JP5750282B2 - 電子制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子制御装置に関する。
近年では、車両を利用するユーザの利便性向上を図るために、一定条件下でユーザによるスイッチ操作或いはリモコン操作が為された場合に、スライドドアやリアゲート(バックドア或いはテールゲートと同義)等の車両扉を自動的に開閉する車両扉自動開閉システム(所謂、パワースライドドアシステムやパワーリアゲートシステム等)を搭載した車両が普及している(下記特許文献1参照)。
この車両扉自動開閉システムは、モータ及び該モータの回転動作を車両扉の開閉動作に変換する機械要素から成る駆動ユニットと、車両の所定位置に設置された各種スイッチやセンサ或いは他の車載ユニットから得られる情報を基に駆動ユニットを制御する制御ユニットとから構成されている。なお、制御ユニットには、ROM及びRAM等のメモリ、CPUコア、CPUリセット回路、入出力インタフェースなどが一体的に組み込まれたマイクロコントローラ(以下、マイコンと略す)が内蔵されていることが一般的である。
特開2010−159605号公報
上記の車両扉自動開閉システムにおいて、制御ユニットによる駆動ユニットの制御中、つまり車両扉の開閉動作中に、バッテリから制御ユニットに供給される電源電圧(バッテリ電源電圧)が制御ユニットに内蔵されたマイコンの動作可能電圧(CPUリセット電圧)を下回った場合、マイコン(正確にはCPU)がリセットされて車両扉が開閉動作の途中で停止してしまう可能性がある。
バッテリ電源電圧の低下は、主にスタータによるエンジン始動時に発生する現象であるが、特にアイドリングストップ機能を備えた車両は、アイドリングストップ状態時(エンジン停止時)にエアコン、ライト、オーディオ等の作動によりバッテリ電源電圧が低下する上、エンジンの再始動時にバッテリ電源電圧がさらに大きく低下することから、マイコンがリセットされやすい車種と言える。
バッテリ電源電圧の低下によりリセットされると、ドアの位置情報や作動設定条件等の記録をクリアしてしまうため、クリア後に初期設定動作を実施しなくてはならないという問題があった。また、このようなバッテリ電源電圧の低下によるリセットを回避するために、従来では、制御ユニット内の電源系に大容量コンデンサ(消費電流によって変化するが数千μF〜数万μFのコンデンサ)を設ける必要があり、基板実装面積の増加による実装効率の低下及び部品コストの増加を招くという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、部品実装効率の低下及び部品コストの増加を最小限に抑えつつ、電源電圧の低下によるリセットを回避可能な電子制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、電子制御装置に係る第1の解決手段として、所定の処理を行う処理部を備える電子制御装置であって、電源電圧がモード復帰閾値以上となった場合に前記処理部に対してモード復帰割込み信号を出力する閾値判定回路を備え、前記処理部は、前記電源電圧がモード移行閾値以下となった場合に省電力モードとなり、前記省電力モード時に前記閾値判定回路から前記モード復帰割込み信号が入力された場合に通常モードへ復帰することを特徴とする。
また、本発明では、電子制御装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記処理部は、アナログ入力される前記電源電圧のアナログ/デジタル変換を行うことで前記電源電圧のデジタル値を取得し、該デジタル値に基づいて前記電源電圧がモード移行閾値以下か否かを判定することを特徴とする。
また、本発明では、電子制御装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記処理部は、車両に搭載された非走行系機能の制御に関する処理を行うことを特徴とする。
また、本発明では、電子制御装置に係る第4の解決手段として、上記第3の解決手段において、前記処理部は、前記非走行系機能として車両扉の自動開閉機能の制御に関する処理を行うことを特徴とする。
また、本発明では、電子制御装置に係る第5の解決手段として、上記第3または第4の解決手段において、前記処理部は、車両に搭載された他の電子制御装置からアイドリングストップ状態であることを通知された場合に、前記電源電圧がモード移行閾値以下か否かの判定を開始することを特徴とする。
本発明によれば、処理部は、電源電圧がリセット電圧より高く設定されたモード移行閾値以下となった場合、つまり電源電圧がリセット電圧に到達する前に省電力モードに移行するため、電流消費が少ない状態となり、それにより小さい容量のコンデンサでも電源電圧の低下によるリセットを回避することができる。また、本発明では、このようなリセット回避を実現するために、従来のような大容量コンデンサを用いる必要がないため、部品実装効率の低下及び部品コストの増加を最小限に抑えることができる。
本実施形態に係るパワーリアゲートシステムを搭載した車両100の後部を側面から視たシステム概略図である。 本実施形態に係るパワーリアゲートシステムのブロック構成図である。 マイコン38が実行するリアゲート自動開閉処理のフローチャートである。 バッテリ電源電圧VPBの時間的な変化と、マイコン38のモード切替タイミングとの関係を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、本発明に係る電子制御装置として、車両扉自動開閉システム、特にパワーリアゲートシステムを統括制御するパワーリアゲートECU(Electronic Control Unit)を例示して説明する。
図1は、本実施形態に係るパワーリアゲートシステムを搭載した車両100の後部を側面から視たシステム概略図である。なお、図中に記載しているXYZ直交座標系のX軸は車両100の長さ方向を、Y軸は車両100の幅方向を、Z軸は車両100の高さ方向を示している。また、図2は、本実施形態に係るパワーリアゲートシステムのブロック構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係るパワーリアゲートシステムは、車両100のルーフ101の後端部にヒンジ機構102を介して上下に開閉自在に連結されたリアゲート103を、一定条件下でユーザによるスイッチ操作或いはリモコン操作が為された場合に自動的に開閉するシステムである。また、リアゲート103は、手動で開閉することも可能である。
なお、手動或いは自動によるリアゲート103の開放動作を補助するために、車両100のリアピラー105とリアゲート103との間には、リアゲート103に対して開方向の押し上げ力を付勢するダンパー104が設けられている。このダンパー104は、車両100の幅方向に対して左右に1本ずつ設けられている。
リアピラー105の内側には、リアゲートモータ11及び該リアゲートモータ11の回転動作をリアゲート103の開閉動作に変換する機械要素12、13、14、15から成るリアゲート駆動ユニット10が設けられている。
リアゲートモータ11は、後述のパワーリアゲートECU30から供給される駆動電流に応じて回転するDCモータである。機械要素12は、リアピラー105の内側にZ軸から後方へ向かって一定角度傾斜した状態で固定されたガイドレールである。機械要素13は、ガイドレール12に沿って昇降自在(往復自在)に装着されたラックギアである。
機械要素14は、一端がラックギア13の上端部にY軸周りに回動自在に連結され、且つ他端がリアゲート103の所定位置にY軸周りに回動自在に連結された棒状のアームである。機械要素15は、リアゲートモータ11の回転軸の回転動作をラックギア13の昇降運動(ガイドレール12上の往復運動)に変換するピニオンギア等の各種ギア群を内蔵するギアボックスである。
これらの機械要素12、13、14、15によって、リアゲートモータ11の正転時にはラックギア13がガイドレール12に沿って上昇し、アーム15による押し上げ力がリアゲート103に付加されてリアゲート103の開放動作が実現される。一方、リアゲートモータ11の逆転時にはラックギア13がガイドレール12に沿って下降し、アーム15による引き下げ力がリアゲート103に付加されてリアゲート103の閉鎖動作が実現される。
なお、このギアボックス15内には、後述のパワーリアゲートECU30による制御に応じてリアゲートモータ11の回転軸と後段の各種ギア群(図2中の符号16)との機械的な接続を切断するクラッチ機構(図2中の符号17)が設けられている。また、このギアボックス15内には、リアゲートモータ11の回転角度を検出するホールセンサ等の角度センサ(図2中の符号18)も設けられている。
リアゲート103の下端中央部には、リアゲート103のラッチ状態をハーフラッチ状態(ほぼリアゲート103が閉じられているが、完全に車体のストライカに対してラッチされていない状態:半ドア状態)からフルラッチ状態(リアゲート103が車体のストライカに対して完全にラッチされた状態:全閉状態)へ自動的に切替えるクロージャーユニット20が設けられている。
このクロージャーユニット20は、図2に示すように、クロージャーモータ21、ラッチ機構22及びラッチ状態検出スイッチ23を備えている。クロージャーモータ21は、後述のパワーリアゲートECU30から供給される駆動電流に応じて回転するDCモータである。ラッチ機構22は、クロージャーモータ21の回転動作をリアゲート103のラッチ状態の切替動作に変換する機械要素から構成されている。
このラッチ機構22は、クロージャーモータ21の正転時には、リアゲート103をハーフラッチ状態からフルラッチ状態へ切替え、クロージャーモータ21の逆転時には、リアゲート103をフルラッチ状態からハーフラッチ状態へ切替える。ラッチ状態検出スイッチ23は、リアゲート103のラッチ状態(ハーフラッチ状態か、或いはフルラッチ状態か)を検出するスイッチ群であり、具体的にはラッチスイッチ、カーテシスイッチ、中立状態スイッチ等である。
リアゲート駆動ユニット10の下部には、車両100の所定位置に設置された各種スイッチやセンサ或いは他の車載ユニット(いずれも図1では図示省略)から得られる情報を基に、リアゲート駆動ユニット10及びクロージャーユニット20を制御する(つまりリアゲート103の自動開閉制御を行う)パワーリアゲートECU30が設置されている。
具体的には、このパワーリアゲートECU30は、図2に示すように、電源回路31、フィルタ回路32、電圧比較回路33、リアゲートモータ駆動回路34、クロージャーモータ駆動回路35、クラッチ駆動回路36、LIN(Local Interconnect Network)レシーバ37及びマイコン38を内蔵している。
また、パワーリアゲートECU30は、外部接続端子として、第1電源端子P1、第2電源端子P2、グランド端子P3、第1入力端子P4、第2入力端子P5、第3入力端子P6、第4入力端子P7、第5入力端子P8、第6入力端子P9、第7入力端子P10、第1出力端子P11、第2出力端子P12、第3出力端子P13、第4出力端子P14、第5出力端子P15及び通信線接続端子P16を備えている。
第1電源端子P1は、車両100に搭載されたバッテリ41の正極端子と第1ヒューズ42を介して接続されている。第2電源端子P2は、上記バッテリ41の正極端子と第2ヒューズ43を介して接続されている。グランド端子P3は、上記バッテリ41の負極端子と接続されている。なお、バッテリ41の負極端子は車体アースされている。
電源回路31の入力端子は第1電源端子P1と接続され、出力端子はマイコン38と接続されている。この電源回路31は、例えばDC/DCコンバータであり、第1電源端子P1を介してバッテリ41から供給されるバッテリ電源電圧VPB(例えば12V)を、マイコン38等の低電圧回路の駆動に必要な内部電源電圧Vdd(例えば3.3V〜5V)に変換する。この内部電源電圧Vddは、マイコン38に供給されると共に、共通のVddラインを介して電圧比較回路33やその他の回路に供給される。
フィルタ回路32の入力端子は第2電源端子P2と接続され、出力端子はマイコン38と接続されている。このフィルタ回路32は、例えばローパスフィルタであり、第2電源端子P2を介してバッテリ41から供給されるバッテリ電源電圧VPBに含まれる高周波のノイズ成分を除去し、直流成分をマイコン38へ通過させるものである。
電圧比較回路33の第1入力端子は第2電源端子P2と接続され、第2入力端子はVddラインと接続され、出力端子はマイコン38と接続されている。この電圧比較回路33(閾値判定回路)は、第2電源端子P2を介してバッテリ41から供給されるバッテリ電源電圧VPBが、モード復帰閾値Vth_Wp以上となった場合にマイコン38に対してモード復帰割込み信号を出力する。ここで、モード復帰閾値Vth_Wpは、Vddラインから供給される内部電源電圧Vddの抵抗分圧回路によって設定されている。
なお、第2電源端子P2を介してバッテリ41から供給されるバッテリ電源電圧VPBは、共通のVPBラインを介してリアゲートモータ駆動回路34、クロージャーモータ駆動回路35及びクラッチ駆動回路36等に供給されている。また、グランド端子P3(つまりバッテリ41の負極端子)はパワーリアゲートECU30内の各電子部品に共通のGNDラインと接続されている。
第1入力端子P4は、運転席側に設置されたメインスイッチ44と接続されている。このメインスイッチ44は、第1入力端子P4を介してマイコン38と接続されており、そのオン/オフ状態によって、リアゲート103の自動開閉制御が許可されている状態か否かをマイコン38に認識させるためのスイッチである。
第2入力端子P5は、運転席側に設置されたリアゲート開閉スイッチ45と接続されている。このリアゲート開閉スイッチ45は、第2入力端子P5を介してマイコン38と接続されており、そのオン/オフ状態によって、ユーザによるリアゲート103の開放操作が為されたか、或いは閉鎖操作が為されたかをマイコン38に認識させるためのスイッチである。
第3入力端子P6は、リアゲート駆動ユニット10に内蔵された角度センサ18と接続されている。つまり、角度センサ18の出力信号(リアゲートモータ11の回転角度に応じた信号)は、第3入力端子P6を介してマイコン38に入力される。第4入力端子P7は、クロージャーユニット20に内蔵されたラッチ状態検出スイッチ23と接続されている。ラッチ状態検出スイッチ23は、第4入力端子P7を介してマイコン38と接続されており、そのオン/オフ状態によって、リアゲート103がハーフラッチ状態か、フルラッチ状態かをマイコン38に認識させるためのスイッチである。
第5入力端子P8は、リアゲート103に設置されたリアゲート開放スイッチ46と接続されている。このリアゲート開放スイッチ46は、第5入力端子P8を介してマイコン38と接続されており、そのオン/オフ状態によって、ユーザによるリアゲート103の開放操作が為されたことをマイコン38に認識させるためのスイッチである。
第6入力端子P9は、リアゲート103に設置されたリアゲート閉鎖スイッチ47と接続されている。このリアゲート閉鎖スイッチ47は、第6入力端子P9を介してマイコン38と接続されており、そのオン/オフ状態によって、ユーザによるリアゲート103の閉鎖操作が為されたことをマイコン38に認識させるためのスイッチである。
第7入力端子P10は、リアゲート103に設置されたタッチセンサ48と接続されている。このタッチセンサ48は、第7入力端子P10を介してマイコン38と接続されており、そのオン/オフ状態によって、リアゲート103の閉動作中に、リアゲート103と車体との間に挟み込みが発生したか否かをマイコン38に認識させるためのセンサスイッチである。
第1出力端子P11はリアゲートモータ11の正極端子と接続され、第2出力端子P12はリアゲートモータ11の負極端子と接続されている。リアゲートモータ駆動回路34は、マイコン38から供給されるPWM(Pulse Width Modulation)信号によって個別にオン/オフ制御される2つのスイッチ素子34a、34bを備えている。
スイッチ素子34aは、オン状態時にVPBライン(12Vライン)と第1出力端子P11(つまりリアゲートモータ11の正極端子)とを接続し、オフ状態時にGNDラインと第1出力端子P11とを接続する。スイッチ素子34bは、オン状態時にVPBラインと第2出力端子P12(つまりリアゲートモータ11の負極端子)とを接続し、オフ状態時にGNDラインと第2出力端子P12とを接続する。
つまり、スイッチ素子34bをオフ状態に維持したままで、スイッチ素子34aのオン/オフ状態をPWM制御すると、リアゲートモータ11の正極端子から負極端子へデューティ比に応じた駆動電流が流れて、リアゲートモータ11は正転動作する。一方、スイッチ素子34aをオフ状態に維持したままで、スイッチ素子34bのオン/オフ状態をPWM制御すると、リアゲートモータ11の負極端子から正極端子へデューティ比に応じた駆動電流が流れて、リアゲートモータ11は逆転動作する。
第3出力端子P13はクロージャーモータ21の正極端子と接続され、第4出力端子P14はクロージャーモータ21の負極端子と接続されている。クロージャーモータ駆動回路35は、マイコン38から供給されるPWM信号によって個別にオン/オフ制御される2つのスイッチ素子35a、35bを備えている。
スイッチ素子35aは、オン状態時にVPBラインと第3出力端子P13(つまりクロージャーモータ21の正極端子)とを接続し、オフ状態時にGNDラインと第3出力端子P13とを接続する。スイッチ素子35bは、オン状態時にVPBラインと第4出力端子P14(つまりクロージャーモータ21の負極端子)とを接続し、オフ状態時にGNDラインと第4出力端子P14とを接続する。
つまり、スイッチ素子35bをオフ状態に維持したままで、スイッチ素子35aのオン/オフ状態をPWM制御すると、リアゲートモータ11と同様、クロージャーモータ21は正転動作する。一方、スイッチ素子35aをオフ状態に維持したままで、スイッチ素子35bのオン/オフ状態をPWM制御すると、リアゲートモータ11と同様、クロージャーモータ21は逆転動作する。
第5出力端子P15は、リアゲート駆動ユニット10に内蔵されたクラッチ機構17と接続されている。クラッチ駆動回路36は、マイコン38から供給されるクラッチ制御信号によってオン/オフ制御されるスイッチ素子36aを備えている。このスイッチ素子36aは、オン状態時にVPBラインと第5出力端子P15(つまりクラッチ機構17)とを接続し、オフ状態時にGNDラインと第5出力端子P15とを接続する。
つまり、スイッチ素子36aのオン状態時に、クラッチ機構17に駆動電流が供給されて、リアゲートモータ11の回転軸と後段の各種ギア群16とが機械的に接続される。
通信線接続端子P16は、LINバス49を介して他の車載ユニット(図示省略)と接続されている。LINレシーバ37は、通信線接続端子P16とマイコン38との間に設けられており、LINプロトコルに準拠した通信をマイコン38と他の車載ユニットとの間で行う通信インターフェースである。
マイコン38(処理部)は、ROM及びRAM等のメモリ、CPUコア、CPUリセット回路、入出力インターフェースなどが一体的に組み込まれたマイクロコントローラであり、リアゲート103の自動開閉制御に関する処理を行うものである。
具体的には、このマイコン38は、メインスイッチ44、リアゲート開閉スイッチ45、リアゲート開放スイッチ46、リアゲート閉鎖スイッチ47、タッチセンサ48及びラッチ状態検出スイッチ23のオン/オフ状態と、角度センサ18の出力信号と、LINレシーバ37を介して他の車載ユニットから受信した車両情報とに基づいて、リアゲートモータ駆動回路34、クロージャーモータ駆動回路35及びクラッチ駆動回路36を制御する。
なお、正確には、リアゲート103の自動開閉制御に関する処理(リアゲート自動開閉処理)は、マイコン38に内蔵されたCPUが、ROMに記憶されている制御プログラムに従って実行するものであり、従来と同じく、バッテリ41の電圧、つまりバッテリ電源電圧VPBがマイコン38の動作可能電圧(CPUリセット電圧)を下回った場合に、マイコン38(正確にはCPU)がリセットされることに留意されたい。
詳細は後述するが、本実施形態のマイコン38は、上記のようなバッテリ電源電圧VPBの低下によるリセットを回避するために、フィルタ回路32から入力されるバッテリ電源電圧VPBのアナログ/デジタル変換を行うことでバッテリ電源電圧VPBのデジタル値を取得し、該デジタル値に基づいてバッテリ電源電圧VPBがモード移行閾値Vth_Sp以下か否かを判定する機能と、バッテリ電源電圧VPBがモード移行閾値Vth_Sp以下となった場合にスリープモード(省電力モード)となり、電圧比較回路33からモード復帰割込み信号が入力された場合にスリープモードから通常モードへ復帰する機能とを有している。
以上が、本実施形態に係るパワーリアゲートシステム及び該パワーリアゲートシステムを統括制御するパワーリアゲートECU30の構成に関する説明であり、以下ではマイコン38(正確にはCPU)が、内蔵ROMに記憶されている制御プログラムに従って実行するリアゲート自動開閉処理の詳細について、図3及び図4を参照しながら説明する。
図3は、マイコン38が制御プログラムに従って実行するリアゲート自動開閉処理を表すフローチャートであり、(a)が通常モード時の処理を表し、(b)がスリープモード時の処理を表している。図3(a)に示すように、通常モード時において、マイコン38は、まず、LINレシーバ37を介して他の車載ユニットから受信した車両情報(例えば、車速情報、シフトポジション情報、パーキングブレーキ情報など)に基づいて、車両100が停車状態か否かを判定する(ステップS1)。
マイコン38は、上記ステップS1において「No」の場合、車両100が停車状態となるまでステップS1の処理を繰り返す一方、上記ステップS1において「Yes」の場合(車両100が停車状態の場合)、LINレシーバ37を介して他の車載ユニットから受信した車両情報(例えばアイドリングストップ状態であることを示すISS情報)に基づいて、車両100がアイドリングストップ状態か否かを判定する(ステップS2)。
マイコン38は、上記ステップS2において「No」の場合、後述のステップS5の処理に移行する一方、上記ステップS2において「Yes」の場合(車両100がアイドリングストップ状態の場合)、フィルタ回路32を介してアナログ入力されるバッテリ電源電圧VPBのアナログ/デジタル変換を行うことでバッテリ電源電圧VPBのデジタル値を取得する(ステップS3)。
マイコン38は、上記ステップS3で取得したバッテリ電源電圧VPBのデジタル値と、予め設定されているモード移行閾値Vth_Spとを比較することで、バッテリ電源電圧VPBがモード移行閾値Vth_Sp以下か否かを判定する(ステップS4)。
マイコン38は、上記ステップS2において「No」の場合(車両100がアイドリング状態の場合)、或いは上記ステップS4において「No」の場合(バッテリ電源電圧VPBがモード移行閾値Vth_Spより高い場合)、リアゲート103の自動開閉制御を行う(ステップS5)。
具体的には、ステップS5において、マイコン38は、条件に応じて自動開放制御、自動閉鎖制御、手動開放制御、手動閉鎖制御、挟み込み検出制御及びフェイル検出制御の6種類の制御を行う。これら6種類の制御は従来と同様であるため、以下ではそれぞれの制御について簡単に説明する。
<自動開放制御>
マイコン38は、メインスイッチ44がオン状態(リアゲート103の自動開閉制御が許可されている状態)で、且つリアゲート103が全閉状態という条件下で、運転席のリアゲート開閉スイッチ45或いはリアゲート103のリアゲート開放スイッチ46がオン操作されるか、または他の車載ユニットからリモコンによるリアゲート103の開放操作が為されたことを示す情報を受信した場合に自動開放制御を行う。
なお、マイコン38は、ラッチ状態検出センサ23のオン/オフ状態及び角度センサ18の出力信号(リアゲートモータ11の回転角度)を基に、リアゲート103が全閉状態か否かを判断する。
マイコン38は、自動開放制御として、まず、クロージャーモータ駆動回路35のスイッチ素子35a、35bをPWM制御することでクロージャーモータ21を逆転動作させて、ラッチ機構22によるリアゲート103のラッチ解除(フルラッチ状態からハーフラッチ状態への切替え)を行う。そして、マイコン38は、クラッチ駆動回路36のスイッチ素子36aをオン状態にすることでリアゲート駆動ユニット10のクラッチ機構17に駆動電流を供給し、PRGモータ11の回転軸と後段の各種ギア群16とを機械的に接続させる。
そして、マイコン38は、リアゲートモータ駆動回路34のスイッチ素子34a、34bをPWM制御することでリアゲートモータ11を正転動作させて、リアゲート103を全開位置まで開放させる。なお、この時、マイコン38は、角度センサ18の出力信号を基にリアゲートモータ11の回転速度、つまりリアゲート103の移動速度を把握し、リアゲート103の移動速度が目標速度となるようにリアゲートモータ11をフィードバック制御する。
<自動閉鎖制御>
マイコン38は、メインスイッチ44がオン状態で、且つリアゲート103が全開状態という条件下で、運転席のリアゲート開閉スイッチ45がオフ操作、或いはリアゲート103のリアゲート閉鎖スイッチ47がオン操作されるか、または他の車載ユニットからリモコンによるリアゲート103の閉鎖操作が為されたことを示す情報を受信した場合に自動閉鎖制御を行う。
マイコン38は、自動閉鎖制御として、まず、リアゲートモータ駆動回路34のスイッチ素子34a、34bをPWM制御することでリアゲートモータ11を逆転動作させて、リアゲート103をハーフラッチ状態(半ドア状態)となる位置まで閉鎖させる。なお、この時、マイコン38は、角度センサ18の出力信号を基にリアゲート103の移動速度が目標速度となるようにリアゲートモータ11をフィードバック制御する。
そして、マイコン38は、リアゲート103をハーフラッチ状態となる位置まで閉鎖させると、クロージャーモータ駆動回路35のスイッチ素子35a、35bをPWM制御することでクロージャーモータ21を正転動作させて、ラッチ機構22によるリアゲート103のラッチ締め込み(ハーフラッチ状態からフルラッチ状態への切替え)を行い、リアゲート103を全閉状態にする。そして、マイコン38は、クラッチ駆動回路36のスイッチ素子36aをオフ状態にすることでクラッチ機構17への駆動電流の供給を停止して、リアゲートモータ11の回転軸と後段の各種ギア群16とを機械的に切断させる。
<手動開放制御>
マイコン38は、メインスイッチ44のオフ状態時(リアゲート103の自動開閉制御が許可されていない状態)に、リアゲート103のリアゲート開放スイッチ46がオン操作されると、手動開放制御として、クロージャーモータ21を逆転動作させて、ラッチ機構22によるリアゲート103のラッチ解除のみを行う。
<手動閉鎖制御>
マイコン38は、メインスイッチ44のオフ状態時に、リアゲート103が手動で閉じられてハーフラッチ状態となったことを検出すると、クロージャーモータ21を正転動作させて、ラッチ機構22によるリアゲート103のラッチ締め込みのみを行う。
<挟み込み検出制御>
マイコン38は、上記の自動開放制御或いは自動閉鎖制御中において、タッチセンサ48のオン/オフ状態、或いは角度センサ18の出力信号を基に算出したリアゲート103の移動速度または外乱トルクによって、リアゲート103と車体間の挟み込みを検出すると、リアゲートモータ11を即時反転させて、リアゲート103を反対方向へ動かす。
<フェイル検出制御>
マイコン38は、上記の自動開放制御或いは自動閉鎖制御中において、誤動作につながる故障、或いは過負荷を検出した場合、フェイルと判定してリアゲートモータ11の駆動を停止し、リアゲート103をフリー状態とする(手動開放制御及び手動閉鎖制御と同様の制御を行なう)。
マイコン38は、ステップS5において上記のようなリアゲート103の自動開閉制御を行った後、LINレシーバ37を介して他の車載ユニットから受信した車両情報に基づいて、車両100が走行状態か否かを判定する(ステップS6)。マイコン38は、このステップS6において「No」の場合、上記ステップS5に戻ってリアゲート103の自動開閉制御を引き続き行う一方、ステップS6において「Yes」の場合(車両100が走行状態の場合)、上記ステップS1の処理に戻る。
一方、上記ステップS4において「Yes」の場合(バッテリ電源電圧VPBがモード移行閾値Vth_Sp以下の場合)、マイコン38は低消費電力状態であるスリープモードに移行する(ステップS7)。マイコン38は、スリープモードに移行すると、図3(b)に示すように、電圧比較回路33からモード復帰割込み信号が入力されたか否かを監視する機能のみを残して、他の不要な機能の動作を休止する(ステップS11)。
既に述べたように、バッテリ電源電圧VPBがモード復帰閾値Vth_Wp以上となった場合に、電圧比較回路33からマイコン38へモード復帰割込み信号が出力される。マイコン38は、上記のようなモード復帰割込み信号が入力されたか否かを監視し(ステップS12)、「No」の場合には引き続きモード復帰割込み信号の監視を行う一方、「Yes」の場合には休止していた機能の動作を再開して通常モードに復帰する(ステップS13)。
図4に、パワーリアゲートECU30に供給されるバッテリ電源電圧VPBの時間的な変化と、マイコン38のモード切替タイミングとの関係を示す。この図4に示すように、時刻t0に車両100が停車状態となり、時刻t1にアイドリングストップ状態(エンジン停止状態)となったものと仮定する。t0〜t1の期間では、オルタネータによる発電が行われているため、パワーリアゲートECU30に供給されるバッテリ電源電圧VPBはバッテリ41の満充電電圧(12V)と同じ電圧値となる。
ここで、時刻t1にアイドリングストップ状態になると、オルタネータによる発電が停止するため、パワーリアゲートECU30へのバッテリ電源電圧VPBの供給のみならず、車両100に搭載された各種電子装置への電源電圧の供給の全てをバッテリ41が担うことになる。それ故、時刻t1以降、エアコン、ライト、オーディオ等の作動によりバッテリ電源電圧VPBは低下する。
さらに、時刻t2にスタータによるエンジンの再始動が行われたと仮定すると、バッテリ電源電圧VPBは一旦大きく低下するが、時間の経過と共にエンジンの回転状態が安定化すると、オルタネータによる発電が再開されて、バッテリ電源電圧VPBはバッテリ41の満充電電圧(12V)まで上昇する。ここで、マイコン38にはCPUリセット回路が内蔵されているため、エンジンの再始動によって、バッテリ電源電圧VPBがマイコン38の動作可能電圧(CPUリセット電圧VCR)を下回ると、マイコン38(正確にはCPU)がリセットされる。
本実施形態では、上記のようなバッテリ電源電圧VBPの低下によるリセットを回避するために、モード移行閾値Vth_Spは、アイドリングストップ状態時にエンジンが再始動されても、バッテリ電源電圧VPBがCPUリセット電圧VCRに到達するまでにマイコン38がスリープモードに移行できるような値に設定されている。より具体的には、モード移行閾値Vth_Spは、CPUリセット電圧VCRとパワーリアゲートECU30の内部容量で維持可能な電圧値とを加算した値に設定されている。
図4に示すように、時刻t3にバッテリ電源電圧VPBがモード移行閾値Vth_Sp以下となったと仮定すると、図3(a)のステップS4、S7の処理によって、時刻t3以降、マイコン38は通常モードからスリープモードへ移行し、バッテリ電源電圧VPBがCPUリセット電圧VCRに到達してもマイコン38のリセットは発生しない。
一方、モード復帰閾値Vth_Wpは、モード移行閾値Vth_Spよりも高く、PRG−ECU30が動作するのに十分な電圧値に設定されている。図4に示すように、時刻t4にバッテリ電源電圧VPBがモード復帰閾値Vth_Wp以上となったと仮定すると、電圧比較回路33からモード復帰割込み信号がマイコン38へ出力され、図3(b)のステップS12、S13の処理によって、時刻t4以降、マイコン38はスリープモードから通常モードへ移行する。
以上説明したように、本実施形態によれば、マイコン38は、バッテリ電源電圧VPBがCPUリセット電圧VCRより高く設定されたモード移行閾値Vth_Sp以下となった場合、つまりバッテリ電源電圧VPBがCPUリセット電圧VCRに到達する前にスリープモードに移行するため、バッテリ電源電圧VPBの低下によるリセットを回避することができる。また、このようなリセット回避を実現するために、パワーリアゲートECU30の内部には、フィルタ回路32及び電圧比較回路33のみを新規で追加すれば良いため、従来のように大容量コンデンサを追加する場合と比べて、部品実装効率の低下及び部品コストの増加を最小限に抑えることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下のような変形例が挙げられる。
上記実施形態では、本発明に係る電子制御装置として、パワーリアゲートシステムを統括制御するパワーリアゲートECU30を例示し、このパワーリアゲートECU30に内蔵されたマイコン38が非走行系機能として車両扉(リアゲート103)の自動開閉機能の制御に関する処理を行う場合を説明した。しかしながら、本発明に係る電子制御装置は、リセット回路を有するマイコン(処理部)を内蔵する電子制御装置に広く適用することができる。
30…パワーリアゲートECU(電子制御装置)、10…リアゲート駆動ユニット、20…クロージャーユニット、33…電圧比較回路(閾値判定回路)、38…マイコン(処理部)、41…バッテリ、100…車両、103…リアゲート

Claims (3)

  1. 車両扉の自動開閉機能の制御に関する処理を行う処理部を備える電子制御装置であって、
    前記車両のバッテリの電圧がモード復帰閾値以上となった場合に前記処理部に対してモード復帰割込み信号を出力する閾値判定回路を備え、
    前記処理部は、
    通常モード時に前記車両に搭載された他の電子制御装置から前記車両がアイドリングストップであることを通知された場合に、前記バッテリの電圧が前記処理部のリセット電圧より高いモード移行閾値以下か否か判定し、
    前記バッテリの電圧が前記モード移行閾値以下となった場合に、前記バッテリの電圧が前記リセット電圧まで低下してもリセットを回避できる省電力モードとなり、
    前記省電力モード時に前記閾値判定回路から前記モード復帰割り込み信号が入力された場合に前記通常モードへ復帰し、
    前記モード復帰閾値は、前記モード移行閾値より高い
    ことを特徴とする電子制御装置。
  2. 車両扉の自動開閉機能の制御に関する処理は、前記車両扉の自動開放制御、自動閉鎖制御、手動開放制御、手動閉鎖制御、挟み込み検出制御及びフェイル検出制御である
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
  3. 前記処理部は、前記省電力モードに移行すると、前記閾値判定回路から前記モード復帰割込み信号が入力されたか否かを監視する機能のみを残して、他の機能の動作を休止する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子制御装置。
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