(第1の実施形態)
以下、本発明にかかるスイッチング素子の駆動装置を車載主機として回転機のみを備えた電動車両に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかるシステムの全体構成を示す。
モータジェネレータ10は、車載主機であり、図示しない駆動輪に機械的に連結されている。モータジェネレータ10は、直流交流変換回路としてのインバータIVと、直流電源としてのコンバータCVを介して高電圧バッテリ12に接続されている。ここで、コンバータCVは、コンデンサCと、コンデンサCに並列接続された一対のスイッチング素子Scp,Scnと、一対のスイッチング素子Scp,Scnの接続点と高電圧バッテリ12の正極とを接続するリアクトルLとを備えている。詳しくは、コンバータCVは、スイッチング素子Scp,Scnのオンオフ操作によって、高電圧バッテリ12の電圧(例えば「288V」)を所定の電圧(例えば「666V」)を上限として昇圧する機能を有する。
一方、インバータIVは、スイッチング素子Sup,Sunの直列接続体と、スイッチング素子Svp,Svnの直列接続体と、スイッチング素子Swp,Swnの直列接続体とを備えている。これら各直列接続体の接続点は、モータジェネレータ10のU,V,W相にそれぞれ接続されている。
なお、本実施形態では、スイッチング素子S*#(*=c,u,v,w;#=p,n)として、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が用いられている。また、これらスイッチング素子S*#にはそれぞれ、フリーホイールダイオードD*#が逆並列に接続されている。
制御装置14は、低電圧バッテリ16を電源としてかつ、モータジェネレータ10を制御対象とする。制御装置14は、モータジェネレータ10の制御量(例えばトルク)を所望に制御する通常制御を行うべく、インバータIVやコンバータCVを操作する。詳しくは、制御装置14は、インバータIVの入力電圧VH(コンデンサCの電圧)を検出する電圧センサ18等の各種センサの検出値を取り込む。そして、制御装置14は、コンバータCVの出力電圧を所望とすべく、各種センサの検出値に基づき生成される操作信号gcp、gcnをドライブユニットDUcp,DUcnに出力し、コンバータCVのスイッチング素子Scp,Scnを操作する。また、制御装置14は、上記各種センサの検出値に基づき生成される操作信号gup,gun,gvp,gvn,gwp,gwnをドライブユニットDUup,DUun,DUvp,DUvn,DUwp,DUwnに出力し、インバータIVのスイッチング素子Sup,Sun,Svp,Svn,Swp,Swnを操作する。ここで、高電位側のスイッチング素子S*pに対する操作信号g*pと、対応する低電位側のスイッチング素子S*nに対する操作信号g*nとは、互いに相補的な信号となっている。換言すれば、高電位側のスイッチング素子S*pと、対応する低電位側のスイッチング素子S*nとは、交互にオン状態とされる。
インターフェース20は、高電圧バッテリ12を備える高電圧システムと低電圧バッテリ16を備える低電圧システムとの間を絶縁しつつ、これらの間の信号の授受を行うための機器である。なお、本実施形態では、インターフェース20として、光絶縁素子(フォトカプラ)が用いられている。
次に、図2を用いて、上記ドライブユニットDU*#の構成を示す。
図示されるように、ドライブユニットDU*#は、1チップ化された半導体集積回路であるドライブIC22と、スイッチング素子S*#の開閉制御端子(ゲート)に電圧を印加するための定電圧電源24とを備えている。
定電圧電源24は、ドライブIC22の端子T1を介して定電流用抵抗体26の一端に接続されている。定電流用抵抗体26の他端は、ドライブIC22の端子T2、PチャネルMOSFET(定電流用スイッチング素子28)及びドライブIC22の端子T3を介してスイッチング素子S*#のゲートに接続されている。なお、定電圧電源24とゲートとを接続する電気経路がオン側充電経路に相当する。
スイッチング素子S*#のゲートは、第1の放電用抵抗体30aを介してドライブIC22の端子T4に接続されており、端子T4は、NチャネルMOSFET(第1の放電用スイッチング素子32a)を介してスイッチング素子S*#の出力端子(エミッタ)に接続されている。
また、スイッチング素子S*#のゲートは、第2の放電用抵抗体30bを介してドライブIC22の端子T5に接続されており、端子T5は、NチャネルMOSFET(第2の放電用スイッチング素子32b)を介してエミッタに接続されている。ここで、第2の放電用抵抗体30bの抵抗値Rbは、第1の放電用抵抗体30aの抵抗値Raよりも高く設定されている。なお、第1の放電用抵抗体30a及び第1の放電用スイッチング素子32aを介してゲートとエミッタとを接続する電気経路と、第2の放電用抵抗体30b及び第2の放電用スイッチング素子32bを介してゲートとエミッタとを接続する電気経路とがオフ側充電経路に相当する。
上記スイッチング素子S*#は、コレクタ電流と相関を有する微少電流を出力するセンス端子Stを備えている。センス端子Stは、センス抵抗34を介してスイッチング素子S*#のエミッタに接続されている。これにより、センス端子Stから出力される微少電流によってセンス抵抗34に電圧降下が生じるため、センス抵抗34のうちセンス端子St側の電位(以下、センス電圧Vse)を、コレクタ電流と相関を有する電気的な状態量とすることができる。なお、センス電圧Vseは、ドライブIC22の端子T6を介してドライブIC22内の駆動制御部36に入力される。
スイッチング素子S*#付近には、スイッチング素子S*#の温度(以下、素子温度TD)を検出するための感温ダイオードSD*#が設けられている。詳しくは、感温ダイオードSD*#は、スイッチング素子S*#の温度に応じた出力電圧を出力する。なお、感温ダイオードSD*#の出力電圧とスイッチング素子S*#の温度とは負の相関を有する。また、感温ダイオードSD*#の出力電圧は、ドライブIC22の端子T7を介して駆動制御部36に入力される。駆動制御部36は、端子T7の電圧に基づき素子温度TDを検出し、また、検出された素子温度TDをインターフェース20を介して制御装置14に伝達する。
スイッチング素子S*#のゲートには、端子T8を介して差動増幅回路38の非反転入力端子が接続され、差動増幅回路38の反転入力端子には、端子T5が接続されている。すなわち、差動増幅回路38は、第2の放電用抵抗体30bの両端の電位差を増幅する機能を有する。
差動増幅回路38の出力端子は、第1のコンパレータCMP1の非反転入力端子と、第2のコンパレータCMP2の反転入力端子とに接続されている。第1のコンパレータCMP1の反転入力端子には、第1の基準電圧Vref1を端子電圧とする電源40が接続されている。また、第2のコンパレータCMP2の非反転入力端子には、第2の基準電圧Vref2を端子電圧とする電源42が接続されている。これらコンパレータCMP1,CMP2の出力端子同士は互いに接続され、この接続点の信号は、第1の判断信号Sig1として異常判断部50に入力される。
一方、スイッチング素子S*#のゲートには、端子T8を介して差動増幅回路44の非反転入力端子が接続され、差動増幅回路44の反転入力端子には、端子T4が接続されている。すなわち、差動増幅回路44は、第1の放電用抵抗体30aの両端の電位差を増幅する機能を有する。
差動増幅回路44の出力端子は、第3のコンパレータCMP3の非反転入力端子と、第4のコンパレータCMP4の反転入力端子とに接続されている。第3のコンパレータCMP3の反転入力端子には、第3の基準電圧Vref3を端子電圧とする電源46が接続されている。また、第4のコンパレータCMP4の非反転入力端子には、第4の基準電圧Vref4を端子電圧とする電源48が接続されている。これらコンパレータCMP3,CMP4の出力端子同士は互いに接続され、この接続点の信号は、第2の判断信号Sig2として異常判断部50に入力される。
異常判断部50は、第1の判断信号Sig1及び第2の判断信号Sig2の論理に基づき、ドライブIC22の端子T11及びインターフェース20を介して制御装置14にフェール信号FLを伝達する。
次に、駆動制御部36によって行われるスイッチング素子S*#のゲートの充放電処理について説明する。
まず、ゲートの充電処理について説明する。
ゲートの充電処理は、ドライブIC22の端子T9を介して入力される操作信号g*#がオン操作指令とされることで行われる。本実施形態では、ゲートの充電処理を定電流制御によって行う。定電流制御は、ドライブIC22の端子T10を介して検出される定電流用抵抗体26の電圧降下量をその目標値(例えば1V)とすべく、定電流用スイッチング素子28のゲート電圧を操作するものである。これにより、スイッチング素子S*#のゲートの充電電流を一定値に制御することで、スイッチング素子S*#がオン状態に切り替えられる場合に生じるサージ電圧を抑制する。なお、ゲートの充電処理が行われる期間において、第1,第2の放電用スイッチング素子32a,32bはオフ操作される。
次に、ゲートの放電処理について説明する。
ゲートの放電処理は、操作信号g*#がオフ操作指令とされることで行われる。本実施形態では、ゲートの放電処理として、ゲート電荷の放電(負の電荷の充電)が開始されてから完了されるまでの期間の途中において、スイッチング素子S*#のゲートに接続される放電経路(負の電荷の充電経路)の抵抗値を変更するアクティブゲートコントロールを行う。これは、スイッチング素子S*#がオン状態からオフ状態に切り替えられる場合のサージ電圧やスイッチング損失の増大を抑制するための制御である。
詳しくは、操作信号g*#がオフ操作指令とされることで、第1の放電用スイッチング素子32aをオン操作してかつ、第2の放電用スイッチング素子32bをオフ操作し、ゲート電荷の放電速度を高速度とする。これにより、第1の放電用抵抗体30a及び第1の放電用スイッチング素子32aを介してゲートとエミッタとを接続する第1の放電経路Ldaによってゲートから電荷を放電させる。その後、第1の放電用スイッチング素子32aをオフ操作に切り替えてかつ、第2の放電用スイッチング素子32bをオン操作に切り替えることで、ゲート電荷の放電速度を低速度に変更する。これにより、第2の放電用抵抗体30b及び第2の放電用スイッチング素子32bを介してゲートとエミッタとを接続する第2の放電経路Ldbによってゲートから電荷を放電させる。なお、ゲートの放電処理が行われる期間において、定電流用スイッチング素子28はオフ操作される。
ここで、本実施形態では、放電速度の変更タイミングを、センス電圧Vseに基づき把握する。
図3を用いて、放電速度の変更タイミングについて説明する。詳しくは、図3(a)は、操作信号g*#の推移を示し、図3(b)は、ゲート電圧Vgeの推移を示し、図3(c)は、コレクタ・エミッタ間電圧Vce及びコレクタ電流Iceの推移を示し、図4(d)は、センス電圧Vseの推移を示す。また、図3(e),図3(f)は、第1,第2の放電用スイッチング素子32a,32bの操作状態の推移を示し、図3(g)は、ゲート電荷の放電速度の推移を示す。
図示されるように、時刻t1においてゲート電荷の放電が開始された後、センス電圧Vseが閾値電圧Vthを下から上に跨ぐタイミング(時刻t2)を放電速度の変更タイミングとして把握する。ここで、放電速度の変更タイミングの把握にセンス電圧Vseを用いるのは、スイッチング素子S*#がオン状態からオフ状態に切り替えられる場合におけるサージ電圧を抑制しつつ、スイッチング損失を低減可能な放電速度の変更タイミングと、センス電圧Vseが閾値電圧Vthを跨ぐタイミングとを関係付けることが可能であるためである。
なお、スイッチング素子S*#がオン状態からオフ状態に移行される期間内の時刻t2近傍において、センス電圧Vseが大きく上昇する現象が生じる。この現象は、スイッチング素子S*#のコレクタやエミッタとゲートとの間の寄生容量等を介してセンス電圧Vseにサージ電圧が重畳するために生じると考えられる。
次に、異常判断部50によって実行される異常判断処理について説明する。
本実施形態では、この処理として、第1の放電用抵抗体30a及び第2の放電用抵抗体30bのそれぞれの両端の電位差に基づき、アクティブゲートコントロール機能(第1の放電用抵抗体30a,第2の放電用抵抗体30b,第1の放電用スイッチング素子32a、第2の放電用スイッチング素子32b、第1の放電経路Lda、第2の放電経路Ldb)に異常が生じているか否かを判断する処理を行う。本実施形態では、この処理を、モータジェネレータ10の通常制御前に行う。
図4に、本実施形態にかかる異常判断処理の手順を示す。なお、本実施形態にかかる駆動制御部36は、ハードウェア処理手段であるため、図4に示す処理は、実際にはロジック回路によって実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、駆動制御部36の起動時であるか否かを判断する。この処理は、モータジェネレータ10の通常制御前であるか否かを判断するための処理であり、異常判断処理を行う状況であるか否かを判断するための処理である。
ステップS10において肯定判断された場合には、ステップS12に進み、定電流用スイッチング素子28及び第1の放電用スイッチング素子32aの双方をオン操作してかつ、第2の放電用スイッチング素子32bをオフ操作する。なお、本ステップにおける定電流用スイッチング素子28のオン操作とは、定電流制御による操作ではなく、定電流用スイッチング素子28を常時オン状態とするための操作である。
続くステップS14では、定電流用スイッチング素子28及び第1の放電用スイッチング素子32aの双方のオン操作が開始されてから第1の規定時間TA経過するまで待機する。この処理は、アクティブゲートコントロール機能の異常検出精度を高めるための処理である。つまり、定電流用スイッチング素子28及び第1の放電用スイッチング素子32aがオン操作された直後は、第1の放電用抵抗体30aの両端の電位差が安定していない。こうした状況下において上記電位差に基づき異常判断処理を行うと、アクティブゲートコントロール機能に異常が生じていないにもかかわらず、異常が生じた旨誤判断されるおそれがある。
続くステップS16では、第2の判断信号Sig2の論理が「H」であるか否かを判断する。この処理は、第2の放電用抵抗体30bにオープン異常もしくはショート異常、第2の放電用スイッチング素子32bにオープン異常、第1の放電経路Ldaのうち第1の放電用抵抗体30aから端子T4までの経路にオープン異常(以下、電気経路LA1にオープン異常)、又は第1の放電経路Ldaのうち端子T4からエミッタまでの経路にオープン異常(以下、電気経路LA2にオープン異常)が生じているか否かを判断するための処理である。すなわち、放電速度を高速度とする放電経路に異常が生じているか否かを判断するための処理である。以下、第2の判断信号Sig2を用いた異常判断の原理について説明する。
本実施形態では、電源46の第3の基準電圧Vref3が、アクティブゲートコントロール機能に異常が生じておらず、また、定電流用スイッチング素子28及び第1の放電用スイッチング素子32aの双方がオン状態とされてかつ第2の放電用スイッチング素子32bがオフ状態とされた場合における差動増幅回路44の出力電圧よりも高くてかつ、定電圧電源24の端子電圧よりも低い電圧に設定されている。また、電源48の第4の基準電圧Vref4が、アクティブゲートコントロール機能に異常が生じておらず、また、定電流用スイッチング素子28及び第1の放電用スイッチング素子32aの双方がオン状態とされてかつ第2の放電用スイッチング素子32bがオフ状態とされた場合における差動増幅回路44の出力電圧よりも低くてかつ、0よりも高い電圧に設定されている。
こうした基準電圧の設定によれば、アクティブゲートコントロール機能に異常が生じていない場合、第1の放電用抵抗体30aの両端の電位差は、定電流用抵抗体26及び第1の放電用抵抗体30aによって定電圧電源24の端子電圧が分圧された値となる。このため、差動増幅回路44の出力電圧が第3の基準電圧Vref3を下回ることで第3のコンパレータCMP3の出力信号の論理が「L」とされ、また、上記出力電圧が第4の基準電圧Vref4を上回ることで第4のコンパレータCMP4の出力信号の論理が「L」とされる。これにより、第2の判断信号Sig2の論理が「L」とされる。
これに対し、第1の放電用抵抗体30a又は上記電気経路LA1にオープン異常が生じた場合、第1の放電用抵抗体30aの両端の電位差が定電圧電源24の端子電圧まで上昇する。このため、差動増幅回路44の出力電圧が第3の基準電圧Vref3を上回ることで第3のコンパレータCMP3の出力信号の論理が「H」に切り替えられる。これにより、第2の判断信号Sig2の論理が「H」に切り替えられる。一方、第1の放電用抵抗体30aにショート異常、又は第1の放電用スイッチング素子32aもしくは上記電気経路LA2にオープン異常が生じた場合、第1の放電用抵抗体30aの両端の電位差が0となることから、差動増幅回路44の出力電圧が第4の基準電圧Vref4を下回り、第4のコンパレータCMP4の出力信号の論理が「H」に切り替えられる。これにより、第2の判断信号Sig2の論理が「H」に切り替えられる。
ステップS16において肯定判断された場合には、ステップS18に進み、第1の放電用抵抗体30aにオープン異常もしくはショート異常、第1の放電用スイッチング素子32aにオープン異常、又は上記電気経路LA1もしくは電気経路LA2にオープン異常が生じている旨判断する。
続くステップS20では、第1の放電用スイッチング素子32aのオン操作を禁止してかつ、第2の放電用スイッチング素子32bのみで放電処理を継続させる旨を駆動制御部36に指示する。この処理は、スイッチング素子S*#がオン状態からオフ状態に切り替えられる場合に生じるサージ電圧によってスイッチング素子S*#の信頼性が低下することを回避するための処理である。
つまり、上記ステップS16で肯定判断された状況は、第1の放電用抵抗体30aにショート異常が生じたおそれがある状況である。こうした状況において放電処理が開始されると、放電速度が高速度とされる場合の放電経路の抵抗値が第1の放電用抵抗体30aに異常が生じていない場合の上記抵抗値よりも低くなる。このことに起因して、アクティブゲートコントロールによるサージ電圧の低減効果が低下し、スイッチング素子S*#がオフ状態に切り替えられる場合におけるエミッタ・コレクタ間電圧がその許容上限値を超えることで、スイッチング素子S*#の信頼性が低下するおそれがある。こうした事態を回避すべく、本ステップの処理を設ける。
一方、上記ステップS16において否定判断された場合には、ステップS22に進み、第1の放電用スイッチング素子32aをオフ操作に切り替えてかつ、第2の放電用スイッチング素子32bをオン操作に切り替える。
続くステップS24では、定電流用スイッチング素子28及び第2の放電用スイッチング素子32bの双方のオン操作が開始されてから第2の規定時間TB経過するまで待機する。この処理は、上記ステップS14の処理と同趣旨で設けられる処理である。
続くステップS26では、第1の判断信号Sig1の論理が「H」であるか否かを判断する。この処理は、第2の放電用抵抗体30bにオープン異常もしくはショート異常、第2の放電用スイッチング素子32bにオープン異常、第2の放電経路Ldbのうち第2の放電用抵抗体30bから端子T5までの経路にオープン異常(以下、電気経路LB1にオープン異常)、又は第2の放電経路Ldbのうち端子T5からエミッタまでの経路にオープン異常(以下、電気経路LB2にオープン異常)が生じているか否かを判断するための処理である。すなわち、放電速度を低速度とする放電経路に異常が生じているか否かを判断するための処理である。第1の判断信号Sig1を用いた異常判断手法は、第2の判断信号Sig2を用いた異常判断手法に準じた手法で行われる。以下、第1の判断信号Sig1を用いた異常判断の原理について説明する。
本実施形態では、電源40の第1の基準電圧Vref1が、アクティブゲートコントロール機能に異常が生じておらず、また、定電流用スイッチング素子28及び第2の放電用スイッチング素子32bの双方がオン状態とされてかつ第1の放電用スイッチング素子32aがオフ状態とされた場合における差動増幅回路38の出力電圧よりも高くてかつ、定電圧電源24の端子電圧よりも低い電圧に設定されている。また、電源42の第2の基準電圧Vref2が、アクティブゲートコントロール機能に異常が生じておらず、また、定電流用スイッチング素子28及び第2の放電用スイッチング素子32bの双方がオン状態とされてかつ第1の放電用スイッチング素子32aがオフ状態とされた場合における上記出力電圧よりも低くてかつ、0よりも高い電圧に設定されている。
こうした基準電圧の設定によれば、アクティブゲートコントロール機能に異常が生じていない場合、第2の放電用抵抗体30bの両端の電位差は、定電流用抵抗体26及び第2の放電用抵抗体30bによって定電圧電源24の端子電圧が分圧された値となる。このため、差動増幅回路38の出力電圧が第1の基準電圧Vref1を下回ることで第1のコンパレータCMP1の出力信号の論理が「L」とされ、また、上記出力電圧が第2の基準電圧Vref2を上回ることで第2のコンパレータCMP2の出力信号の論理が「L」とされる。これにより、第1の判断信号Sig1の論理が「L」とされる。
これに対し、第2の放電用抵抗体30b又は上記電気経路LB1にオープン異常が生じた場合、第2の放電用抵抗体30bの両端の電位差が定電圧電源24の端子電圧まで上昇することから、差動増幅回路38の出力電圧が第1の基準電圧Vref1を上回り、第1のコンパレータCMP1の出力信号の論理が「H」に切り替えられる。これにより、第1の判断信号Sig1の論理が「H」に切り替えられる。一方、第2の放電用抵抗体30bにショート異常又は第2の放電用スイッチング素子32bもしくは上記電気経路LB2にオープン異常が生じた場合、第2の放電用抵抗体30bの両端の電位差が0となることから、差動増幅回路38の出力電圧が第2の基準電圧Vref2を下回り、第2のコンパレータCMP2の出力信号の論理が「H」に切り替えられる。これにより、第1の判断信号Sig1の論理が「H」に切り替えられる。
ステップS26において肯定判断された場合には、ステップS28に進み、第2の放電用抵抗体30bにオープン異常もしくはショート異常、第2の放電用スイッチング素子32bにオープン異常、又は上記電気経路LB1もしくは電気経路LB2にオープン異常が生じている旨判断する。
続くステップS30では、第2の放電用スイッチング素子32bのオン操作を禁止してかつ、第1の放電用スイッチング素子32aのみで放電処理を継続させる。この処理は、上記ステップS20の処理と同様に、スイッチング素子S*#の信頼性が低下することを回避するための処理である。
ステップS20、S30の処理が完了した場合には、ステップS32に進む。ステップS32では、放電速度を低速度とする放電経路、及び放電速度を高速度とする放電経路のうちいずれに異常が生じているかをフェール信号FLによって制御装置14に対して通知する通知処理を行う。本実施形態では、フェール信号FLとしてパルスを用い、パルスの周波数を変更することで、上記いずれに異常が生じているかをフェール信号FLによって通知可能となっている。
なお、上記ステップS10、S26において否定判断された場合や、ステップS32の処理が完了した場合には、この一連の処理を一旦終了する。
ちなみに、本実施形態では、インバータIVに備えられた高電位側のスイッチング素子S¥p(¥=u,v,w)と、低電位側のスイッチング素子S¥nとについて、異常判断処理が同時に行われないようにする。具体的には、図5に示すように、まず、高電位側のスイッチング素子S¥pについて、U,V,W相の順に異常判断処理を行った後、低電位側のスイッチング素子S¥nについて、W,V,U相の順に異常判断処理を行う。これは、これらスイッチング素子S¥p,S¥nの双方がオン状態とされることで、スイッチング素子S¥#に短絡電流が流れることを回避するためである。
次に、図6を用いて、制御装置14によって実行されるフェールセーフ処理について説明する。図6は、フェールセーフ処理の手順を示す図である。
この一連の処理では、まずステップS34においてフェール信号FLが入力されたか否かを判断する。
ステップS34において肯定判断された場合には、ステップS36に進み、フェール信号FLに基づき、放電速度を高速度とする放電経路の異常が生じているか否かを判断する。なお、本ステップの処理と併せて、異常が生じた旨をユーザに報知する報知処理を行う。
ステップS36において肯定判断された場合には、ステップS38に進み、素子温度TDが規定温度Tαを超えるか否かを判断する。この処理は、スイッチング素子S*#の信頼性が過度に低下することを回避するための処理である。
つまり、例えば、放電速度を高速度とする放電経路の異常が生じ、放電速度が低速度に固定されて放電処理が行われると、スイッチング損失が増大することとなる。スイッチング損失が増大すると、スイッチング素子S*#の発熱量が増大し、スイッチング素子S*#の信頼性が過度に低下するおそれがある。こうした事態を回避する観点から、上記ステップS36において肯定判断された場合に、全てのスイッチング素子S*#の駆動を禁止させることも考えられる。しかしながら、この場合、その後車両を修理工場まで走行させることができなくなる等の不都合が生じるおそれがある。こうした不都合を回避すべく、本ステップにおいてスイッチング素子S*#の信頼性が過度に低下しないと判断される間は、第2の放電用スイッチング素子32bによる放電処理を継続させる。
ステップS38において肯定判断された場合には、スイッチング素子S*#の信頼性が過度に低下するおそれがあると判断し、ステップS40に進む。ステップS40では、インバータIV及びコンバータCVのスイッチング素子S*#を強制的にオフ操作するシャットダウン処理を行う。
一方、上記ステップS36において否定判断された場合には、放電速度を低速度とする放電経路の異常が生じていると判断し、ステップS42に進む。ステップS42では、コレクタ電流Iceを低下させる処理を行う。この処理は、スイッチング素子S*#がオン状態からオフ状態に切り替えられる場合に生じるサージ電圧によってスイッチング素子S*#の信頼性が低下することを回避するための処理である。
つまり、放電速度を低速度とする放電経路の異常が生じると、放電処理において放電速度が高速度に固定されることから、アクティブゲートコントロールによるサージ電圧の低減効果が得られず、エミッタ・コレクタ間電圧が許容上限値を超えるおそれがある。ここで、スイッチング素子S*#がオフ状態に切り替えられる場合に生じるサージ電圧は、コレクタ電流Iceが小さいほど小さくなる傾向にある。これは、コレクタ電流Iceが小さいほど、スイッチング素子S*#がオフ状態に切り替えられる場合におけるコレクタ電流Iceの低下速度が低くなることによる。こうした点に鑑み、本ステップの処理を行うことで、スイッチング素子S*#の信頼性の低下を回避する。
続くステップS44では、入力電圧VHが規定電圧Vαを超えるか否かを判断する。この処理は、第1の放電用スイッチング素子32aのみで放電処理を継続可能であるか否かを判断するための処理である。
つまり、入力電圧VHが低い状況は、コレクタ・エミッタ間電圧と許容上限値との間の余裕代が大きくなる状況である。こうした状況下においてゲート電荷の放電速度を高速度に固定して放電処理を行ったとしても、コレクタ・エミッタ間電圧が上記許容上限値に到達しないと考えられる。このため、本ステップにおいて否定判断される間は、第1の放電用スイッチング素子32aによって放電処理を継続させたとしても、スイッチング素子S*#の信頼性が過度に低下しないと考えられる。
ステップS44において否定判断された場合には、上記ステップS38に進む。一方、上記ステップS44において肯定判断された場合には、スイッチング素子S*#の信頼性が過度に低下するおそれのある状況であると判断し、上記ステップS40に進む。
なお、上記ステップS34、S38において否定判断された場合や、ステップS40の処理が完了した場合には、この一連の処理を一旦終了する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)定電流用スイッチング素子28及び第1の放電用スイッチング素子32aの双方がオン操作されてかつ、第2の放電用スイッチング素子32bがオフ操作される状況下において、第2の判断信号Sig2の論理が「H」であると判断された場合、第1の放電用抵抗体30aにオープン異常もしくはショート異常、第1の放電用スイッチング素子32aにオープン異常、又は第1の放電経路Ldaの一部である上記電気経路LA1もしくは電気経路LA2にオープン異常が生じている旨判断した。また、定電流用スイッチング素子28及び第2の放電用スイッチング素子32bの双方がオン操作されてかつ、第1の放電用スイッチング素子32aがオフ操作される状況下において、第1の判断信号Sig1の論理が「H」であると判断された場合、第2の放電用抵抗体30bにオープン異常もしくはショート異常、第2の放電用スイッチング素子32bにオープン異常、又は第2の放電経路Ldbの一部である上記電気経路LB1もしくは電気経路LB2にオープン異常が生じている旨判断した。これにより、アクティブゲートコントロール機能に異常が生じたことを適切に検出することができる。
(2)定電流用スイッチング素子28及び第1の放電用スイッチング素子32aの双方のオン操作が開始されてから第1の規定時間TAが経過したことを条件として異常判断処理を行った。また、定電流用スイッチング素子28及び第2の放電用スイッチング素子32bの双方のオン操作が開始されてから第2の規定時間TBが経過したこと条件として異常判断処理を行った。これにより、アクティブゲートコントロール機能の異常検出精度を高めることができる。
(3)インバータIVに備えられた高電位側のスイッチング素子S¥p及び低電位側のスイッチング素子S¥nの双方について、異常判断処理が同時に行われないようにした。これにより、スイッチング素子S¥#に短絡電流が流れることを回避することができ、異常判断処理の実行によってスイッチング素子S¥#の信頼性が低下する事態を回避できる。
(4)フェール信号FLのパルスの周波数を変更することで、放電速度を低速度とする放電経路、及び放電速度を高速度とする放電経路のうちいずれに異常が生じているかを制御装置14に対して通知する通知処理を行った。これにより、異常発生箇所を制御装置14に把握させることができ、ひいてはその後のフェールセーフ処理を適切に行うことができる。
(5)放電速度を高速度とする放電経路の異常が生じていると判断された場合、第1の放電用スイッチング素子32aのオン操作を禁止してかつ、第2の放電用スイッチング素子32bにて放電処理を継続させた。一方、放電速度を低速度とする放電経路の異常が生じていると判断された場合、第2の放電用スイッチング素子32bのオン操作を禁止してかつ、第1の放電用スイッチング素子32aにて放電処理を継続させた。このため、スイッチング素子S*#の信頼性の低下を抑制しつつ、放電処理を極力継続させることができる。これにより、その後車両を修理工場まで走行させることなどができる。
(6)制御装置14にフェール信号FLが入力された場合、素子温度TDが規定温度Tαを超えると判断されるまで放電処理を継続させた。これにより、スイッチング素子S*#の信頼性の過度の低下を抑制しつつ、その後車両を修理工場まで走行させることなどができる。
(7)放電速度を低速度とする放電経路の異常が生じていると判断された場合、コレクタ電流Iceを低下させる処理を行った。これにより、スイッチング素子S*#の信頼性の低下を回避することができる。
(8)素子温度TDが規定温度Tαを超えると判断された場合、又は入力電圧VHが規定電圧Vαを超えると判断された場合、シャットダウン処理を行った。これにより、スイッチング素子S*#の信頼性が低下した状態でコンバータCVやインバータIVが継続して使用される事態を回避できる。
(9)モータジェネレータ10の通常制御前に異常判断処理を行った。このため、車両の走行が開始される前にアクティブゲートコントロールを行う上で重要な素子の異常の有無を判断することができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図7に、本実施形態にかかるドライブユニットDUの構成を示す。なお、図7において、先の図2の部材と同一の部材については、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、差動増幅回路38の出力端子は、第5のコンパレータCMP5の非反転入力端子に接続されている。第5のコンパレータCMP5の反転入力端子には、第5の基準電圧Vref5を端子電圧とする電源52が接続されている。
また、差動増幅回路44の出力端子は、第6のコンパレータCMP6の非反転入力端子に接続されている。第6のコンパレータCMP6の反転入力端子には、第6の基準電圧Vref6を端子電圧とする電源54が接続されている。
第5,第6のコンパレータCMP5,CMP6の出力端子同士は互いに接続され、この接続点の信号は、判断信号SigAとして異常判断部50に入力される。
次に、本実施形態にかかる異常判断処理について説明する。
本実施形態では、異常判断処理をモータジェネレータ10の通常制御が行われる期間に行う。
図8に、駆動制御部36によって実行される上記異常判断処理の手順を示す。
この一連の処理では、まずステップS46において、操作信号g*#がオフ操作指令からオン操作指令に切り替えられたか否かを判断する。
ステップS46において肯定判断された場合には、ステップS48に進み、判断信号SigAの論理が「H」であるか否かを判断する。この処理は、第1の放電用スイッチング素子32a又は第2の放電用スイッチング素子32bにショート異常が生じているか否かを判断するための処理である。以下、本ステップにおける異常判断の原理について説明する。
本実施形態では、電源52の第5の基準電圧Vref5及び電源54の第6の基準電圧Vref6が「0」よりもやや高い電圧に設定されている。
こうした基準電圧の設定によれば、第1の放電用スイッチング素子32a又は第2の放電用スイッチング素子32bにショート異常が生じていない場合、第1の放電用抵抗体30a又は第2の放電用抵抗体30bに電流が流れないことから、これら抵抗体30a,30bのそれぞれの両端の電位差が「0」とされる。これにより、第5,第6のコンパレータCMP5,CMP6の出力信号の論理が「L」とされ、判断信号SigAの論理が「L」とされる。
これに対し、第1の放電用スイッチング素子32a又は第2の放電用スイッチング素子32bにショート異常が生じた場合、定電流制御が行われる期間において第1の放電用抵抗体30a又は第2の放電用抵抗体30bに電流が流れ、抵抗体の両端に電位差が生じる。このため、第5のコンパレータCMP5及び第6のコンパレータCMP6のうちいずれかの出力信号の論理が「H」に切り替えられ、判断信号SigAの論理が「H」に切り替えられる。
なお、異常判断に用いる判断信号SigAの取得タイミングは、オン操作指令がなされる期間中の任意のタイミングとすることができる。ただし、異常判断を速やかに行う上では、例えば、オン操作指令に切り替えられた直後における判断信号SigAを用いるのが望ましい。
ステップS48において肯定判断された場合には、ステップS50に進み、第1の放電用スイッチング素子32a又は第2の放電用スイッチング素子32bにショート異常が生じている旨判断する。
続くステップS52では、第1の放電用スイッチング素子32a又は第2の放電用スイッチング素子32bにショート異常が生じている旨をフェール信号FLによって制御装置14に通知する通知処理を行う。なお、制御装置14に上記ショート異常が生じている旨が通知されると、本実施形態では、制御装置14においてシャットダウン処理が行われる。
なお、上記ステップS46、S48において否定判断された場合や、ステップS52の処理が完了した場合には、この一連の処理を一旦終了する。
このように、本実施形態では、上記態様の異常判断処理を行うことで、第1の放電用スイッチング素子32a又は第2の放電用スイッチング素子32bにショート異常が生じたことを適切に検出することができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第2の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、先の図7において、差動増幅回路38、電源52及び第5のコンパレータCMP5が備えられていない。すなわち、第6のコンパレータCMP6の出力信号が判断信号SigAとなる。
図9に、駆動制御部36によって実行される上記異常判断処理の手順を示す。
この一連の処理では、まずステップS54において、操作信号g*#がオン操作指令からオフ操作指令に切り替えられたか否かを判断する。
ステップS54において肯定判断された場合には、ステップS56に進み、判断信号SigAの論理が「L」であるか否かを判断する。この処理は、第1の放電用スイッチング素子32aにオープン異常、第1の放電用抵抗体30aにショート異常、又は第1の放電経路Ldaのうち端子T4からエミッタまでの経路である上記電気経路LA2にオープン異常が生じているか否かを判断するための処理である。以下、本ステップにおける異常判断の原理について説明する。
本実施形態では、電源54の第6の基準電圧Vref6が、定電圧電源24の端子電圧よりも低くてかつ「0」よりも高い電圧に設定されている。こうした基準電圧の設定によれば、第1の放電用スイッチング素子32aにオープン異常、第1の放電用抵抗体30aにショート異常又は上記電気経路LA2にオープン異常が生じていない場合、放電処理の開始時において第1の放電用抵抗体30aの両端の電位差が定電圧電源24の端子電圧程度となり、判断信号SigAの論理が「H」とされる。
これに対し、第1の放電用スイッチング素子32aにオープン異常、第1の放電用抵抗体30aにショート異常又は上記電気経路LA2にオープン異常が生じた場合、第1の放電用抵抗体30aの両端の電位差が「0」となることから、判断信号SigAの論理が「L」に切り替えられる。
ステップS56において肯定判断された場合には、ステップS58に進み、第1の放電用スイッチング素子32aにオープン異常、第1の放電用抵抗体30aにショート異常又は上記電気経路LA2にオープン異常が生じている旨判断する。
続くステップS60では、第1の放電用スイッチング素子32aにオープン異常、第1の放電用抵抗体30aにショート異常又は上記電気経路LA2にオープン異常が生じている旨をフェール信号FLによって制御装置14に通知する通知処理を行う。なお、制御装置14に上記ショート異常等が生じている旨が通知されると、制御装置14においてシャットダウン処理が行われる。
なお、上記ステップS54、S56において否定判断された場合や、ステップS60の処理が完了した場合には、この一連の処理を一旦終了する。
このように、本実施形態では、上記態様の異常判断処理を行うことで、第1の放電用スイッチング素子32aにオープン異常、第1の放電用抵抗体30aにショート異常又は第1の放電経路Ldaの一部である上記電気経路LA2にオープン異常が生じたことを適切に検出することができる。
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図10に、本実施形態にかかるドライブユニットDUの構成を示す。なお、図10において、先の図2の部材と同一の部材については、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、端子T8は、第7のコンパレータCMP7の非反転入力端子と、第8のコンパレータCMP8の反転入力端子に接続されている。第7のコンパレータCMP7の反転入力端子には、第7の基準電圧Vref7を端子電圧とする電源56が接続されている。また、第8のコンパレータCMP8の非反転入力端子には、第8の基準電圧Vref8を端子電圧とする電源58が接続されている。
第7,第8のコンパレータCMP7,CMP8の出力端子同士は互いに接続され、この接続点の信号は、判断信号SigBとして異常判断部50に入力される。
次に、本実施形態にかかる異常判断処理について説明する。
本実施形態では、ゲート電圧Vgeに基づき上記異常判断処理を行う。本実施形態にかかる異常判断処理は、先の図4に示した処理に準じた処理によって行うことができる。具体的には、ステップS16、S26の処理を、判断信号SigBの論理が「H」であるか否かを判断する処理に置き換える。また、ステップS18の処理における上記電気経路LA1もしくは電気経路LA2のオープン異常を第1の放電経路Ldaのオープン異常に置き換えてかつ、ステップS28の処理における上記電気経路LB1もしくは電気経路LB2のオープン異常を第2の放電経路Ldbのオープン異常に置き換える。以下、異常判断の原理について説明する。
本実施形態では、電源56の第7の基準電圧Vref7が、アクティブゲートコントロール機能に異常が生じておらず、また、定電流用スイッチング素子28及び第2の放電用スイッチング素子32bの双方がオン状態とされてかつ第1の放電用スイッチング素子32aがオフ状態とされた場合におけるゲート電圧よりも高くてかつ、定電圧電源24の端子電圧よりも低い電圧に設定されている。
また、電源58の第8の基準電圧Vref8が、アクティブゲートコントロール機能に異常が生じておらず、また、定電流用スイッチング素子28及び第1の放電用スイッチング素子32aの双方がオン状態とされてかつ第2の放電用スイッチング素子32bがオフ状態とされた場合におけるゲート電圧よりも低くてかつ、0よりも高い電圧に設定されている。
こうした基準電圧の設定によれば、アクティブゲートコントロール機能に異常が生じていない場合、ゲート電圧が、定電圧電源24の端子電圧を定電流用抵抗体26と、第1の放電用抵抗体30a又は第2の放電用抵抗体30bとで分圧した値となる。これにより、第7のコンパレータCMP7及び第8のコンパレータCMP8の出力信号の論理が「L」とされ、判断信号SigBの論理が「L」とされる。
これに対し、第1の放電用抵抗体30a、第1の放電用スイッチング素子32a又は第1の放電経路Ldaにオープン異常が生じたり、第2の放電用抵抗体30b、第2の放電用スイッチング素子32b又は第2の放電経路Ldbにオープン異常が生じたりする場合、ゲート電圧が定電圧電源24の端子電圧とされる。これにより、第7のコンパレータCMP7の出力信号の論理が「H」に切り替えられ、判断信号SigBの論理が「H」に切り替えられる。一方、第1の放電用抵抗体30a又は第2の放電用抵抗体30bにショート異常が生じた場合、ゲート電圧が接地電位(0V)となることから、第8のコンパレータCMP8の出力信号の論理が「H」に切り替えられる。これにより、判断信号SigBの論理が「H」に切り替えられる。
なお、本実施形態では、第1の放電用抵抗体30a又は第2の放電用抵抗体30bにショート異常が生じた場合、いずれのショート異常が生じたかを特定することはできない。
このように、本実施形態では、ゲート電圧に基づく異常判断処理を行うことで、上記第1の実施形態で得られる効果に準じた効果を得ることができる。さらに、本実施形態では、異常判断処理を行うための構成を簡素化でき、異常判断を行うための部品(差動増幅回路及びコンパレータ等)の数を低減させることもできる。
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について、先の第4の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、先の図10において、電源58及び第8のコンパレータCMP8が備えられていない。すなわち、第7のコンパレータCMP7の出力信号が判断信号SigBとなる。
次に、本実施形態にかかる異常判断処理について説明する。
本実施形態では、異常判断処理をモータジェネレータ10の通常制御が行われる期間であってかつ、操作信号g*#がオフ操作指令からオン操作指令に切り替えられた場合に行う。本実施形態にかかる異常判断処理は、先の図8に示した処理に準じた処理によって行うことができる。具体的には、ステップS48の処理を、判断信号SigBの論理が「H」であるか否かを判断する処理に置き換えることで実現できる。以下、異常判断の原理について説明する。
本実施形態では、電源56の第7の基準電圧Vref7が、アクティブゲートコントロール機能に異常が生じておらず、また、定電流用スイッチング素子28及び第1の放電用スイッチング素子32aの双方がオン状態とされてかつ第2の放電用スイッチング素子32bがオフ状態とされた場合におけるゲート電圧よりも低くてかつ、0よりも高い電圧に設定されている。
こうした基準電圧の設定によれば、第1の放電用スイッチング素子32a又は第2の放電用スイッチング素子32bにショート異常が生じていない場合、オン操作指令に切り替えられた直後のゲート電圧は0とされる。これにより、判断信号SigBの論理が「L」とされる。
これに対し、第1の放電用スイッチング素子32a又は第2の放電用スイッチング素子32bにショート異常が生じた場合、オン操作指令に切り替えられた後、定電流制御が行われるために第1の放電用抵抗体30a又は第2の放電用抵抗体30bに電流が流れる。このため、ゲート電圧が、定電流用抵抗体26と、第1の放電用抵抗体30a又は第2の放電用抵抗体30bとで定電圧電源24の端子電圧を分圧した値とされる。これにより、判断信号SigBの論理が「H」に切り替えられる。
このように、本実施形態では、上記態様の異常判断処理を行うことで、第1の放電用スイッチング素子32a又は第2の放電用スイッチング素子32bにショート異常が生じているか否かを適切に判断することができる。
(第6の実施形態)
以下、第6の実施形態について、先の第5の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、異常判断処理を、モータジェネレータ10が通常制御される期間であってかつ、操作信号g*#がオン操作指令からオフ操作指令に切り替えられた直後において行う。本実施形態にかかる異常判断処理は、先の図9に示した処理に準じた処理によって行うことができる。具体的には、ステップS56の処理を、判断信号SigBの論理が「L」であるか否かを判断する処理に置き換えることで実現できる。そして、判断信号SigBの論理が「L」であると判断された場合、第1の放電用抵抗体30a又は第2の放電用スイッチング素子32bにショート異常が生じている旨判断する。以下、異常判断の原理について説明する。
本実施形態では、電源56の第7の基準電圧Vref7が、上記第4の実施形態で説明した基準電圧と同じ電圧に設定されている。こうした基準電圧の設定によれば、第1の放電用抵抗体30a又は第2の放電用スイッチング素子32bにショート異常が生じていない場合、放電処理の開始直後におけるゲート電圧が定電圧電源24の端子電圧となり、判断信号SigBの論理が「H」とされる。
これに対し、第1の放電用抵抗体30aにショート異常が生じた場合、ゲート電圧が接地電位とされることから、判断信号SigBの論理が「L」に切り替えられる。一方、第2の放電用スイッチング素子32bにショート異常が生じた場合、ゲート電圧が、定電流用抵抗体26と、第2の放電用抵抗体30bとで定電圧電源24の端子電圧を分圧した値とされることから、判断信号SigBの論理が「L」に切り替えられる。
このように、本実施形態では、上記態様の異常判断処理を行うことで、第1の放電用抵抗体30a又は第2の放電用スイッチング素子32bにショート異常が生じているか否かを適切に判断することができる。
(第7の実施形態)
以下、第7の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、放電処理におけるアクティブゲートコントロールとして、第1の放電用スイッチング素子32a及び第2の放電用スイッチング素子32bの双方をオン操作してゲート電荷の放電速度を高速度とし、その後、これらスイッチング素子32a,32bのうち第2の放電用スイッチング素子32bをオフ操作して放電速度を低速度に変更する制御を行う。なお、本実施形態において、第1の放電用抵抗体30a及び第2の放電用抵抗体30bの抵抗値は、互いに同一であってもよいし、相違していてもよい。
ちなみに、本実施形態では、先の図2において、第1〜第4のコンパレータCMP1〜CMP4と、電源40,42,46,48が備えられておらず、差動増幅回路38,44の出力信号が異常判断部50に直接取り込まれるようになっている。ここで、本実施形態では、以降、差動増幅回路44の出力信号を第1の出力信号Vaと称し、差動増幅回路38の出力信号を第2の出力信号Vbと称すこととする。
次に、図11を用いて、本実施形態にかかる異常判断処理の手順を示す。
この一連の処理では、ステップS54において肯定判断された場合には、ステップS62に進み、オフ操作指令に切り替えられた直後における第1の出力信号Vaが「0」を上回るとの条件、及びオフ操作指令に切り替えられた直後における第2の出力信号Vbが「0」を上回るとの条件の論理和が真であるか否かを判断する。この処理は、第1の放電用抵抗体30aもしくは第2の放電用抵抗体30bにショート異常、又は第1の放電用スイッチング素子32a、第2の放電用スイッチング素子32b、第1の放電経路Ldaの一部である上記電気経路LA1もしくは第2の放電経路Ldbの一部である上記電気経路LB1にオープン異常が生じているか否かを判断するための処理である。
つまり、上記ショート異常が生じると、これら抵抗体30a,30bの両端の電位差が0となる。一方、上記オープン異常が生じると、第1の放電用抵抗体30a又は第2の放電用抵抗体30bに電流が流れないことから、抵抗体の両端の電位差が0となる。
ステップS62において肯定判断された場合には、ステップS64に進み、第1の放電用抵抗体30aもしくは第2の放電用抵抗体30bにショート異常、又は第1の放電用スイッチング素子32a、第2の放電用スイッチング素子32b、上記電気経路LA1もしくは電気経路LB1にオープン異常が生じている旨判断する。そして、ステップS52に進む。
一方、上記ステップS62において否定判断された場合には、ステップS66に進み、放電速度が高速度から低速度に変更された場合における第2の出力信号Vbが0を上回るか否かを判断する。この処理は、第2の放電用スイッチング素子32bにショート異常が生じているか否かを判断するための処理である。
つまり、放電速度が低速度に変更された状況下において、第2の放電用スイッチング素子32bにショート異常が生じると、ゲート電荷が第2の放電用スイッチング素子32bを介して流れるようになることから、第2の放電用抵抗体30bの両端に電位差が生じることとなる。
ステップS66において肯定判断された場合には、ステップS68に進み、第2の放電用スイッチング素子32bにショート異常が生じている旨判断する。そして、上記ステップS52に進む。
ちなみに、ステップS66を経由してステップS52に進んだ場合、その後制御装置14によってシャットダウン処理が行われる。
なお、上記ステップS54、S66において否定判断された場合や、ステップS52の処理が完了した場合には、この一連の処理を一旦終了する。
このように、本実施形態では、放電速度の変更前における第1の出力信号Va及び第2の出力信号Vbに基づく異常判断処理を行ってかつ、放電速度の変更後における第2の出力信号Vbに基づく異常判断処理を行った。こうした処理によれば、例えば上記第2の実施形態と比較して、アクティブゲートコントロール機能についての異常判断対象を拡大することができる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記第1の実施形態において、図2における第1〜第4のコンパレータCMP1〜CMP4のそれぞれの出力信号が各別に異常判断部50に入力される回路構成を採用してもよい。この場合、例えば、定電流用スイッチング素子28及び第1の放電用スイッチング素子32aがオン操作されてかつ、第2の放電用スイッチング素子32bがオフ操作されるとき、第1の放電用抵抗体30aのショート異常又は第1の放電用スイッチング素子32aもしくは第1の放電経路Ldaの一部である上記電気経路LA2にオープン異常が生じたことと、第1の放電用抵抗体30a又は第1の放電経路Ldaの一部である上記電気経路LA1にオープン異常が生じたこととを判別することができる。
また、上記第1の実施形態において、第1〜第4のコンパレータCMP1〜CMP4のそれぞれの出力端子同士を互いに接続し、この接続点の信号を判断信号として異常判断部50に入力される回路構成を採用してもよい。この場合、定電流用スイッチング素子28、第1の放電用スイッチング素子32a及び第2の放電用スイッチング素子32bの全てをオン操作し、上記判断信号の論理が「H」であると判断されたとき、第1の放電用抵抗体30aもしくは第2の放電用抵抗体30bのオープン異常もしくはショート異常、第1の放電用スイッチング素子32aもしくは第2の放電用スイッチング素子32bのオープン異常、又は上記電気経路LA1、電気経路LA2、第2の放電経路Ldbの一部である上記電気経路LB1もしくは電気経路LB2のオープン異常が生じている旨判断すればよい。
・放電速度を低速度とする放電経路、及び放電速度を高速度とする放電経路のうちいずれに異常が生じているかを制御装置14に通知する手法としては、上記第1の実施形態に例示したものに限らない。例えば、放電速度を低速度とする放電経路に異常が生じている旨をフェール信号によって伝達するためのインターフェース、及び放電速度を高速度とする放電経路に異常が生じている旨をフェール信号によって伝達するためのインターフェースを各別に備え、いずれの放電経路に異常が生じているかに応じてフェール信号FLを伝達するインターフェースを選択する手法を採用してもよい。
・上記第2の実施形態において、図7における第5,第6のコンパレータCMP5,CMP6のそれぞれの出力信号が各別に異常判断部50に入力される回路構成を採用してもよい。この場合、第1の放電用スイッチング素子32aのショート異常及び第2の放電用スイッチング素子32bのショート異常のうちいずれが生じているかを判別することができる。
・上記第2の実施形態にかかる異常判断手法と、上記第3の実施形態にかかる異常判断手法との双方を実行可能な構成をドライブユニットDUに備えてもよい。
・上記第4の実施形態において、先の図10における第7,第8のコンパレータCMP7,CMP8のそれぞれの出力信号が各別に異常判断部50に入力される回路構成を採用してもよい。この場合、第1の放電用抵抗体30a、第1の放電用スイッチング素子32a、第1の放電経路Lda、第2の放電用抵抗体30b、第2の放電用スイッチング素子32b又は第2の放電経路Ldbにオープン異常が生じたことと、第1の放電用抵抗体30a又は第2の放電用抵抗体30bにショート異常が生じたこととを判別することができる。
また、上記第4の実施形態において、第7のコンパレータCMP7又は第8のコンパレータCMP8を除去してもよい。ここで、例えば、第7のコンパレータCMP7を削除した場合、第1の放電用抵抗体30a又は第2の放電用抵抗体30bにショート異常が生じているか否かを判断することができる。
・上記第1の実施形態において、先の図5に示した手法に代えて、図12に示すように、複数の高電位側のスイッチング素子S¥p及び複数の低電位側のスイッチング素子S¥nのうち高電位側について異常判断処理を同時に行った後、低電位側について異常判断処理を同時に行う手法を採用してもよい。
・ゲート電荷の充電処理において、定電流制御に代えて、放電処理と同様に、抵抗値の相違する一対の充電経路(正の電荷の充電経路)を用いたアクティブゲートコントロールを行ってもよい。ここでは、ゲート電荷の充電が開始されてから完了されるまでの期間の途中において、ゲート電荷の充電速度を低速度から高速度に変更すべく、抵抗値の高い方の充電経路を選択した後、抵抗値の低い方の充電経路が選択されることとなる。こうした構成を採用する場合、充電処理におけるアクティブゲートコントロール機能の異常判断処理を、上記第1〜第7の実施形態で説明した異常判断手法に準じた手法で行うことができる。
・アクティブゲートコントロールを行うための回路構成としては、上記第1の実施形態の図2に例示したものに限らない。例えば、ゲートとエミッタとを接続する1つの放電経路と、この放電経路に設けられた複数の抵抗体と、これら抵抗体の一部の両端を短絡する短絡経路と、短絡経路を開閉すべくオンオフ操作される操作対象素子(例えばMOSFET)とを備えた回路構成を採用してもよい。この場合、放電速度を高速度としたい初期に限って上記操作対象素子をオン操作し、その後、操作対象素子をオフ操作することで放電速度を低速度に変更する。こうした構成においても、操作対象素子等の異常判断処理が有効である。なお、上記回路構成において、上記1つの放電経路と、この放電経路のうち上記短絡経路によって短絡される部分以外の経路及び短絡経路とが複数のオフ側充電経路に相当する。
また、アクティブゲートコントロールを行うための回路構成としては、放電経路の抵抗値を変更する回路構成に限らない。例えば、放電速度を高速度としたい放電処理の初期において、スイッチング素子S*#のゲートとエミッタとを接続する代わりに、ゲートをエミッタよりも低電位となる箇所に接続し、その後、ゲートをエミッタに接続することによって放電速度を変更する回路構成を採用してもよい。こうした構成においても、放電経路に備えられた放電用スイッチング素子に対する異常判断処理が有効である。
・放電速度の変更タイミングを把握する手法としては、上記第1の実施形態に例示したものに限らない。例えば、コレクタ・エミッタ間電圧Vceに基づき上記変更タイミングを把握する手法を採用してもよい。この場合、具体的には例えば、上記第1の実施形態において、オフ操作指令に切り替えられた後、コレクタ・エミッタ間電圧Vceが所定電圧を上回るタイミングを上記変更タイミングとして把握すればよい。
さらに、例えば、ゲート電圧又はオフ操作指令を用いて上記変更タイミングを把握する手法を採用してもよい。この場合、具体的には例えば、ゲートの放電処理によってゲート電圧Vgeの低下が開始されるタイミング又はオフ操作指令が入力されるタイミング(先の図3の時刻t1)から所定時間経過後のタイミングを上記変更タイミングとして把握する手法を採用すればよい。この手法は、ゲート電圧Vgeの低下が開始されてからコレクタ電流Iceが低下し始めるまでの時間を予め実験等によって把握可能なことに基づくものである。
・上記第7の実施形態の図11のステップS66において、放電速度が高速度から低速度に変更された場合における第1の出力信号Vaが所定電圧(>0)を下回るか否かを判断する処理を行ってもよい。ここで、上記所定電圧は、アクティブゲートコントロール機能に異常が生じていない場合において、放電速度が低速度に変更された直後の平均的な第1の出力信号Vaとして設定される。第2の放電用スイッチング素子32bにショート異常が生じた場合、第1の放電用抵抗体30aを流れる電流が低下する。このため、上記処理によっても、第2の放電用スイッチング素子32bにショート異常が生じているか否かを判断することができる。
・上記各実施形態では、ゲート電荷の放電が開始されてから完了されるまでの期間の途中においてゲート電荷の放電速度を変更するアクティブゲートコントロールを採用したがこれに限らない。例えば、上記期間の途中で切り替えずに、オン操作指令がなされる期間におけるコレクタ電流Ice(センス電圧Vse)に基づき、放電速度を低速度又は高速度のいずれかに固定して放電処理を行う制御ロジックを採用してもよい。なお、上記制御ロジックについて詳しく説明すると、この制御は、コレクタ電流Iceが規定電流(>0)以上であると判断された場合、放電速度を低速度とし、コレクタ電流Iceが規定電流未満であると判断された場合、放電速度を高速度とする制御である。この制御は、オン操作指令におけるコレクタ電流が小さいと、次回オフ操作される場合に高速度としてもコレクタ・エミッタ間電圧が許容上限値以下になると考えられることによるものである。
・高電圧バッテリ12とインバータIVとの間にコンバータCVを介在させないシステムを採用してもよい。この場合、高電圧バッテリ12が直流電源となる。
・駆動対象スイッチング素子としては、IGBTに限らず、例えばMOSFETであってもよい。また、オン側開閉素子及びオフ側開閉素子としては、電圧制御形のスイッチング素子(MOSFET)に限らず、例えば、電流制御形のスイッチング素子(例えばバイポーラトランジスタ)であってもよい。
・本願発明の適用対象としては、車両に搭載される電力変換回路(インバータIV及びコンバータCV)に限らない。また、本願発明の適用対象としては、電力変換回路に限らない。