JP2003246070A - 液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクジェット記録装置並びにマイクロデバイス - Google Patents

液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクジェット記録装置並びにマイクロデバイス

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JP2003246070A
JP2003246070A JP2002048213A JP2002048213A JP2003246070A JP 2003246070 A JP2003246070 A JP 2003246070A JP 2002048213 A JP2002048213 A JP 2002048213A JP 2002048213 A JP2002048213 A JP 2002048213A JP 2003246070 A JP2003246070 A JP 2003246070A
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electrode
electrodes
manufacturing
discharge head
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JP2002048213A
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Takahiko Kuroda
隆彦 黒田
Shuya Abe
修也 阿部
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2002/14411Groove in the nozzle plate

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  • Micromachines (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで安定した滴吐出特性が得られな
い。 【解決手段】 振動板10には絶縁膜11を介して電気
的に互いに絶縁分離された導電性を有する構造体からな
る、間隔を犠牲膜35を用いて形成した複数の電極14
を設け、電極14、14間に静電力を発生させることに
よって振動板10を変形させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液滴吐出ヘッド及びその
製造方法、インクジェット記録装置並びにマイクロデバ
イスに関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の
画像記録装置或いは画像形成装置として用いるインクジ
ェット記録装置において使用する液滴吐出ヘッドである
インクジェットヘッドは、インク滴を吐出する単一又は
複数のノズル孔と、このノズル孔が連通する吐出室(イ
ンク室、液室、加圧液室、圧力室、インク流路等とも称
される。)と、吐出室内のインクを加圧する圧力を発生
する圧力発生手段とを備えて、圧力発生手段で発生した
圧力で吐出室内インクを加圧することによってノズル孔
からインク滴を吐出させる。
【0003】なお、液滴吐出ヘッドとしては、例えば液
体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DN
Aの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどもあ
るが、以下ではインクジェットヘッドを中心に説明す
る。また、液滴吐出ヘッドのアクチュエータ部分を構成
するマイクロアクチュエータは、例えばマイクロポン
プ、マイクロ光変調デバイスなどの光学デバイス、マイ
クロスイッチ(マイクロリレー)、マルチ光学レンズの
アクチュエータ(光スイッチ)、マイクロ流量計、圧力
センサなどのマイクロデバイスにも適用することができ
る。
【0004】ところで、液滴吐出ヘッドとしては、圧力
発生手段として圧電素子などの電気機械変換素子を用い
て吐出室の壁面を形成している振動板を変形変位させる
ことでインク滴を吐出させるピエゾ型のもの、吐出内に
配設した発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いてイン
クの膜沸騰でバブルを発生させてインク滴を吐出させる
バブル型(サーマル型)のもの、吐出室の壁面を形成す
る振動板を静電力で変形させることでインク滴を吐出さ
せる静電型のものなどがある。
【0005】近年、環境問題から鉛フリーであるバブル
型、静電型が注目を集め、鉛フリーに加え、低消費電力
の観点からも環境に影響が少ない、静電型のものが複数
提案されている。
【0006】この静電型ヘッドの中には、振動板をイン
ク室側に押し込みインク室内の内容積を小さくすること
でインク滴を吐出させる押し打ち法で駆動するものと、
振動板をインク室の外側方向の力で変形させインク室内
の内容積を広げた状態から元の内容積になるように振動
板の変位を元に戻すことでインク滴を吐出させる引き打
ち法で駆動するものとがある。
【0007】押し打ち法タイプの静電型ヘッドとして
は、例えば特開平2−266943号公報に記載されて
いるように、一対の電極対の間にインクが充填されてお
り、片方あるいは両方の電極が振動板として働く形態
で、電極間に電圧を印加することによって電極間に静電
引力が働き、電極(振動板)が変形しそれによってイン
クが押し出され吐出するものがある。また、特開200
0−15805号公報に記載されているように、シリコ
ン基板からなる振動板表面に突起部を設け、この突起部
に電極を形成し、電極に電圧を印加することによって突
起部間に作用するという静電力によって振動板を変形さ
せ、インクを吐出するものもある。
【0008】引き打ち法としては、例えば特開平6−7
1882号公報に記載されているように、一対の電極対
がエアギャップを介して設けられており、片方の電極が
振動板として働き、振動板の対向する電極と反対側にイ
ンクが充填されるインク室が形成され、電極間(振動板
−電極間)に電圧を印加することによって電極間に静電
引力が働き、電極(振動板)が変形し、電圧を除去する
と振動板が弾性力によってもとの状態に戻り、その力を
用いてインクを吐出するものがある。また、特開200
1−47624号公報に記載されているように、櫛歯状
に形成され互いに入れ子になった電極対の片方に振動板
を備え、電極対に電圧を印加することによって櫛歯間に
静電力引力を発生させ、電極の変位により振動板を変形
させ、電圧を切った時に振動板の弾性力でインクを吐出
するものもある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平2−266943号公報記載の液滴吐出ヘッドにあ
っては、電極間にインクを充填しているので必然的に電
極間距離が大きくなる。電極間に働く静電力は電極間距
離の2乗に反比例するので電極間距離が大きくなると必
要な電圧が非常に大きくなってしまうという問題があ
る。
【0010】この場合、インクの誘電率によってある程
度電圧を下げることはできるが、電極間距離の影響が大
きいのであまり効果がない。また、インクの誘電率を大
きくする必要がある、あるいはインクに電界がかかるこ
とよりインクの自由度は小さくなる。そのため、インク
の色、pH、粘度などのインク物性に制限が加わり、高
画質化が困難であるという課題がある。
【0011】また、前記特開平6−71882号公報記
載の液滴吐出ヘッドにあっては、電極間にインクを充填
していないのでインクに対する制限が少なく高画質化に
は有利である。しかしながら、低電圧化のためには電極
間のエアギャップを非常に小さくしなければならず、そ
のような微小なギャップを精度良く、バラツキ少なく形
成するのは非常に困難であり、歩留まりが上がらないと
いった問題がある。
【0012】また、振動板の弾性力によってインクを吐
出する、いわゆる引き打ちの方法であるので、振動板は
インクを吐出するだけの剛性が必要であり、そのような
剛性の振動板を静電力で引き付けるため電圧が高くなっ
てしまうといった課題がある。
【0013】さらに、前記特開2001−47624号
公報記載の液滴吐出ヘッドにあっては、櫛歯状電極を用
いているので変位量は大きくすることができるが、発生
力は非常に小さく、インクを吐出するだけの発生力を得
ようとした場合、非常に電圧が高くなってしまう。しか
も、構造が複雑であるので作製が困難であり、コスト高
となってしまうという課題がある。
【0014】また、前記特開2000−15805号公
報記載の液滴吐出ヘッドにあっては、導電性を有するシ
リコン基板で形成した振動板に突起部を設けて、この突
起部に導電性部材の電極を形成しているので、シリコン
振動板を介して各電極間が同電位になって静電力が発生
せず、振動板を変形できないという課題がある。
【0015】しかも、振動板に突起部を形成して、この
突起部に電極を付けなければならず、そのような立体微
細構造の表面に電極を付けるのは困難であり、電極がう
まく形成されない部分ができたり、バラツキが生じたり
で、安定して製造できなく歩留まりが悪いという課題が
ある。
【0016】さらに、低電圧化のためには突起間の間隔
は狭くしなければならないが、そのような狭い間隔の中
に電極を形成するのは困難であり、また狭い突起間に電
極を形成するとショートしてしまうという不良が生じた
りする。また、突起部に電極を形成することは、立体構
造でのフォトリソ工程はレジストコート、露光などが困
難であることから、一般的な方法では不可能であり、そ
のため特別な装置を使用したり、製造工程が長くなった
りしてコスト高となってしまうという課題がある。
【0017】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、低コストで、滴吐出効率が高く、高画質印字が
可能な液滴吐出ヘッド、この液滴吐出ヘッドを製造する
ための製造方法、このヘッドを搭載した高画質記録が可
能なインクジェット記録装置、低コストで、動作効率が
高いマイクロデバイスを製造するための製造方法を提供
することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、液滴を
吐出するノズル孔と、前記ノズル孔のそれぞれに連通す
る吐出室と、吐出室の少なくとも一方の壁を構成する振
動板と、振動板に設けた電気的に互いに絶縁分離された
導電性を有する構造体からなる少なくとも2つの電極と
を有し、電極間に静電力を発生させることによって振動
板を変形させる液滴吐出ヘッドを製造する方法であっ
て、電極間を犠牲膜を用いて形成する。
【0019】ここで、電極を1つおきに形成した後犠牲
膜を形成することが好ましい。また、犠牲膜の膜厚を電
極間隔と略同じ又は電極間隔より大きくすることが好ま
しい。さらに、犠牲膜は電極及び電極の下地層に対して
十分に除去速度が大きい除去方法で除去することが好ま
しい。
【0020】また、犠牲膜は絶縁膜とすることができ
る。この犠牲膜は電極材料の表面酸化で形成することが
できる。この場合、電極材料がポリシリコンであり、犠
牲膜は電極材料を熱酸化して形成することが好ましい。
さらに、犠牲膜は堆積膜とすることができる。この場
合、犠牲膜はCVD法により形成することが好ましく、
この犠牲膜はシリコン酸化膜又は窒化膜とすることがで
きる。
【0021】さらに、犠牲膜の厚さが50〜500nm
の範囲内であることが好ましい。また、犠牲膜は電極を
すべて形成した後に除去することが好ましい。この場
合、犠牲膜はウエットエッチングで除去することが好ま
しい。
【0022】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、本発明に
係る製造方法で製造された、液滴を吐出するノズル孔
と、ノズル孔のそれぞれに連通する吐出室と、吐出室の
少なくとも一方の壁を構成する振動板と、振動板に設け
た電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する構造体
からなる少なくとも2つの電極とを有し、電極間に静電
力を発生させることによって振動板を変形させるヘッド
である。
【0023】この液滴吐出ヘッドにおいては、振動板と
電極との間に犠牲膜を除去するときに除去されない膜、
例えば窒化膜又はシリコン酸化膜を有することが好まし
い。また、隣り合う電極の少なくとも一方は表面が研磨
されていることが好ましい。
【0024】本発明に係るインクジェット記録装置は、
インク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドを備え
たものである。
【0025】本発明に係るマイクロデバイスは、可動部
分に電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する構造
体からなる電極間を犠牲膜を用いて形成した少なくとも
2つの電極を設けたものである。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は、本発明の液滴吐出ヘ
ッドの第1実施形態に係るインクジェットヘッドの分解
斜視図で、一部断面図で示している。図2は同ヘッドの
振動板長手方向の断面説明図、図3は同ヘッドの振動板
短手方向の断面説明図、図4は同ヘッドの電極配置パタ
ーンを示す平面説明図である。
【0027】このインクジェットヘッドは、インク液滴
を基板の面部に設けたノズル孔から吐出させるサイドシ
ュータタイプのものであり、下記に詳述する構造を持つ
3枚の第1、第2、第3基板1、2、3を重ねて接合し
た積層構造となっており、インク滴を吐出する複数のノ
ズル孔4、各ノズル孔4が連通する吐出室6、各吐出室
6に流体抵抗部7を介してインクを供給する共通液室
(共通インク室)8などを形成している。
【0028】中間の第1基板1は、シリコン基板からな
り、底壁を振動板10とする吐出室6を形成するための
凹部と、各々の吐出室6にインクを供給するための共通
液室8を形成するための凹部を有する。
【0029】振動板10の下面には、熱酸化膜、シリコ
ン窒化膜などの絶縁膜11を形成し、この絶縁膜11表
面に電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する構造
体からなり、相互間で静電力を発生するための複数の電
極14を所定の間隔を置いて形成している。
【0030】この場合、振動板10と各電極14とは絶
縁膜11で電気的に分離され、また各電極14のうちの
相隣り合う2つの電極(これを相対的に電極14a、1
4bという。)も空隙によって相互に電気的に分離され
る。なお、電極14は、例えばポリシリコン、或いは単
結晶シリコンから形成している。この振動板10と複数
の電極14によって可動部分である振動板10を変形さ
せるマイクロアクチュエータを構成している。
【0031】ここで、図4は第1基板1の電極14側か
ら見た場合の一つの振動板に対する電極配置パターンの
一例を示すものである。同図に示すように、互いに電気
的に分離した相隣り合う電極14aと電極14bには、
駆動回路(ここでは発信回路で図示)15から互いに電
位差を生じる駆動電圧(異なる電位の電圧)が印加され
るようになっている。
【0032】この第1基板1の下面に接合される第2基
板2は、電極14を外部からの衝撃やホコリなどから保
護したり、第1基板1の強度を補強したりするための保
護基板である。この第2基板2には、ガラス、金属、シ
リコン、樹脂などからなる基板などを使用し、この基板
2には各振動板10に対応する位置に例えば1mmの深
さの凹部16を形成している。ただし、必ずしも振動板
10ごとに凹部16を形成する必要はなく、振動板配列
を囲む凹部、あるいはチップの縁のみ接合される凹部を
形成する構成でも良い。
【0033】また、第1基板1の上面に接合される第3
基板3には、例えば厚さ50μmのニッケル基板を用
い、第3基板3の面部に、吐出室6と連通するようにそ
れぞれノズル孔4、共通液室8と吐出室6を連通させる
流体抵抗部7となる溝を設け、また共通液室8と連通す
るようにインク供給口9を設けている。
【0034】このように構成したインクジェットヘッド
の動作を説明する。例えば図4の構成において、電極1
4aに発振回路15により0Vから40Vのパルス電位
を印加すると、電極14aの表面がプラスに帯電し、パ
ルス電位を印加していない隣り合う電極14bとの間
で、図5に示すように、静電力が発生して、静電気の吸
引作用が働き、電極14の自由端(振動板10側が固定
端)が引き合って電極14が変位し、これらの電極14
の自由端側が変位することで、電極14の固定端側であ
る振動板10が上方へたわむことになる。その結果、吐
出室6内の圧力が急激に上昇し、図3に示すように、ノ
ズル孔4よりインク液滴22を記録紙23に向けて吐出
する。
【0035】そして、電極14aの電位が0Vに戻る
と、電極14bとの間に電位差はなくなり、振動板10
は元の状態に復元する。振動板10が復元することによ
り、インクが共通液室8より流体抵抗部7を通じて吐出
室6内に補給される。すなわち、この実施形態では押し
打ち法でインク滴を吐出させる。
【0036】ここで、電極間に働く力Fは、次の(1)
式に示すように電極間距離dの2乗に反比例して大きく
なる。低電圧で駆動するためには、電極14aと電極1
4bとの間隔、つまり電極14間の溝を狭く形成するこ
とが重要となる。
【0037】
【数1】
【0038】なお、(1)式において、F:電極間に働
く力、ε:誘電率、S:電極の対向する面の面積、d:
電極間距離、 V:印加電圧である。
【0039】このように、このインクジェットヘッドに
おいては、振動板10の一方の面に絶縁膜11を介して
それぞれ電気的に分離独立した電極14を設け、電極1
4の対向する電極14aと電極14b間に電位差を生じ
る電圧を印加することによって、隣り合う電極14aと
電極14bとの間で静電引力が発生し、電極14のわず
かな変位により振動板10の大きな変位を得ることがで
き、滴吐出効率が向上し、高画質記録が可能になる。
【0040】そして、このヘッドのマイクロアクチュエ
ータにおいては、振動板10に設けた構造体自体が電極
14として働くので、従前のようにシリコン構造体に電
極を成膜などの方法により形成するという困難な工程の
必要がなく、コストダウンを図ることが可能であり、ま
た、構造体間の非常に狭い間隔に電極を形成することに
よって生じるショートなどの不良も低減できる。さら
に、構造体に電極を形成した後に電極を櫛の歯状に分離
するという工程も必要がなく、低コスト化、大量生産が
容易である。
【0041】さらに、振動板10と電極14は絶縁膜1
1などで電気的に分離しているので、従来のように電極
に電圧を印加しても振動板を介してすべての電極が同電
位になって作動不良になることもなく、電極14に印加
した電圧が振動板10側にリークすることもなく、効率
良く電極14に電圧を印加することができる。この場
合、振動板10と電極14を電気的に分離する一例とし
て振動板10と電極14の間に絶縁膜11を形成するこ
とによって、容易に絶縁することができ信頼性の高い液
滴吐出ヘッドを得ることができる。なお、振動板自体を
絶縁性部材で形成すれば、絶縁膜を設けないでも良い。
【0042】また、振動板10と電極14の間に絶縁膜
11を設けることで、後述する製造工程において、絶縁
膜11が犠牲膜エッチング時にストッピング層となり、
犠牲膜除去工程の振動板10に対する影響を防止するこ
とができる。
【0043】次に、第2実施形態に係るインクジェット
ヘッドについて図6を参照して説明する。なお、同図は
同ヘッドの振動板短手方向に沿う断面説明図である。こ
の実施形態においては、電極14と同一材料の層又は構
造体であるスペーサ25を振動板10以外の領域で電極
14を形成する面と略同一平面に形成している。このス
ペーサ25は電極14と同時に形成することができ、振
動板領域以外の電極材料を除去しないことで形成するこ
とができる。
【0044】このようなスペーサ25を設けることによ
り第1基板1を第2基板2に接合する前の工程におい
て、微小な構造体である電極14を保護することがで
き、製造工程においてウェハ搬送や、プロセス中におけ
る電極14の破損による不良を低減することができる。
【0045】次に、第3実施形態に係るインクジェット
ヘッドについて図7を参照して説明する。なお、同図は
同ヘッドの振動板短手方向に沿う断面説明図である。こ
の実施形態においては、電極14と同一材料の層又は構
造体であるスペーサ25を振動板10以外の領域で電極
14を形成する面と略同一平面に形成するとともに、こ
のスペーサ25の厚さを電極14の厚さよりも厚く形成
している。この場合、第2基板2は平板板基板をそのま
ま用いることができ凹部を形成する必要がなくなる。
【0046】このような構造とすることによって第2実
施形態よりもさらに電極14はスペーサ25のために接
触して破損することが少なくなり、電極破損による不良
を低減することができる。また、第1基板1の下に保護
基板(第2基板2)を接合する場合、保護基板に凹部を
形成しなくても良いという利点もある。
【0047】次に、第4実施形態に係るインクジェット
ヘッドについて図8を参照して説明する。なお、同図は
同ヘッドの振動板短手方向に沿う断面説明図である。こ
の実施形態では、電極14の表面に保護膜26を形成し
ている。すなわち、前述したように、駆動電圧を低くす
るためには、電極14の間隔を小さくしなければならな
いが、そのような微小な間隔で電極14を形成した場
合、小さなダストであってもが電極14上に載るとショ
ートの原因となり、動作不良を起こすことがあり、ま
た、非常に微小な間隔なので、空気の湿度によって電極
14表面に微小な水滴が発生した場合にも、ショートの
原因となる。
【0048】そこで、電極14の表面に絶縁膜からなる
保護膜26を設けることによって、電極14間のショー
トによる動作不良を低減することができる。また、電圧
を印加した時の電極間14の放電により動作不良を起こ
すことがあるが、これに対して保護膜26を設けること
によって、耐圧も向上することができ、信頼性の高い液
滴吐出ヘッドが得られる。
【0049】次に、上述したような液滴吐出ヘッドを製
造するための本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法の
第1実施形態に係るインクジェットヘッドの製造工程に
ついて図9を参照して説明する。この実施形態では、振
動板10と電極14との間の絶縁膜11を窒化膜で、電
極14a、電極14bをポリシリコン(多結晶シリコ
ン)で、後述する犠牲膜35を熱酸化膜でそれぞれ形成
し、犠牲膜35をウェットエッチで除去する例である。
【0050】同図(a)に示すように、振動板10とな
る膜30を形成した後に、電極14と振動板10とを電
気的に絶縁するための絶縁膜11となる窒化膜31を5
0nmの厚みに形成する。ここで窒化膜31の成膜方法
としては、CVD法、プラズマCVD法がある。絶縁膜
11としては、窒化膜31に限らず、電極14aのエッ
チング時のストッピング層となり、且つ犠牲膜の除去時
のストッピング層となる膜であれば特に限定されない。
その後、窒化膜31上に電極14aとなるポリシリコン
34aを3μmの厚みに成膜する。
【0051】次いで、同図(b)に示すように、フォト
リソによりポリシリコン34a上にレジストパターンを
形成し、ドライエッチングにより、ポリシリコン34a
からなる電極14aを形成する。ここで、電極14aの
幅は1μm、電極14aの間隔は1μmとした。このと
き、窒化膜31はエッチングストップ層となる。
【0052】その後、同図(c)に示すように、例え
ば、900℃−10分のウェット酸化により、電極14
aの表面に犠牲膜35を100nmの厚みに形成する。
このとき、犠牲膜35の膜厚は、所望する電極14aと
14bの間隔と同じ厚さとする。なお、犠牲膜35の膜
厚は電極間隔に応じるが、50〜500mmの範囲内で
あれば、安定して量産可能である。
【0053】そして、同図(d)に示すように、犠牲膜
35上に電極14bとなるポリシリコン34bを2μm
の厚みに成膜し、同図(e)に示すように、このポリシ
リコン34bを電極14a上の犠牲膜35が露出するま
でドライエッチでエッチングし、電極14bを形成す
る。
【0054】その後、同図(f)に示すように、犠牲膜
35をフッ酸水溶液で完全に除去する。
【0055】このように犠牲膜35を用いて電極14
a、14bの間隔(隙間)を形成することによって、電
極間隔が犠牲膜の膜厚のみで決まるため、高精度の電極
間隔が得られ、信頼性の高い動作特性が得られる。
【0056】すなわち、各電極14a、14b間に働く
静電力のバラツキは、電極間隔に大きく依存する。ここ
で、電極間隔の形成をフォトリソとエッチング、主にド
ライエッチで行うと、所望の電極間隔が0.1μm程度
で深さが数μmであり、アスペクト比が非常に大きくな
る。そのため、フォトリソとエッチングでは、DOFマ
ージン、ウェハの反り、レジスト膜厚バラツキ、レジス
ト現像、エッチングでの寸法バラツキなどがあるため、
上記0.1μmの電極間隔の寸法精度を安定して得るこ
とは困難である。これに対して、本発明では、電極間隔
を犠牲膜のみで制御するため、0.1μm程度の電極間
隔の比較的容易に形成することができる。
【0057】また、電極を1つおきに形成した後(電極
14aを形成した後)犠牲膜35を形成しているので、
犠牲膜35を狭いスペースに成膜する必要が無くなり、
電極側面への犠牲膜のカバレッジが良好となり、各電極
間隔の寸法を高精度に制御でき、静電引力の振動板面内
でのバラツキを低減できる。
【0058】また、犠牲膜35の膜厚を電極間隔と略同
じにしているので、寸法バラツキが犠牲膜成膜工程のみ
で決まることになり、犠牲膜成膜工程のみを管理するこ
とにより、各電極間隔の寸法が高精度に制御することが
できる。
【0059】さらに、犠牲膜35は電極14及び電極の
下地層21に対して十分に除去速度が大きいフッ酸水溶
液を用いた除去方法で除去しているので、犠牲膜除去
時、電極及び下地へのダメージを低減でき、また、電極
間隔の寸法シフトを防止できる。
【0060】また、犠牲膜35として絶縁膜を形成して
いるので、製造工程において、比較的簡単に成膜でき、
熱的に比較的安定な膜があり、後の工程への影響が低減
する。この犠牲膜35を電極材料の表面酸化(ウエット
酸化)で形成しているので、極薄膜を制御良く、成膜す
ることができ、高精度に電極間隔を制御できる。特に、
電極材料にポリシリコンを用いて、電極材料を熱酸化し
て犠牲膜を形成しているので、犠牲膜の膜厚を高精度に
制御できる。
【0061】なお、上記工程において、ポリシリコン3
4aの成膜後に表面を研磨するか、ポリシリコン34b
成膜後電極14a上面の犠牲膜35が除去されるまで研
磨してもよい。このように電極14の表面を研磨するこ
とで、保護基板2との接合面を平坦化でき、接合精度及
び強度を向上できる。
【0062】次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造
方法の第2実施形態に係るインクジェットヘッドの製造
工程について図10及び図11を参照して説明する。こ
の実施形態では、振動板10と電極14との間の絶縁膜
11を窒化膜で、電極14a、電極14bをポリシリコ
ン(多結晶シリコン)で、後述する犠牲膜45を熱酸化
膜でそれぞれ形成し、犠牲膜45をウェットエッチで除
去し、保護膜26をHTO膜で形成する例である。
【0063】図10(a)に示すように、振動板10と
なる膜40を形成した後に、電極14と振動板10とを
電気的に絶縁するための絶縁膜11となる窒化膜41を
50nmの厚みに形成する。ここで窒化膜41の成膜方
法としては、CVD法、プラズマCVD法がある。絶縁
膜11としては、窒化膜41に限らず、電極14aのエ
ッチング時のストッピング層となり、且つ犠牲膜の除去
時のストッピング層となる膜であれば特に限定されな
い。その後、窒化膜41上に電極14aとなるポリシリ
コン44aを3μmの厚みに成膜する。
【0064】次いで、同図(b)に示すように、フォト
リソによりポリシリコン44a上にレジストパターンを
形成し、ドライエッチングにより、ポリシリコン44a
からなる電極14aを形成する。ここで、電極14aの
幅は1μmとした。このとき、窒化膜41はエッチング
ストップ層となる。
【0065】その後、同図(c)に示すように、例え
ば、900℃−10分のウェット酸化により、電極14
aの表面に犠牲膜45を200nmの厚みに形成する。
このとき、犠牲膜45の膜厚は、所望する電極14aと
14bの間隔より保護膜26の膜厚分厚くなるように形
成する。すなわち、犠牲膜45の膜厚=電極14aと1
4bの間隔+(保護膜26の膜厚×2)とする。
【0066】そして、同図(d)に示すように、犠牲膜
45上に電極14bとなるポリシリコン44bを2μm
の厚みに成膜する。
【0067】次いで、図11(a)に示すように、この
ポリシリコン44bを電極14a上の犠牲膜45が露出
するまでドライエッチでエッチングし、電極14bを形
成する。
【0068】その後、同図(b)に示すように、犠牲膜
45をフッ酸水溶液で完全に除去する。さらに、同図
(c)に示すように、CVDにより保護膜26としての
HTO膜46を50nm成膜する。
【0069】このように、電極14aと14bが保護膜
26としてのHTO膜46で保護されているため、電極
間のショートによる動作不良の低減、また耐圧の向上が
得られ、信頼性の高い液滴吐出ヘッドが得られる。な
お、保護膜26としては、HTO膜46に限らず、絶縁
膜であり、且つ、電極へのカバレッジが良好な絶縁膜、
例えばCVDを用いた窒化膜でもよい。また、保護膜2
6は、ギャップ間隔を調整するためだけであれば、必ず
しも絶縁膜でなくても、導電性膜でも良い。
【0070】また、犠牲膜45の厚みを電極間隔より大
きくすることによって保護絶縁膜を形成する場合でも、
電極間隔を確保することができるようになる。
【0071】なお、ここでも、上記工程において、ポリ
シリコン44aの成膜後に表面を研磨するか、ポリシリ
コン44b成膜後電極14a上面の犠牲膜45が除去さ
れるまで研磨してもよい。
【0072】次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造
方法の第3実施形態に係るインクジェットヘッドの製造
工程について図12及び図13を参照して説明する。こ
の実施形態では、振動板10と電極14との間の絶縁膜
11を窒化膜で、電極14a、電極14bをポリシリコ
ン(多結晶シリコン)で、後述する犠牲膜55をCVD
で成膜したシリコン酸化膜でそれぞれ形成し、犠牲膜5
5をウェットエッチで除去する例である。
【0073】図12(a)に示すように、振動板10と
なる膜50を形成した後に、電極14と振動板10とを
電気的に絶縁するための絶縁膜11となる窒化膜51を
50nmの厚みに形成する。ここで窒化膜51の成膜方
法としては、CVD法、プラズマCVD法がある。絶縁
膜11としては、窒化膜51に限らず、電極14aのエ
ッチング時のストッピング層となり、且つ犠牲膜の除去
時のストッピング層となる膜であれば特に限定されな
い。その後、窒化膜51上に電極14aとなるポリシリ
コン54aを3μmの厚みに成膜する。
【0074】次いで、同図(b)に示すように、フォト
リソによりポリシリコン54a上にレジストパターンを
形成し、ドライエッチングにより、ポリシリコン54a
からなる電極14aを形成する。ここで、電極14aの
幅は1μm、電極間隔は1μmとした。このとき、窒化
膜51はエッチングストップ層となる。
【0075】その後、同図(c)に示すように、例え
ば、CVDにより、電極14aの表面にシリコン酸化膜
からなる犠牲膜55を100nmの厚みに形成する。こ
のとき、犠牲膜55の膜厚は、所望する電極14aと1
4bの間隔と同じ厚さとする。
【0076】そして、同図(d)に示すように、異方性
酸化膜ドライエッチで電極14a間の犠牲膜55を除去
する。
【0077】次いで、図13(a)に示すように、電極
14bとなるポリシリコン54bを2μmの厚みに成膜
し、同図(b)に示すように、このポリシリコン54b
を電極14a上の犠牲膜55が露出するまでドライエッ
チでエッチングし、電極14bを形成する。
【0078】その後、同図(c)に示すように、犠牲膜
55をフッ酸水溶液で完全に除去する。
【0079】このように犠牲膜55を用いて電極14
a、14bの間隔(隙間)を形成することによって、電
極間隔が犠牲膜の膜厚のみで決まるため、高精度の電極
間隔が得られ、信頼性の高い動作特性が得られる。
【0080】また、犠牲膜55を堆積膜で形成すること
により、電極の表面酸化のように電極材を消費せずに成
膜することができ、電極幅と電極間隔を独立して制御す
ることができる。この堆積膜をCVDの表面反応で堆積
させることにより、電極へのカバレッジが良好になり、
高精度に電極間隔を制御することができる。
【0081】なお、ここでも上記工程において、ポリシ
リコン54aの成膜後に表面を研磨するか、ポリシリコ
ン54b成膜後電極14a上面のポリシリコンが露出さ
れるまで研磨してもよい。
【0082】次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造
方法の第4実施形態に係るインクジェットヘッドの製造
工程について図14及び図15を参照して説明する。こ
の実施形態では、振動板10と電極14との間の絶縁膜
11を窒化膜で、電極14a、電極14bをポリシリコ
ン(多結晶シリコン)で、後述する犠牲膜65をCVD
で成膜したシリコン酸化膜でそれぞれ形成し、犠牲膜6
5をウェットエッチで除去する例である。
【0083】図14(a)に示すように、振動板10と
なる膜60を形成した後に、電極14と振動板10とを
電気的に絶縁するための絶縁膜11となる窒化膜61を
50nmの厚みに形成する。ここで窒化膜61の成膜方
法としては、CVD法、プラズマCVD法がある。絶縁
膜11としては、窒化膜51に限らず、電極14aのエ
ッチング時のストッピング層となり、且つ犠牲膜の除去
時のストッピング層となる膜であれば特に限定されな
い。その後、窒化膜51上に電極14aとなるポリシリ
コン54aを3μmの厚みに成膜する。
【0084】次いで、同図(b)に示すように、フォト
リソによりポリシリコン64a上にレジストパターンを
形成し、ドライエッチングにより、ポリシリコン64a
からなる電極14aを形成する。ここで、電極14aの
幅は1μmとした。このとき窒化膜61はエッチングス
トップ層となる。
【0085】その後、同図(c)に示すように、例え
ば、CVDにより、電極14aの表面にシリコン酸化膜
からなる犠牲膜55を200nmの厚みに形成する。こ
のとき、犠牲膜55の膜厚は、所望する電極14aと1
4bの間隔より保護膜26の膜厚分厚くなるように形成
する。すなわち、犠牲膜65の膜厚=電極14aと14
bの間隔+(保護膜26の膜厚×2)とする。
【0086】そして、同図(d)に示すように、異方性
酸化膜ドライエッチで電極14a間の犠牲膜55を除去
する。
【0087】次いで、図13(a)に示すように、電極
14bとなるポリシリコン64bを2μmの厚みに成膜
し、同図(b)に示すように、このポリシリコン64b
を電極14a上の犠牲膜65が露出するまでドライエッ
チでエッチングし、電極14bを形成する。
【0088】その後、同図(c)に示すように、犠牲膜
65をフッ酸水溶液で完全に除去する。さらに、同図
(d)に示すように、CVDにより保護膜26としての
HTO膜66を50nm成膜する。
【0089】このように、電極14aと14bが保護膜
26としてのHTO膜66で保護されているため、電極
間のショートによる動作不良の低減、また耐圧の向上が
得られ、信頼性の高い液滴吐出ヘッドが得られる。な
お、保護膜26としては、HTO膜66に限らず、絶縁
膜であり、且つ、電極へのカバレッジが良好な絶縁膜、
例えばCVDを用いた窒化膜でもよい。また、保護膜2
6は、ギャップ間隔を調整するためだけであれば、必ず
しも絶縁膜でなくても、導電性膜でも良い。
【0090】また、犠牲膜65を用いて電極14a、1
4bの間隔(隙間)を形成することによって、電極間隔
が犠牲膜の膜厚のみで決まるため、高精度の電極間隔が
得られ、信頼性の高い動作特性が得られる。
【0091】なお、ポリシリコン64aの成膜後に表面
を研磨するか、ポリシリコン64b成膜後電極14a上
面のポリシリコンが露出されるまで研磨してもよい。
【0092】次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造
方法の第5実施形態に係るインクジェットヘッドの製造
工程について図16及び図17を参照して説明する。こ
の実施形態では、振動板10と電極14との間の絶縁膜
11を窒化膜で、電極14a、電極14bをポリシリコ
ン(多結晶シリコン)で、後述する犠牲膜75をCVD
で成膜したシリコン窒化膜でそれぞれ形成し、犠牲膜7
5をウェットエッチで除去する例である。
【0093】図16(a)に示すように、振動板10と
なる膜70を形成した後に、電極14と振動板10とを
電気的に絶縁するための絶縁膜11となる窒化膜71を
50nmの厚みに形成する。ここで窒化膜71の成膜方
法としては、CVD法、プラズマCVD法がある。絶縁
膜11としては、窒化膜71に限らず、電極14aのエ
ッチング時のストッピング層となり、且つ犠牲膜の除去
時のストッピング層となる膜であれば特に限定されな
い。その後、窒化膜71上に電極14aとなるポリシリ
コン74aを3μmの厚みに成膜する。
【0094】次いで、同図(b)に示すように、フォト
リソによりポリシリコン74a上にレジストパターンを
形成し、ドライエッチングにより、ポリシリコン74a
からなる電極14aを形成する。ここで、電極14aの
幅は1μm、電極間隔は1μmとした。このとき、窒化
膜71はエッチングストップ層となる。
【0095】その後、同図(c)に示すように、例え
ば、CVDにより、電極14aの表面にシリコン窒化膜
からなる犠牲膜75を100nmの厚みに形成する。こ
のとき、犠牲膜75の膜厚は、所望する電極14aと1
4bの間隔と同じ厚さとする。
【0096】そして、同図(d)に示すように、異方性
酸化膜ドライエッチで電極14a間の犠牲膜75を除去
する。
【0097】次いで、図17(a)に示すように、電極
14bとなるポリシリコン74bを2μmの厚みに成膜
し、同図(b)に示すように、このポリシリコン74b
を電極14a上の犠牲膜75が露出するまでドライエッ
チでエッチングし、電極14bを形成する。
【0098】その後、同図(c)に示すように、犠牲膜
75を例えば180℃の燐酸水溶液で完全に除去する。
【0099】このように犠牲膜75を用いて電極14
a、14bの間隔(隙間)を形成することによって、電
極間隔が犠牲膜の膜厚のみで決まるため、高精度の電極
間隔が得られ、信頼性の高い動作特性が得られる。
【0100】なお、ポリシリコン74aの成膜後に表面
を研磨するか、ポリシリコン74b成膜後電極14a上
面のポリシリコンが除去されるまで研磨してもよい。
【0101】次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造
方法の第6実施形態に係るインクジェットヘッドの製造
工程について図18及び図19を参照して説明する。こ
の実施形態では、振動板10と電極14との間の絶縁膜
11を窒化膜で、電極14a、電極14bをポリシリコ
ン(多結晶シリコン)で、後述する犠牲膜85をCVD
で成膜したシリコン窒化膜でそれぞれ形成し、犠牲膜8
5をウェットエッチで除去する例である。
【0102】図18(a)に示すように、振動板10と
なる膜80を形成した後に、電極14と振動板10とを
電気的に絶縁するための絶縁膜11となる窒化膜81を
50nmの厚みに形成する。ここで窒化膜81の成膜方
法としては、CVD法、プラズマCVD法がある。絶縁
膜11としては、窒化膜81に限らず、電極14aのエ
ッチング時のストッピング層となり、且つ犠牲膜の除去
時のストッピング層となる膜であれば特に限定されな
い。その後、窒化膜81上に電極14aとなるポリシリ
コン84aを3μmの厚みに成膜する。
【0103】次いで、同図(b)に示すように、フォト
リソによりポリシリコン84a上にレジストパターンを
形成し、ドライエッチングにより、ポリシリコン84a
からなる電極14aを形成する。ここで、電極14aの
幅は1μmとした。このとき窒化膜81はエッチングス
トップ層となる。
【0104】その後、同図(c)に示すように、例え
ば、CVDにより、電極14aの表面にシリコン窒化か
らなる犠牲膜85を200nmの厚みに形成する。この
とき、犠牲膜85の膜厚は、所望する電極14aと14
bの間隔より保護膜26の膜厚分厚くなるように形成す
る。すなわち、犠牲膜85の膜厚=電極14aと14b
の間隔+(保護膜26の膜厚×2)とする。
【0105】そして、同図(d)に示すように、異方性
酸化膜ドライエッチで電極14a間の犠牲膜85を除去
する。
【0106】次いで、図13(a)に示すように、電極
14bとなるポリシリコン84bを2μmの厚みに成膜
し、同図(b)に示すように、このポリシリコン84b
を電極14a上の犠牲膜85が露出するまでドライエッ
チでエッチングし、電極14bを形成する。
【0107】その後、同図(c)に示すように、犠牲膜
85を燐水溶液で完全に除去する。さらに、同図(d)
に示すように、CVDにより保護膜26としてのHTO
膜86を50nm成膜する。
【0108】このように、電極14aと14bが保護膜
26としてのHTO膜86で保護されているため、電極
間のショートによる動作不良の低減、また耐圧の向上が
得られ、信頼性の高い液滴吐出ヘッドが得られる。な
お、保護膜26としては、HTO膜86に限らず、絶縁
膜であり、且つ、電極へのカバレッジが良好な絶縁膜、
例えばCVDを用いた窒化膜でもよい。また、保護膜2
6は、ギャップ間隔を調整するためだけであれば、必ず
しも絶縁膜でなくても、導電性膜でも良い。
【0109】また、犠牲膜85を用いて電極14a、1
4bの間隔(隙間)を形成することによって、電極間隔
が犠牲膜の膜厚のみで決まるため、高精度の電極間隔が
得られ、信頼性の高い動作特性が得られる。
【0110】なお、ポリシリコン84aの成膜後に表面
を研磨するか、ポリシリコン84b成膜後電極14a上
面のポリシリコンが露出されるまで研磨してもよい。
【0111】上述した各実施形態のように、電極14を
ポリシリコンで形成することにより、比較的厚い電極1
4を容易に形成することができ、また、ドライエッチン
グにより電極14間の細い溝を形成することができる。
つまり、電極14間の距離(ギャップ)を小さくできる
ので、前述したように大きな力を発生することができ、
低電圧で駆動することが可能となる。
【0112】次に、本発明に係るインクカートリッジに
ついて図20を参照して説明する。このインクカートリ
ッジ100は、ノズル孔101等を有する上記各実施形
態のいずれかのインクジェットヘッド101と、このイ
ンクジェットヘッド101に対してインクを供給するイ
ンクタンク102とを一体化したものである。
【0113】このようにインクタンク一体型のヘッドの
場合、ヘッドの低コスト化、信頼性は、ただちにインク
カートリッジ全体の低コスト化、信頼性につながるの
で、上述したように低コスト化、高信頼性化すること
で、インクカートリッジの歩留まり、信頼性が向上し、
ヘッド一体型インクカートリッジの低コスト化を図れ
る。
【0114】次に、本発明に係るインクジェットヘッド
(ヘッド一体型のインクカートリッジを含む。)を搭載
したインクジェット記録装置の一例について図21及び
図22を参照して説明する。なお、図21は同記録装置
の斜視説明図、図22は同記録装置の機構部の側面説明
図である。
【0115】このインクジェット記録装置は、記録装置
本体111の内部に主走査方向に移動可能なキャリッ
ジ、キャリッジに搭載した本発明に係るインクジェット
ヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給
するインクカートリッジ等で構成される印字機構部11
2等を収納し、装置本体111の下方部には前方側から
多数枚の用紙113を積載可能な給紙カセット(或いは
給紙トレイでもよい。)114を抜き差し自在に装着す
ることができ、また、用紙113を手差しで給紙するた
めの手差しトレイ115を開倒することができ、給紙カ
セット114或いは手差しトレイ115から給送される
用紙113を取り込み、印字機構部112によって所要
の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ1
16に排紙する。
【0116】印字機構部112は、図示しない左右の側
板に横架したガイド部材である主ガイドロッド121と
従ガイドロッド122とでキャリッジ123を主走査方
向(図22で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、この
キャリッジ123にはイエロー(Y)、シアン(C)、
マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を
吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェ
ットヘッドからなるヘッド124を複数のインク吐出口
を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方
向を下方に向けて装着している。またキャリッジ123
にはヘッド124に各色のインクを供給するための各イ
ンクカートリッジ125を交換可能に装着している。
【0117】インクカートリッジ125は上方に大気と
連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへイン
クを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多
孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジ
ェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持
している。
【0118】また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘ
ッド124を用いているが、各色のインク滴を吐出する
ノズルを有する1個のヘッドでもよい。
【0119】ここで、キャリッジ123は後方側(用紙
搬送方向下流側)を主ガイドロッド121に摺動自在に
嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッ
ド122に摺動自在に載置している。そして、このキャ
リッジ123を主走査方向に移動走査するため、主走査
モータ127で回転駆動される駆動プーリ128と従動
プーリ129との間にタイミングベルト130を張装
し、このタイミングベルト130をキャリッジ123に
固定しており、主走査モーター127の正逆回転により
キャリッジ123が往復駆動される。
【0120】一方、給紙カセット114にセットした用
紙113をヘッド124の下方側に搬送するために、給
紙カセット114から用紙113を分離給装する給紙ロ
ーラ131及びフリクションパッド132と、用紙11
3を案内するガイド部材133と、給紙された用紙11
3を反転させて搬送する搬送ローラ134と、この搬送
ローラ134の周面に押し付けられる搬送コロ135及
び搬送ローラ134からの用紙113の送り出し角度を
規定する先端コロ136とを設けている。搬送ローラ1
34は副走査モータ137によってギヤ列を介して回転
駆動される。
【0121】そして、キャリッジ123の主走査方向の
移動範囲に対応して搬送ローラ134から送り出された
用紙113を記録ヘッド124の下方側で案内する用紙
ガイド部材である印写受け部材139を設けている。こ
の印写受け部材139の用紙搬送方向下流側には、用紙
113を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送
コロ141、拍車142を設け、さらに用紙113を排
紙トレイ116に送り出す排紙ローラ143及び拍車1
44と、排紙経路を形成するガイド部材145,146
とを配設している。
【0122】記録時には、キャリッジ123を移動させ
ながら画像信号に応じて記録ヘッド124を駆動するこ
とにより、停止している用紙113にインクを吐出して
1行分を記録し、用紙113を所定量搬送後次の行の記
録を行う。記録終了信号または、用紙113の後端が記
録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を
終了させ用紙113を排紙する。この場合、ヘッド12
4を構成する本発明に係るインクジェットヘッドはイン
ク滴噴射の制御性が向上し、特性変動が抑制されている
ので、安定して高い画像品質の画像を記録することがで
きる。
【0123】また、キャリッジ123の移動方向右端側
の記録領域を外れた位置には、ヘッド124の吐出不良
を回復するための回復装置147を配置している。回復
装置147はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手
段を有している。キャリッジ123は印字待機中にはこ
の回復装置147側に移動されてキャッピング手段でヘ
ッド124をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に
保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。
また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出す
ることにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、
安定した吐出性能を維持する。
【0124】吐出不良が発生した場合等には、キャッピ
ング手段でヘッド124の吐出口(ノズル)を密封し、
チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに
気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等
はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復され
る。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された
廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のイ
ンク吸収体に吸収保持される。
【0125】このように、このインクジェット記録装置
においては本発明を実施したインクジェットヘッドを搭
載しているので、安定したインク滴吐出特性が得られ
て、画像品質が向上する。また、低電圧で駆動できるヘ
ッドを搭載するので、インクジェット記録装置全体の消
費電力も低減できる。
【0126】次に、本発明に係るマイクロデバイスとし
てのマイクロポンプについて図23を参照して説明す
る。なお、同図は同マイクロポンプの要部断面説明図で
ある。このマイクロポンプは、流路基板201と保護基
板202とを重ねて接合した積層構造となっており、流
路基板201には流体が流れる流路203を形成すると
ともに、流路203の一壁面を形成する変形可能な可動
板204(ヘッドの振動板に相当する。)を設け、可動
板204の保護基板202と接合固定しない部分は可動
部分205となっている。
【0127】そして、可動部分205には絶縁膜206
を介して外面側に、インクジェットヘッドと同様に、複
数の電極207を所定の間隔を置いて設けている。保護
基板202はヘッドの第2基板2と同様な機能を有する
ものであり、電極207を配置するための凹部208を
形成している。ここでは、保護基板202は平板板基板
にスペーサ部209を設けることで凹部208を形成し
ている。
【0128】このマイクロポンプの動作原理を説明する
と、前述したように複数の電極207に対して1つおき
にパルス電位を与えることによって電極207間で静電
吸引力が生じるので、可動部分205が流路203側に
変形する。ここで、可動部分205を図中右側から順次
駆動することによって流路203内の流体は、矢印方向
へ流れが生じ、流体の輸送が可能となる。
【0129】なお、この例では可動部分を複数設けた例
を示したが、可動部分は1つでも良い。また、輸送効率
を上げるために、可動部分間に1又は複数の弁、例えば
逆止弁などを設けることもできる。
【0130】次に、マイクロデバイスの他の例として光
学デバイスの実施形態について図24を参照して説明す
る。なお、同図は同デバイスの概略構成図である。この
光学デバイスは、変形可能なミラー301と保護基板3
02とを重ねて接合しており、ミラー301の保護基板
302と接合固定しない部分は可動部分305となって
いる。そして、可動部分305には絶縁膜306を介し
て外面側に複数の電極307を所定の間隔を置いて設け
ている。保護基板302はヘッドの第2基板2と同様な
機能を有するものであり、電極307を配置するための
凹部308を形成している。ここでは、保護基板302
は平板板基板にスペーサ部309を設けることで凹部3
08を形成している。なお、ミラー301表面は反射率
を増加させるため誘電体多層膜や金属膜を形成すると良
い。
【0131】この光学デバイスの原理を説明すると、ミ
ラー301の可動部分305に設けた複数の電極307
に対して1つおきにパルス電位を与えることによって、
電極307間で静電吸引力が生じるので、可動部分30
5が凸状に変形して凸面ミラーとなる。したがって、光
源310からの光がレンズ311を介してミラー301
に照射した場合、ミラー301を駆動しないときには、
光は入射角と同じ角度で反射するが、ミラー301を可
動部分305を駆動した場合はその可動部分305が凸
面ミラーとなるので反射光は発散光となる。これにより
光変調デバイスが実現できる。
【0132】そこで、この光学デバイスを応用した例を
図25及び図26をも参照して説明する。この例は、上
述した光学デバイスを2次元に配列し、各ミラーの可動
部分305を独立して駆動するようにしたものである。
なお、ここでは、4×4の2次元に配列して可動部分が
2軸に変形するようにしている。
【0133】したがって、前述した図24と同様に、光
源310からの光はレンズ311を介してミラー301
に照射され、ミラー301を駆動していないところに入
射した光は、投影用レンズ312へ入射する。一方、電
極307に電圧を印加してミラー301の可動部分30
5を変形させているところは凸面ミラーとなるので光は
発散し投影用レンズ312にほとんど入射しない。この
投影用レンズ312に入射した光はスクリーン(図示し
ない)などに投影され、スクリーンに画像を表示するこ
とができる。
【0134】これらのマイクロポンプや光学デバイスの
実施形態においては、第1実施形態に係るインクジェッ
トヘッドと同様な構成のアクチュエータとしたが、第2
実施形態以降の実施形態に係るインクジェットヘッドと
同様な構成のアクチュエータとすることもできる。
【0135】なお、上記実施形態においては、液滴吐出
ヘッドとしてインクジェットヘッドに適用した例で説明
したが、インクジェットヘッド以外の液滴吐出ヘッドと
して、例えば、液体レジストを液滴として吐出する液滴
吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐
出ヘッドなどの他の液滴吐出ヘッドにも適用できる。ま
た、マイクロデバイスとしては、マイクロポンプ、光学
デバイス(光変調デバイス)以外にも、マイクロスイッ
チ(マイクロリレー)、マルチ光学レンズのアクチュエ
ータ(光スイッチ)、マイクロ流量計、圧力センサなど
にも適用することができる。
【0136】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る液滴
吐出ヘッドの製造方法によれば、振動板に設ける電気的
に互いに絶縁分離された導電性を有する構造体からなる
電極の間隔を犠牲膜を用いて形成するので、高精度の電
極間隔が得られ、安定でバラツキの少ない滴吐出特性を
有する低電圧駆動が可能なヘッドを低コストで得られ
る。
【0137】ここで、電極を1つおきに形成した後犠牲
膜を形成することで容易に高精度の電極間隔が得られ
る。また、犠牲膜の膜厚を電極間隔と略同じにすること
で犠牲膜の膜厚で電極間隔を制御でき、又は電極間隔よ
り大きくすることで電極に電極間ショートを防止するた
めの保護膜を設ける場合でも高精度の所要の電極間隔を
確保できる。さらに、犠牲膜は電極及び電極の下地層に
対して十分に除去速度が大きい除去方法で除去すること
で、信頼性が向上する。
【0138】また、犠牲膜は絶縁膜とすることで後工程
への影響を低減できる。この犠牲膜は電極材料の表面酸
化で形成することで極薄膜を制御性良く形成でき、電極
材料をポリシリコンで形成して犠牲膜は電極材料を熱酸
化して形成することで、安定して高精度の犠牲膜を成膜
できる。さらに、犠牲膜は堆積膜とすることで、高精度
の犠牲膜を成膜でき、この場合、犠牲膜はCVD法によ
り形成することで高精度に電極間隔を制御できる。この
犠牲膜はシリコン酸化膜又は窒化膜とすることで犠牲膜
除去時の選択性を確保できるようになる。
【0139】さらに、犠牲膜の厚さが50〜500nm
の範囲内であることで低コストで安定して形成できる。
また、犠牲膜は電極をすべて形成した後に除去すること
で、所要の電極間隔を比較的容易に高精度に得ることが
できる。この場合、犠牲膜はウエットエッチングで除去
することで、電極や下地に対するダメージが少なく、信
頼性が向上する。
【0140】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、本
発明に係る製造方法で製造されているので、バラツキの
少ない安定した滴吐出特性が得られて高品質画像を記録
でき、低電圧駆動が可能になる。
【0141】この液滴吐出ヘッドにおいては、振動板と
電極との間に犠牲膜を除去するときに除去されない膜、
例えば窒化膜又はシリコン酸化膜を有することで、振動
板に対するダメージを防止でき、また、隣り合う電極の
少なくとも一方は表面が研磨されていることで、保護基
板との接合精度及び強度が向上する。
【0142】本発明に係るインクジェット記録装置は、
インク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドを備え
たので、安定して低電圧駆動で高画質記録を行うことが
できる。
【0143】本発明に係るマイクロデバイスによれば、
可動部分に電気的に互いに絶縁分離された導電性を有す
る構造体からなる電極間を犠牲膜を用いて形成した少な
くとも2つの電極を設けたので、バラツキの少ない安定
した動作特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出ヘッドの第1実施形態に係る
インクジェットヘッドの分解斜視説明図
【図2】同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図3】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説明
【図4】同ヘッドの電極配置パターンを説明する平面説
明図
【図5】同ヘッドの作用説明に供する要部拡大断面説明
【図6】同第2実施形態に係るインクジェットヘッドの
振動板短手方向に沿う要部断面説明図
【図7】同第3実施形態に係るインクジェットヘッドの
振動板短手方向に沿う要部断面説明図
【図8】同第4実施形態に係るインクジェットヘッドの
振動板短手方向に沿う要部断面説明図
【図9】本発明の製造方法の第1実施形態に係るインク
ジェットヘッドの製造工程を説明する説明図
【図10】本発明の製造方法の第2実施形態に係るイン
クジェットヘッドの製造工程を説明する説明図
【図11】図10に続く工程を説明する説明図
【図12】本発明の製造方法の第3実施形態に係るイン
クジェットヘッドの製造工程を説明する説明図
【図13】図12に続く工程を説明する説明図
【図14】本発明の製造方法の第4実施形態に係るイン
クジェットヘッドの製造工程を説明する説明図
【図15】図14に続く工程を説明する説明図
【図16】本発明の製造方法の第5実施形態に係るイン
クジェットヘッドの製造工程を説明する説明図
【図17】図16に続く工程を説明する説明図
【図18】本発明の製造方法の第6実施形態に係るイン
クジェットヘッドの製造工程を説明する説明図
【図19】図18に続く工程を説明する説明図
【図20】本発明に係る液滴吐出ヘッドを備えたインク
カートリッジの説明に供する斜視説明図
【図21】本発明に係るインクジェット記録装置の一例
を説明する斜視説明図
【図22】同記録装置の機構部の説明図
【図23】本発明に係るマイクロデバイスをマイクロポ
ンプに実施した例を説明する断面説明図
【図24】本発明に係るマイクロデバイスを光学デバイ
スに実施した例を説明する断面説明図
【図25】同光学デバイスを用いた光変調デバイスの一
例を説明する斜視説明図
【図26】同光変調デバイスの要部斜視説明図
【符号の説明】
1…第1基板、2…第2基板、3…ノズル板、4…ノズ
ル孔、6…吐出室、7…流体抵抗部、8…共通液室、1
0…振動板、11…絶縁膜、14、14a、14b…電
極、26…絶縁膜、35、45、55、65、75、8
5…犠牲層、100…インクカートリッジ、201…流
路基板、203…流路、205…可動部分、207…電
極、301…ミラー、305…可動部分、307…電
極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 41/22 H01L 41/08 J // H02N 1/00 Fターム(参考) 2C057 AF55 AF93 AG53 AG54 AG59 AP22 AP33 AP53 AP56 AQ02 BA04 BA14 BA15

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液滴を吐出するノズル孔と、前記ノズル
    孔のそれぞれに連通する吐出室と、前記吐出室の少なく
    とも一方の壁を構成する振動板と、前記振動板に設けた
    電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する構造体か
    らなる少なくとも2つの電極とを有し、前記電極間に静
    電力を発生させることによって前記振動板を変形させる
    液滴吐出ヘッドを製造する方法であって、前記電極間を
    犠牲膜を用いて形成することを特徴とする液滴吐出ヘッ
    ドの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の液滴吐出ヘッドの製造
    方法において、前記電極を1つおきに形成した後前記犠
    牲膜を形成することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッド
    の製造方法において、前記犠牲膜の膜厚を前記電極間隔
    と略同じ又は電極間隔より大きくすることを特徴とする
    液滴吐出ヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の液
    滴吐出ヘッドの製造方法において、前記犠牲膜は前記電
    極及び電極の下地層に対して十分に除去速度が大きい除
    去方法で除去することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の液
    滴吐出ヘッドの製造方法において、前記犠牲膜は絶縁膜
    であることを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の液
    滴吐出ヘッドの製造方法において、前記犠牲膜は電極材
    料の表面酸化で形成することを特徴とする液滴吐出ヘッ
    ドの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の液滴吐出ヘッドの製造
    方法において、前記電極材料がポリシリコンであり、前
    記犠牲膜は電極材料を熱酸化して形成することを特徴と
    する液滴吐出ヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし5のいずれかに記載の液
    滴吐出ヘッドの製造方法において、前記犠牲膜は堆積膜
    であることを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の液滴吐出ヘッドの製造
    方法において、前記犠牲膜はCVD法により形成するこ
    とを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の液滴吐出ヘッドの製
    造方法において、前記犠牲膜はシリコン酸化膜又は窒化
    膜であることを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし10のいずれかに記載
    の液滴吐出ヘッドの製造方法において、前記犠牲膜の厚
    さが50〜500nmの範囲内であることを特徴とする
    液滴吐出ヘッドの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    の液滴吐出ヘッドの製造方法において、前記犠牲膜は前
    記電極をすべて形成した後に除去することを特徴とする
    液滴吐出ヘッドの製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の液滴吐出ヘッドの
    製造方法において、前記犠牲膜はウエットエッチングで
    除去することを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  14. 【請求項14】 液滴を吐出するノズル孔と、前記ノズ
    ル孔のそれぞれに連通する吐出室と、前記吐出室の少な
    くとも一方の壁を構成する振動板と、前記振動板に設け
    た電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する構造体
    からなる少なくとも2つの電極とを有し、前記電極間に
    静電力を発生させることによって前記振動板を変形させ
    る液滴吐出ヘッドであって、前記請求項1ないし13の
    何れかに記載の製造方法で製造されていることを特徴と
    する液滴吐出ヘッド。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の液滴吐出ヘッドに
    おいて、前記振動板と電極との間に前記犠牲膜を除去す
    るときに除去されない膜を有することを特徴とする液滴
    吐出ヘッド。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の液滴吐出ヘッドに
    おいて、前記犠牲膜を除去するときに除去されない膜が
    窒化膜又はシリコン酸化膜であることを特徴とする液滴
    吐出ヘッド。
  17. 【請求項17】 請求項14ないし16のいずれかに記
    載の液滴吐出ヘッドにおいて、隣り合う電極の少なくと
    も一方は表面が研磨されていることを特徴とする液滴吐
    出ヘッド。
  18. 【請求項18】 インク滴を吐出するインクジェットヘ
    ッドを搭載したインクジェット記録装置において、前記
    インクジェットヘッドが請求項14ないし17のいずれ
    かに記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とするイン
    クジェット記録装置。
  19. 【請求項19】 可動部分に設けた電気的に互いに絶縁
    分離された導電性を有する構造体からなる少なくとも2
    つの電極とを有し、前記電極間に静電力を発生させるこ
    とによって前記可動部分を変形させるマイクロデバイス
    であって、前記電極間は犠牲膜を用いて形成されたこと
    を特徴とするマイクロデバイス。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008114330A1 (ja) * 2007-02-19 2008-09-25 Fujitsu Limited Memsデバイスおよび光スイッチ
JP2009525881A (ja) * 2005-12-20 2009-07-16 ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング 半導体基板上にダイヤフラムを作製するための方法およびこのようなダイヤフラムを備えたマイクロマシニング型の構成エレメント

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