以下、本発明の実施の形態による運搬車両を、鉱山で採掘した砕石物、土砂を運搬するダンプトラックを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
図1ないし図5は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は大型の運搬車両であるダンプトラックで、該ダンプトラック1は、自走可能な車体2と、該車体2上に傾転(起伏)可能に設けられたベッセル(荷台)3とにより大略構成されている。
ベッセル3は、例えば砕石物、土砂のような荷物(以下、土砂4という)を多量に積載するため全長が10〜13m(メートル)にも及ぶ大型の容器として形成されている。ベッセル3の後側底部は、車体2の後端側に連結ピン5を介して傾転可能に連結されている。また、ベッセル3の前側上部には、後述のキャブ6を上側から覆う庇部3Aが一体に設けられている。
即ち、ベッセル3の底部側は、車体2の後部側に連結ピン5を用いて回動可能に支持されている。ベッセル3の前部側(庇部3A側)は、後述のホイストシリンダ15を伸長または縮小させることにより、連結ピン5の位置を支点として上,下方向に昇降される。これにより、ベッセル3は、図1に示す運搬位置と図2に示す排出位置との間で回動される。例えば、図2に示す排出位置において、ベッセル3に積載された多量の土砂4は、後方へと傾いたベッセル3から矢示Y方向に滑り落ちるように所定の荷降し場に排出される。
6は庇部3Aの下側に位置して車体2の前部に設けられたキャブである。このキャブ6は、ダンプトラック1のオペレータが乗降する運転室を形成し、その内部には運転席、アクセルペダル、ブレーキペダル、駐車のときに用いる駐車ブレーキスイッチ、荷降し(排出)のときに用いるロードダンプブレーキスイッチ、操舵用のハンドル(いずれも図示せず)、後述の操作レバー39A(図4参照)等が設けられている。
ベッセル3の庇部3Aは、キャブ6を上側からほぼ完全に覆うことにより、例えば岩石等の飛び石からキャブ6を保護する。また、ベッセル3の庇部3Aは、車両(ダンプトラック1)の転倒時にキャブ6内のオペレータを保護する機能を有している。
7は車体2の前部側に回転可能に設けられた左,右の前輪(一方のみ図示)を示している。これらの前輪7は、ダンプトラック1のオペレータによって操舵(ステアリング操作)される操舵輪を構成している。前輪7は後述の後輪9と同様に、例えば2〜4メートルに及ぶタイヤ径(外径寸法)をもって形成されている。車体2の前部と前輪7との間には、例えば油圧緩衝器等からなるフロントサスペンション8が設けられ、このフロントサスペンション8は、車体2の前部側を前輪7との間で懸架するものである。フロントサスペンション8には、後述するサスペンション圧力センサ42が設けられている。
9は車体2の後部側に回転可能に設けられた左,右の後輪(一方のみ図示)を示している。これらの後輪9は、ダンプトラック1の駆動輪を構成し、走行駆動装置(図示せず)により回転駆動されるものである。後輪9と車体2の後部との間には、例えば油圧緩衝器等からなるリヤサスペンション10が設けられ、このリヤサスペンション10は、車体2の後部側を後輪9との間で懸架するものである。リヤサスペンション10には、後述するサスペンション圧力センサ42が設けられている。
11は左,右の前輪7に制動力を付与する左,右の前輪ブレーキ装置(一方のみ図示)を示し、12は左,右の後輪9に制動力を付与する左,右の後輪ブレーキ装置(一方のみ図示)を示している。これら各ブレーキ装置11,12は、サービスブレーキ(常用ブレーキ)として用いられるもので、例えば油圧式のブレーキ装置として構成されている。各ブレーキ装置11,12は、例えばオペレータによるブレーキペダルの操作等に基づいて、前輪7および後輪9に制動力を付与する。
また、後輪ブレーキ装置12は、荷降し場等でベッセル3から荷物を排出するときに、オペレータによるロードダンプブレーキスイッチの操作に基づいて、後輪9に制動力を付与する。これにより、ベッセル3から荷物を排出するときに、ダンプトラック1が停車位置から動かないようにすることができる。
13はダンプトラック1の駐車時に左,右の後輪9に制動力を付与する左,右の駐車ブレーキ装置(一方のみ図示)を示している。この駐車ブレーキ装置13は、例えば左,右の後輪ブレーキ装置12よりも容量の小さいブレーキ装置として構成することができる。駐車ブレーキ装置13は、ダンプトラック1の駐車時に、オペレータによる駐車ブレーキスイッチの操作に基づいて、後輪9に制動力を付与する。
14は原動機としてのエンジンで、該エンジン14は、例えば大型のディーゼルエンジン等により構成されている。エンジン14は、キャブ6の下側に位置して車体2内に設けられ、後述の油圧ポンプ16(図4参照)等を回転駆動するものである。
15はベッセル3と車体2との間に伸縮可能に設けられた左,右一対のホイストシリンダ(一方のみ図示)である。このホイストシリンダ15は、多段式(例えば、2段式)の油圧シリンダからなり、図4に示すように、外側に位置する外筒部15Aと、該外筒部15A内に伸縮可能に設けられた内筒部15Bと、該内筒部15B内に伸縮可能に設けられたピストンロッド15C、ピストン15Dとによって構成されている。そして、ホイストシリンダ15の外筒部15A内は、内筒部15B、ピストンロッド15Cおよびピストン15Dによりロッド側油室15E,15Fとボトム側油室15Gとの3室に画成されている。
このとき、ロッド側油室15Fは、内筒部15Bに設けられたポート15Hを介してロッド側油室15Eとボトム側油室15Gとのいずれかに連通されるものである。即ち、ホイストシリンダ15のピストン15Dは、内筒部15B内を軸方向(上,下方向)に摺動変位することにより、ピストン15Dがポート15Hよりも上側に位置するときには、図4に示すように、ロッド側油室15Fをポート15Hを介してロッド側油室15Eに連通させ、ピストン15Dがポート15Hよりも下側となる位置まで変位したときには、ロッド側油室15Fをポート15Hを介してボトム側油室15Gに連通させる。
そして、ホイストシリンダ15は、後述する油圧ポンプ16からボトム側油室15G内に圧油が供給されたときに、内筒部15Bがピストンロッド15Cと一緒に下向きに伸長し、内筒部15Bが最大伸長したときには、さらにピストンロッド15Cのみが下向きに伸長する。これにより、ホイストシリンダ15は、連結ピン5を支点としてベッセル3を斜め後方へと傾斜した上げ位置(排土位置)へと回動させる。
一方、ホイストシリンダ15は、ピストンロッド15Cが最大伸長した状態で油圧ポンプ16からロッド側油室15E内に圧油が供給されると、まずピストンロッド15Cのみが縮小し、その後は内筒部15Bがピストンロッド15Cと一緒に縮小する。これにより、ホイストシリンダ15は、連結ピン5を支点としてベッセル3を下向きに下降した下げ位置(運搬位置)へと回動させる。
次に、ホイストシリンダ15を駆動するための油圧回路について、図4を参照して説明する。
16は油圧ポンプを示し、該油圧ポンプ16は、作動油タンク17(以下、タンク17という)と共にホイストシリンダ15に圧油を供給,排出する油圧源を構成している。タンク17は、例えば図1に示すようにベッセル3の下方に位置して車体2の側面に取付けられている。ここで、タンク17内に収容された作動油(油液)は、油圧ポンプ16がエンジン14により回転駆動されるときに、油圧ポンプ16に吸込まれる。そして、油圧ポンプ16の吐出側からは高圧の圧油がポンプ管路18内に吐出される。また、ホイストシリンダ15からの戻り油は、低圧のタンク管路19を介してタンク17へと排出されるものである。
20A,20Bはホイストシリンダ15のボトム側油室15G、ロッド側油室15E,15Fに接続された一対の主管路を構成する油圧管路を示している。この油圧管路20A,20Bは、後述の制御弁装置21を介して油圧源(油圧ポンプ16、タンク17)にそれぞれ接続され、その先端側は、ホイストシリンダ15のピストンロッド15C内を通ってホイストシリンダ15のボトム側油室15G,ロッド側油室15Eに接続されている。また、ホイストシリンダ15のロッド側油室15Fは、ピストン15Dの摺動位置に応じてロッド側油室15Eまたはボトム側油室15Gにポート15Hを介して連通される。そして、油圧管路20A,20Bは、油圧ポンプ16からの圧油をホイストシリンダ15のボトム側油室15G,ロッド側油室15Eおよび/またはロッド側油室15Fに供給する。また、ボトム側油室15G,ロッド側油室15Eおよび/またはロッド側油室15F内の圧油は、油圧管路20A,20Bのいずれかを通じてタンク17に排出されるものである。
21は油圧ポンプ16、タンク17とホイストシリンダ15との間に設けられた制御弁装置を示している。制御弁装置21は、ホイストシリンダ15に対する圧油の供給,排出を制御するもので、例えば高圧側油路22、低圧側油路23A,23B、センタバイパス油路24、第1の方向制御弁25および第2の方向制御弁26を含んで構成されている。第1の方向制御弁25と第2の方向制御弁26とは、高圧側油路22、低圧側油路23A,23B、センタバイパス油路24を介して互いにパラレル接続されている。
高圧側油路22は、ポンプ管路18を介して油圧ポンプ16の吐出側に接続され、途中部位には、後述する分岐管路33が接続されている。低圧側油路23Aは、第1の方向制御弁25側に配置され、後述するアクチュエータ側油路27A,27Bをタンク管路19を介してタンク17に接続させるものである。低圧側油路23Bは、第2の方向制御弁26側に配置され、後述するアクチュエータ側油路28A,28Bをタンク管路19を介してタンク17に接続させるものである。センタバイパス油路24は、第1,第2の方向制御弁25,26が共に中立位置(N)にあるときにポンプ管路18とタンク管路19とを連通させる。これにより、油圧ポンプ16はアンロード状態となり、その吐出圧力(ポンプ管路18内の圧力)はタンク圧に近い低圧状態に保たれる。
第1の方向制御弁25の出力側には、一対のアクチュエータ側油路27A,27Bが設けられ、該アクチュエータ側油路27A,27Bは、油圧管路20A,20Bを介してホイストシリンダ15のボトム側油室15G、ロッド側油室15E,15Fにそれぞれ接続されている。第2の方向制御弁26の出力側には、一対のアクチュエータ側油路28A,28Bが設けられ、該アクチュエータ側油路28A,28Bは、油圧管路20A,20Bを介してホイストシリンダ15のボトム側油室15G、ロッド側油室15E,15Fにそれぞれ接続されている。
第1の方向制御弁25と第2の方向制御弁26は、例えば6ポート3位置の油圧パイロット式方向制御弁によりそれぞれ構成されている。第1の方向制御弁25は、一対の油圧パイロット部25A,25Bを有している。第1の方向制御弁25は、後述する上げ操作用の電磁弁36から油圧パイロット部25Aにパイロット圧が供給されると、中立位置(N)から上げ位置(R)に切換えられ、後述する浮き操作用の電磁弁38から油圧パイロット部25Bにパイロット圧が供給されたときには、中立位置(N)から浮き位置(F)へと切換えられる。
第2の方向制御弁26は、一対の油圧パイロット部26A,26Bを有している。第2の方向制御弁26は、上げ操作用の電磁弁36からパイロット圧が油圧パイロット部26Aに供給されると、中立位置(N)から上げ位置(R)に切換えられ、後述する下げ操作用の電磁弁37から油圧パイロット部26Bにパイロット圧が供給されたときには、中立位置(N)から下げ位置(L)へと切換えられるものである。
即ち、図4に示すように、制御弁装置21は、中立位置(N)、上げ位置(R)、下げ位置(L)および浮き位置(F)からなる複数の切換位置を有し、これら各切換位置のうちのいずれの位置に切換えられるものである。ここで、制御弁装置21が中立位置(N)にある場合について述べる。この場合、制御弁装置21は、第1,第2の方向制御弁25,26が共に中立位置(N)に配置されることにより、ホイストシリンダ15の動きを止めベッセル3を保持する保持位置となる。この保持位置となる中立位置(N)では、ホイストシリンダ15に対するアクチュエータ側油路27A,27Bとアクチュエータ側油路28A,28Bとを介した圧油の供給,排出が停止される。
また、制御弁装置21が上げ位置となる場合について述べる。この場合には、後述の上げ操作用の電磁弁36から第1,第2の方向制御弁25,26の油圧パイロット部25A,26Aにパイロット圧を供給し、第1,第2の方向制御弁25,26を共に中立位置(N)から上げ位置(R)に切換える。第1,第2の方向制御弁25,26が上げ位置(R)になると、油圧ポンプ16からの圧油は、ポンプ管路18、高圧側油路22、第1,第2の方向制御弁25,26、アクチュエータ側油路27A,28A、油圧管路20Aを介してホイストシリンダ15のボトム側油室15G内に供給される。このとき、ロッド側油室15E,15F内の油液は、第1の方向制御弁25が上げ位置(R)に切換わることにより、油圧管路20B、アクチュエータ側油路27B、方向制御弁25、低圧側油路23Aおよびタンク管路19を介してタンク17に戻される。
これにより、ホイストシリンダ15の内筒部15Bおよび/またはピストンロッド15Cは、ボトム側油室15G内の圧油により伸長してベッセル3を図2に示す排出位置へと持上げる。即ち、このときに制御弁装置21の第1,第2の方向制御弁25,26は共に上げ位置(R)に配置され、ホイストシリンダ15は、油圧力で伸長することによりベッセル3を上向きに持上げるものである。
一方、制御弁装置21が浮き位置となる場合について述べる。この場合には、後述の浮き操作用の電磁弁38から第1の方向制御弁25の油圧パイロット部25Bにパイロット圧を供給し、第1の方向制御弁25を中立位置(N)から浮き位置(F)に切換え、第2の方向制御弁26は、中立位置(N)に配置する。第1の方向制御弁25が浮き位置(F)になると、アクチュエータ側油路27Aが方向制御弁25を介して低圧側油路23A、タンク管路19へと接続される。また、アクチュエータ側油路27Bは、後述のチェック弁29Bを介してタンク管路19側に接続されると共に、他のアクチュエータ側油路28Bは、後述のチェック弁31Bを介して低圧側油路23B、タンク管路19へと接続される。
これにより、ホイストシリンダ15は、ベッセル3からの荷重(自重)に従って縮小し、ボトム側油室15G内の油液は、油圧管路20A、アクチュエータ側油路27A、方向制御弁25、低圧側油路23Aおよびタンク管路19を介してタンク17に向けて排出されると共に、ロッド側油室15E,15F内には、タンク17内の油液が後述のチェック弁29B,31Bからアクチュエータ側油路27B,28Bおよび油圧管路20Bを介して補給される。即ち、このときに制御弁装置21の第1の方向制御弁25は、ベッセル3の自重落下を許す浮き位置(F)に配置されるものである。
また、制御弁装置21が下げ位置となる場合について述べる。この場合には、後述の下げ操作用の電磁弁37から第2の方向制御弁26の油圧パイロット部26Bにパイロット圧を供給し、第2の方向制御弁26を中立位置(N)から下げ位置(L)に切換え、第1の方向制御弁25は、中立位置(N)に配置する。第2の方向制御弁26が下げ位置(L)になると、油圧ポンプ16からの圧油がポンプ管路18、高圧側油路22、第2の方向制御弁26、アクチュエータ側油路28B、油圧管路20Bを介してホイストシリンダ15のロッド側油室15E,15F内に供給される。また、ボトム側油室15G内の油液は、油圧管路20A、アクチュエータ側油路28A、第2の方向制御弁26、低圧側油路23Bおよびタンク管路19を介してタンク17に戻される。
これにより、ホイストシリンダ15の内筒部15Bおよび/またはピストンロッド15Cは、ロッド側油室15E,15F内の圧油により縮小してベッセル3を図1に示す運搬位置へと下向きに回動させる。即ち、このときに制御弁装置21の第2の方向制御弁26は下げ位置(L)に配置され、ホイストシリンダ15は、油圧力で縮小することによりベッセル3を車体2上に着座する位置へと降下させる(下げる)ものである。
29A,29Bは制御弁装置21の第1の方向制御弁25側に配設されたメイクアップ用のチェック弁である。このチェック弁29A,29Bは、アクチュエータ側油路27A,27Bと低圧側油路23A(タンク管路19)との間に第1の方向制御弁25を迂回して設けられている。チェック弁29A,29Bは、タンク17内の油液が低圧側油路23A(タンク管路19)からアクチュエータ側油路27A,27B、油圧管路20A,20Bを介してホイストシリンダ15のボトム側油室15G,ロッド側油室15E,15Fに向けて流通するのを許し、逆向きに流れるのを阻止する。ホイストシリンダ15のボトム側油室15G,ロッド側油室15E,15Fは、チェック弁29A,29Bを介して補給される油液によりボトム側油室15G,ロッド側油室15E,15F内が負圧となるのを防止できるものである。
30A,30Bは制御弁装置21に設けた過負荷防止用のリリーフ弁である。このリリーフ弁30A,30Bは、アクチュエータ側油路27A,27Bと低圧側油路23A(タンク管路19)との間に第1の方向制御弁25を迂回して設けられ、チェック弁29A,29Bと並列に接続されている。リリーフ弁30A,30Bのうち一方のリリーフ弁30Aは、ホイストシリンダ15に対し縮小方向の過負荷が作用すると、ボトム側油室15G側の過剰圧をリリーフするために開弁する。また、他方のリリーフ弁30Bは、ホイストシリンダ15に対し伸長方向の過負荷が作用すると、ロッド側油室15E,15F側の過剰圧をリリーフするために開弁するものである。
31A,31Bは制御弁装置21の第2の方向制御弁26側に配設されたメイクアップ用のチェック弁である。このチェック弁31A,31Bは、アクチュエータ側油路28A,28Bと低圧側油路23B(タンク管路19)との間に第2の方向制御弁26を迂回して設けられている。チェック弁31A,31Bは、例えばタンク17内の油液が低圧側油路23B(タンク管路19)からアクチュエータ側油路28A,28B、油圧管路20A,20Bを介してホイストシリンダ15のボトム側油室15G,ロッド側油室15E,15Fに向けて流通するのを許し、逆向きに流れるのを阻止する。これにより、チェック弁31A,31Bは、ホイストシリンダ15のボトム側油室15G,ロッド側油室15E,15Fに油液を補給するものである。
32はポンプ管路18と低圧側油路23A(タンク17)との間に設けられたメインのリリーフ弁を示し、該リリーフ弁32は、油圧ポンプ16の最大吐出圧を決め、ポンプ管路18内の圧力を最大吐出圧以下に抑える。即ち、リリーフ弁32は、ポンプ管路18内に最大吐出圧を越える過剰な圧力が発生すると開弁し、このときの過剰圧をタンク17側にリリーフするものである。
33は高圧側油路22(ポンプ管路18)から分岐した分岐管路で、該分岐管路33は、減圧弁34を介してパイロット圧供給管路35に接続されている。減圧弁34は、分岐管路33内の圧油を減圧してパイロット圧供給管路35に供給するため、図4に示す閉弁位置(a)と開弁位置(b)とに切換わる。これにより、パイロット圧供給管路35内の圧力は、減圧弁34により予め決められた設定圧力(即ち、分岐管路33内よりも低い圧力)に保たれる。
36,37,38は制御弁装置21の第1,第2の方向制御弁25,26の油圧パイロット部25A,26Aにパイロット圧を供給するための電磁弁である。これらの電磁弁36〜38は、後述するコントローラ43と制御弁装置21との間に設けられている。電磁弁36〜38は、後述する操作レバー装置39の操作に従ってそれぞれ個別に開,閉弁され、開弁時に制御弁装置21(第1,第2の方向制御弁25,26の油圧パイロット部25A,26A)に対し切換制御用のパイロット圧を供給するものである。
このうち上げ操作用の電磁弁36は、コントローラ43からの励磁信号に従って閉弁位置(c)から開弁位置(d)に切換わり、この開弁位置(d)ではパイロット圧供給管路35から第1,第2の方向制御弁25,26の油圧パイロット部25A,26Aに向けて上げ操作用のパイロット圧を供給する。これにより、制御弁装置21の方向制御弁25,26は、図4に示す中立位置(N)から上げ位置(R)に切換えられる。
また、下げ操作用の電磁弁37は、コントローラ43からの励磁信号に従って閉弁位置(c)から開弁位置(d)に切換わり、この開弁位置(d)ではパイロット圧供給管路35から第2の方向制御弁26の油圧パイロット部26Bに向けて下げ操作用のパイロット圧を供給する。これにより、制御弁装置21の第2の方向制御弁26は、図4に示す中立位置(N)から下げ位置(L)に切換えられる。このとき、電磁弁36,38は消磁されて閉弁位置(C)にあるため、第1の方向制御弁25は中立位置(N)に配置される。
一方、浮き操作用の電磁弁38は、コントローラ43からの励磁信号に従って閉弁位置(c)から開弁位置(d)に切換わり、この開弁位置(d)ではパイロット圧供給管路35から第1の方向制御弁25の油圧パイロット部25Bに向けて浮き操作用のパイロット圧を供給する。これにより、制御弁装置21の第1の方向制御弁25は、図4に示す中立位置(N)から浮き位置(F)に切換えられる。このとき、電磁弁36,37は消磁されて閉弁位置(C)にあるため、第2の方向制御弁26は中立位置(N)に配置される。
39は制御弁装置21の切換操作を行う操作装置としての操作レバー装置で、該操作レバー装置39は、例えば電気レバー装置により構成され、キャブ6の運転席の近傍位置に設けられている。操作レバー装置39は、キャブ6内のオペレータによって手動で傾転操作される操作レバー39Aを有している。そして、操作レバー39Aは、制御弁装置21の各切換位置、即ち、中立位置(N)、上げ位置(R)、下げ位置(L)および浮き位置(F)に対応して、中立位置(N)、上げ位置(R)、下げ位置(L)および浮き位置(F)のいずれかに傾転される。
40は操作レバー装置39に付設された切換位置検出手段としてのレバーセンサである。このレバーセンサ40は、オペレータによる操作レバー39Aの操作位置(レバー位置)を検出し、その検出信号を後述のコントローラ43に出力する。レバーセンサ40は、操作レバー装置39の操作レバー39Aが中立位置(N)、上げ位置(R)、下げ位置(L)および浮き位置(F)のうちいずれの位置にあるかを検出することにより、制御弁装置21がいずれの切換位置に切換えられているかを検出するものである。
41は本実施の形態で採用した傾斜位置検出手段としての角度センサで、該角度センサ41は、例えば図1に示すように、連結ピン5の近傍に位置して車体2の後部側に設けられている。角度センサ41は、ベッセル3の傾斜位置を検出するもので、図2および図3に示すように、車体2に対するベッセル3の傾斜角度θ(θa,θb)を検出し、その検出信号を後述のコントローラ43に出力する。
42はベッセル3の積荷を検出する積荷検出手段としてのサスペンション圧力センサで、該サスペンション圧力センサ42は、例えば図1に示すように、フロントサスペンション8とリヤサスペンション10にそれぞれ設けられ、積荷重量の変化によるこれら両サスペンション8,10の内圧変化を検出し、その検出信号を後述のコントローラ43に出力する。
コントローラ43側では、サスペンション圧力センサ42からの検出信号に従って、ベッセル3に荷物が積載されているか空荷であるかを判定する。即ち、サスペンション8,10の内圧(圧力)は、ベッセル3が空荷のときに最も低く、ベッセル3に積載される荷物(土砂4)が増大するほど高くなる。そこで、サスペンション圧力センサ42により検出されるサスペンション圧力が、空荷であるか否かを判定するための閾値となる空荷時サスペンション圧力を超えているときは、ベッセル3に荷物が積載されていると判定し、同じくサスペンション圧力が空荷時サスペンション圧力以下であるときは、ベッセル3が空荷であると判定することができる。
43はマイクロコンピュータからなる制御手段としてのコントローラである。このコントローラ43は、その入力側がレバーセンサ40、角度センサ41、サスペンション圧力センサ42等に接続され、その出力側は電磁弁36〜38等に接続されている。また、コントローラ43は、ROM,RAM,不揮発性メモリ等からなる記憶部43Aを有し、この記憶部43A内には、後述の図5に示す処理プログラム、積荷時のベッセル3の上限傾斜位置となる積荷時上限傾斜角度θa、空荷時のベッセル3の上限傾斜位置となる空荷時上限傾斜角度θb、ベッセル3が空荷であるか否(荷物を積載している)かを判定するための閾値(空荷時サスペンション圧力)等が格納されている。
ここで、コントローラ43は、後述する図5の処理プログラムに従って、ベッセル3の持上げ動作を行う。具体的には、コントローラ43は、サスペンション圧力センサ42の検出信号によりベッセル3に荷物が積載されていると判定されたときは、ベッセル3の持上げ動作を、図2に示す積荷時上限傾斜角度θaまで許すように構成している。一方、コントローラ43は、サスペンション圧力センサ42の検出信号によりベッセル3が空荷であると判定されたときは、ベッセル3の持上げ動作を、図3に示す空荷時上限傾斜角度θb、即ち、積荷時上限傾斜角度θaよりもベッセル3の高さが低くなる空荷時上限傾斜角度θbに制限する構成としている。
このために、コントローラ43は、レバーセンサ40、角度センサ41、サスペンション圧力センサ42からの検出信号により、制御弁装置21の切換位置に対応する操作レバー39Aのレバー位置が上げ位置(R)にあって、ベッセル3が空荷であり、かつ、該ベッセル3の傾斜角度θが空荷時上限傾斜角度θbに達したと判定したときに、制御弁装置21の方向制御弁25,26を上げ位置(R)から中立位置(N)に切換える制御を行う。この場合、図3に示すように、空荷時上限傾斜角度θbを、建屋44の天井高さよりも低い高さに対応する角度に設定することにより、ベッセル3の持上げ動作のときに、該ベッセル3が建屋44の天井等に接触することを抑制することができる。
一方、ベッセル3に荷物が積載されているときは、コントローラ43は、空荷時上限傾斜角度θbよりもベッセル3の高さが高くなる積荷時上限傾斜角度θaに達したと判定したときに、制御弁装置21の方向制御弁25,26を上げ位置(R)から中立位置(N)に切換える制御を行う。これにより、荷物の排出時には、ベッセル3の傾斜角度θを十分に大きくすることができ、円滑な排出作業を確保することができる。
第1の実施の形態によるダンプトラック1は、上述の如き構成を有するものであり、次に、その作動について説明する。
まず、鉱山等の砕石場では、例えば大型の油圧ショベル(図示せず)を用いて荷物となる土砂4をベッセル3上に積載する。このとき、ベッセル3は図1に示す運搬位置に置かれ、ダンプトラック1は、ベッセル3上に土砂4を多量に積載した状態で荷降し場に向けて運搬する。
荷降し場等においては、キャブ6内のオペレータが、操作レバー装置39の操作レバー39Aを手動で中立位置(N)から上げ位置(R)に傾転操作すると、コントローラ43から上げ操作用の電磁弁36に励磁信号が出力される。これにより、電磁弁36は、閉弁位置(c)から開弁位置(d)に切換わり、パイロット圧供給管路35から制御弁装置21の方向制御弁25,26の油圧パイロット部25A,26Aに向けて上げ操作用のパイロット圧が供給される。
これにより、制御弁装置21は中立位置(N)から上げ位置(R)に切換えられる。この結果、油圧ポンプ16からの圧油は、ポンプ管路18、高圧側油路22、第1,第2の方向制御弁25,26、アクチュエータ側油路27A,28A、油圧管路20Aを介してホイストシリンダ15のボトム側油室15G内に供給される。また、ロッド側油室15E,15F内の油液は、油圧管路20B、アクチュエータ側油路27B、第1の方向制御弁25、低圧側油路23Aおよびタンク管路19を介してタンク17へと戻される。
これにより、ホイストシリンダ15の内筒部15Bおよび/またはピストンロッド15Cは、ボトム側油室15G内の圧油により、図2中の矢示Z方向に伸長し、ベッセル3を斜め後方へと傾斜させるように図2に示す排土位置へと持上げる。このとき、ダンプトラック1は、ベッセル3が連結ピン5を支点として図2に示す如き傾斜姿勢に回動することにより、ベッセル3内の土砂4を下方へと滑り落とすように荷降し場に向けて矢示Y方向に排出することができる。
このとき、オペレータが操作レバー39Aから手を離すと、操作レバー39Aは、戻しばね(図示せず)により中立位置(N)に自動的に復帰する。このため、コントローラ43から電磁弁36に出力される信号は消磁(OFF)状態となり、上げ操作用の電磁弁36は図4に示す閉弁位置(c)に復帰する。これにより、制御弁装置21の方向制御弁25,26は中立位置(N)に自動的に戻り、ホイストシリンダ15のボトム側油室15G,ロッド側油室15E、15Fに対する圧油の供給,排出を停止すると共に、内筒部15Bおよびピストンロッド15Cを伸長状態に保つことができ、ベッセル3を図2に示す傾斜姿勢のままで一時停止させることができる。
次に、土砂4の排出作業が終了すると、オペレータが操作レバー39Aを手動で中立位置(N)から浮き位置(F)まで傾転操作することにより、コントローラ43から浮き操作用の電磁弁38に励磁信号が出力される。このため、浮き操作用の電磁弁38は、閉弁位置(c)から開弁位置(d)に切換わり、パイロット圧供給管路35から第1の方向制御弁25の油圧パイロット部25Bに向けて浮き操作用のパイロット圧が供給される。
これにより、制御弁装置21の第1の方向制御弁25は中立位置(N)から浮き位置(F)に切換えられる。このとき、電磁弁36,37は消磁されて閉弁位置(C)にあるため、第2の方向制御弁26は中立位置(N)に配置される。この結果、アクチュエータ側油路27Aが方向制御弁25を介して低圧側油路23A、タンク管路19へと接続され、アクチュエータ側油路27Bは、チェック弁29Bを介してタンク管路19側に接続されると共に、他のアクチュエータ側油路28Bは、チェック弁31Bを介して低圧側油路23B、タンク管路19へと接続される。これにより、ホイストシリンダ15は、ベッセル3からの荷重(自重)に従って縮小し、ボトム側油室15G内の油液がタンク17に向けて排出されると共に、ロッド側油室15E,15F内にはチェック弁29Bまたは/およびチェック弁31Bを介してタンク17内の油液が補給される。ホイストシリンダ15は、ベッセル3の自重による落下を許すことにより、ベッセル3を図1に示す運搬位置へと下降することができ、ベッセル3を車体2上に着座させることができる。
一方、ダンプトラック1が作業現場の凹凸、傾斜地等で傾いた状態にあるときには、制御弁装置21を浮き位置(F)に切換えても、ベッセル3が自重により下降しないことがある。しかし、このような場合には、オペレータが操作レバー39Aを下げ位置(L)まで傾転操作することにより、コントローラ43から下げ操作用の電磁弁37に励磁信号が出力される。このため、下げ操作用の電磁弁37は、閉弁位置(c)から開弁位置(d)に切換わり、パイロット圧供給管路35から第2の方向制御弁26の油圧パイロット部26Bに向けて下げ操作用のパイロット圧が供給される。
これにより、制御弁装置21の第2の方向制御弁26は中立位置(N)から下げ位置(L)に切換えられる。このとき、電磁弁36,38は消磁されて閉弁位置(C)にあるため、第1の方向制御弁25は中立位置(N)に配置される。この結果、油圧ポンプ16からの圧油がポンプ管路18、高圧側油路22、第2の方向制御弁26、アクチュエータ側油路28B、油圧管路20Bを介してホイストシリンダ15のロッド側油室15E,15F内に供給される。また、ボトム側油室15G内の油液は、油圧管路20A、アクチュエータ側油路28A、第2の方向制御弁26、低圧側油路23Bおよびタンク管路19を介してタンク17に戻される。これにより、ホイストシリンダ15は、ロッド側油室15E,15F内に供給された圧油により、内筒部15Bおよび/またはピストンロッド15Cが外筒部15A内へと縮小し、ベッセル3をホイストシリンダ15の油圧力で図1に示す運搬位置へと下向きに回動することができ、ベッセル3を車体2上に強制的に着座させることができる。
しかし、このように制御弁装置21を下げ位置(L)に切換えたときには、ホイストシリンダ15を油圧力で縮小させるため、ベッセル3が車体2上に着座するときに衝撃が発生する虞れがあり、ベッセル3と車体2とに余分な負荷を与える可能性がある。また、その後も下げ位置(L)に切換えておくと、ベッセル3が車体2上に強く押付けられたままの状態となり、ベッセル3と車体2との当接面にはホイストシリンダ15からの油圧力が余分な負荷となって作用する。このため、ダンプトラック1のオペレータは、車両の走行時に操作レバー39Aを浮き位置(F)に自己保持させる。これにより、制御弁装置21は浮き位置(F)に切換わり、ベッセル3は自重によって車体2上に着座し続け、ホイストシリンダ15もベッセル3側の自重を利用して縮小状態に保つことができる。
ところで、ダンプトラック1の保守、点検、整備等を目的として建屋44内でベッセル3の持上げ動作を行う場合、ベッセル3の上限高さが建屋44の天井高さよりも高いと、ベッセル3が建屋44の天井に接触する虞がある。そこで、第1の実施の形態では、ベッセル3の持上げ動作を行うときに、コントローラ43による制御弁装置21の切換制御を、図5に示す処理プログラムに沿って行う。
即ち、エンジン9の稼働(始動)により、図5の処理動作がスタートすると、ステップ1では、レバーセンサ40から操作レバー39Aの位置信号を読込む(検出する)。続いて、ステップ2に進み、制御弁装置21の切換位置に対応する操作レバー39Aの切換位置(レバー位置)が上げ位置(R)であるか否かを判定する。このステップ2で、「NO」、即ち、操作レバー39Aの切換位置が上げ位置(R)ではないと判定された場合は、リターンを介してスタートに戻り、ステップ1以降の処理を繰返す。
一方、ステップ2で、「YES」、即ち、操作レバー39Aの切換位置が上げ位置(R)であると判定された場合は、ステップ3に進み、サスペンション圧力センサ42からフロントサスペンション8およびリヤサスペンション10の内圧(圧力)を読込む(検出する)。続いて、ステップ4に進み、ベッセル3が空荷であるか否かを判定する。この判定は、例えば、ステップ3で検出されたサスペンション圧力が、予め設定した空荷時サスペンション圧力を超えたか否かにより判定することができる。
即ち、ステップ3で検出されたサスペンション圧力が空荷時サスペンション圧力を超えているときは、ベッセル3に荷物が積載されていると判定することができ、同じくサスペンション圧力が空荷時サスペンション圧力以下であるときは、ベッセル3が空荷であると判定することができる。空荷であるか否かの閾値となる空荷時サスペンション圧力は、空荷であるか否かの判定を適切に行うことができるように、予め実験、計算、シミュレーション等に基づいてその値を設定する。
ステップ4で、「NO」、即ち、ベッセル3が空荷でない(ベッセル3に荷物が積載されている)と判定された場合は、ステップ5に進み、ベッセル3の上限傾斜位置、即ち、積荷時のベッセル3の最大高さに対応する上限角度を積荷時上限角度θaに設定する。次いで、ステップ6に進み、角度センサ41からベッセル3の傾斜角度θを読込み(検出し)、次なるステップ7に進む。
ステップ7では、ステップ6で検出されたベッセル3の傾斜角度θが積荷時上限角度θa未満か否かを判定する。このステップ7で、ベッセル3の傾斜角度θが積荷時上限角度θa未満であると判定された場合は、ステップ8に進み、制御弁装置21を上げ位置(R)に切換える。即ち、コントローラ43から上げ操作用の電磁弁36に励磁信号を出力し、電磁弁36を閉弁位置(c)から開弁位置(d)に切換える。これにより、パイロット圧供給管路35から制御弁装置21の方向制御弁25,26の油圧パイロット部25A,26Aに向けて上げ操作用のパイロット圧が供給され、第1,第2の方向制御弁25,26が共に上げ位置(R)に切換わる。この結果、ホイストシリンダ15が伸長し、ベッセル3が連結ピン5を支点として斜め後方へと傾斜する。ステップ8で制御弁装置21を上げ位置(R)に切換えたならば、リターンを介してスタートに戻り、ステップ1以降の処理を繰返す。
一方、ステップ7で、ベッセル3の傾斜角度θが積荷時上限角度θaに達した、即ち、ベッセル3の傾斜角度θが積荷時上限角度θa以上になったと判定された場合は、ステップ9に進み、制御弁装置21を中立位置(N)に切換える。即ち、コントローラ43から電磁弁36に励磁信号を出力するのを停止し、各電磁弁36〜38を閉弁位置(c)にする。これにより、制御弁装置21の方向制御弁25,26は中立位置(N)となり、ホイストシリンダ15のボトム側油室15G,ロッド側油室15E、15Fに対する圧油の供給,排出が停止される。この結果、ホイストシリンダ15の内筒部15Bおよびピストンロッド15Cを伸長状態に保つことができ、ベッセル3の上げ動作を停止させることができる。このとき、ベッセル3は、図2に示すように、積荷時上限角度θaまで持ち上がるため、ベッセル3の傾斜角度θを十分に大きくすることができ、円滑な土砂4の排出作業を確保することができる。ステップ9で制御弁装置21を中立位置(N)に切換えたならば、リターンを介してスタートに戻り、ステップ1以降の処理を繰返す。
一方、ステップ4で、「YES」、即ち、ベッセル3が空荷であると判定された場合は、ステップ10に進み、ベッセル3の上限傾斜位置、即ち、空荷時のベッセル3の最大高さに対応する上限角度を空荷時上限角度θbに設定する。次いで、ステップ11に進み、ステップ6と同様に、角度センサ41からベッセル3の傾斜角度θを読込み(検出し)、次なるステップ12に進む。
ステップ12では、ステップ11で検出されたベッセル3の傾斜角度θが空荷時上限角度θb未満か否かを判定する。このステップ12で、ベッセル3の傾斜角度θが空荷時上限角度θb未満であると判定された場合は、ステップ8に進み、制御弁装置21の方向制御弁25,26を上げ位置(R)に切換える。この結果、ホイストシリンダ15が伸長し、ベッセル3が連結ピン5を支点として斜め後方へと傾斜する。このようにステップ8で制御弁装置21を上げ位置(R)に切換えたならば、リターンを介してスタートに戻り、ステップ1以降の処理を繰返す。
一方、ステップ12で、ベッセル3の傾斜角度θが空荷時上限角度θbに達した、即ち、ベッセル3の傾斜角度θが空荷時上限角度θb以上になったと判定された場合は、ステップ9に進み、制御弁装置21の方向制御弁25,26を中立位置(N)に切換え、ホイストシリンダ15の伸長を停止する。このとき、ベッセル3は、図3に示すように、空荷時上限角度θbで持上げ動作が停止する。このため、確認作業に時間を要したり操作が煩雑になることなく、ベッセル3が建屋44の天井等に接触することを抑制することができる。ステップ9で制御弁装置21を中立位置(N)に切換えたならば、リターンを介してスタートに戻り、ステップ1以降の処理を繰返す。
かくして、本実施の形態によれば、ベッセル3が建屋44の天井等に接触することを抑制することと円滑な荷物(土砂4)の排出作業を確保することとを両立することができる。
即ち、例えばダンプトラック1の保守、点検、整備等を目的として建屋44内でベッセル3の持上げ動作を行う場合は、ベッセル3が空荷となっている。この場合、ベッセル3が空荷時上限傾斜角度θbに達すると、コントローラ43のステップ12の処理により制御弁装置21が上げ位置(R)から中立位置(N)に切換えられ、ベッセル3の持上げ動作が停止する。このため、空荷時上限傾斜角度θbを、例えば建屋44の天井高さよりも低い高さに対応する角度に設定することにより、ベッセル3の持上げ動作のときに、確認作業に時間を要したり操作が煩雑になることなく、ベッセル3が建屋44の天井等に接触することを抑制することができる。一方、ベッセル3に荷物(土砂4)が積載されているときは、空荷時上限傾斜角度θbよりも高さが高い積荷時上限傾斜角度θaまでベッセル3を持上げることができる。このため、ベッセル3の傾斜角度θを十分に大きくすることができ、円滑な排出作業を確保することができる。
本実施の形態によれば、切換位置検出手段をレバーセンサ40により構成しているので、制御弁装置21がいずれの切換位置に切換えられているかを安定して検出することができる。また、積荷検出手段をサスペンション圧力センサ42により構成しているので、ベッセル3の積荷状態、即ち、ベッセル3に荷物が積載されているか空荷であるかを精度よく安定して検出することができる。さらに、本実施の形態によれば、傾斜位置検出手段は、角度センサ41により構成しているので、ベッセル3の傾斜位置を傾斜角度θとして精度よく安定して検出することができる。
次に、図6および図7は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、ベッセルが空荷で、かつ、車体が駐車中のときに、ベッセルが空荷時上限傾斜位置に達すると、制御手段により制御弁装置を上げ位置から中立位置に切換える構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、51は駐車ブレーキ13の操作を行うための駐車ブレーキスイッチで、該駐車ブレーキスイッチ51は、例えば車体2(キャブ6)の運転席の近傍に設けられている。駐車ブレーキスイッチ51は、駐車ブレーキ装置13による制動付与と制動解除のON・OFF操作を行うものである。即ち、オペレータが駐車ブレーキスイッチ51をONすると、後輪9に駐車ブレーキ装置13による制動力を付与することができ、オペレータが駐車ブレーキスイッチ51をOFFすると、駐車ブレーキ装置13の制動力を解除することができる。
駐車ブレーキスイッチ51は、後述のコントローラ52に接続され、ON・OFF信号をコントローラ52に出力する。駐車ブレーキスイッチ51は、車体2が駐車中か否かを検出するための車体検出手段を構成するものである。コントローラ52は、駐車ブレーキスイッチ51のON・OFF信号により、車両が駐車中か否かを判定する。
52は制御手段としてのコントローラで、該コントローラ52は、その入力側がレバーセンサ40、角度センサ41、サスペンション圧力センサ42、駐車ブレーキスイッチ51等に接続されている。コントローラ52の記憶部52A内には、図7に示す処理プログラム等が格納されている。
ここで、コントローラ52は、図7の処理プログラムに従って、ベッセル3の持上げ動作を行う。具体的には、コントローラ52は、レバーセンサ40、角度センサ41、サスペンション圧力センサ42からの検出信号に加えて駐車ブレーキスイッチ51からの検出信号(ON・OFF信号)により、操作レバー39Aのレバー位置が上げ位置(R)にあって、ベッセル3が空荷で、かつ、車体2が駐車中(駐車ブレーキスイッチ51がON)であって、ベッセル3の傾斜角度θが空荷時上限傾斜角度θbに達したと判定したときに、制御弁装置21の方向制御弁25,26を上げ位置(R)から中立位置(N)に切換える制御を行う。
次に、コントローラ52によるベッセル3の上げ動作処理について、図7を参照しつつ説明する。
即ち、エンジン9の稼働(始動)により、図7の処理動作がスタートすると、ステップ21では、レバーセンサ40から操作レバー39Aの位置信号を読込む(検出する)。なお、図7のステップ21からステップ29までの処理は、前述した実施の形態の第1例の図5のステップ1からステップ9までの処理と同様であるため、詳しい説明は省略する。
ステップ24で、「YES」、即ち、ベッセル3が空荷であると判定された場合は、ステップ30に進み、駐車ブレーキスイッチ51の信号を読込む(検出する)。続いて、ステップ31に進み、駐車ブレーキ装置13がONされているか否かを判定する。即ち、ステップ31では、ステップ30の駐車ブレーキスイッチ51の信号から、車体2が駐車中(駐車ブレーキスイッチ51がON)であるか否かを判定する。
ステップ31で、「NO」、即ち、駐車ブレーキ装置13がONされていない(OFFである)と判定された場合は、ステップ25に進み、ベッセル3の上限傾斜位置を積荷時上限角度θaに設定する。即ち、ステップ31で、駐車ブレーキ装置13がONされていないと判定された場合は、ベッセル3が空荷であっても、建屋44内でベッセル3の持上げ動作が行われていないと考えられる。そこで、ベッセル3の上限傾斜位置を積荷時上限角度θaに設定する。
一方、ステップ31で、「YES」、即ち、駐車ブレーキ装置13がONされていると判定された場合は、ステップ32に進み、ベッセル3の上限傾斜位置を空荷時上限角度θbに設定する。即ち、この場合は、ベッセル3が空荷であり、かつ、駐車ブレーキ装置13がONされている場合であるため、建屋44内でベッセル3の持上げ動作が行われていると考えられる。そこで、ベッセル3の上限傾斜位置を空荷時上限角度θbに設定する。なお、図7のステップ32からステップ34までの処理は、前述した実施の形態の第1例の図5のステップ10からステップ12までの処理と同様であるため、詳しい説明は省略する。
本実施の形態は、上述の如き図7に示す処理により、ベッセル3の上げ動作を行うもので、その基本的作用については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
特に、本実施の形態によれば、ベッセル3が空荷で、かつ、車体2が駐車中のときに、ベッセル3が空荷時上限傾斜角度θbに達すると、コントローラ52のステップ34の処理により、制御弁装置21が上げ位置(R)から中立位置(N)に切換えられる。即ち、ダンプトラック1の保守、点検、整備等を目的として建屋44内でベッセル3の持上げ動作を行う場合は、ベッセル3が空荷であり、かつ、車体2が駐車中である。このため、これら2つの条件を満たした場合に、空荷時上限傾斜角度θbでベッセル3の持上げ動作が停止する。これにより、ベッセル3が建屋44の天井等に接触することを抑制することと円滑な排出作業を確保することとを両立することができる。しかも、車体2が駐車中でない、即ち、駐車ブレーキスイッチ51(駐車ブレーキ装置13)がOFFであると判定された場合は、ベッセル3が空荷であっても、該ベッセル3を空荷時上限傾斜角度θbよりも高い位置(積荷時上限傾斜角度θa)まで持ち上げることができる。これにより、ベッセル3が空荷のときの該ベッセル3の上げ動作の自由度を高めることができる。
本実施の形態によれば、駐車検出手段を駐車ブレーキスイッチ51により構成しているので、駐車ブレーキスイッチ51がONされているか否かにより車体2が駐車中であるか否かを安定して検出することができる。
次に、図8および図9は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、ベッセルが空荷であると判定されたときでもベッセルを積荷時上限傾斜位置まで持ち上げることを可能とするためのベッセル上げ制限解除スイッチを備える構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、61はキャブ6内で運転席の近傍に設けられたベッセル上げ制限解除スイッチを示し、該ベッセル上げ制限解除スイッチ61は、コントローラ62に接続され、オペレータの操作によりコントローラ62に対してベッセル3の上限傾斜角度を変更する旨の信号を出力するものである。即ち、オペレータがベッセル上げ制限解除スイッチ61を操作すると、該ベッセル上げ制限解除スイッチ61からコントローラ62に対してスイッチ61が操作された旨の信号(ON信号)が出力される。これにより、コントローラ62は、ベッセル3が空荷であると判定されたときでも、ベッセル3を積荷時上限傾斜角度θaまで持ち上げることを可能にする。
ここで、ベッセル上げ制限解除スイッチ61は、例えばオペレータが押している間はONされオペレータが離すとOFFに自動復帰するモーメンタリスイッチにより構成することができる。これにより、ベッセル3が空荷でも、ベッセル3を積荷時上限傾斜角度θaまで持ち上げる場合は、オペレータは、操作レバー39Aを上げ位置(R)にすると共に、ベッセル上げ制限解除スイッチ61を押し続けることで、ベッセル3を積荷時上限傾斜角度θaまで持ち上げることができる。これにより、オペレータがベッセル3を積荷時上限傾斜角度θaまで持ち上げることを希望しないにも拘わらず、ベッセル上げ制限解除スイッチ61がONされる事を抑制することができ、オペレータの誤操作の可能性を低減することができる。
62は制御手段としてのコントローラで、該コントローラ62は、その入力側がレバーセンサ40、角度センサ41、サスペンション圧力センサ42、ベッセル上げ制限解除スイッチ61等に接続されている。コントローラ62の記憶部62A内には、図9に示す処理プログラム等が格納されている。
ここで、コントローラ62は、図9の処理プログラムに従って、ベッセル3の持上げ動作を行う。即ち、エンジン9の稼働(始動)により、図9の処理動作がスタートすると、ステップ41では、レバーセンサ40から操作レバー39Aの位置信号を読込む(検出する)。なお、図9のステップ41からステップ49までの処理は、前述した実施の形態の第1例の図5のステップ1からステップ9までの処理と同様であるため、詳しい説明は省略する。
ステップ44で、「YES」、即ち、ベッセル3が空荷であると判定された場合は、ステップ50に進み、ベッセル上げ制限解除スイッチ61の信号を読込む(検出する)。続いて、ステップ51に進み、ベッセル上げ制限解除スイッチ61がONされているか否かを判定する。
ステップ51で、「YES」、即ち、ベッセル上げ制限解除スイッチ61がONされていると判定された場合は、ステップ45に進み、ベッセル3の上限傾斜位置を積荷時上限角度θaに設定する。即ち、ステップ51で、ベッセル上げ制限解除スイッチ61がONされていると判定された場合は、ベッセル3が空荷であっても、オペレータが空荷時上限傾斜角度θbに対応する高さよりも高い位置までベッセル3を持上げることを希望している。そこで、ベッセル3の上限傾斜位置を積荷時上限角度θaに設定する。
一方、ステップ51で、「NO」、即ち、ベッセル上げ制限解除スイッチ61がONでない(OFFになっている)と判定された場合は、ステップ52に進み、ベッセル3の上限傾斜位置を空荷時上限角度θbに設定する。即ち、この場合は、ベッセル3が空荷であり、かつ、オペレータが空荷時上限角度θbに対応する高さでベッセル3の上げ動作を停止することを希望している場合、即ち、建屋44内でベッセル3の持上げ動作が行われている場合と考えられる。そこで、ベッセル3の上限傾斜位置を空荷時上限角度θbに設定する。なお、図9のステップ52からステップ54までの処理は、前述した実施の形態の第1例の図5のステップ10からステップ12までの処理と同様であるため、詳しい説明は省略する。
本実施の形態は、上述の如き図9に示す処理により、ベッセル3の上げ動作を行うもので、その基本的作用については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。
特に、本実施の形態によれば、ベッセル3が空荷であっても該ベッセル3を積荷時上限傾斜角度θaまで持ち上げることを可能とするためのベッセル上げ制限解除スイッチ61を備える構成としている。このため、ベッセル3が空荷でも、例えば建屋44の外でベッセル3を空荷時上限傾斜角度θbに対応する高さよりも高い位置まで持ち上げる必要がある場合に、ベッセル上げ制限解除スイッチ61をONすることにより、ベッセル3を空荷時上限傾斜角度θbに対応する高さよりも高い位置まで持ち上げることができる。これにより、ベッセル3が建屋44の天井等に接触することを抑制しつつ、ベッセル3の上げ動作の自由度を高めることができる。
次に、図10ないし図12は本発明の第4の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、傾斜位置検出手段をホイストシリンダの伸長長さを検出するストロークセンサにより構成したことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
71は本実施の形態で採用した傾斜位置検出手段としてのストロークセンサで、該ストロークセンサ71は、例えば図10に示すように、ホイストシリンダ15に設けられている。ストロークセンサ71は、ホイストシリンダ15の伸長長さLを検出し、その検出信号をコントローラ72に出力する。
72は制御手段としてのコントローラで、該コントローラ72は、図11に示すように、その入力側がレバーセンサ40、ストロークセンサ71、サスペンション圧力センサ42等に接続されている。コントローラ72の記憶部72A内には、図12に示す処理プログラム等が格納されている。
ここで、コントローラ72は、図12の処理プログラムに従って、ベッセル3の持上げ動作を行う。具体的には、コントローラ72は、サスペンション圧力センサ42の検出信号によりベッセル3に荷物が積載されていると判定されたときは、ベッセル3の持上げ動作を、積荷時上限伸長長さLaまで許すように構成している。一方、コントローラ72は、サスペンション圧力センサ42の検出信号によりベッセル3が空荷であると判定されたときは、ベッセル3の持上げ動作を、空荷時上限伸長長さLb、即ち、積荷時上限伸長長さLaよりもベッセル3の高さが低くなる空荷時上限伸長長さLbに制限する構成としている。
このために、コントローラ72は、レバーセンサ40、ストロークセンサ71、サスペンション圧力センサ42からの検出信号により、操作レバー39Aのレバー位置が上げ位置(R)にあって、ベッセル3が空荷であり、かつ、ホイストシリンダ15の伸長長さLが空荷時上限伸長長さLbに達したと判定したときに、制御弁装置21の方向制御弁25,26を上げ位置(R)から中立位置(N)に切換える制御を行う。この場合、図10に示すように、空荷時上限伸長長さLbを、建屋44の天井高さよりも低い高さに対応する伸長長さに設定することにより、ベッセル3の持上げ動作のときに、該ベッセル3が建屋44の天井等に接触することを抑制することができる。
次に、コントローラ72によるベッセル3の上げ動作処理について、図12を参照しつつ説明する。
即ち、エンジン9の稼働(始動)等により、図12の処理動作がスタートすると、ステップ61では、レバーセンサ40から操作レバー39Aの位置信号を読込む(検出する)。なお、図12のステップ61からステップ64までの処理は、前述した実施の形態の第1例の図5のステップ1からステップ4までの処理と同様であるため、詳しい説明は省略する。
ステップ64で、「NO」、即ち、ベッセル3が空荷でない(ベッセル3に荷物が積載されている)と判定された場合は、ステップ65に進み、ベッセル3の上限傾斜位置、即ち、積荷時のベッセル3の最大高さに対応するホイストシリンダ15の上限伸長長さを積荷時上限伸長長さLaに設定する。次いで、ステップ66に進み、ストロークセンサ71からホイストシリンダ15の伸長長さLを読込み(検出し)、次なるステップ67に進む。
ステップ67では、ステップ66で検出されたホイストシリンダ15の伸長長さLが積荷時上限伸長長さLa未満か否かを判定する。このステップ67で、ホイストシリンダ15の伸長長さLが積荷時上限伸長長さLa未満であると判定された場合は、ステップ68に進み、制御弁装置21を上げ位置(R)に切換える。これにより、ホイストシリンダ15が伸長し、ベッセル3が連結ピン5を支点として斜め後方へと傾斜する。ステップ68で制御弁装置21を上げ位置(R)に切換えたならば、リターンを介してスタートに戻り、ステップ1以降の処理を繰返す。
一方、ステップ67で、ホイストシリンダ15の伸長長さLが積荷時上限伸長長さLaに達した、即ち、ホイストシリンダ15の伸長長さLが積荷時上限伸長長さLa以上になったと判定された場合は、ステップ69に進み、制御弁装置21を中立位置(N)に切換える。これにより、ホイストシリンダ15の伸長が停止し、ベッセル3の上げ動作が停止される。このとき、ベッセル3は、図10に仮想線(二点鎖線)で示すように、積荷時上限伸長長さLaまで持ち上がるため、ベッセル3の傾斜角度を十分に大きくすることができ、円滑な荷物(土砂4)の排出作業を確保することができる。ステップ69で制御弁装置21を中立位置(N)に切換えたならば、リターンを介してスタートに戻り、ステップ1以降の処理を繰返す。
一方、ステップ64で、「YES」、即ち、ベッセル3が空荷であると判定された場合は、ステップ70に進み、ベッセル3の上限傾斜位置、即ち、空荷時のベッセル3の最大高さに対応するホイストシリンダ15の上限伸長長さを空荷時上限伸長長さLbに設定する。次いで、ステップ71に進み、ステップ66と同様に、ストロークセンサ71からホイストシリンダ15の伸長長さLを読込み(検出し)、次なるステップ72に進む。
ステップ72では、ステップ71で検出されたホイストシリンダ15の伸長長さLが空荷時上限伸長長さLb未満か否かを判定する。このステップ72で、ホイストシリンダ15の伸長長さLが空荷時上限伸長長さLb未満であると判定された場合は、ステップ68に進み、制御弁装置21を上げ位置(R)に切換える。この結果、ホイストシリンダ15が伸長し、ベッセル3が連結ピン5を支点として斜め後方へと傾斜する。このようにステップ68で制御弁装置21を上げ位置(R)に切換えたならば、リターンを介してスタートに戻り、ステップ1以降の処理を繰返す。
一方、ステップ72で、ホイストシリンダ15の伸長長さLが空荷時上限伸長長さLbに達した、即ち、ホイストシリンダ15の伸長長さLが空荷時上限伸長長さLb以上になったと判定された場合は、ステップ69に進み、制御弁装置21を中立位置(N)に切換え、ホイストシリンダ15の伸長を停止する。このとき、ベッセル3は、図10で実線で示すように、ホイストシリンダ15が空荷時上限伸長長さLbとなったときに、持上げ動作が停止する。このため、確認作業に時間を要したり操作が煩雑になることなく、ベッセル3が建屋44の天井等に接触することを抑制することができる。
本実施の形態は、上述の如きストロークセンサ71を用いてベッセル3の上げ動作を行うもので、その基本的作用については、上述した第1の実施の形態によるものと格別差異はない。特に、本実施の形態によれば、傾斜位置検出手段は、ストロークセンサ71により構成しているので、ベッセル3の傾斜位置をホイストシリンダ15の伸長長さLとして精度よく安定して検出することができる。
なお、上述した各実施の形態では、積荷検出手段を、サスペンション8,10の内圧変化を検出するサスペンション圧力センサ42により構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、積荷検出手段を、ホイストシリンダの内圧変化を検出するホイストシリンダ圧力センサにより構成してもよい。
上述した各実施の形態では、第1,第2の方向制御弁25,26等を用いて制御弁装置21を構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば4ポート4位置の1個(単一)の方向制御弁等を用いて制御弁装置を構成してもよい。
上述した各実施の形態では、2段式のホイストシリンダ15を用いた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、3段式以上の多段式のホイストシリンダ(油圧シリンダ)や1段式のホイストシリンダ(油圧シリンダ)を用いてもよい。
さらに、上述した各実施の形態では、運搬車両として後輪駆動式のダンプトラック1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば前輪駆動式または前,後輪を共に駆動する4輪駆動式のダンプトラックに適用してもよく、走行用の車輪を備えたダンプトラック以外の運搬車両に適用してもよい。さらに、クローラ式の運搬車両にも適用できるものである。