JP2003266696A - 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents

静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置

Info

Publication number
JP2003266696A
JP2003266696A JP2002077425A JP2002077425A JP2003266696A JP 2003266696 A JP2003266696 A JP 2003266696A JP 2002077425 A JP2002077425 A JP 2002077425A JP 2002077425 A JP2002077425 A JP 2002077425A JP 2003266696 A JP2003266696 A JP 2003266696A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
ink
head
electrostatic actuator
electrodes
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002077425A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichiro Hashimoto
憲一郎 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2002077425A priority Critical patent/JP2003266696A/ja
Publication of JP2003266696A publication Critical patent/JP2003266696A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2002/14411Groove in the nozzle plate

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで安定した高い駆動効率及び動作特
性が得られない。 【解決手段】 振動板10の変形可能領域に、互いに電
気的に分離した相隣り合う第1の電極14aと第2の電
極14bを設け、一方の第1の電極14aは結晶シリコ
ンで形成し、他方の第2の電極14bは内部を結晶シリ
コンで形成し、外部をポリシリコンで形成し、第1の電
極14aと第2の電極14bとの間で静電力を発生させ
て振動板10を変形させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は静電アクチュエータ、液
滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の
画像記録装置或いは画像形成装置として用いるインクジ
ェット記録装置において使用する液滴吐出ヘッドである
インクジェットヘッドは、インク滴を吐出する単一又は
複数のノズル孔と、このノズル孔が連通する吐出室(イ
ンク室、液室、加圧液室、圧力室、インク流路等とも称
される。)と、吐出室内のインクを加圧する圧力を発生
する圧力発生手段とを備えて、圧力発生手段で発生した
圧力で吐出室内インクを加圧することによってノズル孔
からインク滴を吐出させる。
【0003】なお、液滴吐出ヘッドとしては、例えば液
体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DN
Aの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどもあ
るが、以下ではインクジェットヘッドを中心に説明す
る。また、液滴吐出ヘッドのアクチュエータ部分を構成
するマイクロアクチュエータは、例えばマイクロポン
プ、マイクロ光変調デバイスなどの光学デバイス、マイ
クロスイッチ(マイクロリレー)、マルチ光学レンズの
アクチュエータ(光スイッチ)、マイクロ流量計、圧力
センサなどにも適用することができる。
【0004】ところで、液滴吐出ヘッドとしては、圧力
発生手段として圧電素子などの電気機械変換素子を用い
て吐出室の壁面を形成している振動板を変形変位させる
ことでインク滴を吐出させるピエゾ型のもの、吐出内に
配設した発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いてイン
クの膜沸騰でバブルを発生させてインク滴を吐出させる
バブル型(サーマル型)のもの、吐出室の壁面を形成す
る振動板を静電力で変形させることでインク滴を吐出さ
せる静電型のものなどがある。
【0005】近年、環境問題から鉛フリーであるバブル
型、静電型が注目を集め、鉛フリーに加え、低消費電力
の観点からも環境に影響が少ない、静電型のものが複数
提案されている。
【0006】この静電型インクジェットヘッドとして
は、例えば、特開平6−71882号公報に記載されて
いるように、一対の電極対がエアギャップを介して設け
られており、片方の電極が振動板として働き、振動板の
対向する電極と反対側にインクが充填されるインク室が
形成され、電極間(振動板−電極間)に電圧を印加する
ことによって電極間に静電引力が働き、電極(振動板)
が変形し、電圧を除去すると振動板が弾性力によっても
との状態に戻り、その力を用いてインク滴を吐出するも
のがある。
【0007】また、特開2000−15805号公報に
記載されているように、シリコン基板からなる振動板表
面に突起部を設け、この突起部に電極を形成し、電極に
電圧を印加することによって突起部間に作用するという
静電力によって振動板を変形させ、インク滴を吐出する
ものとするものもある。
【0008】さらに、特開2001−47624号公報
に記載されているように、櫛歯状に形成され互いに入れ
子になった電極対の片方に振動板を備え、電極対に電圧
を印加することによって櫛歯間に静電引力を発生させ、
電極の変位により振動板を変形させ、電圧を切った時に
振動板の弾性力でインクを吐出するものもある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た振動板とこれに対向する電極(電極対)を用いるヘッ
ドにあっては、振動板の変位を大きくすることができ
ず、大きな排除体積を得ることが難しく、大きなインク
液滴を吐出することが困難である。また、インク液吐出
の圧力発生手段として振動板の戻りバネ力を利用してい
るため、液吐出のための圧力制御性が良くなく高精度の
液滴量制御が難しく、高画質化を達成することが困難で
ある。さらに、低電圧化のためには電極間のエアギャッ
プを非常に小さくしなければならず、そのような微小な
ギャップを精度良く、バラツキ少なく形成するのは非常
に困難であり、歩留まりが上がらないといった問題があ
る。
【0010】また、櫛歯状に形成され互いに入れ子にな
った電極対の片方に振動板を備えたヘッドにあっては、
櫛歯状電極を用いているので変位量は大きくすることが
できるが、発生力は非常に小さく、インク滴を吐出する
だけの発生力を得ようとした場合、非常に電圧が高くな
ってしまうという課題がある。しかも、構造が複雑であ
るので作製が困難であり、コスト高となってしまうとい
う課題もある。
【0011】さらに、導電性を有するシリコン基板で形
成した振動板に突起部を設けて、この突起部に導電性部
材の電極を形成したヘッドにあっては、そもそもシリコ
ン振動板を介して各電極間が同電位になってしまうため
に電極間で静電力が発生せず、振動板を変形できないと
いう課題がある。
【0012】しかも、振動板に突起部を形成して、この
突起部に電極を付けなければならず、そのような立体微
細構造の表面に電極を付けるのは困難であり、電極がう
まく形成されない部分ができたり、バラツキが生じたり
で、安定して製造できなく歩留まりが悪いという課題が
ある。
【0013】さらに、低電圧化のためには突起間の間隔
は狭くしなければならないが、そのような狭い間隔の中
に電極を形成するのは困難であり、また狭い突起間に電
極を形成するとショートしてしまうという不良が生じた
りする。また、突起部に電極を形成することは、立体構
造でのフォトリソ工程はレジストコート、露光などが困
難であることから、一般的な方法では不可能であり、そ
のため特別な装置を使用したり、製造工程が長くなった
りしてコスト高となってしまうという課題がある。
【0014】さらにまた、突起部を振動板と一体で形成
すると、突起部の高さはエッチング、レーザー加工、放
電加工、機械加工などの加工方法による溝の深さで決定
されるので高さ精度よく加工するのが困難である。振動
板のたわみ量は突起の高さに依存し、突起の高さがばら
つくと振動板のたわみ量の原因となり、液吐出特性のば
らつきが生じる。また、突起部間の間隔は溝加工するこ
とによって形成されるので、微小間隔を形成するのが困
難である。さらに、突起部間に働く静電気力は突起部間
の間隔に依存し、突起部間の間隔の2乗に反比例するの
で、突起部間の間隔が大きいと静電気力が急激に小さく
なり、駆動電圧を高くしなければならないというような
課題もある。
【0015】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、低コストで、駆動効率が高く、安定した動作特
性が得られる静電アクチュエータ、この静電アクチュエ
ータを備えることで、滴吐出効率が高く、安定した滴吐
出特性が得られる液滴吐出ヘッド、この液滴吐出ヘッド
を備えることで高画質記録が可能なインクジェット記録
装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る静電アクチュエータは、可動部分に
は、結晶シリコンで形成された構造体からなる第1の電
極と、内部が結晶シリコンで、外部がポリシリコンでそ
れぞれ形成された構造体からなる第2の電極とを、電気
的に互いに絶縁分離して設け、第1、第2の電極間に作
用する静電力によって可動部分を変形させるものであ
る。
【0017】ここで、可動部分を形成する部材と各電極
との間には低融点酸化物層が存在していることが好まし
い。また、第2の電極は内部の結晶シリコンと外部のポ
リシリコンが電気的に接続されていることが好ましい。
さらに、各電極は可動部分側に幅の狭い柱状部を有する
ことが好ましく、この場合、柱状部はポリシリコンで形
成されていることが好ましい。さらにまた、各電極の間
隔は犠牲層のエッチングによって形成されたことが好ま
しい。
【0018】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液滴を吐
出するノズル孔が連通する吐出室の壁面の一部を形成す
る可動部分を有する振動板を備え、この振動板の可動部
分を変形させる本発明に係る静電アクチュエータを備え
ているものである。
【0019】ここで、インクを供給するインクタンクを
一体に備えることができる。
【0020】本発明に係るインクジェット記録装置は、
インク滴を吐出させるインクジェットヘッドが本発明に
係る液滴吐出ヘッドである構成としたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は、本発明の液滴吐出ヘ
ッドの第1実施形態に係るインクジェットヘッドの分解
斜視図で、一部断面図で示している。図2は同ヘッドの
振動板長手方向の断面説明図、図3は同ヘッドの振動板
短手方向の断面説明図、図4は同ヘッドの電極配置パタ
ーンを示す平面説明図、図5は同ヘッドの作用説明に供
する要部拡大説明図である。
【0022】このインクジェットヘッドは、インク液滴
を基板の面部に設けたノズル孔から吐出させるサイドシ
ュータタイプのものであり、下記に詳述する構造を持つ
3枚の第1、第2、第3基板1、2、3を重ねて接合し
た積層構造となっており、インク滴を吐出する複数のノ
ズル孔4、各ノズル孔4が連通する吐出室6、各吐出室
6に流体抵抗部7を介してインクを供給する共通液室
(共通インク室)8などを形成している。なお、基板の
端部に設けたノズル孔からインク滴を吐出させるエッジ
シュータタイプとすることもできる。
【0023】中間の第1基板1は、シリコン基板からな
り、底壁を振動板10とする吐出室6を形成するための
凹部と、各々の吐出室6にインクを供給するための共通
液室8を形成するための凹部を有する。
【0024】この振動板10の下面には接合層である低
融点酸化物層12を介して絶縁膜11を形成し、絶縁膜
11の表面に電気的に互いに絶縁分離された構造体から
なり、相互間で静電力を発生するための複数の電極14
を所定の間隔を置いて形成している。
【0025】この場合、振動板10と各電極14とは絶
縁膜11で電気的に分離され、また各電極14のうちの
異なる電位が印加される相隣り合う2つの電極14(こ
れを第1の電極14a、第2の電極14bという。)も
空隙によって相互に電気的に分離される。振動板10と
複数の電極14によって可動部分である振動板10(吐
出室6に対応する変形可能領域)を変形させる本発明に
係る静電アクチュエータを構成している。
【0026】ここで、互いに電気的に分離した相隣り合
う第1の電極14aと第2の電極14bのうち、一方の
第1の電極14aは結晶シリコンで形成し、他方の第2
の電極14bは内部を結晶シリコンで形成し、外部をポ
リシリコンで形成している。なお、そして、第1の電極
14a、第2の電極14bは、図4に示すように櫛歯状
に形成配置し、駆動回路(ここでは発信回路で図示)1
5から互いに電位差を生じる駆動電圧(異なる電位の電
圧)が印加されるようになっている。
【0027】この第1基板1の下面に接合される第2基
板2は、電極14を外部からの衝撃やホコリなどから保
護したり、第1基板1の強度を補強したりするための保
護基板である。この第2基板2には、ガラス、金属、シ
リコン、樹脂などからなる基板などを使用し、この基板
2には各振動板10に対応する位置に例えば1mmの深
さの凹部16を形成している。ただし、必ずしも振動板
10ごとに凹部16を形成する必要はなく、振動板配列
を囲む凹部、あるいはチップの縁のみ接合される凹部を
形成する構成でも良い。また、完全に密封すると使用環
境の大気圧変動により振動板が変形してしまうことがあ
る。そのような場合、完全密封でなく一部大気開放され
ていてもよい。
【0028】また、第1基板1の上面に接合される第3
基板3には、例えば厚さ50μmのニッケル基板を用
い、第3基板3の面部に、吐出室6と連通するようにそ
れぞれノズル孔4、共通液室8と吐出室6を連通させる
流体抵抗部7となる溝を設け、また共通液室8と連通す
るようにインク供給口9を設けている。
【0029】このように構成したインクジェットヘッド
の動作を説明する。例えば図4の構成において、第1の
電極14aに発振回路15により0Vから40Vのパル
ス電位を印加すると、第1の電極14aの表面がプラス
に帯電し、パルス電位を印加していない隣り合う第2の
電極14bとの間で静電力が発生して、静電気の吸引作
用が働き、図5に示すように、第1、第2の電極14
a、14bの自由端(振動板10側が固定端)が引き合
って電極14a、14bが変位し、これらの電極14
a、14bの自由端側が変位することで、電極14a、
14bの固定端側である振動板10が上方へ撓むことに
なる。その結果、吐出室6内の圧力が急激に上昇し、図
3に示すように、ノズル孔4よりインク液滴22を記録
紙23に向けて吐出される。
【0030】そして、第1の電極14aの電位が0Vに
戻ると、第2の電極14bとの間に電位差はなくなり、
振動板10は元の状態に復元する。振動板10が復元す
ることにより、インクが共通液室8より流体抵抗部7を
通じて吐出室6内に補給される。なお、第1の電極14
aと第2の電極14bに対する異なる電位の印加は上述
と逆でもよい。すなわち、結晶シリコンで形成した第1
の電極14aに0Vから40Vのパルス電位を印加する
に代えて、内部を結晶シリコンで、外部をポリシリコン
で形成した第2の電極14bに0Vから40Vのパルス
電位を印加することもできる。
【0031】ここで、電極間に働く力Fは、次の(1)
式に示すように電極間距離dの2乗に反比例して大きく
なる。低電圧で駆動するためには、第1の電極14aと
第2の電極14bとの間隔、つまり電極14間の溝を狭
く形成することが重要となる。また、静電力の作用する
部分の面積Sを大きくすることも重要となり、面積Sを
大きくするには電極14の高さを高くする。
【0032】
【数1】
【0033】なお、(1)式において、F:電極間に働
く力、ε:誘電率、S:電極の対向する面の面積、d:
電極間距離、 V:印加電圧である。
【0034】このように、振動板10の可動部分となる
領域にそれぞれ電気的に分離独立した第1、第2の電極
14a、14bを設け、両者間に電位差を生じる電圧を
印加することによって、隣り合う第1の電極14aと第
2の電極14bとの間で静電引力が発生し、電極14の
わずかな変位により振動板10の大きな変位を得ること
ができる静電アクチュエータが得られ、この静電アクチ
ュエータを用いることで、安定した滴吐出特性が得ら
れ、滴吐出効率が向上し、高画質記録が可能になる。
【0035】さらに、振動板10と電極14との間を電
気的に分離しているので、従来のように電極に電圧を印
加しても振動板を介してすべての電極が同電位になって
作動不良になることもなく、電極14に印加した電圧が
振動板10側にリークすることもなく、効率良く電極1
4に電圧を印加することができる。また、振動板10が
電極14と絶縁分離されていることで、駆動電圧が液
(ここではインク)に印加されることがなく、駆動電圧
印加時の電気分解による液の変質が発生することがな
く、信頼性が向上し、高画質記録が可能になる。
【0036】なお、電極14は振動板10の下側に設け
た場合を例として説明したが、振動板10の上側(液室
内)に設けてもよい。この場合には、電極14とインク
との絶縁を取るため電極14表面に絶縁膜を設けるほう
が好ましい。
【0037】そして、この実施形態においては、電極1
4として、結晶シリコンで形成した第1の電極14a
と、内部を結晶シリコンで、外部をポリシリコンで形成
した第2の電極14bとを設けるので、高い精度で高さ
の高い電極を形成できて、静電力を大きくすることがで
き、より駆動効率が向上して滴吐出効率が向上し、また
ポリシリコンの成膜が少なくてすむことからコストの低
減、時間の短縮化を図れる。
【0038】そこで、このヘッドの電極14の製作工程
の一例について図6ないし図8を参照して説明する。先
ず、図6(a)に示すように、シリコン基板31にシリ
コン窒化膜32を厚さ0.1μm、続いて低融点酸化物
層33を厚さ0.1μm形成する。
【0039】シリコン窒化膜32は、プラズマCVDや
LP-CVDなどの成膜方法により成膜する。プラズマ
CVDではシリコン基板31の片面にのみ成膜される
が、LP−CVDでは基板31の両面に同時に成膜され
るので、成膜後片面のシリコン窒化膜を除去する。
【0040】低融点酸化物層33としては、例えば、B
SG、PSG、Asガラスなど不純物の混入した低融点
ガラス層、あるいはB23層など1000℃以下で軟化
する膜が挙げられる。
【0041】次いで、同図(b)に示すように、別のシ
リコン基板34を低融点酸化物層33側に接合する。こ
のときの接合方法は、2枚の基板を貼り合わせ、そのま
ま800〜1000℃の炉で1時間熱処理を行う。熱処
理によって低融点酸化物層33が軟化し2枚の基板は強
固に接合される。
【0042】すなわち、シリコンと熱酸化膜の接合はそ
のまま1000〜1200℃で直接接合が可能である
が、本実施形態では、シリコンと窒化膜の接合となるの
で直接接合では強固な接合ができない。そこで、シリコ
ンと窒化膜の間に低融点酸化物層33を介在させること
によって低温でしかも強固な接合が可能になる。これに
より、高温熱処理に絶えられる高価な材料を使う必要も
なくなり、コストダウンを図れ、また、接合強度が大き
いので信頼性や歩留りが向上する。
【0043】次に、同図(c)に示すように、シリコン
基板31を厚さ20μmまで研磨して薄くする。そし
て、同図(d)に示すように、シリコン基板31上に酸
化膜を成膜しフォトリソ技術により酸化膜35のパター
ンを形成する。
【0044】さらに、図7(a)に示すように、シリコ
ン基板31及び酸化膜35の上にレジストパターン36
を形成する。そして、このレジストパターン36をマス
クとして、シリコン基板31にドライエッチングによっ
て窒化膜32に達するまでエッチングを行い、幅2μm
の溝37を形成する。この溝37の深さはシリコン基板
31の厚さである20μmである。その後、同図(c)
に示すように、レジストパターン36をレジスト剥離液
やアッシャーなどによって除去する。
【0045】次いで、図8(a)に示すように、熱酸化
によってシリコン基板31表面に熱酸化膜38を0.2
μm厚みに形成する。このとき、酸化膜35があった部
分は厚くなる。
【0046】次に、同図(b)に示すように、ポリシリ
コン40を1.5μm厚みに成膜する。溝37の溝幅は
2μmで形成したので、1.5μmのポリシリコン40
によって溝37は完全に埋め込まれる。
【0047】その後、同図(c)に示すように、ポリシ
リコン40の表面を研磨あるいはドライエッチングによ
って酸化膜38が現れるまで除去し、同図(d)に示す
ように、フッ酸系エッチング液によって露出している酸
化膜38をエッチング除去する。
【0048】これにより、シリコン基板31から形成し
た結晶シリコンからなる第1の電極14aと、内部がシ
リコン基板31から形成した結晶シリコンで、外部が酸
化膜38を介して形成したポリシリコン40からなる第
2の電極14bが形成される。
【0049】なお、液室6、共通液室8は前述したシリ
コン基板34を水酸化カリウム水溶液などのアルカリ液
による異方性エッチングによって形成する。シリコン基
板34を所望の厚さだけ残してエッチングを終了するこ
とによって振動板10が形成される。振動板10の厚さ
を精度よく作製するには、高濃度ボロンによるエッチン
グストップ、SOI基板を用いた酸化膜によるエッチン
グストップなどを用いることができる。また、シリコン
基板34をエッチング貫通してしまい低融点酸化物層3
3でエッチングストップし、窒化膜32と低融点酸化物
層33の積層構造、あるいは窒化膜32を振動板とする
こともできる。
【0050】ここで、隣り合う第1の電極14aと第2
の電極14bとの間隔は、熱酸化膜38の厚さによって
決定される。熱酸化膜38を犠牲層として電極間隔を形
成した。ここでは熱酸化膜38の厚さを0.2μmとし
たので、電極14間の間隔は0.2μmとなる。周知の
ごとく熱酸化膜は非常に薄く、しかも精度よく均一に成
膜することが可能であるので、非常に狭い電極間間隔を
精度よく均一に作製することができ、そのため前述のよ
うに大きな静電力を発生することができ、低電圧でイン
ク滴を吐出することができる。
【0051】また、電極14の高さはシリコン基板31
を研磨して残す厚さによって規定されるので、精度よく
しかも高さの高い電極14を形成することができる。さ
らに、ポリシリコン40はドライエッチングでシリコン
基板31に形成した溝37を埋め込むだけの厚さを成膜
すればよく、コストや時間のかかるポリシリコンの成膜
は少なくてすみ、低コスト化、工程の短縮化を図れる。
【0052】つまり、前述したように隣り合う電極間で
生じる静電力は電極間隔と対向する電極の面積に関係
し、低い電圧で大きく振動板を変形させるためには、電
極間隔を狭くするとともに、電極の高さを大きくし、か
つ電極間の力の働く領域(静電力作用部)を大きくしな
ければならない。
【0053】ここで、電極全体をポリシリコン膜を用い
てエッチングで電極間隔を形成する場合、静電力作用部
はポリシリコンの成膜する厚さに依存し、電極間の力の
働く領域を大きくしようとすれば、ポリシリコンを厚く
成膜しなければならないことになる。
【0054】しかしながら、ポリシリコンを一度に厚く
成膜しようとすると粒界が形成されてしまうため、1〜
1.5μm程度の成膜を繰り返して厚いポリシリコンを
積層形成する方法を取ることになる。
【0055】ところが、その後のポリシリコン層にドラ
イエッチングによって電極間隔となる狭い溝を形成して
ギャップを形成する工程において、積層されたポリシリ
コンの界面にごく薄い自然酸化膜が形成されているた
め、その自然酸化膜がドライエッチングのストップ層と
して働き溝が形成されなくなるということが生じ得る。
また、ポリシリコンを厚く形成するには非常にコストが
かかることになる。
【0056】さらに、ポリシリコンに溝を形成するのに
ドライエッチングを用いると、非常に細い溝を深く精度
よく形成するのが困難である。また前述のように電極の
高さは高く(電極層を厚く)しなければならないが電極
層が厚くなるとなおさら細い溝を形成するのが困難にな
る。
【0057】これに対して、本発明によれば、電極の1
つは結晶シリコンで形成し、他の1つは結晶シリコンの
外部をポリシリコンで覆って形成するので、電極全体を
ポリシリコンで形成する場合に生じる上述したような不
具合を解消することができ、高さの高い電極、つまり静
電力作用部の大きな電極を、高精度に、しかも低コスト
に製作することができる。
【0058】次に、同第2実施形態に係るインクジェッ
トヘッドの電極14の構成についてその製作工程ととも
に図9を参照して説明する。この例では、前記図6及び
図7の工程を経た後、図9(a)に示すように、熱酸化
膜38に開口39を形成する。したがって、同図(b)
〜(d)の各工程において、図8(b)〜(d)と同様
に、ポリシリコン40を1.5μm厚みに成膜すること
で、溝37及び開口39は完全に埋め込まれ、ポリシリ
コン40の表面を研磨あるいはドライエッチングによっ
て酸化膜38が現れるまで除去し、フッ酸系エッチング
液によって露出している酸化膜38をエッチング除去す
る。
【0059】これにより、シリコン基板31から形成し
た結晶シリコンからなる第1の電極14aと、内部がシ
リコン基板31から形成した結晶シリコンで、外部が酸
化膜38を介して形成したポリシリコン40からなる第
2の電極14bが形成され、第2の電極14bは内部の
結晶シリコンと外部のポリシリコンとが開口39を介し
て電気的に接続された状態になる。
【0060】したがって、開口39を有しない前記第1
実施形態の第2電極14bでは表面のポリシリコン40
のみに導通するが、開口39を設けたことによってポリ
シリコン40とシリコン31が電気的に接続され、両方
に導通することになる。よって、第2の電極14bの電
気抵抗が小さくなり、電気的ロスが小さくなり高周波数
駆動が可能になる。
【0061】次に、同第3実施形態に係るインクジェッ
トヘッドの電極14の構成についてその製作工程ととも
に図10ないし図13を参照して説明する。この実施形
態は、電極14が振動板10側で幅が小さくなる柱状部
を設けることで、振動板がたわむことのできる領域を大
きくして、より大きな振動板の変位が得られるようにし
たものである。
【0062】すなわち、シリコン基板41にシリコン窒
化膜42を厚さ0.1μm形成する。シリコン窒化膜4
2は、プラズマCVDやLP-CVDなどの成膜方法に
より成膜する。プラズマCVDではシリコン基板41の
片面にのみ成膜されるが、LP−CVDでは基板41の
両面に同時に成膜されるので、成膜後片面のシリコン窒
化膜を除去する。
【0063】次いで、同図(b)に示すように、シリコ
ン窒化膜42の上に酸化膜を0.5μm形成し、フォト
リソ技術によりパターニングを行い酸化膜パターン43
を形成する。
【0064】そして、同図(c)に示すように、その上
にポリシリコン44を0.7μm厚みに成膜し、表面の
ポリシリコン44を酸化膜パターン43の表面が現れる
まで研磨する。このポリシリコンは最終的には電極14
の幅の狭い柱状部に相当する部分となるものである。
【0065】電極14の柱状部をポリシリコンで形成す
ることによって、犠牲層となる酸化膜をフッ酸系エッチ
ング液でエッチング除去する工程でポリシリコンはエッ
チングされないで残り、電極の柱状部を形成することが
できる。なお、窒化膜もフッ酸系エッチング液ではエッ
チングされない材料であるので、電極の柱状部の形成用
いることができるが、1μm程度の比較的厚い成膜が容
易であること、研磨が容易であるという点ではポリシリ
コンが好ましい。
【0066】次いで、同図(d)に示すように、シリコ
ン窒化膜45を0.1μm成膜し、続いて、前記同様
に、低融点酸化物層46を成膜する。
【0067】その後、図11(a)に示すように、別の
シリコン基板47を低融点酸化物層46側に接合する。
このときの接合方法は前記実施形態と同様である。次
に、シリコン基板41を厚さ20μmまで研磨して薄く
する。
【0068】そして、同図(b)に示すように、シリコ
ン基板41上に酸化膜を成膜しフォトリソ技術により酸
化膜48のパターンを形成し、続いて、同図(c)に示
すように、シリコン基板41及び酸化膜48の上にレジ
ストパターン49を形成する。
【0069】その後、図12(a)に示すように、レジ
ストパターン49をマスクとしてシリコン基板41をド
ライエッチングによって窒化膜15に達するまでエッチ
ングし、溝幅は2μmの溝50を形成する。この溝50
の深さはシリコン基板41の厚さである20μmであ
る。
【0070】その後、同図(b)に示すように、レジス
トパターン49をレジスト剥離液やアッシャーなどによ
って除去し、熱酸化によってシリコン基板41表面に熱
酸化膜51を0.2μm厚みに形成する。このとき、酸
化膜48があった部分は厚くなる。
【0071】次に、同図(c)に示すように、ポリシリ
コン52を1.5μm厚みに成膜する。溝50の溝幅は
2μmで形成したので、1.5μmのポリシリコン52
によって溝50は完全に埋め込まれる。
【0072】その後、図13(a)に示すように、ポリ
シリコン52の表面を研磨あるいはドライエッチングに
よって酸化膜51が現れるまで除去し、同図(b)に示
すように、フッ酸系エッチング液によって露出している
酸化膜51をエッチング除去する。
【0073】これにより、シリコン基板41から形成し
た結晶シリコンからなる第1の電極14aと、内部がシ
リコン基板41から形成した結晶シリコンで、外部が酸
化膜51を介して形成したポリシリコン52からなる第
2の電極14bが形成され、かつ、これらの第1、第2
の電極14a、14bには幅の狭いポリシリコン44か
ら形成された柱状部14cが形成される。
【0074】なお、図13(b)の工程でエッチングを
長く行うと電極14bの中の酸化膜51は下側からエッ
チングが進行するので電極14bの中の酸化膜51に達
した時点で時間制御によってエッチングを終了する。酸
化膜51のエッチングが多少進行しても動作にはほとん
ど影響しないので、時間制御によって管理可能である。
【0075】このように、電極14の振動板側(固定端
側)に幅の狭い柱状部14cを設けることにより、振動
板10がたわむことのできる領域が大きくなり、より大
きな振動板の変位が低電圧で得られるようになる。
【0076】次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドのイン
クカートリッジ一体型ヘッドについて図14を参照して
説明する。このインクカートリッジ一体型ヘッド100
は、ノズル孔101等を有する上記各実施形態のいずれ
かのインクジェットヘッド102と、このインクジェッ
トヘッド102に対してインクを供給するインクタンク
103とを一体化したものである。
【0077】このようにインクタンク一体型のヘッドの
場合、ヘッドの低コスト化は、ただちにインクカートリ
ッジ全体の低コスト化につながるので、上述したように
低コスト化することで、インクカートリッジ一体型ヘッ
ドの低コスト化を図れる。またインクカートリッジにド
ライバを載せた場合、ドライバコストもインクカートリ
ッジに載ってくる。本発明に係る液滴吐出ヘッドでは低
電圧での駆動が可能であるので、ドライバの耐圧も小さ
くてすみ、低コスト化を図れる。
【0078】次に、本発明に係るインクジェットヘッド
(ヘッド一体型のインクカートリッジを含む。)を搭載
したインクジェット記録装置の機構の一例について図1
5及び図16を参照して説明する。なお、図15は同記
録装置の斜視説明図、図16は同記録装置の機構部の側
面説明図である。
【0079】このインクジェット記録装置は、記録装置
本体111の内部に主走査方向に移動可能なキャリッ
ジ、キャリッジに搭載した本発明に係るインクジェット
ヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給
するインクカートリッジ等で構成される印字機構部11
2等を収納し、装置本体111の下方部には前方側から
多数枚の用紙113を積載可能な給紙カセット(或いは
給紙トレイでもよい。)114を抜き差し自在に装着す
ることができ、また、用紙113を手差しで給紙するた
めの手差しトレイ115を開倒することができ、給紙カ
セット114或いは手差しトレイ115から給送される
用紙113を取り込み、印字機構部112によって所要
の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ1
16に排紙する。
【0080】印字機構部112は、図示しない左右の側
板に横架したガイド部材である主ガイドロッド121と
従ガイドロッド122とでキャリッジ123を主走査方
向(図16で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、この
キャリッジ123にはイエロー(Y)、シアン(C)、
マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を
吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェ
ットヘッドからなるヘッド124を複数のインク吐出口
を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方
向を下方に向けて装着している。またキャリッジ123
にはヘッド124に各色のインクを供給するための各イ
ンクカートリッジ125を交換可能に装着している。
【0081】インクカートリッジ125は上方に大気と
連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへイン
クを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多
孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジ
ェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持
している。
【0082】また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘ
ッド124を用いているが、各色のインク滴を吐出する
ノズルを有する1個のヘッドでもよい。
【0083】ここで、キャリッジ123は後方側(用紙
搬送方向下流側)を主ガイドロッド121に摺動自在に
嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッ
ド122に摺動自在に載置している。そして、このキャ
リッジ123を主走査方向に移動走査するため、主走査
モータ127で回転駆動される駆動プーリ128と従動
プーリ129との間にタイミングベルト130を張装
し、このタイミングベルト130をキャリッジ123に
固定しており、主走査モーター127の正逆回転により
キャリッジ123が往復駆動される。
【0084】一方、給紙カセット114にセットした用
紙113をヘッド124の下方側に搬送するために、給
紙カセット114から用紙113を分離給装する給紙ロ
ーラ131及びフリクションパッド132と、用紙11
3を案内するガイド部材133と、給紙された用紙11
3を反転させて搬送する搬送ローラ134と、この搬送
ローラ134の周面に押し付けられる搬送コロ135及
び搬送ローラ134からの用紙113の送り出し角度を
規定する先端コロ136とを設けている。搬送ローラ1
34は副走査モータ137によってギヤ列を介して回転
駆動される。
【0085】そして、キャリッジ123の主走査方向の
移動範囲に対応して搬送ローラ134から送り出された
用紙113を記録ヘッド124の下方側で案内する用紙
ガイド部材である印写受け部材139を設けている。こ
の印写受け部材139の用紙搬送方向下流側には、用紙
113を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送
コロ141、拍車142を設け、さらに用紙113を排
紙トレイ116に送り出す排紙ローラ143及び拍車1
44と、排紙経路を形成するガイド部材145,146
とを配設している。
【0086】記録時には、キャリッジ123を移動させ
ながら画像信号に応じて記録ヘッド124を駆動するこ
とにより、停止している用紙113にインクを吐出して
1行分を記録し、用紙113を所定量搬送後次の行の記
録を行う。記録終了信号または、用紙113の後端が記
録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を
終了させ用紙113を排紙する。この場合、ヘッド12
4を構成する本発明に係るインクジェットヘッドはイン
ク滴噴射の制御性が向上し、特性変動が抑制されている
ので、安定して高い画像品質の画像を記録することがで
きる。
【0087】また、キャリッジ123の移動方向右端側
の記録領域を外れた位置には、ヘッド124の吐出不良
を回復するための回復装置147を配置している。回復
装置147はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手
段を有している。キャリッジ123は印字待機中にはこ
の回復装置147側に移動されてキャッピング手段でヘ
ッド124をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に
保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。
また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出す
ることにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、
安定した吐出性能を維持する。
【0088】吐出不良が発生した場合等には、キャッピ
ング手段でヘッド124の吐出口(ノズル)を密封し、
チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに
気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等
はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復され
る。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された
廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のイ
ンク吸収体に吸収保持される。
【0089】このように、このインクジェット記録装置
においては本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジ
ェットヘッドを搭載しているので、振動板駆動不良によ
るインク滴吐出不良がなく、安定したインク滴吐出特性
が得られて、画像品質が向上する。また、低電圧で駆動
できるヘッドを搭載するので、インクジェット記録装置
全体の消費電力も低減できる。
【0090】次に、本発明に係る静電アクチュエータを
含むマイクロデバイスとしてのマイクロポンプについて
図17を参照して説明する。なお、同図は同マイクロポ
ンプの要部断面説明図である。このマイクロポンプは、
流路基板201と保護基板202とを重ねて接合した積
層構造となっており、流路基板201には流体が流れる
流路203を形成するとともに、流路203の一壁面を
形成する変形可能な可動板204(ヘッドの振動板に相
当する。)を設け、可動板204の保護基板202と接
合固定しない部分は可動部分205となっている。
【0091】そして、可動部分205には絶縁膜206
を介して外面側に、インクジェットヘッドと同様に、複
数の電極207、207を所定の間隔を置いて配置して
いる。隣り合う2つの電極207、207のうちの一方
の電極207は、前記液滴吐出ヘッドの実施形態で説明
したように、結晶シリコンで形成した第1の電極14a
と同様な構成であり、また、他方の電極207は、内部
を結晶シリコンで形成して外部をポリシリコンで形成し
た第2の電極14bと同様な構成とし、かつ、前記液滴
吐出ヘッドの第3実施形態で述べたように固定端部側に
柱状部14cとと同様な柱状部を有する構成としてい
る。
【0092】保護基板202はヘッドの第2基板2と同
様な機能を有するものであり、電極207を配置するた
めの凹部208を形成している。ここでは、保護基板2
02は平板板基板にスペーサ部209を設けることで凹
部208を形成している。
【0093】このマイクロポンプの動作原理を説明する
と、液滴吐出ヘッドの動作で説明したように、複数の電
極207、207に対して1つおきにパルス電位を与え
ることによって電極207、207間で静電吸引力が生
じるので、可動部分205が流路203側に変形する。
ここで、可動部分205を図中右側から順次駆動するこ
とによって流路203内の流体は、矢印方向へ流れが生
じ、流体の輸送が可能となる。
【0094】この場合、可動部分205と電極207と
で構成される静電アクチュエータは、前述した液滴吐出
ヘッドの振動板と電極からなる静電アクチュエータと同
様に構成されているので、駆動効率が向上し、安定した
駆動特性が得られ、流体を安定して効率的に移送するこ
とができる。
【0095】なお、この例では可動部分を複数設けた例
を示したが、可動部分は1つでも良い。また、輸送効率
を上げるために、可動部分間に1又は複数の弁、例えば
逆止弁などを設けることもできる。
【0096】次に、本発明に係る静電アクチュエータを
含むマイクロデバイスの他の例として光学デバイスの実
施形態について図18を参照して説明する。なお、同図
は同デバイスの概略構成図である。この光学デバイス
は、変形可能なミラー301と保護基板302とを重ね
て接合しており、ミラー301の保護基板302と接合
固定しない部分は可動部分305となっている。
【0097】そして、可動部分305には絶縁膜306
を介して外面側に、インクジェットヘッドと同様に、複
数の電極307、307を所定の間隔を置いて配置して
いる。隣り合う2つの電極307、307のうちの一方
の電極307は、前記液滴吐出ヘッドの実施形態で説明
したように、結晶シリコンで形成した第1の電極14a
と同様な構成であり、また、他方の電極307は、内部
を結晶シリコンで形成して外部をポリシリコンで形成し
た第2の電極14bと同様な構成とし、かつ、前記液滴
吐出ヘッドの第3実施形態で述べたように固定端部側に
柱状部14cとと同様な柱状部を有する構成としてい
る。
【0098】保護基板302はヘッドの第2基板2と同
様な機能を有するものであり、電極307を配置するた
めの凹部308を形成している。ここでは、保護基板3
02は平板板基板にスペーサ部309を設けることで凹
部308を形成している。なお、ミラー301表面は反
射率を増加させるため誘電体多層膜や金属膜を形成する
と良い。
【0099】この光学デバイスの原理を説明すると、前
記液滴吐出ヘッドの動作で説明したと同様に、ミラー3
01の可動部分305に設けた複数の電極307、30
7に対してパルス電位を与えることによって、電極30
7、307間で静電吸引力が生じるので、可動部分30
5が凸状に変形して凸面ミラーとなる。したがって、光
源310からの光がレンズ311を介してミラー301
に照射した場合、ミラー301を駆動しないときには、
光は入射角と同じ角度で反射するが、ミラー301を可
動部分305を駆動した場合はその可動部分305が凸
面ミラーとなるので反射光は発散光となる。これにより
光変調デバイスが実現できる。
【0100】この場合、可動部分305と電極307と
で構成される静電アクチュエータは、前述した液滴吐出
ヘッドの振動板と電極とで構成される静電アクチュエー
タと同様に構成しているので、安定した、効率的な駆動
が可能になり、安定した動作特性が得られる光変調デバ
イスを構成できる。
【0101】そこで、この光学デバイスを応用した例を
図19をも参照して説明する。この例は、上述した光学
デバイスを2次元に配列し、各ミラーの可動部分305
を独立して駆動するようにしたものである。なお、ここ
では、可動部分305を4×4のマトリクスに配列して
いる。
【0102】したがって、前述した図18と同様に、光
源310からの光はレンズ311を介してミラー301
に照射され、ミラー301を駆動していないところに入
射した光は、投影用レンズ312へ入射する。一方、電
極307、307に電圧を印加してミラー301の可動
部分305を変形させているところは凸面ミラーとなる
ので光は発散し投影用レンズ312にほとんど入射しな
い。この投影用レンズ312に入射した光はスクリーン
(図示しない)などに投影され、スクリーンに画像を表
示することができる。
【0103】以上説明してきた各実施形態においては、
電極14は一方向のみに分離した例を示したが、図20
に示すように電極14を格子状に分離して、振動板10
(若しくは可動部分)が2軸に変形するようにしても良
い。なお、同図では絶縁膜等は省略している。
【0104】なお、上記実施形態においては、液滴吐出
ヘッドとしてインクジェットヘッドに適用した例で説明
したが、インクジェットヘッド以外の液滴吐出ヘッドと
して、例えば、液体レジストを液滴として吐出する液滴
吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐
出ヘッドなどの他の液滴吐出ヘッドにも適用できる。ま
た、静電アクチュエータは、マイクロポンプ、光変調デ
バイス以外にも、マイクロスイッチ(マイクロリレ
ー)、マルチ光学レンズのアクチュエータ(光スイッ
チ)、マイクロ流量計、圧力センサなどにも適用するこ
とができる。
【0105】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る静電
アクチュエータによれば、可動部分には、結晶シリコン
で形成された構造体からなる第1の電極と、内部が結晶
シリコンで、外部がポリシリコンでそれぞれ形成された
構造体からなる第2の電極とを、電気的に互いに絶縁分
離して設け、第1、第2の電極間に作用する静電力によ
って可動部分を変形させるので、低コストで、駆動効率
が高く、安定した動作特性が得られる。
【0106】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振
動板の可動部分を変形させる本発明に係る静電アクチュ
エータを備えているので、低コストで、滴吐出効率が高
く、安定した滴吐出特性が得られる。
【0107】本発明に係るインクジェット記録装置によ
れば、インク滴を吐出するインクジェットヘッドが本発
明に係る液滴吐出ヘッドである構成としたので、高画質
記録を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出ヘッドの第1実施形態に係る
インクジェットヘッドの分解斜視説明図
【図2】同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図3】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説明
【図4】同ヘッドの電極配置パターンを説明する平面説
明図
【図5】同ヘッドの作用説明に供する要部拡大断面説明
【図6】同ヘッドの電極製作工程を説明する説明図
【図7】図6続く工程を説明する説明図
【図8】図7に続く工程を説明する説明図
【図9】同第2実施形態に係るインクジェットヘッドを
その電極製作工程とともに説明する説明図
【図10】同第3実施形態に係るインクジェットヘッド
をその電極製作工程とともに説明する説明図
【図11】図10に続く工程を説明する説明図
【図12】図11に続く工程を説明する説明図
【図13】図12に続く工程を説明する説明図
【図14】本発明に係る液滴吐出ヘッドを含むインクカ
ートリッジ一体型ヘッドの説明に供する斜視説明図
【図15】本発明に係るインクジェット記録装置の一例
を説明する斜視説明図
【図16】同記録装置の機構部の説明図
【図17】本発明に係る静電アクチュエータを含むマイ
クロポンプの一例を説明する説明図
【図18】本発明に係る静電アクチュエータを含む光学
デバイスの一例を説明する説明図
【図19】同光学デバイスを用いた光変調デバイスの一
例を説明する斜視説明図
【図20】電極構成の他の例の説明に供する斜視説明図
【符号の説明】
1…第1基板、2…第2基板、3…ノズル板、4…ノズ
ル孔、6…吐出室、7…流体抵抗部、8…共通液室、1
0…振動板、11…絶縁膜、12…低融点酸化物層、1
4…電極、14a…第1の電極、14b…第2の電極、
14c…柱状部、100…インクカートリッジ一体型ヘ
ッド、124…記録ヘッド、201…流路基板、203
…流路、205…可動部分、207…電極、301…ミ
ラー、305…可動部分、307…電極。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可動部分を変形させる静電アクチュエー
    タにおいて、前記可動部分には、結晶シリコンで形成さ
    れた構造体からなる第1の電極と、内部が結晶シリコン
    で、外部がポリシリコンでそれぞれ形成された構造体か
    らなる第2の電極とを、電気的に互いに絶縁分離して設
    け、前記第1、第2の電極間に作用する静電力によって
    前記可動部分を変形させることを特徴とする静電アクチ
    ュエータ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の静電アクチュエータに
    おいて、前記可動部分を形成する部材と前記各電極との
    間には低融点酸化物層が存在していることを特徴とする
    静電アクチュエータ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の静電アクチュエ
    ータにおいて、前記第2の電極は内部の結晶シリコンと
    外部のポリシリコンが電気的に接続されていることを特
    徴とする静電アクチュエータ。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の静
    電アクチュエータにおいて、前記各電極は前記可動部分
    側に幅の狭い柱状部を有することを特徴とする静電アク
    チュエータ。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の静電アクチュエータに
    おいて、前記柱状部はポリシリコンで形成されているこ
    とを特徴とする静電アクチュエータ。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の静
    電アクチュエータにおいて、前記各電極の間隔は犠牲層
    のエッチングによって形成されたことを特徴とする静電
    アクチュエータ。
  7. 【請求項7】 液滴を吐出するノズル孔が連通する吐出
    室の壁面の一部を形成する可動部分を有する振動板を備
    え、この振動板を変形させることで前記液滴を吐出させ
    る液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板の可動部分を変
    形させる請求項1ないし6のいずれかに記載の静電アク
    チュエータを備えていることを特徴とする液滴吐出ヘッ
    ド。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の液滴吐出ヘッドにおい
    て、インクを供給するインクタンクを一体に備えている
    ことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  9. 【請求項9】 インク滴を吐出させるインクジェットヘ
    ッドを備えたインクジェット記録装置において、前記イ
    ンクジェットヘッドが請求項7又は8に記載の液滴吐出
    ヘッドであることを特徴とするインクジェット記録装
    置。
JP2002077425A 2002-03-20 2002-03-20 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置 Pending JP2003266696A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002077425A JP2003266696A (ja) 2002-03-20 2002-03-20 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002077425A JP2003266696A (ja) 2002-03-20 2002-03-20 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003266696A true JP2003266696A (ja) 2003-09-24

Family

ID=29205720

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002077425A Pending JP2003266696A (ja) 2002-03-20 2002-03-20 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003266696A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008296578A (ja) * 2007-05-30 2008-12-11 Oce Technologies Bv 圧電インクジェットデバイスの製作方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008296578A (ja) * 2007-05-30 2008-12-11 Oce Technologies Bv 圧電インクジェットデバイスの製作方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009274226A (ja) 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、画像形成装置、圧電アクチュエータ、マイクロポンプ及び光変調デバイス
JP4282342B2 (ja) 液滴吐出ヘッド及び該液滴吐出ヘッドを用いた装置
JP2004001110A (ja) 静電型アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置並びにマイクロデバイス
JP2003211394A (ja) 静電型アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置、マイクロポンプ、光学デバイス
JP2010165724A (ja) アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ及び画像形成装置
JP2003245897A (ja) 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置
JP2003276194A (ja) 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置
JP2003266696A (ja) 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置
JP4111809B2 (ja) 静電型アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロポンプ、光学デバイス、画像形成装置、液滴を吐出する装置
JP4043895B2 (ja) 液滴吐出ヘッドの製造方法
JP2003182070A (ja) 液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイス
JP4115210B2 (ja) 静電型アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクカートリッジ、マイクロポンプ、光学デバイス、画像形成装置、液滴を吐出する装置
JP2003246070A (ja) 液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクジェット記録装置並びにマイクロデバイス
JP2003341055A (ja) 液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置
JP2003246056A (ja) 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置
JP2003211393A (ja) マイクロアクチュエータ、液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロポンプ、光学デバイス
JP2008099364A (ja) 静電型アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、静電型アクチュエータ製造方法、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロポンプ及び光変調デバイス
JP2003276191A (ja) 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置
JP4138420B2 (ja) 液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置、画像形成装置、液滴を吐出する装置
JP2003266695A (ja) 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置
JP2003340796A (ja) 静電型アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置
JP2003205609A (ja) 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイス
JP5195097B2 (ja) 静電型アクチュエータの製造方法、液滴吐出ヘッド、液体カートリッジ、画像形成装置、マイクロポンプおよび光学デバイス
JP3957054B2 (ja) 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイス、画像形成装置、液滴を吐出する装置
JP2003259662A (ja) 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置