歩留まりが上がらないと
いった問題がある。また振動板の弾性力によってインク
を吐出する、いわゆる引き打ちの方法であるので、振動
板はインクを吐出するだけの剛性が必要であり、そのよ
うな剛性の振動板を静電力で引き付けるため電圧が高く
なってしまうといった課題がある。
【0011】さらに、前記特開2001−47624号
公報記載の液滴吐出ヘッドにあっては、櫛歯状電極を用
いているので変位量は大きくすることができるが、発生
力は非常に小さく、インクを吐出するだけの発生力を得
ようとした場合、非常に電圧が高くなってしまう。しか
も、構造が複雑であるので作製が困難であり、コスト高
となってしまうという課題がある。
【0012】また、前記特開2000−15805号公
報記載の液滴吐出ヘッドにあっては、導電性を有するシ
リコン基板で形成した振動板に突起部を設けて、この突
起部に導電性部材の電極を形成しているので、シリコン
振動板を介して各電極間が同電位になって静電力が発生
せず、振動板を変形できないという課題がある。
【0013】しかも、振動板に突起部を形成して、この
突起部に電極を付けなければならず、そのような立体微
細構造の表面に電極を付けるのは困難であり、電極がう
まく形成されない部分ができたり、バラツキが生じたり
で、安定して製造できなく歩留まりが悪いという課題が
ある。さらに、低電圧化のためには突起間の間隔は狭く
しなければならないが、そのような狭い間隔の中に電極
を形成するのは困難であり、また狭い突起間に電極を形
成するとショートしてしまうという不良が生じたりす
る。
【0014】また、突起部に電極を形成することは、立
体構造でのフォトリソ工程はレジストコート、露光など
が困難であることから、一般的な方法では不可能であ
り、そのため特別な装置を使用したり、製造工程が長く
なったりしてコスト高となってしまうという課題があ
る。
【0015】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、低コストで、駆動効率が高い静電アクチュエー
タ、低コストで、滴吐出効率が高く、高画質印字が可能
な液滴吐出ヘッド及び高画質記録が可能なインクジェッ
ト記録装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る静電アクチュエータは、可動部分の少
なくとも一部は弾性率が2E11dyn/cm2を越えない材料
で形成し、可動部分には電気的に互いに絶縁分離された
導電性を有する構造体からなる少なくとも2つの電極を
設け、電極間に静電力を発生させることによって可動部
分を変形させるものである。
【0017】ここで、可動部分の主たる材料が、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、イオノマー材料、ポリカーボ
ネイト、ポリイミド、ポリアミド系材料、ポリ塩化ビニ
ル又はこれらの材料を含む化合物であることが好まし
い。
【0018】本発明に係る静電アクチュエータは、可動
部分の少なくとも一部に薄い部分を形成し、可動部分に
は電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する構造体
からなる少なくとも2つの電極を設け、電極間に静電力
を発生させることによって可動部分を変形させるもので
ある。
【0019】ここで、可動部分の厚さが変形可能領域の
周辺部分で薄く形成されていることが好ましい。また、
可動部分は電極を設ける面と反対側の面に部分的に凹部
が形成されていることが好ましい。
【0020】これらの本発明に係る静電アクチュエータ
においては、可動部分が複層膜から形成されていること
が好ましい。また、可動部分の変形可能領域の周辺部分
の弾性率が他の部分よりも弾性率が低いことが好まし
い。
【0021】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、ノズル孔
が連通する吐出室の少なくとも一つの壁を構成する振動
板を可動部分とする本発明に係る静電アクチュエータを
備えたものである。
【0022】本発明に係るインクジェット記録装置は、
インク滴を吐出するインクジェットとして本発明に係る
液滴吐出ヘッドを備えたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る液滴吐
出ヘッドの第1実施形態に係るインクジェットヘッドの
分解斜視図で、一部断面図で示している。図2は同ヘッ
ドの振動板長手方向の断面説明図、図3は同ヘッドの振
動板短手方向の断面説明図、図4は同ヘッドの電極配置
パターンを示す平面説明図である。
【0024】このインクジェットヘッドは、インク液滴
を基板の面部に設けたノズル孔から吐出させるサイドシ
ュータタイプのものであり、下記に詳述する構造を持つ
3枚の第1、第2、第3基板1、2、3を重ねて接合し
た積層構造となっており、インク滴を吐出する複数のノ
ズル孔4、各ノズル孔4が連通する吐出室6、各吐出室
6に流体抵抗部7を介してインクを供給する共通液室
(共通インク室)8などを形成している。
【0025】中間の第1基板1は、シリコン基板からな
り、底壁を振動板10とする吐出室6を形成するための
貫通穴と、各々の吐出室6にインクを供給するための共
通液室8を形成するための貫通穴を有する。振動板10
は吐出室6に対応する領域が変形可能領域となる。
【0026】振動板10は、全体を弾性率が2E11dyn
/cm2を越えない樹脂材料で形成したものである。弾性率
が2E11dyn/cm2を越えない材料としては、例えば、ポ
リエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、イオノ
マーフィルム、ポリカーボネイトフィルム、ポリイミド
フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリ塩化ビニルフィ
ルムを挙げることができる。これら以外にも、ビニル系
フィルム類、ポリスチレンフィルム、セルロース系フィ
ルム類も使用できる。実際にはこれらフィルムの弾性率
は0.05〜0.7 dyn/cm2である。また、これらの材
料に添加物、例えばボロン、カーボン等を添加して、振
動板としての剛性力を制御することもできる。
【0027】この振動板10の下面には電気的に互いに
絶縁分離された導電性を有する構造体からなる複数の電
極14を所定の間隔を置いて設けている。この場合、振
動板10自体が絶縁性フィルムであるので、各電極14
が振動板10を介して電気的に接続されることはない。
また、各電極14のうちの相隣り合う2つの電極(これ
を相対的に電極14a、14bという。)も空隙を介し
て相互に電気的に分離される。なお、電極14は、例え
ばポリシリコン、或いは単結晶シリコンから形成するこ
とが好ましい。この振動板10と複数の電極14によっ
て可動部分である振動板10を変形させる本発明に係る
静電アクチュエータを構成している。
【0028】ここで、各電極14は、振動板10側に固
定される固定端部14Aの幅(ここでは振動板短手方向
の幅)が自由端部14Cの幅よりも狭くなるように形成
している。すなわち、電極14、14間の間隔は、電極
の固定端部側が自由端部側よりも広くなるように形成し
ている。
【0029】また、1つの振動板10について設けた複
数の電極14は、図4に示すように、振動板の領域(振
動板変形可能領域)内では一定の間隔を隔てて略等間隔
に振動板長手方向に平行に配置している。そして、同図
に示すように、互いに電気的に分離した相隣り合う電極
14aと電極14bには、駆動回路(ここでは発信回路
で図示)15から互いに電位差を生じる駆動電圧(異な
る電位の電圧)が印加されるようになっている。
【0030】この第1基板1の下面に接合される第2基
板2は、電極14を外部からの衝撃やホコリなどから保
護したり、第1基板1の強度を補強したりするための保
護基板である。この第2基板2には、ガラス、金属、シ
リコン、樹脂などからなる基板などを使用し、この基板
2には各振動板10に対応する位置に例えば1mmの深
さの溝部(凹部)19を形成している。ただし、必ずし
も振動板10ごとに溝部19を形成する必要はなく、振
動板配列を囲む凹部、あるいはチップの縁のみ接合され
る凹部を形成する構成でも良い。なお、第2基板2を導
電性材料で形成する場合には電極引出し部との間を絶縁
するための絶縁膜を介在して第1基板1と接合する。
【0031】また、第1基板1の上面に接合される第3
基板3には、例えば厚さ50μmのニッケル基板を用
い、第3基板3の面部に、吐出室6と連通するようにそ
れぞれノズル孔4、共通液室8と吐出室6を連通させる
流体抵抗部7となる溝を設け、また共通液室8と連通す
るようにインク供給口9を設けている。
【0032】このように構成したインクジェットヘッド
の動作を説明する。例えば図4の構成において、電極1
4aに駆動回路18により0〜40Vのパルス電位を印
加すると、パスル電位が印加された(第1の電位が与え
られた)電極14aの表面がプラスに帯電し、パルス電
位を印加していない(第2の電位を与えられた)隣り合
う電極14bとの間で、図6に示すように、静電力が発
生して、静電気の吸引作用が働き、電極14の自由端
(振動板10側が固定端)が引き合って電極14が変位
し、これらの電極14の自由端側が変位することで、電
極14の固定端側である振動板10が上方へたわむこと
になる。その結果、吐出室6内の圧力が急激に上昇し、
図3に示すように、ノズル孔4よりインク液滴22を記
録紙23に向けて吐出する。
【0033】そして、電極14aの電位が0Vに戻る
と、電極14bとの間に電位差がなくなり、振動板10
は元の状態に復元する。振動板10が復元することによ
り、インクが共通液室8より流体抵抗部7を通じて吐出
室6内に補給される。すなわち、この実施形態では押し
打ち法でインク滴を吐出させる。
【0034】ここで、電極間に働く力Fは、次の(1)
式に示すように電極間距離dの2乗に反比例して大きく
なる。低電圧で駆動するためには、電極14aと電極1
4bとの間隔、つまり電極14間の溝を狭く形成するこ
とが重要となる。
【0035】
【数1】
【0036】なお、(1)式において、F:電極間に働
く力、ε:誘電率、S:電極の対向する面の面積、d:
電極間距離、 V:印加電圧である。
【0037】また、電極(構造体(自体は曲がらないた
め、電極(構造体)の付け根部(振動板に固定された固
定端)の電極間隔を広く形成することにより、振動板の
変形可能領域を拡大することができて、振動板を効率良
く変位させることができるようになる。
【0038】したがって、電極間距離(電極間隔)を振
動板側(電極の固定端部側)で広く、振動板と離れた側
(電極の自由端部側)で狭くなる構成とすることで、振
動板を効率良く大きく変位させることができる。
【0039】このように、振動板10の一方にそれぞれ
電気的に分離独立した電極14を設け、電極14の対向
する電極14aと電極14b間に電位差を生じる電圧を
印加することによって、隣り合う電極14aと電極14
bとの間で静電引力が発生し、電極14のわずかな変位
により振動板10の大きな変位を得ることができ、静電
アクチュエータとしての駆動効率が向上し、ヘッドとし
ての滴吐出効率が向上し、高画質記録が可能になる。
【0040】そして、このヘッドにおいては、振動板1
0に設けた構造体自体が電極14として働くので、従前
のようにシリコン構造体に電極を成膜などの方法により
形成するという困難な工程の必要がなく、コストダウン
を図ることが可能であり、また、構造体間の非常に狭い
間隔に電極を形成することによって生じるショートなど
の不良も低減できる。さらに、構造体に電極を形成した
後に電極を櫛の歯状に分離するという工程も必要がな
く、低コスト化、大量生産が容易である。
【0041】さらに、振動板10に絶縁材料を用いてい
るので、従来のように電極に電圧を印加しても振動板を
介してすべての電極が同電位になって作動不良になるこ
ともなく、電極14に印加した電圧が振動板10側にリ
ークすることもなく、効率良く電極14に電圧を印加す
ることができる。
【0042】さらに、このヘッドにおいては、振動板1
0を全体を弾性率が2E11dyn/cm2を越えない樹脂材料
で形成しているので、電極14間の静電力が弱くとも振
動板10を変形させることができるようになる。この場
合、振動板10にポリエチレン、ポリプロピレン、イオ
ノマー材料、ポリカーボネイト、ポリイミド、ポリアミ
ド系材料、ポリ塩化ビニル又はこれらの材料を含む化合
物を用いることで、加工が容易で製造工程が簡単にな
る。
【0043】次に、第2実施形態に係るインクジェット
ヘッドについて図6を参照して説明する。なお、同図は
同ヘッドの振動板短手方向に沿う断面説明図である。こ
の実施形態においては、電極14と同一材料の層又は構
造体であるスペーサ12を振動板10以外の領域で電極
14を形成する面と略同一平面に形成している。このス
ペーサ12は電極14と同時に形成することができ、振
動板領域以外の電極材料を除去しないことで形成するこ
とができる。
【0044】このようなスペーサ12を設けることによ
り第1基板1を第2基板2に接合する前の工程におい
て、微小な構造体である電極14を保護することがで
き、製造工程においてウェハ搬送や、プロセス中におけ
る電極14の破損による不良を低減することができる。
【0045】次に、第3実施形態に係るインクジェット
ヘッドについて図7を参照して説明する。なお、同図は
同ヘッドの振動板短手方向に沿う断面説明図である。こ
の実施形態においては、電極14と同一材料の層又は構
造体であるスペーサ12を振動板10以外の領域で電極
14を形成する面と略同一平面に形成するとともに、こ
のスペーサ12の厚さを電極14の厚さよりも厚く形成
している。この場合、第2基板2は平板板基板をそのま
ま用いることができ凹部を形成する必要がなくなる。
【0046】このような構造とすることによって第2実
施形態よりもさらに電極14はスペーサ12のために接
触して破損することが少なくなり、電極破損による不良
を低減することができる。また、第1基板1の下に保護
基板(第2基板2)を接合する場合、保護基板に凹部を
形成しなくても良いという利点もある。
【0047】次に、第4実施形態に係るインクジェット
ヘッドについて図8を参照して説明する。なお、同図は
同ヘッドの振動板短手方向に沿う断面説明図である。こ
の実施形態では、振動板10の変位可能領域の周辺部分
に弾性率が他の部分より低い低弾性部分10aを形成し
たものである。この低弾性部分10aは他の部分よりも
剛性率が低い部分でもある。
【0048】ここで、低弾性部分10aは、例えば振動
板10を前述したような樹脂フィルムで形成する場合、
低弾性部分10aにボロン、カーボン等の添加物を添加
して改質することで形成できる。
【0049】このように、一様な振動板を部分的に改質
することで最適な振動特性(変位特性)に制御すること
ができ、また、振動板自体では所要の弾性率が得られな
いような材料で形成する場合にも、低弾性率化を図れ
る。
【0050】次に、第5実施形態に係るインクジェット
ヘッドについて図9を参照して説明する。なお、同図は
同ヘッドの振動板短手方向に沿う断面説明図である。こ
の実施形態では、振動板20を絶縁性薄膜で形成し、液
室側(電極を設ける面と反対の面側)に凹部21を形成
して、振動板20に部分的に薄い部分20aを形成した
ものである。
【0051】このように、振動板20に部分的に薄い部
分20aを形成することで、振動板20に剛性が低下
し、弱い静電力でも変形することができるようになる。
【0052】次に、第6実施形態に係るインクジェット
ヘッドについて図10を参照して説明する。なお、同図
は同ヘッドの振動板短手方向に沿う断面説明図である。
この実施形態では、振動板20を絶縁性薄膜で形成し、
この振動板20の変形可能領域の周辺部分に、液室側
(電極を設ける面と反対の面側)から凹部21を形成し
て、振動板20の変形可能領域の周辺部分に部分的に薄
い部分20aを形成したものである。
【0053】このように、振動板20の変形可能領域の
周辺部分に部分的に薄い部分20aを形成することで、
振動板20に剛性が低下し、弱い静電力でも変形するこ
とができるようになる。特に、振動板20は四辺が固定
されているため吐出室6の隔壁に近い周辺部は変形しに
くくなるので、この部分に薄い部分20aを形成するこ
とで変形が容易になる。
【0054】次に、第7実施形態に係るインクジェット
ヘッドについて図11を参照して説明する。なお、同図
は同ヘッドの振動板短手方向に沿う断面説明図である。
この実施形態では、振動板30を絶縁性薄膜31と薄膜
(絶縁性に限らない)32との複層膜(積層膜)で形成
し、この振動板30の変形可能領域の周辺部分に対する
薄膜32に液室側(電極を設ける面と反対の面側)から
凹部34を形成して、振動板20の変形可能領域の周辺
部分に絶縁性薄膜31のみからなる部分的に薄い部分3
0aを形成したものである。
【0055】このように、振動板30の変形可能領域の
周辺部分に部分的に薄い部分30aを形成することで、
振動板30に剛性が低下し、弱い静電力でも変形するこ
とができるようになる。特に、振動板30は四辺が固定
されているため吐出室6の隔壁に近い周辺部は変形しに
くくなるので、この部分に薄い部分30aを形成するこ
とで変形が容易になる。そして、振動板30を積層膜
(複層膜)で形成することにより、簡単な工程で薄い部
分を形成することができる。
【0056】次に、上述したようなインクジェットヘッ
ドの基本的な製造工程について図12及び図13を参照
して説明する。なお、同図は同ヘッドの振動板短手方向
に沿う断面説明図である。先ず、図12(a)に示すよ
うに、凹部を形成する領域41b以外に高濃度ボロンを
ドープして高濃度ボロン拡散層41aを形成した(11
0)シリコン基板41にシリコン酸化膜42、シリコン
窒化膜43をそれぞれ200nmの厚みで成膜し、さら
にシリコン窒化膜43上に犠牲層となるシリコン酸化膜
44をCVD法により2.0μm厚みに成膜する。
【0057】その後、同図(b)に示すように、シリコ
ン酸化膜44にリソエッチにより溝45を形成した後、
同図(c)に示すように、ポリシリコン46を1.0μ
m厚みで成膜する。そして、同図(d)に示すように、
このポリシリコン46をシリコン酸化膜44上で分離す
るための溝47をリソエッチにより形成する。
【0058】次いで、図13(a)に示すように、シリ
コン酸化膜44をHF水溶液を用いたウェットエッチで
除去しする。そして、同図(b)に示すように、凹部を
形成した保護基板52と直接接合した後、同図(c)に
示すように、シリコン基板41にKOH水溶液などのア
ルカリ水溶液による異方性エッチング法を行って、吐出
室6を形成する。
【0059】このとき、異方性エッチングはシリコン基
板41の高濃度ボロン拡散層41aがエッチストップ層
となって停止され、これにより高濃度ボロン拡散層41
aとシリコン酸化膜42及びシリコン窒化膜43からな
る振動板60が形成される。それとともに、シリコン基
板41の高濃度ボロンを拡散していない領域はエッチン
グが進むので除去されてシリコン酸化膜42でエッチン
グストップされて、凹部62が形成される。
【0060】このような製造工程を経ることで、電極の
高さを保ったまま、電極材料の膜厚を薄くすることがで
き、またドライエッチング法による高アスペクトエッチ
ングを必要とせず、静電力を発生する電極間の距離を狭
く保ったまま振動板側の溝幅を広く形成することができ
るので、振動板の剛性を下げることができ、より低電圧
で振動板を変形させることがことが可能になる。
【0061】なお、ここで説明した膜厚等の条件はこれ
に限ったものではない。電極材料はスパッタ法や高温ス
パッタ法により成膜される金属でも良いし、電鋳法によ
り電極を形成しても良い。また、電極部の狭い溝を介し
て対向している部分のみを選択CVD法により形成して
も良い。基板41と電極14間の絶縁膜は、SiN/S
iO2の2層構造やそれ以上の複層構造とすることもで
きる。
【0062】また、ここでは、犠牲層除去の際、選択性
の高い犠牲層エッチングが可能となるようにHF水溶液
に対してエッチングスピードの遅いシリコン窒化膜を電
極側に形成している。これにより、エッチング時間を十
分に確保でき犠牲層を確実に除去することが可能とな
り、エッチング残等の不良を無くすことができる。
【0063】次に、振動板に前述した樹脂フィルムを用
いる場合の製造工程について図14を参照して説明す
る。この場合には、同図(a)に示すように、第2基板
2上に電極14を形成した後、振動板10を接着接合
し、同図(b)に示すように、第1基板1を接合して、
この第1基板に吐出室6を形成した後、又は同時に第2
基板2の裏側から電極14に対応する部分をエッチング
してリフトして形成することができる。
【0064】次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドを備え
たインクカートリッジについて図15を参照して説明す
る。このインクカートリッジ100は、ノズル孔101
等を有する上記各実施形態のいずれかのインクジェット
ヘッド101と、このインクジェットヘッド101に対
してインクを供給するインクタンク102とを一体化し
たものである。
【0065】このようにインクタンク一体型のヘッドの
場合、ヘッドの低コスト化、信頼性は、ただちにインク
カートリッジ全体の低コスト化、信頼性につながるの
で、上述したように低コスト化、高信頼性化、製造不良
低減することで、インクカートリッジの歩留まり、信頼
性が向上し、ヘッド一体型インクカートリッジの低コス
ト化を図れる。
【0066】次に、本発明に係るインクジェットヘッド
(ヘッド一体型インクカートリッジを含む)を搭載した
インクジェット記録装置の一例について図16及び図1
7を参照して説明する。なお、図16は同記録装置の斜
視説明図、図17は同記録装置の機構部の側面説明図で
ある。
【0067】このインクジェット記録装置は、記録装置
本体111の内部に主走査方向に移動可能なキャリッ
ジ、キャリッジに搭載した本発明に係るインクジェット
ヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給
するインクカートリッジ等で構成される印字機構部11
2等を収納し、装置本体111の下方部には前方側から
多数枚の用紙113を積載可能な給紙カセット(或いは
給紙トレイでもよい。)114を抜き差し自在に装着す
ることができ、また、用紙113を手差しで給紙するた
めの手差しトレイ115を開倒することができ、給紙カ
セット114或いは手差しトレイ115から給送される
用紙113を取り込み、印字機構部112によって所要
の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ1
16に排紙する。
【0068】印字機構部112は、図示しない左右の側
板に横架したガイド部材である主ガイドロッド121と
従ガイドロッド122とでキャリッジ123を主走査方
向(図17で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、この
キャリッジ123にはイエロー(Y)、シアン(C)、
マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を
吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェ
ットヘッドからなるヘッド124を複数のインク吐出口
を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方
向を下方に向けて装着している。またキャリッジ123
にはヘッド124に各色のインクを供給するための各イ
ンクカートリッジ125を交換可能に装着している。な
お、本発明に係るヘッド一体型のインクカートリッジを
搭載するようにすることもできる。
【0069】インクカートリッジ125は上方に大気と
連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへイン
クを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多
孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジ
ェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持
している。
【0070】また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘ
ッド124を用いているが、各色のインク滴を吐出する
ノズルを有する1個のヘッドでもよい。
【0071】ここで、キャリッジ123は後方側(用紙
搬送方向下流側)を主ガイドロッド121に摺動自在に
嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッ
ド122に摺動自在に載置している。そして、このキャ
リッジ123を主走査方向に移動走査するため、主走査
モータ127で回転駆動される駆動プーリ128と従動
プーリ129との間にタイミングベルト130を張装
し、このタイミングベルト130をキャリッジ123に
固定しており、主走査モーター127の正逆回転により
キャリッジ123が往復駆動される。
【0072】一方、給紙カセット114にセットした用
紙113をヘッド124の下方側に搬送するために、給
紙カセット114から用紙113を分離給装する給紙ロ
ーラ131及びフリクションパッド132と、用紙11
3を案内するガイド部材133と、給紙された用紙11
3を反転させて搬送する搬送ローラ134と、この搬送
ローラ134の周面に押し付けられる搬送コロ135及
び搬送ローラ134からの用紙113の送り出し角度を
規定する先端コロ136とを設けている。搬送ローラ1
34は副走査モータ137によってギヤ列を介して回転
駆動される。
【0073】そして、キャリッジ123の主走査方向の
移動範囲に対応して搬送ローラ134から送り出された
用紙113を記録ヘッド124の下方側で案内する用紙
ガイド部材である印写受け部材139を設けている。こ
の印写受け部材139の用紙搬送方向下流側には、用紙
113を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送
コロ141、拍車142を設け、さらに用紙113を排
紙トレイ116に送り出す排紙ローラ143及び拍車1
44と、排紙経路を形成するガイド部材145,146
とを配設している。
【0074】記録時には、キャリッジ123を移動させ
ながら画像信号に応じて記録ヘッド124を駆動するこ
とにより、停止している用紙113にインクを吐出して
1行分を記録し、用紙113を所定量搬送後次の行の記
録を行う。記録終了信号または、用紙113の後端が記
録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を
終了させ用紙113を排紙する。この場合、ヘッド12
4を構成する本発明に係るインクジェットヘッドはイン
ク滴噴射の制御性が向上し、特性変動が抑制されている
ので、安定して高い画像品質の画像を記録することがで
きる。
【0075】また、キャリッジ123の移動方向右端側
の記録領域を外れた位置には、ヘッド124の吐出不良
を回復するための回復装置147を配置している。回復
装置147はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手
段を有している。キャリッジ123は印字待機中にはこ
の回復装置147側に移動されてキャッピング手段でヘ
ッド124をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に
保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。
また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出す
ることにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、
安定した吐出性能を維持する。
【0076】吐出不良が発生した場合等には、キャッピ
ング手段でヘッド124の吐出口(ノズル)を密封し、
チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに
気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等
はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復され
る。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された
廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のイ
ンク吸収体に吸収保持される。
【0077】このように、このインクジェット記録装置
においては本発明を実施したインクジェットヘッドを搭
載しているので、振動板駆動不良によるインク滴吐出不
良がなく、安定したインク滴吐出特性が得られて、画像
品質が向上する。また、低電圧で駆動できるヘッドを搭
載するので、インクジェット記録装置全体の消費電力も
低減できる。
【0078】次に、本発明に係る静電アクチュエータを
含むマイクロデバイスの実施形態としてマイクロポンプ
の例について図18を参照して説明する。なお、同図は
同マイクロポンプの要部断面説明図である。このマイク
ロポンプは、流路基板201と保護基板202とを重ね
て接合した積層構造となっており、流路基板201には
流体が流れる流路203を形成するとともに、流路20
3の一壁面を形成する変形可能な可動板204(ヘッド
の振動板に相当する。)を設け、可動板204の保護基
板202と接合固定しない部分は可動部分205となっ
ている。
【0079】そして、可動部分205には絶縁膜206
を介して外面側に、前記インクジェットヘッドと同様
に、複数の電極207を所定の間隔を置いて設けてい
る。なお、この例では、電極207が3段階に可動部分
205から離れるに従って広くなり、電極間隔が狭くな
るように形成している。保護基板202は前記ヘッドの
第2基板2と同様な機能を有するものであり、電極20
7を配置するための凹部208を形成している。ここで
は、保護基板202は平板板基板にスペーサ部209を
設けることで凹部208を形成している。
【0080】このマイクロポンプの動作原理を説明する
と、前述したように複数の電極207に対して1つおき
にパルス電位を与えることによって電極207間で静電
吸引力が生じるので、可動部分205が流路203側に
変形する。ここで、可動部分205を図中右側から順次
駆動することによって流路203内の流体は、矢印方向
へ流れが生じ、流体の輸送が可能となる。
【0081】なお、この実施形態では可動部分を複数設
けた例を示したが、可動部分は1つでも良い。また、輸
送効率を上げるために、可動部分間に1又は複数の弁、
例えば逆止弁などを設けることもできる。
【0082】次に、本発明に係る静電アクチュエータを
含むマイクロデバイスの他の例として光学デバイスの実
施形態について図19を参照して説明する。なお、同図
は同デバイスの概略構成図である。この光学デバイス
は、変形可能なミラー301と保護基板302とを重ね
て接合しており、ミラー301の保護基板302と接合
固定しない部分は可動部分305となっている。そし
て、可動部分305には絶縁膜306を介して外面側に
複数の電極307(ここでも、3段階で幅が広くなる電
極を用いている。)を所定の間隔を置いて設けている。
保護基板302は前記ヘッドの第2基板2と同様な機能
を有するものであり、電極307を配置するための凹部
308を形成している。ここでは、保護基板302は平
板板基板にスペーサ部309を設けることで凹部308
を形成している。なお、ミラー301表面は反射率を増
加させるため誘電体多層膜や金属膜を形成すると良い。
【0083】この光学デバイスの原理を説明すると、ミ
ラー301の可動部分305に設けた複数の電極307
に対して1つおきにパルス電位を与えることによって、
電極307間で静電吸引力が生じるので、可動部分30
5が凸状に変形して凸面ミラーとなる。したがって、光
源310からの光がレンズ311を介してミラー301
に照射した場合、ミラー301を駆動しないときには、
光は入射角と同じ角度で反射するが、ミラー301を可
動部分305を駆動した場合はその可動部分305が凸
面ミラーとなるので反射光は発散光となる。これにより
光変調デバイスが実現できる。
【0084】そこで、この光学デバイスを応用した例を
図20及び図21をも参照して説明する。この例は、上
述した光学デバイスを2次元に配列し、各ミラーの可動
部分305を独立して駆動するようにしたものである。
なお、ここでは、電極307を4×4に配列して、2次
元に可動部分307が変形するようにしている(前記液
滴吐出ヘッドの実施形態においても、この電極305と
同様に、電極14を格子状に分離することもでき
る。)。
【0085】したがって、前述した図19と同様に、光
源310からの光はレンズ311を介してミラー301
に照射され、ミラー301を駆動していないところに入
射した光は、投影用レンズ312へ入射する。一方、電
極307に電圧を印加してミラー301の可動部分30
5を変形させているところは凸面ミラーとなるので光は
発散し投影用レンズ312にほとんど入射しない。この
投影用レンズ312に入射した光はスクリーン(図示し
ない)などに投影され、スクリーンに画像を表示するこ
とができる。
【0086】これらのマイクロポンプや光学デバイスの
実施形態においては、第1実施形態とほぼ同様な構成の
アクチュエータとしたが、第1実施形態以降の実施形態
に係るインクジェットヘッドで用いた静電アクチュエー
タを用いることもできる。
【0087】なお、上記実施形態においては、液滴吐出
ヘッドとしてインクジェットヘッドに適用した例で説明
したが、インクジェットヘッド以外の液滴吐出ヘッドと
して、例えば、液体レジストを液滴として吐出する液滴
吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐
出ヘッドなどの他の液滴吐出ヘッドにも適用できる。ま
た、静電アクチュエータを含むマイクロデバイスとし
て、マイクロポンプ、光学デバイス(光変調デバイス)
以外にも、マイクロスイッチ(マイクロリレー)、マル
チ光学レンズのアクチュエータ(光スイッチ)、マイク
ロ流量計、圧力センサなどにも適用することができる。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る静電
アクチュエータによれば、可動部分の少なくとも一部は
弾性率が2E11dyn/cm2を越えない材料で形成し、可動
部分には電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する
構造体からなる少なくとも2つの電極を設け、電極間に
静電力を発生させることによって可動部分を変形させる
ので、駆動効率の高いアクチュエータを低コストで得ら
れる。
【0089】ここで、可動部分の主たる材料を、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、イオノマー材料、ポリカーボ
ネイト、ポリイミド、ポリアミド系材料、ポリ塩化ビニ
ル又はこれらの材料を含む化合物とすることで、加工が
容易で、低コスト化を図れる。
【0090】本発明に係る静電アクチュエータによれ
ば、可動部分の少なくとも一部に薄い部分を形成し、可
動部分には電気的に互いに絶縁分離された導電性を有す
る構造体からなる少なくとも2つの電極を設け、電極間
に静電力を発生させることによって可動部分を変形させ
るので、駆動効率の高いアクチュエータを低コストで得
られる。
【0091】ここで、可動部分の厚さが変形可能領域の
周辺部分で薄く形成されていることで、可動部分の変形
が容易になる。また、可動部分は電極を設ける面と反対
側の面に部分的に凹部が形成されていることで、加工が
容易になる。
【0092】これらの本発明に係る静電アクチュエータ
においては、可動部分が複層膜から形成されていること
で、部分的に弾性率の低い領域を容易に形成することが
できる。また、可動部分の変形可能領域の周辺部分の弾
性率が他の部分よりも弾性率が低いことで、可動部分の
固定端近傍の変形が容易になり、駆動効率が向上する。
【0093】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、ノ
ズル孔が連通する吐出室の少なくとも一つの壁を構成す
る振動板を可動部分とする本発明に係る静電アクチュエ
ータを備えたので、低コストで、低電圧駆動が可能で、
液滴吐出特性が安定したヘッドが得られる。
【0094】本発明に係るインクジェット記録装置によ
れば、インク滴を吐出するインクジェットとして本発明
に係る液滴吐出ヘッドを備えたので、高画質画像を記録
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出ヘッドの第1実施形態に係る
インクジェットヘッドの分解斜視説明図
【図2】同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図3】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説明
【図4】同ヘッドの電極配置パターンを説明する平面説
明図
【図5】同ヘッドの作用説明に供する要部拡大断面説明
【図6】同第2実施形態に係るインクジェットヘッドの
振動板短手方向に沿う要部断面説明図
【図7】同第3実施形態に係るインクジェットヘッドの
振動板短手方向に沿う要部断面説明図
【図8】同第4実施形態に係るインクジェットヘッドの
振動板短手方向に沿う要部断面説明図
【図9】同第5実施形態に係るインクジェットヘッドの
振動板短手方向に沿う要部断面説明図
【図10】同第6実施形態に係るインクジェットヘッド
の振動板短手方向に沿う要部断面説明図
【図11】同第7実施形態に係るインクジェットヘッド
の振動板短手方向に沿う要部断面説明図
【図12】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造工程の一
例を説明する説明図
【図13】図12に続く工程を説明する説明図
【図14】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造工程の他
の例を説明する説明図
【図15】本発明に係る液滴吐出ヘッドを含むインクカ
ートリッジの説明に供する斜視説明図
【図16】本発明に係る液滴吐出ヘッドを備えたインク
ジェット記録装置の一例を説明する斜視説明図
【図17】同記録装置の機構部の説明図
【図18】本発明に係る静電アクチュエータを含むマイ
クロポンプの実施形態を説明する断面説明図
【図19】本発明に係る静電アクチュエータを含む光学
デバイスの実施形態を説明する断面説明図
【図20】同光学デバイスを用いた光変調デバイスの一
例を説明する斜視説明図
【図21】同光変調デバイスの要部斜視説明図
【符号の説明】
1…第1基板、2…第2基板、3…ノズル板、4…ノズ
ル孔、6…吐出室、7…流体抵抗部、8…共通液室、1
0、20、30…振動板、14…電極、100…インク
カートリッジ、201…流路基板、203…流路、20
5…可動部分、207…電極、301…ミラー、305
…可動部分、307…電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F04B 53/00 (72)発明者 西村 学 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2C057 AF03 AF55 AF99 AG12 AG41 AG42 AG43 AG53 AG55 AG59 AG92 AG93 AP02 AP32 AP33 AP34 AP53 AP56 AQ02 BA04 BA15 3H071 AA05 BB01 CC11 DD04 EE07 3H075 AA07 BB01 CC25 DA05 DB02 3H077 AA06 BB10 CC09 DD06 EE02 FF08 FF36

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可動部分を変形させる静電アクチュエー
    タであって、前記可動部分の少なくとも一部は弾性率が
    2E11dyn/cm2を越えない材料で形成し、前記可動部分
    には電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する構造
    体からなる少なくとも2つの電極を設け、前記電極間に
    静電力を発生させることによって前記可動部分を変形さ
    せることを特徴とする静電アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の静電アクチュエータに
    おいて、前記可動部分の主たる材料が、ポリエチレン、
    ポリプロピレン、イオノマー材料、ポリカーボネイト、
    ポリイミド、ポリアミド系材料、ポリ塩化ビニル又はこ
    れらの材料を含む化合物であることを特徴とする静電ア
    クチュエータ。
  3. 【請求項3】 可動部分を変形させる静電アクチュエー
    タであって、前記可動部分の少なくとも一部に薄い部分
    を形成し、前記可動部分には電気的に互いに絶縁分離さ
    れた導電性を有する構造体からなる少なくとも2つの電
    極を設け、前記電極間に静電力を発生させることによっ
    て前記可動部分を変形させることを特徴とする静電アク
    チュエータ。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の静電アクチュエータに
    おいて、前記可動部分の厚さが変形可能領域の周辺部分
    で薄く形成されていることを特徴とする静電アクチュエ
    ータ。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4に記載の静電アクチュエ
    ータにおいて、前記可動部分は前記電極を設ける面と反
    対側の面に部分的に凹部が形成されていることを特徴と
    する静電アクチュエータ。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の静
    電アクチュエータにおいて、前記可動部分が複層膜から
    形成されていることを特徴とする静電アクチュエータ。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載の静
    電アクチュエータにおいて、前記可動部分の変形可能領
    域の周辺部分の弾性率が他の部分よりも弾性率が低いこ
    とを特徴とする静電アクチュエータ。
  8. 【請求項8】 液滴を吐出するノズル孔と、前記ノズル
    孔のそれぞれに連通する吐出室と、前記吐出室の少なく
    とも一方の壁を構成する振動板とを備え、前記振動板を
    変形させることによって液に圧力を加え液滴を吐出する
    液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板を可動部分とする
    請求項1乃至7のいずれかに記載の静電アクチュエータ
    を備えていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  9. 【請求項9】 インク滴を吐出するインクジェットヘッ
    ドを搭載したインクジェット記録装置において、前記イ
    ンクジェットヘッドが請求項8に記載の液滴吐出ヘッド
    であることを特徴とするインクジェット記録装置。
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