JP2003170581A - 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイス - Google Patents

液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイス

Info

Publication number
JP2003170581A
JP2003170581A JP2001369461A JP2001369461A JP2003170581A JP 2003170581 A JP2003170581 A JP 2003170581A JP 2001369461 A JP2001369461 A JP 2001369461A JP 2001369461 A JP2001369461 A JP 2001369461A JP 2003170581 A JP2003170581 A JP 2003170581A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
short side
electrode
diaphragm
electrodes
droplet discharge
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001369461A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Tanaka
田中  慎二
Kaihei Itsushiki
海平 一色
Kenichiro Hashimoto
憲一郎 橋本
Junichi Azumi
純一 安住
Mitsugi Irinoda
貢 入野田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2001369461A priority Critical patent/JP2003170581A/ja
Publication of JP2003170581A publication Critical patent/JP2003170581A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2002/14411Groove in the nozzle plate

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで高吐出効率が得られない。 【解決手段】 振動板10には絶縁膜11を形成し、絶
縁膜11の表面に電気的に互いに絶縁分離された導電性
を有する構造体からなる複数の電極14を、短辺方向端
部から少なくとも短辺長比で35%以上の領域に設け
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液滴吐出ヘッド、インク
カートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアク
チュエータ、マイクロポンプ、光学デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の
画像記録装置或いは画像形成装置として用いるインクジ
ェット記録装置において使用する液滴吐出ヘッドである
インクジェットヘッドは、インク滴を吐出する単一又は
複数のノズル孔と、このノズル孔が連通する吐出室(イ
ンク室、液室、加圧液室、圧力室、インク流路等とも称
される。)と、吐出室内のインクを加圧する圧力を発生
する圧力発生手段とを備えて、圧力発生手段で発生した
圧力で吐出室内インクを加圧することによってノズル孔
からインク滴を吐出させる。
【0003】なお、液滴吐出ヘッドとしては、例えば液
体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DN
Aの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどもあ
るが、以下ではインクジェットヘッドを中心に説明す
る。また、液滴吐出ヘッドのアクチュエータ部分を構成
するマイクロアクチュエータ、例えばマイクロポンプ、
マイクロ光変調デバイスなどの光学デバイス、マイクロ
スイッチ(マイクロリレー)、マルチ光学レンズのアク
チュエータ(光スイッチ)、マイクロ流量計、圧力セン
サなどにも適用することができる。
【0004】ところで、液滴吐出ヘッドとしては、圧力
発生手段として圧電素子などの電気機械変換素子を用い
て吐出室の壁面を形成している振動板を変形変位させる
ことでインク滴を吐出させるピエゾ型のもの、吐出内に
配設した発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いてイン
クの膜沸騰でバブルを発生させてインク滴を吐出させる
バブル型(サーマル型)のもの、吐出室の壁面を形成す
る振動板を静電力で変形させることでインク滴を吐出さ
せる静電型のものなどがある。
【0005】近年、環境問題から鉛フリーであるバブル
型、静電型が注目を集め、鉛フリーに加え、低消費電力
の観点からも環境に影響が少ない、静電型のものが複数
提案されている。
【0006】この静電型ヘッドの中には、振動板をイン
ク室側に押し込みインク室内の内容積を小さくすること
でインク滴を吐出させる押し打ち法で駆動するものと、
振動板をインク室の外側方向の力で変形させインク室内
の内容積を広げた状態から元の内容積になるように振動
板の変位を元に戻すことでインク滴を吐出させる引き打
ち法で駆動するものとがある。
【0007】押し打ち法タイプの静電型ヘッドとして
は、例えば特開平2−266943号公報に記載されて
いるように、一対の電極対の間にインクが充填されてお
り、片方あるいは両方の電極が振動板として働く形態
で、電極間に電圧を印加することによって電極間に静電
引力が働き、電極(振動板)が変形しそれによってイン
クが押し出され吐出するものがある。また、特開200
0−15805号公報に記載されているように、シリコ
ン基板からなる振動板表面に突起部を設け、この突起部
に電極を形成し、電極に電圧を印加することによって突
起部間に作用するという静電力によって振動板を変形さ
せ、インクを吐出するものもある。
【0008】引き打ち法としては、例えば特開平6−7
1882号公報に記載されているように、一対の電極対
がエアギャップを介して設けられており、片方の電極が
振動板として働き、振動板の対向する電極と反対側にイ
ンクが充填されるインク室が形成され、電極間(振動板
−電極間)に電圧を印加することによって電極間に静電
引力が働き、電極(振動板)が変形し、電圧を除去する
と振動板が弾性力によってもとの状態に戻り、その力を
用いてインクを吐出するものがある。また、特開200
1−47624号公報に記載されているように、櫛歯状
に形成され互いに入れ子になった電極対の片方に振動板
を備え、電極対に電圧を印加することによって櫛歯間に
静電力引力を発生させ、電極の変位により振動板を変形
させ、電圧を切った時に振動板の弾性力でインクを吐出
するものもある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平2−266943号公報記載の液滴吐出ヘッドにあ
っては、電極間にインクを充填しているので必然的に電
極間距離が大きくなる。電極間に働く静電力は電極間距
離の2乗に反比例するので電極間距離が大きくなると必
要な電圧が非常に大きくなってしまうという問題があ
る。この場合、インクの誘電率によってある程度電圧を
下げることはできるが、電極間距離の影響が大きいので
あまり効果がない。また、インクの誘電率を大きくする
必要がある、あるいはインクに電界がかかることよりイ
ンクの自由度は小さくなる。そのため、インクの色、p
H、粘度などのインク物性に制限が加わり、高画質化が
困難であるという課題がある。
【0010】また、前記特開平6−71882号公報記
載の液滴吐出ヘッドにあっては、電極間にインクを充填
していないのでインクに対する制限が少なく高画質化に
は有利である。しかしながら、低電圧化のためには電極
間のエアギャップを非常に小さくしなければならず、そ
のような微小なギャップを精度良く、バラツキ少なく形
成するのは非常に困難であり、歩留まりが上がらないと
いった問題がある。また振動板の弾性力によってインク
を吐出する、いわゆる引き打ちの方法であるので、振動
板はインクを吐出するだけの剛性が必要であり、そのよ
うな剛性の振動板を静電力で引き付けるため電圧が高く
なってしまうといった課題がある。
【0011】さらに、前記特開2001−47624号
公報記載の液滴吐出ヘッドにあっては、櫛歯状電極を用
いているので変位量は大きくすることができるが、発生
力は非常に小さく、インクを吐出するだけの発生力を得
ようとした場合、非常に電圧が高くなってしまう。しか
も、構造が複雑であるので作製が困難であり、コスト高
となってしまうという課題がある。
【0012】また、前記特開2000−15805号公
報記載の液滴吐出ヘッドにあっては、導電性を有するシ
リコン基板で形成した振動板に突起部を設けて、この突
起部に導電性部材の電極を形成しているので、シリコン
振動板を介して各電極間が同電位になって静電力が発生
せず、振動板を変形できないという課題がある。しか
も、振動板に突起部を形成して、この突起部に電極を付
けなければならず、そのような立体微細構造の表面に電
極を付けるのは困難であり、電極がうまく形成されない
部分ができたり、バラツキが生じたりで、安定して製造
できなく歩留まりが悪いという課題がある。さらに、低
電圧化のためには突起間の間隔は狭くしなければならな
いが、そのような狭い間隔の中に電極を形成するのは困
難であり、また狭い突起間に電極を形成するとショート
してしまうという不良が生じたりする。また、突起部に
電極を形成することは、立体構造でのフォトリソ工程は
レジストコート、露光などが困難であることから、一般
的な方法では不可能であり、そのため特別な装置を使用
したり、製造工程が長くなったりしてコスト高となって
しまうという課題がある。
【0013】さらに、同公報に記載のヘッドにおいて、
仮に、電極間に静電力が発生するとした場合、振動板短
辺方向の座屈する領域は広いほど、振動板全体の撓み量
が大きいように見受けられるが、通常、静電力を利用し
て振動板をアクチュエートする構成では、振動板の4辺
の一部は固定されているため、振動板が面外方向に撓ん
だ状態では、振動板の各領域の撓む向きは同じではな
く、振動板の固定端付近と中央付近では撓む向きが逆に
なる。そのため、振動板の全面の突起部を設けてこの突
起部に電極を形成した場合、振動板の変位効率が低下す
るという課題が生じる。
【0014】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、低コストで、滴吐出効率が高く、高画質印字が
可能な液滴吐出ヘッド、このヘッドを一体化したインク
カートリッジ、高画質記録が可能なインクジェット記録
装置、低コストで、駆動効率が高いマイクロアクチュエ
ータ、マイクロポンプ、光学デバイスを提供することを
目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板には短辺方
向端部から少なくとも短辺長比で35%以上の領域に電
気的に互いに絶縁分離された導電性を有する構造体から
なる複数の電極を設け、電極間に静電力を発生させるこ
とによって振動板を変形させるものである。
【0016】ここで、振動板には短辺方向端部から少な
くとも短辺長比で15%未満の領域に電極が存在しない
ことが好ましい。
【0017】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板に
は短辺方向端部から少なくとも短辺長比で15%以下の
領域に電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する構
造体からなる複数の電極を設け、電極間に静電力を発生
させることによって振動板を変形させるものである。
【0018】ここで、振動板には振動板短辺方向端部か
ら少なくとも短辺長比で35%以上の領域に電極が存在
しないことが好ましい。
【0019】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板に
は電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する構造体
からなる複数の電極を設け、各電極のうちの振動板の短
辺方向端部から少なくとも短辺長比で35%以上の領域
に存在する電極群と、各電極のうちの振動板の短辺方向
端部から少なくとも短辺長比で15%以下の領域に存在
する電極群とを電気的に独立駆動可能とし、各電極群の
電極間に静電力を発生させることによって振動板を変形
させるものである。
【0020】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板の
一方の面には短辺方向端部から少なくとも短辺長比で3
5%以上の領域に電気的に互いに絶縁分離された導電性
を有する構造体からなる複数の電極を設け、振動板の他
方の面には短辺方向端部から少なくとも短辺長比で15
%以下の領域に電気的に互いに絶縁分離された導電性を
有する構造体からなる複数の電極を設け、電極間に静電
力を発生させることによって振動板を変形させるもので
ある。
【0021】これらの本発明に係る液滴吐出ヘッドのう
ち、振動板の短辺方向端部から少なくとも短辺長比で1
5%以下の領域に電極を設けるヘッドにおいては、振動
板に設けられた電極に所定の間隔をおいて対向する固定
電極を固定部に設けることが好ましい。
【0022】上記各本発明に係る液滴吐出ヘッドにおい
ては、電極は前記振動板が略ガウシャン形状に近似する
形状に変形するように配置されていることが好ましい。
また、電極は振動板短辺方向で振動板側基部が自由端部
よりも狭い構造とすることができる。さらに、振動板に
設けた複数の電極は、静電力の方向と電極の変位方向が
逆方向であるものとすることができる。
【0023】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板に
は電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する構造体
からなる複数の電極を設け、各電極のうちの振動板の短
辺方向端部から少なくとも短辺長比で35%以上の領域
に存在する電極群の電極構造と、各電極のうちの振動板
の短辺方向端部から少なくとも短辺長比で15%以下の
領域に存在する電極群の電極構造とが異なり、各電極群
の電極間に静電力を発生させることによって振動板を変
形させるものである。
【0024】上記各本発明に係る液滴吐出ヘッドにおい
ては、振動板は単層又は複層の絶縁性薄膜、或いはシリ
コンと電極側に形成した絶縁性薄膜との積層構造である
ことが好ましい。
【0025】本発明に係るインクカートリッジは、イン
ク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドとこの液滴
吐出ヘッドにインクを供給するインクタンクを一体化し
たものである。
【0026】本発明に係るインクジェット記録装置は、
インク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッド或いは
本発明に係るインクカートリッジを塔載したものであ
る。
【0027】本発明に係るマイクロアクチュエータは、
可動部分を変形させるマイクロアクチュエータであっ
て、可動部分には短辺方向端部から少なくとも短辺長比
で35%以上の領域に電気的に互いに絶縁分離された導
電性を有する構造体からなる複数の電極を設け、電極間
に静電力を発生させることによって可動部分を変形させ
るものである。ここで、可動部分には短辺方向端部から
少なくとも短辺長比で15%以下の領域に上記短辺長比
で35%以上の領域に設けた電極と同時に駆動される電
極が存在しないことが好ましい。
【0028】本発明に係るマイクロアクチュエータは、
可動部分を変形させるマイクロアクチュエータであっ
て、可動部分には短辺方向端部から少なくとも短辺長比
で15%以下の領域に電気的に互いに絶縁分離された導
電性を有する構造体からなる複数の電極を設け、電極間
に静電力を発生させることによって可動部分を変形させ
るものである。ここで、可動部分には振動板短辺方向端
部から少なくとも短辺長比で35%以上の領域に上記短
辺長比で15%以下の領域に設けた電極と同時に駆動さ
れる電極が存在しないことが好ましい。
【0029】本発明に係るマイクロポンプは、可動部分
の変形によって液体を輸送するマイクロポンプであっ
て、本発明に係るマイクロアクチュエータを備えたもの
である。
【0030】本発明に係る光学デバイスは、可動部分に
形成したミラーの変位によって光の反射方向を変化させ
る光学デバイスであって、本発明に係るマイクロアクチ
ュエータを備えたものである。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は、本発明の液滴吐出ヘ
ッドの第1実施形態に係るインクジェットヘッドの分解
斜視図で、一部断面図で示している。図2は同ヘッドの
振動板長手方向の断面説明図、図3は同ヘッドの振動板
短手方向の断面説明図、図4は同ヘッドの電極配置パタ
ーンを示す平面説明図である。
【0032】このインクジェットヘッドは、インク液滴
を基板の面部に設けたノズル孔から吐出させるサイドシ
ュータタイプのものであり、下記に詳述する構造を持つ
3枚の第1、第2、第3基板1、2、3を重ねて接合し
た積層構造となっており、インク滴を吐出する複数のノ
ズル孔4、各ノズル孔4が連通する吐出室6、各吐出室
6に流体抵抗部7を介してインクを供給する共通液室
(共通インク室)8などを形成している。
【0033】中間の第1基板1は、シリコン基板からな
り、底壁を振動板10とする吐出室6を形成するための
凹部と、各々の吐出室6にインクを供給するための共通
液室8を形成するための凹部を有する。
【0034】振動板10の下面には、熱酸化膜、シリコ
ン窒化膜などの絶縁膜11を形成し、この絶縁膜11表
面で振動板10の短辺方向中央部付近に複数の電極14
を所定の間隔を置いて形成して、振動板10と各電極1
4とを電気的に分離して設けるとともに各電極14のう
ちの相隣り合う2つの電極(これを相対的に電極14
a、14bという。)は相互に電気的に分離している。
なお、電極14は、例えばポリシリコン、或いは単結晶
シリコンから形成している。この振動板10と複数の電
極14によって可動部分である振動板10を変形させる
本発明に係るマイクロアクチュエータを構成している。
【0035】ここで、図4は第1基板1の電極14側か
ら見た場合の一つの振動板に対する電極配置パターンの
一例を示すものである。同図に示すように、互いに電気
的に分離した相隣り合う電極14aと電極14bには、
駆動回路(ここでは発信回路で図示)15から互いに電
位差を生じる駆動電圧(異なる電位の電圧)が印加され
るようになっている。
【0036】また、振動板10に複数の電極14を設け
る領域は、後述するように振動板10の短辺方向端部か
ら少なくとも短辺長比で35%以上の領域であり、か
つ、短辺方向端部から少なくとも短辺長比で15%以下
の領域に電極14が存在しない構成としている。
【0037】さらに、電極14は上述した矩形状のもの
に限らず、例えば図5に示すように、振動板10に固定
する基部24aを自由端部24bよりも短辺方向で幅狭
にした断面略T字状或いは略L字状などの形状の電極2
4とすることもできる。このような電極24を用いるこ
とで、振動板10表面(ここでは正確には絶縁膜11表
面)に占める電極固定スペースが小さくなって振動板1
0の撓み可能領域が増加し、かつ、電極24、24間の
静電引力が作用するギャップを狭くすることができる。
【0038】この第1基板1の下面に接合される第2基
板2は、電極14を外部からの衝撃やホコリなどから保
護したり、第1基板1の強度を補強したりするための保
護基板である。この第2基板2には、ガラス、金属、シ
リコン、樹脂などからなる基板などを使用し、この基板
2には各振動板10に対応する位置に例えば1mmの深
さの凹部16を形成している。ただし、必ずしも振動板
10ごとに凹部16を形成する必要はなく、振動板配列
を囲む凹部、あるいはチップの縁のみ接合される凹部を
形成する構成でも良い。
【0039】また、第1基板1の上面に接合される第3
基板3には、例えば厚さ50μmのニッケル基板を用
い、第3基板3の面部に、吐出室6と連通するようにそ
れぞれノズル孔4、共通液室8と吐出室6を連通させる
流体抵抗部7となる溝を設け、また共通液室8と連通す
るようにインク供給口9を設けている。
【0040】このように構成したインクジェットヘッド
の動作を説明する。例えば図4の構成において、電極1
4aに発振回路15により0Vから40Vのパルス電位
を印加すると、電極14aの表面がプラスに帯電し、パ
ルス電位を印加していない隣り合う電極14bとの間
で、図6に示すように、静電力が発生して、静電気の吸
引作用が働き、電極14の自由端(振動板10側が固定
端)が引き合って電極14が変位し、これらの電極14
の自由端側が変位することで、電極14の固定端側であ
る振動板10が上方へたわむことになる。その結果、吐
出室6内の圧力が急激に上昇し、図3に示すように、ノ
ズル孔4よりインク液滴22を記録紙23に向けて吐出
する。
【0041】そして、電極14aの電位が0Vに戻る
と、電極14bとの間に電位差はなくなり、振動板10
は元の状態に復元する。振動板10が復元することによ
り、インクが共通液室8より流体抵抗部7を通じて吐出
室6内に補給される。すなわち、この実施形態では押し
打ち法でインク滴を吐出させる。
【0042】ここで、電極間に働く力Fは、次の(1)
式に示すように電極間距離dの2乗に反比例して大きく
なる。低電圧で駆動するためには、電極14aと電極1
4bとの間隔、つまり電極14間の溝を狭く形成するこ
とが重要となる。
【0043】
【数1】
【0044】なお、(1)式において、F:電極間に働
く力、ε:誘電率、S:電極の対向する面の面積、d:
電極間距離、 V:印加電圧である。
【0045】したがって、前述した図5に示すように、
振動板10に固定する基部24aを自由端部24bより
も短辺方向で幅狭にした電極24を用いることで、振動
板10の撓み可能領域が増加し、かつ、電極24、24
間の静電引力が作用するギャップを狭くすることができ
る。
【0046】このように、このインクジェットヘッドに
おいては、振動板10の一方の面に絶縁膜11を介して
それぞれ電気的に分離独立した電極14を設け、電極1
4の対向する電極14aと電極14b間に電位差を生じ
る電圧を印加することによって、隣り合う電極14aと
電極14bとの間で静電引力が発生し、電極14のわず
かな変位により振動板10の大きな変位を得ることがで
き、滴吐出効率が向上し、高画質記録が可能になる。
【0047】そして、このヘッドのマイクロアクチュエ
ータにおいては、振動板10に設けた構造体自体が電極
14として働くので、従前のようにシリコン構造体に電
極を成膜などの方法により形成するという困難な工程の
必要がなく、コストダウンを図ることが可能であり、ま
た、構造体間の非常に狭い間隔に電極を形成することに
よって生じるショートなどの不良も低減できる。さら
に、構造体に電極を形成した後に電極を櫛の歯状に分離
するという工程も必要がなく、低コスト化、大量生産が
容易である。
【0048】さらに、振動板10と電極14は絶縁膜1
1などで電気的に分離しているので、従来のように電極
に電圧を印加しても振動板を介してすべての電極が同電
位になって作動不良になることもなく、電極14に印加
した電圧が振動板10側にリークすることもなく、効率
良く電極14に電圧を印加することができる。この場
合、振動板10と電極14を電気的に分離する一例とし
て振動板10と電極14の間に絶縁膜11を形成するこ
とによって、容易に絶縁することができ信頼性の高い液
滴吐出ヘッドを得ることができる。なお、振動板自体を
絶縁性部材で形成すれば、絶縁膜を設けないでも良い。
【0049】次に、本発明の第2実施形態に係るインク
ジェットヘッドについて図7を参照して説明する。な
お、同図は同ヘッドの振動板短手方向に沿う要部断面説
明図である。この実施形態では振動板10は絶縁性薄
膜、ここでは引張り応力を有する絶縁膜である窒化シリ
コン膜10Aで形成している。この窒化シリコン膜10
Aの膜厚は10nm〜900nmの範囲内としている。
この範囲内とすることで、振動板10の十分な剛性を確
保しつつ、かつ、低電圧で駆動する(振動板10を変形
させる)ことができる。
【0050】また、引っ張り応力を有する窒化シリコン
膜10Aを形成するために、原子の導入法を熱拡散法や
イオン注入法等の種々の原子導入法を用いて検討したと
ころ、中でもイオン注入法により不純物原子を導入した
場合に応力制御性が一番良好であることを確認できた。
【0051】そこで、本実施形態では、イオン注入法を
用いて、ボロン原子を注入エネルギー50kev、ドー
ズ量1E15cm-2で導入し、引っ張り応力の窒化シリ
コン膜10Aを形成した。引っ張り応力の窒化膜10A
を用いることで挫屈による振動板10の撓み変形が発生
しないことを確認できた。なお、窒化シリコン膜10A
に含む不純物原子としては、ボロン原子の他、リン原
子、砒素原子、水素原子などを用いることもできる。
【0052】また、第1基板1に窒化シリコン膜10A
を設けた状態で、シリコンの異方性エッチングを用いて
吐出室6などを形成した場合、窒化シリコン膜10Aは
エッチング選択性を有するためダメージがないことを確
認できた。さらに、振動板10の厚さを150nmに設
定することで300dpiや600dpiに微細化した場合で
も十分な剛性が得られ、液滴吐出速度、吐出量ともに十
分マージンをもって吐出することが確認できた。
【0053】なお、振動板10を絶縁性薄膜で形成する
場合、引っ張り応力を有し、絶縁性を有する有機樹脂
膜、例えばポリイミド膜を用いることもできる。引っ張
り応力のポリイミド膜で振動板10を形成することによ
って挫屈による振動板10の変形が発生せず、振動板1
0を形成することができた。また、ヤング率が小さいの
で厚さ3μmで形成することができ、振動板10のピン
ホールの発生がなくなる。さらに、振動板10を形成す
るポリイミド(有機樹脂材料)は、液に対する耐腐食性
に優れるので、アルカリ性や酸性の種々の化学的性質を
有する液に対しても溶出することがなく、十分な信頼性
をもって液滴を吐出することができる。
【0054】次に、本発明の第3実施形態に係るインク
ジェットヘッドについて図8を参照して説明する。な
お、同図は同ヘッドの振動板短手方向の要部断面説明図
である。この実施形態では、絶縁性を有する振動板10
を絶縁性薄膜の積層膜で構成したものである。すなわ
ち、振動板10は、引っ張り応力を有する絶縁性を有す
る膜である窒化シリコン膜10Aと圧縮応力を有する膜
である酸化シリコン膜10Cとの積層膜で形成してい
る。
【0055】ここでは、窒化シリコン膜10Aの膜厚は
150nm、酸化シリコン膜10Cの膜厚は150nm
とした。また、引っ張り応力の窒化シリコン膜10Aを
形成するために、第1実施形態の結果からイオン注入法
により不純物原子であるリン原子を導入した。
【0056】このように、振動板10を絶縁膜の積層膜
である絶縁性薄膜で形成し、特に引っ張り応力の膜(こ
こでは窒化シリコン膜)と圧縮応力の膜(ここでは酸化
シリコン膜)との積層膜とすることで、各膜の異なる内
部応力を独立に制御することによって、振動板10の挫
屈による撓み変形を防止することができる。
【0057】また、シリコンの異方性エッチングを用い
て吐出室6を形成する場合、窒化シリコン膜10Aがエ
ッチングストッパーとして機能するので振動板10にダ
メージを与えることがなくなる。さらに、酸化シリコン
膜10Cを厚さを150nm、窒化シリコン膜10Aの
厚さを150nmに設定することで300dpiや600d
piに微細化した場合でも十分な剛性が得られ、液滴吐出
速度、吐出量ともに十分マージンをもって吐出すること
が確認できた。さらにまた、窒化シリコン膜10Aと酸
化シリコン膜10Bの積層振動板であることからピンホ
ールの発生を防止することができる。
【0058】そこで、これらの各実施形態において、振
動板10に電極14(或いは電極24)を設ける領域に
ついて説明する。上述したようにヘッドの振動板10
は、通常、4辺を固定された矩形板である。4辺を固定
された振動板10に加圧力が加えられ、振動板10が面
外に撓む場合、その撓み量は、振動板10の短辺長に大
きく依存するが、長辺長には余り依存しない。例えば、
図9に示すように、振動板10の一方の面に一様な荷重
Pを加えた場合、振動板短辺方向の撓みは同図(a)、
振動板長辺方向の撓みは同図(b)にそれぞれ示すよう
になる。
【0059】このような矩形板(振動板10)に電極1
4を配設して、その電極14間に発生する静電引力(静
電力)により振動板10を撓ませる場合、電極14は振
動板10の短辺方向に静電引力が発生するように配設す
ると効率が向上する。しかしながら、振動板10は4辺
が固定されているために、短辺方向断面でみると、振動
板の各領域の撓む向きは同じではなくなる。つまり、振
動板10の固定端部(領域)付近と中央部(領域)付近
では撓む向きが逆になる。
【0060】このように撓みの向きが逆になっている各
部分(各領域)両方共に同じ構成の電極14を配設する
と、振動板10の変位を抑制する部分が生じることにな
り、結果として振動板10の撓み量は減少することにな
る。そこで、振動板10の撓む方向が同じ領域にのみ電
極14を配設することによって振動板10の撓み量を大
きくすることができる。
【0061】ここで、電極14を配設する領域について
実験検討を重ねた結果、得られる振動板10の撓み量δ
maxを100%とすると、静電引力が発生する領域と
して振動板短辺方向端から短辺長比35%以上の領域に
電極14を配置することによって、振動板10の撓み量
δは80%以上を得ることが可能になることを確認し
た。更に、このように振動板10の短辺長比35%以上
の領域に電極14を配置する場合、振動板10の短辺方
向端から短辺長比15%以下の領域には電極14を配置
しないことによってより確実に撓み量δ=80%以上を
得ることができる。
【0062】そこで、上記各実施形態においては、図1
0(a)に示すように、振動板10の振動板短辺方向幅
aに対してスペースL=a*0.35以上の領域に電極
14を配置し、また、振動板短辺方向幅aに対してa*
0.15以下の領域には電極14を配置していない。こ
れにより、振動板10は同図(b)に示すように変位
し、効率的な振動板10の変位が得られる。
【0063】ここで、このような電極の配置領域につい
てのシュミレーション結果について説明する。ここで
は、構造解析用シミュレーションツールであるI−DE
AS(商品名)を用いて電極配置領域と撓み量の相関関
係をシュミレートした。
【0064】先ず、シミュレートした振動板10及び電
極24の構成を図11に示している。ここでは、ヘッド
の集積度300dpiを想定して、振動板10の短辺幅
は60μmとし、厚みを0.15μmとしている。振動
板材料は単層のSiN(窒化シリコン膜:第2実施形態
のもの)とし、ヤング率として240GPaを用いた。
【0065】また、電極24は振動板短辺方向に5本配
設された構成とした。電極24の高さhは4μmとし、
そのうち静電引力が働く部分の高さは2μmとし、その
電極間距離は0.5μmとした。電極材料はポリシリコ
ンであり、ヤング率は170GPaを用いた。なお、電
極24は直線型ではなく、上述したように静電引力が働
かない部分を細くした構成を採り、振動板の撓み易い領
域を増加させて振動板の撓み量を大きくできる構造し
た。電極24の細い部分の厚みは2μmである。また、
電極間に働く力は、60mN/mmの引力を与えた。
【0066】そして、パラメータとして振動板端の振動
板を撓ませない領域(電極14を設けない領域、より正
確には、静電引力を発生させない領域)としてスペース
Lを採り、シミュレーションにより得られた振動板10
の撓み量を表1に示している。
【0067】
【表1】
【0068】この表1の結果から分かるように、スペー
スL=15μm(短辺長aに対する比率25%)とした
場合の撓み量δを最大として、スペースLが増加しても
減少しても、撓み量δは減少している。スペースLが1
5μmよりも小さい場合には、電極24間の静電引力に
よる振動板10の撓みが、短辺端部の逆向きへの撓みを
阻害し、結果として振動板10の撓み量δを減らしてい
る。一方、スペースLが15μmよりも大きい場合に
は、電極24間の引力により撓む振動板10のトータル
スペースが狭くなることにより、撓み量δが減少してい
る。
【0069】したがって、撓み量δの最大値(L=15
μmのケース)を100%として、短辺端スペースLを
振動板短辺幅aの15%以上35%未満とすれば、撓み
量δを80%以上とすることができる。
【0070】すなわち、振動板10の短辺方向端部から
少なくとも短辺長比で35%以上の領域には電極を設け
ることによって撓み量δを最大撓み量δmaxの80%
以上にすることができる。この場合、振動板10に短辺
方向端部から少なくとも短辺長比で35%未満の領域に
電極を設けるときには、短辺方向端部から短辺長比で1
5%未満の領域には電極を設けないことが好ましい。
【0071】次に、本発明の第4実施形態に係るインク
ジェットヘッドについて図12を参照して説明する。な
お、同図は同ヘッドの振動板短手方向に沿う断面説明図
である。この実施形態においては、振動板10の短辺方
向両端部付近に複数の電極(ここでは、「可動電極」と
も称する。)14を所定の間隔を置いて形成して、振動
板10と各可動電極14とを電気的に分離して設けると
ともに各可動電極14のうちの相隣り合う2つの可動電
極14は相互に電気的に分離し、さらに、第2基板2に
は可動電極14に所定の間隔を置いて対向する固定電極
14Aを設けている。
【0072】ここで、振動板10に複数の可動電極14
を設ける領域は、後述するように振動板10の短辺方向
端部から少なくとも短辺長比で15%以下の領域であ
り、かつ、短辺方向端部から少なくとも短辺長比で35
%以上の領域に電極14が存在しない構成としている。
なお、振動板10の構成は前記各実施形態のものを用い
ることができ、電極14に代えて電極24を用いること
もできる(以下の実施形態でも同様である。)。
【0073】このように構成したインクジェットヘッド
の動作を説明する。固定電極14A及び1つおきの可動
電極14に駆動回路により0Vから40Vのパルス電位
を印加すると、固定電極54及び1つおきの可動電極1
4の表面がプラスに帯電し、パルス電位を印加していな
い隣り合う可動電極14との間で、図13に示すよう
に、静電気の吸引作用が働き、振動板10が下方へたわ
む。その結果、吐出室6の内容積が増加するので、イン
クが共通液室8より流体抵抗部7を通じて吐出室6内に
補給される。
【0074】そして、固定電極14A及び可動電極14
の電位が0Vに戻ると、電極14A、14間、14、1
4間に電位差はなくなり、振動板10は元の状態に復元
する。振動板10が復元することにより、吐出室6内の
圧力が急激に上昇し、ノズル孔4よりインク液滴が吐出
される。すなわち、この実施形態では引き打ち法でイン
ク滴を吐出させることができる。
【0075】ここで、振動板10に可動電極14を設け
る領域について説明する。この実施形態のインクジェッ
トヘッドについて電極14を配設する領域について実験
検討を重ねた結果、得られる振動板10の撓み量δma
xを100%とすると、静電引力が発生する領域として
振動板短辺方向端から短辺長比15%以下の領域に電極
14を配置することによって、振動板10の撓み量δは
80%以上を得ることが可能になることを確認した。更
に、このように振動板10の短辺長比15%以下の領域
に電極14を配置する場合、振動板10の短辺方向端か
ら短辺長比35%以上の領域には電極14を配置しない
ことによってより確実に撓み量δ=80%以上を得るこ
とができる。
【0076】そこで、上記実施形態においては、図14
(a)に示すように、振動板10の振動板短辺方向幅a
に対してスペースL=a*0.15以下の領域に電極1
4を配置し、また、振動板短辺方向幅aに対してa*
0.35以上の領域には電極14を配置していない。こ
れにより、振動板10は同図(b)に示すように変位
し、効率的な振動板10の変位が得られる。
【0077】ここで、このような電極の配置領域につい
てのシュミレーション結果について説明する。なお、構
造解析用シミュレーションツールであるI−DEAS
(商品名)を用いて電極配置領域と撓み量の相関関係を
シュミレートした。
【0078】先ず、シミュレートした振動板10及び電
極24の構成を図15に示している。ここでは、ヘッド
の集積度300dpiを想定して、振動板10の短辺幅
は60μmとし、厚みを0.15μmとしている。振動
板材料は単層のSiN(窒化シリコン膜:第2実施形態
のもの)とし、ヤング率として240GPaを用いた。
【0079】また、電極24は振動板短辺方向に合計6
本配設し、各端部に3本、うちの1本は固定電極とした
構成とした。電極24の高さhは4μmとし、そのうち
静電引力が働く部分の高さは2μmとし、その電極間距
離は0.5μmとした。電極材料はポリシリコンであ
り、ヤング率は170GPaを用いた。なお、電極24
は直線型ではなく、上述したように静電引力が働かない
部分を細くした構成を採り、振動板の撓み易い領域を増
加させて振動板の撓み量を大きくできる構造した。電極
24の細い部分の厚みは2μmである。また、電極間に
働く力は、60mN/mmの引力を与えた。
【0080】そして、パラメータとして振動板端の振動
板を撓ませる領域(電極14を設けない領域、より正確
には、静電引力を発生させない領域)としてスペースL
を採り、シミュレーションにより得られた振動板10の
撓み量を表2に示している。
【0081】
【表2】
【0082】この表2の結果から分かるように、スペー
スL=15μm(短辺長aに対する比率25%)とした
場合の撓み量δを最大として、スペースLが増加しても
減少しても、撓み量δは減少している。スペースLが1
5μmよりも大きい場合には、電極24間の静電引力に
よる振動板10の撓みが、短辺端部の逆向きへの撓みを
阻害し、結果として振動板10の撓み量δを減らしてい
る。一方、スペースLが15μmよりも小さい場合に
は、電極24間の引力により撓む振動板10のトータル
スペースが狭くなることにより、撓み量δが減少してい
る。
【0083】したがって、撓み量δの最大値(L=15
μmのケース)を100%として、短辺端スペースLを
振動板短辺幅aの15%以上35%未満とすれば、撓み
量δを80%以上とすることができる。
【0084】すなわち、振動板10の短辺方向端部から
短辺長比で15%以下の領域に電極を設けることによっ
て撓み量δを最大撓み量δmaxの80%以上にするこ
とができる。この場合、振動板10に短辺方向端部から
短辺長比で15%以上の領域に電極を設けるときには、
短辺方向端部から短辺長比で35%以上の領域には電極
を設けないことが好ましい。
【0085】上述した表1及び表2の結果を図15にグ
ラフ化して示している。振動板短辺幅に対するスペース
L(L=L、L)の領域比率を横軸に、変位量δの最大
値δmaxを100%として各ケースにおける変位量δ
の比率を縦軸に採っている。同図から分かるように第1
乃至第3実施形態と第4実施形態の結果はほぼ同じライ
ンに乗る。ただし、第1乃至第3実施形態と第4実施形
態とでは、振動板の撓む向きは逆である。
【0086】次に、振動板に設ける電極の振動板短辺方
向幅tと振動板の変位量(撓み量)δの関係について説
明する。ここでも、構造解析用シミュレーションツール
であるI−DEAS(商品名)を用いて電極幅tと撓み
量の相関関係をシュミレートした。
【0087】先ず、シミュレートした振動板10及び電
極24の構成を図17に示している。ここでは、ヘッド
の集積度600dpiを想定して、振動板10の短辺幅
は30μmとし、厚みを0.15μmとしている。振動
板材料は単層のSiN(窒化シリコン膜:第2実施形態
のもの)とし、ヤング率として240GPaを用いた。
【0088】また、電極24は振動板短辺方向に3本配
設された構成とした。電極24の高さhは4μmとし、
そのうち静電引力が働く部分の高さは2μmとし、その
電極間距離は0.5μmとした。電極材料はポリシリコ
ンであり、ヤング率は170GPaを用いた。電極24
の細い部分の厚み(これを「電極幅t」とする。)はパ
ラメータとした。また、電極間に働く力は、60mN/
mmの引力を与えた。
【0089】そして、パラメータとして、各電極幅tに
ついて、振動板端の振動板を撓ませない領域(電極14
を設けない領域、より正確には、静電引力を発生させな
い領域)としてスペースLを採り、シミュレーションに
より得られた振動板10の撓み量を表3(電極幅t=1
μm)、表4(電極幅t=2μm)、表5(電極幅t=
3μm)に示している。また、図18に表3、表4、表
5の結果をグラフ化して示している。なお、同図中、2
点鎖線は表3、破線は表4、実線は表5の各結果を表し
ている。
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】
【表5】
【0093】この結果から分かるように、L=8μm
(短辺長に対する比率26.7%)とした場合に撓み量
δが最大となり、全ての電極幅tにおいてほぼ同じライ
ンに乗っている。
【0094】前述した図16と図12のグラフが全く同
じラインに乗らないのは、振動板10上の電極14を配
置された領域の振動板10に対する比率、また静電引力
が働く部分に対する比率が寄与しているためと考えられ
る。しかしながら、前述したように、パラメータLを1
5%以上35%以内とすることで、振動板の変位量δを
最大値δmaxのほぼ80%以上にすることができる。こ
のことは材料力学的にも振動板の厚み等によらない結果
である。
【0095】次に、本発明の第5実施形態に係るインク
ジェットヘッドついて図19及び図20を参照して説明
する。なお、図19は同ヘッドの振動板短手方向に沿う
断面説明図、図20は同ヘッドの説明に供する説明図で
ある。この実施形態においては、振動板10のほぼ全面
に複数の電極14を設けるとともに、第2基板2の固定
部にも固定電極14Aを設けたものである。
【0096】そして、このヘッドにおいては、図20に
示すように、振動板短辺方向端から少なくとも短辺長比
15%以下の領域に存在する複数の電極14、14Aの
群(第1電極群25A、25A)と、振動板短辺方向端
から少なくとも35%以上の領域に存在する複数の電極
14の群(第2電極群25B)に対して、異なる駆動タ
イミングで電圧を印加できるようにしている。
【0097】これによって、例えば、所定のタイミング
で第1電極群25Aの電極14、14Aに駆動電圧を印
加することによって、前述した第4実施形態で説明した
図15に示すと同様に、静電気の吸引作用が働き振動板
10が下方へたわむ。その結果、吐出室6の内容積が増
加するので、インクが共通液室8より流体抵抗部7を通
じて吐出室6内に補給される。
【0098】そこで、第1電極群25Aに対する電圧印
加を解除するとともに、第2電極群25Bの電極14に
駆動電圧を印加することによって、前述した第1実施形
態で説明した図10に示すと同様に、静電気の吸引作用
が働き、振動板10が上方へたわむ。その結果、吐出室
6内の圧力が急激に上昇し、ノズル孔4よりインク液滴
が吐出される。すなわち、この実施形態では、引き−押
し打ち法でインク滴を吐出させることができる。
【0099】次に、本発明の第6実施形態に係るインク
ジェットヘッドついて図21及び図22を参照して説明
する。なお、図21は同ヘッドの振動板短手方向に沿う
断面説明図、図22は同ヘッドの説明に供する説明図で
ある。この実施形態においては、振動板10の一方の
面、ここでは吐出室6側面に振動板短辺方向端から少な
くとも短辺長比15%以下の領域に存在する複数の電極
14、14Aの群(第1電極群26A、26A)を設け
るとともに、振動板10の他方の面、ここでは電極側面
に振動板短辺方向端から少なくとも35%以上の領域に
存在する複数の電極14の群(第2電極群26B)を設
けている。なお、少なくとも液室側に存在する第1電極
群26Aの電極14、14Aについては、図示を省略し
ているが、液による腐食を防止するため熱酸化膜、シリ
コン窒化膜などの絶縁膜で表面を被覆している。
【0100】このヘッドにおいては、第1電極群26
A、26A及び第2電極群26Bの電極14、14Aに
対して同時に駆動電圧を印加することによって、振動板
10は図22(b)に示すように撓むことになる。すな
わち、第1電極群26A、26Aと第2電極群26Bと
を異なる面に設けているので、各電極群に同時に駆動電
圧を印加しても、振動板10の撓み方向は同じになる。
【0101】ここで、このような電極の配置領域につい
てのシュミレーション結果について説明する。なお、構
造解析用シミュレーションツールであるI−DEAS
(商品名)を用いて電極配置領域と撓み量の相関関係を
シュミレートした。
【0102】先ず、シミュレートした振動板10及び電
極24の構成を図23に示している。ここでは、図11
に示した構成において、最大の撓み量を与えたスペース
L=15μmの構成において、振動板逆面のスペースL
の部分にさらに電極(第1電極群)を形成している。な
お、その他の振動板、電極形状、材料、構成などは図1
1で説明したとおりである。シミュレーションにより得
られた振動板10の撓み量を表6に示している。なお、
同表にはスペースL=15μmの領域に電極を設けない
ときの結果も比較のために示している。
【0103】
【表6】
【0104】ここでは、振動板変位量δを最大にするた
めの電極配置の最適化は行なっていないが、明らかに変
位量の増加が認められ、本実施形態による効果が得られ
ることが分かる。
【0105】次に、本発明に係るインクジェットヘッド
の電極構成の更に他の例について図24を参照して説明
する。なお、同図は同ヘッドの電極部分を説明する模式
的斜視説明図である。この電極34は、振動板10に固
定され静電引力を生じない基部34aと自由端部34b
とを有し、自由端部34b、34bには隣り合う電極3
4の自由端部34bに形成した切り欠き部34c内に回
り込んで対向する対向部34b1を設けている。
【0106】このように構成したので、隣り合う2つの
電極34、34に駆動電圧を印加した場合、一方の電極
34の対向部34b1と他方の電極34の対向部34b
1との間で互いに引き合う静電引力が生じ、一方の電極
34の対向部34b1が引かれる方向は自身の基部34
aが他方の電極34から離れる方向になり、同様に他方
の電極34の対向部34b1が引かれる方向は自身の基
部34aが一方の電極34から離れる方向になる。
【0107】したがって、2つの電極34、34は振動
板10に対して各鉛直軸が離れる方向に変位することに
なる。つまり、前述した各実施形態における電極14,
24の構成は静電引力と電極が変位する方向が同じにな
るのに対して、この実施形態における電極34の構成は
静電引力の生じる方向と電極の変位する方向が逆にな
る。
【0108】このような電極34は上記各実施形態のイ
ンクジェットヘッドに適用することができる。また、静
電引力の方向と電極の変位する方向が同じになる電極1
4(あるいは電極24)と、静電引力の方向と電極の変
位する方向が逆になる電極34とを用いて、振動板の撓
む方向が異なる領域においてそれぞれ異なる電極を配置
することによって、振動板の撓み量を大きくすることが
できる。
【0109】この場合の本発明に係る第7実施形態に係
るインクジェットヘッドについて図25を参照して説明
する。なお、同図は同ヘッドの電極配置を説明する模式
的説明図である。この実施形態では、振動板10には振
動板短辺方向端から少なくとも短辺長比15%以下の領
域に設ける第1電極群35Aを構成する電極として上記
電極34(図示は簡略化して示している)を配置し、振
動板短辺方向端から少なくとも35%以上の領域に設け
る第2電極群35Bを構成する電極として前記電極14
(又は24)を配置している。
【0110】したがって、この実施形態では、第1電極
群35Aと第2電極群35Bに同じタイミングで駆動電
圧を印加して振動板10を第6実施形態と同様に変形さ
せることができ、しかも、第6実施形態のように液室側
に電極を配置する必要がなくなる。
【0111】次に、振動板10に複数の電極を設けて振
動板を変形させる場合の電極の配置構成と振動板10の
変形形状との関係について説明する。振動板10を平面
矩形状に形成し、振動板10の一辺(ここでは短辺)を
xとし、振動板10が変形したときの初期位置に対する
変位量をyとし、定数をA、Lとしたとき、初期位置と
変形後の位置との間で、次の(2)式が成り立つことが
好ましい。
【0112】
【数2】
【0113】この(2)式で表される形状はガウシャン
形状と称される形状であり、最も変位効率が高くなる。
したがって、振動板の変形状態がガウシャン形状又は略
ガウシャン形状になるように、電極の配置位置を決定す
ることで、より効率的な滴吐出を行うことができる。こ
れは、特に、第6実施形態や第7実施形態のように振動
板全体に電極を設けて、且つ、各電極を同じタイミング
で駆動して振動板を変形させるような場合の電極配置に
有効である。
【0114】以上の各実施形態の結果より、電極構成と
しては、静電引力の発生により対向した電極が近づく構
成と離れる構成の2種類もしくはそのうちの一方を採用
し、電極の配置面は振動板両面もしくは片面を考えた場
合、さまざまな電極配置、組み合わせが考えられるが、
変位量を効率的に大きくするためには、本発明で示した
ようにパラメータLの振動板短辺幅に対する比率を15
%以上35%以下とすることに留意して電極を配置すれ
ば効果的であることが分かる。
【0115】次に、第8実施形態に係るインクジェット
ヘッドについて図26を参照して説明する。なお、同図
は同ヘッドの振動板短手方向に沿う断面説明図である。
この実施形態においては、電極14と同一材料の層又は
構造体であるスペーサ28を振動板10以外の領域で電
極14を形成する面と略同一平面に形成している。この
スペーサ28は電極14と同時に形成することができ、
振動板領域以外の電極材料を除去しないことで形成する
ことができる。
【0116】このようなスペーサ28を設けることによ
り第1基板1を第2基板2に接合する前の工程におい
て、微小な構造体である電極14を保護することがで
き、製造工程においてウェハ搬送や、プロセス中におけ
る電極14の破損による不良を低減することができる。
【0117】次に、上述した第8実施形態に係るインク
ジェットヘッドの製造工程について図27乃至図29を
参照して説明する。ここでは、電極14を単結晶シリコ
ンで形成している。また、振動板10は、高濃度p型不
純物層、例えば高濃度ボロン拡散層であって、高濃度p
型不純物層は所望の振動板厚と同じだけの厚さ、ここで
は1μmを有している。
【0118】すなわち、図27(a)に示すように第1
基板1となる(110)を面方位とする厚さ400μm
のシリコン基板41にイオン注入法によりボロンを拡散
し、高濃度ボロン拡散層42を形成する。ここでは、深
さ1μmの高濃度ボロン拡散層42を形成した。高濃度
ボロン拡散層42の表面にはシリコンとボロンの化合物
層が形成されるが、この層を除去するためには、化合物
層を熱酸化し、フッ酸系エッチング液によりエッチング
することによって除去できる。シリコンの拡散した面は
面荒れが生じ、後の直接接合で強固な接合が得られない
ことがある。そのために拡散面をポリッシュして平滑な
面を形成しておく。なお、第1基板1となる基板として
は、(110)面方位のシリコン基板に代えて、(10
0)面方位のシリコン基板を用いても良い。
【0119】次いで、同図(b)に示すように化合物層
を除去しポリッシュした後に900℃/5分のウェット
酸化により絶縁膜11となる熱酸化膜43を50nm厚
みで形成する。ここで、酸化膜の成膜方法としては、プ
ラズマCVD、スパッタ、HTO、TEOSなどがある
が、絶縁耐圧、欠陥、残留電荷、耐久性などの点で熱酸
化膜が好ましい。
【0120】そして、同図(c)に示すように、電極1
4を形成するための別のシリコン基板44を用意し、こ
のシリコン基板44をシリコン基板41の高濃度ボロン
拡散層42側に直接接合する。ここでは、シリコン基板
44として(100)面方位のシリコンウェハを用い
た。表面性の良いシリコンウェハを貼り合わせ高温加熱
することによって2枚のウェハは強固に接合される。こ
こでは1000℃/2時間の加熱処理をした。
【0121】その後、同図(d)に示すように、シリコ
ン基板44を所望の電極14の長さ(高さ)となる厚さ
20μmまで研磨する。
【0122】次いで、図28(a)に示すように、フォ
トリソにより研磨したシリコン基板44上にレジストパ
ターンを形成し、ドライエッチングによりシリコン基板
44を間隔0.5μm、幅0.5μmの線幅でエッチン
グし電極14を形成するとともに、スペーサ28を形成
する。電極14の形状は、例えば図4のように櫛の歯形
状となっている。エッチングは酸化膜43がストップ層
となる。非常に深い溝を細くエッチングする必要がある
のでドライエッチングはICPが有効である。
【0123】そして、同図(b)に示すようにLP−C
VDで水酸化カリウムエッチングのマスクとなるシリコ
ン窒化膜46を形成する。その後、同図(c)に示すよ
うに、シリコン窒化膜46上に吐出室6や共通液室8な
どの形状のレジストパターンを得て、レジストの開口部
のシリコン窒化膜46と酸化膜43をドライエッチによ
りエッチング除去し、レジストを除去する。
【0124】その後、図29(a)に示すように、例え
ば80℃の25wt%の水酸化カリウム水溶液でシリコ
ン窒化膜46および酸化膜43の開口部からシリコン基
板41を高濃度ボロン拡散層42に達する直前(残り1
0μm程度)まで、エッチングを行う。次に、エッチン
グ液をIPAを過飽和状態にした80℃の30wt%の
水酸化カリウム水溶液に変え、エッチングを継続して、
高濃度ボロン拡散層42に達するとエッチングは自発的
に停止する。
【0125】ここで、25wt%の水酸化カリウム水溶
液ではエッチレートが大きく、また安定したエッチング
が得られる。またIPA添加30wt%の水酸化カリウ
ム水溶液ではシリコン基板と高濃度ボロン層のエッチン
グ選択比が大きく、精度よくエッチングストップができ
る。IPAは沸点が低く熱を加えると蒸発が激しいの
で、蒸気を冷却して液化しエッチング槽に戻してやる環
流装置を付けるのが好ましい。高濃度ボロン拡散層のエ
ッチング選択比を大きくできるエッチング液としてはI
PA添加の水酸化カリウム以外では、3wt%〜10wt%
程度の低濃度の水酸化カリウム水溶液やEDPなどでも
良い。
【0126】その後、同図(b)に示すように、シリコ
ン窒化膜46は熱リン酸、フッ酸などによって、熱酸化
膜43をフッ酸などで除去して、吐出室6及び吐出室6
の底壁をなす1μmの厚さのシリコンの振動板10を形
成する。
【0127】ここでは、電極14を単結晶シリコンで形
成しているので、ウェハ貼り合わせ後の研磨により電極
14の厚さ(長さ)を決めることができ、成膜では不可
能な厚さの厚い電極を形成することができる。電極が厚
い(高さが高い)と小さな力で振動板を変形させること
ができ、低電圧で駆動することが可能となる。また、貼
り合わせたシリコンウェハ44の電極として用いていな
い領域を利用して、液滴吐出ヘッドの駆動回路を集積化
することも可能である。シリコンウェハ44は半導体素
子形成に用いるものそのものなので駆動回路を形成する
のに好適である。
【0128】また、高濃度ボロン拡散層の形成にはイオ
ン注入のほかに固体拡散、塗布拡散やボロンをドープし
たエピタキシャル層によっても形成することもできる。
イオン注入では浅い拡散層を精度良く形成することがで
きるので、薄い振動板を形成するのに好適である。ま
た、エピタキシャル層では、シリコン基板の上にボロン
をドープした層を成長させるので、固体拡散、イオン注
入、塗布拡散に比べ、高濃度ボロン領域の境界が明確に
なり、急峻なエッチングストップを実現できより精度の
良い振動板を形成することができる。
【0129】さらに、高濃度ボロンストップ以外には、
P型シリコン基板にN型層あるいはN型シリコン基板の
P型層を形成して電気化学エッチングストップを行う方
法などを用いることもできる。
【0130】また、上述したように電極14に単結晶シ
リコン或いはポリシリコンなどの半導体を用いた場合に
は、高周波数駆動、多チャンネル駆動を行うと電極の電
気抵抗値が問題となることがある。この場合には、n型
又はp型の伝導型を有する不純物原子、例えばn型であ
ればリン、砒素、p型であればボロンやアンチモン等を
導入することが好ましい。
【0131】次に、本発明に係るインクカートリッジに
ついて図30を参照して説明する。このインクカートリ
ッジ100は、ノズル孔101等を有する上記各実施形
態のいずれかのインクジェットヘッド101と、このイ
ンクジェットヘッド101に対してインクを供給するイ
ンクタンク102とを一体化したものである。
【0132】このようにインクタンク一体型のヘッドの
場合、ヘッドの低コスト化、信頼性は、ただちにインク
カートリッジ全体の低コスト化、信頼性につながるの
で、上述したように低コスト化、高信頼性化、製造不良
低減することで、インクカートリッジの歩留まり、信頼
性が向上し、ヘッド一体型インクカートリッジの低コス
ト化を図れる。
【0133】次に、本発明に係るインクジェットヘッド
又はインクカートリッジを搭載したインクジェット記録
装置の一例について図31及び図32を参照して説明す
る。なお、図31は同記録装置の斜視説明図、図32は
同記録装置の機構部の側面説明図である。
【0134】このインクジェット記録装置は、記録装置
本体111の内部に主走査方向に移動可能なキャリッ
ジ、キャリッジに搭載した本発明に係るインクジェット
ヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給
するインクカートリッジ等で構成される印字機構部11
2等を収納し、装置本体111の下方部には前方側から
多数枚の用紙113を積載可能な給紙カセット(或いは
給紙トレイでもよい。)114を抜き差し自在に装着す
ることができ、また、用紙113を手差しで給紙するた
めの手差しトレイ115を開倒することができ、給紙カ
セット114或いは手差しトレイ115から給送される
用紙113を取り込み、印字機構部112によって所要
の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ1
16に排紙する。
【0135】印字機構部112は、図示しない左右の側
板に横架したガイド部材である主ガイドロッド121と
従ガイドロッド122とでキャリッジ123を主走査方
向(図32で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、この
キャリッジ123にはイエロー(Y)、シアン(C)、
マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を
吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェ
ットヘッドからなるヘッド124を複数のインク吐出口
を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方
向を下方に向けて装着している。またキャリッジ123
にはヘッド124に各色のインクを供給するための各イ
ンクカートリッジ125を交換可能に装着している。な
お、本発明に係るヘッド一体型のインクカートリッジを
搭載するようにすることもできる。
【0136】インクカートリッジ125は上方に大気と
連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへイン
クを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多
孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジ
ェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持
している。
【0137】また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘ
ッド124を用いているが、各色のインク滴を吐出する
ノズルを有する1個のヘッドでもよい。
【0138】ここで、キャリッジ123は後方側(用紙
搬送方向下流側)を主ガイドロッド121に摺動自在に
嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッ
ド122に摺動自在に載置している。そして、このキャ
リッジ123を主走査方向に移動走査するため、主走査
モータ127で回転駆動される駆動プーリ128と従動
プーリ129との間にタイミングベルト130を張装
し、このタイミングベルト130をキャリッジ123に
固定しており、主走査モーター127の正逆回転により
キャリッジ123が往復駆動される。
【0139】一方、給紙カセット114にセットした用
紙113をヘッド124の下方側に搬送するために、給
紙カセット114から用紙113を分離給装する給紙ロ
ーラ131及びフリクションパッド132と、用紙11
3を案内するガイド部材133と、給紙された用紙11
3を反転させて搬送する搬送ローラ134と、この搬送
ローラ134の周面に押し付けられる搬送コロ135及
び搬送ローラ134からの用紙113の送り出し角度を
規定する先端コロ136とを設けている。搬送ローラ1
34は副走査モータ137によってギヤ列を介して回転
駆動される。
【0140】そして、キャリッジ123の主走査方向の
移動範囲に対応して搬送ローラ134から送り出された
用紙113を記録ヘッド124の下方側で案内する用紙
ガイド部材である印写受け部材139を設けている。こ
の印写受け部材139の用紙搬送方向下流側には、用紙
113を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送
コロ141、拍車142を設け、さらに用紙113を排
紙トレイ116に送り出す排紙ローラ143及び拍車1
44と、排紙経路を形成するガイド部材145,146
とを配設している。
【0141】記録時には、キャリッジ123を移動させ
ながら画像信号に応じて記録ヘッド124を駆動するこ
とにより、停止している用紙113にインクを吐出して
1行分を記録し、用紙113を所定量搬送後次の行の記
録を行う。記録終了信号または、用紙113の後端が記
録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を
終了させ用紙113を排紙する。この場合、ヘッド12
4を構成する本発明に係るインクジェットヘッドはイン
ク滴噴射の制御性が向上し、特性変動が抑制されている
ので、安定して高い画像品質の画像を記録することがで
きる。
【0142】また、キャリッジ123の移動方向右端側
の記録領域を外れた位置には、ヘッド124の吐出不良
を回復するための回復装置147を配置している。回復
装置147はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手
段を有している。キャリッジ123は印字待機中にはこ
の回復装置147側に移動されてキャッピング手段でヘ
ッド124をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に
保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。
また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出す
ることにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、
安定した吐出性能を維持する。
【0143】吐出不良が発生した場合等には、キャッピ
ング手段でヘッド124の吐出口(ノズル)を密封し、
チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに
気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等
はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復され
る。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された
廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のイ
ンク吸収体に吸収保持される。
【0144】このように、このインクジェット記録装置
においては本発明を実施したインクジェットヘッド又は
インクカートリッジを搭載しているので、滴吐出効率が
高く、安定したインク滴吐出特性が得られて、画像品質
が向上する。また、低電圧で駆動できるヘッドを搭載す
るので、インクジェット記録装置全体の消費電力も低減
できる。
【0145】次に、本発明に係るマイクロポンプについ
て図33を参照して説明する。なお、同図は同マイクロ
ポンプの要部断面説明図である。このマイクロポンプ
は、流路基板201と保護基板202とを重ねて接合し
た積層構造となっており、流路基板201には流体が流
れる流路203を形成するとともに、流路203の一壁
面を形成する変形可能な可動板204(ヘッドの振動板
に相当する。)を設け、可動板204の保護基板202
と接合固定しない部分は可動部分205となっている。
【0146】そして、可動部分205には絶縁膜206
を介して外面側に、前記インクジェットヘッドと同様
に、複数の電極207を所定の間隔を置いて設け、可動
部分205と電極207で本発明に係るマイクロアクチ
ュエータを構成している。なお、電極の配置構成、材料
等は前述したヘッドの実施形態と同様である(ただし、
流路内に電極を配置する構成は好ましくない。)。保護
基板202は前記ヘッドの第2基板2と同様な機能を有
するものであり、電極207を配置するための凹部20
8を形成している。ここでは、保護基板202は平板板
基板にスペーサ部209を設けることで凹部208を形
成している。
【0147】このマイクロポンプの動作原理を説明する
と、前述したように複数の電極207に対して1つおき
にパルス電位を与えることによって電極207間で静電
吸引力が生じるので、可動部分205が流路203側に
変形する。ここで、可動部分205を図中右側から順次
駆動することによって流路203内の流体は、矢印方向
へ流れが生じ、流体の輸送が可能となる。
【0148】この場合、本発明に係るマイクロアクチュ
エータを備えることで、可動部分の変位効率が向上し、
振動板の撓み量を大きくできるので、マイクロポンプの
性能が大きく向上する。なお、この実施形態では可動部
分を複数設けた例を示したが、可動部分は1つでも良
い。また、輸送効率を上げるために、可動部分間に1又
は複数の弁、例えば逆止弁などを設けることもできる。
【0149】次に、本発明に係る光学デバイスの実施形
態について図34を参照して説明する。なお、同図は同
デバイスの概略構成図である。この光学デバイスは、変
形可能なミラー301と保護基板302とを重ねて接合
しており、ミラー301の保護基板302と接合固定し
ない部分は可動部分305となっている。そして、可動
部分305には絶縁膜306を介して外面側に複数の電
極307を所定の間隔を置いて設けている。これらの可
動部分305と電極307で本発明に係るマイクロアク
チュエータを構成している。なお、電極の配置構成、材
料等は前述したヘッドの実施形態と同様である(ただ
し、ミラー面に電極を配置する構成は採り得ない。)。
【0150】保護基板302は前記ヘッドの第2基板2
と同様な機能を有するものであり、電極307を配置す
るための凹部308を形成している。ここでは、保護基
板302は平板板基板にスペーサ部309を設けること
で凹部308を形成している。なお、ミラー301表面
は反射率を増加させるため誘電体多層膜や金属膜を形成
すると良い。
【0151】この光学デバイスの原理を説明すると、ミ
ラー301の可動部分305に設けた複数の電極307
に対して1つおきにパルス電位を与えることによって、
電極307間で静電吸引力が生じるので、可動部分30
5が凸状に変形して凸面ミラーとなる。したがって、光
源310からの光がレンズ311を介してミラー301
に照射した場合、ミラー301を駆動しないときには、
光は入射角と同じ角度で反射するが、ミラー301を可
動部分305を駆動した場合はその可動部分305が凸
面ミラーとなるので反射光は発散光となる。これにより
光変調デバイスが実現できる。
【0152】そして、本発明のマイクロアクチュエータ
を備えることで可動部分の変位効率が向上し、可動部分
の撓み量を大きくできるので、光学ミラーの性能を大き
く向上させることができる。
【0153】そこで、この光学デバイスを応用した例を
図35及び図36をも参照して説明する。この例は、上
述した光学デバイスを2次元に配列し、各ミラーの可動
部分305を独立して駆動するようにしたものである。
なお、ここでは、4×4の配列を示しているが、これ以
上配列することも可能である。また、1つの可動部分3
05において電極307は格子状に分割し、可動部分3
05が2軸で変形するようにしている(前記ヘッド、マ
イクロアクチュエータ等においても同様の構成を採用す
ることができる。)。
【0154】したがって、前述した図34と同様に、光
源310からの光はレンズ311を介してミラー301
に照射され、ミラー301を駆動していないところに入
射した光は、投影用レンズ312へ入射する。一方、電
極307に電圧を印加してミラー301の可動部分30
5を変形させているところは凸面ミラーとなるので光は
発散し投影用レンズ312にほとんど入射しない。この
投影用レンズ312に入射した光はスクリーン(図示し
ない)などに投影され、スクリーンに画像を表示するこ
とができる。
【0155】これらのマイクロポンプや光学デバイスの
実施形態においては、上記各実施形態に係るインクジェ
ットヘッドと同様な構成のアクチュエータを用いること
ができる。
【0156】なお、上記実施形態においては、液滴吐出
ヘッドとしてインクジェットヘッドに適用した例で説明
したが、インクジェットヘッド以外の液滴吐出ヘッドと
して、例えば、液体レジストを液滴として吐出する液滴
吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐
出ヘッドなどの他の液滴吐出ヘッドにも適用できる。ま
た、マイクロアクチュエータは、マイクロポンプ、光学
デバイス(光変調デバイス)以外にも、マイクロスイッ
チ(マイクロリレー)、マルチ光学レンズのアクチュエ
ータ(光スイッチ)、マイクロ流量計、圧力センサなど
にも適用することができる。
【0157】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る液滴
吐出ヘッドによれば、振動板には短辺方向端部から少な
くとも短辺長比で35%以上の領域に電気的に互いに絶
縁分離された導電性を有する構造体からなる複数の電極
を設け、電極間に静電力を発生させることによって振動
板を変形させるので、低コストで、振動板の変位量が大
きく、滴吐出効率が高くて、低電圧駆動が可能で、高画
質記録を行なうことができるヘッドが得られる。
【0158】ここで、振動板には短辺方向端部から少な
くとも短辺長比で15%未満の領域に電極が存在しない
ことで、より振動板の変位量を大きくすることができ
る。
【0159】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振
動板には短辺方向端部から少なくとも短辺長比で15%
以下の領域に電気的に互いに絶縁分離された導電性を有
する構造体からなる複数の電極を設け、電極間に静電力
を発生させることによって振動板を変形させるので、低
コストで、振動板の変位量が大きく、滴吐出効率が高く
て、低電圧駆動が可能で、高画質記録を行なうことがで
きるヘッドが得られる。
【0160】ここで、振動板には振動板短辺方向端部か
ら少なくとも短辺長比で35%以上の領域に電極が存在
しないことで、より振動板の変位量を大きくすることが
できる。
【0161】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振
動板には電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する
構造体からなる複数の電極を設け、各電極のうちの振動
板の短辺方向端部から少なくとも短辺長比で35%以上
の領域に存在する電極群と、各電極のうちの振動板の短
辺方向端部から少なくとも短辺長比で15%以下の領域
に存在する電極群とを電気的に独立駆動可能とし、各電
極群の電極間に静電力を発生させることによって振動板
を変形させるので、低コストで、振動板の変位量が大き
く、滴吐出効率が高くて、低電圧駆動が可能で、高画質
記録を行なうことができ、しかも、簡単な構成で、引き
打ち−押し打ち方式で駆動することができて、より滴吐
出効率を向上することができる。
【0162】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振
動板の一方の面には短辺方向端部から少なくとも短辺長
比で35%以上の領域に電気的に互いに絶縁分離された
導電性を有する構造体からなる複数の電極を設け、振動
板の他方の面には短辺方向端部から少なくとも短辺長比
で15%以下の領域に電気的に互いに絶縁分離された導
電性を有する構造体からなる複数の電極を設け、電極間
に静電力を発生させることによって振動板を変形させる
ので、低コストで、振動板の変位量が大きく、滴吐出効
率が高くて、低電圧駆動が可能で、高画質記録を行なう
ことができる。
【0163】これらの本発明に係る液滴吐出ヘッドのう
ち、振動板の短辺方向端部から少なくとも短辺長比で1
5%以下の領域に電極を設けるヘッドにおいては、振動
板に設けられた電極に所定の間隔をおいて対向する固定
電極を固定部に設けることで、効率的な駆動を行なうこ
とができる。
【0164】上記各本発明に係る液滴吐出ヘッドにおい
ては、電極は振動板が略ガウシャン形状に近似する形状
に変形するように配置されていることで、より効率的な
滴吐出特性を得ることができる。また、電極は振動板短
辺方向で振動板側基部が自由端部よりも狭い構造とする
ことで、振動板の変形可能領域を確保しつつ静電力を大
きくすることができる。さらに、振動板に設けた複数の
電極は、静電力の方向と電極の変位方向が逆方向である
ものとすることで、振動板の同一面に電極を配置しつつ
振動板の撓み量をより大きくすることができる。
【0165】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振
動板には電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する
構造体からなる複数の電極を設け、各電極のうちの振動
板の短辺方向端部から少なくとも短辺長比で35%以上
の領域に存在する電極群の電極構造と、各電極のうちの
振動板の短辺方向端部から少なくとも短辺長比で15%
以下の領域に存在する電極群の電極構造とが異なり、各
電極群の電極間に静電力を発生させることによって振動
板を変形させるので、低コストで、振動板の変位量が大
きく、滴吐出効率が高くて、低電圧駆動が可能で、高画
質記録を行なうことができ、しかも振動板の同一面に電
極を配置しつつ振動板の撓み量をより大きくすることが
できる。
【0166】上記各本発明に係る液滴吐出ヘッドにおい
ては、振動板は単層又は複層の絶縁性薄膜、或いはシリ
コンと電極側に形成した絶縁性薄膜との積層構造とする
ことで、電極から振動板へのリークを防止できて、より
駆動効率を高めることができる。
【0167】本発明に係るインクカートリッジによれ
ば、インク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドと
この液滴吐出ヘッドにインクを供給するインクタンクを
一体化したので、低コストで、振動板の変位量が大き
く、滴吐出効率が高くて、低電圧駆動が可能で、高画質
記録を行なうことができるようになる。
【0168】本発明に係るインクジェット記録装置によ
れば、インク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッド
或いは本発明に係るインクカートリッジを塔載したの
で、低コストで、低電圧駆動が可能で、高画質記録を行
なうことができる。
【0169】本発明に係るマイクロアクチュエータによ
れば、可動部分を変形させるマイクロアクチュエータで
あって、可動部分には短辺方向端部から少なくとも短辺
長比で35%以上の領域に電気的に互いに絶縁分離され
た導電性を有する構造体からなる複数の電極を設け、電
極間に静電力を発生させることによって可動部分を変形
させるので、低コストで、可動部分の変位量が大きく、
駆動効率が高くて、低電圧駆動が可能なアクチュエータ
が得られる。ここで、可動部分には短辺方向端部から少
なくとも短辺長比で15%以下の領域に上記短辺長比で
35%以上の領域に設けた電極と同時に駆動される電極
が存在しないことで、より駆動効率が向上する。
【0170】本発明に係るマイクロアクチュエータによ
れば、可動部分を変形させるマイクロアクチュエータで
あって、可動部分には短辺方向端部から少なくとも短辺
長比で15%以下の領域に電気的に互いに絶縁分離され
た導電性を有する構造体からなる複数の電極を設け、電
極間に静電力を発生させることによって可動部分を変形
させるので、低コストで、可動部分の変位量が大きく、
駆動効率が高くて、低電圧駆動が可能なアクチュエータ
が得られる。ここで、可動部分には振動板短辺方向端部
から少なくとも短辺長比で35%以上の領域に上記短辺
長比で15%以下の領域に設けた電極と同時に駆動され
る電極が存在しないことで、より駆動効率が向上する。
【0171】本発明に係るマイクロポンプによれば、可
動部分の変形によって液体を輸送するマイクロポンプで
あって、本発明に係るマイクロアクチュエータを備えた
ので、可動部分の撓み量が増加して、ポンプ性能が向上
する。
【0172】本発明に係る光学デバイスによれば、可動
部分に形成したミラーの変位によって光の反射方向を変
化させる光学デバイスであって、本発明に係るマイクロ
アクチュエータを備えたので、可動部分の撓み量が増加
して、ミラー性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出ヘッドの第1実施形態に係る
インクジェットヘッドの分解斜視説明図
【図2】同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図3】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説明
【図4】同ヘッドの電極配置パターンを説明する平面説
明図
【図5】同ヘッドの電極の他の例を説明する断面説明図
【図6】同ヘッドの作用説明に供する要部拡大断面説明
【図7】同第2実施形態に係るインクジェットヘッドの
振動板短手方向に沿う要部断面説明図
【図8】同第3実施形態に係るインクジェットヘッドの
振動板短手方向に沿う要部断面説明図
【図9】矩形状振動板の撓みの説明に供する説明図
【図10】第1乃至第3実施形態のヘッドの電極配置構
成の説明に供する説明図
【図11】第1乃至第4実施形態のヘッドの作用説明に
供するシュミレーションに用いた電極配置構成の説明図
【図12】同第4実施形態に係るインクジェットヘッド
の振動板短手方向に沿う要部断面説明図
【図13】同ヘッドの作用説明に供する要部拡大断面説
明図
【図14】第2実施形態のヘッドの電極配置構成の説明
に供する説明図
【図15】第2実施形態のヘッドの作用説明に供するシ
ュミレーションに用いた電極配置構成の説明図
【図16】シュミレーション結果をグラフ化して示す説
明図
【図17】電極幅の説明に供するシュミレーションに用
いた電極配置構成の説明図
【図18】シュミレーション結果をグラフ化して示す説
明図
【図19】同第5実施形態に係るインクジェットヘッド
の振動板短手方向に沿う要部断面説明図
【図20】第5実施形態のヘッドの電極配置構成の説明
に供する説明図
【図21】同第6実施形態に係るインクジェットヘッド
の振動板短手方向に沿う要部断面説明図
【図22】第6実施形態のヘッドの電極配置構成の説明
に供する説明図
【図23】第6実施形態のヘッドの作用説明に供するシ
ュミレーションに用いた電極配置構成の説明図
【図24】電極構成の更に他の例を説明する斜視説明図
【図25】同第7実施形態に係るインクジェットヘッド
の電極配置構成の説明に供する説明図
【図26】同第8実施形態に係るインクジェットヘッド
の振動板短手方向に沿う要部断面説明図
【図27】同実施形態に係るインクジェットヘッドの製
造工程の一例を説明する説明図
【図28】図27に続く工程を説明する説明図
【図29】図28に続く工程を説明する説明図
【図30】本発明に係るインクカートリッジの説明に供
する斜視説明図
【図31】本発明に係るインクジェット記録装置の一例
を説明する斜視説明図
【図32】同記録装置の機構部の説明図
【図33】本発明に係るマイクロポンプの実施形態を説
明する断面説明図
【図34】本発明に係る光学デバイスの実施形態を説明
する断面説明図
【図35】同光学デバイスを用いた光変調デバイスの一
例を説明する斜視説明図
【図36】同光変調デバイスの要部斜視説明図
【符号の説明】 1…第1基板、2…第2基板、3…ノズル板、4…ノズ
ル孔、6…吐出室、7…流体抵抗部、8…共通液室、1
0…振動板、14…電極、14A……固定電極、100
…インクカートリッジ、201…流路基板、203…流
路、205…可動部分、207…電極、301…ミラ
ー、305…可動部分、307…電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 憲一郎 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 安住 純一 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 入野田 貢 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2C057 AF54 AF93 AG53 AG54 AG55 AG70 AP31 AP56 AQ02 BA04 BA14 BA15

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液滴を吐出する単一又は複数のノズル孔
    と、前記ノズル孔のそれぞれに連通する吐出室と、前記
    吐出室の少なくとも一方の壁を構成する振動板とを備
    え、前記振動板を変形させることによって液に圧力を加
    え液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板
    には短辺方向端部から少なくとも短辺長比で35%以上
    の領域に電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する
    構造体からなる複数の電極を設け、前記電極間に静電力
    を発生させることによって前記振動板を変形させること
    を特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記振動板には短辺方向端部から少なくとも短辺長
    比で15%未満の領域に前記電極が存在しないことを特
    徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 液滴を吐出する単一又は複数のノズル孔
    と、前記ノズル孔のそれぞれに連通する吐出室と、前記
    吐出室の少なくとも一方の壁を構成する振動板とを備
    え、前記振動板を変形させることによって液に圧力を加
    え液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板
    には短辺方向端部から少なくとも短辺長比で15%以下
    の領域に電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する
    構造体からなる複数の電極を設け、前記電極間に静電力
    を発生させることによって前記振動板を変形させること
    を特徴とする液滴吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記振動板には振動板短辺方向端部から少なくとも
    短辺長比で35%以上の領域に前記電極が存在しないこ
    とを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 液滴を吐出する単一又は複数のノズル孔
    と、前記ノズル孔のそれぞれに連通する吐出室と、前記
    吐出室の少なくとも一方の壁を構成する振動板とを備
    え、前記振動板を変形させることによって液に圧力を加
    え液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板
    には電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する構造
    体からなる複数の電極を設け、各電極のうちの前記振動
    板の短辺方向端部から少なくとも短辺長比で35%以上
    の領域に存在する電極群と、各電極のうちの前記振動板
    の短辺方向端部から少なくとも短辺長比で15%以下の
    領域に存在する電極群とを電気的に独立駆動可能とし、
    各電極群の前記電極間に静電力を発生させることによっ
    て前記振動板を変形させることを特徴とする液滴吐出ヘ
    ッド。
  6. 【請求項6】 液滴を吐出する単一又は複数のノズル孔
    と、前記ノズル孔のそれぞれに連通する吐出室と、前記
    吐出室の少なくとも一方の壁を構成する振動板とを備
    え、前記振動板を変形させることによって液に圧力を加
    え液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板
    の一方の面には短辺方向端部から少なくとも短辺長比で
    35%以上の領域に電気的に互いに絶縁分離された導電
    性を有する構造体からなる複数の電極を設け、前記振動
    板の他方の面には短辺方向端部から少なくとも短辺長比
    で15%以下の領域に電気的に互いに絶縁分離された導
    電性を有する構造体からなる複数の電極を設け、前記電
    極間に静電力を発生させることによって前記振動板を変
    形させることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項3乃至6のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記振動板に設けられた電極に所
    定の間隔をおいて対向する固定電極を固定部に設けたこ
    とを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記電極は前記振動板が略ガウシ
    ャン形状に近似する形状に変形するように配置されてい
    ることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記電極は振動板短辺方向で振動
    板側基部が自由端部よりも狭いことを特徴とする液滴吐
    出ヘッド。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9のいずれかに記載の液
    滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板に設けた複数の電極
    は、静電力の方向と電極の変位方向が逆方向であること
    を特徴とする液滴吐出ヘッド。
  11. 【請求項11】 液滴を吐出する単一又は複数のノズル
    孔と、前記ノズル孔のそれぞれに連通する吐出室と、前
    記吐出室の少なくとも一方の壁を構成する振動板とを備
    え、前記振動板を変形させることによって液に圧力を加
    え液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板
    には電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する構造
    体からなる複数の電極を設け、各電極のうちの前記振動
    板の短辺方向端部から少なくとも短辺長比で35%以上
    の領域に存在する電極群の電極構造と、各電極のうちの
    前記振動板の短辺方向端部から少なくとも短辺長比で1
    5%以下の領域に存在する電極群の電極構造とが異な
    り、各電極群の前記電極間に静電力を発生させることに
    よって前記振動板を変形させることを特徴とする液滴吐
    出ヘッド。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至11のいずれかに記載の
    液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板は単層又は複層の
    絶縁性薄膜、或いはシリコンと電極側に形成した絶縁性
    薄膜との積層構造であることを特徴とする液滴吐出ヘッ
    ド。
  13. 【請求項13】 インク滴を吐出する液滴吐出ヘッドと
    この液滴吐出ヘッドにインクを供給するインクタンクを
    一体化したインクカートリッジにおいて、前記液滴吐出
    ヘッドが請求項1乃至12のいずれかに記載の液滴吐出
    ヘッドであることを特徴とするインクカートリッジ。
  14. 【請求項14】 インク滴を吐出するインクジェットヘ
    ッドを搭載したインクジェット記録装置において、前記
    インクジェットヘッドが請求項1乃至12のいずれかに
    記載の液滴吐出ヘッド又は請求項13に記載のインクカ
    ートリッジであることを特徴とするインクジェット記録
    装置。
  15. 【請求項15】 可動部分を変形させるマイクロアクチ
    ュエータであって、前記可動部分には短辺方向端部から
    少なくとも短辺長比で35%以上の領域に電気的に互い
    に絶縁分離された導電性を有する構造体からなる複数の
    電極を設け、前記電極間に静電力を発生させることによ
    って前記可動部分を変形させることを特徴とするマイク
    ロアクチュエータ。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載のマイクロアクチュ
    エータにおいて、前記可動部分には短辺方向端部から少
    なくとも短辺長比で15%以下の領域に前記短辺長比で
    35%以上の領域に設けた電極と同時に駆動される前記
    電極が存在しないことを特徴とするマイクロアクチュエ
    ータ。
  17. 【請求項17】 可動部分を変形させるマイクロアクチ
    ュエータであって、前記可動部分には短辺方向端部から
    少なくとも短辺長比で15%以下の領域に電気的に互い
    に絶縁分離された導電性を有する構造体からなる複数の
    電極を設け、前記電極間に静電力を発生させることによ
    って前記可動部分を変形させることを特徴とするマイク
    ロアクチュエータ。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載のマイクロアクチュ
    エータにおいて、前記可動部分には振動板短辺方向端部
    から少なくとも短辺長比で35%以上の領域に前記短辺
    長比で15%以下の領域に設けた電極と同時に駆動され
    る前記電極が存在しないことを特徴とするマイクロアク
    チュエータ。
  19. 【請求項19】 可動部分の変形によって液体を輸送す
    るマイクロポンプであって、前記請求項15乃至18の
    いずれかに記載のマイクロアクチュエータを備えている
    ことを特徴とするマイクロポンプ。
  20. 【請求項20】 可動部分に形成したミラーの変位によ
    って光の反射方向を変化させる光学デバイスであって、
    前記請求項15乃至18のいずれかに記載のマイクロア
    クチュエータを備えていることを特徴とする光学デバイ
    ス。
JP2001369461A 2001-12-04 2001-12-04 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイス Pending JP2003170581A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001369461A JP2003170581A (ja) 2001-12-04 2001-12-04 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001369461A JP2003170581A (ja) 2001-12-04 2001-12-04 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイス

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003170581A true JP2003170581A (ja) 2003-06-17

Family

ID=19178847

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001369461A Pending JP2003170581A (ja) 2001-12-04 2001-12-04 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003170581A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006259264A (ja) * 2005-03-17 2006-09-28 New Industry Research Organization X線タルボ干渉計に用いられる位相型回折格子と振幅型回折格子の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006259264A (ja) * 2005-03-17 2006-09-28 New Industry Research Organization X線タルボ干渉計に用いられる位相型回折格子と振幅型回折格子の製造方法
JP4608679B2 (ja) * 2005-03-17 2011-01-12 財団法人新産業創造研究機構 X線タルボ干渉計に用いられる位相型回折格子と振幅型回折格子の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8052249B2 (en) Liquid discharge head, liquid supply cartridge, and liquid jet apparatus having electrostatic actuator formed by a semiconductor manufacturing process
JP2003211394A (ja) 静電型アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置、マイクロポンプ、光学デバイス
JP4282342B2 (ja) 液滴吐出ヘッド及び該液滴吐出ヘッドを用いた装置
JP2003211393A (ja) マイクロアクチュエータ、液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロポンプ、光学デバイス
JP2003170581A (ja) 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイス
JP3904438B2 (ja) 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイス、画像形成装置、液滴を吐出する装置
JP2003236797A (ja) 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイス
JP2003245897A (ja) 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置
JP3851549B2 (ja) 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイス、画像形成装置、液滴を吐出する装置
JP2003182070A (ja) 液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイス
JP2003276191A (ja) 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置
JP2003276194A (ja) 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置
JP2003080708A (ja) 静電型アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置
JP3957054B2 (ja) 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイス、画像形成装置、液滴を吐出する装置
JP2003246070A (ja) 液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクジェット記録装置並びにマイクロデバイス
JP2003250280A (ja) 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置
JP2003259662A (ja) 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置
JP2003341055A (ja) 液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置
JP4043895B2 (ja) 液滴吐出ヘッドの製造方法
JP2003326707A (ja) 液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置
JP2003266695A (ja) 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置
JP4115210B2 (ja) 静電型アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクカートリッジ、マイクロポンプ、光学デバイス、画像形成装置、液滴を吐出する装置
JP2003341051A (ja) マイクロアクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置
JP2003266696A (ja) 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置
JP2004106089A (ja) アクチュエータ、その製造方法、液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロポンプ及び光変調デバイス