JP5749624B2 - アンカーの施工方法 - Google Patents
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Description
このアンカーは、地覆コンクリートの底面から浮いた位置に設置する必要があり、従来では、以下のような方法によって施工が行われている。即ち、地覆コンクリートを施工する施工位置の底板上に、地覆鉄筋を設置する。そして、施工する地覆コンクリートの幅に合わせて、その地覆鉄筋の両側部に型枠を設置する。この型枠の内側の面には、施工する地覆コンクリートの高さ位置、つまり、施工する地覆コンクリートの上面位置に合わせて面木が取り付けられる。アンカーは、このように設置された型枠の間の空間に設置されるが、この場合、高欄などの支柱1本を固定するのに必要な本数、例えば4本を1ユニットとして、このユニット、つまり、4本で一体とするアンカー群が、施工する地覆コンクリートが延びる方向、つまり、型枠が延びる方向である橋軸方向に沿って所定間隔ごとに設置される。
また、プレート部材にぶら下げたアンカーの上端面を押え板によって上方から押さえ付けるので、アンカーが地覆コンクリートから突出する高さ、つまり出代の大きさを正確に決めることができる。また、このようにプレート部材にぶら下げたアンカーの上端面を押え板によって上方から押さえ付けることによって、コンクリートを打設する際にアンカーが傾斜してしまうことを防止することができる。従って、地覆コンクリートにおけるアンカーの角度を垂直に決めることができる。
この施工方法によれば、一対の枠部材の間に打設されるコンクリートの上端面、つまり、地覆コンクリートの上端面よりも上方に、アンカーをぶら下げたプレート部材が掛け渡される。従って、施工後におけるアンカーの出代を十分に確保することができる。また、一対の枠部材の間に流し込まれるコンクリートの上端面よりも上方にプレート部材を掛け渡すことで、流し込まれたコンクリートがプレート部材の下面に接触することがない。従って、施工後においてプレート部材を容易に取り外すことができるとともに、プレート部材を取り外す際に地覆コンクリートの上端面を損傷してしまうことを回避することができる。
この施工方法によれば、アンカーの出代となる部分のうちプレート部材よりも下方部分、つまり、コンクリートが付着してしまうことが懸念される部分がカバー部材で覆われることから、当該部分へのコンクリートの付着を防止することができる。
この鉄筋設置工程は、図2(a)に示すように、例えば道路や橋梁などを構成する地覆コンクリート11を施工する施工位置に、地覆鉄筋21を設置する工程である。この地覆鉄筋21は、地覆コンクリート11の施工位置に設置された図示しない床板上に設置される。この地覆鉄筋21は、地覆コンクリート11の骨格としての機能や、当該地覆コンクリート11を補強する機能などを担う。この地覆鉄筋21は、施工する地覆コンクリート11が延びる方向、つまり、橋軸方向に沿う通し筋21aと、この通し筋21と直交する方向、換言すれば、施工する地覆コンクリート11の幅方向に沿う横筋21bとからなる。横筋21bは、施工する地覆コンクリート11が延びる方向、換言すれば、通し筋21aが延びる方向に沿って所定間隔(例えば、250mm〜300mmほど)ごとに配置される。上記した従来の施工方法では、アンカーは、この横筋21bに接触、つまり、干渉する可能性が高かった。なお、上記した従来の施工方法では、アンカーは、通し筋21aにも干渉する可能性がある。
この枠部材設置工程は、図2(b)に示すように、上記の鉄筋設置工程にて設置した地覆鉄筋21の両側部に、施工する地覆コンクリート11が延びる方向、換言すれば、地覆鉄筋21のうち通し筋21aが延びる方向である橋軸方向に沿って、一対の枠部材22,23を設置する工程である。これら枠部材22,23の内側の面、つまり、地覆鉄筋21に対向する面には、内側に突出する面木部22a,23aが設けられている。これら面木部22a,23aは、後述するプレート部材掛け渡し工程以降の工程において、スペーサ25を介してプレート部材24が載置される載置台として機能する。また、これら面木部22a,23aは、後述するコンクリート打設工程において、コンクリートの流し込み量の上限値を規定する目印として機能する。また、これら面木部22a,23aは、地覆鉄筋21に対向する面が傾斜した断面三角形状をなしており、これにより、後述する仕上げ工程を経て施工された地覆コンクリート11の上部の幅方向の両端部には、これら面木部22a,23aの形状に対応して面取り部11aが形成される。
このプレート部材掛け渡し工程は、図2(c)に示すように、上記の枠部材設置工程にて設置した一対の枠部材22,23にプレート部材24を掛け渡す工程である。この場合、このプレート部材24は、一対の枠部材22,23の面木部22a,23aにスペーサ25を介して載置され、これにより、プレート部材24は、少なくとも面木部22a,23aの上端面よりも上方に掛け渡される。
図3に示すように、このプレート部材24は、全体としてほぼ長方形の板状をなし、当該プレート部材24を板厚方向に貫通する押え板固定用孔24aおよびアンカー挿通孔24bを有している。押え板固定用孔24aは、プレート部材24のほぼ中央部に、この場合1つが設けられている。アンカー挿通孔24bは、押え板固定用孔24aの周囲に、複数、この場合4つが設けられている。押え板固定用孔24aおよびアンカー挿通孔24bは、何れも円形状に開口している。押え板固定用孔24aの開口径は、アンカー挿通孔24bの開口径よりも小さく設定されている。換言すれば、アンカー挿通孔24bの開口径は、押え板固定用孔24aの開口径よりも大きく設定されている。
このアンカー挿通工程は、図2(d)に示すように、上記のプレート部材掛け渡し工程にて一対の枠部材22,23に掛け渡したプレート部材24のアンカー挿通孔24bに、アンカー12を、ねじ部12aを上方に向けた状態で下方から挿通する工程である。なお、このようにアンカー12を挿通することに先立ち、この場合、図4に示すように、アンカー挿通孔24bには上方からカバー部材26が取り付けられる。このカバー部材26は、全体としてほぼ円形筒状をなすスリーブ部26aと、そのスリーブ部26aの上端部に形成された鍔部26bとを有している。この鍔部26bがプレート部材24の上面に係止することで、カバー部材26がプレート部材24のアンカー挿通孔24bに保持される。そして、アンカー12は、このようにプレート部材24のアンカー挿通孔24bに保持されたカバー部材26に下方から挿通される。なお、このカバー部材26の長さ、特にスリーブ部26aの長さは、その下端部が面木部22a,23aの上端面よりも若干、例えば数ミリ程度上方となる長さに設定されている。
このアンカーぶら下げ工程は、図2(e)に示すように、上記のアンカー挿通工程にてプレート部材24のアンカー挿通孔24bに下方から挿通したアンカー12の上端部のねじ部12aに、アンカー挿通孔24bよりも大きいナット27を取り付けることによって、アンカー12をプレート部材24にぶら下げる工程である。このとき、アンカー12の上端面とナット27の上面とが面一となるようにアンカー12にナット27を取り付ける。
また、このようにプレート部材24にぶら下げられたアンカー12が地覆鉄筋21に接触しないように、当該プレート部材24におけるアンカー挿通孔24bの形成位置が予め設計されている。さらに、上記のプレート部材掛け渡し工程では、このアンカーぶら下げ工程にてプレート部材24にぶら下げられるアンカー12が地覆鉄筋21に接触しないように、当該プレート部材24の載置位置が予め調整される。また、プレート部材24の載置位置を予め調整しておくことによっても、アンカー12が地覆鉄筋21に接触してしまうことを回避することが可能である。
このアンカー押さえ付け工程は、上記のアンカーぶら下げ工程にてプレート部材24にぶら下げたアンカー12の上端面、換言すれば、ナット27の上端面を、押え板28によって上方から押さえ付ける工程である。この押え板28は、そのほぼ中央部に、当該押え板28を板厚方向に貫通する押え板固定用孔を有している。そして、この押え板28の押え板固定用孔とプレート部材24の押え板固定用孔24aとに押え板固定用のボルト28aを挿通し、この押え板固定用のボルト28aの先端部、この場合、下端部にナット28bを取り付け、このナット28bを締め付けることにより、押え板28がアンカー12の上端面を上方から押さえ付けた状態で固定されるようになる。このように、アンカー12の上端面を押え板28によって上方から押さえ付けることによって、仮固定状態だったアンカー12が垂直な状態で強固に固定されるようになる。また、アンカー12の出代を正確に決めることができる。なお、図5は、このアンカー押さえ付け工程までを完了した状態を示している。
このコンクリート打設工程は、図2(g)に示すように、上記したアンカー押さえ付け工程にてアンカー12を強固に固定した上で、一対の枠部材22,23の間にコンクリートCを打設する工程である。なお、コンクリートを打設するとは、コンクリートを流し込むことである。このコンクリート打設工程では、コンクリートCは、図2(g)に二点鎖線で示すように、一対の枠部材22,23の面木部22a,23aの上端面まで流し込まれる。このとき、アンカー12は、上記したアンカー押さえ付け工程までの処理によって、プレート部材24に強固に固定されている。従って、アンカー12が、流れ込むコンクリートCに押されて傾いてしまうことが防止される。また、アンカー12の出代部分がカバー部材26のスリーブ部26aによって覆われていることから、当該出代部分にコンクリートCが付着することが防止される。また、このカバー部材26がアンカー12の出代部分を支えることから、アンカー12が傾いてしまうことがさらに防止される。
この仕上げ工程は、上記のコンクリート打設工程にて打設したコンクリートCが固まったら、図2(h)に示すように、各部材を取り外し、これにより、アンカー12が埋め込まれた地覆コンクリート11を得る工程である。このように施工されたアンカー12には、例えば図1に示した高欄10などの防護柵が、図1に示すナット10aなどによって締結されることによって強固に固定される。なお、地覆コンクリート11のうち上部の幅方向の両端部、つまり、枠部材22,23の面木部22a,23aに対向していた部分は、面取り部11aとなっている。
プレート部材24に形成するアンカー挿通孔24bの数は、施工するアンカー12の数に応じて適宜変更して実施することができる。
先にプレート部材24にアンカー12をぶら下げ、これを一対の枠部材22,23に掛け渡すようにしてもよい。
例えば図6(a)に示すように、カバー部材26に代わる円形筒状のカバー部材31の内周部にねじ部31aを設け、このねじ部31aをアンカー12のねじ部12aにねじ込ませることにより、アンカー12の出代となる部分をカバー部材31で覆うようにしてもよい。なお、このとき、カバー部材31は、アンカー挿通孔24b内には挿通せず、プレート部材24の下側に固定する。即ち、アンカー12をプレート部材24の下方からアンカー挿通孔24b内に挿通し、その後、ナット27を取り付け、押え板28によって押さえ付ける。そして、ぶら下げられたアンカー12の下端部からカバー部材31をねじ込み、プレート部材24の下面に密着させて固定し、これにより、アンカー12の傾倒およびコンクリートの付着を防止する。
また、本実施形態は、カバー部材26,31,32を取り付けない場合も含むものであり、この場合、従来と同様に、アンカー12の出代となる部分にテープなどを巻き付けるようにしてもよい。
Claims (3)
- 鉄筋を設置し、
前記鉄筋の両側部に一対の枠部材を設置し、
アンカー挿通孔を有するプレート部材を、前記一対の枠部材に掛け渡し、
アンカーを前記プレート部材の前記アンカー挿通孔に下方から挿通し、
前記アンカーの上端部に前記アンカー挿通孔よりも大きいナットを取り付けることによって当該アンカーを前記プレート部材にぶら下げ、
前記アンカーの上端面を押え板によって上方から押さえ、
前記一対の枠部材の間にコンクリートを打設することにより、内部に前記鉄筋を有する地覆コンクリートに前記アンカーを設置することを特徴とするアンカーの施工方法。 - 前記プレート部材を、前記一対の枠部材の間に打設されるコンクリートの上端面よりも上方に掛け渡すことを特徴とする請求項1に記載のアンカーの施工方法。
- 前記アンカーのうち前記プレート部材と前記一対の枠部材の間に打設されるコンクリートの上端面との間に位置する部分にカバー部材を取り付けることを特徴とする請求項2に記載のアンカーの施工方法。
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