JP5750977B2 - 長手鋼材の供給方法 - Google Patents

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Description

本発明は、工場で住宅の躯体を構成する面体フレームを生産する際に、面体フレームの構成部材である長手鋼材を溶接工程に供給する長手鋼材の供給方法及び面体フレームに関する。
従来より、軽量鉄骨住宅における面体フレームとしては、例えば一対の柱材、上弦材、及び下弦材の長手鋼材を溶接して矩形枠状に形成し、さらに、補強や開口部を形成する必要に応じて矩形枠の内側に中間材の長手鋼材を適宜溶接した軸組フレームが用いられている。このような軸組フレームを工場で生産する際には、まず、同一形状の長手鋼材を所定単位数量ずつ成形してストックし、軸組フレームの柱材、上弦材、下弦材、及び中間材となる長手鋼材をそれぞれピックアップして、溶接工程に供給するものであった。また、溶接工程では、同一品種毎に軸組フレームを所定単位数量ごとロット生産していた。
このような部品を製造する工程と部品を組み付けて完成品を製造する工程とを有する工場において、ロット毎に在庫管理されている部品をより効率的に完成品製造工程に供給する発明が種々提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
ところで、住宅の構造躯体は、必要な構造耐力を有しつつ、且つ、不必要に高い耐力を備えることで高コストにならないようにする必要があり、そのためには厚さや形状が多種多様な多数品種の軸組フレームを組み合わせて構造設計する必要がある。
しかし、上述のように、軸組フレームを構成する長手鋼材をそれぞれロット生産し、さらに、溶接工程において各品種の軸組フレームをロット生産する場合には多数品種の中間在庫及び完成品在庫が必要となる。
特開2004−42251号公報 特開2004−145436号公報
そこで、中間在庫を圧縮するためには、軸組フレームの受注があってから受注された軸組フレームを構成する長手鋼材を、生産する受注生産が考えられるが、受注毎に断面形状の異なる長手鋼材を1つずつ金属加工することは、極めて非効率が悪く現実的ではない。一方、完成品在庫を圧縮するためには、溶接工程にて出荷順に軸組フレームが完成することが望ましい。
そこで、本発明は、同一断面形状毎に成形された長手鋼材を、効率的に軸組フレームの出荷順に溶接工程に供給することができる長手鋼材の供給方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の長手鋼材の供給方法は、長手鋼材を溶接して面体フレームを製造する溶接工程に、材料を成形加工して形成した前記長手鋼材を供給する長手鋼材の供給方法であって、前記面体フレームは一対の柱材、上弦材、下弦材により矩形枠体を構成するとともに、必要に応じて中間材及びブレースを含み、前記溶接工程は複数の長手鋼材を溶接して中間材を形成する中間材事前溶接工程、所定幅以下の面体フレームを形成する短フレーム溶接工程、所定幅を超える面体フレームを形成する長フレーム溶接工程、及び前記矩形枠体内にブレースを溶接するブレース溶接工程、を含むものであり、前記長手鋼材毎に、予め前記中間材溶接工程、前記短フレーム溶接工程、前記長フレーム溶接工程、前記ブレース溶接工程、及びこれらの組み合わせの中から溶接工程において通過すべきルートを決定し、前記長手鋼材を、前記通過すべきルート毎であり、且つ、同一断面形状毎に、前記溶接工程で溶接する順序で所定のパレットに積載する同一断面形状毎積載工程と、前記所定のパレットに積載された前記長手鋼材を前記溶接工程で溶接する順に前記溶接工程に払い出すピッキング工程と、を備えることを特徴としている。
なお、本発明の「溶接工程で溶接する順序」は、同一の面体フレームを構成する長手鋼材の溶接順については、特に限定するものではなく、面体フレーム毎の溶接順に基づいて、長手鋼材の成形順又は供給順を定めるものである。例えば、予め施工場所の接道状況や土地の形状などの要因から最も効率的に施工できる面体フレームの施工順を決定して記憶しておき、施工順が順位1位の面体フレームを構成するすべての長手鋼材の順位を1位とし、同様に順位2位の面体フレームを構成するすべての長手鋼材の順位を2位、順位3位の面体フレームを構成するすべての長手鋼材を3位のように順位付けして、それぞれの長手鋼材の順位に従って長手鋼材を溶接することであり、同一順位の長手鋼材すなわち同一の面体フレームを構成する長手鋼材の溶接順については、特に限定するものではない。
また、本発明の「面体フレーム」は、一対の柱材、上弦材、及び下弦材で枠状に形成された枠体、枠体の間に所望の中間材を溶接などにより固定したフレーム、枠体の間にブレース・ダンパー・筋交いといった水平耐力部材を固定したフレーム、一対の柱材、上弦材、及び下弦材のうちいずれか1を設けない形状のフレーム、及び上弦材及び下弦材を設けずに一対の柱材をブレース、ダンパー、筋交い、又はその他の中間材で連結したフレームのように、複数の長手鋼材を溶接して形成したフレームである。
請求項2に記載の長手鋼材の供給方法は、前記同一断面形状毎積載工程の後、複数のパレットにそれぞれ同一断面形状毎に積載されている前記長手鋼材のうち上弦材、下弦材、及び中間材を構成する長手鋼材を前記溶接工程で溶接する順序で混載パレットに積載する混載工程を備えることを特徴としている。
請求項1に記載の長手鋼材の供給方法によると、同一断面形状毎に形成した長手鋼材を、同一断面形状毎であって溶接工程で溶接する順序でパレットに積載する同一断面形状毎積載工程を有している。このように同一断面形状毎に積載することで金属加工した順にパレットに積載することができ、しかも溶接工程での組付け順序を考慮してパレットに積載されることになるので、溶接工程直前のピッキング工程では各断面形状毎に溶接順の早いパレットのみからピッキングでき、ピッキングするパレットの数を少なくすることができ、マテリアルハンドリングロボットなどのピッキングマシンの動作を簡単にすることができ、同一断面形状毎に成形された長手鋼材を、効率的に軸組フレームの溶接順に溶接工程に供給することができる。
また、請求項1に記載の長手鋼材の供給方法によると、溶接工程のルート毎に長手鋼材を分けてパレットに積載するので、溶接工程のルート毎にピッキングすることができ、より効率的なピッキングを行うことができる。
さらに、請求項1に記載の長手鋼材の供給方法によると、溶接工程に中間材事前溶接工程、所定幅以下の面体フレームを形成する短フレーム溶接工程、所定幅を超える軸組フレームを形成する長フレーム溶接工程、ブレース溶接工程のいずれか1又はこれらを組み合わせたルート毎にピッキングするので、面体フレームの溶接工程の前工程としてのピッキング工程として最適なピッキングを行うことができる。
請求項2に記載の長手鋼材の供給方法によると、柱材を除く上弦材、下弦材、及び中間材を溶接工程で組み付ける順序で混載パレットに積載する混載工程を備えるので、品種が多くピッキング工程が複雑になりやすい上弦材、下弦材、及び中間材を予め溶接工程で組付ける順序に並べ替えることで、ピッキング工程におけるピッキングロボットの制御をより簡単にすることができる。
本発明の長手鋼材の供給方法を採用した工場の製造ラインを表わしたブロック図。 オーダー情報の構成を模式的に簡略化して示す図。 データーベースの情報を模式的な表で表わす概念図。 断面毎パレットの積載順決定、長手鋼材の成形、及び断面毎パレットへの積載の一連の工程を示すフローチャート。 ルートナンバー決定処理のフロー図。 積載順決定処理を示すフロー図。 断面毎パレットを説明する一部省略斜視図。 断面毎パレットに積載した長手鋼材を溶接工程に供給する処理を示すフローチャート。 軸組フレームの形状の一例を説明する正面図。 様々な面体フレームの形状を説明する図。
以下、本発明の長手鋼材の供給方法の最良の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。長手鋼材の供給方法は、住宅の構造躯体を構成する面体フレームの一例として、矩形枠状に形成される軸組フレーム1を生産する際に、この軸組フレーム1を構成する長手鋼材2を工場内に設置された溶接ラインに供給する方法である。軸組フレーム1は、例えば図9に示すように間隔を開けて立設する2本の柱材2aの上端に上弦材2bが架設され、下端に下弦材2cが架設されて矩形枠状に形成されており、この矩形枠内に補強や開口部を設置する必要から、中間材2d及び/又はブレース2eが溶接されて構成されるものである。なお、必要がない場合には中間材2d及びブレース2eが設けられない軸組フレーム1であってもよい。中間材2dは2本の柱材2aの間に架設される横桟や上弦材2bと下弦材2cとの間に立設される縦材のほかに、横桟と横桟の中間部から上方及び/又は下方に延びる縦材とを溶接してT字状、十字状に形成されたものなどそれぞれの住宅の設計により多種多様な形状が選択されている。この長手鋼材の供給方法は、長手鋼材2を同一断面形状毎に積載する同一断面形状毎積載工程4と、同一断面形状毎積載工程4で断面毎パレット20に積載した長手鋼材2のうち、柱材2aを除く上弦材2b、下弦材2c、中間材2dを並べ替える混載工程6と、柱材2aも含んで長手鋼材2を各溶接ラインに供給するピッキング工程7,8,9とを含むものである。この長手鋼材の供給方法は、住宅の設計図などの設計情報に基づいて生成された受注情報であるオーダー情報18と、軸組フレーム1の品種毎にその軸組フレーム1の形状及び構成部材である長手鋼材2を記憶したデータベース19とに基づいて、制御される。
まず、オーダー情報18について図2を参照しつつ説明する。図2は、オーダー情報18の構成を模式的に簡略化して表わした表である。住宅の設計において、施主の希望や構造計算に基づいて建物の外周にそれぞれ最適な軸組フレーム1が決定され、その設計図面に最適な軸組フレーム1の品種が記載される。また、このとき設計図面には、その住宅を建設する土地の形状や接道状況などを考慮して、軸組フレーム1の施工順序が記載される。この設計図面は、施工予定日とともに記憶され、工場側にアクセス可能に記憶され、この設計図面及び施工予定日の情報に基づいてオーダー情報18が、自動的に生成される。
オーダー情報18には、個別住宅毎にその個別住宅を施工する際に必要な部材の情報が施工予定日毎に記憶されている。例えば、図2に示すように、施工予定日がXX年XX月XX日で個別住宅名がA邸のオーダー情報18は、A邸を構成する部材である軸組フレーム1の品種を特定する軸組品コードが施工順序とともに記憶されている。なお、オーダー情報18には、軸組フレーム1以外の部材の情報も記憶されているが、本実施形態においては説明を省略する。また、本実施形態のオーダー情報18は施工予定日が記憶されているが、施工予定日に換えて、又は施工予定日とともに、工場からの出荷日や施工現場への着荷日を記憶してもよい。
次に、データベース19について図3を参照しつつ説明する。図3はデータベース19の情報を模式な表で表わす概念図である。データベース19は軸組フレーム1の品種毎にこの軸組フレーム1の形状を示した図面情報である。図3に示すように、軸組フレーム1を構成する各長手鋼材2に関する情報として表わすことができる。具体的に、データベース19には、例えば軸組フレーム1の品種を特定する軸組品コード毎に、軸組フレーム1を構成する長手鋼材2が柱材2a、上弦材2b、下弦材2c、中間材2d、ブレース2e等のいずれの種類であるか記憶されている。そして、例えば軸組フレーム1の右下隅を基準点としたときの、各長手鋼材2のX方向及びY方向の位置が記憶され、さらに、溝形鋼及びリップ溝形鋼などの長手鋼材2の溝が設けられている向きが記憶されている。そして、各長手鋼材2の長さ及び断面形状が記憶されている。なお断面形状は例えば溝型鋼、リップ溝型鋼、山形鋼等の種類、ウェブ・フランジ・リップの幅、及び厚さ等で表わすことができる。
長手鋼材の供給方法を実行する工場のラインでは、図1に示すように、長手鋼材2を各溶接ライン10,11,12に供給する処理の前に、成形ライン3において鋼板をロールフォーミング加工して長手鋼材2を成形する成形工程が行われる。この成形工程においては、予め断面毎パレット20の積載順を計算しておき、この積載順に従って鋼板を成形する。
次に、図4から図6を参照しつつ、断面毎パレット20の積載順の決定処理について説明する。図4は断面毎パレット20の積載順決定、長手鋼材2の成形、及び断面毎パレット20への積載の一連の工程を示すフローチャートであり、図5はルートナンバー決定処理のフロー図であり、図6は積載順決定処理のフロー図である。前述の通り、設計図面などの設計情報から、まずオーダー情報18が生成される(S10)。そして、このオーダー情報18の施工予定日及び軸組品コードを参照して、同一出荷日の軸組フレーム1の軸組品コードを抽出するとともに、抽出した軸組品コードとデータベース19とを参照して、軸組フレーム1を構成する長手鋼材2の種類及び数量を算出する(S11)。そして、次に、ステップS11で算出した長手鋼材2のそれぞれについて、ルートナンバーを決定する処理を行う(S12)。
ルートナンバー決定処理では、図5に示すように、まず、データベース19に基づいて、各長手鋼材2が柱材2aであるか否か判断される(S121)。柱材2aであると判断されると(S121:YES)、次に、長手鋼材2により形成される軸組フレーム1がブレース2eを溶接する耐力軸組フレームであるか否か判断される(S122)。耐力軸組フレームであると判断されると(S122:YES)、長手鋼材2により形成される軸組フレーム1の幅が1メートル以下であるか否か判断される(S123)。長手鋼材2により形成される軸組フレーム1の幅が1メートル以下であると判断されると(S123:YES)、長手鋼材2のルートナンバーが「1」であると判断し、当該長手鋼材2の情報にルートナンバー1を関連付けて記憶させる(S124)。一方、ステップS123に戻って、長手鋼材2により形成される軸組フレーム1の幅が1メートルを超えると判断すると(S123:NO)、長手鋼材2のルートナンバーが「2」であると判断し、当該長手鋼材2の情報にルートナンバー2を関連付けて記憶させる(S125)。
ステップS122に戻って、耐力軸組フレームでないと判断されると(S122:NO)、長手鋼材2により形成される軸組フレーム1の幅が1メートル以下であるか否か判断される(S126)。長手鋼材2により形成される軸組フレーム1の幅が1メートル以下であると判断されると(S126:YES)、長手鋼材2のルートナンバーが「3」であると判断し、当該長手鋼材2の情報にルートナンバー3を関連付けて記憶させる(S127)。一方、ステップS126に戻って、長手鋼材2により形成される軸組フレーム1の幅が1メートルを超えると判断すると(S126:NO)、長手鋼材2のルートナンバーが「4」であると判断し、当該長手鋼材2の情報にルートナンバー4を関連付けて記憶させる(S128)。
ステップS121に戻って、柱材2aでないと判断されると(S121:NO)、次に、長手鋼材2が中間材2dであって、予め中間材2d同士を溶接させる工程が必要な部材か否か判断される(S129)。例えば、横桟と縦材とを組み合わせてT字状に溶接され、軸組フレーム1内に溶接固定される場合の横桟及び縦材は、中間材2d同士を溶接させる工程が必要な部材であると判断される。なお、中間材2d同士を事前溶接するものは、T字状に限定されるものではなく、例えば、横桟に縦材が2本以上溶接されるものや十字に溶接されるものなど、種々のものがある。予め中間材2d同士を溶接させる工程が必要な部材であると判断されると(S129:YES)、次に、この長手鋼材2により形成される軸組フレーム1の幅が1メートル以下であるか否か判断される(S130)。長手鋼材2により形成される軸組フレーム1の幅が1メートル以下であると判断されると(S130:YES)、長手鋼材2のルートナンバーが「5」であると判断し、当該長手鋼材2の情報にルートナンバー5を関連付けて記憶させる(S131)。一方、ステップS130に戻って、長手鋼材2により形成される軸組フレーム1の幅が1メートルを超えると判断すると(S130:NO)、長手鋼材2のルートナンバーが「6」であると判断し、当該長手鋼材2の情報にルートナンバー6を関連付けて記憶させる(S132)。
ステップS129に戻って、予め中間材2d同士を溶接させる工程が必要な部材でないと判断されると、(S129:NO)、長手鋼材2により形成される軸組フレーム1の幅が1メートル以下であるか否か判断される(S133)。長手鋼材2により形成される軸組フレーム1の幅が1メートル以下であると判断されると(S133:YES)、長手鋼材2のルートナンバーが「7」であると判断し、当該長手鋼材2の情報にルートナンバー7を関連付けて記憶させる(S134)。一方、ステップS133に戻って、長手鋼材2により形成される軸組フレーム1の幅が1メートルを超えると判断すると(S133:NO)、長手鋼材2のルートナンバーが「8」であると判断し、当該長手鋼材2の情報にルートナンバー8を関連付けて記憶させる(S135)。
なお、上述のルートナンバーの決定処理は、柱材2aか否か、耐力軸組フレームか否か、要事前溶接の中間材2dか否か、1メートル以下か否かの順に判断されているが、判断の順序は適切に各ルートナンバーに分けることができるものであれば、特に限定されるものではない。
以上のようにして各長手鋼材2にそれぞれ1〜8のいずれかのルートナンバーを決定すると、次に、図4に戻って、断面毎パレット20への長手鋼材2の積載順を決定する処理を行う(S14)。断面毎パレット20への積載順の決定は、図6に示すように、まず、製造する軸組に使用する長手鋼材2を同一断面形状毎にグループ化する(S141)。すなわち、図4のステップS11で抽出された同一出荷日の軸組フレーム1を構成する長手鋼材2を、データベース19に記憶された断面形状に基づいて、同一断面形状毎グループ化する。そして、この同一断面形状毎にグループ化された長手鋼材2のグループを更に、ルートナンバー決定処理により決定したルートナンバー毎に細分化する(S142)。すなわち、同一断面形状毎であって、且つ、同一ルートナンバーの長手鋼材2をクループ化する。そして、各グループ内で、個別住宅毎にオーダー情報18に記載されている軸組フレーム1の施工順にしたがってその軸組フレーム1を構成する長手鋼材2を並べ替えて長手鋼材2の断面同一パレットへの積載順を決定する(S143)。なお、同一グループ内に同一施工順の長手鋼材2が2以上ある場合、すなわち、同一の軸組フレーム1を形成する同一生産ルート且つ同一断面形状の長手鋼材2がある場合は、例えば上側に配置される部材を優先する、左側に配置される部材を優先する等の所定の規則によって長手鋼材2の断面同一パレットへの積載順を決定する。そして、図4に戻って、決定された断面毎パレット20への積載順に基づいて例えば、鋼板をロールフォーミングして長手鋼材2を製造する(S15)。製造された長手鋼材2は断面毎パレット20に製造された順番に積載する(S16)。なお、長手鋼材2の製造は、ロールフォーミングに限定されるものではなく、例えば射出成形加工などの同一断面形状毎に効率的に生産できる種々の金属加工技術を用いることができる。
以上のように断面毎パレット20の積載順を決定することで、成形工程では、同一断面毎に長手鋼材2を成形でき、効率的にロールフォーミング加工や射出成形加工を行うことができるとともに、同一ルートナンバー毎に軸組フレーム1の施工順にすることで、後述する溶接工程への長手鋼材2の供給工程を簡略化することができる。
断面毎パレット20は、図7に示すように、矩形に形成された枠体21の上に4本の長尺な直方体の架設体22が設置されており、この架設体22の上面には長手鋼材2が挿入可能な間隔を開けて爪23が列設されている。長手鋼材2は架設体22の上面に架設体22の長手方向に対して直角に載置される。架設体22同士の間隔は少なくとも軸組フレーム1を構成する長手鋼材2のうち最も短い長手鋼材2の長さよりも短く構成されており、最も短い長手鋼材2であっても、少なくとも2本の架設体22に架かって積載される。架設体22同士の間は空間が形成されており、この空間に図示しないフォークを差し込むことで、フォーク状の腕を有するマテリアルハンドリングロボットやフォークリフトで、上面に積載されている長手鋼材2を取り出し搬送することができる。なお、図7ではパレットは1段のみ記載しているが、枠体21一方の長辺から上方に延びる2本の支柱24に支持されるように枠体21及び架設体22を複数段の棚状に設けてもよい。
次に、断面毎パレット20に積載した長手鋼材2を溶接工程に供給する処理について、図8を参照しつつ説明する。長手鋼材2を同一断面毎且つルートナンバー毎、であって軸組フレーム1の施工順にしたがって積載した断面毎パレット20は、図示しないAGVにより自動ストックヤード25に搬送される(S17)。自動ストックヤード25は、詳細は省くがヤード内で断面毎パレット20などの各パレットを移動させて、それぞれのパレットを次工程に供給しやすくするものである。例えばルートナンバーが1又は2の長手鋼材2を積載した断面毎パレット20は、軸組フレーム1にブレース2eを溶接するための耐力プレート2fを溶接する工程に長手鋼材2を供給することになるので、この耐力プレート溶接ライン5に長手鋼材2を供給し易い位置に搬送し、また、ルートナンバーが5〜8の長手鋼材2を積載した断面毎パレット20は、柱材2a以外の長手鋼材2をパレットに混載する工程を行うラインに長手鋼材2を供給することになるため、この混載工程6に長手鋼材2を供給し易い位置に搬送する。
そして、次に、断面毎パレット20に積載された長手鋼材2のルートナンバーが「1」又は「2」であるか否か判断する(S18)。長手鋼材2のルートナンバーが「1」又は「2」であると判断すると(S18:YES)、耐力軸組フレームに用いる柱材2aであるので、当該長手鋼材2をブレース2eを固定するための耐力プレート溶接ライン5に供給する(S19)。耐力プレート溶接ライン5では、別工程から溶接順に耐力プレート2fが供給されており、この耐力プレート2fを長手鋼材2の上端及び下端にそれぞれ溶接する。そして、耐力プレート2fを溶接し終えた長手鋼材2は、再度ピッキングされて自動ストックヤード25に戻される(S20)。
一方、ステップS18に戻って、断面毎パレット20に積載されている長手鋼材2がルートナンバー1又は2ではないと判断すると(S18:NO)、次に、ルートナンバー5〜8のいずれかであるか否か判断する(S21)。ルートナンバーが5〜8のいずれかの長手鋼材2は、柱材2a以外の長手鋼材2である。ルートナンバーが5〜8のいずれかであると判断すると(S21:YES)、断面毎パレット20から断面混載パレットに並べ替える処理が行われる(S22)。具体的には、例えばマテリアルハンドリングロボットにより、断面毎パレット20から各ルートナンバー毎で軸組フレーム1の施工順となるように、異なる断面形状の長手鋼材2を並べ替える。そして、断面混載パレットへの並べ替えが完了すると、断面混載パレットを自動ストックヤード25に戻す(S23)。
このように、長手鋼材2を断面混載パレットに並べ替えることにより柱材2aを除く上弦材2b、下弦材2c、及び中間材2dを溶接工程で組み付ける順序で混載パレットに積載するので、品種が多くピッキング工程7,8,9が複雑になりやすい上弦材2b、下弦材2c、及び中間材2dを予め溶接工程で組付る順序に並べ替えることで、その後のピッキング工程7,8,9の制御をより簡単にすることができる。
以上の工程が終了すると、次に、パレットに積載されている長手鋼材2がルートナンバーが5又は6であるか否か判断される(S24)。ルートナンバーが5又は6であると判断されると(S24:YES)、中間材事前溶接ピッキング工程8で長手鋼材2をピックアップし、中間材事前溶接ライン11に長手鋼材2を供給する(S25)。そして、中間材事前溶接ライン11では、長手鋼材2をT字、十字などの必要な形状に溶接加工する(S26)。中間材2dの事前溶接加工が終了すると、当該事前溶接された長手鋼材2のルートナンバーが5であるか否か判断される(S27)。ルートナンバー5であると判断すると(S27:YES)、1M軸組溶接ピッキング工程9で長手鋼材2をピックアップし、1メートル以下の幅の軸組フレーム1を溶接する1M溶接ライン12にT字、十字などに加工された中間材2dを供給する(S29)。一方、ルートナンバー5でないと判断すると(S27:NO)、すなわち、ルートナンバー6であるので、2M軸組溶接ピッキング工程7で長手鋼材2をピックアップし、1メートルを越える幅の軸組フレーム1を溶接する2M軸組溶接ライン10に中間材2dを供給する(S30)。
ステップS24に戻って、ルートナンバー5又は6でないと判断すると(S24:NO)、次に、ルートナンバー1、3、又は7であるか否か判断する(S28)。ルートナンバー1、3、又は7であると判断すると(S28:YES)、1M溶接ライン12に長手鋼材2を供給する。ルートナンバーが1、3、7でないと判断すると、すなわちルートナンバーが2、4、8である場合は、2M軸組溶接ライン10に長手鋼材2を供給する。
1M軸組溶接ライン12又は2M軸組溶接ライン10で溶接された軸組フレーム1は、ブレース2eを溶接しない軸組フレーム1はそのまま溶接の検査工程に搬送され、耐力軸組フレームは1Mブレース溶接ライン14又は2Mブレース溶接ライン13に供給されてブレース2eを溶接された後、検査工程15に搬送される。その後、電着塗装16、外壁パネルの複合17等の工程を経て個別住宅の施工順に輸送用のトラックに積み込まれる。
以上のように、本実施形態の長手鋼材の供給方法によると、このように同一断面形状毎に積載するのでロールフォーミング加工した順に断面毎パレット20に積載することができ、しかも、各溶接工程5,10,11,12,13,14のルート及び溶接工程での溶接順序を考慮して断面毎パレット20に積載されるので、溶接工程直前のピッキング工程では各断面形状毎に溶接順の早いパレットのみからピッキングできるので、ピッキングするパレットの数を少なくすることができる。したがって、マテリアルハンドリングロボットなどのピッキングマシンの動作を簡単にすることができ、同一断面形状毎に成形された長手鋼材2を、効率的に軸組フレーム1の出荷順に溶接工程に供給することができる。
なお、本実施形態においては、建築現場での軸組フレーム1の施工順に溶接順に基づいて、溶接工程での溶接順序を決定しているが、溶接工程で溶接する順序は他の種々の基準に基づいてなされるものであってもよい。また、断面毎パレットに積載する順、及び溶接工程に払い出す順も溶接工程で溶接する順序に基づくものであれば、必ずしも軸組フレーム1の施工順でなくてもよい。
なお、ルートナンバーは上述のものに限定されるものではなく、供給工程又は溶接工程でのラインに応じて適切にグルーピングすることができる。また、このようにルートナンバーに分けて成形工程を行い断面毎パレット20に積載することで、溶接工程へ長手鋼材2を供給する供給工程を簡易化することができる効果を有するが、本発明の実施形態は必ずしもルートナンバーに分けて管理するものでなくてもよい。
なお、本実施形態においては、建築現場で最も早く施工する軸組フレーム1からの順である施工順で、長手鋼材を溶接工程に供給しているが、建築現場で最も遅く施工する軸組フレーム1からの順である施工逆順に溶接工程に供給するものであってもよい。すなわち、溶接工程の後、完成した軸組フレーム1を下から順に積み上げて、上から順に取り出すような工程がある場合は、溶接工程と逆順に出荷されることになるからである。つまり、工場からトラックなどの運送手段に積み込んで建築現場に到着した際に、最も早く施工する軸組フレーム1を最も早く取り出すことができる順であればよい。
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
本実施形態においては本発明の面体フレームの一例として軸組フレーム1を例に説明したが、これに限定されるものではなく、面体フレームは、図10(A)に示すように、一対の柱材2a、上弦材2b、及び下弦材2cで枠状に形成された枠体のみからなるフレーム、図10(B)に示すように、一対の柱材2a、上弦材2b、及び下弦材2cで枠状に形成された枠体の対角線上にブレース2fを設けたフレーム、図10(C)に示すように、一対の柱材2a、上弦材2b、及び下弦材2cで枠状に形成された枠体の内側にT字状に溶接された2本の中間材2dを溶接するフレーム、図10(D)に示すように、一対の柱材2aを設け、この柱材2a同士を2本の互いに交差するダンパー2fが設けられた筋交により連結したフレーム、図10(F)(G)(H)(I)に示すように、一対の柱材2a、上弦材2b、及び下弦材2cのうちいずれか1を設けない形状のフレーム、図10(J)(K)に示すように、一方の柱材2aの上端及び下端から他方の柱材2aの中間部に向かってそれぞれダンパー2f付きのブレースが架設されたフレームを含む。
本発明に係る軸組フレーム1の個別住宅別生産方法は、工場で生産した多品種の軸組フレーム1を施工現場で組み立てて構造躯体を形成する工業化住宅における、軸組フレーム1の生産方法として、好適に用いることができる。
1 軸組フレーム
2 長手鋼材
2a 柱材
2b 上弦材
2c 下弦材
2d 中間材
2e ブレース
4 同一断面毎積載工程
6 混載工程
7 2M軸組溶接ピッキング工程
8 中間材事前溶接ピッキング工程
9 1M軸組溶接ピッキング工程
10 2M軸組溶接ライン(長フレーム溶接工程)
11 中間材事前溶接ライン(中間材溶接工程)
12 1M軸組溶接ライン(短フレーム溶接工程)
13 2Mブレース溶接ライン(ブレース溶接工程)
14 1Mブレース溶接ライン(ブレース溶接工程)

Claims (2)

  1. 長手鋼材を溶接して面体フレームを製造する溶接工程に、材料を成形加工して形成した前記長手鋼材を供給する長手鋼材の供給方法であって、
    前記面体フレームは一対の柱材、上弦材、下弦材により矩形枠体を構成するとともに、必要に応じて中間材及びブレースを含み、
    前記溶接工程は複数の長手鋼材を溶接して中間材を形成する中間材事前溶接工程、所定幅以下の面体フレームを形成する短フレーム溶接工程、所定幅を超える面体フレームを形成する長フレーム溶接工程、及び前記矩形枠体内にブレースを溶接するブレース溶接工程、を含むものであり、
    前記長手鋼材毎に、予め前記中間材溶接工程、前記短フレーム溶接工程、前記長フレーム溶接工程、前記ブレース溶接工程、及びこれらの組み合わせの中から溶接工程において通過すべきルートを決定し、
    前記長手鋼材を、前記通過すべきルート毎であり、且つ、同一断面形状毎に、前記溶接工程で溶接する順序で所定のパレットに積載する同一断面形状毎積載工程と、
    前記所定のパレットに積載された前記長手鋼材を前記溶接工程で溶接する順に前記溶接工程に払い出すピッキング工程と、
    を備えることを特徴とする長手鋼材の供給方法。
  2. 前記同一断面形状毎積載工程の後、
    複数のパレットにそれぞれ同一断面形状毎に積載されている前記長手鋼材のうち上弦材、下弦材、及び中間材を構成する長手鋼材を前記溶接工程で溶接する順序で混載パレットに積載する混載工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の長手鋼材の供給方法。
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