以下、本発明の実施の形態による運搬車両を、鉱山で採掘した砕石物、土砂を運搬するダンプトラックを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
図1ないし図6は本発明の実施の形態を示している。図中、1は大型の運搬車両であるダンプトラックで、該ダンプトラック1は、図1、図2に示すように頑丈なフレーム構造をなす車体2と、該車体2上に傾転(起伏)可能に搭載されたベッセルと呼ばれる荷台3とにより大略構成されている。
荷台3は、例えば砕石物、土砂のような荷物(以下、土砂4という)を多量に積載するため全長が10〜13m(メートル)にも及ぶ大型の容器として形成されている。荷台3の後側底部は、車体2の後端側に連結ピン5を介して傾転可能に連結されている。また、荷台3の前側上部には、後述のキャブ6を上側から覆う庇部3Aが一体に設けられている。
即ち、荷台3の底部側は、車体2の後部側に連結ピン5を用いて回動可能に支持されている。荷台3の前部側(庇部3A側)は、後述のホイストシリンダ10を伸長または縮小させることにより、連結ピン5の位置を支点として上,下方向に昇降される。これにより、荷台3は、図1に示す運搬位置と図2に示す排出位置との間で回動される。例えば、図2に示す排出位置において、荷台3に積載された多量の土砂4は、後方へと傾いた荷台3から矢示C方向に滑り落ちるように所定の荷降し場に排出される。
6は庇部3Aの下側に位置して車体2の前部に設けられたキャブである。このキャブ6は、ダンプトラック1のオペレータが乗降する運転室を形成し、その内部には運転席、アクセルペダル、ブレーキペダル、操舵用のハンドル(いずれも図示せず)、後述の操作レバー28A(図3中に1個のみ図示)およびエンジンスイッチ30等が設けられている。
荷台3の庇部3Aは、キャブ6を上側からほぼ完全に覆うことにより、例えば岩石等の飛び石からキャブ6を保護する。また、荷台3の庇部3Aは、車両(ダンプトラック1)の転倒時にキャブ6内のオペレータを保護する機能を有している。
7は車体2の前部側に回転可能に設けられた左,右の前輪(一方のみ図示)を示している。これらの前輪7は、ダンプトラック1のオペレータによって操舵(ステアリング操作)される操舵輪を構成している。前輪7は後述の後輪8と同様に、例えば2〜4メートルに及ぶタイヤ径(外径寸法)をもって形成されている。車体2の前部と前輪7との間には、例えば油圧緩衝器等からなるフロントサスペンション7Aが設けられ、このフロントサスペンション7Aは、車体2の前部側を前輪7との間で懸架するものである。
8は車体2の後部側に回転可能に設けられた左,右の後輪(一方のみ図示)を示している。これらの後輪8は、ダンプトラック1の駆動輪を構成し、走行駆動装置(図示せず)により回転駆動されるものである。後輪8と車体2の後部との間には、例えば油圧緩衝器等からなるリヤサスペンション8Aが設けられ、このリヤサスペンション8Aは、車体2の後部側を後輪8との間で懸架するものである。
9は原動機としてのエンジンで、該エンジン9は、例えば大型のディーゼルエンジン等により構成されている。エンジン9は、キャブ6の下側に位置して車体2内に設けられ、後述の油圧ポンプ11(図3参照)等を回転駆動するものである。
10は車体2と荷台3との間に伸縮可能に設けられた左,右一対のホイストシリンダである。このホイストシリンダ10は、1段式または多段式の油圧シリンダを用いて構成されている。なお、図3中では説明を簡略化するため、1段式のホイストシリンダ10を示している。しかし、ホイストシリンダ10は、一般的に2段ないし3段式の油圧シリンダを用いて構成される場合が多い。図3に示すホイストシリンダ10は、外側のチューブ10Aと、該チューブ10A内に摺動可能に設けられチューブ10A内を上側の油室Aと下側の油室Bとに画成したピストン10Bと、上端側が該ピストン10Bに固着され下端側がチューブ10A外に突出したピストンロッド10Cとにより構成されている。
ホイストシリンダ10は、後述の油圧ポンプ11から油室A内に圧油が供給されたときにピストンロッド10Cが下向きに伸長し、連結ピン5を支点として荷台3を斜め後方へと傾斜(回動)させる(図2参照)。一方、ホイストシリンダ10は、油圧ポンプ11から油室B内に圧油(油液)が供給されたときにピストンロッド10Cが縮小し、連結ピン5を支点として荷台3を下向きに倒伏した運搬位置(図1参照)へと回動させるものである。
次に、ホイストシリンダ10を駆動するための油圧回路について、図3を参照して説明する。
11は油圧ポンプを示し、該油圧ポンプ11は、作動油タンク12(以下、タンク12という)と共に油圧源を構成している。タンク12は、図1、図2に示すように荷台3の下方に位置して車体2の側面に取付けられている。ここで、タンク12内に収容された作動油(油液)は、油圧ポンプ11がエンジン9により回転駆動されるときに、油圧ポンプ11に吸込まれる。そして、油圧ポンプ11の吐出側からは高圧の圧油がポンプ管路13内に吐出される。また、ホイストシリンダ10からの戻り油は、低圧のタンク管路14を介してタンク12へと排出されるものである。
15A,15Bはホイストシリンダ10の油室A,Bに接続された一対の主管路を構成する油圧管路である。この油圧管路15A,15Bは、後述の制御弁装置16を介して油圧源(油圧ポンプ11、タンク12)にそれぞれ接続され、油圧ポンプ11からの圧油をホイストシリンダ10の油室A,Bに供給し、また、油室A,B内の圧油をタンク12に排出するものである。
16は油圧ポンプ11、タンク12とホイストシリンダ10との間に設けられた制御弁装置である。この制御弁装置16は、図3に示す如く、例えば4ポート4位置の油圧パイロット式方向制御弁により構成されている。即ち、制御弁装置16は、単一の方向制御弁を用いて構成され、左,右両側に油圧パイロット部16A,16Bを有している。
制御弁装置16は、中立位置(N)、上げ位置(R)、下げ位置(L)および浮き位置(F)からなる複数の切換位置のうち、通常時は中立位置(N)に保持される。中立位置(N)にある制御弁装置16は、図3に示すようにポンプ管路13、タンク管路14を油圧管路15A,15Bに対して遮断することにより、圧油の供給,排出を停止してホイストシリンダ10の動きを止める。
後述の上げ操作用の電磁弁25から油圧パイロット部16Aにパイロット圧が供給されると、制御弁装置16は中立位置(N)から上げ位置(R)に切換えられる。上げ位置(R)に切換わった制御弁装置16は、ポンプ管路13を油圧管路15Aに連通させ、タンク管路14を油圧管路15Bに連通させる。これにより、ホイストシリンダ10は、油室A側に圧油が供給され、油室B内の油液がタンク12側に排出され、ピストンロッド10Cがチューブ10Aから伸長する方向、即ち荷台3を持上げる方向に駆動される。
後述の下げ操作用の電磁弁26から油圧パイロット部16Bにパイロット圧が供給されると、制御弁装置16は中立位置(N)から下げ位置(L)に切換えられる。下げ位置(L)に切換わった制御弁装置16は、ポンプ管路13を油圧管路15Bに連通させ、タンク管路14を油圧管路15Aに連通させる。これにより、ホイストシリンダ10は、油室B側に圧油が供給され、油室A内の油液がタンク12側に排出され、ピストンロッド10Cがチューブ10A内に縮小する方向、即ち荷台3を下降させる方向に駆動される。
後述の浮き操作用の電磁弁27から油圧パイロット部16Bにパイロット圧が供給されると、制御弁装置16は中立位置(N)から下げ位置(L)を通過して浮き位置(F)に切換えられる。浮き位置(F)に切換わった制御弁装置16は、油圧管路15Aをポンプ管路13とタンク管路14の両方に連通させ、この両方に対して油圧管路15Bを遮断する。これにより、ホイストシリンダ10は、油室A内の油液がタンク12側に排出され、油室B内には後述の迂回管路17B側からタンク12内の油液が補給される。この結果、ホイストシリンダ10は、荷台3側の自重によって縮小するようになり、荷台3の自重落下を許すものである。
17A,17Bは制御弁装置16を迂回して油圧管路15A,15Bとタンク12との間に設けられた迂回管路である。この迂回管路17A,17Bのうち一方の迂回管路17Aは、一側が油圧管路15Aの途中部位に接続され、他側はタンク12に接続されている。他方の迂回管路17Bは、一側が油圧管路15Bの途中部位に接続され、他側はタンク12に接続されている。
ここで、一方の迂回管路17Aには、その途中位置にメイクアップ用のチェック弁18Aと過負荷防止用のリリーフ弁19Aとが並列接続して設けられている。リリーフ弁19Aは、ホイストシリンダ10に対し縮小方向の過負荷が作用すると、油室A側の過剰圧をリリーフするために開弁する。また、チェック弁18Aは、タンク12内の油液が油圧管路15Aを介してホイストシリンダ10の油室Aに向けて流通するのを許し、逆向きに流れるのを阻止する。このため、ホイストシリンダ10の油室Aは、内部が負圧傾向になるとチェック弁18Aを介して油液が補給されるものである。
他方の迂回管路17Bには、その途中位置にメイクアップ用のチェック弁18Bと過負荷防止用のリリーフ弁19Bとが並列接続して設けられている。リリーフ弁19Bは、ホイストシリンダ10に対し伸長方向の過負荷が作用すると、油室B側の過剰圧をリリーフするために開弁する。また、チェック弁18Bは、タンク12内の油液が油圧管路15Bを介してホイストシリンダ10の油室Bに向けて流通するのを許し、逆向きに流れるのを阻止する。このため、ホイストシリンダ10の油室Bは、内部が負圧傾向になるとチェック弁18Bを介して油液が補給されるものである。
20A,20Bは油圧管路15A,15Bの途中に設けられた圧力検出器としての圧力センサである。圧力センサ20A,20Bのうち一方の圧力センサ20Aは、ホイストシリンダ10の油室A内の圧力を検出し、その検出信号を後述のコントローラ33に出力する。他方の圧力センサ20Bは、ホイストシリンダ10の油室B内の圧力を検出し、その検出信号を後述のコントローラ33に出力する。
21はポンプ管路13とタンク12との間に設けられたメインのリリーフ弁を示し、該リリーフ弁21は、油圧ポンプ11の最大吐出圧を決め、ポンプ管路13内の圧力を最大吐出圧以下に抑える。即ち、リリーフ弁21は、ポンプ管路13内に前記最大吐出圧を越える過剰な圧力が発生すると開弁し、このときの過剰圧をタンク12側にリリーフするものである。
22はポンプ管路13から分岐した分岐管路で、該分岐管路22は、減圧弁23を介してパイロット圧供給管路24に接続されている。減圧弁23は、分岐管路22内の圧油を減圧してパイロット圧供給管路24に供給するため、図3に示す閉弁位置(a)と開弁位置(b)とに切換わる。これにより、パイロット圧供給管路24内の圧力は、減圧弁23により予め決められた設定圧力(即ち、分岐管路22内よりも低い圧力)に保たれる。
25,26,27は制御弁装置16の油圧パイロット部16A,16Bにパイロット圧を供給するための電磁弁である。これらの電磁弁25〜27は、後述のコントローラ33と制御弁装置16との間に設けられている。電磁弁25〜27は、後述する操作レバー装置28の操作に従ってそれぞれ個別に開,閉弁され、開弁時に制御弁装置16の油圧パイロット部16A,16Bに対し切換制御用のパイロット圧を供給するものである。
このうち上げ操作用の電磁弁25は、コントローラ33からの励磁信号に従って閉弁位置(c)から開弁位置(d)に切換わり、この開弁位置(d)ではパイロット圧供給管路24から制御弁装置16の油圧パイロット部16Aに向けて上げ操作用のパイロット圧を供給する。これにより、制御弁装置16は、図3に示す中立位置(N)から上げ位置(R)に切換えられる。
また、下げ操作用の電磁弁26は、コントローラ33からの励磁信号に従って閉弁位置(c)から開弁位置(d)に切換わり、この開弁位置(d)ではパイロット圧供給管路24から制御弁装置16の油圧パイロット部16Bに向けて下げ操作用のパイロット圧を供給する。これにより、制御弁装置16は、図3に示す中立位置(N)から下げ位置(L)に切換えられる。この電磁弁26は、下げ操作用のパイロット圧を後述する浮き操作用のパイロット圧よりも低い圧力に設定する構成となっている。
一方、浮き操作用の電磁弁27は、コントローラ33からの励磁信号に従って閉弁位置(c)から開弁位置(d)に切換わり、この開弁位置(d)ではパイロット圧供給管路24から制御弁装置16の油圧パイロット部16Bに向けて浮き操作用のパイロット圧を供給する。これにより、制御弁装置16は、図3に示す中立位置(N)から下げ位置(L)を通過して浮き位置(F)に切換えられる。このため、電磁弁27は、浮き操作用のパイロット圧を前記下げ操作用のパイロット圧よりも高い圧力に設定する構成となっている。
28は制御弁装置16の切換操作を行う操作装置としての操作レバー装置で、該操作レバー装置28は、例えば電気レバー装置により構成され、キャブ6内のオペレータによって手動で傾転操作される操作レバー28Aを有している。そして、操作レバー28Aは、制御弁装置16の各切換位置、即ち中立位置(N)、上げ位置(R)、下げ位置(L)および浮き位置(F)に対応して中立位置、上げ位置、下げ位置および浮き位置のいずれかに傾転される。
29は操作レバー装置28に付設された操作検出手段としてのレバーセンサである。このレバーセンサ29は、オペレータによる操作レバー28Aの操作位置を検出し、その検出信号を後述のコントローラ33に出力する。レバーセンサ29は、操作レバー装置28の操作レバー28Aが前記中立位置、上げ位置、下げ位置および浮き位置のうちいずれの位置にあるかを検出するものである。
30はキャブ6内に設けられるエンジンスイッチを示し、該エンジンスイッチ30は、エンジン9の始動スイッチを構成している。キャブ6内の運転席に座ったオペレータは、エンジンスイッチ30を手動操作することにより、エンジン9の起動または停止を制御する。
31は本実施の形態で採用した傾斜状態検出器としての角度センサで、該角度センサ31は、図1、図2に示すように連結ピン5の近傍に位置して車体2の後部側に設けられている。角度センサ31は、車体2に対する荷台3の傾斜角度を、図2に例示する角度θとして検出し、その検出信号を後述のコントローラ33に出力するものである。
32は荷台3が車体2上に着座しているか否かを検出する着座センサである。この着座センサ32は、図1、図2に示すようにタンク12の上側に位置して車体2側に設置された接触式センサにより構成されている。着座センサ32は、荷台3側に設けた検出対象の突起物32Aが当接しているか、離間しているかを検出する。即ち、着座センサ32は、荷台3が車体2に着座しているか否かを検出し、その検出信号を後述のコントローラ33に出力するものである。
33はマイクロコンピュータからなる制御手段としてのコントローラである。このコントローラ33は、その入力側が圧力センサ20A,20B、レバーセンサ29、エンジンスイッチ30、角度センサ31、着座センサ32等に接続され、その出力側は電磁弁25〜27等に接続されている。また、コントローラ33は、ROM,RAM,不揮発性メモリ等からなる記憶部33Aを有し、この記憶部33A内には、後述の図6に示す処理プログラムと、荷台3が予め決められた位置まで傾斜しているか否かを判定するための判定角度θa (例えば、θa =35〜40度)、ホイストシリンダ10の油室A内の圧力Pが予め決められた圧力値を越えた否かを判定するための判定圧Pa (例えば、Pa =0.8MPa )等とが格納されている。
ここで、コントローラ33は、後述する図6の処理プログラムに従って荷台3を斜め上向きに上昇させたり、下降させたりする制御弁装置16の切換制御を行う。コントローラ33は、圧力センサ20A,20B、レバーセンサ29および角度センサ31からの検出信号により、荷台3が前記判定角度θa の位置まで傾斜し、かつホイストシリンダ10の油室A内の圧力Pが前記判定圧Pa を越える圧力まで上昇しているか否かを判定する判定手段(図6中のステップ3,4参照)と、ホイストシリンダ10を上,下に伸縮する方向で加振させるように制御弁装置16の切換えを制御する加振制御手段(図6中のステップ7参照)とを有している。
即ち、ホイストシリンダ10を上,下に伸縮する方向で加振させるときには、コントローラ33から上げ操作用の電磁弁25に対して図4中の特性線34に示す如き制御信号としての励磁信号が出力され、下げ操作用の電磁弁26に対しては、図5中の特性線35に示す如き励磁信号が出力される。図4中の特性線34は、時間4t〜12tの間で、例えば0.5〜1.0秒毎に励磁(ON)と消磁(OFF)を繰返し、これとは逆に図5中の特性線35は、時間4t〜12tの間で、例えば0.5〜1.0秒毎に消磁(OFF)と励磁(ON)とを繰返す信号である。
第1の実施の形態によるダンプトラック1は、上述の如き構成を有するものであり、次に、その作動について説明する。
まず、鉱山等の砕石場では、例えば大型の油圧ショベル(図示せず)を用いて運搬対象の土砂4を荷台3上に積載する。このとき、荷台3は図1に示す運搬位置に置かれ、ダンプトラック1は、荷台3上に土砂4を多量に積載した状態で荷降し場に向けて運搬する。
荷降し場等においては、キャブ6内のオペレータが、操作レバー装置28の操作レバー28Aを手動で前記中立位置から上げ位置に傾転操作すると、コントローラ33から上げ操作用の電磁弁25に励磁信号が出力される。これにより、電磁弁25は、閉弁位置(c)から開弁位置(d)に切換わり、パイロット圧供給管路24から制御弁装置16の油圧パイロット部16Aに向けて上げ操作用のパイロット圧が供給される。
このとき、制御弁装置16は中立位置(N)から上げ位置(R)に切換えられる。このため、油圧ポンプ11からの圧油は、ポンプ管路13、上げ位置(R)の制御弁装置16、油圧管路15Aを介してホイストシリンダ10の油室A内に供給される。また、油室B内の油液は、油圧管路15B、上げ位置(R)の制御弁装置16を介して流量が絞られながら、戻り油となってタンク管路14からタンク12へと戻される。
この結果、ホイストシリンダ10のピストンロッド10Cは、油室A内の圧油により図2中の矢示E方向に伸長し、荷台3を斜め後方へと傾斜させるように図2に示す排土位置へと持上げる。このとき、ダンプトラック1は、荷台3が連結ピン5を支点として図2に示す如き傾斜姿勢に回動することにより、荷台3内の土砂4を下方へと滑り落とすように荷降し場に向けて矢示C方向に排出することができる。
このとき、オペレータが操作レバー28Aから手を離すと、操作レバー28Aは、戻しばね(図示せず)により中立位置に自動的に復帰する。このため、コントローラ33から電磁弁25に出力される信号は消磁(OFF)状態となり、上げ操作用の電磁弁25は図3に示す閉弁位置(c)に復帰する。これにより、制御弁装置16は中立位置(N)に自動的に戻り、ホイストシリンダ10の油室A,Bに対する圧油の供給,排出を停止すると共に、ピストンロッド10Cを伸長状態に保つことができ、荷台3を図2に示す傾斜姿勢のままで一時停止させることができる。
次に、土砂4の排出作業が終了すると、オペレータが操作レバー28Aを手動で中立位置から浮き位置まで傾転操作することにより、コントローラ33から浮き操作用の電磁弁27に励磁信号が出力される。このため、浮き操作用の電磁弁27は、閉弁位置(c)から開弁位置(d)に切換わり、パイロット圧供給管路24から制御弁装置16の油圧パイロット部16Bに向けて浮き操作用のパイロット圧が供給される。
これにより、浮き位置(F)に切換わった制御弁装置16は、ポンプ管路13をタンク管路14に接続し、油圧管路15Aをタンク管路14側に連通させると共に、油圧管路15Bをポンプ管路13とタンク管路14の両方に対して遮断する。この結果、ホイストシリンダ10は、荷台3からの荷重(自重)に従って図2中の矢示D方向に縮小し、油室A内の油液がタンク12に向けて排出されると共に、油室B内には迂回管路17B側のチェック弁18Bを介してタンク12内の油液が補給される。ホイストシリンダ10は、荷台3の自重による落下を許すことにより、荷台3を図1に示す運搬位置へと下降することができ、荷台3を車体2上に着座させることができる。
一方、ダンプトラック1が作業現場の凹凸、傾斜地等で傾いた状態にあるときには、制御弁装置16を浮き位置(F)に切換えても、荷台3が自重により下降しないことがある。しかし、このような場合には、オペレータが操作レバー28Aを前記上げ位置まで傾転操作することにより、コントローラ33から下げ操作用の電磁弁26に励磁信号が出力される。このため、下げ操作用の電磁弁26は、閉弁位置(c)から開弁位置(d)に切換わり、パイロット圧供給管路24から制御弁装置16の油圧パイロット部16Bに向けて下げ操作用のパイロット圧が供給される。
これにより、下げ位置(L)に切換わった制御弁装置16は、油圧ポンプ11からの圧油をポンプ管路13、油圧管路15Bを介してホイストシリンダ10の油室B内に供給し、油室A内の油液を油圧管路15Aからタンク管路14に向けて流量を絞りつつタンク12に戻す。この結果、ホイストシリンダ10は、油室B内に供給された圧油によりピストンロッド10Cがチューブ10A内へと図2中の矢示D方向に縮小し、荷台3をホイストシリンダ10の油圧力で図1に示す運搬位置へと下向きに回動することができ、荷台3を車体2上に強制的に着座させることができる。
しかし、このように制御弁装置16を下げ位置(L)に切換えたときには、ホイストシリンダ10を図2中の矢示D方向に油圧力で縮小させるため、荷台3が車体2上に着座するときに衝撃が発生する虞れがあり、荷台3と車体2とに余分な負荷を与える可能性がある。このため、ダンプトラック1のオペレータは、車両の走行時に操作レバー28Aを前記浮き位置に自己保持させる。これにより、制御弁装置16は浮き位置(F)に切換わり、荷台3は自重によって車体2上に着座し続け、ホイストシリンダ10も荷台3側の自重を利用して縮小状態に保つことができる。
ところで、前述の如く荷降し場において土砂4の排出作業を行う場合には、下記のような問題が生じることがある。即ち、粘土質の土砂または水分を含んだ土砂のように粘性が高い土砂4を荷台3から排出するときには、図2に示すように荷台3を車体2の後方へと傾斜させても土砂4が荷台3から滑り落ちないことがあり、排出作業を効率的に行うことが難しい。特に、荷台3の角隅となるコーナ部分には粘性の高い土砂4が付着して溜り易くなり、このような残留物を取り除くために荷物の排出作業に余分な手間が掛かることがある。
そこで、第1の実施の形態では、コントローラ33による制御弁装置16の切換制御を図6に示す処理プログラムに沿って行う。この場合、荷物の排出作業時には、荷台3を必要に応じて上,下方向に振動させることにより、荷物の残留を防止することができ、排出時の作業性を向上することができるようにしている。
即ち、図6の処理動作がスタートすると、ステップ1では圧力センサ20A,20B、レバーセンサ29および角度センサ31から検出信号を読込み、次のステップ2では荷台3の上げ操作が行われているか否かを判定する。ステップ2で「YES」と判定すると、次のステップ3では、角度センサ31から読込んだ荷台3の傾斜角度θが判定角度θa (例えば、θa =35〜40度)を越えているか否かを判定する。ステップ3で「YES」と判定すると、次のステップ4では、ホイストシリンダ10の油室A内の圧力Pが判定圧Pa (例えば、Pa =0.8MPa )を越えているか否かを判定する。
ステップ2〜4の判定処理のうち、いずれかのステップで「NO」と判定する間は、ステップ5の制御処理に移る。このステップ5では、レバーセンサ29からの検出信号(即ち、操作レバー28Aが前記中立位置、上げ位置、下げ位置また浮き位置のいずれに操作されているか)に従って制御弁装置16を、図3に示す中立位置(N)、上げ位置(R)、下げ位置(L)または浮き位置(F)のいずれかに切換える制御を実行する。即ち、コントローラ33は、操作レバー28Aの傾転操作に応じた制御弁装置16の切換制御を行うものである。
また、次のステップ6では、エンジンスイッチ30が開成(OFF)されているか否かを判定する。ステップ6で「NO」と判定する間は、エンジン9が稼働し続けているので、ステップ1に戻って、これ以降の処理を続ける。ステップ5で「YES」と判定したときには、エンジン9が停止されるので処理制御を終了させる。
一方、ステップ4で「YES」と判定したときには、荷台3が前記判定角度θa の位置まで傾斜し、かつホイストシリンダ10の油室A内の圧力Pが前記判定圧Pa を越える圧力まで上昇している場合である。即ち、図2に示すように荷台3を車体2の後方へと傾斜させても、例えば粘性の高い土砂4が荷台3から滑り落ちない場合と判断することができる。
そこで、次のステップ7では、制御弁装置16を上げ位置(R)と下げ位置(L)とに繰返して切換える制御を実行し、ホイストシリンダ10を上,下に伸縮する方向で加振させる。即ち、このステップ7では、コントローラ33から上げ操作用の電磁弁25に対して図4に示す特性線34の如き励磁信号を出力し、下げ操作用の電磁弁26には図5に示す特性線35の如き励磁信号を出力し、時間4t〜12tの範囲にわたって上げ操作用の電磁弁25と下げ操作用の電磁弁26とを交互に励磁,消磁させる。
これにより、電磁弁25,26から制御弁装置16の油圧パイロット部16A,16Bに供給するパイロット圧を短時間で断続的に変化させることができる。このため、制御弁装置16は、例えば0.5〜1.0秒程度の間隔で上げ位置(R)と下げ位置(L)とに交互に繰返して切換えられ、ホイストシリンダ10は上,下方向に伸縮を繰返すように振動する。これにより、図2に示すように車体2の後方へと傾斜した状態の荷台3は、ホイストシリンダ10により上,下に加振される。
このように、粘性の高い土砂4を荷台3に積込んでいる場合でも、荷台3は所定位置(即ち、判定角度θa の位置)まで傾斜した状態で上,下に振動を繰返すため、土砂4を荷台3から剥離させて滑り落とすことができる。また、多量の土砂4を荷台3の傾斜方向に沿ってゆっくりと徐々に排出することが可能となり、ホイストシリンダ10内に負圧が発生するのを抑えることができる。
かくして、本実施の形態によれば、コントローラ33は、圧力センサ20A、レバーセンサ29および角度センサ31からの検出信号により、荷台3が前記判定角度θa の位置まで傾斜し、かつホイストシリンダ10の油室A内の圧力Pが前記判定圧Pa を越える圧力まで上昇しているか否かを判定する判定手段(図6中のステップ3,4参照)と、ホイストシリンダ10を上,下に伸縮する方向で加振させるように制御弁装置16の切換えを制御する加振制御手段(図6中のステップ7参照)とを有している。
即ち、土砂4の排出作業時に荷台3が所定の判定角度θa の位置まで傾斜し、かつホイストシリンダ10内の圧力Pが判定圧Pa を越えて上昇しているときには、コントローラ33の加振制御手段により制御弁装置16を、上げ位置(R)と下げ位置(L)とに繰返して振動するように切換える。これにより、ホイストシリンダ10を上,下方向で伸縮を繰返すように加振させることができ、これに伴って荷台3を上,下に振動するように駆動できる。
このため、粘性の高い土砂4を荷台3に積込んでいる場合でも、荷台3を所定位置まで傾斜した状態で上,下に振動させることにより、粘着性をもった土砂4を荷台3から剥離させて滑り落とすことができ、土砂4の排出作業を円滑に行うことができる。従って、荷物の排出作業時に荷台3を振動させることにより、荷物の残留を防止することができ、排出時の作業性を向上することができる。
次に、図7は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、制御弁装置を第1の方向制御弁と第2の方向制御弁とを組合わせて構成したことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、41は第2の実施の形態で採用した制御弁装置で、該制御弁装置16は、前記第1の実施の形態で述べた制御弁装置16と同様に、油圧ポンプ11、タンク12とホイストシリンダ10との間に設けられている。しかし、この場合の制御弁装置41は、高圧側油路42、低圧側油路43A,43B、センタバイパス油路44、第1の方向制御弁45および第2の方向制御弁46を含んで構成されている。第1の方向制御弁45と第2の方向制御弁46とは、高圧側油路42、低圧側油路43A,43B、センタバイパス油路44を介して互いにパラレル接続されている。
制御弁装置41の高圧側油路42は、ポンプ管路13を介して油圧ポンプ11の吐出側に接続されている。この場合、分岐管路22は、高圧側管路42の途中から分岐し、減圧弁23を介してパイロット圧供給管路24に接続されている。なお、分岐管路22は、高圧側管路42ではなく、ポンプ管路13の途中から分岐させる構成としてもよい。
低圧側油路43Aは、第1の方向制御弁45側に配置され、後述のアクチュエータ側油路47A,47Bをタンク管路14を介してタンク12に接続させるものである。低圧側油路43Bは、第2の方向制御弁46側に配置され、後述のアクチュエータ側油路48A,48Bをタンク管路14を介してタンク12に接続させるものである。制御弁装置41のセンタバイパス油路44は、方向制御弁45,46が中立位置(N)にあるときにポンプ管路13とタンク管路14とを連通させる。これにより、油圧ポンプ11はアンロード状態となり、その吐出圧力(ポンプ管路13内の圧力)はタンク圧に近い低圧状態に保たれる。
第1の方向制御弁45の出力側には、一対のアクチュエータ側油路47A,47Bが設けられ、該アクチュエータ側油路47A,47Bは、後述の油圧管路49A,49Bを介してホイストシリンダ10の油室A,Bにそれぞれ接続されている。第2の方向制御弁46の出力側には、一対のアクチュエータ側油路48A,48Bが設けられ、該アクチュエータ側油路48A,48Bは、後述の油圧管路49A,49Bを介してホイストシリンダ10の油室A,Bにそれぞれ接続されている。
制御弁装置41の方向制御弁45,46は、例えば6ポート3位置の油圧パイロット式方向制御弁により構成されている。第1の方向制御弁45は、一対の油圧パイロット部45A,45Bを有している。第1の方向制御弁45は、上げ操作用の電磁弁25から油圧パイロット部45Aにパイロット圧が供給されると、中立位置(N)から上げ位置(R)に切換えられ、油圧パイロット部45Bに浮き操作用の電磁弁27からパイロット圧が供給されたときには、中立位置(N)から浮き位置(F)へと切換えられる。
第2の方向制御弁46は、一対の油圧パイロット部46A,46Bを有している。第2の方向制御弁46は、上げ操作用の電磁弁25からパイロット圧が油圧パイロット部46Aに供給されると、中立位置(N)から上げ位置(R)に切換えられ、下げ操作用の電磁弁26から油圧パイロット部46Bにパイロット圧が供給されたときには、中立位置(N)から下げ位置(L)へと切換えられるものである。
なお、第2の実施の形態で用いる電磁弁26,27は、第1の実施の形態で述べた如く、下げ操作用のパイロット圧よりも浮き操作用のパイロット圧を高い圧力に設定する必要はなく、両者のパイロット圧を同等の圧力に設定してもよい。このため、第2の実施の形態で用いる電磁弁25,26,27は、同一の設定圧をもった共通部品の電磁弁により構成することができる。
49A,49Bは第2の実施の形態で採用した油圧管路で、該油圧管路49A,49Bは、第1の実施の形態で述べた油圧管路15A,15Bと同様にホイストシリンダ10の油室A,Bに接続された一対の主管路を構成している。しかし、油圧管路49Aは、制御弁装置41のアクチュエータ側油路47A,48Aの両方に接続され、油圧管路49Bは、アクチュエータ側油路47B,48Bの両方に接続されている。これにより、油圧管路49A,49Bは、油圧ポンプ11からの圧油を制御弁装置41を介してホイストシリンダ10の油室A,Bに供給し、また、油室A,B内の圧油を制御弁装置41を介してタンク12に排出するものである。
ここで、制御弁装置41が保持位置にある場合について述べる。即ち、制御弁装置41は、第1,第2の方向制御弁45,46が共に中立位置(N)に配置されることにより、ホイストシリンダ10の動きを止める保持位置となる。この保持位置では、ホイストシリンダ10に対するアクチュエータ側油路47A,47Bとアクチュエータ側油路48A,48Bとを介した圧油の供給,排出が停止される。
また、制御弁装置41が上げ位置となる場合について述べる。この場合には、制御弁装置41の第1,第2の方向制御弁45,46が共に中立位置(N)から上げ位置(R)に切換えられる。第1,第2の方向制御弁45,46が上げ位置(R)になると、油圧ポンプ11からの圧油は、ポンプ管路13、高圧側油路42、方向制御弁46、アクチュエータ側油路47A,48A、油圧管路49Aを介してホイストシリンダ10の油室A内に供給される。このとき、油室B内の油液は、第1の方向制御弁45が上げ位置(R)に切換わることにより、油圧管路49B、アクチュエータ側油路47B、方向制御弁45、低圧側油路43Aおよびタンク管路14を介してタンク12に戻される。
これにより、ホイストシリンダ10のピストンロッド10Cは、油室A内の圧油により伸長して荷台3を図2に示す排土位置へと持上げる。即ち、このときに制御弁装置41の第1,第2の方向制御弁45,46は共に上げ位置(R)に配置され、ホイストシリンダ10は、図2中の矢示E方向に油圧力で伸長することにより荷台3を上向きに持上げるものである。
一方、制御弁装置41が浮き位置となる場合について述べる。この場合には、制御弁装置41の第1の方向制御弁45を中立位置(N)から浮き位置(F)に切換え、第2の方向制御弁46を中立位置(N)に配置する。第1の方向制御弁45が浮き位置(F)になると、アクチュエータ側油路47Aが方向制御弁45を介して低圧側油路43A、タンク管路14へと接続される。また、アクチュエータ側油路47Bは、後述のチェック弁50Bを介してタンク管路14側に接続されると共に、他のアクチュエータ側油路48Bは、後述のチェック弁52Bを介して低圧側油路43B、タンク管路14へと接続される。
これにより、ホイストシリンダ10は、荷台3からの荷重(自重)に従って図2中の矢示D方向に縮小し、油室A内の油液は、油圧管路49A、アクチュエータ側油路47A、方向制御弁45を介してタンク12に向けて排出されると共に、油室B内には、タンク12内の油液が後述のチェック弁50B,26Bからアクチュエータ側油路47B,48Bおよび油圧管路49Bを介して補給される。即ち、このときに制御弁装置41の第1の方向制御弁45は、荷台3の自重落下を許す浮き位置(F)に配置されるものである。
また、制御弁装置41が下げ位置となる場合について述べる。この場合には、制御弁装置41の第1の方向制御弁45を中立位置(N)に戻し、第2の方向制御弁46を中立位置(N)から下げ位置(L)に切換える。第2の方向制御弁46が下げ位置(L)になると、油圧ポンプ11からの圧油がポンプ管路13、高圧側油路42、第2の方向制御弁46、アクチュエータ側油路48B、油圧管路49Bを介してホイストシリンダ10の油室B内に供給される。また、油室A内の油液は、油圧管路49A、アクチュエータ側油路48A、第2の方向制御弁46、低圧側油路43Bおよびタンク管路14を介してタンク12に戻される。
これによって、ホイストシリンダ10は、油室B内に供給された圧油によりピストン10Bがピストンロッド10Cと共にチューブ10A内へと縮小し、荷台3をホイストシリンダ10の油圧力で図1に示す運搬位置へと下向きに回動させる。即ち、このときに制御弁装置41の方向制御弁46は下げ位置(L)に配置され、ホイストシリンダ10は、図2中の矢示D方向に油圧力で縮小することにより荷台3を車体2上に着座する位置へと下げるものである。
50A,50Bは制御弁装置41の第1の方向制御弁45側に配設されたメイクアップ用のチェック弁である。このチェック弁50A,50Bは、アクチュエータ側油路47A,47Bと低圧側油路43A(タンク管路13)との間に第1の方向制御弁45を迂回して設けられている。チェック弁50A,50Bは、タンク12内の油液が低圧側油路43A(タンク管路13)からアクチュエータ側油路47A,47B、油圧管路49A,49Bを介してホイストシリンダ10の油室A,Bに向けて流通するのを許し、逆向きに流れるのを阻止する。ホイストシリンダ10の油室A,Bは、チェック弁50A,50Bを介して補給される油液により油室A,B内が負圧となるのを防止できるものである。
51A,51Bは制御弁装置41に設けた過負荷防止用のリリーフ弁である。このリリーフ弁51A,51Bは、アクチュエータ側油路47A,47Bと低圧側油路43A,43Bとの間に第1の方向制御弁45を迂回して設けられ、チェック弁50A,50Bと並列に接続されている。リリーフ弁51A,51Bのうち一方のリリーフ弁51Aは、ホイストシリンダ10に対し縮小方向の過負荷が作用すると、油室A側の過剰圧をリリーフするために開弁する。また、他方のリリーフ弁51Bは、ホイストシリンダ10に対し伸長方向の過負荷が作用すると、油室B側の過剰圧をリリーフするために開弁するものである。
52A,52Bは制御弁装置41の第2の方向制御弁46側に配設されたメイクアップ用のチェック弁である。このチェック弁52A,52Bは、アクチュエータ側油路48A,48Bと低圧側油路43Bとの間に第2の方向制御弁46を迂回して設けられている。チェック弁52A,52Bは、例えばタンク12内の油液が低圧側油路43Bからアクチュエータ側油路48A,48B、油圧管路49A,49Bを介してホイストシリンダ10の油室A,Bに向けて流通するのを許し、逆向きに流れるのを阻止する。これにより、チェック弁52A,52Bは、ホイストシリンダ10の油室A,Bに油液を補給するものである。
このように構成される第2の実施の形態でも、コントローラ33からの制御信号(励磁信号)により上げ操作用の電磁弁25を、閉弁位置(c)から開弁位置(d)に切換えると、パイロット圧供給管路24から制御弁装置41の第1,第2の方向制御弁45,46の油圧パイロット部45A,46Aに向けて上げ操作用のパイロット圧が供給される。これにより、制御弁装置41の方向制御弁45,46は中立位置(N)から上げ位置(R)に切換えられる。
また、コントローラ33からの制御信号(励磁信号)により下げ操作用の電磁弁26を、閉弁位置(c)から開弁位置(d)に切換えたときには、パイロット圧供給管路24から制御弁装置41の第2の方向制御弁46の油圧パイロット部46Bに向けて下げ操作用のパイロット圧が供給される。これにより、制御弁装置41の方向制御弁46は中立位置(N)から下げ位置(L)に切換えられる。このとき、電磁弁25,27は消磁されて閉弁位置(C)にあるため、第1の方向制御弁45は中立位置(N)に戻される。
一方、コントローラ33からの制御信号(励磁信号)により浮き操作用の電磁弁27を、閉弁位置(c)から開弁位置(d)に切換えたときには、パイロット圧供給管路24から第1の方向制御弁45の油圧パイロット部45Bに向けて浮き操作用のパイロット圧が供給される。これにより、制御弁装置41の方向制御弁45は中立位置(N)から浮き位置(F)に切換えられる。このとき、電磁弁25,26は消磁されて閉弁位置(C)にあるため、第2の方向制御弁45は中立位置(N)に戻される。
かくして、第2の実施の形態にあっても、土砂4の排出作業時に荷台3が所定の判定角度θa の位置まで傾斜し、かつホイストシリンダ10内の圧力Pが判定圧Pa を越えて上昇しているときには、コントローラ33の加振制御手段により制御弁装置41を繰返して切換える制御を行う。即ち、コントローラ33からの制御信号により上げ操作用の電磁弁25と下げ操作用の電磁弁26とを交互に励磁,消磁させる。
これにより、制御弁装置41は、電磁弁25から方向制御弁45,46の油圧パイロット部45A,46Aに供給されるパイロット圧と、電磁弁26から方向制御弁46の油圧パイロット部46Bに供給されるパイロット圧とが短時間で断続的に変化される。このため、制御弁装置41は、例えば0.5〜1.0秒程度の間隔で第1の方向制御弁45が上げ位置(R)と中立位置(N)とに交互に繰返して切換えられ、第2の方向制御弁45は上げ位置(R)と下げ位置(L)とに交互に繰返して切換えられる。
このため、第2の実施の形態でも、ホイストシリンダ10を上,下方向で伸縮を繰返すように加振させることができ、これに伴って荷台3を上,下に振動するように駆動できる。従って、粘性の高い土砂4を荷台3に積込んでいる場合でも、荷台3を所定位置まで傾斜した状態で上,下に振動させることにより、粘着性をもった土砂4を荷台3から剥離させて滑り落とすことができ、土砂4の排出作業を円滑に行うことができる。
なお、前記第1の実施の形態において、図6に示すステップ3,4の処理は、本発明の構成要件である判定手段の具体例を示し、ステップ7の処理は、加振制御手段の具体例である。
また、第1の実施の形態では、制御弁装置16を上げ位置(R)と下げ位置(L)とに交互に切換えることにより荷台3の加振制御を行う場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば制御弁装置16を上げ位置(R)と浮き位置(L)とに交互に切換えることにより荷台3の加振制御を行う構成としてもよい。この点は、第2の実施の形態についても同様である。
一方、第1の実施の形態では、荷台3の傾斜状態検出器として角度センサ31を用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイストシリンダ10にストロークセンサを設け、このストロークセンサにより荷台3の傾斜状態検出器を構成してもよい。この点は、第2の実施の形態についても同様である。
また、前記実施の形態にあっては、運搬車両として後輪駆動式のダンプトラック1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば前輪駆動式または前,後輪を共に駆動する4輪駆動式のダンプトラックに適用してもよく、走行用の車輪を備えたダンプトラック以外の運搬車両に適用してもよい。さらに、クローラ式の運搬車両にも適用できるものである。