JP4945645B2 - 有機発光層材料,有機発光層材料を用いた有機発光層形成用塗布液,有機発光層形成用塗布液を用いた有機発光素子および有機発光素子を用いた光源装置 - Google Patents
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単層の発光層で白色発光させるために赤色ドーパント,緑色ドーパント及び青色ドーパントを混合した場合、周囲に異なる色のドーパントが存在する。励起エネルギーはある確率で隣接する分子へと移動する。例えば、青色ドーパントに隣接して緑色ドーパントまたは赤色ドーパントが存在する場合には、励起エネルギーが青色ドーパントから緑色ドーパントまたは赤色ドーパントの低エネルギー側へと移動してしまい、白色発光が困難となる。そのため、発光層内で自発的に各ドーパントを相分離させ、低エネルギーのドーパントが隣接しないようにすることで、塗布型の白色発光素子においても高効率な白色発光が可能となる。この場合、高いドーパント濃度においても白色発光を得ることができる。自発的に相分離させる方法として、本発明では、適切な機能性基を各発光ドーパントに付加することで実現した。
ホスト材料として、カルバゾール誘導体,フルオレン誘導体またはアリールシラン誘導体などを用いることが好ましい。効率の良い発光を得るためには青色ドーパントの励起エネルギーよりも、ホスト材料の励起エネルギーが十分大きいことが好ましい。なお、励起エネルギーは発光スペクトルを用いて測定される。
赤色ドーパント材料5の主骨格としては、例えばルブレン,(E)−2−(2−(4−(dimethylamino)styryl)−6−methyl−4H−pyran−4−ylidene)malononitrile(DCM)およびその誘導体,イリジウム錯体(Bis(1−phenylisoquinoline)(acetylacetonate)iridium(III)など),オスミウム錯体,ユーロピウム錯体があげられる。中でも発光特性の面で(化1)で示されるイリジウム錯体がより好ましく、さらにアセチルアセトナート部位を有するものがより好ましい。式中X1はNを含む芳香族ヘテロ環を表し、X2は芳香族炭化水素環または芳香族ヘテロ環を表す。
緑色ドーパント材料6の主骨格としては、例えばクマリンおよびその誘導体,イリジウム錯体(Tris(2−phenylpyridine)iridium(III):以下Ir(ppy)3、など)があげられる。上部電極が陰極、下部電極が陽極である場合には、緑色ドーパントは発光層下部にあることが好ましい。ここで、緑色ドーパントは下部電極または正孔輸送層へ引き寄せられるための第二の機能性基を有する。成膜時に下地層に引き寄せるための第二の機能性基は、下地層の種類によって異なる。下地層が正孔輸送層である場合には、正孔輸送層と同様の構造を導入する、例えばフェニルアミノ基,オキサゾール基,カルバゾール基,ヒドラゾン部位があげられる。緑色ドーパント材料6はこれらの機能性基を一つでも有していれば良いが、複数種類有していても構わない。また、下地層がITOや金属といった電極である場合には、例えばヒドロキシ基(−OH),チオール基(−SH),カルボキシル基(−COOH),スルホ基(−SO3H),I,Br,Cl,F,SCN,CN,NH2,NO2,ビピリジル基があげられる。緑色ドーパント材料6はこれらの機能性基を一つでも有していれば良いが、複数種類有していても構わない。これらの基は、(化5)のように主骨格に直接導入してもよいが、分子の大きさを考慮しアルキル鎖などを介して導入してもかまわない。
青色ドーパント材料7の主骨格としては例えばペリレン,イリジウム錯体(Bis(3,5−difluoro−2−(2−pyridyl)phenyl−(2−carboxypyridyl)iridium(III)):FIrpicなど)があげられる。青色ドーパントには特に機能性基を付加しなくてもよいが、より積極的に相分離をさせるために、下地層と親和性の悪い構造を導入してもよい。
赤色ドーパント材料5,緑色ドーパント材料6及び青色ドーパント材料7が自発的に相分離し、図1に示す擬似的な積層構造を形成した場合を考える。各ドーパントの配置は各ドーパントの最高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)エネルギーから、キャリア伝導を考慮して陽極側から緑/青/赤とした。HOMOエネルギーは光電子分光法よって測定される。また、LUMOエネルギーは、吸収スペクトルからHOMO−LUMOのエネルギー差を求め算出する方法や、逆光電子分光法によって直接測定する方法によって測定される。ホスト材料のHOMOとLUMOとのエネルギー差が大きく、各ドーパントのHOMOおよびLUMOがその間に位置し適当なドーパント濃度である場合、各ドーパントの準位をホッピングすることでキャリア伝導が行われる。青色ドーパント材料7のLUMOエネルギーの絶対値が緑色ドーパント材料6のLUMOエネルギーの絶対値よりも十分大きい場合、青色ドーパント材料7のLUMO上を伝搬してきた電子は、緑色ドーパント材料6のLUMOへのホッピング確率が低くなるため、青色ドーパントへと閉じ込められる。また、青色ドーパント材料7と緑色ドーパント材料6とのHOMOエネルギー差が比較的小さい場合、緑色ドーパント材料6のHOMO上を伝搬してきた正孔は、青色ドーパント材料7のHOMOへのホッピングによって伝搬できる。その結果、伝搬してきたキャリア(電子・正孔)は青色ドーパント材料7上で再結合し、そのまま青色発光するか、励起エネルギーが緑色ドーパント材料6へ移動し緑色発光する。一方、赤色ドーパント材料5と電子注入層9との間で正孔の閉じ込めが可能であり、電子が注入され、再結合することで赤色発光が得られる。そして、青色ドーパント材料7または緑色ドーパント材料6から励起エネルギーが移動した場合でも赤色発光が得られる。
<例示化合物1の合成>
本発明にかかる第一の実施例である白色発光素子を作るため、始めに本発明の主要な構成部材である構造式(1)に示す赤色ドーパント材料の合成を行った。
(化2)および(化3)の合成に必要な中間体である(化6)は下記手順に従って合成した。
200mlの3口フラスコにフェニルイソキノリン0.718gのエトキシエタノール30ml溶液と塩化イリジウム0.418gの水10ml溶液を入れ混合した。その後窒素雰囲気下、120℃で10h還流し、その後室温まで冷却した。溶液を蒸発乾固し、得られた固形分をアルコールにて洗浄し、(化6)を得た。
(化2)は以下の手順に従って合成した。
(化3)は以下の手順に従って合成した。
本発明の第一の実施例として図2に示す構造の白色発光素子を作製した。下部電極にはITO電極、正孔注入層にはPEDOTをスピンコート法にて形成した。正孔輸送層にはポリマー系の材料を用いた。有機発光層はホスト材料としてmCP(1,3−ビス(カルバゾル−9−イル)ベンゼン)、青色ドーパントにはイリジウム錯体(Bis(3,5−difluoro−2−(2−pyridyl)phenyl−(2−carboxypyridyl)iridium(III)))、赤色ドーパントには前記合成した(化2)を用いた。それぞれの材料の重量比は100:5:1とした。これらのホスト材料,青色ドーパント材料及び赤色ドーパント材料をTHFに溶解させて塗液を作製した。塗液の固形成分濃度は1wt.%に設定した。塗液における固形成分に対する赤色ドーパントの濃度は0.46モル%であった。赤色ドーパントの濃度は液体クロマトグラフによって計測される。この塗液を用いて、スピンコート法により有機発光層を形成した。続いて電子輸送層としてBAlqおよびAlq3の層を真空蒸着法で形成した。次にLiFとAlの積層体を上部電極として形成し、目的の有機発光素子を作製した。
第2の実施例について述べる。発光層を形成するための塗液として、ホスト材料としてmCP、青色ドーパントとしてBis(3,5−difluoro−2−(2−pyridyl)phenyl−(2−carboxypyridyl)iridium(III)、赤色ドーパントとして(化2)、緑色ドーパントとして(化5)またはIr(ppy)3をTHFに溶解させたものを用いた。それ以外は、実施例1と同様である。
2 正孔輸送層
3 発光層
4 ホスト材料
5 赤色ドーパント材料
6 緑色ドーパント材料
7 青色ドーパント材料
8 電子輸送層
9 電子注入層
10 基板
11 下部電極
12 上部電極
13 有機層
Claims (14)
- 第一の電極と、
第二の電極と、
前記第一の電極と前記第二の電極との間に配置された発光層とを有する有機発光素子であって、
前記発光層はホスト材料,赤色ドーパント及び青色ドーパントを含み、
前記赤色ドーパントは前記第一の電極側へ移動するための第一の機能性基を有する有機発光素子。 - 請求項1に記載の有機発光素子において、
前記第一の機能性基は、フルオロアルキル基,パーフルオロアルキル基,アルキル基(Cの数は10以上),パーフルオロポリエーテル基及びシロキシ基のうちから選ばれる1つ以上の機能性基である有機発光素子。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機発光素子において、
前記発光層は緑色ドーパントを含み、
前記緑色ドーパントは前記第二の電極へ引き寄せられるための第二の機能性基を有する有機発光素子。 - 請求項4に記載の有機発光素子において、
前記第二の機能性基はヒドロキシ基(−OH),チオール基(−SH),カルボキシル基(−COOH),スルホ基(−SO3H),I,Br,Cl,F,SCN,CN,NH2,NO2及びビピリジル基のうちから選ばれる1つ以上の機能性基である有機発光素子。 - 請求項4に記載の有機発光素子において、
前記第二の電極と前記発光層との間に正孔輸送層が配置され、
前記第二の機能性基はフェニルアミノ基,オキサゾール基,カルバゾール基及びヒドラゾン部位のうちから選ばれる1つ以上の機能性基である有機発光素子。 - 請求項4乃至6のいずれか一項に記載の有機発光素子において、
前記青色ドーパントの最低空軌道エネルギーの絶対値は前記緑色ドーパントの最低空軌道エネルギーの絶対値よりも大きい有機発光素子。 - 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の有機発光素子において、
前記発光層は塗布法により作製される有機発光素子。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機発光素子に用いられる発光層形成用塗液であって、
発光層形成用塗液は、溶媒,ホスト材料,赤色ドーパント及び青色ドーパントを含む発光層形成用塗液。 - 請求項4乃至7のいずれか一項に記載の有機発光素子に用いられる発光層形成用塗液であって、
発光層形成用塗液は、溶媒,ホスト材料,赤色ドーパント,青色ドーパント及び緑色ドーパントを含む発光層形成用塗液。 - 請求項9または10に記載の発光層形成用塗液において、
前記発光層形成用塗液に用いられる溶媒は第一の溶媒及び第二の溶媒を含み、
前記第一の溶媒の沸点は第二の溶媒の沸点より高く、
前記第一の溶媒は前記赤色ドーパントに対し貧溶媒である有機発光層形成用塗液。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機発光素子に用いられる発光層形成用材料であって、
発光層形成用材料は、ホスト材料,赤色ドーパント及び青色ドーパントを含む発光層形成用材料。 - 請求項4乃至7のいずれか一項に記載の有機発光素子に用いられる発光層形成用材料であって、
発光層形成用材料は、ホスト材料,赤色ドーパント,青色ドーパント及び緑色ドーパントを含む発光層形成用材料。 - 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の有機発光素子を備える光源装置。
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