JP5716487B2 - 多孔質発熱素子、多孔質発熱素子の製造方法及びガス分解素子 - Google Patents

多孔質発熱素子、多孔質発熱素子の製造方法及びガス分解素子 Download PDF

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本願発明は、多孔質発熱素子、多孔質発熱素子の製造方法及びガス分解素子に関する。詳しくは、ガスを流動させて加熱分解するガス分解装置に好適な多孔質発熱素子等に関する。
たとえば、アンモニアは農業や工業に不可欠の化合物であるがヒトには有害であるため、水中や大気中のアンモニアを分解する種々の方法が知られている。高濃度のアンモニアを含む水からアンモニアを分解除去するために、アンモニア水を噴霧するとともに空気流と接触させて空気中にアンモニアを分離し、次亜臭素酸溶液又は硫酸と接触させる方法が提案されている(特許文献1)。また、上記方法と同じプロセスで空気中にアンモニアを分離して触媒により燃焼させる方法(特許文献2)や、アンモニア含有排水を、触媒を用いて、窒素と水に分解する方法が提案されている(特許文献3)。さらに、半導体製造装置の廃ガスには、アンモニア、水素等が含まれることが多く、アンモニアの異臭を完全に除去するには、ppmオーダーにまで除去する必要がある。この目的のために、半導体装置の廃ガス放出の際にスクラバーを通して、薬品を含む水に有害ガスを吸収させる方法が多く用いられてきた。一方、エネルギや薬品等の投入なしに安価なランニングコストで有害ガスを分解するために、リン酸燃料電池でアンモニアを分解する、半導体製造装置等における廃ガス処理の方法も提案されている(特許文献4)。
特開平7−31966号公報 特開平7−116650号公報 特開平11−347535号公報 特開2003−45472号公報 特許第3238086号公報
特許文献1に記載されているような中和剤等の薬液を用いる方法、特許文献2に記載されているような燃焼させる方法、特許文献3に記載されているような触媒を用いた熱分解反応による方法により、アンモニアを分解することはできる。ところが、これらの方法では、薬品や外部エネルギ(燃料)を必要とし、さらには、触媒を定期的に交換する必要があり、ランニングコストが大きくなるという問題がある。
また、装置が大掛かりとなり、既存の設備に付加的に設ける場合には、スペースを確保するのが困難である。また、リン酸型燃料電池を、化合物半導体製造の排気中のアンモニアの除去に用いる装置についても、電解質が液体であるため、空気側とアンモニア側との仕切りをコンパクトにできず、装置の小型化が難しいという問題があった。
上記問題を解決するため、特許文献5に記載されているように、筒状の固体電解質層と、この固体電解質層を内外から挟むようにして積層形成された第1の電極層及び第2の電極層とを備えて構成される筒状MEA(MembraneElectrodeAssembly)を採用することができる。上記筒状MEAの内側空間を、分解されるガスを含む気体が、軸方向に流動させられる。
上記ガスを分解するには、ガスを含む気体の温度をできるだけ高めて、上記筒状MEAの第1の電極層(燃料極)に作用させる必要がある。このため、筒状MEAの全体を高温に、たとえば、800℃以上に保持する必要があり、加熱容器内に上記筒状MEAを収容して上記筒状MEAの全体を加熱するように構成されている。
ところが、上記筒状MEAの外側から加熱する必要があるため、大きなエネルギが必要になる。また、筒状MEA内の加熱空間が小さいため、上記ガスの流量を増加させるとガスが上記筒状MEA内で滞在する時間が減少し、上記筒状MEA内でガスの温度が低下して、分解効率が低下するという問題が生じる。さらに、処理するガスの流量や加熱温度が一定とは限らない。
本願発明は、加熱によりガスを効率よく熱分解させることができるとともに、ガスの流量や加熱温度に応じて加熱出力を容易に調節することができ、さらに、単独であるいは他のガス分解装置と組み合わせて用いることができる多孔質発熱素子、多孔質発熱素子の製造方法及びガス分解素子を提供することを課題とする。
本願発明は、連続気孔を有する多孔質発熱体から構成される多孔質発熱部と、連続気孔を有する多孔質導電体から構成される多孔質導電部とを備え、上記多孔質発熱部及び上記多孔質導電部が、一体形成された共通の多孔質体から構成されているとともに、上記多孔質発熱部と上記多孔質導電部の少なくとも一方が、上記共通の多孔質体の所定領域を発熱体化又は導電体化することにより形成されている多孔質発熱素子に関するものである。
多孔質発熱部を発熱させるとともに内部に気体を流動させることにより、上記気体を効率よく加熱することができる。一方、上記多孔質発熱部は多孔質発熱体から形成されているため、給電を行う配線との接触面積を確保することが困難である。特に、ガス分解装置等においては、上記多孔質発熱体の温度が800℃以上にもなる。このため、上記多孔質発熱体に給電のための配線を直接接続すると、接続部近傍の多孔質体に過大な電流が流れて配線や多孔質体が溶断したり劣化したりする恐れが高まる。
本願発明では、上記不都合を回避するために、上記多孔質発熱部に給電する多孔質導電部が設けられている。上記多孔質導電部は、上記多孔質発熱部より抵抗率の小さい多孔質導電体、たとえば、Ni(ニッケル)、Cu(銅)等で形成することができる。上記多孔質導電体は、多孔質発熱部のように高い温度で発熱しないため、給電のための配線を容易に接続することができる。上記多孔質導電部の抵抗率は、多孔質発熱部の抵抗率の100分の1以下に設定するのが好ましい。また、上記構成を採用することにより、発熱素子の構造を簡略化及び小型化することが可能になるとともに、製造工程も簡略化できる。
しかも、本願発明では、上記多孔質発熱部と上記多孔質導電部とが、一体形成された共通の多孔質体から形成されている。したがって、上記多孔質発熱素子内の多孔質構造及び気孔率を一定にすることが可能となり、気体を流動させた際の流動抵抗を発熱素子内で均一にすることができる。このため、気体の流動を阻害することなく、しかも、流動する気体を均一に加熱することが可能となり、ガス分解装置等に適用した場合、気体を効率よく均一に加熱することが可能となる。
上記多孔質発熱部と上記多孔質導電部の少なくとも一方は、上記共通の多孔質体の所定領域を発熱体化又は導電体化することにより形成されている。上記発熱体化あるいは導電体化する部位及び領域の大きさや数は特に限定されることはない。本願発明では、シート状又は板状の多孔質発熱部の内側において、周囲を上記多孔質発熱体に囲まれるようにして上記多孔質体を厚み方向に貫通するように形成された柱状の多孔質導電部が設けられている。上記多孔質導電部は、上記多孔質発熱部内に2以上の発熱領域を構成するように所定距離離間した状態で複数設けられており、選択した上記多孔質導電部間に給電することにより、多孔質発熱素子の所定領域を発熱させるように構成されている。
上記構成を採用することにより、発熱素子内の所要の発熱部を発熱させることが可能となる。これにより、気体の流動量等に応じて発熱素子の出力を容易に調節することが可能になる。また、1の発熱部が溶断等によって発熱しなくなった場合にも、他の発熱部に給電することにより発熱素子の機能を維持することも可能となる。
また、発熱体化又は導電体化する手法も特に限定されることはない。たとえば上記共通の多孔質体として、上記多孔質導電部を構成できる多孔質導電体を採用し、この多孔質導電体の所定領域を合金化することにより、上記多孔質発熱部を形成することができる。
また絶縁性を有する多孔質体に、発熱性を有する領域と導電性を有する領域の双方を連続して形成することにより、上記多孔質発熱部と上記多孔質導電部とを形成することもできる。
多孔質発熱素子の形態も特に限定されることはない。たとえばシート状又は板状の多孔質発熱素子を採用するのが好ましい。シート状又は板状の多孔質体を採用することにより、所要の領域を容易に発熱体化あるいは導電体化することができる。
さらに2以上の多孔質発熱素子を組み合わせることにより、所要の形態及び大きさの多孔質発熱素子を構成することができる。この場合、対接する発熱部及び/又は上記導電部を電気的に接続することができる。この構成を採用することにより、種々の形態の多孔質発熱素子を形成することができる。また、一体的に形成するのが不可能な形態の多孔質発熱素子を構成することも可能となる。特に、シート状又は板状の多孔質発熱素子を複数積層することにより、所要の部位を発熱させることができる立体的な多孔質発熱素子を容易に構成することができる。なお、組み合わされる発熱素子の数及び形態は特に限定されることはなく、同一形態の多孔質発熱素子のみならず、異なる形態の多孔質発熱素子を組み合わせることができる。たとえば、気孔率や抵抗率の異なる発熱素子を組み合わせることも可能となる。
また、対接する発熱部及び/又は上記導電部を電気的に接続することにより、複数の多孔質発熱素子に形成された発熱部及び/又は導電部を一体化させて、一の発熱部あるいは導電部として機能させることも可能となる。発熱部及び/又は上記導電部を電気的に接続する手法は特に限定されることはない。たとえば、対接する部分を溶接により接続して導通させることができる。また、複数の多孔質発熱素子の導電部を貫通して導通させる接続部材を設けることもできる。
上記多孔質導電部に、給電を行う配線を直接接続することもできるが上記多孔質導電部に所要の面積で接続された電極部を設けるのが好ましい。たとえば、上記多孔質導電部の表面に所要の面積で接続される電極板を溶接等によって設けて、この電極板に対して配線を接続することができる。上記電極板の接続面積は、多孔質発熱部及び多孔質導電部の大きさや給電量により設定することができる。上記電極板を構成する材料も特に限定されることはなく、Cu板等を採用できる。また、複数の多孔質発熱素子を組み合わせて構成された多孔質発熱素子の場合、複数の導電部の表面に掛け渡し状に上記電極板を接合することができる。また、複数の多孔質発熱素子の導電部を貫通して接続される棒状の電極部を設けることもできる。
上記多孔質発熱体及び上記多孔質導電体を構成する材料及び形態は、特に限定されることはない。上記多孔質発熱体及び上記多孔質導電体を構成する多孔質体として、たとえば上記共通の多孔質体が、所定領域に発熱性又は導電性が付与された外殻と、中空又は/及び導電性材料からなる芯部とを有する骨格を備え、上記骨格が一体的に連続する3次元網目構造を構成しているものを採用することができる。
上記多孔質体は、骨格が3次元網目構造に形成されているため、気孔率をきわめて大きく設定することができる。これにより、気孔内におけるガスの流動抵抗が小さくなり、大量のガスを流動させて加熱することが可能となる。また、上記骨格は、一体的に連続するように形成されている。このため、繊維状の発熱体を充填して構成される多孔質発熱体のように、隣接する各繊維間の接触抵抗が生じることがなく、多孔質発熱体内各部における電気抵抗が大きく変化することはない。また、上記多孔質発熱体と上記多孔質導電体とが同一の形態で連続しているため、境界部分において気体の流動抵抗や電気抵抗が大きくなることもない。したがって、多孔質発熱素子内を流動する気体の流れが偏在することはない。また、多孔質体内を流れる電流に偏在が生じることもなく、多孔質発熱体の全体を均一に加熱することが可能となる。
また上記多孔質体における上記3次元網目構造は、上記骨格を構成する複数の枝部が結節部に集合して一体的に連続しているとともに、一の結節部に集合する上記各枝部の外殻の厚みがほぼ一定となるように構成するのが好ましい。上記結節部では各骨格(枝部)からの電流が集中するため、一の結節部に集合する各枝部の電気抵抗が異なると、結節部周りの一部の枝部に過大な電流が流れて温度が上昇し、骨格が溶断したり劣化する恐れがある。一の結節部に集合する枝部の外殻の厚みをほぼ一定に設定することにより、一の結節部に集合する各骨格の電気抵抗に大きな差異が生じることがなくなり、一の結節点に集合する一部の骨格に過大な電流が流れることもなくなる。これにより、多孔質発熱部における骨格の溶断や劣化を防止することが可能となる。
多孔質発熱体の一の結節部に集合する枝部の外殻の厚みがほぼ一定であればよく、発熱体全体の外殻の厚みが一定であることまで要求されるものではない。たとえば、製造方法等によっては、外殻の厚みが、発熱体の表層部と内部で異なることが考えられる。この場合、表層部の結節部に集合する各枝部の外殻厚みと、内部の結節部に集合する枝部の外殻厚みが異なることになる。しかし、各結節部に集合する骨格の厚みがほぼ一定であれば、一部の枝部に過大な電流が流れることはなく、結節部近傍の骨格が溶断するのを防止することができる。また、結節部周りの骨格が均等な強度を備えるため、強度も確保することができる。
上記骨格を形成する手法は特に限定されることはない。たとえば上記骨格を、3次元網目状樹脂の表面にめっき層又は金属コーティング層を設けるとともに、上記樹脂を消失させることにより形成することができる。上記骨格の外殻を金属めっき層又は金属コーティング層から形成することにより、骨格の厚みを非常に薄くかつ均一に設定することが可能となる。これにより、大きな気孔率を備える多孔質発熱体を形成することが可能となる。
また外殻をめっき層等から形成すると、一の結節部に集合する骨格の外殻の厚みをほぼ一定に形成することが可能となる。これにより、結節部周りの外殻の電気抵抗に大きな差異が生じることがなくなり、多孔質発熱体の全域を均一に加熱することができる。
上記芯部は、製造方法に応じて、中空又は/及び導電性材料から構成される。たとえば、上述したように、上記骨格を、3次元網目状樹脂の表面にめっき層を設けるとともに、上記樹脂を消失させることにより形成する場合、上記樹脂が消失した部分が中空状となる。また、上記めっき層を設けるために上記3次元網目状樹脂の表面に導電性材料をコーティング等して導電化処理を施した場合には、上記導電性材料からなる表面導電化層が中空芯部の内周面に残存する場合がある。さらに、めっき処理の後に熱処理等を施した場合は、外殻が収縮して、中空部分がなくなる場合もある。なお、上記芯部の構造は、発熱素子の全体において均一である必要はなく、部分によって異なっていてもよい。たとえば、芯部を構成する導電性材料が後の熱処理によって溶解して、発熱体内で偏在したり、一部の中空部が消失した状態であってもよい。なお、上記表面導電化層は、多孔質発熱体の所要の発熱性能を阻害しないように厚み等が設定される。
上記導電性を有する外殻を構成する材料は、特に限定されることはない。たとえば、Niから上記多孔質導電体の外殻を形成することができる。また、発熱性を有する外殻を構成する材料も、特に限定されることはない。たとえばNiを50〜95%と、Crを5〜50%とを含む合金から形成するのが好ましい。上記範囲の配合量に設定することにより、上記多孔質発熱体を効率よく発熱させることができる。なお、上記NiとCrの配合比を保持した状態で他の成分が配合されてもよい。
記発熱性を有する外殻を、Niを主成分とするとともに導電部を構成できる金属多孔質体の所定部分に、Crを拡散させることにより合金化して発熱性を付与することにより形成することができる。Ni−Cr合金から、直接所要の気孔率を有する多孔質体を形成するのは困難な場合がある。たとえば、上述しためっき法によって、所要部分にNi−Cr合金のめっき層を直接形成するのは困難である。
本願発明では、まず、Niから多孔質導電部を構成できる多孔質体を形成し、この多孔質体の多孔質発熱部を設ける所定の領域において、上記Niの表面から、Crを拡散させて発熱体として機能するNi−Cr合金とすることができる。
Niは、めっき処理しやすいため、上記骨格を容易に形成することができる。また、骨格の厚みや気孔率の異なる種々の金属多孔質体を容易に構成できる。そして、このNi多孔質体をCr合金化することによって、所要の電熱特性を備える発熱体を構成できる。また、多孔質導電部を構成する多孔質導電体の所定の領域を合金化することにより、上記多孔質発熱部と上記多孔質導電部とを、ほぼ同一の形態及び気孔率を有する多孔質体で一体的に形成することができる。
上記Ni多孔質体を、Cr合金化する手法は特に限定されることはない。たとえば、導電部を構成する領域にマスキングを施したNi多孔質体に、Cr粉末を充填して加熱することにより、Ni多孔質体の上記領域以外の部分をNi−Cr合金とすることができる。また、Cr源粉末の加熱により発生させた拡散浸透成分ガスと還元性希釈ガスとの混合ガス中で熱処理することにより、Ni多孔質体の所定領域をNi−Cr合金とすることができる。
またNiによって形成された第1の外殻の所定部分に、Crで形成された第2の外殻を積層形成した後、所定の熱処理を行うことにより、上記第1の外殻と上記第2の外殻とを互いに拡散させて合金化することにより、発熱性を付与した外殻を構成できる。
本願発明に係る多孔質発熱素子は、上記多孔質導電部を構成できる多孔質導電体の所定領域を合金化することにより、上記多孔質発熱部を形成する合金化工程を含み、上記合金化工程が、上記多孔質導電部を構成する柱状領域以外の領域を合金化することにより行われる製造方法によって製造することができる。
記合金化工程を、上記合金化する領域以外の領域に、めっき処理又はコーティング処理に対するマスキング層を設けるマスキング工程と、上記マスキングを施していない領域に、合金化するための金属をめっき又はコーティングする積層工程と、上記めっき又はコーティングが施された多孔質体を加熱して、上記所定領域を合金化する熱処理工程とを含んで構成することができる。
また、絶縁性を有する多孔質体に、発熱性を有する領域と導電性を有する領域の双方を連続して形成することにより、上記多孔質発熱部と上記多孔質導電部とを形成することもできる。
また、上述した2以上の多孔質発熱素子を組み合わせる組合せ工程と、組み合わされた多孔質発熱素子の対接する多孔質導電部及び/又は多孔質発熱部を電気的に接続する接続工程とを含んで多孔質発熱素子を製造することもできる。
本願発明に係る多孔質発熱素子を備えてガス分解素子を構成することもできる。
本願発明に係るガス分解素子は、自体で発熱する多孔質発熱素子内に、分解に供せられるガスが流動するように構成されているため、ガスを効率よく加熱して分解することが可能となる。また、上記多孔質導電部の気孔率を高く設定することにより、ガスの流動抵抗が増加することもなくなる。本願発明に係るガス分解素子は、単独で、あるいは他のガス分解素子と組み合わせてガス分解装置を構成することができる。たとえば、筒状MEAを備えるガス分解素子と組み合わせて、効率のよいガス分解装置を構成できる。
多孔質発熱部を均一に加熱できるため、大量のガスを均一に効率よく加熱して、分解することができる。
本願発明に係る多孔質発熱素子の構造を模式的に示す外観斜視図である。 図1に示す多孔質発熱素子の、II−II線に沿う断面図である。 多孔質発熱体及び多孔質導電体を構成する多孔質体の一例を示す電子顕微鏡写真である。 図3に示す多孔質発熱体の要部の断面を模式的に示す図である。 図4におけるV−V線に沿う断面図である。 図1に示す多孔質発熱素子の製造工程を示す図である。 図1に示す多孔質発熱素子の製造工程を示す図である。 図1に示す多孔質発熱素子の製造工程を示す図である。 図1に示す多孔質発熱素子の製造工程を示す図である。 図1に示す多孔質発熱素子の製造工程を示す図である。 図1に示す多孔質発熱素子の製造工程を示す図である。 図1に示す多孔質発熱素子の製造工程を示す図である。 実施形態に係る多孔質発熱素子の全体斜視図である。 第2の実施形態に係る多孔質発熱素子の断面図である。 第3の実施形態を示す多孔質発熱素子の断面図である。
以下、本願発明の実施形態を図に基づいて具体的に説明する。
図1は、孔質発熱素子100の概略構成を模式的に示す全体斜視図である。また、図2は、図1におけるII−II線に沿う断面図である。
図1に示す多孔質発熱素子100は、全体が矩形板状に形成されており、長手方向に、多孔質導電部104a,104b,104c,104dと多孔質発熱部102a,102b,102cとが交互に形成された形態を備えている。また、上記多孔質発熱部102a,102b,102cと、上記多孔質導電部104a,104b,104c,104dとは、同一の骨格を備える多孔質体から一体的に形成されている。上記多孔質発熱素子100は、上記多孔質導電部104a,104b,104c,104dを構成できるNi多孔質体の上記多孔質発熱部102a,102b,102cに対応する領域を合金化することにより、上記多孔質発熱部102a,102b,102cが形成されている。
各多孔質導電部104a,104b,104c,104dの上面には、導電性の金属から形成された電極板103a,103b,103c,103dが溶接等によって接合されている。
図2に示すように、各電極板103a,103b,103c,103dには、電源106から延びる配線105a,105b,105c,105dが接続されており、上記各電極板103a,103b,103c,103d及び各多孔質導電部104a,104b,104c,104dを介して、上記多孔質発熱部102a,102b,102cに給電できるように構成されている。
図1に示すように、左端部の多孔質導電部104aに設けた電極板103aから延びる配線105aが、電源106の一方の電極に接続されている。一方、他の多孔質導電部104b,104c,104dに設けられた電極板103b,103c,103dから延びる配線105b,105c,105dは、選択的に上記電源106の他方の電極から延びる配線106aに接続できるように構成されている。
上記構成を採用することにより、上記多孔質発熱素子100の右端から所望の範囲の多孔質発熱部に給電して発熱させることができる。このため、ガスの流量や加熱温度に応じて多孔質発熱素子の出力や温度を容易に調節することができる。
また、多孔質発熱部の一つが溶断等した場合であっても、配線をつなぎ換えるだけで、他の多孔質発熱部に給電することができるため、信頼性の高い多孔質発熱素子を構成することができる。
記多孔質導電部104a,104b,104c,104dの抵抗率は、上記多孔質発熱部102a,102b,102cの抵抗率の100分の1以下に設定されている。このため、上記多孔質導電部104a,104b,104c,104dが、多孔質発熱部102a,102b,102cのように高い温度で発熱することはない。したがって、各多孔質発熱部102a,102b,102cに給電するための電極板103a,103b,103c,103dや配線105a,105b,105c,105dを確実に接続することができる。
また、各多孔質発熱部102a,102b,102cと各多孔質導電部104a,104b,104c,104dとが、同じ形態の多孔質構造で連続形成されているため、多孔質発熱部と多孔質導電部との間で接触抵抗が生じることがなく、多孔質体の一部に過大な電流が流れて、多孔質発熱体や多孔質導電体が、溶断したり劣化したりする恐れもない。また、上記多孔質発熱部102a,102b,102cと上記多孔質導電部104a,104b,104c,104とが、同じ断面で接続されているため、各多孔質発熱部の接続断面の全域から給電して効率よく発熱させることができる。
しかも、上記多孔質発熱部102a,102b,102cと、上記多孔質導電部104a,104b,104c,104dとが、ほぼ同じ形態及び気孔率の多孔質体で形成されているため、ガスの流動抵抗も同一であり、多孔質体内でガスを均一に流動させることができる。したがって、ガスを効率よく発熱部に作用させて加熱することができる。
図3は、多孔質発熱素子100を構成する多孔質体の一例の外観構造を示す電子顕微鏡写真である。なお、後に述べるように多孔質導電部104a,104b,104c,104dを構成するNi多孔質体の上記発熱部構成部位を合金化することにより、上述した多孔質発熱部102a,102b,102cが設けられている。上記多孔質導電部104a,104b,104c,104dと上記多孔質発熱部102a,102b,102cとは、ほぼ同一の多孔質構造を備えているため、以下の説明は、多孔質発熱体101について説明する。
多孔質発熱体101は、連続気孔101bを有する3次元網目構造を備える。図4に示すように、上記3次元網目構造は、三角柱状の骨格110が3次元に連続して連なった形態を備え、上記骨格110を構成する複数の枝部112が結節部150に集合して一体的に連続する形態を備える。また、骨格110の各部は、図5に示すように、外殻110aと、中空状の芯部110bとを備えて構成される。なお、図4及び図5に示す実施形態では、上記外殻110aは、後に説明するように、めっき層112aと表面導電化層112bとが、一体的に合金化されて発熱体として機能するように構成されている。
上記多孔質発熱体101は、連続気孔101bを有する多孔質状に形成されているため、上記気孔101b内でガスを流動させて、効率よく加熱することができる。しかも、上記多孔質発熱体101は、3次元網目構造を採用することによって、気孔率をきわめて大きく設定することができる。このため、気孔内におけるガスの流動抵抗が低く、大量のガスを流動させて加熱することも可能となる。
また、図4に示すように、上記3次元網目構造における一の結節部150に集合する上記枝部112の外殻110aの厚みtがほぼ一定に形成されている。一の結節部150に集合する枝部112の外殻の厚みtがほぼ一定であるため、一の結節部150に集合する各枝部112の電気抵抗もほぼ一定となる。したがって、一の結節部に集合する一部の枝部に過大な電流が流れることもなくなる。これにより、骨格の溶断や劣化を防止することが可能となる。
なお、多孔質発熱体101の一の結節部150に集合する枝部112の外殻110aの厚みがほぼ一定であればよく、発熱体全体の外殻の厚みが一定であることまで要求されるものではない。たとえば、製造方法等によっては、外殻の厚みtが、発熱体の表層部と内部で異なることが考えられる。この場合、表層部の結節部に集合する各骨格の外殻厚みと、内部の結節部に集合する骨格の外殻厚みが異なることになる。しかし、一の結節部に集合する枝部の外殻の厚みがほぼ一定であれば、少なくとも上記結節部周りの一部の枝部に過大な電流が流れることはなく、結節部近傍の骨格が溶断するのを防止することができる。
記多孔質発熱体101は、少なくともNiとCrとを含む合金から形成されている。上記NiとCrの配合量は、所要の発熱量に応じて設定することができる。たとえば、上記多孔質発熱体101の上記外殻110aを、Niを50〜95%と、Crを5〜50%とを含む合金から形成することができる。
上記多孔質発熱体101は、種々の手法を用いて形成することができる。たとえば、上述した構造を備える多孔質導電体111を形成する工程と、この多孔質導電体111の所定領域(発熱部に対応する領域)をCr合金化することにより、上記多孔質発熱部102a,102b,102c(多孔質発熱体101)を形成する合金化工程を経て、上記多孔質発熱素子100を形成することができる。
上記多孔質発熱素子100を構成する骨格をめっきによって形成する場合、3次元網目状樹脂に導電化処理を施す工程と、3次元網目状樹脂にNiめっきを施す工程と、上記合金化する領域以外の領域に、めっき処理又はコーティング処理に対するマスキング層を設けるマスキング工程と、上記マスキングを施していない領域に、Cr等の金属をめっき又はコーティングする積層工程と、上記3次元網目状樹脂を除去する工程と、上記めっき又はコーティングが施された多孔質体を加熱して、積層されたNi層とCr層とを合金化する熱処理工程とを含んで構成することができる。
上記3次元網目状樹脂の形態として、樹脂発泡体、不織布、フェルト、織布等を用いることができる。上記3次元網目状樹脂を構成する素材は特に限定されることはないが、金属めっきした後、加熱等によって消失させることができるものを採用するのが好ましい。また、加工性やハンドリング性を確保するため、柔軟性を有するものを採用するのが好ましい。特に、3次元網目状樹脂として樹脂発泡体を採用するのが好ましい。樹脂発泡体は、連続気孔を有する多孔質状であればよく、既知のものを採用できる。たとえば、発泡ウレタン樹脂、発泡スチレン樹脂等を採用することができる。発泡樹脂の気孔の形態や気孔率、寸法等は特に限定されることはなく、用途に応じて適宜設定することができる。
上記3次元網目状樹脂を導電化する処理は、各気孔の表面に上記骨格を構成する金属めっき層を設けるために行われるものであり、図4における表面導電化層112bを設けることができれば特に限定されることはない。たとえば、ニッケルを用いる場合には、無電解めっき処理、スパッタリング処理等を採用することができる。また、チタン、ステンレス等の金属やカーボンブラック、黒鉛等を採用する場合には、これらの微粉末にバインダを添加した混合物を、上記3次元網目状樹脂に含浸塗着する処理を採用することができる。
上記めっき処理も特に限定されることはなく、公知のめっき法によって処理をすることができる。たとえば、ニッケルめっきの場合、生産性、コスト等の観点から電気めっき法を採用するのが好ましい。電気めっきに用いるめっき浴として、公知あるいは市販のものを採用できる。
上記Niめっき層の厚み(目付量)も特に限定されることはない。所要の気孔率や、強度を勘案して設定することができる。たとえば、100g/m2 〜2000g/m2 の目付量を採用することができる。
上記手法によって、まず、Niめっき層を形成し、導電部を構成する領域にマスキングを施した後、Crめっき層を積層形成する。上記Crめっき層の厚み(目付量)も特に限定されることはなく、たとえば、10g/m2 〜1000g/m2 の範囲で設定することができる。
上記めっき層を形成した後、上記3次元網目状樹脂を除去する工程が行われる。上記3次元網目状樹脂を除去する工程は、たとえば、ステンレスマッフル内で大気等の酸化性雰囲気において、上記めっき層を設けた多孔質体を、600℃〜800℃で熱処理することにより、上記3次元網目状樹脂を焼却除去することができる。
さらに、上記Niめっき層にCrめっき層を積層形成した多孔質体を、ステンレスマッフル内でCOやH2 等の還元性ガス雰囲気のもとで800℃〜1000℃で熱処理することにより、上記Crめっき層とNiめっき層とを互いに拡散させてNi−Cr合金層を形成することができる。また、N2 やAr等の不活性ガス雰囲気では、カーボンマッフル内で1000℃〜1500℃に加熱して上記Crめっき層とNiめっき層とから合金層を形成することもできる。Niによって、図4及び図5に示す表面導電化層112bを設けた場合には、表面導電化層112bも上記合金化工程においてNi−Cr合金化されて全体が発熱体となる。
上記工程を採用することにより、外殻のクロム濃度のバラツキが少なく、高い耐蝕性を有するとともに発熱特性の高い多孔質発熱体を形成することができる。また、めっき層によって外殻が構成されるため、外殻の厚み(断面積)を多孔質体内でほぼ均一に設定することが可能となる。このため、多孔質体内における電気抵抗のばらつきが少なくなり、通電することにより、多孔質体の全体を均一に加熱することができる。
図4及び図5に示すように、本実施形態に係る上記芯部は、中空状に形成されるが、これに限定されることはない。すなわち、上述した実施形態は、Niから形成された表面導電化層12bがCr合金化されたため外殻と一体化されたが、上記表面導電化層を別の導電性材料から形成する場合、芯部として残存する場合もある。たとえば、上記表面導電化層をチタンやカーボン等から形成するとともに、Niめっきによって骨格を形成した後Cr合金化した場合、上記表面導電化層が合金化されずに芯部として残存することになる。また、Niめっき層をCr合金化する熱処理工程において、外殻が収縮して、中空の芯部が消失する場合もある。なお、上記表面導電化層は、多孔質発熱体の所要の発熱性能を阻害しないように厚み等が設定される。
図1に示す多孔質発熱素子100は、具体的に、図6〜図12に示す手法によって形成することができる。なお、図6〜図12は、上記多孔質発熱素子100を製造する手法を模式的に示したものである。また、これら図面においては、図1における一の発熱部102aと一の導電部104bの部位を代表して記載している。
まず、図1に示す多孔質導電部104a,104b,104c,104dを構成する多孔質導電体111と多孔質発熱部102a,102b,102cを構成する多孔質発熱体101との共通の骨格を形成するため、図6に示す3次元網目状樹脂160を準備する。上記3次元網目状樹脂160は、上述した骨格を構成する中空の芯部に対応する部分160aと、連続気孔に対応する連続気孔部分160bとを備えて構成されており、たとえば、上記3次元網目状樹脂160は、ウレタン樹脂を所定の気孔率で発泡させることにより形成することができる。
図7に示すように、上記3次元網目状樹脂160に、上述した手法によって表面を導電化処理した後、全体にNiめっき層111を形成する。上記Niめっき層111は、図1における多孔質導電部104bを構成するものであり、上述したように、100g/m2 〜2000g/m2 の目付量で形成することができる。その後、図8に示すように、上記多孔質導電部104bを構成する部分に、上記Crめっき処理に対するマスキング層122を形成する。上記マスキング層122は、たとえば、エポキシ樹脂等で形成することができる。
次に、図9に示すように、上記マスキング層122を設けた多孔質体に、上述した手法によって、Crめっき層113を設ける。上記マスキング層122を設けているため、上記多孔質発熱部102aに対応した領域にのみ上記Crめっき層113を形成することができる。これにより、上記多孔質発熱部102aを構成する部分に、Niめっき層111とCrめっき層113とが積層形成された複合めっき層120が形成される。
上記マスキング層122を除去した後(図10)、上述した3次元網目状樹脂を除去する工程が行われ、図11に示すように、Niめっき層111のみ設けられて導電部104bを構成する領域と、上記Niめっき層111にCrめっき層113が積層された複合めっき層120を備える領域とが一体的に連続する3次元網目状の金属多孔質体114が形成される。
上記金属多孔質体114を、ステンレスマッフル内でCOやH2 等の還元性ガス雰囲気のもとで800℃〜1000℃で熱処理することにより、上記複合メッキ層120を構成する上記Niめっき層111と上記Crめっき層113を互いに拡散させてNi−Cr合金化し、多孔質発熱部102aが形成される。図12に示すように、上記多孔質発熱素子100は、中空の芯部101cとCr合金化された外殻101aとからなる発熱部102aの骨格と、中空の芯部111cとNiのみから形成された外殻111aとからなる導電部104bの骨格とが連続的に形成された形態を備えている。
上記手法を採用することにより、Niによって形成された金属多孔質体の所要の部分をNi−Cr合金化して、多孔質発熱部102aと、この多孔質発熱部102aに連続するCr合金化されていない多孔質導電部104bとを一体的に形成することができる。上記多孔質導電部104bの上面に電極板103bを設けることにより、図1に示す多孔質発熱素子100が形成される。
なお、上記多孔質発熱素子100では、配線105bを、電極板103bを介して接続したが、多孔質導電部104bに直接接続することもできる。
図13に、本願発明の実施形態に係る多孔質発熱素子200を示す。
図13に示す多孔質発熱素子200は、板状の多孔質発熱体202から構成される多孔質発熱部202aの内側の4箇所に、多孔質導電部204a,204b,204c,204dを各々独立して設けたものである。なお、上記多孔質発熱部202及び多孔質導電部204a,204b,204c,204dを設ける手法は、上述した手法と同様であるので説明は省略する。
上記多孔質導電部204a,204b,204c,204dは、板状の多孔質発熱部202aを上下に貫通する円柱状に形成されており、上面に円板状の電極板203a,203b,203c,203dが接合されている。そして、これら電極板203a,203b,203c,203dに、図示しない電源から延びる配線205a,205b,205c,205dが接続されている。すなわち、図13に示すように、上記多孔質導電部204a,204b,204c,204dは、周囲を上記多孔質発熱体202に囲まれるようにして、上記多孔質発熱体202を厚み方向に貫通して設けられている。
上記多孔質導電部204a,204b,204c,204dのうち選択した一対の多孔質導電部を介して上記多孔質発熱体202aに給電すると、選択した多孔質導電部間にある多孔質発熱体202に電流が流れる。電流を流す一対の導電部の離間距離が大きいほど広い領域に電流を流して発熱させることができる。一方、離間距離が小さい一対の導電部に電流を流すことにより、狭い領域を発熱させることができる。すなわち、給電する多孔質導電部を選択することにより、所望の領域の多孔質発熱体を発熱させることが可能となる。なお、図13に示す実施形態では、矩形板状の多孔質発熱体202の内側に、円柱状の多孔質導電部を4箇所に設けたが、導電部の数や形態は特に限定されることはない。この構成を採用することにより、図1から図12について説明した構成と同様の効果を発揮させることができる。
図14に、本願発明の第2の実施形態を示す。この実施形態は板状の多孔質発熱素子300a,300b,300cを積層して一体的な多孔質発熱素子300を構成したものである。なお、各多孔質発熱素子を形成する手法は、上述の実施形態と同様であるので説明は省略する。
上述したマスキングの手法では、厚みの大きい多孔質発熱体に、多数の発熱部及び導電部を精度高く設けるのは困難である。一方、厚みの小さいシート状あるいは板状の多孔質発熱体では、印刷手法等を採用することにより、種々のパターンの発熱部及び導電部を精度高く形成することも可能である。本実施形態は、厚みの小さいシート状あるいは板状の多孔質発熱素子を複数積層することにより、所望の厚みや寸法を備える3次元の多孔質発熱体を形成するものである。
図14に示すように、本実施形態では、同一の形態を備える板状の多孔質発熱素子300a,300b,300cを、発熱部同士及び導電部同士が対接するように積層して構成される。そして、各多孔質発熱素子300a,300b,300cの多孔質導電部304a,304b,304c,304dの上下に対接する領域350を溶接することにより、各多孔質発熱素子300a,300b,300cの導電部を一体化している。なお、本実施形態では、各多孔質発熱素子の多孔質導電部のみを溶接により一体化したが、対接する多孔質発熱部間を溶接して一体化することもできる。
最上部に積層された多孔質発熱素子300aにおける各導電部の上面に、電極板303a,303b,303c,303dが接合されており、これら各電極板303a,303b,303c,303dに、配線305a,305b,305c,305dが接続さている。
上記構成を採用することにより、種々の形態や大きさの多孔質発熱素子を形成することが可能となる。また、対接する各多孔質導電部及び/又は多孔質発熱部を互いに溶接等して導通させることにより、これら多孔質導電部及び/又は多孔質発熱部を一体的に機能させることが可能となる。
図15に、本願発明の第3の実施形態を示す。第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様に、同一の形態を備える板状の多孔質発熱素子400a,400b,400cを、発熱部同士及び導電部同士を対接するように積層することにより、多孔質素子400が形成されている。
第3の実施形態では、各多孔質発熱素子400a,400b,400cの両端部に位置する各多孔質導電部404a,404dの端面に、掛け渡し状に電極板403a,403dを接合することにより、これら多孔質導電部104a,404dが一体的に機能するように構成している。一方、内側に位置する多孔質導電部404b,404cには、これら導電部を貫通する棒状の接続部材403b,403cが設けられている。上記電極板403a,403d及び上記接続部材403b,403cには、配線405a,405b,405c,405dがそれぞれ接続されており、上記電極板403a,403d及び上記接続部材403b,403cを介して、所望の発熱部に給電して発熱させることができるように構成されている。
上記電極板403a,403dを端部に位置する導電部に各掛け渡し状に接続することにより、端部において対接する各多孔質導電部404a,404dを確実に導通させることができる。また、上記接続部材403b,403cを設けることにより、内側において対接させられる各導電部404b及び404cを、溶接することなく容易に導通させることが可能となる。さらに、棒状の接続部材を積層された多孔質導電部404b,404cを貫通するように設けることにより、上記多孔質発熱素子内を流れるガスの流動抵抗が大きく増加することもない。
本願発明の範囲は、上述の実施形態に限定されることはない。今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものでないと考えられるべきである。本願発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
内部にガスを流動させて加熱し、効率よく分解等することができるとともに、種々の形態や機能を有する多孔質発熱素子を構成できる。
101多孔質発熱体
102a多孔質発熱部
102b多孔質発熱部
102c多孔質発熱部
104a多孔質導電部
104b多孔質導電部
104c多孔質導電部
104d多孔質導電部
111多孔質導電体
101b連続気孔
103a電極板
103b電極板
103c電極板
103d電極板
105a配線
105b配線
105c配線
105d配線
110骨格
110a外殻
150結節部
112枝部

Claims (15)

  1. 連続気孔を有する多孔質発熱体から構成される多孔質発熱部と、連続気孔を有する多孔質導電体から構成される多孔質導電部とを備え、
    上記多孔質発熱部及び上記多孔質導電部が、一体形成された共通の多孔質体から構成されているとともに、
    上記多孔質発熱部と上記多孔質導電部の少なくとも一方は、上記共通の多孔質体の所定領域を発熱体化又は導電体化することにより形成されている多孔質発熱素子であって、
    シート状又は板状の多孔質発熱部の内側において、周囲を上記多孔質発熱体に囲まれるようにして上記多孔質体を厚み方向に貫通するように形成された柱状の多孔質導電部を備え、
    上記多孔質導電部が、上記多孔質発熱部内に2以上の発熱領域を構成するように所定距離離間した状態で複数設けられているとともに、
    選択した上記多孔質導電部間に給電することにより、多孔質発熱素子の所定領域を発熱させるように構成された、多孔質発熱素子。
  2. 上記共通の多孔質体が上記多孔質導電部を構成できる多孔質導電体であり、
    上記多孔質導電体の所定領域を合金化することにより、上記多孔質発熱部が形成されている、請求項1に記載の多孔質発熱素子。
  3. 上記多孔質発熱素子がシート状又は板状に形成されている、請求項1又は請求項2に記載の多孔質発熱素子。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された2以上の多孔質発熱素子を組み合わせて構成されるとともに、対接する発熱部及び/又は上記導電部が電気的に接続されている、多孔質発熱素子。
  5. 上記多孔質導電部に所要の面積で接続された電極部を備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の多孔質発熱素子。
  6. 上記共通の多孔質体は、
    所定領域に発熱性又は導電性が付与された外殻と、中空又は/及び導電性材料からなる芯部とを有する骨格を備え、
    上記骨格が一体的に連続する3次元網目構造を構成している、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の多孔質発熱素子。
  7. 上記3次元網目構造は、上記骨格を構成する複数の枝部が結節部に集合して一体的に連続しているとともに、一の結節部に集合する上記各枝部の外殻の厚みがほぼ一定である、請求項6に記載の多孔質発熱素子。
  8. 上記骨格は、3次元網目状樹脂の表面にめっき層又は金属コーティング層を設けるとともに、上記樹脂を消失させることにより形成されたものである、請求項6又は請求項7に記載の多孔質発熱素子
  9. 上記発熱性を有する外殻は、Niを50〜95%と、Crを5〜50%とを含む合金から形成されている、請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の多孔質発熱素子。
  10. 上記発熱性を有する外殻は、Niを主成分とするとともに導電部を構成できる金属多孔質体の所定部分に、Crを拡散させることにより合金化して発熱性を付与したものである、請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の多孔質発熱素子。
  11. 上記発熱性を有する外殻は、Niによって形成された第1の外殻の所定部分に、Crで形成された第2の外殻を積層形成した後、所定の熱処理を行うことにより、上記第1の外殻と上記第2の外殻とを互いに拡散させて合金化することにより発熱性を付与して構成されている、請求項6から請求項10のいずれか1項に記載の多孔質発熱素子。
  12. 多孔質発熱部と多孔質導電部とを一体的に備えるシート状又は板状の多孔質体から形成されるとともに、上記多孔質体を厚み方向に貫通するように形成された柱状の上記多孔質導電部が、上記多孔質発熱部の内側に2以上の発熱領域を構成するように所定距離離間した状態で複数設けられた多孔質発熱素子の製造方法であって、
    上記多孔質導電部を構成できる多孔質導電体の所定領域を合金化することにより、上記多孔質発熱部を形成する合金化工程を含み、
    上記合金化工程は、上記多孔質導電部を構成する柱状の領域以外の領域を合金化することにより行われる、多孔質発熱素子の製造方法。
  13. 上記合金化工程は、
    上記合金化する領域以外の領域に、めっき処理又はコーティング処理に対するマスキング層を設けるマスキング工程と、
    上記マスキングを施していない領域に、合金化するための金属をめっき又はコーティングする積層工程と、
    上記めっき又はコーティングが施された多孔質体を加熱して、上記所定領域を合金化する熱処理工程とを含む、請求項12に記載の多孔質発熱素子の製造方法。
  14. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された2以上の多孔質発熱素子を組み合わせる組合せ工程と、
    組み合わされた多孔質発熱素子の対接する多孔質導電部及び/又は多孔質発熱部を電気的に接続する接続工程とを含む、多孔質発熱素子の製造方法。
  15. 請求項1から請求項11のいずれか1項に記載した多孔質発熱素子を備える、ガス分解素子。

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