以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
本発明の一実施形態は、撮影レンズにより形成される光学像を固体撮像素子を用いて光電変換し、これによって得られる画像信号を静止画像又は動画像を表わすデジタル画像データに変換し、こうして生成されたデジタルデータを記録媒体に記録し得ると共に、記録媒体に記録されたデジタル画像データに基いて静止画像又は動画像を再生表示する画像表示装置を備えて構成されるデジタルカメラに適用されるバリア開閉装置を例示するものである。
図1〜図9は、本発明の一実施形態を示す図である。このうち図1は、本発明の一実施形態のバリア開閉装置が適用されたデジタルカメラの前面側の外観を示す外観斜視図である。図2,図3は、図1のデジタルカメラにおける一部の構成ユニット(本体ユニット及びレンズバリア手段)を取り出して示す要部分解斜視図である。なお、図2はレンズバリア手段が閉位置にある状態を示している。図3はレンズレンズバリア手段が開位置にある状態を示している。図4,図5は、本実施形態のバリア開閉装置の分解斜視図である。このうち図4は、本体ユニットの前面側から見た場合を示している。図5は、本体ユニットの背面側から見た場合を示している。図6は、本実施形態のバリア開閉装置におけるスイッチ手段の構成を示す概念図である。図7,図8は、本実施形態のバリア開閉装置の正面図である。このうち図7は、本実施形態のバリア開閉装置のレンズバリア手段が閉位置にある場合の通常状態を示している。図8は、本実施形態のバリア開閉装置の駆動時にレンズバリア手段の閉位置と開位置との移動軌跡上に障害物が存在してレンズバリア手段の開方向への移動が阻害されたときに弾性手段が付加蓄勢(チャージ)された状態を示している。図9は、本実施形態のバリア開閉装置における作用を示すフローチャートである。
なお、以下の説明に用いる各図面においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これらの図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率及び各構成要素の相対的な位置関係は、図示の形態のみに限定されるものではない。
まず、本発明の一実施形態のバリア開閉装置が適用されるデジタルカメラの概略的な構成を、図1〜図3を用いて以下に説明する。
本実施形態のバリア開閉装置が適用されるデジタルカメラ1は、内部に各種の構成ユニットが収納される本体ユニット10(図1では不図示。図2,図3参照)と、この本体ユニット10の外面側を覆う外装部材11と、この外装部材11の上面や背面の各所定の位置に配設される複数の操作部材等によって構成されている。
本デジタルカメラ1における外装部材11は、扁平な薄型箱形状の筐体を形成している。この外装部材11の前面には、内部に配設される撮影レンズユニット(不図示)へと光束を導くための開口11a(図1参照)が形成されている。この開口11aの内側には、撮影レンズユニットの第1レンズである撮影レンズ12(図1参照)が配設される。
なお、撮影レンズユニットは、本体ユニット10の内部に配設される構成ユニットである。したがって、本体ユニット10には、図3等に示すように、外装部材11の開口11aに対応する部位に開口10aが形成されている。そして、実際には、この開口10aの内側に撮影レンズ12(図1参照)が配設されていることになる。
この構成により、開口11a,10aを透過した光束は、撮影レンズ12を透過した後撮影レンズユニットを介して、さらに内部の所定の位置に設けられる撮像素子(不図示)の受光面へと到達するようになっている。
一方、開口11aと撮影レンズ12の前面側に設けられる開口10aとの間の空間には、本実施形態のバリア開閉装置20(詳細構成は後述。図4〜図7参照)の一部を構成するレンズバリア手段であるバリア部材21(図2,図3参照)が設けられている。
バリア部材21は、図2,図3に示すように、開口11aを覆い得るだけの面積を有し薄板状からなるバリア部21aと、このバリア部21aの一縁部から延出する支持腕部21bとによって形成されている。そして、バリア部材21は、本体ユニット10に対して、支持腕部21b(に穿設された孔部21c)を回動中心として、図2,図3に示す矢印R方向へ所定の範囲内で回動自在に軸支されている。これにより、バリア部材21は、バリア部21aが撮影レンズ12の前面を覆う閉位置(図2の状態)と、撮影レンズ12を露出させる開位置(図3の状態)との間で開閉移動するように構成されている。
なお、バリア部材21は、支持腕部21bの一部が本体ユニット10のストッパ部10cに係止されることにより、図2に示す規定の閉位置が維持されるようになっている。
また、外装部材11の前面には、閃光発光装置13の前面を露呈させる開口11bが、上記開口11aの近傍に隣接する位置に形成されている。
そして、外装部材11の上面には、複数の操作部材のうちシャッターレリーズボタン14や電源オンオフボタン15等が配設されている。
なお、図1においては図示されていないが、外装部材11の背面側には、表示ユニットの表示面を露呈させる開口が形成されている。そして、その開口の近傍には、複数の操作部材が各所定の位置に配設されている。
以上のように構成された本デジタルカメラ1におけるバリア開閉装置20の構成を、主に図4,図5を用いて以下に詳述する(なお、図2,図3も参照する)。
バリア開閉装置20は、装置筐体部と、レンズバリア手段と、電動駆動源と、駆動力伝達機構部と、弾性手段と、スイッチ手段等によって構成される。
装置筐体部は、基台25及び抑え板26によって形成される。基台25は、本体ユニット10の内側面の所定の位置にビス止め等の手段により固定され(不図示)、この基台25を覆うように抑え板26が配設される。抑え板26は、本体ユニット10の内側面に対してビス37によって固定される。これにより基台25と抑え板26との間には、上記駆動力伝達機構部等を収納する所定の空間が形成される。
レンズバリア手段は、上記バリア部材21と、このバリア部材21と一体に連結されバリア部材21を本体ユニット10に対して回動自在に支持するバリア支持部30とによって構成される。バリア部材21は、上述したように本体ユニット10の前面側に配設されている。一方、バリア支持部30は、本体ユニット10の内部側に配設されている。バリア部材21とバリア支持部30との連結構造は、次のようになっている。
バリア支持部30は、前方(カメラ前面側)に突出しバリア部材21を支持する軸部30bと、後方(カメラ背面側)に突出し後述する弾性手段(31)を巻回配置する軸部30cと、該弾性手段(31)の両端をそれぞれ受けるバネ掛け部30aとを有して形成されている。
バリア支持部30の軸部30bは、本体ユニット10に穿設された孔部10bを貫通し、先端側の一部が該本体ユニット10の前面側に突出して配置されている。この状態において、バリア支持部30は、本体ユニット10に対して回動自在となっている。なお、バリア支持部30の軸部30bにはパッキン部材35が配設されている。したがって、バリア支持部30が本体ユニット10の内側面に配設された状態では、バリア支持部30と本体ユニット10との間には、上記パッキン部材35が介在している。
また、軸部30bの先端部は、軸に垂直な断面がD形状若しくは小判形状に形成されている。これに対し、バリア部材21の支持腕部21bには、D形状若しくは小判形状の孔部21cが穿設されている。そして、軸部30bの先端部に対してバリア部材21の孔部21cが嵌合するようになっている。さらに、この状態において、軸部30bにはビス孔30d(図5参照)が形成されている。このビス孔30dに対して固定ビス22が締結されることにより、バリア支持部30に対してバリア部材21を一体に固定している。
したがって、この構成によりバリア部材21とバリア支持部30とは一体に連結された状態で、本体ユニット10に対して回動自在となっている。
電動駆動源は、バリア部材21を開閉駆動するためのバリアモーターである駆動モータ23である。駆動モータ23は、基台25に対してビス36によって固設されている。このとき、駆動モータ23の駆動軸23aは、装置筐体部(25,26)の内部空間に配置される。
駆動力伝達機構部は、装置筐体部(25,26)の内部に収納され、駆動モータ23の駆動力をレンズバリア手段(30,21)へと伝達するギアー列等によって構成される。
駆動力伝達機構部は、ネジ歯車(ウォーム)24及びハスバ歯車(ウォームホィール)27からなるウォームギアーと、減速ギアー28と、セクターギアー29a等とによって構成される。
ネジ歯車24は、駆動モータ23の駆動軸23aに固設されている。このネジ歯車24にはハスバ歯車27bが噛合している。ここで、ネジ歯車24とハスバ歯車27bとによっていわゆるウォームギアーが構成されている。このウォームギアーのハスバ歯車27bと同軸一体の小歯車27cには、二段ギアーからなる減速ギアー28の大径ギアー部28bが噛合している。また、減速ギアー28の小径ギアー部28cは、セクターギアー29aに噛合している。
なお、ハスバ歯車27bは支軸27aによって、また減速ギアー28は支軸28aによって、それぞれ回動自在に軸支されている。これらの支軸27a,28aは、基台25と抑え板26との間に張架されているものである。また、セクターギアー29aは、変位手段(後述する変位部材29)の一部に形成される扇状ギアー部である。
以上のような構成によって、駆動モータ23の駆動力は、変位手段(29)へと伝達されるようになっている。
変位手段である変位部材29は、駆動モータ23の駆動力を上記駆動力伝達機構部のギアー列(24,27,28,29a)を介して受けることによって回動変位し、その回動力によってレンズバリア手段(30,21)を開閉移動させるために設けられる構成部材である。
変位部材29は、上記セクターギアー29aと、前方(カメラ前面側)に向けて突設され後述の弾性手段(31)の一端に作用する腕部29bと、バリア支持部30の軸部30cが挿通される貫通孔29cとを有して形成されている。
変位部材29は、その貫通孔29cにバリア支持部30の軸部30cが挿通することで、バリア支持部30に対して回動自在に配置される。この場合において、変位部材29とバリア支持部30との間には、弾性手段である付勢バネ31が介在するようになっている。
弾性手段は、例えばコイル状に形成される付勢バネ31である。この付勢バネ31は、バリア支持部30の軸部30cに巻回配置されている。このとき、付勢バネ31の一端はバリア支持部30のバネ掛け部30aの一端部30aa(カメラ背面寄りの部位;図4参照)に、他端はバネ掛け部30aの他端部30ab(カメラ前面寄りの部位;図4参照)に、それぞれが掛けられている。そして、この状態においては、付勢バネ31は予め所定の量だけチャージされた状態(予備蓄勢された状態)となっている。即ち、バネ掛け部30aを円周方向にある力量の所定力量で、付勢バネ31の両端腕で挟んだ状態となっている。
このように、付勢バネ31が予備蓄勢された状態で軸部30cに保持されているバリア支持部30に対して、変位部材29が上記付勢バネ31を介在させた状態で一体に連結されている。この状態においては、変位部材29の軸方向に伸びて形成された腕部29bとバネ掛け部30aとが軸部30cの軸中心に対して径方向において重なる状態となるように配置される(後述の図6参照)。ここで、バリア支持部30のバネ掛け部30aの幅寸法と、変位部材29の腕部29bの幅寸法とは、略等しいか若しくは腕部29bの幅寸法の方が小となるように設定されている。したがって、腕部29bは、バネ掛け部30aの両端にそれぞれ掛けられる付勢バネ31の両端の間の空間に配置されている。即ち、付勢バネ31の2つの腕の間に腕部29bが嵌入している。
そして、変位部材29とバリア支持部30とが付勢バネ31を介して一体とされたとき、セクターギアー29aと減速ギアー28の小径ギアー部28cとが噛合した状態となる。
以上のような構成によって、駆動モータ23の駆動力は、上記ギアー列を介して変位部材29まで伝達されて、この変位部材29を回動させる。変位部材29が回動すると、変位部材29の腕部29bが付勢バネ31の両端の腕のうちの一方に作用して付勢バネ31のコイル部分を介してもう一つの腕がバリア支持部30を回動させることになる。これにより、変位部材29は、付勢バネ31を介在してバリア支持部30と一体に回動変位するようになっている。
なお、本実施形態においては、弾性手段である付勢バネ31をコイルバネとした例を示しているがこれに限ることはない。
また、本実施形態においては、弾性手段である付勢バネ31は、レンズバリア手段の一部を構成するバリア支持部30の側に配設した例を示しているが、これに限ることはない。弾性手段は、レンズバリア手段と変位手段との間に介在して設けられていればよい。したがって、弾性手段(付勢バネ31)を、変位手段(変位部材29)の側に配設するような構造としてもよい。
一方、本実施形態のバリア開閉装置20は、バリア部材21の開閉位置をモニタするスイッチ手段を有している。このスイッチ手段は、スイッチ切片部材32と、スイッチ部材33とによって構成される。
スイッチ切片部材32は、二つのスイッチ用切片32a,32bを有して形成される。スイッチ切片部材32は、変位部材29の貫通孔29cを中心として後方(カメラ背面側)に向けて突出する軸部29dにおいて、変位部材29と一体となるように配設されている。したがって、スイッチ切片部材32は、駆動モータ23の駆動力を受けて変位部材29が回動するのに従動するようになっている。
これに対して、スイッチ部材33は、上記スイッチ切片部材32の近傍に配設されている。スイッチ部材33は、例えば抑え板26の内側面の所定の部位に対して固設されている。スイッチ部材33は、二つの接点部を構成する二接点式のスイッチ接点部33a,33b,33cを有する。そして、スイッチ部材33のスイッチ接点部33aは、上記二つのスイッチ用切片32a,32bに挟まれる空間に配置されている。この構成により、上記スイッチ切片部材32が変位部材29と共に回動したとき、2つのスイッチ用切片32a,32bのうちの一方がスイッチ部材33のスイッチ接点部33aに作用して、該スイッチ接点部33aが他のスイッチ接点部33b,33cのうちのいずれかと接触することによって、バリア部材21の開閉位置が検出されるようになっている。
ここで、上記スイッチ手段によるバリア部材21の開閉位置検出のメカニズムを、図6を用いて以下に簡単に説明する。
なお、上述したように本実施形態においては、スイッチ手段に作用する構成部材、即ち変位部材29は、回動するように構成している。これに対し、図6に示す概念図では、図面の煩雑化を避け、説明を簡略化するために、駆動モータ23の回転力を受けて変位する変位部材29の移動方向を、図6の矢印X方向に直線移動する形態であるものとして示している。
図6に示す制御部40は、本デジタルカメラ1の動作全体の電気的な制御を行う制御手段である。この制御部40は、図1〜図5においては図示していないが、例えば各種の電気部品と、これら電気部品等を実装した電気基板等によって形成される制御回路によって構成される。制御部40は、例えばスイッチ部材33からの出力信号等を受けて駆動モータ23の駆動制御等を行う。
図6に示す状態は、本デジタルカメラ1が電源オン状態にあって、バリア部材21が開位置にある状態を示している。このとき、一方のスイッチ用切片32aがスイッチ部材33のスイッチ接点部33aに作用して、スイッチ接点部33a,33bが接触する。スイッチ部材33は対応する所定の信号を発生させる。その信号は制御部40へと送られる。これにより、制御部40は、バリア部材21の開位置を検出するようになっている。なお、このとき開口11aは、図6に示すように、バリア部材21によって遮蔽されていない状態、即ち露呈されている状態となっている。
また、この状態にあるときに、例えば電源オンオフボタン15が使用者によって操作されると、電源オンオフボタン15に連動する電源スイッチ(図示せず)から電源オフ信号が発生する。この電源オフ信号を受けて、制御部40は、駆動モータ23を所定方向に駆動させる制御を行う。この駆動制御によって、駆動モータ23が図6の矢印C方向に回動すると、変位部材29,スイッチ切片部材32が図6の矢印X1方向に移動する。これに伴いスイッチ用切片32a.32bも同方向に移動する。そして、他方のスイッチ用切片32bが、スイッチ部材33のスイッチ接点部33aに作用して、スイッチ接点部33a,33cが接触状態になる。この時点で、バリア部材21は開位置から閉位置へと移動したことになる。したがって、制御部40は、このときに発生するスイッチ部材33からの指示信号を受けて、バリア部材21の閉位置を検出する。こうして、バリア部材21の閉位置が検出されると、制御部40は、続いて駆動モータ23の駆動制御を停止させる。このように、バリア部材21を開位置から閉位置へと移動させるための一連の制御を、以下、バリア閉制御というものとする。
この状態(バリア部材21が閉位置)にあるときに、例えば電源オンオフボタン15が使用者によって操作されて、電源オンオフボタン15に連動する電源スイッチ(図示せず)から電源オン信号が発生すると、制御部40は、当該電源オン信号を受けて駆動モータ23を所定方向に駆動させて、バリア部材21を閉位置から開位置へと移動させるための制御、即ちバリア開制御を行う。
このバリア開制御は、上記バリア閉制御と略同様である。即ち、制御部40は、駆動モータ23を図6の矢印O方向に回動させる。すると、変位部材29,スイッチ切片部材32が図6の矢印X2方向に移動する。これに伴いスイッチ用切片32a,32bも同方向に移動する。そして、一方のスイッチ用切片32aが、スイッチ部材33のスイッチ接点部33aに作用して、スイッチ接点部33a,33bが接触状態になる(図6の状態)。この時点で、バリア部材21は閉位置から開位置へと移動したことになる。したがって、制御部40は、このときに発生するスイッチ部材33からの指示信号を受けてバリア部材21の開位置を検出する。こうして、バリア部材21の開位置が検出されると、制御部40は、続いて駆動モータ23の駆動制御を終了させる。このとき、開口11aは、図6に示すように、バリア部材21によって露呈された状態となる。
本実施形態のバリア開閉装置20が適用されるデジタルカメラ1は、以上のように構成される。なお、本実施形態において示される上記デジタルカメラ1は、上述した各種の構成部材のほかにも、種々の構成部材を有している。それらの構成部材は、従来の一般的なデジタルカメラが、カメラとして通常に機能するために有する構成部材と同様のものである。したがって、それらの構成部材は、本発明とは直接関連しない部分であることから、従来周知の構成が具備されているものとして、それらの図示及び詳細説明は省略する。
以上のように構成された本実施形態のバリア開閉装置20の作用を、図7,図8,図9を用いて以下に説明する。
まず、図7に示す状態を説明する。図7は、本実施形態のバリア開閉装置20におけるバリア部材21が開口11bを覆う閉位置にある状態を示している。バリア開閉装置20が、この状態にあるとき、該バリア開閉装置20が適用されるデジタルカメラ1は、通常、電源オフ状態にある。
したがって、図7に示す状態において、例えば使用者が電源オンオフボタン15により電源オン操作を行うと、制御部40は、バリア部材21を閉位置から開位置へと移動させるバリア開制御を行う。
図7の状態にあるときにバリア開制御が実行されると、駆動モータ23の回転駆動力は、駆動力伝達機構部のギアー列のうちネジ歯車24,ハスバ歯車27bを介して減速ギアー28を、図7に示す矢印R1方向に回動させるものとする。すると、減速ギアー28は、変位部材29のセクターギアー29aを、図7に示す矢印O方向に回動させることになる。したがって、変位部材29は、付勢バネ31を介してバリア支持部30を同方向(矢印O方向)に回動させる。これにより、バリア部材21は、バリア支持部30の軸部30cを回動中心として、図7の矢印O方向に回動する。
このようにバリア開制御が実行される場合において、例えばバリア部材21の閉位置と開位置との移動軌跡上に障害物が存在してバリア部材21の開方向への移動が阻害された場合の作用を、図8を用いて説明する。
バリア開閉装置20が図7に示す状態にあるときにバリア開制御が実行されると、上述したように、駆動モータ23の回転駆動力は、駆動力伝達機構部(24,27,28,29a)を介して変位部材29を、図7,図8に示す矢印O方向に回動させる。これにより、変位部材29は、付勢バネ31を介してレンズバリア手段(30,21)を同方向(矢印O方向)に回動させようとする。つまり、レンズバリア手段(30,21)は、開方向(矢印O方向)に回動しようとする。
この状態において、図8に示すように、バリア部材21の閉位置と開位置との移動軌跡上に、例えば砂粒等の障害物100が存在してバリア部材21の開方向への移動が阻害されたものとする。
すると、上記駆動モータ23の駆動力は、セクターギアー29aを介して変位部材29を矢印O方向に回動させるが、バリア部材21,バリア支持部30は、開方向への回動が阻害されて不動状態になっている。
ここで、本実施形態のバリア開閉装置20においては、変位部材29とバリア支持部30との間には付勢バネ31が介在している。したがって、矢印O方向に回動しようとする変位部材29の腕部29bは、付勢バネ31の両端の腕のうちの一方の腕(図8の符号31a)に作用して、これを同方向(矢印O方向)へと移動させる。付勢バネ31の他方の腕(図8の符号31b)は、不動状態にあるバリア支持部30のバネ掛け部30aの一端部30aaに掛けられている。したがって、変位部材29は、バリア支持部30に対して開方向に相対移動する。これにより、付勢バネ31は開方向へ前述の予備蓄勢に加えて付加蓄勢(開付加蓄勢という)される。このように、弾性手段である付勢バネ31は、付加蓄勢(開付加蓄勢)されながらレンズバリア手段(30,21)と変位手段29との相対移動(開時相対移動)を許容する。
このように、レンズバリア手段(30,21)と変位手段29との相対移動(開時相対移動)が生じたとき、制御部40は、次のような制御を行う。
この状態において、制御部40は、バリア部材21の開方向へ移動させるべく駆動モータ23の駆動制御を行いながら、スイッチ部材33からの出力信号を監視することによってバリア部材21の開閉位置をモニタしている。これにより、バリア部材21の開位置への移動が阻害されている状態(阻害状態という)にあるか否かを検出している。そして、制御部40は、バリア部材21が阻害状態にあることを検出した場合には、バリア部材21を閉方向へと移動させるべく駆動モータ23を駆動制御する。つまり、制御部40は、駆動モータ23を逆回転させることにより、減速ギアー28を図8の矢印R2方向へと回動駆動させ、セクターギアー29aを図8の矢印O2方向へと回動させる。
すると、このとき、レンズバリア手段(30,21)は、駆動モータ23の駆動力と、付勢バネ31の予備蓄勢力と、付加蓄勢力と、によって閉方向に移動駆動される。このときにレンズバリア手段(30,21)が閉方向へと移動するための回動力は、通常の駆動モータ23の駆動力のみによる回動力に加えて、付勢バネ31の予備蓄勢力及び付加蓄勢力が加わっているので、より強い力量で回動することになる。したがって、これにより、上記バリア部材21の開方向への移動を阻害していた砂粒等の障害物100が除去されることになる。
そして、制御部40は、スイッチ部材33からの出力信号を監視し、バリア部材21が閉位置にあることが検出された場合には、再度駆動モータ23の開方向への駆動を行なって、バリア開制御を実行する。バリア部材21の閉位置と開位置との移動軌跡上からは、砂粒等の障害物100が除去されているので、バリア部材21は、スムースに開位置へと移動することになる。制御部40は、バリア部材21の開位置を検出して、一連の制御を終了させる。
なお、上述の説明は、バリア開制御を実行した場合の作用であるが、レンズバリア手段を閉方向へと移動させるためのバリア閉制御を実行する場合の作用も略同様である。
次に、バリア閉制御を実行する場合の作用を、図9のフローチャートを用いて説明する。
まず、本実施形態のバリア開閉装置20を適用したデジタルカメラ1が動作中であって、バリア開閉装置20におけるバリア部材21が開口11bを露呈している開位置にあるものとする。つまり、この状態において、デジタルカメラ1は、通常、電源オン状態にある。
この状態において、例えば使用者が電源オンオフボタン15により電源オフ操作を行うと、制御部40は、バリア部材21を開位置から閉位置へと移動させる制御、即ち図9に示されるバリア閉制御を行う。
図9のステップS21において、制御部40は、所定時間だけ駆動モータ23を駆動させる制御を行う。この場合においては、駆動モータ23の回転方向は、バリア部材21を閉方向へと移動させるべき回転方向である。また、このとき駆動モータ23を駆動させるのに用いる電圧は「低」レベルとし、これを通常レベルとする。ここで、駆動モータ23を駆動させる所定時間は、通常の動作時においてバリア部材21が開位置から閉位置へと移動するのに要する時間が設定される。そして、所定時間の経過後、次のステップS22の処理に進む。
ステップS22において、制御部40は、所定時間、駆動モータ23への通電をオフ状態とし停止する制御を行う。ここで、駆動モータ23への通電をオフすると、通常の場合、セクターギアー29a(変位部材29)は、付勢バネ31の蓄勢力によって初期位置に復帰し停止する。つまり、通常の場合、バリア部材21は閉位置が維持された状態で停止する。そして、所定時間の経過後、次のステップS23の処理に進む。
ステップS23において、制御部40は、スイッチ部材33からの出力信号を監視して、バリア部材21が閉位置にあるか否かを確認する。ここで、閉位置を検出するスイッチ信号がオン信号である場合には、バリア部材21が正常に閉位置に移動したものであると判断される。そして、次のステップS24の処理に進む。
ステップS24において、制御部40は、バリア閉制御を完了させた後、本デジタルカメラ1の主電源をオフ状態とする制御を行う。そして、一連の処理を終了する(エンド)。
一方、上述のステップS23の処理において、閉位置検出スイッチ信号がオフ信号である場合には、バリア部材21が閉位置に移動していない状態、即ち障害物等によってバリア部材21が閉位置以外の位置で不動状態になっているものと判断されて、ステップS25の処理に進む。
ステップS25において、制御部40は、カウンタ[n]の確認を行う([n]≧設定回数)。ここで、[n]≧設定回数である場合には、次のステップS26の処理に進む。また、[n]≧設定回数ではないことが確認されると、上述のステップS21の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。つまり、このステップS25の処理において、設定した規定回数だけ通常のバリア閉制御の処理を繰り返す(リトライする)。
上述のステップS25の処理にて、[n]≧設定回数が確認されて、ステップS26の処理に進むと、このステップS26において、制御部40は、所定時間だけ駆動モータ23を開方向へと駆動させる制御を行う。ここで、駆動モータ23の回転方向は、バリア部材21を開方向へと移動させるべき回転方向である。また、駆動モータ23への通電電圧は通常レベルの「低」レベルとする。そして、所定時間の経過後、次のステップS27の処理に進む。
ステップS27において、制御部40は、所定時間だけ駆動モータ23を駆動させる制御を行う。ここで、駆動モータ23の回転方向は、バリア部材21を閉方向へと移動させるべき回転方向である。また、駆動モータ23への駆動電圧は通常レベルよりも高電圧の「高」レベルとする。ここで、「高」レベルの駆動電圧とは、例えば適用される駆動モータ23の最大レベル(MAX値)とすればよい。そして、所定時間の経過後、次のステップS28の処理に進む。
ステップS28において、制御部40は、カウンタ[m]の確認を行う([m]≧設定回数)。ここで、[m]≧設定回数である場合には、次のステップS29の処理に進む。また、[m]≧設定回数ではないことが確認されると、上述のステップS22の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。つまり、このステップS28の処理において、設定した規定回数だけバネチャージ処理を繰り返す(リトライする)。このバネチャージ処理とは、閉位置以外の位置で不動状態になっているものと推定されるバリア部材21に対して、駆動モータ23の閉方向への駆動(ステップS27の処理)を行うことである。
上述のステップS28の処理にて、[m]≧設定回数が確認されて、ステップS29の処理に進むと、このステップS29において、制御部40は、バリア閉制御に失敗したものと判断し、カメラの背面表示部(不図示)等に、その旨の表示、例えばカメラがダメージを受けている旨の表示を行なった後、本デジタルカメラ1の主電源をオフ状態とする制御を行う。そして、一連の処理を終了する(エンド)。
なお、このステップS28の処理において、制御部40は、カメラの主電源をオフ状態とする終了制御を行うが、上記背面表示部の表示のみは継続して表示させ続けるような制御を行ってもよい。
図9のフローチャートは、バリア閉制御について説明するものであるが、バリア開制御時の作用も略同様のものになる。
以上説明したように上記一実施形態によれば、バリア開制御若しくはバリア閉制御を実行したときに、バリア部材21の閉位置と開位置との移動軌跡上に例えば砂粒等の障害物100が存在してバリア部材21の開方向若しくは閉方向への移動が阻害されたことがスイッチ手段によって検出された場合には、不動状態となっているものと推定されるバリア部材21に対して変位部材29が相対移動するよう構成している。この場合に、バリア部材21と変位部材29との間に予備蓄勢された状態で介在する付勢バネ31が、さらに付加蓄勢されるように構成している。
そして、上記阻害状態になった時には、バリア部材21を逆方向(閉方向若しくは開方向)へと駆動させて、駆動モータ23の駆動力と付勢バネ31の予備蓄勢力及び付加蓄勢力とによってバリア部材21を閉方向若しくは開方向に移動させるように駆動モータ23を駆動制御している。この場合において、上記障害状態になった時の駆動モータ23の駆動電圧は、通常動作時に比べて高い駆動電圧(許容最大駆動電圧)で駆動するようにしたので、付勢バネ31による予備蓄勢力及び付加蓄勢力と併せて、バリア部材21の障害状態を容易に解消することができる。
上述の一実施形態においては、バリア開閉装置において、障害状態を検出するスイッチ手段(32,33)は、変位部材29の変位状況を検出するように配置しているが、スイッチ手段の配置部位は、これに限ることはない。
図10は、上記一実施形態のバリア開閉装置におけるスイッチ手段の配置についての変形例を示す概念図である。また、図11は、図9におけるフローチャートをより簡略化した制御を示し、図10の構成とした場合の作用を示す一例としてのフローチャートである。
本変形例のバリア開閉装置においては、図10に示すように、バリア部材21Aの変位状況を検出するようにスイッチ手段(21Ad,33)を配置している。
即ち、本件形例において、バリア部材21Aは、2つのスイッチ用切片21Adを有して形成されている。これに対し、バリア部材21Aの近傍に上述の一実施形態と同様の形態のスイッチ部材33を配置している。この場合において、スイッチ部材33のスイッチ接点部33aが、上記二つのスイッチ用切片21Adに挟まれる空間に配置するように構成している。
この構成により、上記スイッチ用切片21Adがバリア部材21の変位移動(図10の例では矢印X方向の直線変位)に伴って移動したとき、2つのスイッチ用切片21Adのうちの一方がスイッチ部材33のスイッチ接点部33aに作用して、スイッチ接点部33b,33cのうちのいずれかと接触することによって、バリア部材21Aの開閉位置が検出されるようになっている。
このように構成した上記変形例におけるバリア閉制御を、図11のフローチャートを用いて、以下に簡単に説明する。
図11のステップS11において、制御部40は、所定時間だけ駆動モータ23を駆動させる制御を行う。ここで、駆動モータ23を駆動させる所定時間は、通常動作時においてバリア部材21が開位置から閉位置へと移動するのに要する時間が設定される。そして、所定時間の経過後、次のステップS12の処理に進む。
ステップS12において、制御部40は、スイッチ部材33からの出力信号を監視して、バリア部材21が閉位置にあるか否かを確認する。ここで、閉位置を検出するスイッチ信号がオン信号である場合には、バリア部材21が正常に閉位置に移動したものであると判断される。そして、次のステップS13の処理に進む。
ステップS13において、制御部40は、バリア閉制御を完了させた後、本デジタルカ
メラ1の主電源をオフ状態とする制御を行う。そして、一連の処理を終了する(エンド)。
一方、上述のステップS12の処理において、閉位置検出スイッチ信号がオフ信号である場合には、バリア部材21が閉位置に移動していない状態、即ち障害物等によってバリア部材21が閉位置以外の位置で不動状態になっているものと判断されて、ステップS14の処理に進む。
ステップS14において、制御部40は、カウンタ[n]の確認を行う([n]≧設定回数)。ここで、[n]≧設定回数である場合には、次のステップS15の処理に進む。また、[n]≧設定回数ではないことが確認されると、上述のステップS11の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。つまり、このステップS14の処理において、設定した規定回数だけ通常のバリア閉制御の処理を繰り返す(リトライする)。
上述のステップS14の処理にて、[n]≧設定回数が確認されて、ステップS15の処理に進むと、このステップS15において、制御部40は、バリア閉制御に失敗したものと判断し、カメラの背面表示部(不図示)等に、その旨の表示、例えばカメラがダメージを受けている旨の表示を行なった後、本デジタルカメラ1の主電源をオフ状態とする制御を行う。そして、一連の処理を終了する(エンド)。
なお、図11のフローチャートはバリア閉制御について説明するものであるが、バリア開制御の作用も略同様のものになる。
上述の実施形態による駆動制御においては、駆動モータ23は、低い電圧で駆動する場合と、高い電圧で駆動する場合との二種の駆動制御を行うようにしている。この場合において、低い電圧で駆動させるときには余分な電力を消費する必要が無いので、電池寿命を延ばすことができるし、駆動モータ23の寿命を延命させるのにも役に立つ。そして、必要なときだけ、該駆動モータ23が許容できる範囲内で高い電力を与えるようにすればよい。
以上説明したように、上記変形例のバリア開閉装置によれば、上述の一実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本変形例においては、バリア部材21Aの一部をスイッチ用切片21Adとして形成したので、上述の一実施形態におけるスイッチ切片部材32を廃することができる。さらに、この構成によれば、スイッチ手段は、バリア部材21の開閉位置を直接検出するようにしているので、バリア開閉制御をより簡素化することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。