JP5753854B2 - 有機発光素子、有機発光素子形成用塗液、有機発光素子形成用材料及び当該有機発光素子を用いた光源装置並びに当該有機発光素子の製造方法 - Google Patents

有機発光素子、有機発光素子形成用塗液、有機発光素子形成用材料及び当該有機発光素子を用いた光源装置並びに当該有機発光素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機発光素子、有機発光素子形成用塗液、有機発光素子形成用材料及び当該有機発光素子を用いた光源装置並びに当該有機発光素子の製造方法に関する。
特許文献1には、高い外部取り出し量子効率を示し、発光寿命が長く、且つ、駆動電圧の低い有機EL素子等を提供することを目的として、陰極と陽極との間に設けた少なくとも三層の有機層の少なくとも二層A、Bは、各々非水溶媒を用いる塗布法により形成され、且つ、該層Aと該層Bとの間に、混合領域が形成され、且つ、該混合領域中の、前記層Aまたは前記層Bの構成成分の濃度分布が連続的な濃度勾配を示す有機エレクトロルミネッセンス素子が開示されている。
特許文献2には、塗布法において容易に多層化が可能であり、かつ、有機EL素子の高効率化、長寿命化、及び駆動電圧低減を実現することを目的として、第1の正孔輸送材料及び第2の正孔輸送材料を含む混合物からなり、前記第1の正孔輸送材料が、分子内に1つ以上の重合可能な置換基と、正孔輸送性を有する繰り返し単位とを有するポリマー又はオリゴマーからなり、前記第1の正孔輸送材料の仕事関数と前記第2の正孔輸送材料の仕事関数の差が0.5eV以下である有機エレクトロニクス用材料が開示されている。
特許文献3には、発光輝度が高く、ダークスポットが少なく、且つ寿命が長い有機EL発光素子を提供することを目的として、基板上に陰極と陽極を有し、その間に複数の有機層を有し、該有機層の少なくとも1つが重合性基を少なくとも一つ有する化合物の塗布、重合により得られる、繰り返し単位10個以下である有機分子を含有する層である有機エレクトロルミネッセンス素子が開示されている。
特開2007−42314号公報 特開2009−267392号公報 特開2006−279007号公報
発光層および電荷輸送層の混合層を作製する場合、従来の有機発光素子では所望の機能性基がなく、混合層に含まれるドーパントの濃度制御が難しいという問題があった。
本発明の目的は、簡便にドーパントの濃度を制御できる有機発光素子材料、有機発光素子材料を用いた有機発光素子形成用塗液、有機発光素子形成用塗液を用いた有機発光素子、有機発光素子を用いた光源装置およびそれらの製造方法を提供することである。
本発明の有機発光素子においては、有機層は、電荷輸送層と、この電荷輸送層と接する混合層とを含み、混合層は、ホスト、第一のドーパントおよび電荷輸送性材料を含み、第一のドーパントは、第一の機能性基を含み、電荷輸送性材料は、第二の機能性基を含み、第一のドーパントは、混合層が電荷輸送層と接する側の表面である電荷輸送層接触面に引き寄せられた構成であり、電荷輸送性材料は、混合層の電荷輸送層接触面以外の表面に引き寄せられた構成を有することを特徴とする。
本発明によれば、混合層に含まれる分子の濃度を簡便に制御できる有機発光素子材料、有機発光素子材料を用いた有機発光素子形成用塗液、有機発光素子形成用塗液を用いた有機発光素子、有機発光素子を用いた光源装置およびそれらの製造方法を提供できる。
光源装置の一例を示す断面図である。 有機発光素子の一例を示す断面図である。 有機発光素子の他の例を示す断面図である。 光源装置の一例を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態に係る有機発光素子、有機発光素子形成用塗液、有機発光素子形成用材料及び当該有機発光素子を用いた光源装置並びに当該有機発光素子の製造方法について説明する。
前記有機発光素子は、下部電極と、上部電極と、下部電極と上部電極との間に配置された有機層と、を有する素子であって、有機層は、電荷輸送層と、この電荷輸送層と接する混合層とを含み、混合層は、ホスト、第一のドーパントおよび電荷輸送性材料を含み、第一のドーパントは、第一の機能性基を含み、電荷輸送性材料は、第二の機能性基を含み、第一のドーパントは、混合層が電荷輸送層と接する側の表面である電荷輸送層接触面に引き寄せられた構成であり、電荷輸送性材料は、混合層の電荷輸送層接触面以外の表面に引き寄せられた構成を有することを特徴とする。
前記有機発光素子においては、ホストは、第三の機能性基を含み、混合層の電荷輸送層接触面に引き寄せられた構成を有することが望ましい。
前記有機発光素子においては、下部電極の表面には、電荷輸送層が形成してあり、電荷輸送層の表面には、混合層が形成してあり、混合層の表面には、上部電極が形成してあることが望ましい。
前記有機発光素子においては、第二の機能性基は、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、アルキル基(Cの数は10以上)、パーフルオロポリエーテル基及びシロキシ基からなる群から選ばれた1種類以上の官能基であることが望ましい。
前記有機発光素子においては、下部電極の表面には、混合層が形成してあり、電荷輸送層の表面には、電荷輸送層が形成してあり、電荷輸送層の表面には、上部電極が形成してあり、第一の機能性基は、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、アルキル基(Cの数は10以上)、パーフルオロポリエーテル基及びシロキシ基からなる群から選ばれた1種類以上の官能基であり、第三の機能性基は、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、アルキル基(Cの数は10以上)、パーフルオロポリエーテル基及びシロキシ基からなる群から選ばれた1種類以上の官能基であることが望ましい。
前記有機発光素子においては、混合層は、電子供与性材料または電子受容性材料を含むことが望ましい。
前記有機発光素子においては、混合層は、第二のドーパントを含み、第一のドーパントの発光色および第二のドーパントの発光色の一方は赤色であり、他方は緑色であることが望ましい。
前記有機発光素子においては、混合層は、第二のドーパントおよび第三のドーパントを含み、第一のドーパントの発光色は、第二のドーパントの発光色と異なり、第三のドーパントの発光色は、第一のドーパントの発光色および第二のドーパントの発光色と異なることが望ましい。
前記有機発光素子においては、第二のドーパントおよび第三のドーパントは、第一の機能性基を含むことが望ましい。
有機発光素子形成用塗液は、請求項1の有機発光素子を形成するために用いられる有機発光素子形成用塗液であって、ホスト、第一のドーパント、電荷輸送性材料および溶媒を含む。
有機発光素子形成用材料は、請求項1の有機発光素子を形成するために用いられる有機発光素子形成用材料であって、有機発光素子形成用材料は、ホスト、第一のドーパントおよび電荷輸送性材料を含む。
前記光源装置は、前記有機発光素子を備えている。
前記光源装置においては、前記有機発光素子から白色光が出射されることが望ましい。
前記光源装置は、第一の有機発光素子および第二の有機発光素子を備えたものであって、第一の有機発光素子は、前記有機発光素子であって、混合層は、第二のドーパントを含み、第一のドーパントの発光色および第二のドーパントの発光色の一方は赤色であり、他方は緑色であるものであり、第二の有機発光素子は、前記有機発光素子であって、混合層は、第一のドーパントの代わりに青色ドーパントを含むものであり、青色ドーパントは、第一の機能性基を含むことが望ましい。
前記光源装置は、前記有機発光素子の側面部には、バンクが設けられ、バンクの混合層が存在する側の表面には、撥水層が形成してあることが望ましい。
前記有機発光素子の製造方法は、下部電極と、上部電極と、下部電極と上部電極との間に配置された有機層と、を有し、有機層は、電荷輸送層と、この電荷輸送層と接する混合層とを含み、混合層は、ホスト、第一のドーパントおよび電荷輸送性材料を含み、第一のドーパントは、第一の機能性基を含み、電荷輸送性材料は、第二の機能性基を含み、第一のドーパントは、混合層が電荷輸送層と接する側の表面である電荷輸送層接触面に引き寄せられた構成であり、電荷輸送性材料は、混合層の電荷輸送層接触面以外の表面に引き寄せられた構成を有する有機発光素子の製造方法であって、混合層は、塗布法により形成することを特徴とする。
以下、図面等により本発明を詳細に説明する。
以下の説明は本願発明の内容の具体例を示すものであり、本願発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
図1は、光源装置の一例を示す断面図である。
本図に示す光源装置は、上部電極102側から光を取り出すトップエミッション型の光源装置である。
本図において、基板100の表面には、下部電極101、有機層103及び上部電極102がこの順で配置されている。そして、上部電極102の表面を覆うようにして、樹脂層106、封止基板107及び光取り出し層108がこの順で配置されている。図示していないが、光源装置は、駆動回路、筐体などを具備している。有機発光素子は、上部電極102、下部電極101および有機層103を含む。
下部電極101の表面には、第一のバンク104が配置されている。そして、第一のバンク104の一部は、下部電極101を分断して基板100の表面に接している。第一のバンク104の表面の一部には、第二のバンク105が配置されている。第一のバンク104によって分断された図中右側の下部電極101は、上部電極102と接触している。図中左側の下部電極101と図中右側の下部電極101との間に電圧を印加することにより、有機層103の下部電極101側と上部電極102側とに電位差が生じるようになっている。有機層103においては、電子と正孔とが結合することにより光を発する。
本図においては、下部電極101を陽極としている。下部電極101は、陰極としてもよい。下部電極101は、ホトリソグラフィーによりパターニングして形成される。
下部電極101が陽極の場合、上部電極102は陰極となる。下部電極101が陰極の場合、上部電極102は陽極となる。上部電極102が酸化インジウム錫(Indium Tin Oxide:ITO)または酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc Oxide:IZO)である場合に、ITOまたはIZOをスパッタ法で形成する際には、スパッタによるダメージを緩和するため、有機層103と上部電極102との間にバッファ層を設けてもよい。バッファ層には、酸化モリブデン、酸化バナジウムなどの金属酸化物を用いる。上部電極102は、隣接する有機発光素子の下部電極101と接続される。これにより、有機発光素子を直列接続することができる。
有機発光素子の側面部に形成された第一のバンク104は、順テーパとなっており、パターンニングされた下部電極101の端部を覆っている。これにより、有機発光素子の部分的なショートによる故障を防止する。有機層103を塗布法によって形成した後、所定のフォトマスクを用いて現像露光することにより、第一のバンク104を形成する。第一のバンク104の有機層103が存在する側の表面に撥水性処理を施してもよい。例えば、第一のバンク104の表面にフッ素系ガスのプラズマ処理を行い、第一のバンク104の表面をフッ素化することで撥水性処理を行う。これにより、第一のバンク104の表面には撥水層が形成される。第一のバンク104としては、感光性ポリイミドが好ましい。また、第一のバンク104としては、アクリル樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、非感光性材料なども用いることができる。ここで、有機発光素子の側面部とは、上部電極102、下部電極101及び有機層103を積層した構成を有する板状部材である有機発光素子の周縁部又は端部をいい、第一のバンク104は、上部電極102、下部電極101及び有機層103のうちの少なくともいずれかの周縁部又は端部に接する部材である。
第二のバンク105は、第一のバンク104の表面に形成される。第二のバンク105は、逆テーパとなっており、隣接する上部電極102が導通しないようにするために用いられる。有機層103を塗布で形成した後、所定のフォトマスクを用いて現像露光することにより、第二のバンク105が形成される。第二のバンク105の有機層103が存在する側の表面には撥水性処理を施してもよい。例えば、第二のバンク105の表面にフッ素系ガスのプラズマ処理を行い、第二のバンク105の表面をフッ素化することで撥水性処理を行う。これにより、第二のバンク105の表面には撥水層が形成される。第二のバンク105として、ネガ型フォトレジストを用いることが好ましい。また、第二のバンク105として、アクリル樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、非感光性材料なども用いることができる。
樹脂層106は、上部電極102および第二のバンク105の表面に形成される。樹脂層106は、有機発光素子を封止するため、上記の発光素子の劣化の要因となるガスや水分の浸入を防ぐために用いられる。樹脂層106として、エポキシ樹脂などの各種ポリマーを用いることができる。封止性能を向上させるために、樹脂層106として上部電極102上の無機パッシベーション膜を用いることもできる。
封止基板107は樹脂層106の表面に形成される。封止基板107はガラス基板である。但し、ガラス基板以外でも、適切なガスバリア膜を有するプラスチック基板も用いることができる。
光取出し層108は封止基板107に形成される。光取出し層108は、有機層103で発光した光を効率よく取出すために用いられる。光取出し層108として、例えば、マイクロレンズなどの構造体や、散乱性、拡散反射性を有するフィルムが用いられる。
ここで用いる有機発光素子は、単一の素子でも、複数に分割された素子でもかまわない。複数の素子を接続する方法は、各素子を直列、並列またはそれらを組み合わせた方法が挙げられる。また、有機発光素子を複数に分割した場合には、以下の態様が考えられる。第一のドーパント、第二のドーパントおよび第三のドーパントについては後述する。
(a)第一のドーパント、第二のドーパントおよび第三のドーパントを含む単一の有機発光素子が複数存在する。
(b)第一のドーパントおよび第二のドーパントを含む有機発光素子、並びに第三のドーパントを含む有機発光素子が存在する。
(c)第一のドーパントを含む有機発光素子、第二のドーパントを含む有機発光素子、及び第三のドーパントを含む有機発光素子が存在する。
上記(b)において、赤色ドーパントおよび緑色ドーパントを含む有機発光素子と、青色ドーパントを含む有機発光素子とを組み合わせた場合、エネルギー移動の影響を最小限にし、青色ドーパントを含む有機発光素子を効率的に光らせることができる。上記(c)において、第一のドーパント、第二のドーパントおよび第三のドーパントを赤色ドーパント、緑色ドーパントおよび青色ドーパントとすれば、複数の有機発光素子からの発光が混じりあい、白色光が出射される。
図4は、光源装置の一例を示す斜視図である。
第一の有機発光素子202と第二の有機発光素子203とは、第二のバンク105で分割されている。第一の有機発光素子202および第二の有機発光素子203から光が取り出される方向には、拡散板201が配置されている。上記(b)の構成を用いる場合、本図においては、第一の有機発光素子202が赤色ドーパントおよび緑色ドーパントを含む有機発光素子となり、第二の有機発光素子203が青色ドーパントを含む有機発光素子となる。上記(c)の構成を用いる場合、図4では、第一の有機発光素子202および第二の有機発光素子203が、赤色ドーパントを含む有機発光素子、緑色ドーパントを含む有機発光素子、青色ドーパントを含む有機発光素子のいずれかとなる。各有機発光素子の配置は、本図に示すようなストライプ状のほかに千鳥格子状でもかまわない。有機発光素子を塗布で作製する場合、本図に示すように有機発光素子をストライプ状に配置した方が容易に作製できる。
異なる色の素子を組み合わせた場合には、良好な白色光を得るために、本図のように、有機発光素子の光取り出し面の上部に拡散板201を取り付けてもかまわない。拡散板201としては、樹脂やガラス中に散乱体を分散させたものや、表面に凹凸構造を形成したものなどが考えられる。
図2は、有機発光素子の一例を示す断面図である。
本図においては、基板100の表面に下部電極101、有機層103及び上部電極102がこの順に配置されている。本図の有機発光素子は、上部電極102側から有機層103の発光を取り出すトップエミッション型である。下部電極101は陰極となる反射電極であり、上部電極102は陽極となる透明電極である。なお、上部電極102が陰極であって下部電極101が陽極である場合、上部電極102を反射電極とし、下部電極101を透明電極としたボトムエミッション型の素子構造としても構わない。基板100および下部電極101、下部電極101および有機層103、並びに有機層103および上部電極102は、それぞれ、接していても構わない。各層の間に無機のバッファ層や注入層などを介在させてもよい。無機のバッファ層としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化タングステン等が挙げられる。注入層としては、電子注入層、正孔注入層などが挙げられる。
有機層103には、電荷輸送層10および混合層11が含まれる。本図では、混合層11の膜厚が電荷輸送層10の膜厚より大きくなっているが、混合層11の膜厚を電荷輸送層10の膜厚と等しくしても、混合層11の膜厚を電荷輸送層10の膜厚より小さくしても構わない。本図では、基板100の表面に下部電極101が形成され、下部電極101の表面に電荷輸送層10が形成され、電荷輸送層10の表面に混合層11が形成され、混合層11の表面に上部電極102が形成されている。
図3は、有機発光素子の他の例を示す断面図である。
本図のように、下部電極101の表面に混合層11が形成され、混合層11の表面に電荷輸送層10が形成され、電荷輸送層10の表面に上部電極102が形成されていても構わない。
有機層103には、電荷輸送層10および混合層11以外の層が含まれていても構わない。電荷輸送層10および混合層11以外の層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層及び正孔注入層が挙げられる。これらの層は、複数種類が積層されていてもよい。電荷輸送層10および混合層11は接していても構わず、電荷輸送層10と混合層11との間に無機のバッファ層や注入層などを介在させてもよい。
電荷輸送層10としては、電子輸送層、正孔輸送層などが考えられる。
混合層11には、ホスト、第一のドーパント及び電荷輸送性材料が含まれる。混合層11には、電子供与性材料または電子受容性材料が含まれていても構わない。混合層11内で電子及び正孔が再結合して、混合層11が発光する。発光する部分は混合層11の層内であってもよいし、混合層11と混合層11に隣接する層との界面であってもよい。
第一のドーパントとしては、蛍光性化合物、リン光性化合物等が挙げられる。また、第一のドーパントとしては、赤色ドーパント、緑色ドーパント及び青色ドーパント等が挙げられる。
有機発光素子の製造方法は、真空蒸着法と塗布法に大別される。そのうち、塗布法は、大面積の成膜が容易、材料の利用効率が高いなどの利点がある。塗布法を用いるためには、有機発光素子の層数を少なくする必要があり、発光層を単層にすることが求められている。
従来の塗布法で作製した有機発光素子では、各材料の溶媒に対する溶解度の差を利用して、多積層する際に再溶解する下層の領域を制御し混合層を形成している。この方法では混合層に含まれる材料の濃度制御が難しい。
<第一の機能性基>
ホストには第三の機能性基が含まれ、第一のドーパントには第一の機能性基が含まれている。第一の機能性基の作用により、第一のドーパントは混合層11における電荷輸送層10が存在する側の表面へ引き寄せられる。第三の機能性基の作用により、ホストは混合層11における電荷輸送層10が存在する側の表面へ引き寄せられる。ホストに第三の機能性基が含まれていなくても構わない。ホストに第三の機能性基が含まれることにより、第一のドーパントの濃度制御が容易になる。第一の機能性基および第三の機能性基は同一の機能性基でも、異なる機能性基でも構わない。以下では、ホストおよび第一のドーパントに、同一のドーパントとして第一の機能性基が含まれている場合について詳述する。なお、本明細書においては、「機能性基」は、「機能性官能基」とも呼ぶ。
図3のように、混合層11と上部電極102との間に電荷輸送層10が形成されている場合、第一の機能性基としては、例えばフルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、アルキル基(ただし、Cの数は10以上とする。)、パーフルオロポリエーテル基及びシロキシ基(−Si−O−Si−)が好適である。表面エネルギーを考慮すれば、フルオロアルキル基及びパーフルオロポリエーテル基が望ましく、パーフルオロアルキル基が更に望ましい。ホストおよび第一のドーパントには、これらの機能性基を一つでも有していれば良いが、複数種類有していても構わない。これらの基は、主骨格に直接導入してもよいが、下記化学式(化1)のようにアミド結合やエステル結合などを介して導入してもかまわない。
Figure 0005753854
ホストおよび第一のドーパントにフッ素を有する置換基が付与されている場合、フッ素の数が多いほど、ホストおよび第一のドーパントは混合層11における電荷輸送層10が存在する側の表面へ偏在する。具体的には、置換基に存在するフッ素の数が7以上であることが望ましい。
ホストおよび第一のドーパントに第一の機能性基が付加されることにより、ホストおよび第一のドーパントは混合層11において上部電極102が存在する側の表面に偏在、局在化することになる。つまり、ホストおよび第一のドーパントは、混合層11において濃度勾配を形成する。ホストおよび第一のドーパントに第一の機能性基が付加されることにより、混合層11の膜厚方向において、ホストおよび第一のドーパントの濃度がピークとなる位置は混合層11の中央より上部電極102側に存在することになる。また、混合層11の膜厚方向において、ホストおよび第一のドーパントの濃度がピークとなる位置から下部電極101側に向かって単調減少する。
図2のように、混合層11と下部電極101との間に電荷輸送層10が形成されている場合、第一の機能性基は、下部電極101が存在する側で混合層11に接する下地層の種類によって以下のように分けられる。
下地層が正孔輸送層である場合には、第一の機能性基に正孔輸送層と同様の構造を導入する。具体的には、フェニルアミノ基、カルバゾール基、ヒドラゾン部位などがあげられる。
下地層が電子輸送層である場合には、第一の機能性基に電子輸送層と同様の構造を導入する。具体的には、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン部位などがあげられる。
下地層がITOや金属といった電極である場合には、第一の機能性基として、ヒドロキシ基(−OH)、チオール基(−SH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、I、Br、Cl、F、SCN、CN、NH、NO、ビピリジル基などがあげられる。これらの基は下記化学式(化2)のように主骨格に直接導入してもよいが、下記化学式(化3)のようにアミド結合やエステル結合、または分子の大きさを考慮しアルキル鎖などを介して導入してもかまわない。また、ホストおよび第一のドーパントは、これらの機能性基を一つでも有していれば良いが、複数種類有していても構わない。
Figure 0005753854
Figure 0005753854
このような機能性基が付加されることにより、ホストおよび第一のドーパントは、混合層11において下部電極101側に偏在し、局在化する。つまり、ホストおよび第一のドーパントは、混合層11において濃度勾配を形成する。この場合、混合層11の膜厚方向において、ホストおよび第一のドーパントの濃度がピークとなる位置は混合層11の中央より下部電極101側に存在することになる。また、混合層11の膜厚方向において、ホストおよび第一のドーパントの濃度がピークとなる位置から上部電極102側に向かって単調減少する。
混合層11には、第二のドーパントが含まれていても構わない。その場合、第二のドーパントの発光色は、第一のドーパントの発光色と異なることが望ましい。第二のドーパントには、第一の機能性基が含まれていてもよい。ここで、「発光色が異なる」とは、各ドーパントのPLスペクトルにおいて最大強度を示す波長が異なることをいう。混合層11に第一のドーパントおよび第二のドーパントが含まれている場合、第一のドーパントの発光色および第二のドーパントの発光色の一方は赤色であり、第一のドーパントの発光色および第二のドーパントの発光色の他方は緑色であることが望ましい。これにより、エネルギー移動の影響を最小限にできる。第一のドーパントおよび第二のドーパントのPLスペクトルの最大強度を調整することで有機発光素子から白色光が出射される。
さらに、混合層11に第三のドーパントが含まれていても構わない。その場合、第三のドーパントの発光色は、第一のドーパントの発光色および第二のドーパントの発光色と異なることが望ましい。第三のドーパントには、第一の機能性基が含まれていてもよい。最低三重項励起エネルギー(T1エネルギー)の関係により、混合層11中の電荷輸送層領域にドーパントがあっても必ずしも効率的に発光するとは限らない。よって、混合層11中の発光層領域にドーパントを存在させるためには、第一のドーパント、第二のドーパントおよび第三のドーパントに第一の機能性基が含まれることが望ましい。例えば、第一のドーパント、第二のドーパントおよび第三のドーパントを、赤色ドーパント、緑色ドーパントおよび青色ドーパントとすれば、単一の混合層11で有機発光素子から白色光が出射される。第一のドーパント、第二のドーパントおよび第三のドーパントに第一の機能性基が含まれる場合、それぞれのドーパントに上述の第一の機能性基の中から異なる機能性基を選択してもよいし、同一の機能性基を選択してもよい。
単層の混合層11で白色発光させるために赤色ドーパント、緑色ドーパント及び青色ドーパントを混合した場合、周囲に異なる色のドーパントが存在する。励起エネルギーはある確率で隣接する分子へと移動する。青色ドーパントに隣接して緑色ドーパントまたは赤色ドーパントが存在する場合には、励起エネルギーが青色ドーパントから緑色ドーパントまたは赤色ドーパントの低エネルギー側へと移動してしまい、白色発光が困難となる。よって、単層の混合層11に赤色ドーパント、緑色ドーパント及び青色ドーパンが含まれている場合、青色ドーパントには第一の機能性基を付与せず、赤色ドーパントおよび緑色ドーパントに第一の機能性基を付与することが望ましい。
<第二の機能性基>
電荷輸送性材料には、第二の機能性基が含まれている。第二の機能性基の作用により、電荷輸送性材料は、混合層11における電荷輸送層10が存在しない側の表面へ引き寄せられる。電荷輸送層10が存在する側および電荷輸送層10が存在しない側の方向は、有機発光素子の膜厚方向を基準としている。
図2のように、混合層11と下部電極101との間に電荷輸送層10が形成されている場合、第二の機能性基としては、例えばフルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、アルキル基(ただし、Cの数は10以上とする。)、パーフルオロポリエーテル基及びシロキシ基(−Si−O−Si−)が好適である。表面エネルギーを考慮すれば、フルオロアルキル基及びパーフルオロポリエーテル基が望ましく、パーフルオロアルキル基が更に望ましい。電荷輸送性材料には、これらの機能性基を一つでも有していれば良いが、複数種類有していても構わない。これらの基は、主骨格に直接導入してもよいが、上記化学式(化1)のようにアミド結合やエステル結合などを介して導入してもかまわない。
電荷輸送性材料にフッ素を有する置換基が付与されている場合、フッ素の数が多いほど、電荷輸送性材料は、混合層11における電荷輸送層10が存在しない側の表面へ偏在する。具体的には、置換基に存在するフッ素の数が7以上であることが望ましい。
電荷輸送性材料に第二の機能性基が付加されることにより、電荷輸送性材料は混合層11において上部電極102が存在する側に偏在し、局在化することになる。つまり、電荷輸送性材料は、混合層11において濃度勾配を形成する。混合層11の膜厚方向において、電荷輸送性材料の濃度がピークとなる位置は、混合層11の中央より上部電極102側に存在することになる。また、混合層11の膜厚方向において、電荷輸送性材料の濃度がピークとなる位置から下部電極101側に向かって単調減少する。
図3のように、混合層11と上部電極102との間に電荷輸送層10が形成されている場合、第二の機能性基は、混合層11において下部電極101が存在する側に接する下地層の種類によって以下のように分けられる。
下地層が正孔輸送層である場合には、第二の機能性基に正孔輸送層と同様の構造を有するものを導入する。具体的には、フェニルアミノ基、カルバゾール基、ヒドラゾン部位などがあげられる。
下地が電子輸送層である場合には、第二の機能性基に電子輸送層と同様の構造を有するものを導入する。具体的には、オキサジアゾール基、トリアゾール基、フェナントロリン部位などがあげられる。
下地層がITOや金属といった電極である場合には、第二の機能性基として、例えばヒドロキシ基(−OH)、チオール基(−SH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、I、Br、Cl、F、SCN、CN、NH、NO及びビピリジル基が好適である。これらの基は、上記化学式(化2)のように主骨格に直接導入してもよいが、上記化学式(化3)のようにアミド結合やエステル結合、または分子の大きさを考慮しアルキル鎖などを介して導入してもかまわない。また、これらの機能性基を一つでも有していれば良いが、複数種類有していても構わない。
このような機能性基が付加されることにより、電荷輸送性材料は、混合層11において下部電極101側に偏在し、または局在化する。つまり、電荷輸送性材料は、混合層11において濃度勾配を形成する。この場合、混合層11の膜厚方向において、電荷輸送性材料の濃度がピークとなる位置は混合層11の中央より下部電極101側に存在することになる。また、混合層11の膜厚方向において、電荷輸送性材料の濃度がピークとなる位置から上部電極102側に向かって単調減少する。
電荷輸送性材料としては、正孔輸送性材料または電子輸送性材料が考えられる。正孔輸送性材料としては、スターバーストアミン系化合物、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体、チオフェン誘導体、フルオレン誘導体などが挙げられる。電子輸送性材料としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)や、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、Tris(2、4、6−trimethyl−3−(pyridin−3−yl)phenyl)borane(3TPYMB)、1、4−Bis(triphenylsilyl)benzene(UGH2)、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フラーレン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、シロール誘導体などが挙げられる。
電荷輸送性材料として正孔輸送性材料が用いられる場合、混合層11を低抵抗化し駆動電圧を低下させるために、混合層11に電子受容性材料を添加しても良い。電子受容性材料とは、電子を電子受容性材料以外の分子から受け取りやすい材料をいう。電子受容性材料としては、例えば7、7、8、8−tetracyanoquinodimethane(TCNQ)誘導体などが挙げられる。混合層11中の電子受容性材料に第二の機能性基が含まれていてもよい。電子受容性材料に第二の機能性基が含まれることにより、発光層領域中の電子受容性材料が少なくなり、発光効率を向上できる。
電荷輸送性材料として電子輸送性材料が用いられる場合、混合層11を低抵抗化し素子の駆動電圧を低下させるために、混合層11に電子供与性材料を添加しても良い。電子受容性材料とは、電子を放出しやすい(電子受容性材料以外の分子に渡しやすい)材料をいう。電子供与性材料としては、例えばN−ethyl−1、10−phenanthrolium(NEP)誘導体、Methyltriphenylphosphonium(MTPP)誘導体、N、N、N、N−tetramethyl−p−phenylenendiamine(TMPD)誘導体、rhodamine B chloride誘導体、pyronin B chloride誘導体、8−Hydroxyquinolinolato−lithium(Liq)誘導体などが挙げられる。混合層11中の電子供与性材料に第二の機能性基が含まれていてもよい。電子供与性材料に第二の機能性基が含まれることにより、発光層領域中の電子供与性材料が少なくなり、発光効率を向上できる。
<層構成1>
層構成1としては、下部電極101/正孔輸送層(電荷輸送層10)/混合層11(発光層+電子輸送層)/上部電極102という場合を考える。層構成1は、図2に対応する。混合層11には、ホスト、第一のドーパントおよび電子輸送性材料が含まれる。この場合、下部電極101が陽極、上部電極102が陰極(トップカソード)となる。正孔輸送層は、混合層11塗布時に再溶解を防ぐために、混合層形成用溶媒に対し不溶化することが好ましい。混合層形成用溶媒に対し不溶化する正孔輸送層としては、例えば、特許文献2に記載の材料が挙げられる。ホストおよび第一のドーパントに付加する第一の機能性基は、下部電極101が存在する側へとホストおよび第一のドーパントを移動させ、また、電子輸送性材料に付加する第二の機能性基は、上部電極102が存在する側へと電子輸送性材料を移動させることで、擬似的な積層構造を形成する。
以上の構成により、塗布法により混合層11を含む擬似3層構造の有機層を有する有機発光素子が作製できる。また、簡便に各材料の濃度分布が制御された混合層11を有する有機発光素子を作製できる。
<層構成2>
層構成2としては、下部電極101/電子輸送層(電荷輸送層10)/混合層11(発光層+正孔輸送層)/上部電極102という場合を考える。層構成2は、図2に対応する。混合層11にはホスト、第一のドーパントおよび正孔輸送性材料が含まれる。この場合、下部電極101が陰極、上部電極102が陽極(トップアノード)となる。電子輸送層は、混合層11の塗布時に再溶解を防ぐために、混合層形成用溶媒に対し不溶化することが好ましい。混合層形成用溶媒に対し不溶化する電子輸送層としては、例えば、特許文献3に記載の材料が挙げられる。ホスト材料および第一のドーパントに付加する第一の機能性基は、下部電極101が存在する側へとホストおよび第一のドーパントを移動させ、また、正孔輸送性材料に付加する第二の機能性基は、上部電極102が存在する側へと正孔輸送性材料を移動させることで、擬似的な積層構造を形成する。
以上の構成により、塗布法により混合層11を含む擬似3層構造の有機層を有する有機発光素子が作製できる。また、簡便に各材料の濃度分布が制御された混合層11を有する有機発光素子を作製できる。
<層構成3>
層構成3としては、下部電極101/混合層11(電子輸送層+発光層)/正孔輸送層(電荷輸送層10)/上部電極102という場合を考える。層構成3は、図3に対応する。混合層11には、ホスト、第一のドーパントおよび電子輸送性材料が含まれる。この場合、下部電極101が陰極、上部電極102が陽極(トップアノード)となる。電子輸送性材料に付加する第二の機能性基は、下部電極101が存在する側へと電子輸送性材料を移動させ、またホスト20および第一のドーパントに付加する第一の機能性基は、上部電極102が存在する側へとホストおよび第一のドーパントを移動させることで、擬似的な積層構造を形成する。なお正孔輸送層は、蒸着法等を用いて形成することが望ましい。
これにより、簡便に各材料の濃度分布が制御された混合層11を有する有機発光素子を作製できる。
<層構成4>
層構成4としては、下部電極101/混合層11(正孔輸送層+発光層)/電子輸送層(電荷輸送層10)/上部電極102という場合を考える。層構成4は、図3に対応する。混合層11には、ホスト、第一のドーパントおよび正孔輸送性材料が含まれる。この場合、下部電極101が陽極、上部電極102が陰極(トップカソード)となる。正孔輸送性材料に付加する第二の機能性基は、下部電極101が存在する側へと正孔輸送性材料を移動させ、またホストおよび第一のドーパントに付加する第一の機能性基は、上部電極102が存在する側へとホストおよび第一のドーパントを移動させることで、擬似的な積層構造を形成する。なお、電子輸送層は、蒸着法等を用いて形成することが望ましい。
これにより、簡便に各材料の濃度分布が制御された混合層11を有する有機発光素子を作製できる。
<ホスト>
ホストとしては、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体、アリールシラン誘導体などを用いることが好ましい。効率の良い発光を得るためには青色ドーパントの励起エネルギーよりも、ホストの励起エネルギーが十分大きいことが好ましい。なお、励起エネルギーは発光スペクトルを用いて測定される。
<青色ドーパント>
青色ドーパントは、400nmから500nmまでの間に室温におけるPLスペクトルの最大強度が存在する。青色ドーパントの主骨格としては、例えばペリレン、イリジウム錯体(Bis(3、5−difluoro−2−(2−pyridyl)phenyl−(2−carboxypyridyl)iridium(III)):FIrpicなど)があげられる。中でも、発光特性の面から、下記化学式(化4)で示されるイリジウム錯体が好ましい。式中、X1は、Nを含む芳香族ヘテロ環を表し、X2は、芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表す。
Figure 0005753854
X1で表わされる芳香族ヘテロ環としては、キノリン環、イソキノリン環、ピリジン環、キノキサリン環、チアゾール環、ピリミジン環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、インドール環、イソインドール環などがあげられる。X2で表わされる芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、フルオレン環などがあげられる。式中、X3は、アセチルアセトナート誘導体、ピコリネート誘導体、テトラキスピラゾリルボレート誘導体などが挙げられる。また、X3は、X1−X2と同一でもかまわない。
発光効率やキャリア伝導の観点から、混合層11中での青色ドーパントの濃度は、ホストに対し10wt%以上が好ましい。青色ドーパントの重量平均分子量は、500〜3000が望ましい。
<緑色ドーパント>
緑色ドーパントは、500nmから590nmまでの間に室温におけるPLスペクトルの最大強度が存在する。緑色ドーパントの主骨格としては、例えばクマリンおよびその誘導体、イリジウム錯体(Tris(2−phenylpyridine)iridium(III):以下、「Ir(ppy)3など」と呼ぶ。)があげられる。中でも、発光特性の面から、上記化学式(化4)で示されるイリジウム錯体がより好ましい。式中、X1は、Nを含む芳香族ヘテロ環を表し、X2は、芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表す。
X1で表される芳香族ヘテロ環としては、キノリン環、イソキノリン環、ピリジン環、キノキサリン環、チアゾール環、ピリミジン環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、インドール環、イソインドール環などがあげられる。X2で表される芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、フルオレン環などがあげられる。X3は、アセチルアセトナート誘導体、X1−X2と同一のものなどが挙げられる。
発光効率、青色ドーパントからのエネルギー移動の抑制およびキャリア伝導の観点から、混合層11中での緑色ドーパントの濃度は、ホストに対し1wt%以下が好ましい。緑色ドーパントの重量平均分子量は、500〜3000が望ましい。
<赤色ドーパント>
赤色ドーパントは、590nmから780nmまでの間に室温におけるPLスペクトルの最大強度が存在する。赤色ドーパントの主骨格としては、例えばルブレン、(E)−2−(2−(4−(dimethylamino)styryl)−6−methyl−4H−pyran−4−ylidene)malononitrile(DCM)およびその誘導体、イリジウム錯体(Bis(1−phenylisoquinoline)(acetylacetonate)iridium(III)など)、オスミウム錯体、ユーロピウム錯体があげられる。中でも、発光特性の面から、上記化学式(化4)で示されるイリジウム錯体が好ましい。式中、X1は、Nを含む芳香族ヘテロ環を表し、X2は、芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表す。
X1で表される芳香族ヘテロ環としては、キノリン環、イソキノリン環、ピリジン環、キノキサリン環、チアゾール環、ピリミジン環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、インドール環、イソインドール環などがあげられる。X2で表される芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、フルオレン環などがあげられる。X3は、アセチルアセトナート誘導体などが好ましい。
青色ドーパントからのエネルギー移動の抑制およびキャリア伝導の観点から、混合層11中での赤色ドーパントの濃度は、ホストに対し1wt%以下が好ましい。赤色ドーパントの重量平均分子量は、500〜3000が望ましい。
<正孔注入層>
正孔注入層は、発光効率や寿命を改善する目的で使用される。また、特に必須ではないが、陽極の凹凸を緩和する目的で使用される。正孔注入層は、単層もしくは複数層設けてもよい。正孔注入層としては、PEDOT(ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)):PSS(ポリスチレンスルホネート)等の導電性高分子が好ましい。その他にも、ポリピロール系やトリフェニルアミン系のポリマー材料を用いることができる。また、低分子(重量平均分子量10000以下)材料系と組み合わせてよく用いられる、フタロシアニン類化合物やスターバーストアミン系化合物も適用可能である。
<正孔輸送層>
正孔輸送層は、発光層に正孔を供給する層である。広い意味で、正孔注入層及び電子阻止層も、正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は、単層もしくは複数層設けてもよい。正孔輸送層としては、スターバーストアミン系化合物、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体、チオフェン誘導体、フルオレン誘導体などを用いることができる。また、これらの材料に限られるものではなく、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。正孔輸送層を低抵抗化し駆動電圧を低下させるために、正孔輸送層中に電子受容性材料を添加しても良い。
<電子輸送層>
電子輸送層は、発光層に電子を供給する層である。広い意味で、電子注入層及び正孔阻止層も、電子輸送層に含まれる。電子輸送層は、単層もしくは複数層設けてもよい。この電子輸送層の材料としては、例えば、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)や、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、Tris(2、4、6−trimethyl−3−(pyridin−3−yl)phenyl)borane(3TPYMB)、1、4−Bis(triphenylsilyl)benzene(UGH2)、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フラーレン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、シロール誘導体などを用いることができる。電子輸送層を低抵抗化し素子の駆動電圧を低下させるために、電子輸送層中に電子供与性材料を添加しても良い。
<電子注入層>
電子注入層は、陰極から電子輸送層への電子注入効率を向上させる。具体的には、弗化リチウム、弗化マグネシウム、弗化カルシウム、弗化ストロンチウム、弗化バリウム、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムが望ましい。また、もちろん、これらの材料に限られるわけではなく、また、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
<基板>
基板100としては、ガラス基板、金属基板、SiO、SiN、Al等の無機材料を形成したプラスチック基板等が挙げられる。金属基板材料としては、ステンレス、42アロイなどの合金が挙げられる。プラスチック基板材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリサルフォン、ポリカーボネート、ポリイミド等が挙げられる。
<陽極>
陽極材料としては、高い仕事関数を有する材料であれば用いることができる。具体的には、透明電極として用いることができる材料としては、ITO、IZOなどの導電性酸化物や、薄いAgなどの仕事関数の大きい金属が挙げられる。また、反射電極としては、Alの表面にITOを積層したものや、ITO/Ag/ITO積層膜、Cr、Moなどが挙げられる。電極のパターン形成は、下部電極であれば一般的にはガラス等の基板の表面にホトリソグラフィーなどを用いることで、また、上部電極である場合には成膜時にメタルマスクを用いることで行うことができる。
<陰極>
陰極材料は、仕事関数が小さい金属が好ましい。具体的には、反射電極をして用いる材料としてはLiFとAlの積層体やMg:Ag合金などが好適に用いられる。透明陰極としては薄いMg:Ag合金やITOの表面に薄いMg:Ag合金を積層したもの、LiFとIZOの積層体などが挙げられる。また、これらの材料に限定されるものではなく、例えばLiFの代わりとして、Cs化合物、Ba化合物、Ca化合物などを用いることができる。電極のパターニングは陽極と同様に行うことができる。
<有機発光素子形成用塗液>
有機発光素子形成用塗液は、ホスト、電荷輸送性材料およびドーパントを適切な溶媒に溶解させたものである。有機発光素子形成用材料は、ホスト、ドーパントおよび電荷輸送性材料を含む。ここで用いる溶媒は、例えばトルエンなど芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、アルコール類、フッ素系溶媒など各材料が溶解するものであればよい。また、各材料の溶解度や、乾燥速度の調整のために前述の溶媒を複数混合した混合溶媒でもかまわない。
混合層11を成膜するための塗布法としては、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などを挙げることができる。これらの方法のうち1つを用いて、混合層11を形成する。
以下に、具体的な実施例を示して、本願発明の内容を更に詳細に説明する。
本発明の第一の実施例として、図2に示す構造の白色発光素子を作製した。下部電極101には、ITO電極を用い、正孔輸送層(電荷輸送層10)にはポリマー系の材料を用いた。混合層11は、ホスト材料として上記化学式(化2)、青色ドーパントとして上記化学式(化3)、緑色ドーパントとして下記化学式(化5)、赤色ドーパントとして下記化学式(化6)、電子輸送性材料として上記化学式(化1)を用いた。それぞれの材料の重量比は、100:10:1:1:100とした。これらのホスト材料、青色ドーパント材料、緑色ドーパント材料、赤色ドーパント材料および電子輸送性材料をトルエンに溶解させて塗液を作製した。塗液の固形成分濃度は1wt.%に設定した。この塗液を用いて、スピンコート法により混合層11を形成した。つぎに、混合層11の表面に、正孔注入層としてPEDOTをスピンコート法にて形成した。続いて、LiF及びAlの積層体を上部電極102として形成することにより、有機発光素子を作製した。
Figure 0005753854
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また、比較例として機能性基を含まない材料を用い、同一条件で有機発光素子を作製した。作製した有機発光素子に電圧を印加したところ、本実施例は、比較例よりも良好な発光特性が得られた。
本発明の第二の実施例として、複数の有機発光素子を接続した光源装置を作製した。作製した素子は、実施例1において赤色および緑色ドーパントを含む素子(RG素子)と青色ドーパントを含む素子(B素子)を組み合わせた素子である。塗布膜の作製にインクジェット法を用いた以外は、実施例1と同様の方法で作製した。均質な白色光を得るために、作製した素子の発光面に拡散板を取り付けた。作製した光源装置では良好な白色光が得られた。
10:電荷輸送層、11:混合層、100:基板、101:下部電極、102:上部電極、103:有機層、104:第一のバンク、105:第二のバンク、106:樹脂層、107:封止基板、108:光取り出し層、201:拡散板、202:第一の有機発光素子、203:第二の有機発光素子

Claims (14)

  1. 下部電極と、上部電極と、前記下部電極と前記上部電極との間に配置された有機層と、を有する有機発光素子であって、前記有機層は、電荷輸送層と、この電荷輸送層と接する混合層とを含み、前記混合層は、ホスト、第一のドーパントおよび電荷輸送性材料を含み、前記第一のドーパントは、第一の機能性基を含み、前記電荷輸送性材料は、第二の機能性基を含み、前記第一のドーパントは、前記混合層が前記電荷輸送層と接する側の表面である電荷輸送層接触面に引き寄せられた構成であり、前記電荷輸送性材料は、前記混合層の前記電荷輸送層接触面以外の表面に引き寄せられた構成を有し、
    前記下部電極の表面には、前記電荷輸送層が形成してあり、前記電荷輸送層の表面には、前記混合層が形成してあり、前記混合層の表面には、前記上部電極が形成してあり、
    前記第一の機能性基は、
    前記電荷輸送層が正孔輸送層である場合には、フェニルアミノ基、カルバゾール基またはヒドラゾンであり、
    前記電荷輸送層が電子輸送層である場合には、オキサジアゾール基、トリアゾール基またはフェナントロリンであり、
    前記第二の機能性基は、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、アルキル基(Cの数は10以上)、パーフルオロポリエーテル基及びシロキシ基からなる群から選ばれた1種類以上の官能基であることを特徴とする有機発光素子。
  2. 下部電極と、上部電極と、前記下部電極と前記上部電極との間に配置された有機層と、を有する有機発光素子であって、前記有機層は、電荷輸送層と、この電荷輸送層と接する混合層とを含み、前記混合層は、ホスト、第一のドーパントおよび電荷輸送性材料を含み、前記第一のドーパントは、第一の機能性基を含み、前記電荷輸送性材料は、第二の機能性基を含み、前記第一のドーパントは、前記混合層が前記電荷輸送層と接する側の表面である電荷輸送層接触面に引き寄せられた構成であり、前記電荷輸送性材料は、前記混合層の前記電荷輸送層接触面以外の表面に引き寄せられた構成を有し、
    前記下部電極の表面には、前記混合層が形成してあり、前記混合層の表面には、前記電荷輸送層が形成してあり、前記電荷輸送層の表面には、前記上部電極が形成してあり、
    前記第一の機能性基は、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、アルキル基(Cの数は10以上)、パーフルオロポリエーテル基及びシロキシ基からなる群から選ばれた1種類以上の官能基であり、
    前記第二の機能性基は、ヒドロキシ基(−OH)、チオール基(−SH)、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SOH)、I、Br、Cl、F、SCN、CN、NH、NOまたはビピリジル基であることを特徴とする有機発光素子。
  3. 前記ホストは、第三の機能性基を含み、前記混合層の前記電荷輸送層接触面に引き寄せられた構成を有し、
    前記第三の機能性基は、
    前記電荷輸送層が正孔輸送層である場合には、フェニルアミノ基、カルバゾール基またはヒドラゾン部位であり、
    前記電荷輸送層が電子輸送層である場合には、オキサジアゾール基、トリアゾール基またはフェナントロリン部位であることを特徴とする請求項1記載の有機発光素子。
  4. 前記ホストは、第三の機能性基を含み、前記混合層の前記電荷輸送層接触面に引き寄せられた構成を有し、
    前記第三の機能性基は、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、アルキル基(Cの数は10以上)、パーフルオロポリエーテル基及びシロキシ基からなる群から選ばれた1種類以上の官能基であることを特徴とする請求項2記載の有機発光素子。
  5. 前記混合層は、電子供与性材料または電子受容性材料を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の有機発光素子。
  6. 前記混合層は、第二のドーパントを含み、前記第一のドーパントの発光色および前記第二のドーパントの発光色の一方は赤色であり、他方は緑色であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機発光素子。
  7. 前記混合層は、第二のドーパントおよび第三のドーパントを含み、前記第一のドーパントの発光色は、前記第二のドーパントの発光色と異なり、前記第三のドーパントの発光色は、前記第一のドーパントの発光色および前記第二のドーパントの発光色と異なることを特徴とする請求項1または2に記載の有機発光素子。
  8. 前記第二のドーパントおよび前記第三のドーパントは、前記第一の機能性基を含むことを特徴とする請求項記載の有機発光素子。
  9. 請求項1または2に記載の有機発光素子を形成するために用いられる有機発光素子形成用塗液であって、前記ホスト、前記第一のドーパント、前記電荷輸送性材料および溶媒を含むことを特徴とする有機発光素子形成用塗液。
  10. 請求項1または2に記載の有機発光素子を形成するために用いられる有機発光素子形成用材料であって、前記有機発光素子形成用材料は、前記ホスト、前記第一のドーパントおよび前記電荷輸送性材料を含むことを特徴とする有機発光素子形成用材料。
  11. 請求項1または2に記載の有機発光素子を備えたことを特徴とする光源装置。
  12. 前記有機発光素子からは、白色光が出射されることを特徴とする請求項11記載の光源装置。
  13. 前記有機発光素子の側面部には、バンクが設けられ、前記バンクの前記混合層が存在する側の表面には、撥水層が形成してあることを特徴とする請求項11記載の光源装置。
  14. 請求項1または2に記載の有機発光素子の製造方法であって、前記混合層は、塗布法により形成することを特徴とする有機発光素子の製造方法。
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