JP2003236797A - 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイス - Google Patents

液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイス

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JP2003236797A
JP2003236797A JP2002037051A JP2002037051A JP2003236797A JP 2003236797 A JP2003236797 A JP 2003236797A JP 2002037051 A JP2002037051 A JP 2002037051A JP 2002037051 A JP2002037051 A JP 2002037051A JP 2003236797 A JP2003236797 A JP 2003236797A
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Japan
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electrode
microactuator
electrodes
diaphragm
ink
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English (en)
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Kaihei Itsushiki
海平 一色
Junichi Azumi
純一 安住
Mitsugi Irinoda
貢 入野田
Shinji Tanaka
田中  慎二
Yasutarou Kobata
八州太郎 木幡
Kunihiro Yamanaka
邦裕 山中
Kenichiro Hashimoto
憲一郎 橋本
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで高い動作効率効率が得られない。 【解決手段】 振動板10には絶縁膜11を形成し、絶
縁膜11の表面に電気的に互いに絶縁分離された導電性
を有する構造体からなる複数の電極14を設け、電極1
4、14間に電位差を生じる第1の電位と第2の電位を
与えて静電力を発生させることによって振動板10を変
形させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液滴吐出ヘッド、インク
カートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアク
チュエータ、マイクロポンプ、光学デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の
画像記録装置或いは画像形成装置として用いるインクジ
ェット記録装置において使用する液滴吐出ヘッドである
インクジェットヘッドは、インク滴を吐出する単一又は
複数のノズル孔と、このノズル孔が連通する吐出室(イ
ンク室、液室、加圧液室、圧力室、インク流路等とも称
される。)と、吐出室内のインクを加圧する圧力を発生
する圧力発生手段とを備えて、圧力発生手段で発生した
圧力で吐出室内インクを加圧することによってノズル孔
からインク滴を吐出させる。
【0003】なお、液滴吐出ヘッドとしては、例えば液
体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DN
Aの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどもあ
るが、以下ではインクジェットヘッドを中心に説明す
る。また、液滴吐出ヘッドのアクチュエータ部分を構成
するマイクロアクチュエータは、例えばマイクロポン
プ、マイクロ光変調デバイスなどの光学デバイス、マイ
クロスイッチ(マイクロリレー)、マルチ光学レンズの
アクチュエータ(光スイッチ)、マイクロ流量計、圧力
センサなどにも適用することができる。
【0004】ところで、液滴吐出ヘッドとしては、圧力
発生手段として圧電素子などの電気機械変換素子を用い
て吐出室の壁面を形成している振動板を変形変位させる
ことでインク滴を吐出させるピエゾ型のもの、吐出内に
配設した発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いてイン
クの膜沸騰でバブルを発生させてインク滴を吐出させる
バブル型(サーマル型)のもの、吐出室の壁面を形成す
る振動板を静電力で変形させることでインク滴を吐出さ
せる静電型のものなどがある。
【0005】近年、環境問題から鉛フリーであるバブル
型、静電型が注目を集め、鉛フリーに加え、低消費電力
の観点からも環境に影響が少ない、静電型のものが複数
提案されている。
【0006】この静電型ヘッドの中には、振動板をイン
ク室側に押し込みインク室内の内容積を小さくすること
でインク滴を吐出させる押し打ち法で駆動するものと、
振動板をインク室の外側方向の力で変形させインク室内
の内容積を広げた状態から元の内容積になるように振動
板の変位を元に戻すことでインク滴を吐出させる引き打
ち法で駆動するものとがある。
【0007】押し打ち法タイプの静電型ヘッドとして
は、例えば特開平2−266943号公報に記載されて
いるように、一対の電極対の間にインクが充填されてお
り、片方あるいは両方の電極が振動板として働く形態
で、電極間に電圧を印加することによって電極間に静電
引力が働き、電極(振動板)が変形しそれによってイン
クが押し出され吐出するものがある。
【0008】また、特開2000−15805号公報に
記載されているように、シリコン基板からなる振動板表
面に突起部を設け、この突起部に電極を形成し、電極に
電圧を印加することによって突起部間に作用するという
静電力によって振動板を変形させ、インクを吐出するも
のもある。
【0009】引き打ち法としては、例えば特開平6−7
1882号公報に記載されているように、一対の電極対
がエアギャップを介して設けられており、片方の電極が
振動板として働き、振動板の対向する電極と反対側にイ
ンクが充填されるインク室が形成され、電極間(振動板
−電極間)に電圧を印加することによって電極間に静電
引力が働き、電極(振動板)が変形し、電圧を除去する
と振動板が弾性力によってもとの状態に戻り、その力を
用いてインクを吐出するものがある。
【0010】また、特開2001−47624号公報に
記載されているように、櫛歯状に形成され互いに入れ子
になった電極対の片方に振動板を備え、電極対に電圧を
印加することによって櫛歯間に静電力引力を発生させ、
電極の変位により振動板を変形させ、電圧を切った時に
振動板の弾性力でインクを吐出するものもある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平2−266943号公報記載の液滴吐出ヘッドにあ
っては、電極間にインクを充填しているので必然的に電
極間距離が大きくなる。電極間に働く静電力は電極間距
離の2乗に反比例するので電極間距離が大きくなると必
要な電圧が非常に大きくなってしまうという問題があ
る。この場合、インクの誘電率によってある程度電圧を
下げることはできるが、電極間距離の影響が大きいので
あまり効果がない。また、インクの誘電率を大きくする
必要がある、あるいはインクに電界がかかることよりイ
ンクの自由度は小さくなる。そのため、インクの色、p
H、粘度などのインク物性に制限が加わり、高画質化が
困難であるという課題がある。
【0012】また、前記特開平6−71882号公報記
載の液滴吐出ヘッドにあっては、電極間にインクを充填
していないのでインクに対する制限が少なく高画質化に
は有利である。しかしながら、低電圧化のためには電極
間のエアギャップを非常に小さくしなければならず、そ
のような微小なギャップを精度良く、バラツキ少なく形
成するのは非常に困難であり、歩留まりが上がらないと
いった問題がある。
【0013】また振動板の弾性力によってインクを吐出
する、いわゆる引き打ちの方法であるので、振動板はイ
ンクを吐出するだけの剛性が必要であり、そのような剛
性の振動板を静電力で引き付けるため電圧が高くなって
しまうといった課題がある。
【0014】さらに、前記特開2001−47624号
公報記載の液滴吐出ヘッドにあっては、櫛歯状電極を用
いているので変位量は大きくすることができるが、発生
力は非常に小さく、インクを吐出するだけの発生力を得
ようとした場合、非常に電圧が高くなってしまう。しか
も、構造が複雑であるので作製が困難であり、コスト高
となってしまうという課題がある。
【0015】また、前記特開2000−15805号公
報記載の液滴吐出ヘッドにあっては、導電性を有するシ
リコン基板で形成した振動板に突起部を設けて、この突
起部に導電性部材の電極を形成しているので、シリコン
振動板を介して各電極間が同電位になって静電力が発生
せず、振動板を変形できないという課題がある。
【0016】しかも、振動板に突起部を形成して、この
突起部に電極を付けなければならず、そのような立体微
細構造の表面に電極を付けるのは困難であり、電極がう
まく形成されない部分ができたり、バラツキが生じたり
で、安定して製造できなく歩留まりが悪いという課題が
ある。
【0017】さらに、低電圧化のためには突起間の間隔
は狭くしなければならないが、そのような狭い間隔の中
に電極を形成するのは困難であり、また狭い突起間に電
極を形成するとショートしてしまうという不良が生じた
りする。また、突起部に電極を形成することは、立体構
造でのフォトリソ工程はレジストコート、露光などが困
難であることから、一般的な方法では不可能であり、そ
のため特別な装置を使用したり、製造工程が長くなった
りしてコスト高となってしまうという課題がある。
【0018】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、低コストで、滴吐出効率が高く、高画質印字が
可能な液滴吐出ヘッド、このヘッドを一体化したインク
カートリッジ、高画質記録が可能なインクジェット記録
装置、低コストで、駆動効率が高いマイクロアクチュエ
ータ、マイクロポンプ、光学デバイスを提供することを
目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係るマイクロアクチュエータは、可動部分
を変形させるマイクロアクチュエータであって、可動部
分には電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する構
造体からなる複数の電極を設け、この複数の電極のうち
の互いに隣り合う電極に異なる第1の電位と第2の電位
を印加して、互いに隣り合う電極間で静電力を作用させ
て可動部分を変形させるものである。
【0020】ここで、電極は可動部分に対して長手方向
に平行に配置されていることが好ましい。また、第1の
電位が与えられる電極及び第2の電位が与えられる電極
は、可動部分の領域内では一定の間隔を隔てて略等間隔
に平行に配置され、可動部分の領域外でそれぞれが共通
に接続されていることが好ましい。さらに、第1の電位
が与えられる電極及び第2の電位が与えられる電極は、
可動部分の領域外ではその間隔が少なくとも可動部分の
領域内よりも広くなっていることが好ましい。
【0021】また、複数の可動部分を有し、第1の電位
が与えられる電極は各ビット単位で共通の電極引出し部
に接続され、第2の電位が与えられる電極も各ビット単
位で共通の電極引出し部に接続され、それぞれの電極引
出し部が各ビット毎に対になって設けられていることが
好ましい。
【0022】さらに、複数の可動部分を有し、第1の電
位が与えられる電極は各ビット単位で共通の電極引出し
部に接続され、第2の電位が与えられる電極はすべての
ビットで共通の電極引出し部に接続されていることが好
ましい。この場合、第1の電位が与えられる電極の各ビ
ットの電極引出し部と第2の電位が与えられる電極の全
ビットの電極引出し部は、それぞれ略同一形状の電極パ
ッドを有することが好ましい。
【0023】また、可動部分を形成する部材が導電性材
料で形成され、絶縁膜を介して電極が形成され、第1の
電位が与えられる電極又は第2の電位が与えられる電極
のいずれかは可動部分を形成する部材と電気的に接続さ
れていることが好ましい。
【0024】さらに、可動部分内に設けた電極と可動部
分外に設けた電極引出し部とが可動部分に接しない空中
架橋部を介して電気的に接続されていることが好まし
い。また、可動部分の領域内に設けた電極と可動部分の
領域外に設けた電極引出し部とが電極材料よりも高弾性
又は低ヤング率の材料を用いて電気的に接続されている
ことが好ましい。さらに、可動部分の領域外に形成され
た電極引出し部の表面に凹部が形成されていることが好
ましい。
【0025】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板を
変形させることによって液滴を吐出する液滴吐出ヘッド
において、振動板を可動部分とする本発明に係るマイク
ロアクチュエータを備えているものである。
【0026】本発明に係るインクカートリッジは、イン
ク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドとこの液滴
吐出ヘッドにインクを供給するインクタンクを一体化し
たものである。
【0027】本発明に係るインクジェット記録装置は、
インク滴を吐出するインクジェットヘッドが本発明に係
る液滴吐出ヘッド又は本発明に係るインクカートリッジ
であるものである。
【0028】本発明に係るマイクロポンプは、可動部分
の変形によって液体を輸送するマイクロポンプであっ
て、本発明に係るマイクロアクチュエータを備えている
ものである。
【0029】本発明に係る光学デバイスは、可動部分に
形成したミラーの変位によって光の反射方向を変化させ
る光学デバイスであって、本発明に係るマイクロアクチ
ュエータを備えているものである。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は、本発明の液滴吐出ヘ
ッドの第1実施形態に係るインクジェットヘッドの分解
斜視図で、一部断面図で示している。図2は同ヘッドの
振動板長手方向に沿う図4のA−A線断面に相当する断
面説明図、図3は同ヘッドの振動板短手方向に沿う図4
のA−A線断面に相当する断面説明図、図4は同ヘッド
の電極配置を示す平面説明図、図5は同ヘッドの電極配
置の他の例を示す平面説明図である。
【0031】このインクジェットヘッドは、インク液滴
を基板の面部に設けたノズル孔から吐出させるサイドシ
ュータタイプのものであり、下記に詳述する構造を持つ
3枚の第1、第2、第3基板1、2、3を重ねて接合し
た積層構造となっており、インク滴を吐出する複数のノ
ズル孔4、各ノズル孔4が連通する吐出室6、各吐出室
6に流体抵抗部7を介してインクを供給する共通液室
(共通インク室)8などを形成している。
【0032】中間の第1基板1は、シリコン基板からな
り、底壁を振動板10とする吐出室6を形成するための
凹部と、各々の吐出室6にインクを供給するための共通
液室8を形成するための凹部を有する。
【0033】振動板10の下面には、熱酸化膜、シリコ
ン窒化膜などの絶縁膜11を形成し、この絶縁膜11表
面に電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する構造
体からなる複数の電極14を所定の間隔を置いて設けて
いる。
【0034】この場合、振動板10と各電極14とは絶
縁膜11を介して電気的に分離される。また、各電極1
4のうちの相隣り合う2つの電極(これを相対的に電極
14a、14bという。)も空隙を介して相互に電気的
に分離される。なお、電極14は、例えばポリシリコ
ン、或いは単結晶シリコンから形成している。この振動
板10と複数の電極14によって可動部分である振動板
10を変形させる本発明に係るマイクロアクチュエータ
を構成している。なお、1つの振動板10(変形可能領
域:可動部分)と複数の電極14で構成される部分を
「ビット」と称する。
【0035】ここで、1つの振動板10について設けた
複数の電極14は、図4に示すように、振動板の領域
(振動板変形可能領域)内では一定の間隔を隔てて略等
間隔に振動板長手方向に平行に配置している。
【0036】そして、1つのビットにおいて、第1の電
位が与えられる複数の電極14(ここでは「電極14
a」とする。)と、第2の電位が与えられる複数の電極
14(ここでは「電極14b」とする。)とは、それぞ
れ振動板領域外の領域で共通の電極引出し部15A、1
5Bと接続し、電極引出し部15Aは引出し部16Aを
通じて、電極引出し部15Bは各ビット間に設けた引出
し部16Bを通じて引き出し、各引出し部16A、16
Bに設けた電極パッド部17に、図示しないFPCケー
ブルなどを介して駆動回路(ここでは発信回路で図示)
18が接続され、駆動回路18から互いに電位差を生じ
る駆動電圧(異なる第1、第2の電位の電圧)が印加さ
れるようになっている。
【0037】なお、図4の例では、第2の電位が与えら
れる複数の電極14bについては、各ビット毎に独立し
た電極引出し部15Bおよび引出し部16Bを設けてい
るが、図5の例に示すように、各ビット毎の電極引出し
部15B、15Bを相互に接続した上で1つの引出し部
16Bを通じて引き出すようにすることもできる。
【0038】また、電極14(電極14a、14b)
は、図2に示すように、振動板長手方向固定端近傍では
高さを低くした(薄層化した)薄層部14A、14Bを
形成している。
【0039】この第1基板1の下面に接合される第2基
板2は、電極14を外部からの衝撃やホコリなどから保
護したり、第1基板1の強度を補強したりするための保
護基板である。この第2基板2には、ガラス、金属、シ
リコン、樹脂などからなる基板などを使用し、この基板
2には各振動板10に対応する位置に例えば1mmの深
さの溝部(凹部)19を形成している。ただし、必ずし
も振動板10ごとに溝部19を形成する必要はなく、振
動板配列を囲む凹部、あるいはチップの縁のみ接合され
る凹部を形成する構成でも良い。なお、第2基板2を導
電性材料で形成する場合には電極引出し部との間を絶縁
するための絶縁膜を介在して第1基板1と接合する。
【0040】また、第1基板1の上面に接合される第3
基板3には、例えば厚さ50μmのニッケル基板を用
い、第3基板3の面部に、吐出室6と連通するようにそ
れぞれノズル孔4、共通液室8と吐出室6を連通させる
流体抵抗部7となる溝を設け、また共通液室8と連通す
るようにインク供給口9を設けている。
【0041】このように構成したインクジェットヘッド
の動作を説明する。例えば図4の構成において、電極1
4aに駆動回路18により0〜40Vのパルス電位を印
加すると、パスル電位が印加された(第1の電位が与え
られた)電極14aの表面がプラスに帯電し、パルス電
位を印加していない(第2の電位を与えられた)隣り合
う電極14bとの間で、図6に示すように、静電力が発
生して、静電気の吸引作用が働き、電極14の自由端
(振動板10側が固定端)が引き合って電極14が変位
し、これらの電極14の自由端側が変位することで、電
極14の固定端側である振動板10が上方へたわむこと
になる。その結果、吐出室6内の圧力が急激に上昇し、
図3に示すように、ノズル孔4よりインク液滴22を記
録紙23に向けて吐出する。
【0042】そして、電極14aの電位が0Vに戻る
と、電極14bとの間に電位差がなくなり、振動板10
は元の状態に復元する。振動板10が復元することによ
り、インクが共通液室8より流体抵抗部7を通じて吐出
室6内に補給される。すなわち、この実施形態では押し
打ち法でインク滴を吐出させる。
【0043】ここで、電極間に働く力Fは、次の(1)
式に示すように電極間距離dの2乗に反比例して大きく
なる。低電圧で駆動するためには、電極14aと電極1
4bとの間隔、つまり電極14間の溝を狭く形成するこ
とが重要となる。
【0044】
【数1】
【0045】なお、(1)式において、F:電極間に働
く力、ε:誘電率、S:電極の対向する面の面積、d:
電極間距離、 V:印加電圧である。
【0046】このように、このインクジェットヘッドに
おいては、振動板10の一方の面に絶縁膜11を介して
それぞれ電気的に分離独立した電極14を設け、電極1
4の対向する電極14aと電極14b間に電位差を生じ
る電圧を印加することによって、隣り合う電極14aと
電極14bとの間で静電引力が発生し、電極14のわず
かな変位により振動板10の大きな変位を得ることがで
き、滴吐出効率が向上し、高画質記録が可能になる。
【0047】そして、このヘッドにおいては、振動板1
0に設けた構造体自体が電極14として働くので、従前
のようにシリコン構造体に電極を成膜などの方法により
形成するという困難な工程の必要がなく、コストダウン
を図ることが可能であり、また、構造体間の非常に狭い
間隔に電極を形成することによって生じるショートなど
の不良も低減できる。さらに、構造体に電極を形成した
後に電極を櫛の歯状に分離するという工程も必要がな
く、低コスト化、大量生産が容易である。
【0048】さらに、振動板10と電極14は絶縁膜1
1などで電気的に分離しているので、従来のように電極
に電圧を印加しても振動板を介してすべての電極が同電
位になって作動不良になることもなく、電極14に印加
した電圧が振動板10側にリークすることもなく、効率
良く電極14に電圧を印加することができる。この場
合、振動板10と電極14を電気的に分離する一例とし
て振動板10と電極14の間に絶縁膜11を形成するこ
とによって、容易に絶縁することができ信頼性の高い液
滴吐出ヘッドを得ることができる。なお、振動板自体を
絶縁性部材で形成すれば、絶縁膜を設けないでも良い。
【0049】さらに、このヘッドにおいては、上述した
図4或いは図5で説明したように、複数の電極14を振
動板長手方向に平行に配置している、つまり、電極14
は振動板長手方向に沿った形状をなし、振動板短手方向
に所定に間隔を置いて配置している。これにより、電極
による振動板変位の阻害要因が低減し、振動板の変位効
率が向上し、低電圧駆動化を図れる。
【0050】すなわち、各電極14に所定の電位を与え
て振動板10を変形させると、その中心部の断面では前
述した図6に示すようにように振動板10の変形が発生
する。しかしながら、電極14が形成された部分は振動
板10を厚くしたのと同じ効果があり、電極14が形成
された部分は曲がりにくくなるので、可能な限り少ない
電極数で駆動させることが好ましい。また、振動板の短
手方向に電極を配置する場合と長手方向に配置する場合
では、電極間の隙間を広くすると高い印加電圧が必要に
なるため、電極間隔を狭くできることが好ましい。これ
らのことから、電極を振動板長手方向に延設し、短手方
向に沿って平行に配置することで、少ない電極数で電極
間隔を狭小にすることができ、振動板が変形できる領域
を広くとれるので、高い変位効率と低電圧駆動化を図る
ことが可能になる。
【0051】さらに、このヘッドにおいては、図4又は
図5で説明したように各ビットの電極14(14a、1
4b)を引き出して振動板領域外に設けた共通の電極引
出し部15A、15Bに接続している。これによって
も、電極又は電極引出し部による振動板変位の阻害要因
が低減し、振動板の変位効率が向上し、低電圧駆動化を
図れる。
【0052】すなわち、図7に示すように、特に、電極
引出し部15A、15Bを振動板領域内に設けた場合
(振動板領域内に電極を束ねる部分が存在する場合)、
電極の振動板10の長手方向中央部付近では同図のC−
C線に沿う断面説明図である図8(a)に示すように振
動板10は変形するが、振動板10の長手方向固定端部
付近においては、同じくD−D線に沿う断面説明図であ
る同図(b)に示すように、電極引出し部が振動板10
の変形を妨げる方向に配置されて電極引出し部が突っ張
り棒のようになってしまうので、電極引出し部によて振
動板変形が抑制され、電極に囲まれた振動板領域の変形
可能領域面積が減少して、充分な駆動ができなくなる。
そこで、複数の電極を接続する電極引出し部を振動板領
域外に配置することで、電極及び電極引出し部による振
動板変形抑制効果を減少し、変形可能領域面積の減少を
防止することができる。
【0053】さらにまた、このヘッドでは、図3で説明
したように各ビットの電極14(14a、14b)を振
動板領域外に設けた共通の電極引出し部15A、15B
に接続するため、振動板10の長手方向固定端部近傍の
部分では薄層部14A、14Bを形成している。これに
よっても、電極による振動板変位の阻害要因が低減し、
振動板の変位効率が向上し、低電圧駆動化を図れる。
【0054】すなわち、前述したように、振動板の電極
を設けた部分は実質的に振動板の厚みが厚くなったのと
同等であり、しかも、振動板の長手方向固定端部近傍で
はもとも振動板が変形しにくく、この固定端部近傍に電
極を設けると一層変形しにくくなる。そこで、振動板の
長手方向固定端部近傍では電極を薄層化することで、振
動板の長手方向固定端部近傍の実質的な厚みの増加を抑
制することができ、電極による振動板の変形阻害を低減
することができる。
【0055】次に、第2実施形態に係るインクジェット
ヘッドについて図9を参照して説明する。なお、同図は
同ヘッドの振動板短手方向に沿う断面説明図である。こ
の実施形態においては、電極14と同一材料の層又は構
造体であるスペーサ25を振動板10以外の領域で電極
14を形成する面と略同一平面に形成している。このス
ペーサ25は電極14と同時に形成することができ、振
動板領域以外の電極材料を除去しないことで形成するこ
とができる。
【0056】このようなスペーサ25を設けることによ
り第1基板1を第2基板2に接合する前の工程におい
て、微小な構造体である電極14を保護することがで
き、製造工程においてウェハ搬送や、プロセス中におけ
る電極14の破損による不良を低減することができる。
【0057】次に、第3実施形態に係るインクジェット
ヘッドについて図10を参照して説明する。なお、同図
は同ヘッドの振動板短手方向に沿う断面説明図である。
この実施形態においては、電極14と同一材料の層又は
構造体であるスペーサ25を振動板10以外の領域で電
極14を形成する面と略同一平面に形成するとともに、
このスペーサ25の厚さを電極14の厚さよりも厚く形
成している。この場合、第2基板2は平板板基板をその
まま用いることができ凹部を形成する必要がなくなる。
【0058】このような構造とすることによって第2実
施形態よりもさらに電極14はスペーサ25のために接
触して破損することが少なくなり、電極破損による不良
を低減することができる。また、第1基板1の下に保護
基板(第2基板2)を接合する場合、保護基板に凹部を
形成しなくても良いという利点もある。
【0059】次に、上述した第2実施形態に係るインク
ジェットヘッドの製造工程について図11及び図12を
参照して説明する。ここでは、電極14をポリシリコン
(多結晶シリコン)で形成している。すなわち、図11
(a)に示すように、第1基板1となる(110)を面
方位とする厚さ400μmのシリコン基板をベース基板
31とし、酸化膜32を介して(100)面方位の厚さ
1μmのシリコン基板である活性層33を接合したSO
I(Silicon on Insulator)ウェハ30を用意する。な
お、第1基板1となる基板としては、(110)面方位
のシリコン基板に代えて、(100)面方位のシリコン
基板を用いても良い。
【0060】そして、同図(b)に示すように、SOI
ウエハ30に900℃/5分のウェット酸化により絶縁
膜11となる熱酸化膜34を50nm厚みで形成する。
ここで、酸化膜の成膜方法としては、プラズマCVD、
スパッタ、HTO、TEOSなどがあるが、絶縁耐圧、
欠陥、残留電荷、耐久性などの点で熱酸化膜が好まし
い。
【0061】次いで、同図(c)に示すように、表面に
ポリシリコン層35を5μm厚みで成膜し、上面のポリ
シリコン層35をエッチング除去して、活性層33側に
熱酸化膜34を介してポリシリコン層35を形成する。
【0062】その後、同図(d)に示すように、フォト
リソによりポリシリコン層35上にレジストパターンを
形成し、ドライエッチングによりポリシリコン層35を
間隔1μm、0.5μmの線幅でエッチングして、電極
14を形成するとともに、スペーサ25を形成する。こ
のとき、酸化膜34がエッチングストップ層をなす。電
極14の配置パターン形状は例えば前述した図4に示す
ように櫛の歯形状となっている。
【0063】次に、図12(a)に示すように、全体に
LP−CVDで水酸化カリウムエッチングのマスクとな
るシリコン窒化膜36を形成する。そして、同図(b)
に示すように、シリコン窒化膜36上に吐出室6や共通
液室8などの形状のレジストパターンを得て、レジスト
の開口部のシリコン窒化膜36と熱酸化膜34をドライ
エッチによりエッチング除去し、レジストを除去する。
【0064】そして、同図(c)に示すように、例えば
80℃の25wt%の水酸化カリウム水溶液でシリコン
窒化膜36および酸化膜34の開口部からベース基板3
1をエッチングする。エッチングが酸化膜32に達する
と酸化膜32はほとんどエッチングされないのでエッチ
ングは停止する。この場合、ベース基板31には(11
0)面のシリコンウェハを用いているので、水酸化カリ
ウムによる異方性エッチングによって(111)面の垂
直壁が形成される。(110)面のウェハを用いること
によって垂直壁が得られるので吐出室6を高密度に並べ
ることができる。
【0065】なお、ここでは水酸化カリウム水溶液を用
いたが、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキ
シド溶液)、EDP(エチレンジアミンピロカテコー
ル)、水酸化リチウムなどのアルカリ液でも良い。
【0066】その後、同図(d)に示すように、シリコ
ン窒化膜36は熱リン酸、フッ酸などによって、熱酸化
膜34および酸化膜32の露出している部分をフッ酸な
どで除去して、吐出室6及び吐出室6の底壁をなす1μ
mの厚さのシリコンの振動板10を形成する。
【0067】このように、電極14をポリシリコンで形
成することにより、比較的厚い電極14を容易に形成す
ることができ、また、ドライエッチングにより電極14
間の細い溝を形成することができる。つまり、電極14
間の距離(ギャップ)を小さくできるので、前述したよ
うに大きな力を発生することができ、低電圧で駆動する
ことが可能となる。
【0068】また、ここでは、振動板10と電極14の
間の絶縁膜11に熱酸化膜34を用いているので、絶縁
性が良く高耐圧なので、信頼性の高い液滴吐出ヘッドが
得られる。ここで、絶縁性を確保するためには、熱酸化
膜34の厚みとしては50nm以上の膜厚が必要であ
る。また、量産工程で現実的に形成できる厚さは100
0nm以下である。したがって、熱酸化膜34の厚さは
50nm〜1000nmの範囲内であることが好まし
い。
【0069】さらに、多数の吐出室6を配列して高速印
字可能な液滴吐出ヘッドを実現する場合、電極14から
振動板10へのカップリングが問題となることがある。
そのような場合には熱酸化膜は300nm以上の膜厚と
することが好ましい。他方、シリコンの振動板10が薄
い場合(2μm以下の場合)、熱酸化膜の圧縮応力によ
り、振動板10が座屈するという問題が生じることがあ
る。その場合、熱酸化膜の厚さは薄いほうが良く、80
0nm以下とすることが好ましい。したがって、熱酸化
膜34の膜厚は、より好ましくは、300nm〜800
nmの範囲内である。
【0070】また、熱酸化膜以外にも絶縁性にすぐれた
シリコン窒化膜を用いることもできる。シリコン窒化膜
も熱酸化膜同様、絶縁性が良く高耐圧であり、信頼性の
高い液滴吐出ヘッドが得られる。シリコン窒化膜の膜厚
も熱酸化膜と同様の理由により50nm〜1000nm
の範囲内であることが好ましい。。
【0071】また、電極14から振動板10へのカップ
リングが問題となる場合には、シリコン窒化膜の膜厚は
300nm以上であることが好ましい。シリコン窒化膜
は、熱酸化膜と反対に引っ張り応力の膜であるので、シ
リコン窒化膜の応力により振動板が座屈することはない
が、引っ張り応力によって振動板10を変形させること
ができないことがある。そのような場合には、シリコン
窒化膜にボロン、リン、水素などの不純物をドープして
応力緩和することができる。
【0072】次に、上述した第2実施形態に係るインク
ジェットヘッドの製造工程の他の例について図13乃至
図15を参照して説明する。ここでは、電極14を単結
晶シリコンで形成している。また、振動板10は、高濃
度p型不純物層、例えば高濃度ボロン拡散層であって、
高濃度p型不純物層は所望の振動板厚と同じだけの厚
さ、ここでは1μmを有している。
【0073】すなわち、図13(a)に示すように第1
基板1となる(110)を面方位とする厚さ400μm
のシリコン基板41にイオン注入法によりボロンを拡散
し、高濃度ボロン拡散層42を形成する。ここでは、深
さ1μmの高濃度ボロン拡散層42を形成した。高濃度
ボロン拡散層42の表面にはシリコンとボロンの化合物
層が形成されるが、この層を除去するためには、化合物
層を熱酸化し、フッ酸系エッチング液によりエッチング
することによって除去できる。シリコンの拡散した面は
面荒れが生じ、後の直接接合で強固な接合が得られない
ことがある。そのために拡散面をポリッシュして平滑な
面を形成しておく。なお、第1基板1となる基板として
は、(110)面方位のシリコン基板に代えて、(10
0)面方位のシリコン基板を用いても良い。
【0074】次いで、同図(b)に示すように化合物層
を除去しポリッシュした後に900℃/5分のウェット
酸化により絶縁膜11となる熱酸化膜43を50nm厚
みで形成する。ここで、酸化膜の成膜方法としては、プ
ラズマCVD、スパッタ、HTO、TEOSなどがある
が、絶縁耐圧、欠陥、残留電荷、耐久性などの点で熱酸
化膜が好ましい。
【0075】そして、同図(c)に示すように、電極1
4を形成するための別のシリコン基板44を用意し、こ
のシリコン基板44をシリコン基板41の高濃度ボロン
拡散層42側に直接接合する。ここでは、シリコン基板
44として(100)面方位のシリコンウェハを用い
た。表面性の良いシリコンウェハを貼り合わせ高温加熱
することによって2枚のウェハは強固に接合される。こ
こでは1000℃/2時間の加熱処理をした。
【0076】その後、同図(d)に示すように、シリコ
ン基板44を所望の電極14の長さ(高さ)となる厚さ
20μmまで研磨する。
【0077】次いで、図14(a)に示すように、フォ
トリソにより研磨したシリコン基板44上にレジストパ
ターンを形成し、ドライエッチングによりシリコン基板
44を間隔0.5μm、幅0.5μmの線幅でエッチン
グし電極14を形成するとともに、スペーサ25を形成
する。電極14の形状は、例えば図4のように櫛の歯形
状となっている。エッチングは酸化膜43がストップ層
となる。非常に深い溝を細くエッチングする必要がある
のでドライエッチングはICPが有効である。
【0078】そして、同図(b)に示すようにLP−C
VDで水酸化カリウムエッチングのマスクとなるシリコ
ン窒化膜46を形成する。その後、同図(c)に示すよ
うに、シリコン窒化膜46上に吐出室6や共通液室8な
どの形状のレジストパターンを得て、レジストの開口部
のシリコン窒化膜46と酸化膜43をドライエッチによ
りエッチング除去し、レジストを除去する。
【0079】その後、図15(a)に示すように、例え
ば80℃の25wt%の水酸化カリウム水溶液でシリコ
ン窒化膜46および酸化膜43の開口部からシリコン基
板41を高濃度ボロン拡散層42に達する直前(残り1
0μm程度)まで、エッチングを行う。
【0080】次に、エッチング液をIPAを過飽和状態
にした80℃の30wt%の水酸化カリウム水溶液に変
え、エッチングを継続して、高濃度ボロン拡散層42に
達するとエッチングは自発的に停止する。25wt%の
水酸化カリウム水溶液ではエッチレートが大きく、また
安定したエッチングが得られる。またIPA添加30w
t%の水酸化カリウム水溶液ではシリコン基板と高濃度
ボロン層のエッチング選択比が大きく、精度よくエッチ
ングストップができる。IPAは沸点が低く熱を加える
と蒸発が激しいので、蒸気を冷却して液化しエッチング
槽に戻してやる環流装置を付けるのが好ましい。高濃度
ボロン拡散層のエッチング選択比を大きくできるエッチ
ング液としてはIPA添加の水酸化カリウム以外では、
3wt%〜10wt%程度の低濃度の水酸化カリウム水溶液
やEDPなどでも良い。
【0081】その後、同図(b)に示すように、シリコ
ン窒化膜46は熱リン酸、フッ酸などによって、熱酸化
膜43をフッ酸などで除去して、吐出室6及び吐出室6
の底壁をなす1μmの厚さのシリコンの振動板10を形
成する。
【0082】ここでは、電極14を単結晶シリコンで形
成しているので、ウェハ貼り合わせ後の研磨により電極
14の厚さ(長さ)を決めることができ、成膜では不可
能な厚さの厚い電極を形成することができる。電極が厚
い(高さが高い)と小さな力で振動板を変形させること
ができ、低電圧で駆動することが可能となる。また、貼
り合わせたシリコンウェハ44の電極として用いていな
い領域を利用して、液滴吐出ヘッドの駆動回路を集積化
することも可能である。シリコンウェハ44は半導体素
子形成に用いるものそのものなので駆動回路を形成する
のに好適である。
【0083】また、高濃度ボロン拡散層の形成にはイオ
ン注入のほかに固体拡散、塗布拡散やボロンをドープし
たエピタキシャル層によっても形成することもできる。
イオン注入では浅い拡散層を精度良く形成することがで
きるので、薄い振動板を形成するのに好適である。ま
た、エピタキシャル層では、シリコン基板の上にボロン
をドープした層を成長させるので、固体拡散、イオン注
入、塗布拡散に比べ、高濃度ボロン領域の境界が明確に
なり、急峻なエッチングストップを実現できより精度の
良い振動板を形成することができる。
【0084】さらに、高濃度ボロンストップ以外には、
P型シリコン基板にN型層あるいはN型シリコン基板の
P型層を形成して電気化学エッチングストップを行う方
法などを用いることもできる。
【0085】また、上述したように電極14にポリシリ
コンや単結晶シリコンなどの半導体を用いた場合には、
高周波数駆動、多チャンネル駆動を行うと電極の電気抵
抗値が問題となることがある。この場合には、n型又は
p型の伝導型を有する不純物原子、例えばn型であれば
リン、砒素、p型であればボロンやアンチモン等を導入
することが好ましい。
【0086】次に、第4実施形態に係るインクジェット
ヘッドについて図16を参照して説明する。なお、同図
は同ヘッドの振動板短手方向に沿う断面説明図である。
この実施形態では、電極14の表面に絶縁膜26を形成
している。すなわち、前述したように、駆動電圧を低く
するためには、電極14の間隔を小さくしなければなら
ないが、そのような微小な間隔で電極14を形成した場
合、小さなダストであってもが電極14上に載るとショ
ートの原因となり、動作不良を起こすことがあり、ま
た、非常に微小な間隔なので、空気の湿度によって電極
14表面に微小な水滴が発生した場合にも、ショートの
原因となる。
【0087】そこで、電極14の表面に絶縁膜26を設
けることによって、電極14間のショートによる動作不
良を低減することができる。また、電圧を印加した時の
電極間14の放電により動作不良を起こすことがある
が、これに対して絶縁膜26を設けることによって、耐
圧も向上することができ、信頼性の高い液滴吐出ヘッド
が得られる。
【0088】次に、第5実施形態に係るインクジェット
ヘッドについて図17を参照して説明する。なお、同図
は同ヘッドの振動板短手方向に沿う電極部分の要部断面
説明図である。ここでは、第4実施形態の絶縁膜26と
して熱酸化膜27を用いている。すなわち、電極14に
単結晶シリコンやポリシリコンを用いた場合、熱酸化膜
は電極表面に均一に精度良く形成することができる。ま
た、熱酸化膜は機械的、電気的な信頼性が高く、信頼性
の高い液滴吐出ヘッドが実現できる。
【0089】この場合、熱酸化膜27は約44%のシリ
コンを消費しながら成長する。図17を参照して説明す
ると、酸化前の電極14は点線Aで示す状態にあり、ギ
ャップG1の間隔を隔てて設けられている。これに厚さ
tの熱酸化膜27を形成すると、約0.44tの厚さの
シリコンが消費され、電極14の間隔はG3、空間間隔
はG2となる。
【0090】熱酸化膜27を形成する前の電気的な電極
間間隔である実効ギャップGは、G=G1であり、厚さ
tの熱酸化膜27形成した場合の実効ギャップG’は、
熱酸化膜の誘電率をεとすると、次の(2)式で表され
る。
【0091】
【数2】
【0092】ここで、熱酸化膜の誘電率εは3.7〜
3.9であるので、G’<G、となり、熱酸化膜を形成
することによって、実効ギャップを小さくすることがで
きる。前述したように、電極14、14間に働く力は実
効ギャップが小さいほど大きくでき、電極14、14間
に働く静電力は実効ギャップの2乗に反比例する。した
がって、熱酸化膜を形成して実行ギャップを小さくする
ことによって力を大きくする、あるいは駆動電圧を低く
することができる。電極を加工して狭い間隔を形成する
のには限界があり、ドライエッチングで溝を形成した場
合には0.5μm程度が限界である。電極表面に絶縁膜
を形成することによって、この限界値よりもさらに小さ
い実効ギャップを形成し、駆動電圧を下げることができ
る。
【0093】具体的に、ここで用いた熱酸化膜の誘電率
は3.8であった。G1を0.5μm、絶縁膜厚さtを
0.4μmとすると、実行ギャップG’は0.26μm
となり、実効ギャップを約1/2に小さくできる。前述
した(1)式より、電極間に働く静電力に換算すると
3.7倍となり、同じ静電力を得ようとした場合、電圧
は約1/2に低電圧化することができる。
【0094】すなわち、具体的には、G1=0.5μm
(ε=3.8)のとき t=0.2μmの場合:G2=0.28μm、G’=
0.38μm t=0.4μmの場合:G2=0.06μm、G’=
0.26μm となる。
【0095】なお、シリコンを消費して成長する膜とし
ては、熱酸化膜以外に熱窒化膜もあり、この熱窒化膜も
機械的、電気的に信頼性が高く絶縁膜として用いること
ができる。
【0096】次に、第6実施形態に係るインクジェット
ヘッドについて図18を参照して説明する。なお、同図
は同ヘッドの振動板短手方向に沿う電極部分の要部断面
説明図である。ここでは、第4実施形態の電極14表面
に形成する絶縁膜26として堆積絶縁膜28を用いてい
る。上記実施形態の熱酸化膜27ではシリコンを消費し
て膜が形成されるが、本実施形態ではシリコンを消費せ
ずに膜を堆積させるものである。例えば、高温熱CV
D、低温熱CVDによるシリコン酸化膜、PE−CVD
によるシリコン酸化膜やシリコン窒化膜、LP−CVD
によるシリコン窒化膜、スパッタによるシリコン酸化
膜、酸化チタン、酸化モリブデン、酸化タングステンな
どの金属酸化膜、あるいは真空蒸着による金属膜を酸化
した膜などがあげられる。構造体表面にも均一に成膜で
きるという点でCVDによる成膜が好ましい。
【0097】ここでは、堆積絶縁膜28の例として高温
CVDによるシリコン酸化膜を成膜している。高温CV
Dによるシリコン酸化膜は被成膜表面に堆積して成膜さ
れるので、成膜する前の電極面と成膜後の電極面は変化
しない。したがって、厚さtだけ成膜した場合、成膜前
後の電極間隔G1は変化せず、空間間隔は膜厚分だけ狭
くなったG2となる。
【0098】ここで、堆積絶縁膜(酸化膜)28を形成
する前の電気的な電極間間隔である実効ギャップGは、
G=G1である。厚さtの酸化膜28形成した場合の実
効ギャップG’は、酸化膜の誘電率をε1とすると、次
の(3)式で表される。
【0099】
【数3】
【0100】高温CVDによるシリコン酸化膜の誘電率
ε1は4.0〜4.5であるので、G’<G、となり、
酸化膜(堆積絶縁膜)を形成することによって、実効ギ
ャップを小さくすることができる。しかも、第5実施形
態の熱酸化膜のように電極の材料を消費せずに成膜する
ことができるので、第5実施形態に示したものよりもさ
らに実効ギャップを小さくすることが可能であり、さら
なる低電圧化が可能となる。ここで用いた酸化膜の誘電
率は4.0であった。G1を0.5μm、tを0.2μ
mとすると、G’は0.2μmとなり実効ギャップを2
/5に小さくできる。前述した(1)式より電極間に働
く静電力に換算すると6倍となり、同じ静電力を得よう
とした場合、電圧は2/5に低電圧化できる。
【0101】すなわち、具体的には、G1=0.5μm
(ε=4.0)のとき t=0.2μmの場合:G2=0.1μm、G’=0.
2μm となる。
【0102】誘電率が高いほど実効ギャップを小さくす
る効果は大きく、その他、PE−CVDのシリコン酸化
膜などさらに大きな誘電率の膜を使うことによって実効
ギャップを小さくする効果が大きくなる。
【0103】次に、第7実施形態に係るインクジェット
ヘッドについて図19を参照して説明する。なお、同図
は同ヘッドの振動板短手方向に沿う電極部分の要部断面
説明図である。この実施形態では、電極14の表面に導
電性の膜29を形成した。導電性の膜29を電極表面に
成膜することによって、成膜前に電極間隔がG1であっ
たのに対し、厚さtの成膜後電極間隔は成膜厚さの2倍
だけ小さいG2となる。これにより、電極間隔を導電性
膜の成膜により小さくすることができ、静電力の向上、
駆動電圧の低電圧化が可能となる。また、上記第5、第
6実施形態で説明した電極表面に絶縁膜を形成する方法
と併用して、信頼性の向上、更なる低電圧化も実現する
ことができる。
【0104】成膜する導電性膜としてはポリシリコン、
あるいはスパッタや真空蒸着によるアルミニウム、ニッ
ケル、タングステン金などの金属膜を用いることができ
るが、構造体である電極表面に均一に成膜できるポリシ
リコンがもっとも好ましい。この場合、ポリシリコン中
にはn型又はp型の伝導型を有する不純物原子、例えば
n型であればリン、砒素、p型であればボロンやアンチ
モン等を導入することが好ましい。
【0105】次に、第8実施形態に係るインクジェット
ヘッドについて図20を参照して説明する。なお、同図
は同ヘッドの電極構成を説明する平面説明図である。こ
のヘッドでは、前記第1実施形態の第1の電位が与えら
れる電極14aを接続する共通の電極引出し部15A、
第2の電位が与えられる電極14bを接続する共通の電
極引出し部15B及びこの電極引出し部15Bの引出し
部16Bを、それぞれ電極14よりも幅広に形成してい
る。このように、電極引出し部の幅を広くすることによ
って電気抵抗値を下げることができる。また、第1基板
上のランド部が広がるため、第2基板との接合などが容
易にできるようになる。
【0106】そして、振動板10の領域内では電極14
の間隔は振動板10を駆動するために必要最小のギャッ
プ間隔とするが、振動板10の領域外である同図に破線
で囲んで示す部分50においては、電極14の間隔或い
は電極14と電極引出し部16Bの間隔の幅を広くして
いる。
【0107】すなわち、振動板10を駆動するために電
極14に第1の電位及び第2の電位を与えた場合、振動
板10の領域外における導体間に電位差があるとその空
間はコンデンサとして機能するため、RC遅延によって
高速応答が困難になる場合がある。そこで、駆動電極と
して機能する振動板10上の電極14は必要最小のギャ
ップとするが、それ以外の領域では幅ひろく間隔をとる
ことによって、高速応答が阻害されることを防止してい
る。
【0108】次に、第9実施形態に係るインクジェット
ヘッドについて図21を参照して説明する。なお、同図
は同ヘッドの電極構成を説明する平面説明図である。こ
のヘッドでは、上記第8実施形態と同様に、第1の電位
が与えられる電極14aを接続する共通の電極引出し部
15A、第2の電位が与えられる電極14bを接続する
共通の電極引出し部15B及びこの電極引出し部15B
の引出し部16Bを、それぞれ電極14よりも幅広に形
成し、更に電極引出し部15A、15B(引出し部16
Bなどを含む。)に複数の溝部(凹部)51を形成して
いる。
【0109】なお、この凹部51は、複数の電極に分離
の時のエッチング或いは新たにフォトリソ工程を経て形
成することができる。
【0110】このように凹部51を形成することによっ
て、後工程で第1基板1と第2基板2とを接合/接着す
る際の接着剤の逃げとすることができ、接着剤のはみ出
しを最小限にすることができる。すなわち、この溝(凹
部)が無いと、接着剤が振動板10の領域内のはみ出
し、振動板10の動きが阻害されることがある。また、
別の接合方式をとった際にも、ガスの逃げなどに使うこ
とができる。さらに、電極材料の内部応力を緩和するこ
ともできるため、アクチュエータ部の反り等を最小にで
きる。
【0111】次に、第10実施形態に係るインクジェッ
トヘッドの異なる例について図22乃至図24を参照し
て説明する。なお、図22は同ヘッドの電極構成を説明
する平面説明図、図23は同ヘッドの一例を示す図22
のE−E線に沿う断面説明図、図24は同ヘッドの他の
例を示す図22のE−E線に沿う断面説明図である。
【0112】このヘッドにおいては、図22に振動板1
0の長手方向固定端部近傍領域52、52に対応する電
極14の部分について、図23の例では第1実施形態と
同様に電極14と電極引出し部15A、15Bとの間に
薄膜部14A、14Bを形成し、また図24の例では電
極14と電極引出し部15A、15Bとの間に振動板1
0に接しないで空中で電気的に接続するための空中架橋
部15C、15Dを形成している。
【0113】前述したように、アクチュエータ部は、振
動板10の4辺は固定された状態にあるため、振動板1
0の周辺部に近づくほど振動板10が変形し難くなる。
この領域52に電極(又は電極引出し部)が形成されて
いると、振動板10の厚みが増加したのと同等の効果が
あるため、より変形し難い状態になる。
【0114】そこで、図23の例では、これを防止する
ために、振動板固定端部領域52に配置される電極14
の厚さ(トータルでの振動板の厚さ)を減らすことで、
振動板10の変形を妨げる作用を防止している。
【0115】また、図24の例では、振動板10に接す
る部分の電極材料を取り除き、空中架橋部14C、14
Dで電極14と電極引出し部15A、15Bとを橋渡し
の形で結んでいる。このようにすることで、図23の場
合に比べて、振動板10の実質的な膜厚が増加すること
なく、より確実に電極材料によって振動板10の変形が
阻害されることを防止できる。
【0116】次に、この第10実施形態に係るヘッドの
うちの図24に示した例のヘッドの製造工程について図
25乃至図27を参照して説明する。なお、各図は振動
板長手方向での断面説明図である。図25(a)に示す
ように第1基板1となる(110)を面方位とする厚さ
400μmのシリコン基板61にイオン注入法によりボ
ロンを拡散し、高濃度ボロン拡散層62を形成する。こ
こでは、深さ1μmの高濃度ボロン拡散層62を形成し
た。高濃度ボロン拡散層62の表面にはシリコンとボロ
ンの化合物層が形成されるが、この層を除去するために
は、化合物層を熱酸化し、フッ酸系エッチング液により
エッチングすることによって除去できる。シリコンの拡
散した面は面荒れが生じ、後の直接接合で強固な接合が
得られないことがある。そのために拡散面をポリッシュ
して平滑な面を形成しておく。なお、第1基板1となる
基板としては、(110)面方位のシリコン基板に代え
て、(100)面方位のシリコン基板を用いても良い。
【0117】次いで、同図(b)に示すように化合物層
を除去しポリッシュした後に900℃/5分のウェット
酸化により絶縁膜11となる熱酸化膜63を50nm厚
みで形成する。ここで、酸化膜の成膜方法としては、プ
ラズマCVD、スパッタ、HTO、TEOSなどがある
が、絶縁耐圧、欠陥、残留電荷、耐久性などの点で熱酸
化膜が好ましい。
【0118】そして、同図(c)に示すように、この表
面にポリシリコン膜64を約2μmの厚さにCVDなど
の方法で体積させた。
【0119】次いで、図26(a)に示すように、ポリ
シリコン膜64の表面にフォトリソグラフィーを施し、
振動板との境界領域になる部分及び個別の電極パターン
のギャップとなる部分のポリシリコン膜64をエッチン
グ除去して、振動板との境界領域になる部分に溝65を
形成する。これにより、電極14aの一部となるポリシ
リコン膜64a、電極14bの一部となるポリシリコン
膜64b、電極引出し部15Aの一部となるポリシリコ
ン膜64c、電極引出し部15Bの一部となるポリシリ
コン膜64dがそれぞれ形成される。
【0120】なお、電極4の形状は例えば図4に示した
ように櫛の歯形状とする。また、エッチングは酸化膜6
3がストップ層となる。非常に深い溝を細くエッチング
する必要があるのでドライエッチングはICPが有効で
ある。
【0121】その後、同図(b)に示すように、全面に
SOGなどの酸化膜66を堆積させる。このとき、電極
を形成するためのポリシリコン膜64の溝部65が完全
に埋まるまで堆積させる。
【0122】次いで、同図(c)に示すように、ポリシ
リコン膜64表面に形成されている酸化膜65をCMP
等の方法でポリシリコン膜64表面まで研磨した後、ポ
リシリコン膜を堆積させ、所望の電極形状にパターニン
グする。これにより、ポリシリコン膜の2層構造で、電
極14(14a、14b)及び電極引出し部15A、1
5Bと空中架橋部14C、14Dが形成される。なお、
このように2層構造の電極とすることで、単純な柱状電
極だけでなく、T型断面、逆L型断面、更に発展型とし
てY型断面などの形状を持った電極を形成することもで
き、このような電極は振動板に固定される部分が小さく
できるので振動板の変形効率を高めることができる。
【0123】その後、図27(a)に示すように、LP
−CVDで水酸化カリウムエッチングのマスクとなるシ
リコン窒化膜67を形成し、シリコン窒化膜67上に吐
出室6や共通液室8などの液室形状のレジストパターン
を得て、レジストの開口部のシリコン窒化膜67、酸化
膜66、63をドライエッチによりエッチング除去し、
レジストを除去する。
【0124】そして、同図(b)に示すように、例えば
80℃の25wt%の水酸化カリウム水溶液でシリコン
窒化膜67、酸化膜66、63の開口部からシリコン基
板61を高濃度ボロン拡散層62に達する直前(残り1
0μm程度)まで、エッチングを行う。
【0125】次に、エッチング液をIPAを過飽和状態
にした80℃の30wt%の水酸化カリウム水溶液に変
え、エッチングを継続して、高濃度ボロン拡散層62に
達するとエッチングは自発的に停止する。25wt%の
水酸化カリウム水溶液ではエッチレートが大きく、また
安定したエッチングが得られる。またIPA添加30w
t%の水酸化カリウム水溶液ではシリコン基板と高濃度
ボロン層のエッチング選択比が大きく、精度よくエッチ
ングストップができる。IPAは沸点が低く熱を加える
と蒸発が激しいので、蒸気を冷却して液化しエッチング
槽に戻してやる環流装置を付けるのが好ましい。高濃度
ボロン拡散層のエッチング選択比を大きくできるエッチ
ング液としてはIPA添加の水酸化カリウム以外では、
3wt%〜10wt%程度の低濃度の水酸化カリウム水溶液
やEDPなどでも良い。
【0126】その後、同図(c)に示すように、シリコ
ン窒化膜67は熱リン酸、フッ酸などによって、酸化膜
66、63をフッ酸などで除去して、吐出室6及び吐出
室6の底壁をなす1μmの厚さのシリコンの振動板10
を形成する。このとき、空中架橋部14C,14Dの内
部側の前記溝65に埋め込まれた酸化膜66も除去され
て、空中架橋部14C、14Dは文字通り電極14aと
電極引出し部15A、電極14bと電極引出し部15B
を、それぞれ空中で架橋する。
【0127】次に、第11実施形態に係るインクジェッ
トヘッドの異なる例について図28及び図29を参照し
て説明する。なお、各図は同ヘッドの電極構成を説明す
る平面説明図である。これらのヘッドは、各ビットB
1、B2……毎に、第1の電位が与えられる電極14a
と第2の電位が与えられる電極14bをそれぞれ共通の
電極引出し部15A、15Bに接続し、電極引出し部1
5A、及び電極引出し部15Bに接続した電極14bに
それぞれ電極パッド部71a、71bを設けている。
【0128】そして、図28の例では電極パッド部71
a、71bは長さを異ならせて、略同じ位置に配置して
いる。また、図29の例では電極パッド部71a、71
bは略同じ長さとして、千鳥状に配置している。
【0129】このように複数のビット(振動板)を有す
る場合、第1の電位が与えられる電極は各ビット単位で
共通の電極引出し部に接続し、第2の電位が与えられる
電極も各ビット単位で共通の電極引出し部に接続して、
それぞれの電極引出し部を各ビット毎に対にして設ける
ことで、各ビット毎に任意の電位を与えることが可能と
なり、振動特性をビット毎に細かく制御でき、液滴吐出
信頼性が向上する。また、ドライバ回路(駆動回路)に
余裕があれば、各ビット毎の特性ばらつきを補正するこ
ともできるようになる。なお、図29の例のように電極
パッドを千鳥配置にすることで、より高密度化が可能に
なる。
【0130】次に、第12実施形態に係るインクジェッ
トヘッドの異なる例について図30及び図31を参照し
て説明する。なお、図30は同ヘッドの電極構成を説明
する平面説明図、図31は図30のF−F線に沿う断面
説明図である。このヘッドでは、第1の電位が与えられ
る電極14aは、各ビットB1、B2……毎に共通の電
極引出し部15Aに接続し、電極引出し部15Aの引出
し部16Aに電極パッド部71a、71bを設けてい
る。
【0131】また、第2の電位が与えられる電極14b
は、各ビットの共通の電極引出し部15Bに接続し、す
べてのビットの電極引出し部15Bを1つにして1つの
引出し部16Bを通じて引出し、この引出し部16Bに
1つの電極パッド部71bを設けている。なお、このヘ
ッドでは第1基板1をSOI基板から作製して振動板1
0表面の酸化膜73を残存した構成にしている。
【0132】このように、各ビット毎、第1の電位が与
えられる電極を個別電極として取り出し、第2の電位が
与えられる電極は、ヘッド内で全て共通として一カ所で
電位を与えている構成をとることで小型化が図れる。ま
た、パッド領域として取り出すことで、配線材料が削減
でき、接続のための工程も簡素化できるためコストの低
減も図れる。なお、ここでは、電極パッド領域を上方向
から取る形状になっているが、下側から取る形状にする
ことも可能できる。
【0133】次に、第13実施形態に係るインクジェッ
トヘッドについて図32を参照して説明する。なお、同
図は同ヘッドの振動板長手方向に沿う断面説明図であ
る。このヘッドにおいては、電極14aと電極引出し部
15Aとの間、電極14bと電極引出し部15Bとの間
に、振動板10の長手方向固定端部付近に溝を形成し
て、柔らかいアルミニウム等の金属膜75によって電極
14aと電極引出し部15Aとを電気的に接続し、同様
に、柔らかいアルミニウム等の金属膜75によって電極
14bと電極引出し部15Bとを電気的に接続してい
る。
【0134】これは、例えば、図26(a)に示し工程
後、柔らかいアルミニウム等の金属を全面に堆積した
後、フォトリソグラフィーと、エッチングを用いて、そ
れぞれが接続されるようにパターニングして電気的接続
のための金属膜75を形成する。
【0135】このように構成することで、振動板固定端
部の曲がりにくい領域に、高剛性の電極ではなく、柔ら
かい導電材料を配置することができ、前述したように振
動板の振動特性が阻害されることを著しく低減できる。
【0136】次に、第14実施形態に係るインクジェッ
トヘッドについて図33を参照して説明する。なお、同
図は同ヘッドの振動板長手方向に沿う断面説明図であ
る。このヘッドにおいては、電極14bと電極引出し部
15Bとの間に振動板10の長手方向固定端部付近に溝
を形成し、更にこの溝部分の絶縁膜11を除去して開口
部11aを形成し、柔らかいアルミニウム等の金属膜7
6によって電極14bを振動板10(この振動板10は
高濃度ボロン拡散層からなり導電性を有する。)に電気
的に接続している。
【0137】これは、電極14を形成した後、電極14
を介して振動板10に達するまでエッチングして絶縁膜
11の所要部分を除去し、その後柔らかいアルミニウム
等の金属76を全面に堆積した後、フォトリソグラフィ
ーと、エッチングを用いて、振動板10と電極14bが
接続されるようにパターニングする。
【0138】このように構成することで、振動板10を
共通電極として使うことができ、配線領域を削減するこ
とができる。また、高剛性の電極が振動板から周辺領域
へ直接出て行かなくなるため、振動板の変位阻害要因も
低減できる。
【0139】次に、本発明に係るインクカートリッジに
ついて図34を参照して説明する。このインクカートリ
ッジ100は、ノズル孔101等を有する上記各実施形
態のいずれかのインクジェットヘッド101と、このイ
ンクジェットヘッド101に対してインクを供給するイ
ンクタンク102とを一体化したものである。
【0140】このようにインクタンク一体型のヘッドの
場合、ヘッドの低コスト化、信頼性は、ただちにインク
カートリッジ全体の低コスト化、信頼性につながるの
で、上述したように低コスト化、高信頼性化、製造不良
低減することで、インクカートリッジの歩留まり、信頼
性が向上し、ヘッド一体型インクカートリッジの低コス
ト化を図れる。
【0141】次に、本発明に係るインクジェットヘッド
又はインクカートリッジを搭載したインクジェット記録
装置の一例について図36及び図37を参照して説明す
る。なお、図36は同記録装置の斜視説明図、図37は
同記録装置の機構部の側面説明図である。
【0142】このインクジェット記録装置は、記録装置
本体111の内部に主走査方向に移動可能なキャリッ
ジ、キャリッジに搭載した本発明に係るインクジェット
ヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給
するインクカートリッジ等で構成される印字機構部11
2等を収納し、装置本体111の下方部には前方側から
多数枚の用紙113を積載可能な給紙カセット(或いは
給紙トレイでもよい。)114を抜き差し自在に装着す
ることができ、また、用紙113を手差しで給紙するた
めの手差しトレイ115を開倒することができ、給紙カ
セット114或いは手差しトレイ115から給送される
用紙113を取り込み、印字機構部112によって所要
の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ1
16に排紙する。
【0143】印字機構部112は、図示しない左右の側
板に横架したガイド部材である主ガイドロッド121と
従ガイドロッド122とでキャリッジ123を主走査方
向(図36で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、この
キャリッジ123にはイエロー(Y)、シアン(C)、
マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を
吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェ
ットヘッドからなるヘッド124を複数のインク吐出口
を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方
向を下方に向けて装着している。またキャリッジ123
にはヘッド124に各色のインクを供給するための各イ
ンクカートリッジ125を交換可能に装着している。な
お、本発明に係るヘッド一体型のインクカートリッジを
搭載するようにすることもできる。
【0144】インクカートリッジ125は上方に大気と
連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへイン
クを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多
孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジ
ェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持
している。
【0145】また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘ
ッド124を用いているが、各色のインク滴を吐出する
ノズルを有する1個のヘッドでもよい。
【0146】ここで、キャリッジ123は後方側(用紙
搬送方向下流側)を主ガイドロッド121に摺動自在に
嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッ
ド122に摺動自在に載置している。そして、このキャ
リッジ123を主走査方向に移動走査するため、主走査
モータ127で回転駆動される駆動プーリ128と従動
プーリ129との間にタイミングベルト130を張装
し、このタイミングベルト130をキャリッジ123に
固定しており、主走査モーター127の正逆回転により
キャリッジ123が往復駆動される。
【0147】一方、給紙カセット114にセットした用
紙113をヘッド124の下方側に搬送するために、給
紙カセット114から用紙113を分離給装する給紙ロ
ーラ131及びフリクションパッド132と、用紙11
3を案内するガイド部材133と、給紙された用紙11
3を反転させて搬送する搬送ローラ134と、この搬送
ローラ134の周面に押し付けられる搬送コロ135及
び搬送ローラ134からの用紙113の送り出し角度を
規定する先端コロ136とを設けている。搬送ローラ1
34は副走査モータ137によってギヤ列を介して回転
駆動される。
【0148】そして、キャリッジ123の主走査方向の
移動範囲に対応して搬送ローラ134から送り出された
用紙113を記録ヘッド124の下方側で案内する用紙
ガイド部材である印写受け部材139を設けている。こ
の印写受け部材139の用紙搬送方向下流側には、用紙
113を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送
コロ141、拍車142を設け、さらに用紙113を排
紙トレイ116に送り出す排紙ローラ143及び拍車1
44と、排紙経路を形成するガイド部材145,146
とを配設している。
【0149】記録時には、キャリッジ123を移動させ
ながら画像信号に応じて記録ヘッド124を駆動するこ
とにより、停止している用紙113にインクを吐出して
1行分を記録し、用紙113を所定量搬送後次の行の記
録を行う。記録終了信号または、用紙113の後端が記
録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を
終了させ用紙113を排紙する。この場合、ヘッド12
4を構成する本発明に係るインクジェットヘッドはイン
ク滴噴射の制御性が向上し、特性変動が抑制されている
ので、安定して高い画像品質の画像を記録することがで
きる。
【0150】また、キャリッジ123の移動方向右端側
の記録領域を外れた位置には、ヘッド124の吐出不良
を回復するための回復装置147を配置している。回復
装置147はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手
段を有している。キャリッジ123は印字待機中にはこ
の回復装置147側に移動されてキャッピング手段でヘ
ッド124をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に
保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。
また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出す
ることにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、
安定した吐出性能を維持する。
【0151】吐出不良が発生した場合等には、キャッピ
ング手段でヘッド124の吐出口(ノズル)を密封し、
チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに
気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等
はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復され
る。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された
廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のイ
ンク吸収体に吸収保持される。
【0152】このように、このインクジェット記録装置
においては本発明を実施したインクジェットヘッド又は
インクカートリッジを搭載しているので、振動板駆動不
良によるインク滴吐出不良がなく、安定したインク滴吐
出特性が得られて、画像品質が向上する。また、低電圧
で駆動できるヘッドを搭載するので、インクジェット記
録装置全体の消費電力も低減できる。
【0153】次に、本発明に係るマイクロポンプについ
て図37を参照して説明する。なお、同図は同マイクロ
ポンプの要部断面説明図である。このマイクロポンプ
は、流路基板201と保護基板202とを重ねて接合し
た積層構造となっており、流路基板201には流体が流
れる流路203を形成するとともに、流路203の一壁
面を形成する変形可能な可動板204(ヘッドの振動板
に相当する。)を設け、可動板204の保護基板202
と接合固定しない部分は可動部分205となっている。
【0154】そして、可動部分205には絶縁膜206
を介して外面側に、前記インクジェットヘッドと同様
に、複数の電極207を所定の間隔を置いて設けてい
る。保護基板202は前記ヘッドの第2基板2と同様な
機能を有するものであり、電極207を配置するための
凹部208を形成している。ここでは、保護基板202
は平板板基板にスペーサ部209を設けることで凹部2
08を形成している。
【0155】このマイクロポンプの動作原理を説明する
と、前述したように複数の電極207に対して1つおき
にパルス電位を与えることによって電極207間で静電
吸引力が生じるので、可動部分205が流路203側に
変形する。ここで、可動部分205を図中右側から順次
駆動することによって流路203内の流体は、矢印方向
へ流れが生じ、流体の輸送が可能となる。
【0156】なお、この実施形態では可動部分を複数設
けた例を示したが、可動部分は1つでも良い。また、輸
送効率を上げるために、可動部分間に1又は複数の弁、
例えば逆止弁などを設けることもできる。
【0157】次に、本発明に係る光学デバイスの実施形
態について図38を参照して説明する。なお、同図は同
デバイスの概略構成図である。この光学デバイスは、変
形可能なミラー301と保護基板302とを重ねて接合
しており、ミラー301の保護基板302と接合固定し
ない部分は可動部分305となっている。そして、可動
部分305には絶縁膜306を介して外面側に複数の電
極307を所定の間隔を置いて設けている。保護基板3
02は前記ヘッドの第2基板2と同様な機能を有するも
のであり、電極307を配置するための凹部308を形
成している。ここでは、保護基板302は平板板基板に
スペーサ部309を設けることで凹部308を形成して
いる。なお、ミラー301表面は反射率を増加させるた
め誘電体多層膜や金属膜を形成すると良い。
【0158】この光学デバイスの原理を説明すると、ミ
ラー301の可動部分305に設けた複数の電極307
に対して1つおきにパルス電位を与えることによって、
電極307間で静電吸引力が生じるので、可動部分30
5が凸状に変形して凸面ミラーとなる。したがって、光
源310からの光がレンズ311を介してミラー301
に照射した場合、ミラー301を駆動しないときには、
光は入射角と同じ角度で反射するが、ミラー301を可
動部分305を駆動した場合はその可動部分305が凸
面ミラーとなるので反射光は発散光となる。これにより
光変調デバイスが実現できる。
【0159】そこで、この光学デバイスを応用した例を
図39及び図40をも参照して説明する。この例は、上
述した光学デバイスを2次元に配列し、各ミラーの可動
部分305を独立して駆動するようにしたものである。
なお、ここでは、4×4の配列を示しているが、これ以
上配列することも可能である(なお、前記インクジェッ
トヘッドの各実施形態においても同様である。)。
【0160】したがって、前述した図38と同様に、光
源310からの光はレンズ311を介してミラー301
に照射され、ミラー301を駆動していないところに入
射した光は、投影用レンズ312へ入射する。一方、電
極307に電圧を印加してミラー301の可動部分30
5を変形させているところは凸面ミラーとなるので光は
発散し投影用レンズ312にほとんど入射しない。この
投影用レンズ312に入射した光はスクリーン(図示し
ない)などに投影され、スクリーンに画像を表示するこ
とができる。
【0161】これらのマイクロポンプや光学デバイスの
実施形態においては、第1実施形態に係るインクジェッ
トヘッドと同様な構成のアクチュエータとしたが、第2
実施形態以降の実施形態に係るインクジェットヘッドと
同様な構成のアクチュエータとすることもできる。
【0162】なお、上記実施形態においては、液滴吐出
ヘッドとしてインクジェットヘッドに適用した例で説明
したが、インクジェットヘッド以外の液滴吐出ヘッドと
して、例えば、液体レジストを液滴として吐出する液滴
吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐
出ヘッドなどの他の液滴吐出ヘッドにも適用できる。ま
た、マイクロアクチュエータは、液滴吐出ヘッド、マイ
クロポンプ、光学デバイス(光変調デバイス)以外に
も、マイクロスイッチ(マイクロリレー)、マルチ光学
レンズのアクチュエータ(光スイッチ)、マイクロ流量
計、圧力センサなどにも適用することができる。
【0163】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るマイ
クロアクチュエータによれば、可動部分には電気的に互
いに絶縁分離された導電性を有する構造体からなる複数
の電極を設け、この複数の電極のうちの互いに隣り合う
電極に異なる第1の電位と第2の電位を印加して、互い
に隣り合う電極間で静電力を作用させて可動部分を変形
させるので、低コストで、動作効率の高いアクチュエー
タを得ることができる。
【0164】ここで、電極は可動部分に対して長手方向
に平行に配置されていることで、可動部分の変形効率が
より向上する。また、第1の電位が与えられる電極及び
第2の電位が与えられる電極は、可動部分の領域内では
一定の間隔を隔てて略等間隔に平行に配置され、可動部
分の領域外でそれぞれが共通に接続されていることで、
可動部分の変形効率がより向上する。さらに、第1の電
位が与えられる電極及び第2の電位が与えられる電極
は、可動部分の領域外ではその間隔が少なくとも可動部
分の領域内よりも広くなっていることで、応答性を向上
することができる。
【0165】また、複数の可動部分を有し、第1の電位
が与えられる電極は各ビット単位で共通の電極引出し部
に接続され、第2の電位が与えられる電極も各ビット単
位で共通の電極引出し部に接続され、それぞれの電極引
出し部が各ビット毎に対になって設けられていること
で、ビット単位で電位差を電極に与えることができて、
可動部分の変形状態をビット単位で細かく制御できる。
【0166】さらに、複数の可動部分を有し、第1の電
位が与えられる電極は各ビット単位で共通の電極引出し
部に接続され、第2の電位が与えられる電極はすべての
ビットで共通の電極引出し部に接続されていることで、
電極引出し部の面積を縮小することができて、小型化を
図れる。この場合、第1の電位が与えられる電極の各ビ
ットの電極引出し部と第2の電位が与えられる電極の全
ビットの電極引出し部は、それぞれ略同一形状の電極パ
ッドを有することで、電気的な実装性が高まり、また接
続部品の低コスト化、省略化も可能となる。
【0167】また、可動部分を形成する部材が導電性材
料で形成され、絶縁膜を介して電極が形成され、第1の
電位が与えられる電極又は第2の電位が与えられる電極
のいずれかは可動部分を形成する部材と電気的に接続さ
れていることで、可動部分の変形阻害要因となる可動部
分領域内から領域外への電極引出しをなくすることがで
きて、可動部分の変形阻害を防止できるとともに、共通
電極の引き回しが不要になって小型化、低コスト化を図
れる。
【0168】さらに、可動部分内に設けた電極と可動部
分外に設けた電極引出し部とが可動部分に接しない空中
架橋部を介して電気的に接続されていることで、可動部
分の厚さの増加をなくすることができ、可動部分の変形
効率をより向上することができる。
【0169】また、可動部分の領域内に設けた電極と可
動部分の領域外に設けた電極引出し部とが電極材料より
も高弾性又は低ヤング率の材料を用いて電気的に接続さ
れていることで、可動部分の変形阻害が低減することが
できる。さらに、可動部分の領域外に形成された電極引
出し部の表面に凹部が形成されていることで、電極引出
し部の内部応力を緩和することができ、また接合時に接
着剤のはみ出しを低減することができ、或いはガス抜き
流路として用いることもできるようになる。
【0170】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振
動板を変形させることによって液滴を吐出する液滴吐出
ヘッドにおいて、振動板を可動部分とする本発明に係る
マイクロアクチュエータを備えているので、低コスト
で、滴吐出効率が高く、高画質印字が可能なヘッドが得
られる。
【0171】本発明に係るインクカートリッジによれ
ば、インク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドと
この液滴吐出ヘッドにインクを供給するインクタンクを
一体化したので、低コストで、滴吐出効率が高く、高画
質印字が可能なヘッドを一体化でき、また製造不良が減
少し、低コスト化を図ることができる。
【0172】本発明に係るインクジェット記録装置によ
れば、インク滴を吐出するインクジェットヘッドが本発
明に係る液滴吐出ヘッド又は本発明に係るインクカート
リッジであるので、高画質記録を行うことができ、また
装置の低コスト化を図れる。
【0173】本発明に係るマイクロポンプによれば、可
動部分の変形によって液体を輸送するマイクロポンプで
あって、本発明に係るマイクロアクチュエータを備えて
いるので、動作効率が高く、小型で、低消費電力化を図
れるとともに、低コスト化を図れる。
【0174】本発明に係る光学デバイスによれば、可動
部分に形成したミラーの変位によって光の反射方向を変
化させる光学デバイスであって、本発明に係るマイクロ
アクチュエータを備えているので、小型で、低消費電力
化を図れるとともに、低コスト化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出ヘッドの第1実施形態に係る
インクジェットヘッドの分解斜視説明図
【図2】同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図3】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説明
【図4】同ヘッドの電極構成の一例を説明する平面説明
【図5】同ヘッドの電極構成の一例を説明する平面説明
【図6】同ヘッドの作用説明に供する要部拡大断面説明
【図7】同ヘッドの作用説明に供する比較例の電極配置
を説明する平面説明図
【図8】(a)は駆動時の図7のC−Cに沿う断面説明
図、(b)は駆動時の図7のD−Dに沿う断面説明図
【図9】同第2実施形態に係るインクジェットヘッドの
振動板短手方向に沿う要部断面説明図
【図10】同第3実施形態に係るインクジェットヘッド
の振動板短手方向に沿う要部断面説明図
【図11】同第2実施形態に係るインクジェットヘッド
の製造工程の一例を説明する説明図
【図12】図11に続く工程を説明する説明図
【図13】同第2実施形態に係るインクジェットヘッド
の製造工程の他の例を説明する説明図
【図14】図13に続く工程を説明する説明図
【図15】図14に続く工程を説明する説明図
【図16】同第4実施形態に係るインクジェットヘッド
の振動板短手方向に沿う要部断面説明図
【図17】同第5実施形態に係るインクジェットヘッド
の振動板短手方向に沿う電極部分の拡大説明図
【図18】同第6実施形態に係るインクジェットヘッド
の振動板短手方向に沿う電極部分の拡大説明図
【図19】同第7実施形態に係るインクジェットヘッド
の振動板短手方向に沿う電極部分の拡大説明図
【図20】同第8実施形態に係るインクジェットヘッド
の電極構成を説明する平面説明図
【図21】同第9実施形態に係るインクジェットヘッド
の電極構成を説明する平面説明図
【図22】同第10実施形態に係るインクジェットヘッ
ドの電極構成を説明する平面説明図
【図23】同ヘッドの一例を説明する図22のE−E線
に沿う断面説明図
【図24】同ヘッドの他の説明する図22のE−E線に
沿う断面説明図
【図25】図24のヘッドの製造工程の説明に供する振
動板長手方向に沿う断面説明図
【図26】図25に続く工程を説明する断面説明図
【図27】図26に続く工程を説明する断面説明図
【図28】同第11実施形態に係るインクジェットヘッ
ドの一例を説明する平面説明図
【図29】同実施形態に係るインクジェットヘッドの他
の例を説明する平面説明図
【図30】同第12実施形態に係るインクジェットヘッ
ドを説明する平面説明図
【図31】図31のF−F線に沿う断面説明図
【図32】同第13実施形態に係るインクジェットヘッ
ドを説明する振動板長手方向に沿う断面説明図
【図33】同第14実施形態に係るインクジェットヘッ
ドを説明する振動板長手方向に沿う断面説明図
【図34】本発明に係るインクカートリッジの説明に供
する斜視説明図
【図35】本発明に係るインクジェット記録装置の一例
を説明する斜視説明図
【図36】同記録装置の機構部の説明図
【図37】本発明に係るマイクロポンプの実施形態を説
明する断面説明図
【図38】本発明に係る光学デバイスの実施形態を説明
する断面説明図
【図39】同光学デバイスを用いた光変調デバイスの一
例を説明する斜視説明図
【図40】同光変調デバイスの要部斜視説明図
【符号の説明】
1…第1基板、2…第2基板、3…ノズル板、4…ノズ
ル孔、6…吐出室、7…流体抵抗部、8…共通液室、1
0…振動板、14、14a、14b…電極、15A、1
5B…電極引出し部、71a、71b…電極パッド部、
75、76…勤続膜、100…インクカートリッジ、2
01…流路基板、203…流路、205…可動部分、2
07…電極、301…ミラー、305…可動部分、30
7…電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 入野田 貢 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 田中 慎二 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 木幡 八州太郎 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 山中 邦裕 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 橋本 憲一郎 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2C057 AF03 AF55 AF99 AG12 AG41 AG42 AG43 AG59 AG92 AG93 AP02 AP22 AP27 AP32 AP34 AP53 AP56 AP90 AQ02 AQ06 BA04 BA15 3H075 AA07 BB02 BB20 CC25 DB02

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可動部分を変形させるマイクロアクチュ
    エータであって、前記可動部分には電気的に互いに絶縁
    分離された導電性を有する構造体からなる複数の電極を
    設け、この複数の電極のうちの互いに隣り合う電極に異
    なる第1の電位と第2の電位を印加して、前記互いに隣
    り合う電極間で静電力を作用させて前記可動部分を変形
    させることを特徴とするマイクロアクチュエータ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のマイクロアクチュエー
    タにおいて、前記電極は前記可動部分に対して長手方向
    に平行に配置されていることを特徴とするマイクロアク
    チュエータ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のマイクロアクチ
    ュエータにおいて、前記第1の電位が与えられる電極及
    び第2の電位が与えられる電極は、可動部分の領域内で
    は一定の間隔を隔てて略等間隔に平行に配置され、可動
    部分の領域外でそれぞれが共通に接続されていることを
    特徴とするマイクロアクチュエータ。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のマイ
    クロアクチュエータにおいて、前記第1の電位が与えら
    れる電極及び第2の電位が与えられる電極は、可動部分
    の領域外ではその間隔が少なくとも可動部分の領域内よ
    りも広くなっていることを特徴とするマイクロアクチュ
    エータ。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載のマイ
    クロアクチュエータにおいて、複数の可動部分を有し、
    前記第1の電位が与えられる電極は各ビット単位で共通
    の電極引出し部に接続され、前記第2の電位が与えられ
    る電極も各ビット単位で共通の電極引出し部に接続さ
    れ、それぞれの電極引出し部が各ビット毎に対になって
    設けられていることを特徴とするマイクロアクチュエー
    タ。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至4のいずれかに記載のマイ
    クロアクチュエータにおいて、複数の可動部分を有し、
    前記第1の電位が与えられる電極は各ビット単位で共通
    の電極引出し部に接続され、前記第2の電位が与えられ
    る電極はすべてのビットで共通の電極引出し部に接続さ
    れていることを特徴とするマイクロアクチュエータ。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のマイクロアクチュエー
    タにおいて、前記第1の電位が与えられる電極の各ビッ
    トの電極引出し部と前記第2の電位が与えられる電極の
    全ビットの電極引出し部は、それぞれ略同一形状の電極
    パッドを有することを特徴とするマイクロアクチュエー
    タ。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかに記載のマイ
    クロアクチュエータにおいて、可動部分を形成する部材
    が導電性材料で形成され、絶縁膜を介して前記電極が形
    成され、前記第1の電位が与えられる電極又は前記第2
    の電位が与えられる電極のいずれかは前記可動部分を形
    成する部材と電気的に接続されていることを特徴とする
    マイクロアクチュエータ。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれかに記載のマイ
    クロアクチュエータにおいて、前記可動部分内に設けた
    電極と可動部分外に設けた電極引出し部とが前記可動部
    分に接しない空中架橋部を介して電気的に接続されてい
    ることを特徴とするマイクロアクチュエータ。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至8のいずれかに記載のマ
    イクロアクチュエータにおいて、前記可動部分の領域内
    に設けた電極と可動部分の領域外に設けた電極引出し部
    とが前記電極材料よりも高弾性又は低ヤング率の材料を
    用いて電気的に接続されていることを特徴とするマイク
    ロアクチュエータ。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれかに記載の
    マイクロアクチュエータにおいて、前記可動部分の領域
    外に形成された電極引出し部の表面に凹部が形成されて
    いることを特徴とするマイクロアクチュエータ。
  12. 【請求項12】 液滴を吐出する単一又は複数のノズル
    孔と、前記ノズル孔のそれぞれに連通する吐出室と、前
    記吐出室の少なくとも一方の壁を構成する振動板とを備
    え、前記振動板を変形させることによって液に圧力を加
    え液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板
    を可動部分とする請求項1乃至11のいずれかに記載の
    マイクロアクチュエータを備えていることを特徴とする
    液滴吐出ヘッド。
  13. 【請求項13】 インク滴を吐出する液滴吐出ヘッドと
    この液滴吐出ヘッドにインクを供給するインクタンクを
    一体化したインクカートリッジにおいて、請求項12に
    記載の液滴吐出ヘッドを備えていることを特徴とするイ
    ンクカートリッジ。
  14. 【請求項14】 インク滴を吐出するインクジェットヘ
    ッドを搭載したインクジェット記録装置において、前記
    インクジェットヘッドが請求項12に記載の液滴吐出ヘ
    ッド又は請求項13に記載のインクカートリッジである
    ことを特徴とするインクジェット記録装置。
  15. 【請求項15】 可動部分の変形によって液体を輸送す
    るマイクロポンプであって、前記請求項1乃至11のい
    ずれかに記載のマイクロアクチュエータを備えているこ
    とを特徴とするマイクロポンプ。
  16. 【請求項16】 可動部分に形成したミラーの変位によ
    って光の反射方向を変化させる光学デバイスであって、
    前記請求項1乃至11のいずれかに記載のマイクロアク
    チュエータを備えていることを特徴とする光学デバイ
    ス。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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