JP2003259662A - 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents

静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置

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JP2003259662A
JP2003259662A JP2002051441A JP2002051441A JP2003259662A JP 2003259662 A JP2003259662 A JP 2003259662A JP 2002051441 A JP2002051441 A JP 2002051441A JP 2002051441 A JP2002051441 A JP 2002051441A JP 2003259662 A JP2003259662 A JP 2003259662A
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electrodes
electrode
electrostatic actuator
diaphragm
head
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JP2002051441A
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Kaihei Itsushiki
海平 一色
Junichi Azumi
純一 安住
Mitsugi Irinoda
貢 入野田
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2002/14411Groove in the nozzle plate

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Reciprocating Pumps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで安定した高い駆動効率及び動作特
性が得られない。 【解決手段】 振動板10の変形可能領域は平面形状が
略円形に形成され、振動板10には電気的に互いに絶縁
分離された導電性を有する構造体からなる複数の電極1
4a、14bを設け、電極14a、14b間に作用する
静電力によって振動板10を変形させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は静電アクチュエータ、液
滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の
画像記録装置或いは画像形成装置として用いるインクジ
ェット記録装置において使用する液滴吐出ヘッドである
インクジェットヘッドは、インク滴を吐出する単一又は
複数のノズル孔と、このノズル孔が連通する吐出室(イ
ンク室、液室、加圧液室、圧力室、インク流路等とも称
される。)と、吐出室内のインクを加圧する圧力を発生
する圧力発生手段とを備えて、圧力発生手段で発生した
圧力で吐出室内インクを加圧することによってノズル孔
からインク滴を吐出させる。
【0003】なお、液滴吐出ヘッドとしては、例えば液
体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DN
Aの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどもあ
るが、以下ではインクジェットヘッドを中心に説明す
る。また、液滴吐出ヘッドのアクチュエータ部分を構成
するマイクロアクチュエータは、例えばマイクロポン
プ、マイクロ光変調デバイスなどの光学デバイス、マイ
クロスイッチ(マイクロリレー)、マルチ光学レンズの
アクチュエータ(光スイッチ)、マイクロ流量計、圧力
センサなどにも適用することができる。
【0004】ところで、液滴吐出ヘッドとしては、圧力
発生手段として圧電素子などの電気機械変換素子を用い
て吐出室の壁面を形成している振動板を変形変位させる
ことでインク滴を吐出させるピエゾ型のもの、吐出内に
配設した発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いてイン
クの膜沸騰でバブルを発生させてインク滴を吐出させる
バブル型(サーマル型)のもの、吐出室の壁面を形成す
る振動板を静電力で変形させることでインク滴を吐出さ
せる静電型のものなどがある。
【0005】近年、環境問題から鉛フリーであるバブル
型、静電型が注目を集め、鉛フリーに加え、低消費電力
の観点からも環境に影響が少ない、静電型のものが複数
提案されている。
【0006】この静電型インクジェットヘッドとして
は、例えば、特開平6−71882号公報に記載されて
いるように、一対の電極対がエアギャップを介して設け
られており、片方の電極が振動板として働き、振動板の
対向する電極と反対側にインクが充填されるインク室が
形成され、電極間(振動板−電極間)に電圧を印加する
ことによって電極間に静電引力が働き、電極(振動板)
が変形し、電圧を除去すると振動板が弾性力によっても
との状態に戻り、その力を用いてインク滴を吐出するも
のがある。
【0007】また、特開2000−15805号公報に
記載されているように、シリコン基板からなる振動板表
面に突起部を設け、この突起部に電極を形成し、電極に
電圧を印加することによって突起部間に作用するという
静電力によって振動板を変形させ、インク滴を吐出する
ものとするものもある。
【0008】さらに、特開2001−47624号公報
に記載されているように、櫛歯状に形成され互いに入れ
子になった電極対の片方に振動板を備え、電極対に電圧
を印加することによって櫛歯間に静電引力を発生させ、
電極の変位により振動板を変形させ、電圧を切った時に
振動板の弾性力でインクを吐出するものもある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た振動板とこれに対向する電極(電極対)を用いるヘッ
ドにあっては、振動板の変位を大きくすることができ
ず、大きな排除体積を得ることが難しく、大きなインク
液滴を吐出することが困難である。また、インク液吐出
の圧力発生手段として振動板の戻りバネ力を利用してい
るため、液吐出のための圧力制御性が良くなく高精度の
液滴量制御が難しく、高画質化を達成することが困難で
ある。さらに、低電圧化のためには電極間のエアギャッ
プを非常に小さくしなければならず、そのような微小な
ギャップを精度良く、バラツキ少なく形成するのは非常
に困難であり、歩留まりが上がらないといった問題があ
る。
【0010】また、櫛歯状に形成され互いに入れ子にな
った電極対の片方に振動板を備えたヘッドにあっては、
櫛歯状電極を用いているので変位量は大きくすることが
できるが、発生力は非常に小さく、インク滴を吐出する
だけの発生力を得ようとした場合、非常に電圧が高くな
ってしまうという課題がある。しかも、構造が複雑であ
るので作製が困難であり、コスト高となってしまうとい
う課題もある。
【0011】さらに、導電性を有するシリコン基板で形
成した振動板に突起部を設けて、この突起部に導電性部
材の電極を形成したヘッドにあっては、そもそもシリコ
ン振動板を介して各電極間が同電位になってしまうため
に電極間で静電力が発生せず、振動板を変形できないと
いう課題がある。
【0012】しかも、振動板に突起部を形成して、この
突起部に電極を付けなければならず、そのような立体微
細構造の表面に電極を付けるのは困難であり、電極がう
まく形成されない部分ができたり、バラツキが生じたり
で、安定して製造できなく歩留まりが悪いという課題が
ある。
【0013】さらに、低電圧化のためには突起間の間隔
は狭くしなければならないが、そのような狭い間隔の中
に電極を形成するのは困難であり、また狭い突起間に電
極を形成するとショートしてしまうという不良が生じた
りする。また、突起部に電極を形成することは、立体構
造でのフォトリソ工程はレジストコート、露光などが困
難であることから、一般的な方法では不可能であり、そ
のため特別な装置を使用したり、製造工程が長くなった
りしてコスト高となってしまうという課題がある。
【0014】また、従来の振動板を用いるインクジェッ
トヘッドにあっては、振動板(可動部分、変形可能領
域)は平面形状で長方形或いは平行四辺形状に形成され
て、短冊状に配置されるいるが、このような角を有する
振動板では、振動板が変位する際にその角部分に応力が
集中するため、数億回以上のインク滴吐出が必要なイン
クジェットヘッドにおける信頼性確保が難しいという課
題がある。
【0015】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、低コストで、駆動効率が高く、安定した動作特
性が得られ、振動耐久性に優れた静電アクチュエータ、
この静電アクチュエータを備えることで、滴吐出効率が
高く、安定した滴吐出特性が得られ、長期信頼性が高い
液滴吐出ヘッド、この液滴吐出ヘッドを備えることで高
画質記録を長期に可能なインクジェット記録装置を提供
することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る静電アクチュエータは、可動部分は平
面形状が略円形又は略楕円形に形成され、可動部分には
電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する構造体か
らなる複数の電極を設け、電極間に作用する静電力によ
って可動部分を変形させるものである。
【0017】ここで、可動部分の略中心に対して電極が
略同心円状又は略同心楕円状に配置されていることが好
ましい。また、電極は可動部分内では一定の間隔を隔て
て配置されていることが好ましい。さらに、電極は可動
部分内で断面形状が略T型又はL型の形状に形成されて
いることが好ましい。
【0018】また、電極は隣接する電極間で異なる電位
が与えられることが好ましい。さらに、電極と可動部分
との間で静電引力を生じさせることが好ましく、この場
合、電極は略同心円状に配置され、外周側の電極の一部
が内周側の電極の内側にまで延びていることが好まし
い。
【0019】さらに、電極は可動部分よりも剛性が高い
ことが好ましい。また、電極には抜き穴が設けられてい
ることが好ましい。
【0020】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、振動板の
可動部分を変形させる本発明に係る静電アクチュエータ
を備えているものである。
【0021】本発明に係るインクジェット記録装置は、
インク滴を吐出するインクジェットヘッドが本発明に係
る液滴吐出ヘッドである構成としたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は、本発明の液滴吐出ヘ
ッドの第1実施形態に係るインクジェットヘッドの分解
斜視図で、一部断面図で示している。図2は同ヘッドの
振動板長手方向の断面説明図、図3は同ヘッドの振動板
短手方向の断面説明図、図4は液室パターンを説明する
平面説明図、図5は同ヘッドの電極形状及び配置パター
ンを示す平面説明図、図6はどうヘッドの要部拡大説明
図である。
【0023】このインクジェットヘッドは、インク液滴
を基板の面部に設けたノズル孔から吐出させるサイドシ
ュータタイプのものであり、下記に詳述する構造を持つ
3枚の第1、第2、第3基板1、2、3を重ねて接合し
た積層構造となっており、インク滴を吐出する複数のノ
ズル孔4、各ノズル孔4が連通する吐出室6、各吐出室
6に流体抵抗部7を介してインクを供給する共通液室
(共通インク室)8などを形成している。なお、基板の
端部に設けたノズル孔からインク滴を吐出させるエッジ
シュータタイプとすることもできる。
【0024】中間の第1基板1は、吐出室6を形成する
ための貫通部と、各々の吐出室6にインクを供給するた
めの共通液室8を形成するための貫通部を形成してい
る。この第1基板1の底面に吐出室6及び共通液室8な
どの底壁ともなる振動板10を設けている。この場合、
図4に示すように、吐出室6は平面形状で楕円形状に形
成しているので、振動板10の変形可能領域(可動部
分)も楕円形状をなしている。
【0025】この振動板10は内部応力が引っ張り応力
であるシリコン窒化膜10aで形成している。シリコン
窒化膜10aを堆積膜で形成した場合、1〜1.2GP
a程度の引っ張り応力である。振動板10を引っ張り応
力のシリコン窒化膜10aで形成することにより、振動
板10が座屈することを防止でき、振動板10の座屈に
よる不規則な変形が抑制され、電極間距離も略一定に保
つことができて安定した低電圧駆動が可能になる。
【0026】この場合、振動板10の引っ張り応力が大
きいと振動板10は変形が小さくなる。したがって、好
ましくは1GPa以下の引張り応力、特に好ましくは
0.1GPa以下の引っ張り応力にする。振動板10を
形成するシリコン窒化膜10aの応力を下げるために
は、シリコン窒化膜10aにボロン、リン、水素などの
不純物を注入する。例えば、シリコン窒化膜10aの膜
厚1500Åを用いた場合、ボロン原子を1E14〜3
E15/cm度のドーズ量で50KeVのエネルギー
を注入することで応力の緩和ができる。また、シリコン
窒化膜の膜厚が3000Åの場合はボロン原子を2E1
4〜6E15/cm程度のドーズ量で80KeVのエ
ネルギーを注入することで応力の緩和ができる。
【0027】なお、振動板10は、この他、金属等の導
電性を有する膜、或いは、シリコン酸化膜やシリコン窒
化膜等の絶縁性膜、或いはその積層膜、樹脂フィルムな
ど、液吐出圧力に耐え得る強度を有する膜であれば特に
限定されるものではない。ただし、振動板10に導電性
の膜を用いた場合には吐出室6と反対側の面(外面)に
絶縁膜(層)を形成する。
【0028】この振動板10の下面(吐出室と反対側の
面)には電気的に互いに絶縁分離された導電性を有する
構造体からなる複数の電極14を設けている。この場
合、振動板10自体が絶縁膜であるので、各電極14が
振動板10を介して電気的に接続されることはない。ま
た、各電極14のうちの相隣り合う2つの電極(これを
相対的に電極14a、14bという。)も空隙を介して
相互に電気的に分離される。これらの振動板10(吐出
室6に対応する部分が可動部分となる。)と複数の電極
14によって本発明に係る静電アクチュエータが構成さ
れる。
【0029】ここで、互いに電気的に分離した相隣り合
う電極14aと電極14bは、図5に示すように、平面
形状で略楕円形状に同心円(同心楕円)状に形成配置し
ている。この場合、電極14aと電極14bの間隔(電
極間隔)は、振動板10の面内で変化させることが好ま
しい。すなわち、振動板10の変位が最も大きく取れる
振動板10の中心部の電極14a、14b間に対して、
振動板10が最も変位し難い振動板10の固定端近傍
(周辺部)での電極14a、14b間の距離を最も狭く
する。
【0030】また、図6にも示すように、振動板10と
電極14a、14bとの間には電極引出し層(取り出し
電極)14A、14Bを形成し、これらの取り出し電極
14A、14Bはシリコン酸化膜13などの絶縁膜で他
方の電極と絶縁している。そして、これらの取り出し電
極14A、14Bを介して、図5に示すように、これら
の電極14aと電極14bとには、駆動回路(ここでは
発信回路で図示)15から互いに電位差を生じる駆動電
圧(異なる電位の電圧)が印加されるようになってい
る。
【0031】この第1基板1の下面に接合される第2基
板2は、電極14を外部からの衝撃やホコリなどから保
護したり、第1基板1の強度を補強したりするための保
護基板である。この第2基板2には、ガラス、金属、シ
リコン、樹脂などからなる基板などを使用し、この基板
2には各振動板10に対応する位置に例えば1mmの深
さの凹部16を形成している。ただし、必ずしも振動板
10ごとに凹部16を形成する必要はなく、振動板配列
を囲む凹部、あるいはチップの縁のみ接合される凹部を
形成する構成でも良い。
【0032】また、第1基板1の上面に接合される第3
基板3には、例えば厚さ50μmのニッケル基板を用
い、第3基板3の面部に、吐出室6と連通するようにそ
れぞれノズル孔4、共通液室8と吐出室6を連通させる
流体抵抗部7となる溝を設け、また共通液室8と連通す
るようにインク供給口9を設けている。
【0033】このように構成したインクジェットヘッド
の動作を説明する。例えば図4の構成において、電極1
4aに発振回路15により0Vから40Vのパルス電位
を印加すると、電極14aの表面がプラスに帯電し、パ
ルス電位を印加していない隣り合う電極14bとの間で
静電力が発生して、静電気の吸引作用が働き、図7に示
すように、電極14の自由端(振動板10側が固定端)
が引き合って電極14が変位し、これらの電極14の自
由端側が変位することで、電極14の固定端側である振
動板10が上方へたわむことになる。その結果、吐出室
6内の圧力が急激に上昇し、図3に示すように、ノズル
孔4よりインク液滴22を記録紙23に向けて吐出す
る。
【0034】そして、電極14aの電位が0Vに戻る
と、電極14bとの間に電位差はなくなり、振動板10
は元の状態に復元する。振動板10が復元することによ
り、インクが共通液室8より流体抵抗部7を通じて吐出
室6内に補給される。すなわち、この実施形態では押し
打ち法でインク滴を吐出させる。
【0035】ここで、電極間に働く力Fは、次の(1)
式に示すように電極間距離dの2乗に反比例して大きく
なる。低電圧で駆動するためには、電極14aと電極1
4bとの間隔、つまり電極14間の溝を狭く形成するこ
とが重要となる。
【0036】
【数1】
【0037】なお、(1)式において、F:電極間に働
く力、ε:誘電率、S:電極の対向する面の面積、d:
電極間距離、 V:印加電圧である。
【0038】このように、絶縁性薄膜で形成した振動板
10の一方の面にそれぞれ電気的に分離独立した電極1
4を設け、電極14の対向する電極14aと電極14b
間に電位差を生じる電圧を印加することによって、隣り
合う電極14aと電極14bとの間で静電引力が発生
し、電極14のわずかな変位により振動板10の大きな
変位を得ることができ、安定した滴吐出特性が得られ、
滴吐出効率が向上し、高画質記録が可能になる。
【0039】ここで、振動板10(可動部分)を平面形
状で楕円形状に形成しているので、振動板10を変形さ
せたときの応力集中部が無くなり、振動耐久性が向上す
るとともに、吐出量を多くすることができる。すなわ
ち、一般的な長方形或いは平行四辺形の振動板では、変
位を与えた時に、その角に近い部分で応力が大きくな
る。また、変位自体は振動板の短辺方向の影響でほぼ決
定される。したがって、振動板の変形効率が最も良いの
は円形の振動板ということになる。ただし、円形の振動
板では液室の容量が制限されるため吐出量が少なくな
る。そこで、振動板形状を楕円形状とすることで、吐出
量を多くでき、しかも振動板を変位させやすくなる。
【0040】また、振動板10に設ける電極14も平面
形状で楕円形状に配置しているので、振動板10の中心
部に向けて盛り上がるように変形しやすくなり、更に電
極14による振動板10の変形阻害を小さくすることが
できて、振動板10の変位効率が向上する。さらに、電
極14自体が曲率を持つことで曲げ剛性が高くなり、駆
動時の電極14の倒れ等が防止される。さらに、電極1
4は所定の間隔をおいて配置しているので振動板変位を
阻害することがなく、震央効率が高くなる。
【0041】そして、振動板10に設けた構造体自体が
電極14として働くので、従前のようにシリコン構造体
に電極を成膜などの方法により形成するという困難な工
程が必要がなく、コストダウンを図ることが可能であ
り、また、構造体間の非常に狭い間隔に電極を形成する
ことによって生じるショートなどの不良も低減できる。
さらに、構造体に電極を形成した後に電極を櫛の歯状に
分離するという工程も必要がなく、低コスト化、大量生
産が容易である。
【0042】さらに、振動板10と電極14との間を電
気的に分離しているので、従来のように電極に電圧を印
加しても振動板を介してすべての電極が同電位になって
作動不良になることもなく、電極14に印加した電圧が
振動板10側にリークすることもなく、効率良く電極1
4に電圧を印加することができる。また、振動板10が
電極14と絶縁分離されていることで、駆動電圧が液
(ここではインク)に印加されることがなく、駆動電圧
印加時の電気分解による液の変質が発生することがな
く、信頼性が向上し、高画質記録が可能になる。
【0043】次に、同第2実施形態に係るインクジェッ
トヘッドについて図8ないし図10参照して説明する。
なお、図8は同ヘッドの液室パターンの平面説明図、図
9は同ヘッドの静電アクチュエータ部の振動板(可動部
分)を透過した状態で示す平面説明図、図10は図9の
A−A線に沿う断面説明図である。
【0044】このヘッドにおいては、吐出室6は平面形
状で円形状に形成し、振動板10の変形可能領域(可動
部分)も円形状に形成している。また、複数の吐出室6
はそれぞれ千鳥状に配置し、共通液室8からの距離が長
い吐出室6への流体抵抗部7Aと共通液室8からの距離
が短い吐出室6への流体抵抗部7Bとは抵抗値を同じに
するために形状(ここでは幅)を異ならせている。
【0045】このように、振動板10の平面形状を円形
状とすることによって変形時の応力集中部が無くなり、
効率的な変位を行うことができる。また、最小ドット形
に近い円形の振動板10とすることで、吐出室6を高密
度に配置することができて、高密度ドットの記録を容易
に行うことができる。さらに、千鳥状に配置することで
も高密度化を図れる。
【0046】そこで、このヘッドの静電アクチュエータ
部について図9及び図10を参照して説明すると、円形
の振動板10に対して電極14a、14bも円形状(環
状)に形成して同心円状に配置している。
【0047】したがって、電極14a、14bに対して
取り出し電極14A、14Bを介して異なる電位を印加
することによって、図11に示すように、電極14a、
14b同士が電極間静電引力によって引き合って自由端
が変位し、振動板10が上側(矢示方向)に凸形状に変
形して、これによりインク滴が吐出される。つまり、こ
の場合押し打ちでインク滴を吐出させる。
【0048】この実施形態の他の例を図12を参照して
説明すると、この例では円形の振動板10の外周部に対
して電極14a、14bも円形状(環状)に形成して同
心円状に配置している。
【0049】したがって、電極14a、14b間に異な
る電位を印加すると、電極14a、14b同士が電極間
静電引力によって引き合って自由端が変位し、振動板1
0が下側(矢示方向)に凹形状に変形し、吐出室6内に
インクが補充され、この状態から電極14a、14bへ
の電圧印加を停止することにより、振動板10は自身の
復元力で上方に変形して吐出室6内のインクを圧力する
ので、インク滴が吐出される。つまり、この場合は、引
き打ちが可能となるのである。
【0050】なお、振動板10の外周部及び内周部に電
極14、14を配置して、振動板10の外周部の電極1
4a、14b、内周部の電極14a、14bに対して選
択的に電圧印加を行えるようにすることで、上述した押
し打ちと引き打ちの他に、外周部の電極14a、14b
に電圧印加をして図12の状態にした後、内周部の電極
14a、14bに電圧印加をして図11の状態にし、イ
ンク滴を吐出させる引き−押し打ちをも行うことができ
る。
【0051】このように複数の電極に異なる電位を与え
て静電引力で引き合わせることで振動板(可動部分)を
変形させることにより、電極同士を当接するまで可動さ
せる必要が無く、電極の信頼性が向上し、また、押し打
ちや引き打ちなどの駆動方法も可能になる。
【0052】次に、同第3実施形態に係るインクジェッ
トヘッドについて図13及び図14参照して説明する。
なお、図13は同ヘッドの静電アクチュエータ部の振動
板(可動部分)を透過した状態で示す平面説明図、図1
4は図13のB−B線に沿う断面説明図である。
【0053】このヘッドにおいては、円形状の振動板1
0に対して円板を4分割した形状をなす振動板10より
も剛性の高い電極(個別電極)24a、24bを、電極
24a、24b相互間及び対振動板10との間で所定の
ギャップを置いて平行に配置している。各電極24a、
24bの外周部は支柱部25を介して振動板10に固定
している。つまり、電極24a、24bは支柱部25を
含めて見た状態では略L字状に形成している。また、各
電極24a、24bには取出し電極24A、24Bを接
続している。なお、電極24a、24bと支柱部25と
は一体的に形成する。
【0054】このように構成したので、隣接する電極2
4a、24b間に、静電引力が働くように電圧を印加す
ると、図15(a)に示すように、電極24a、24b
同士が引き合うことで、振動板10が上側(矢示方向)
に凸状になるように変形し、押し打ちでのインク滴吐出
が可能となる。
【0055】これに対し、電極24a、24bと振動板
10との間に異なる電位を印加することで、図15
(b)に示すように、電極24a、24bと振動板10
との間に静電引力が働いて引き合い、振動板10が下方
(矢示方向)に変形する。このような構成では振動板1
0の変形によって電極24自体も下方向に曲がるため、
固定電極間で静電吸引させるよりも大きい変位を得るこ
とができる。この状態で電位を遮断すると、振動板10
の持つ復元力で吐出室6内インクに圧力が加わり、イン
ク滴が吐出する。つまり、引き打ちが可能となる。
【0056】このように電極と振動板との間で静電引力
を作用させることで、広い対向面積を確保することがで
き、静電引力を効果的に振動板の変形に用いることがで
きる。また、電極と振動板との間で静電引力を作用させ
る場合、電極の剛性を振動板の剛性よりも高くすること
で、振動板は必ず電極側に撓むことになり、変位効率が
向上する。
【0057】また、前記第2実施形態と同様に、先ず、
電極24a、24bと振動板10との間に異なる電位を
印加して振動板10を引いてインクを吐出室内に補充し
た後、電極24a、24b間に異なる電位を印加して振
動板10を吐出室方向に押してインク滴を吐出させる引
き−押し打ち方式も行うことができる。
【0058】なお、電極をL字状にしているが、この他
T字に形成することでも、静電引力の発生方向を変え
て、より効率的な駆動を行うことができる。また、ここ
では、個別電極が1段のみであるが、多段になるように
組み合わせても良い。多段的に配置することで、変位量
を累積に稼ぐことができて大きな変位を得ることができ
るようになる。
【0059】次に、同第4実施形態に係るインクジェッ
トヘッドについて図16ないし図18参照して説明す
る。なお、図16は同ヘッドの静電アクチュエータ部の
振動板(可動部分)を透過した状態で示す平面説明図、
図17は図16のC−C線に沿う断面説明図、図18は
図16のD−D線に沿う断面説明図である。
【0060】このヘッドにおいては、円形状の振動板1
0に対して円板を4分割した形状をなす内部電極(個別
電極)34abと、略扇形状をなす外部電極(個別電
極)34bとを、対振動板10との間で所定のギャップ
を置いて平行に配置している。この場合、外部個別電極
34bの一部(延出部)34cは内部個別電極34a間
まで延びている。また、電極34a、34bの外周部は
支柱部35を介して振動板10に固定している。つま
り、ここでも、電極34a、34bは支柱部35を含め
て見た状態では略L字状に形成している。また、各電極
34a、34bには取出し電極34Aを接続している。
【0061】このように構成したので、電極34a、3
4bと振動板10との間に異なる電位を印加すること
で、図19に示すように、電極34a、34bと振動板
10との間に静電引力が働いて引き合い、振動板10が
下方(矢示方向)に変形する。このような構成では振動
板10の変形によって電極14自体も下方向に曲がるた
め、固定電極間で静電吸引させるよりも大きい変位を得
ることができる。この状態で電位を遮断すると、振動板
10の持つ復元力で吐出室6内インクに圧力が加わり、
インク滴が吐出する。つまり、引き打ちが可能となる。
【0062】ここで、外部個別電極34bの延出部34
cを内部個別電極34a間に延ばして電極同士がオーバ
ーラップするように配置しているので、振動板10は滑
らかに変形する。
【0063】すなわち、上記構成で、延出部34cのな
い2段構成の個別電極に電圧を印加して変形させると、
それぞれの個別電極34a、34bと振動板10の間で
静電吸引力が発生し振動板10が変形するが、個別電極
34a、34bの切れ目では、静電吸引力が無いため、
振動板10は元の平行な状態に戻ろうとするため、図2
0に示すように、振動板10の変形は段付き状になる。
【0064】この振動板10の段付きをなくし、より大
きく変形させるためには、段付きとなる静電力のとぎれ
目が生じないように、電極同士をオーバーラップさせ
る。これにより、他方の個別電極部も下方向に曲がるた
め、段差ができることなく大きい変位を得ることができ
るようになる。
【0065】次に、本発明に係るインクジェットヘッド
の製造工程の一例について図21ないし図23を参照し
て説明する。先ず、図21(a)に示すように、第1基
板1となる(110)を面方位とする厚さ400μmの
シリコン基板をベース基板41とし、酸化膜43を介し
て(100)面方位の厚さ1μmのシリコン基板である
活性層42を接合したSOI(Silicon on Insulator)
ウェハ40を用意する。なお、第1基板1となる基板と
しては、(110)面方位のシリコン基板に代えて、
(100)面方位のシリコン基板を用いても良い。
【0066】そして、同図(b)に示すように、SOI
ウエハ40に900℃/5分のウェット酸化により熱酸
化膜44を50nm厚みで形成する。ここで、酸化膜の
成膜方法としては、プラズマCVD、スパッタ、HT
O、TEOSなどがあるが、絶縁耐圧、欠陥、残留電
荷、耐久性などの点で熱酸化膜が好ましい。
【0067】次いで、同図(c)に示すように、熱酸化
膜44の表面にポリシリコン45を約2μmの厚さにC
VDなどの方法で堆積させた。そして、同図(d)に示
すように、ポリシリコン45の表面にフォトリソグラフ
ィーを施し、振動板との境界領域になる部分及び電極支
柱部のギャップとなる部分のポリシリコン44をエッチ
ング除去して電極支柱部55及び隔壁部56を形成す
る。このとき、エッチングは酸化膜44がストップ層と
なる。非常に深い溝を細くエッチングする必要があるの
でドライエッチングはICPが有効である。
【0068】その後、図22(a)に示すように、ポリ
シリコン45面側に犠牲層となるSOGなどの酸化膜4
8を電極支柱部55間及び隔壁部56の溝部47が完全
に埋まるまで堆積させた後、同図(b)に示すように、
CMP等の方法で、ポリシリコン45面(電極支柱部5
5及び隔壁部56表面)が露出するまで研磨し、更にこ
の後、酸化膜48表面にポリシリコン49を堆積させ
る。
【0069】そして、同図(c)に示すように、ポリシ
リコン49を所望の電極形状にパターニングして、電極
支柱部55と一体の電極54を形成する。この工程によ
って電極の積層化が図れる。このように2層構造の電極
とすることで、T型断面、L型断面、更に発展型として
Y型断面などの形状を持った電極を形成することも可能
となる。このような断面形状を有する電極は振動板に固
定される部分が小さくできるので、一層、振動板変形効
率を高めることができる。
【0070】続いて、図23(a)に示すように、LP
−CVDでマスクとなるシリコン窒化膜50を形成し、
シリコン窒化膜50上に吐出室6や共通液室8などの液
室形状のレジストパターンを得て、レジストの開口部の
シリコン窒化膜50と酸化膜44、48をドライエッチ
によりエッチング除去し、レジストを除去する。
【0071】そして、同図(b)に示すように、ICP
エッチャーを利用し、シリコン窒化膜50、酸化膜4
4、48の開口部を活性層42の前層のインシュレータ
層(酸化層)43に達するまでエッチングを行って吐出
室6を形成する。
【0072】その後、同図(c)に示すように、シリコ
ン窒化膜50は熱リン酸、フッ酸などによって、酸化膜
44、48をフッ酸などで除去することで、電極54間
に埋め込まれた酸化膜48も除去される。この場合、電
極54にスリット穴など設けることによって、埋め込ま
れた酸化膜(犠牲層)の除去効率を高めることができ
る。
【0073】次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドを含む
ヘッド一体型インクカートリッジについて図24を参照
して説明する。このインクカートリッジ100は、ノズ
ル孔101等を有する上記各実施形態のいずれかのイン
クジェットヘッド101と、このインクジェットヘッド
101に対してインクを供給するインクタンク102と
を一体化したものである。
【0074】このようにインクタンク一体型のヘッドの
場合、ヘッドの低コスト化、信頼性は、ただちにインク
カートリッジ全体の低コスト化、信頼性につながるの
で、上述したように低コスト化を図り、長期耐久性を確
保し、高い信頼性を確保することで、インクカートリッ
ジ全体の歩留まり、信頼性が向上し、ヘッド一体型イン
クカートリッジの低コスト化を図れる。
【0075】次に、本発明に係るインクジェットヘッド
(ヘッド一体型のインクカートリッジを含む。)を搭載
したインクジェット記録装置の機構の一例について図2
5及び図26を参照して説明する。なお、図25は同記
録装置の斜視説明図、図26は同記録装置の機構部の側
面説明図である。
【0076】このインクジェット記録装置は、記録装置
本体111の内部に主走査方向に移動可能なキャリッ
ジ、キャリッジに搭載した本発明に係るインクジェット
ヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給
するインクカートリッジ等で構成される印字機構部11
2等を収納し、装置本体111の下方部には前方側から
多数枚の用紙113を積載可能な給紙カセット(或いは
給紙トレイでもよい。)114を抜き差し自在に装着す
ることができ、また、用紙113を手差しで給紙するた
めの手差しトレイ115を開倒することができ、給紙カ
セット114或いは手差しトレイ115から給送される
用紙113を取り込み、印字機構部112によって所要
の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ1
16に排紙する。
【0077】印字機構部112は、図示しない左右の側
板に横架したガイド部材である主ガイドロッド121と
従ガイドロッド122とでキャリッジ123を主走査方
向(図26で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、この
キャリッジ123にはイエロー(Y)、シアン(C)、
マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を
吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェ
ットヘッドからなるヘッド124を複数のインク吐出口
を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方
向を下方に向けて装着している。またキャリッジ123
にはヘッド124に各色のインクを供給するための各イ
ンクカートリッジ125を交換可能に装着している。
【0078】インクカートリッジ125は上方に大気と
連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへイン
クを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多
孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジ
ェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持
している。
【0079】また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘ
ッド124を用いているが、各色のインク滴を吐出する
ノズルを有する1個のヘッドでもよい。
【0080】ここで、キャリッジ123は後方側(用紙
搬送方向下流側)を主ガイドロッド121に摺動自在に
嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッ
ド122に摺動自在に載置している。そして、このキャ
リッジ123を主走査方向に移動走査するため、主走査
モータ127で回転駆動される駆動プーリ128と従動
プーリ129との間にタイミングベルト130を張装
し、このタイミングベルト130をキャリッジ123に
固定しており、主走査モーター127の正逆回転により
キャリッジ123が往復駆動される。
【0081】一方、給紙カセット114にセットした用
紙113をヘッド124の下方側に搬送するために、給
紙カセット114から用紙113を分離給装する給紙ロ
ーラ131及びフリクションパッド132と、用紙11
3を案内するガイド部材133と、給紙された用紙11
3を反転させて搬送する搬送ローラ134と、この搬送
ローラ134の周面に押し付けられる搬送コロ135及
び搬送ローラ134からの用紙113の送り出し角度を
規定する先端コロ136とを設けている。搬送ローラ1
34は副走査モータ137によってギヤ列を介して回転
駆動される。
【0082】そして、キャリッジ123の主走査方向の
移動範囲に対応して搬送ローラ134から送り出された
用紙113を記録ヘッド124の下方側で案内する用紙
ガイド部材である印写受け部材139を設けている。こ
の印写受け部材139の用紙搬送方向下流側には、用紙
113を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送
コロ141、拍車142を設け、さらに用紙113を排
紙トレイ116に送り出す排紙ローラ143及び拍車1
44と、排紙経路を形成するガイド部材145,146
とを配設している。
【0083】記録時には、キャリッジ123を移動させ
ながら画像信号に応じて記録ヘッド124を駆動するこ
とにより、停止している用紙113にインクを吐出して
1行分を記録し、用紙113を所定量搬送後次の行の記
録を行う。記録終了信号または、用紙113の後端が記
録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を
終了させ用紙113を排紙する。この場合、ヘッド12
4を構成する本発明に係るインクジェットヘッドはイン
ク滴噴射の制御性が向上し、特性変動が抑制されている
ので、安定して高い画像品質の画像を記録することがで
きる。
【0084】また、キャリッジ123の移動方向右端側
の記録領域を外れた位置には、ヘッド124の吐出不良
を回復するための回復装置147を配置している。回復
装置147はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手
段を有している。キャリッジ123は印字待機中にはこ
の回復装置147側に移動されてキャッピング手段でヘ
ッド124をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に
保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。
また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出す
ることにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、
安定した吐出性能を維持する。
【0085】吐出不良が発生した場合等には、キャッピ
ング手段でヘッド124の吐出口(ノズル)を密封し、
チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに
気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等
はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復され
る。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された
廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のイ
ンク吸収体に吸収保持される。
【0086】このように、このインクジェット記録装置
においては本発明を実施したインクジェットヘッドを搭
載しているので、安定したインク滴吐出特性が得られ
て、画像品質が向上する。また、低電圧で駆動できるヘ
ッドを搭載するので、インクジェット記録装置全体の消
費電力も低減できる。
【0087】次に、本発明に係る静電アクチュエータを
含むマイクロデバイスとしてのマイクロポンプについて
図27を参照して説明する。なお、同図は同マイクロポ
ンプの要部断面説明図である。このマイクロポンプは、
流路基板201と保護基板202とを重ねて接合した積
層構造となっており、流路基板201には流体が流れる
流路203を形成するとともに、流路203の一壁面を
形成する変形可能な平面形状が円形又は楕円形状である
可動板204(ヘッドの振動板に相当する。)を設け、
可動板204の保護基板202と接合固定しない部分は
可動部分205となっている。
【0088】そして、可動部分205には絶縁膜206
を介して外面側に、インクジェットヘッドと同様に、複
数の電極207、207を所定の間隔を置いて可動部分
205の形状と同様な円形状或いは楕円形状に形成配置
している。なお、可動部分205との間で静電力を発生
するような形状(前記ヘッドの第3、第4、第5実施形
態と同様)の電極207を設けることもできる。
【0089】保護基板202はヘッドの第2基板2と同
様な機能を有するものであり、電極207を配置するた
めの凹部208を形成している。ここでは、保護基板2
02は平板板基板にスペーサ部209を設けることで凹
部208を形成している。
【0090】このマイクロポンプの動作原理を説明する
と、前述したように複数の電極207、207に対して
1つおきにパルス電位を与えることによって電極20
7、207間で静電吸引力が生じる(前記電極の形状に
よっては振動板と電極間の静電力も発生させることがで
きる。)ので、可動部分205が流路203側に変形す
る。ここで、可動部分205を図中右側から順次駆動す
ることによって流路203内の流体は、矢印方向へ流れ
が生じ、流体の輸送が可能となる。
【0091】この場合、可動部分205と電極207と
で構成される静電アクチュエータは、前述した液滴吐出
ヘッドの場合と同様に、可動部分205が円形状又は楕
円形状をなすので、応力集中部がなくなって、駆動効率
が向上し、安定した駆動特性が得られ、流体を安定して
効率的に移送することができる。
【0092】なお、この例では可動部分を複数設けた例
を示したが、可動部分は1つでも良い。また、輸送効率
を上げるために、可動部分間に1又は複数の弁、例えば
逆止弁などを設けることもできる。
【0093】なお、上記実施形態においては、液滴吐出
ヘッドとしてインクジェットヘッドに適用した例で説明
したが、インクジェットヘッド以外の液滴吐出ヘッドと
して、例えば、液体レジストを液滴として吐出する液滴
吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐
出ヘッドなどの他の液滴吐出ヘッドにも適用できる。ま
た、静電アクチュエータは、マイクロポンプ以外にも、
マイクロスイッチ(マイクロリレー)、マルチ光学レン
ズのアクチュエータ(光スイッチ)、マイクロ流量計、
圧力センサなどにも適用することができる。
【0094】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る静電
アクチュエータによれば、可動部分は平面形状が略円形
又は略楕円形に形成され、可動部分には電気的に互いに
絶縁分離された導電性を有する構造体からなる複数の電
極を設け、電極間に作用する静電力によって可動部分を
変形させるので、低コストで、駆動効率が高く、安定し
た動作特性が得られ、振動耐久性にも優れる。
【0095】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、振
動板の可動部分を変形させる本発明に係る静電アクチュ
エータを備えているので、低コストで、滴吐出効率が高
く、安定した滴吐出特性が得られ、振動耐久性にも優れ
たヘッドが得られる。
【0096】本発明に係るインクジェット記録装置によ
れば、インク滴を吐出するインクジェットヘッドが本発
明に係る液滴吐出ヘッドである構成としたので、高画質
記録を長期信頼性高く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出ヘッドの第1実施形態に係る
インクジェットヘッドの分解斜視説明図
【図2】同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図3】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説明
【図4】同ヘッドの液室形状を説明する平面説明図
【図5】同ヘッドの電極形状及び配置パターンを説明す
る平面説明図
【図6】同ヘッドの電極部分の拡大説明図
【図7】同ヘッドの作用説明に供する要部拡大断面説明
【図8】同第2実施形態に係るインクジェットヘッドの
液室形状を説明する平面説明図
【図9】同ヘッドの静電アクチュエータ部を説明する平
面説明図
【図10】図9のA−A線に沿う断面説明図
【図11】同静電アクチュエータの作用説明に供する説
明図
【図12】同実施形態の他の例における静電アクチュエ
ータの作用説明に供する説明図
【図13】同第3実施形態に係るインクジェットヘッド
の静電アクチュエータ部を説明する平面説明図
【図14】図13のB−B線に沿う断面説明図
【図15】同静電アクチュエータの作用説明に供する説
明図
【図16】同第4実施形態に係るインクジェットヘッド
の静電アクチュエータ部を説明する平面説明図
【図17】図16のC−C線に沿う断面説明図
【図18】図16のD−D線に沿う断面説明図
【図19】同静電アクチュエータの作用説明に供する説
明図
【図20】同静電アクチュエータの作用説明に供する比
較のための説明図
【図21】本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジ
ェットヘッドの製造工程の一例を説明する平面説明図
【図22】図21に続く工程を説明する説明図
【図23】図22に続く工程を説明する説明図
【図24】本発明に係る液滴吐出ヘッドを含むヘッド一
体型インクカートリッジの説明に供する斜視説明図
【図25】本発明に係るインクジェット記録装置の一例
を説明する斜視説明図
【図26】同記録装置の機構部の説明図
【図27】本発明に係る静電アクチュエータを含むマイ
クロポンプの一例を説明する説明図
【符号の説明】
1…第1基板、2…第2基板、3…ノズル板、4…ノズ
ル孔、6…吐出室、7…流体抵抗部、8…共通液室、1
0…振動板、14、14a、14b、24a、24b、
34a、34b…電極。
フロントページの続き (72)発明者 入野田 貢 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2C057 AF38 AF55 AF65 AF93 AG15 AG31 AG38 AG40 AG43 AG52 AG54 AG59 AG70 AG93 AN01 AP22 AP32 AP53 AP56 AQ02 BA04 BA15 3H077 AA06 CC02 CC09 DD01 FF31

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可動部分を変形させる静電アクチュエー
    タにおいて、前記可動部分は平面形状が略円形又は略楕
    円形に形成され、前記可動部分には電気的に互いに絶縁
    分離された導電性を有する構造体からなる複数の電極を
    設け、前記電極間に作用する静電力によって前記可動部
    分を変形させることを特徴とする静電アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の静電アクチュエータに
    おいて、前記可動部分の略中心に対して前記電極が略同
    心円状又は略同心楕円状に配置されていることを特徴と
    する静電アクチュエータ。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の静電アクチュエ
    ータにおいて、前記電極は可動部分内では一定の間隔を
    隔てて配置されていることを特徴とする静電アクチュエ
    ータ。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の静
    電アクチュエータにおいて、前記電極は可動部分内で断
    面形状が略T型又はL型の形状に形成されていることを
    特徴とする静電アクチュエータ。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の静
    電アクチュエータにおいて、前記電極は隣接する電極間
    で異なる電位が与えられることを特徴とする静電アクチ
    ュエータ。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の静
    電アクチュエータにおいて、前記電極と可動部分との間
    で静電引力を生じさせることを特徴とする静電アクチュ
    エータ。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の静電アクチュエータに
    おいて、前記電極は略同心円状に配置され、外周側の電
    極の一部が内周側の電極の内側にまで延びていることを
    特徴とする静電アクチュエータ。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかに記載の静
    電アクチュエータにおいて、前記電極は前記可動部分よ
    りも剛性が高いことを特徴とする静電アクチュエータ。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかに記載の静
    電アクチュエータにおいて、前記電極には抜き穴が設け
    られていることを特徴とする静電アクチュエータ。
  10. 【請求項10】 液滴を吐出するノズル孔が連通する吐
    出室の壁面の一部を形成する可動部分を有する振動板を
    備え、この振動板を変形させることで前記液滴を吐出さ
    せる液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板の可動部分を
    変形させる請求項1ないし9のいずれかに記載の静電ア
    クチュエータを備えていることを特徴とする液滴吐出ヘ
    ッド。
  11. 【請求項11】 インク滴を吐出させるインクジェット
    ヘッドを備えたインクジェット記録装置において、前記
    インクジェットヘッドが請求項10に記載の液滴吐出ヘ
    ッドであることを特徴とするインクジェット記録装置。
JP2002051441A 2002-02-27 2002-02-27 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置 Pending JP2003259662A (ja)

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