JP5748173B2 - 多孔質発熱体、多孔質発熱素子及びガス分解素子 - Google Patents

多孔質発熱体、多孔質発熱素子及びガス分解素子 Download PDF

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本願発明は、多孔質発熱体、多孔質発熱素子及びガス分解素子に関する。詳しくは、ガスを流動させて加熱分解するガス分解装置等に好適な多孔質発熱体、多孔質発熱素子及びガス分解素子に関する。
たとえば、アンモニアは農業や工業に不可欠の化合物であるがヒトには有害であるため、水中や大気中のアンモニアを分解する種々の方法が知られている。高濃度のアンモニアを含む水からアンモニアを分解除去するために、アンモニア水を噴霧するとともに空気流と接触させて空気中にアンモニアを分離し、次亜臭素酸溶液又は硫酸と接触させる方法が提案されている(特許文献1)。また、上記方法と同じプロセスで空気中にアンモニアを分離して触媒により燃焼させる方法(特許文献2)や、アンモニア含有排水を、触媒を用いて、窒素と水に分解する方法が提案されている(特許文献3)。さらに、半導体製造装置の廃ガスには、アンモニア、水素等が含まれることが多く、アンモニアの異臭を完全に除去するには、ppmオーダーにまで除去する必要がある。この目的のために、半導体装置の廃ガス放出の際にスクラバーを通して、薬品を含む水に有害ガスを吸収させる方法が多く用いられてきた。一方、エネルギや薬品等の投入なしに安価なランニングコストで有害ガスを分解するために、リン酸燃料電池でアンモニアを分解する、半導体製造装置等における廃ガス処理の方法も提案されている(特許文献4)。
特開平7−31966号公報 特開平7−116650号公報 特開平11−347535号公報 特開2003−45472号公報 特許第3238086号公報
特許文献1に記載されているような中和剤等の薬液を用いる方法、特許文献2に記載されているような燃焼させる方法、特許文献3に記載されているような触媒を用いた熱分解反応による方法により、アンモニアを分解することはできる。ところが、これらの方法では、薬品や外部エネルギ(燃料)を必要とし、さらには、触媒を定期的に交換する必要があり、ランニングコストが大きくなるという問題がある。
また、装置が大掛かりとなり、既存の設備に付加的に設ける場合には、スペースを確保するのが困難である。また、リン酸型燃料電池を、化合物半導体製造の排気中のアンモニアの除去に用いる装置についても、電解質が液体であるため、空気側とアンモニア側との仕切りをコンパクトにできず、装置の小型化が難しいという問題があった。
上記問題を解決するため、特許文献5に記載されているように、筒状の固体電解質層と、この固体電解質層を内外から挟むようにして積層形成された第1の電極層及び第2の電極層とを備えて構成される筒状MEA(Membrane Electrode Assembly)を採用することができる。上記筒状MEAの内側空間を、分解されるガスを含む気体が、軸方向に流動させられる。
上記ガスを分解するには、ガスを含む気体の温度をできるだけ高めて、上記筒状MEAの第1の電極層(燃料極)に作用させるのが好ましい。高いガス分解性能を得るためには、筒状MEAを高温に、たとえば、800℃以上に保持する必要がある。このため、加熱容器内に上記筒状MEAを収容し、上記筒状MEAの全体を加熱するように構成されている。
ところが、筒状MEAの内側電極の表面積が限られているため、大量のガスを処理するのは困難であり、ガスの流量を増加させると、ガス分解効率が低下する。しかも、上記ガスの流量を増加させると、上記筒状MEA内でガスの温度が低下して、分解効率がさらに低下するという問題も生じる。
また、流量を増加させると、ガスが上記筒状MEA内で滞在する時間が減少する。このため、上記ガスを充分に加熱してから上記筒状MEAに作用させることができないという問題も生じる。
本願発明は、ガスを効率よく加熱することができるとともに、熱分解させることができ、さらに、単独であるいは他のガス分解装置と組み合わせて用いることができる多孔質発熱体、多孔質発熱素子及びガス分解素子を提供することを課題とする。
本願発明は、連続気孔を有する金属多孔質体からなる多孔質発熱体であって、上記多孔質発熱体は、外殻と、中空又は/及び導電性材料からなる芯部とを有する骨格を備え、上記骨格が一体的に連続する3次元網目構造を構成しているとともに、上記外殻は、Ni−W合金から形成された表面層と、他の金属材料から形成された内層とを備え、上記表面層と上記内層との間に、拡散防止性及び/又は電気絶縁性を有するバリア層が設けられて構成されるものである。
連続気孔を有する多孔質発熱体内でガスを流動させて加熱することにより、ガスを効率よく加熱することができる。しかも、本願発明に係る多孔質発熱体では、少なくとも表面にNi−W合金層を設けている。上記Ni−W合金は、高い耐熱性を備える発熱体であるとともに、耐酸性、耐ハロゲンアタック性、耐高温凝着性、耐摩耗性を備える。このため、連続気孔を有する金属多孔質体の表面に上記Ni−W合金層を設け、この金属多孔質体内でガスを流動させることにより、様々なガスを加熱することが可能となる。
しかも、上記多孔質発熱体を、ガス分解装置に適用した場合、上記Ni−W合金層が触媒として機能する。このため、流動するガスを効率よく分解することが可能となる。
上記Ni−W合金層は、少なくとも上記多孔質体の表面に形成されていればよい。また他の多孔質発熱体や金属多孔質体の表面に上記Ni−W合金層を設けることもできる。
さらに、上記Ni−W合金は、耐熱性が高いのみならず、流動するガスとの反応性も低い。このため、他の材料から形成された多孔質発熱体の表面に上記Ni−W合金層を設けることにより、上記多孔質発熱体の耐熱性を高めるとともに、保護層として機能させることもできる。また、ガス分解装置に適用する場合には、Ni−W合金層自体が発熱しなくとも、表面において触媒機能を発揮させることができる。
上記Ni−W合金層は、目的に応じて種々の配合のものを採用することができる。たとえば、請求項6に記載した発明のように、Niを60%〜95%と、Wを5%〜40%を含む合金から形成することができる。
記多孔質発熱体として、上記Ni−W合金層を含む発熱材料からなる外殻と、中空又は/及び導電性材料からなる芯部とを有する骨格を備え、上記骨格が、一体的に連続する3次元網目構造を構成したものを採用できる。
本願発明に係る多孔質発熱体は、連続気孔を有する多孔質状に形成されているため、上記気孔内でガスを流動させて、効率よく加熱することができる。
しかも、上記多孔質発熱体は、骨格が3次元網目構造に形成されているため、気孔率をきわめて大きく設定することができる。これにより、気孔内におけるガスの流動抵抗が小さくなり、大量のガスを流動させて加熱することが可能となる。また、上記骨格は、一体的に連続するように形成されている。このため、繊維状の発熱体を充填して構成される多孔質発熱体のように、隣接する各繊維間の接触抵抗が生じることがなく、多孔質発熱体内各部における電気抵抗が大きく変化することはない。したがって、多孔質発熱体内の電流の流れに偏在が生じることが少なく、多孔質発熱体の全体を均一に加熱することが可能となる。
記外殻、上記Ni−W合金から形成された表面層と、他の金属材料から形成された内層とを備えて構成され。上記Ni−W合金を他の金属発熱材料から形成された内層の表面層として設けることにより、上記内層を構成する金属発熱材料の耐熱性等を改善することができる。また、ガス分解素子に適用した場合には、多孔質体の表面において触媒機能を発揮させて、ガスを効率よく分解することが可能となる。上記内層を構成する金属材料は、特に限定されることはなく、Ni単体、Ni−Sn、Ni−Cr−Fe、Ni−Cu、Ni−Ru、Ni−Co、Ni−Fe等の材料を採用できる。
上記他の金属材料から構成された骨格の表面に、上記Ni−W合金層を形成する場合、上記Wが上記内層に拡散して、表面のWの濃度が低下する恐れがある。また、Ni−W合金層を発熱体として機能させる場合、電流が内層に流れて、Ni−W合金層を効率よく発熱させることができない恐れがある。上記不都合を回避するため上記表面層と上記内層との間に、拡散防止性及び/又は電気絶縁性を有するバリア層を設けるのが好ましい。
上記Wの拡散を防止し、あるいは電気絶縁性を確保できれば、上記バリア層を構成する材料は特に限定されることはない。たとえば、上記Ni−W合金層が設けられる骨格の表面に、アルミコーティング層を設け、このアルミコーティング層を陽極酸化させることにより、酸化アルミニウムからなる拡散防止性及び電気絶縁性を有するバリア層を設けることができる。これにより、上記Wが上記内層に拡散するのを防止できるとともに、発熱体としてのNi−W合金層を効率よく発熱させることができる。
願発明に係る多孔質体における上記3次元網目構造として、上記骨格を構成する複数の枝部が結節部に集合して一体的に連続しているとともに、一の結節部に集合する上記各枝部の外殻の厚みがほぼ一定であるものを採用するのが好ましい。
上記結節部では各骨格(枝部)からの電流が集中するため、一の結節部に集合する各枝部の電気抵抗が異なると、結節部周りの一部の枝部に過大な電流が流れて温度が上昇し、骨格が溶断したり劣化する恐れがある。一の結節部に集合する枝部の外殻の厚みをほぼ一定に設定することにより、一の結節部に集合する各骨格の電気抵抗に大きな差異が生じることがなくなり、一の結節部に集合する一部の骨格に過大な電流が流れることもなくなる。これにより、骨格の溶断や劣化を防止することが可能となる。
多孔質発熱体の一の結節部に集合する枝部の外殻の厚みがほぼ一定であればよく、発熱体全体の外殻の厚みが一定であることまで要求されるものではない。たとえば、製造方法等によっては、外殻の厚みが、発熱体の表層部と内部で異なることが考えられる。この場合、表層部の結節部に集合する各枝部の外殻厚みと、内部の結節部に集合する枝部の外殻厚みが異なることになる。しかし、各結節部に集合する骨格の厚みがほぼ一定であれば、一部の枝部に過大な電流が流れることはなく、結節部近傍の骨格が溶断するのを防止することができる。また、結節部周りの骨格が均等な強度を備えるため、強度も確保することができる。
上記骨格を形成する手法は特に限定されることはない。たとえば上記骨格を、3次元網目状樹脂の表面に、発熱体を構成できるめっき層又は金属コーティング層を設けるとともに、上記樹脂を消失させることにより形成することができる。
上記骨格を金属めっき層又は金属コーティング層から形成することにより、骨格(外殻)の厚みを非常に薄くかつ均一に設定することが可能となる。これにより、大きな気孔率を備える多孔質発熱体を形成することが可能となる。
上記芯部は、製造方法に応じて、中空又は/及び導電性材料を含んで構成される。たとえば、上述したように、上記骨格を、3次元網目状樹脂の表面にめっき層を設けるとともに、上記樹脂を消失させることにより形成する場合、上記樹脂が消失した部分が中空状となる。また、上記めっき層を設けるために上記3次元網目状樹脂の表面に導電性材料をコーティング等して導電化処理を施した場合には、上記導電性材料からなる表面導電化層が中空芯部の内周面に残存する場合がある。さらに、めっき処理の後に熱処理等を施した場合は、外殻が収縮して、中空部分が消失する場合もある。なお、上記芯部の構造は、発熱体の全体において均一である必要はなく、部分によって異なっていてもよい。たとえば、芯部を構成する導電性材料が後の熱処理によって溶解して、発熱体内で偏在したり、一部の中空部が消失した状態であってもよい。なお、上記表面導電化層は、多孔質発熱体の所要の発熱性能を阻害しないように厚み等が設定される。
また、上記骨格(外殻)をめっき層やコーティング層から形成すると、一の結節部に集合する骨格の外殻の厚みをほぼ一定に形成することが可能となる。これにより、一の結節部周りの外殻の電気抵抗に大きな差異が生じることがなくなり、多孔質発熱体の全域を均一に加熱することができる。
熱体を構成する上記内層を、Niを50〜95%と、Crを5〜50%とを含む合金から形成することができる。
上記範囲の配合量に設定することにより、上記多孔質発熱体を効率よく発熱させることができる。なお、上記NiとCrの配合比を保持した状態で他の成分が配合されてもよい。
内層をコーティング層から形成する場合、発熱体を構成するNiとCrを含む材料を3次元網目状樹脂の表面に直接コーティングして焼成し、多孔質発熱体を形成することができる。一方、Ni−Cr合金のめっき層を直接形成するのは困難である。このため、Niを主成分とする金属多孔質体に、Crを拡散させることにより合金化して上記発熱体として機能する内層を形成することができる。
たとえば、Niから多孔質体を形成し、この多孔質体を構成するNiの表面から、Crを拡散させて発熱体として機能するNi−Cr合金からなる多孔質発熱体を形成し、その後に、Ni−W合金をめっきすることができる。
Niは、めっき処理しやすいため、上記骨格を容易に形成することができる。また、骨格の厚みや気孔率の異なる種々の金属多孔質体を容易に構成できる。そして、このNi多孔質体をCr合金化することによって、所要の電熱特性を備える種々の発熱体を構成できる。
上記Ni多孔質体を、Cr合金化する手法は特に限定されることはない。たとえば、上記Ni多孔質体を、Cr源粉末の加熱により発生させた拡散浸透成分ガスと還元性希釈ガスとの混合ガス中で熱処理することにより、Ni多孔質体をNi−Cr合金とすることができる。
また、Niによって形成された第1の外殻に、Crで形成された第2の外殻を積層形成し、所定の熱処理を行うことにより、上記第1の外殻と上記第2の外殻とを互いに拡散させて合金化し、上記多孔質発熱体とすることができる。
上記Ni−W合金層を形成する手法も特に限定されることはない。Ni−W合金は、単独では水溶液中から析出しないが、Niや鉄系金属を共存させると、誘起共析させることができる。また、めっき条件等を調節することにより、硬質なNi−W合金めっき層を形成することができる。上記Ni−W合金めっき層の厚みは、1μm〜10μmに設定するのが好ましい。
上記多孔質発熱体を発熱させるには、多孔質体内に通電する必要がある。一方、気孔率が高いと、配線を充分な接続面積を介して接続するのは困難である。また、配線の接続強度を確保するのも困難である。通電するための配線と多孔質発熱体との間の接続面積が小さいと、配線近傍における電流値が局所的に大きくなってその部分の発熱量が大きくなり、多孔質発熱体や配線を傷める可能性がある。
上記不都合を回避するため、上記多孔質発熱体を用いて発熱部を形成し、上記発熱部に、所定の面積で接続されるとともに電流を導入するリード部を設けることにより、多孔質発熱素子を構成するのが好ましい。
多孔質発熱体に充分な接続面積を介して接続されるリード部を設けることにより、多孔質発熱体の全体に通電して発熱させることが可能となる。また、上記リード部に配線を接続するだけで、多孔質発熱体に効率よく通電することができるため、取扱性も向上する。上記リード部の形態や上記接続面積は、多孔質発熱体の形態や寸法等に応じて設定することができる。たとえば、導電性を有する所定面積の金属製導電板を上記多孔質発熱体の所定面積にわたって圧接あるいは溶接して、上記リード部を設けることができる。
また上記リード部を、上記多孔質発熱体に接続される導電性の金属多孔質体を備えて構成することができる。たとえば、上記多孔質発熱体と同様の気孔率を備える金属多孔質体を、上記多孔質発熱体の所定面積にわたって接続するとともに、この金属多孔質体に対して配線を接続することにより、上記多孔質発熱体内に電流を円滑に供給することができる。上記金属多孔質体は、多孔質発熱体の所定の面積にわたって所定圧力で接触させ、あるいは溶接することにより、上記多孔質発熱体に接続することができる。
上記リード部を構成する金属多孔質体は、通電しても発熱しない導電性材料から形成するのが好ましい。たとえば、Ni、銅等の電気抵抗の小さい金属多孔質体から上記リード部を形成することができる。さらに、上記金属多孔質体から上記リード部を形成すると、上記リード部における冷却効果を期待できる。これにより、多孔質発熱体から配線等に伝導される熱量を減少させることが可能となり、配線等に作用する温度を低下させることができる。また、上記リード部に配線等を容易に接続することも可能となり、多孔質発熱素子の取扱性も向上する。
上記多孔質発熱体の所定領域に、導電性材料によって形成されためっき層又はコーティング層を設けることにより、上記リード部を形成することができる。この構成を採用することにより、所要の領域に多孔質のリード部を設けることができる。上記めっき層又はコーティング層は、種々の導電性材料から形成することができる。また、形成方法も特に限定されることはなく、種々のめっき法やコーティング法を採用できる。
上記多孔質発熱体を備えて多孔質発熱素子を形成することができる。上記多孔質発熱素子は、導電性の金属多孔質体のリード部を除く所定領域を合金化して形成された発熱体を有する発熱部と、上記発熱部の表面に積層形成されたNi−W合金層とを備えて構成されたものである。この構成により、多孔質発熱体に一体的に連続するリード部を設けることができる。
たとえば、Niを用いて多孔質発熱体とリード部を構成する共通の骨格を、多孔質樹脂の表面にめっき層として形成する。次に、リード部を構成する部分にマスキングを施して、発熱部に対応する部分にのみCrのめっき層を形成する。次に、多孔質樹脂を消失させて、熱処理を行うことにより、上記Ni骨格の一部をCr合金化して上記リード部を一体的に形成する。その後、上記発熱部に上記Ni−W合金層が設けられる。
上記構成を採用することにより、多孔質体を構成する同一の骨格が連続しているとともに、所要の部分を発熱させることのできる多孔質発熱素子を形成することができる。また、発熱部に効率よく通電することができるとともに、リード部に放熱性があるため、配線等に作用する温度を低下させることも可能となる。しかも、リード部に発熱部と同一の通気性を持たせることが可能となり、ガス分解素子等に好適なガス分解素子を構成できる。
上記多孔質発熱素子を用いてガス分解素子を構成できる。
本願発明に係るガス分解素子は、自体で発熱する多孔質発熱体内に、分解に供せられるガスが流動するように構成されているため、ガスを効率よく加熱して分解することが可能となる。本願発明に係るガス分解素子は、単独で、あるいは他のガス分解素子と組み合わせてガス分解装置を構成することができる。たとえば、筒状MEAを備えるガス分解素子と組み合わせて、効率のよいガス分解装置を構成できる。
上記多孔質発熱体は、連続気孔を有する樹脂多孔質基材に導電処理を施す工程と、上記導電処理を施した上記樹脂多孔質基材の表面に、導電性を有する第1の金属層を設ける第1の被覆工程と、上記第1の金属層と合金化させられて発熱体を構成する第2の金属層を上記第1の金属層の所定領域に積層して設ける第2の被覆工程と、上記樹脂多孔質基材を消失させる基材消失工程と、上記第1の金属層と上記第2の金属層とを合金化する合金化工程と、少なくとも上記合金化された領域に、Ni−W合金層を設ける第3の被覆工程とを含んで製造することができる。
さらに、本願発明に係る製造方法では、上記合金化工程において合金化される被覆層と、上記Ni−W合金層との間に、上記Ni−W合金が上記発熱体へ拡散するのを阻止するバリア層を設けるバリア層形成工程が含まれる。上記バリア層形成工程は、上記第2の被覆工程後に行うこともできるし、上記合金化工程後に行うこともできる。
均一に加熱された多孔質発熱体内で、大量のガスを流動させることにより、効率よく加熱して分解することができる。
本願発明に係る多孔質発熱体の外観構造を示す電子顕微鏡写真である。 本願発明に係る多孔質発熱体の結節部近傍の断面構造を模式的に示す図である。 図2におけるIII−III線に沿う断面図である。 第2の実施形態に係る多孔質発熱体の結節部近傍の断面構造を模式的に示す図である。 図4におけるV−V線に沿う断面図である。 多孔質発熱体にリード部を設けて構成される第3の実施形態に係る多孔質発熱素子の概略断面図である。 多孔質発熱体にリード部を設けて構成される第4の実施形態に係る多孔質発熱素子の概略断面図である。 多孔質発熱体にリード部を設けて構成される第5の実施形態に係る多孔質発熱素子の概略断面図である。 図8に示す多孔質発熱素子の製造工程を示す図である。 図8に示す多孔質発熱素子の製造工程を示す図である。 図8に示す多孔質発熱素子の製造工程を示す図である。 図8に示す多孔質発熱素子の製造工程を示す図である。 図8に示す多孔質発熱素子の製造工程を示す図である。 図8に示す多孔質発熱素子の製造工程を示す図である。 図8に示す多孔質発熱素子の製造工程を示す図である。 図8に示す多孔質発熱素子の製造工程を示す図である。
以下、本願発明の実施形態を図に基づいて具体的に説明する。
図1は、本願発明に係る多孔質発熱体1の外観構造を示す電子顕微鏡写真である。多孔質発熱体1は、連続気孔1bを有する3次元網目構造を備える。図2に示すように、上記3次元網目構造は、三角柱状の骨格10が3次元に連続して連なった形態を備え、上記骨格を構成する複数の枝部12が結節部11に集合して一体的に連続する形態を備える。また、骨格10の各部は、図3に示すように、外殻10aと、中空状の芯部10bとを備えて構成される。なお、後に説明するように、図2及び図3に示す実施形態における上記外殻10aは、発熱材料から形成されためっき層12aと表面導電化層12bとが、一体的に合金化されて発熱体として機能するように構成されている。
上記多孔質発熱体1は、連続気孔1bを有する多孔質状に形成されているため、上記気孔1b内でガスを流動させて、効率よく加熱することができる。しかも、上記多孔質発熱体1は、3次元網目構造を採用することによって、気孔率をきわめて大きく設定することができる。このため、気孔内におけるガスの流動抵抗が低く、大量のガスを流動させて加熱することも可能となる。
また、図2に示すように、上記3次元網目構造における一の結節部11に集合する上記枝部12の外殻10aの厚みtがほぼ一定に形成されている。一の結節部に集合する枝部(骨格)の外殻の厚みtがほぼ一定であるため、一の結節部に集合する各枝部12の電気抵抗に大きな差異が生じることがなくなる。したがって、一の結節部に集合する一部の枝部に過大な電流が流れることもなくなる。これにより、骨格の溶断や劣化を防止することが可能となる。
なお、多孔質発熱体1の一の結節部11に集合する枝部12(骨格)の外殻10aの厚みがほぼ一定であればよく、発熱体全体の外殻の厚みが一定であることまで要求されるものではない。たとえば、製造方法等によっては、外殻の厚みが、発熱体の表層部と内部で異なることが考えられる。この場合、表層部の結節部に集合する骨格の外殻厚みと、内部の結節部に集合する骨格の外殻厚みが異なることになる。しかし、一の結節部に集合する枝部の外殻の厚みがほぼ一定であれば、少なくとも各結節部周りの一部の枝部に過大な電流が流れることはなく、結節部近傍の骨格が溶断したり劣化するのを防止することができる。
本実施形態に係る上記多孔質発熱体1は、Ni(ニッケル)とW(タングステン)とを含む合金(以下、Ni−W合金という)から形成されている。上記NiとWの配合量は、所要の発熱量に応じて設定することができる。たとえば、上記多孔質発熱体1の上記外殻10aを、少なくともWを5%以上含むように構成するのが好ましい。具体的には、Niを60〜95%と、Wを5〜40%とを含む合金から形成することができる。
上記多孔質発熱体1は、種々の手法を用いて形成することができる。たとえば、多孔質発熱体を構成するNi−W合金材料を3次元網目状樹脂の表面に直接コーティングして焼成し、多孔質発熱体を形成することができる。また、上記骨格をめっきによって形成する場合、3次元網目状樹脂に導電化処理を施して表面導電化層を形成する工程と、上記表面導電化層に、上記Ni−W合金のめっきを施す工程と、3次元網目状樹脂を除去する工程とを含んで構成することができる。
上記3次元網目状樹脂の形態として、樹脂発泡体、不織布、フェルト、織布等を用いることができる。上記3次元網目状樹脂を構成する素材は特に限定されることはないが、金属めっき等した後、加熱等によって消失させることができるものを採用するのが好ましい。また、加工性やハンドリング性を確保するため、柔軟性を有するものを採用するのが好ましい。特に、3次元網目状樹脂として樹脂発泡体を採用するのが好ましい。樹脂発泡体は、連続気孔を有する多孔質状であればよく、既知のものを採用できる。たとえば、発泡ウレタン樹脂、発泡スチレン樹脂等を採用することができる。発泡樹脂の気孔の形態や気孔率、寸法等は特に限定されることはなく、用途に応じて適宜設定することができる。
めっき処理によって多孔質発熱体を形成する場合において、上記表面導電化層12bは、3次元網目状樹脂の各気孔の表面に金属めっき層を形成するために設けられる。図2における表面導電化層12bを設けることができれば、形成手法は特に限定されることはない。たとえば、ニッケルを用いる場合には、無電解めっき処理、スパッタリング処理等を採用することができる。また、チタン、ステンレス等の金属やカーボンブラック、黒鉛等を採用する場合には、これらの微粉末にバインダを添加した混合物を、上記3次元網目状樹脂に含浸塗着する処理を採用することもできる。
上記Ni−W合金層をめっきによって形成する手法も特に限定されることはなく、水溶液系めっき法等の公知のめっき法によって処理をすることができる。なお、W(タングステン)は、単独では水溶液中から析出しないが、Ni等の鉄属金属を共存させると、Niとともに誘起共析させることができる。また、めっき条件等を調節することにより、硬質なNi−W合金めっき層を形成することができる。
上記Ni−W合金めっき層の厚み(目付量)も特に限定されることはない。所要の気孔率や、強度を勘案して設定することができる。たとえば、100g/m2〜2000g/m2の目付量を採用することができる。なお、上記表面導電化層12bをNiで形成した場合、上記Wが表面導電化層に拡散して外殻表面のWの配合比率が低下し、触媒性能等が低下する恐れがある。このため、上記表面導電化層12bと上記Ni−W合金めっき層とが合金化した後に、Wの配合比率が5%以上となるように、上記表面導電化層12bの厚みと、上記Ni−W合金めっき層12aの厚み及びWの配合比率を設定するのが好ましい。
上記Ni−W合金めっき層を形成した後、上記3次元網目状樹脂を除去する工程が行われる。上記3次元網目状樹脂を除去する工程は、たとえば、ステンレスマッフル内で大気等の酸化性雰囲気において、上記めっき層を設けた多孔質体を、600℃〜800℃で熱処理することにより、上記3次元網目状樹脂を焼却除去することができる。
図2及び図3に示すように、本実施形態に係る上記芯部は、中空状に形成されるが、これに限定されることはない。すなわち、上述した実施形態では、Niから形成された表面導電化層12bとこの上に積層形成されたNi−W合金層とが、互いに拡散して一体化されたが、上記表面導電化層12bを別の導電性材料から形成する場合、芯部として残存する場合もある。たとえば、上記表面導電化層をチタンやカーボン等から形成するとともに、Ni−W合金メッキによって外殻を形成した場合、上記表面導電化層12bが合金化されずに芯部として残存することになる。また、熱処理工程において、外殻が収縮して、中空の芯部が消失する場合もある。なお、上記表面導電化層12bは、多孔質発熱体の所要の発熱性能を阻害しないように厚み等が設定される。
図4及び図5に、本願発明の第2の実施形態を示す。この実施形態に係る多孔質発熱体101は、他の発熱材料で外殻110aを形成し、この外殻110aの表面に、Ni−W合金からなる表面層113を設けたものである。なお、3次元網目状樹脂の構成、表面導電化層112bの構成及び形成手法は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
第2の実施形態では、Niで形成された表面導電化層112bに、Ni(ニッケル)とCr(クロム)とを含む合金層(以下、Ni−Cr合金層という)を積層形成する。高い発熱性能を得るため、Cr成分の配合量が多いNi合金から上記多孔質発熱体を形成するのが好ましい。上記Ni−Cr合金層の形成手法は特に限定されることはない。たとえば、Ni−Cr合金材料を3次元網目状樹脂の表面に直接コーティングして焼成し、上記Ni−Cr合金層を形成することができる。また、めっき手法によって、上記Ni−Cr合金層を形成することもできる。
めっき手法によってNi−Cr合金層を直接形成するのは困難である。このため、たとえば、Niめっき層とCrめっき層とを別々に形成し、その後に合金化する手法を採用することができる。すなわち、3次元網目状樹脂に、まずNiめっき層を形成し、その上に、Crめっき層を積層形成する。その後、3次元網目状樹脂を除去し、さらに、所定の温度で熱処理することにより、上記Crめっき層とNiめっき層とを互いに拡散させ、合金化させることにより、Ni−Cr合金層とすることができる。
上記各めっき層の厚みも特に限定されることはない。たとえば、上記Niめっき層を、100g/m2〜2000g/m2の目付量で形成することができる。また、上記Crめっき層の厚み(目付量)も特に限定されることはなく、たとえば、10g/m2〜1000g/m2の範囲で設定することができる。
上記Crめっき層とNiめっき層とが積層形成された多孔質体を、ステンレスマッフル内でCOやH2等の還元性ガス雰囲気のもとで800℃〜1000℃で熱処理することにより、上記Crめっき層とNiめっき層とを互いに拡散させてNi−Cr合金層を形成することができる。また、N2やAr等の不活性ガス雰囲気では、カーボンマッフル内で1000℃〜1500℃に加熱して上記Crめっき層とNiめっき層とから合金層を形成することもできる。Niによって、表面導電化層112bを設けた場合には、表面導電化層112bも上記合金化工程においてNi−Cr合金化されて全体が発熱体となる。上記Ni−W合金めっき層の厚みは、1μm〜10μmに設定するのが好ましい。
上記工程を採用することにより、外殻のクロム濃度のばらつきが少なく、発熱特性の高い多孔質発熱体を形成することができる。また、めっき層によって外殻が構成されるため、外殻の厚み(断面積)を多孔質体内でほぼ均一に設定することが可能となる。このため、多孔質体内における電気抵抗のばらつきが少なくなり、通電することにより、多孔質体の全体を均一に加熱することができる。
本実施形態では、上記外殻110aの表面に、Ni−W合金からなる表面層113が形成される。上記表面層113として、Ni−W合金層を直接設けることもできるが、ガス分解装置等の高温で作動する機器に適用した場合、上記Ni−W合金のW成分が、上記Ni−Cr合金に拡散して、表面層のW濃度が低下する。このため、触媒機能等が低下する恐れがある。
上記不都合を回避するため、本実施形態に係る表面層113を、上記Ni−Cr合金の表面に
形成されたバリア層113bとNi−W合金層113aとを備えて構成している。
上記バリア層113bを構成する材料及び形成手法は特に限定されることはない。たとえば、上記外殻110aの表面にアルミニウムをコーティングした後、これを陽極酸化することによって酸化アルミニウム層を形成し、これをバリア層113bとすることができる。上記Wの拡散防止効果があれば、上記バリア層113bの厚みも特に限定されることはない。たとえば、0.1μm〜0.5μmのバリア層113bを形成することができる。上記バリア層113bを形成した後、Ni−W合金からなる表面層113aを、上述した無電解めっき等によって形成することができる。なお、上記バリア層は、所要の拡散防止性及び/又は電気絶縁性を備えておればよく、例えば、Rh、Pt、Ru、Pd等の白金族を用いて、拡散防止性を有するバリア層を形成することもできる。
上記Ni−W合金は、耐熱性が高いのみならず、流動するガス等との反応性も低い。このため、Ni−Cr合金から形成された多孔質発熱体の表面に上記Ni−W合金層を設けることにより、上記多孔質発熱体の耐熱性を高めるとともに、上記外殻110aの保護層として機能させることができる。また、ガス分解装置に適用する場合には、Ni−W合金層113a自体が発熱しなくとも、表面において触媒機能を発揮させることができる。しかも、上記バリア層113bを設けることにより、表面層におけるWの濃度を確保して、長期にわたり触媒機能等を発揮させることができる。
本実施形態に係る多孔質発熱体1,101は、気孔率が非常に高いため、通電するための配線を接続するのが困難である。すなわち、多孔質発熱体1,101へ電流を導入する部分の接続面積が小さいと、この導入部近傍における電流値が局所的に大きくなって発熱量が大きくなり、配線等を傷める恐れがある。上記不都合を回避するために、多孔質発熱体1,101に広い面積で接続されるリード部を設けるのが好ましい。たとえば、導電性のある所定面積の金属板を多孔質発熱体に溶接等し、この金属板に配線を接続して通電することができる。
図6に示す第3の実施形態は、上述した手法により形成された多孔質発熱体301からなる発熱部302aに、リード部303,304を設けて、多孔質発熱素子302を構成したものである。上記発熱部302aは、所定の断面積を有する長尺状の多孔質発熱体301から形成されている。上記リード部303,304は、一端部が上記発熱部302aの端面に接続される金属多孔質体303a,304aと、この金属多孔質体303a,304aの他端部に接続された電極板303b,304bとを備えて構成される。上記電極板303b,304bに配線305を接続することにより、上記リード部303,304を介して上記発熱部302aに通電される。
上記金属多孔質体303a,304aは、Ni,Cu等の電気抵抗が小さい材料から形成するのが好ましい。また、上記金属多孔質体303a,304aの形態も特に限定されることはない。たとえば、上記多孔質発熱体301と同じ手法によって形成される金属多孔質体から構成することもできるし、他の形態の金属多孔質体から構成することもできる。
上記発熱部302aと上記金属多孔質体303a,304aとの接続形態も特に限定されることはない。たとえば、所定の圧力を加えて圧接することができる。また、溶接により接続することもできる。接続面積は、多孔質発熱体301の密度や流れる電流値等に応じて設定することができる。
上記電極板303b,304bを構成する材料や接続方法も特に限定されることはない。たとえば、Ni板やCu板を、溶接により上記金属多孔質体303a,304aに接続することができる。
上記リード部303,304を設けることにより、多孔質発熱体301に対する電気的接続面積を確保することが可能となり、広い面積を介して上記多孔質発熱体301に通電することができる。このため、発熱部の局所に大きな電流が流れることがなくなり、発熱部302aを均一に加熱することができる。
上記金属多孔質体303a,304aは、電気抵抗を小さく設定することにより発熱しないように構成するのが好ましい。また、多孔質状であるため、発熱部302aから伝わる熱を放熱させることも期待できる。これにより、電極板303b,304bに高い温度が作用しないように設定することが可能となり、配線305を上記電極板303b.304bに容易に接続することができる。
図7に、第4の実施形態に係る多孔質発熱素子402を示す。
本実施形態では、上述したのと同様の手法によって形成された断面矩形状の多孔質発熱体401の両端部に、上記多孔質発熱体の多孔質構造を利用して、リード部403,404を設けたものである。すなわち、多孔質発熱体401の両端部の所定領域に、導電性金属をコーティングすることにより多孔質導電層420を設けることにより、第3の実施形態における金属多孔質体に相当する多孔質導電部403a,404aを形成し、上記リード部403,404としたものである。なお、電極板403b,404bの構成は、上記第3の実施形態と同様であるので説明は省略する。
上記多孔質導電部403a,404aは、多孔質発熱体401の連続気孔の表面を覆うように形成されるため、上記多孔質発熱体401に対して所要の接続面積を確保することができる。一方、上記多孔質導電部403a,404aは、導電性金属から形成されているため、電極板403b,404bとの接続抵抗も小さい。また、上記電極板403b,404bを溶接等によって容易に設けることもできる。このため、上記多孔質発熱体401に確実に電流を供給することができる。しかも、上記多孔質導電部403a,404aは、上記多孔質発熱体401と同様の多孔質構造を備えているため、ガスの流動を阻害することも少ない。
上記多孔質導電部403a,404aを構成するコーティング材料や厚みは特に限定されることはない。導電性の高いNi,Cu等を採用することができる。また、形成手法も特に限定されることはなく、Ni,Cu等の金属粉体を含むコーティング液に、多孔質発熱体の両端部を浸漬等した後に焼成して形成することができる。
図8に、第5の実施形態に係る多孔質発熱素子502を示す。
この実施形態に係る多孔質発熱素子502は、Ni−W合金で形成された発熱部502aと、リード部503,504を構成する金属多孔質体503a,504aとが一体形成されたものである。なお、両端部に設けた電極板503b,504bは、図6に示す実施形態と同様であるので説明は省略する。
上記構成を採用することにより、別途形成した金属多孔質体を、発熱部502aに接続する必要がなくなる。しかも、上記リード部503,504を構成する金属多孔質体503a,504aと発熱部502aとが、同じ骨格構造を備えて構成されているとともに一体的に連続している。このため、これら部材の接続抵抗が発生することがなく、発熱部502aに効率よく通電することができる。
上記構成の多孔質発熱素子502は、たとえば、図9〜図16に示す手法によって形成することができる。なお、図9〜図16は、上記多孔質発熱素子502を製造する手法を模式的に示したものである。まず、金属多孔質体503a,504aと多孔質発熱体501との共通の骨格を形成するため、図9に示す3次元網目状樹脂500を準備する。上記3次元網目状樹脂500は、上述した骨格を構成する中空の芯部に対応する部分510aと、連続気孔510bとを備えて構成されており、たとえば、ウレタン樹脂を所定の気孔率で発泡させることにより形成することができる。
図10に示すように、上記3次元網目状樹脂500に、上述した実施形態と同様に、表面を導電化処理して表面導電化層512bを形成する。上記表面導電化層512bは、上述したように、Niを種々の手法によってコーティングすることにより形成することができる。
次に、図11に示すように、上記金属多孔質体504aが形成される部分に、第1のマスキング層521を形成する。上記第1のマスキング層521は、次に説明するめっき処理のレジスト層として機能するように形成されるものであり、たとえば、エポキシ樹脂等によって形成することができる。
上記第1のマスキング層521を形成後、図12に示すように、Ni−W合金めっき層511を形成する。上記Ni−Wめっき層511は、100g/m2〜2000g/m2の目付量で形成することができる。上記リード部を形成する領域には、上記第1のマスキング層521を設けているため、Ni−W合金めっき層511は形成されない。
その後、図13に示すように、上記リード部形成領域(504a)におけるマスキング層521を除去する一方、上記発熱部を構成する領域(502a)に第2のマスキング層522を形成する。次いで、図14に示すように、Ni等の導電性金属をコーティングして、金属多孔質体504aを構成する導電層523を設ける。上記発熱部形成領域(502a)には、上記第2のマスキング層522が設けられているため、上記導電層523は形成されない。
上記発熱部502aと上記金属多孔質体504aとが積層形成された多孔質体を熱処理することにより、上記3次元網目状樹脂500及び上記第2のマスキング層522が除去されて、図15に示すように、同じ多孔質骨格構造を備える発熱部502aと上記金属多孔質体504aとを一体的に備える金属多孔質体520が形成される。
その後、上記構成を備える多孔質体を、ステンレスマッフル内でCOやH2等の還元性ガス雰囲気のもとで800℃〜1000℃で熱処理することにより、上記表面導電化層512bを、上記Ni−W合金めっき層511と上記導電層523に拡散させてそれぞれ一体化することができる。
なお、本実施形態では、発熱部502aを形成する領域とリード部を構成する領域とを一の線分によって区分して形成したが、実際には、これら領域が所定の範囲内で出入りするように形成される。
上記手法を採用することにより、発熱部502aとこの両側に金属多孔質体504aとを一体的に備える金属多孔質体520が形成される。上記金属多孔質体500の両側に電極板503b,504bを設けることにより、図8及び図16に示す多孔質発熱素子502が形成される。
本願発明の範囲は、上述の実施形態に限定されることはない。今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものでないと考えられるべきである。本願発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
ガス分解装置等において、ガスを効率よく加熱することができるとともに、熱分解させることができる。
1 多孔質発熱体
10 骨格
10a 外殻
1b 連続気孔
302 多孔質発熱素子
302a 発熱部
303 リード部
303a 金属多孔質体
303b 電極板
304a 金属多孔質体
304b 電極板
305 配線
11 結節部
12 枝部

Claims (13)

  1. 連続気孔を有する金属多孔質体からなる多孔質発熱体であって、
    上記多孔質発熱体は、外殻と、中空又は/及び導電性材料からなる芯部とを有する骨格を備え、上記骨格が一体的に連続する3次元網目構造を構成しているとともに、
    上記外殻は、Ni−W合金から形成された表面層と、他の金属材料から形成された内層とを備え、
    上記表面層と上記内層との間に、拡散防止性及び/又は電気絶縁性を有するバリア層が設けられている、多孔質発熱体。
  2. 上記表面層は、Niを60%〜95%と、Wを5%〜40%含む合金から形成されている、請求項1に記載の多孔質発熱体。
  3. 上記3次元網目構造は、上記骨格を構成する複数の枝部が結節部に集合して一体的に連続しているとともに、一の結節部に集合する上記各枝部の外殻の厚みがほぼ一定である、請求項1又は請求項2に記載の多孔質発熱体。
  4. 上記骨格は、3次元網目状樹脂の表面に、発熱体を構成できるめっき層又は金属コーティング層を設けるとともに、上記樹脂を消失させることにより形成されたものである、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の多孔質発熱体。
  5. 上記内層は、Niを50〜95%と、Crを5〜50%とを含む合金から形成されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の多孔質発熱体。
  6. 上記内層は、Niを主成分とする金属多孔質体に、Crを拡散させることにより合金化されたものである、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の多孔質発熱体。
  7. 上記内層は、Niによって形成された第1の外殻に、Crで形成された第2の外殻を積層形成した後、所定の熱処理を行うことにより、上記第1の外殻と上記第2の外殻とを互いに拡散させて合金化することにより形成されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の多孔質発熱体。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載した多孔質発熱体から形成される発熱部と、
    上記発熱部に、所定の面積で接続されるとともに電流を導入するリード部が設けられている、多孔質発熱素子。
  9. 上記リード部を、上記多孔質発熱体に接続される導電性の金属多孔質体を備えて構成した、請求項8に記載の多孔質発熱素子。
  10. 請求項1から請求項7に記載された多孔質発熱体の所定領域に、導電性材料によって形成されためっき層又はコーティング層を設けることにより、上記リード部が形成されている、請求項8又は請求項9のいずれかに記載の多孔質発熱素子。
  11. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載された多孔質発熱体を備える多孔質発熱素子であって、
    導電性の金属多孔質体のリード部を除く所定領域を合金化して形成された発熱体を有する発熱部と、
    上記発熱部の表面に積層形成されたNi−W合金層とを備える、多孔質発熱素子。
  12. 請求項8から請求項11のいずれかに記載した多孔質発熱素子を備える、ガス分解素子。
  13. 連続気孔を有する金属多孔質発熱体の製造方法であって、
    連続気孔を有する樹脂多孔質基材に導電処理を施す工程と、
    上記導電処理を施した上記樹脂多孔質基材の表面に、導電性を有する第1の金属層を設ける第1の被覆工程と、
    上記第1の金属層と合金化させられて発熱体を構成する第2の金属層を上記第1の金属層の所定領域に積層して設ける第2の被覆工程と、
    上記樹脂多孔質基材を消失させる基材消失工程と
    上記第1の金属層と上記第2の金属層とを合金化する合金化工程と、
    少なくとも上記合金化された領域に、Ni−W合金層を設ける第3の被覆工程と
    上記合金化工程において合金化された金属層と、上記Ni−W合金層との間に、上記Ni−W合金が上記発熱体へ拡散するのを阻止するバリア層を設けるバリア層形成工程を含む、多孔質発熱体の製造方法。
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