JP5746659B2 - 遮水シート検査装置 - Google Patents

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本発明は、遮水シート検査装置に関し、特に、合成樹脂または合成ゴムシートあるいはアスファルトなどの遮水シートを敷設して造成された管理型終末処分場における遮水シート検査装置に関する。
従来、遮水シートを用いた人工的な管理型終末処分場においては、遮水シートに亀裂などの破損が生じて処分場内の汚染水が漏水することがある。最近では、遮水シートを上下2枚用いることで遮水機能の信頼性を高めた処分場が施工される傾向にもなっている。これ等の遮水シートには、帯状の高密度ポリエチレンシートの融着接続を行うことで処分場内部の遮水性を構築する工法が用いられている。漏水が発生すると地下水汚染や公害問題が発生するため、定期的に遮水シートの点検を行い、遮水シートに破損が生じれば漏水箇所を検出して適当な補修を行う必要がある。
このため、遮水シートの融着工事段階に於ける検査方式としては特許第3567373号や特許第3579894号などの検査方式が提案されている。また、遮水シートを挟んで電極を配置する方式としては特許第3463187号や特許第3622172号などで既に確立されている。
特許第3567373号公報 特許第3579894号公報 特許第3463187号公報 特許第3622172号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2の検査方式は、施行段階に於ける検査方式と竣工後の検査方式であり、保護層の施工後では用いることができない。
また、放射性物質の除染作業によって除去された土壌を保管する仮置場や中間貯蔵施設などの危険度が高い廃棄物を保管する処分場では、廃棄物を遮水シートで全面的に覆う必要があり、廃棄物の漏洩防止に関する安全性を確保するために、遮水シートを貫通する電線を施すことが出来ず、この点で、従来型の処分場を対象とする特許文献3や特許文献4の検査方式を、放射性廃棄物の処分場に適用することが出来ないという問題があった。
すなわち、図13に示す特許文献3の検査方式を例にとって上記の問題点を詳細に説明すると、図13に示す特許文献3の検査方式は、遮水シート110の上側に並べられた複数の線状の上側電極120と、上側電極120に交差するように遮水シート110の下側に並べられた複数の線状の下側電極130と、交流電源140と、電流計141と、電極切換手段(図示しない)とを備え、電極切換手段(図示しない)によって、上側電極120の1つを選択して交流電源140の一方に接続し、下側電極130の1つを選択して電流計141を介して交流電源140の他方に接続し、その他の電極120、130を全て交流電源140の他方に接続する方式を採用している。
しかしながら、特許文献3では、上側電極120および下側電極130のそれぞれに電線を接続する必要があり、図13に示す特許文献3の遮水シート110を用いて廃棄物を全面的に覆った場合、遮水シート110の内側から外側に貫通する電線を設ける必要があるという問題があった。
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、遮水シートの上側表面から下側表面に貫通する電線を設けることなく、保護層の施工後に遮水シートの上側表面側から遮水シートの検査を行うことが可能な遮水シート検査装置を提供することである。
本発明の遮水シート検査装置は、遮水シートと、前記遮水シートの上側表面に配置される複数の上側電極と、前記遮水シートの下側表面に配置される少なくとも1つの面状の下側電極と、電源と、電流計と、電極切換手段と、前記遮水シートおよび前記複数の上側電極を覆う保護層とを含み、前記上側電極は、前記遮水シートを挟んで前記面状の下側電極に対向配置される面状の静電結合用の上側電極を少なくとも1つ含み、前記静電結合用の上側電極の1つは、前記電流計を介して前記電源の一方に接続され、前記電極切換手段は、前記電源の一方に接続された前記静電結合用の上側電極を除く前記複数の上側電極のうち1つの上側電極を順次選択して前記電源の他方に接続するとともに、残りの全ての上側電極を前記電源の一方に接続するように構成され、前記電極切換手段によって前記上側電極を順次選択して測定対象領域を移動させた際に、前記測定対象領域が前記遮水シートの接続不良箇所または前記遮水シートの破損箇所に近づいた際に電流経路が形成されて電流が流れること、および、前記遮水シートを挟んで対向配置された前記上側電極および前記下側電極の間の静電結合を利用して、前記遮水シートの上側表面から下側表面に貫通する電線を設けることなく、保護層の施工後に遮水シートの上側表面側から遮水シートの検査を行うことにより、前述した課題を解決したものである。
また、本発明の他の態様の遮水シート検査装置は、遮水シートと、前記遮水シートの上側表面に配置される複数の上側電極と、前記遮水シートの下側表面に配置される少なくとも1つの面状の下側電極と、電源と、電流計と、電極切換手段と、前記遮水シートおよび前記複数の上側電極を覆う保護層とを含み、前記上側電極は、前記遮水シートを挟んで前記面状の下側電極に対向配置される面状の静電結合用の上側電極を少なくとも1つ含み、前記静電結合用の上側電極の1つは、前記電源の一方に接続され、前記電極切換手段は、前記電源の一方に接続された前記静電結合用の上側電極を除く前記複数の上側電極のうち1つの上側電極を順次選択して前記電源の他方に前記電流計を介して接続するとともに、残りの全ての上側電極を前記電源の他方に接続するように構成され、前記電極切換手段によって前記上側電極を順次選択して測定対象領域を移動させた際に、前記測定対象領域が前記遮水シートの接続不良箇所または前記遮水シートの破損箇所に近づいた際に電流経路が形成されて電流が流れること、および、前記遮水シートを挟んで対向配置された前記上側電極および前記下側電極の間の静電結合を利用して、前記遮水シートの上側表面から下側表面に貫通する電線を設けることなく、保護層の施工後に遮水シートの上側表面側から遮水シートの検査を行うことにより、前述した課題を解決したものである。
本発明では、遮水シートを挟んで対向配置される静電結合用の上側電極および下側電極によって形成される静電結合部を利用して、遮水シートの上側表面から下側表面に貫通する電線を設けることなく、保護層の施工後に遮水シートの上側表面側から遮水シートの検査を行うことが可能になるため、安全性の高い遮水シート検査装置を実現できる。
本発明の第1実施形態の概略的な構成および電流経路を示す説明図である。 本発明の第1実施形態の概略的な構成を示す説明図である。 本発明の第2実施形態の概略的な構成および電流経路を示す説明図である。 本発明の第3実施形態の概略的な構成および電流経路を示す説明図である。 本発明の第4実施形態の概略的な構成を示す説明図である。 本発明の第4実施形態の概略的な構成および電流経路を示す説明図である。 本発明の第5実施形態の概略的な構成および電流経路を示す説明図である。 本発明の第6実施形態の概略的な構成および電流経路を示す説明図である。 本発明の第7実施形態における静電結合特性の確認方法を説明するための説明図である。 本発明の第7実施形態の概略的な構成および電流経路を示す説明図である。 本発明の第8実施形態の概略的な構成および電流経路を示す説明図である。 本発明の第9実施形態の概略的な構成および電流経路を示す説明図である。 従来の検査方式の概略的な構成および電流経路を示す説明図である。
以下、本発明の複数の実施形態を図1乃至図12に基づいて説明する。
なお、以下の説明においては、上側電極20Aが接続される側を交流電源40の一方、反対側を交流電源40の他方として記載する。
まず、本発明の第1実施形態について、図1および図2に基づいて以下に説明する。
本発明の遮水シート検査装置は、放射性物質の除染作業によって除去された土壌を保管する仮置場または中間貯蔵施設などの管理型処分場において用いられる廃棄物を覆うための遮水シート10の接続不良箇所または破損の有無やシート破損部11の位置を電気的に検出するものである。
遮水シート検査装置は、図1および図2に示すように、遮水シート10と、複数の上側電極20(20A、20B)と、1つの下側電極30と、交流電源40と、電流計41と、電極切換器42とから少なくとも構成されている。遮水シート10および上側電極20(20A、20B)は、図1に示すように、砂や土や不織布などから成る保護層50によって覆われる。
遮水シート10は、図1に示すように、廃棄物を全面的に覆うように設置され、外部への廃棄物の漏出を防止するためのシートである。遮水シート10は、電気的抵抗が高い素材から形成され、具体的には、合成樹脂や合成ゴムやアスファルトなどから形成されている。
上側電極20(20A、20B)は、図1に示すように、遮水シート10の上側表面(外側表面)にそれぞれ配置されている。上側電極20(20A、20B)は、銅板や鋼板などの金属やカーボン素材などの電気抵抗の小さい素材から形成され、本実施形態では、全て面状に形成されている。
以下では、上側電極20のうち、遮水シート10を挟んで下側電極30に対向配置され交流電源40の一方に接続される上側電極20を上側電極20A、それ以外の上側電極20を上側電極20Bと識別して説明する。
上側電極20Aは、図1に示すように、遮水シート10の上下で下側電極30と同じ位置になるように配置され、電流計41を介して交流電源40の一方に接続されている。複数の上側電極20Bのうち、図2に示す電極切換器42によって選択された1つの上側電極20Bは、交流電源40の他方に接続される。複数の上側電極20Bのうち、残りの全ての上側電極20Bは、電極切換器42によって、交流電源40の一方に接続される。
なお、本実施形態では、上側電極20Bが、遮水シート10の上側表面の全体に配置されているが、測定対象となる遮水シート10の一部の面のみに上側電極20Bを配置してもよい。この点について、後述する第2実施形態乃至第9実施形態においても、同様である。
下側電極30は、図1に示すように、遮水シート10の下側表面(内側表面)において、遮水シート10を挟んで上側電極20Aに対向する位置に配置されている。下側電極30は、銅板や鋼板などの金属やカーボン素材などの電気抵抗の小さい素材で形成され、面状を呈している。遮水シート10を挟んで対向配置される上側電極20Aおよび下側電極30は、互いに同形状、同面積で形成されている。
電極切換器42は、複数の上側電極20Bの中から1つだけを選択して交流電源40の他方に接続し、残りの全ての上側電極20Bを交流電源40の一方に接続するものである。電極切換器42は、図2に示すように、上側電極20Bの一端に接続された複数のベース端子42aと、複数のベース端子42aに対応し交流電源40の他方に共通に接続された第1の切換端子42bと、複数のベース端子42aに対応し交流電源40の一方に共通に接続された複数の第2の切換端子42cとを有している。
上記のように構成された遮水シート検査装置では、交流電源40の他方に接続される上側電極20Bを電極切換器42によって順次切り換えて選択し、その都度、電流計41によって電流測定が行われる。そして、図1に示すように、遮水シート10に接続不良箇所またはシート破損部11があり、電極切換器42によって選択された上側電極20Bが遮水シート10の接続不良箇所またはシート破損部11に近づいた場合、遮水シート10の接続不良箇所またはシート破損部11において著しい電気抵抗の低下が生じることに起因して、電流計41によって測定される電流が増大するため、遮水シート10の接続不良箇所または破損位置を検出することができる。ここで、遮水シート10を挟んで対向配置された上側電極20Aおよび下側電極30の間では、静電容量結合によって電流が流れる。
このようにして得られた第1実施形態の遮水シート検査装置では、上側電極20Aおよび下側電極30を遮水シート10の上下で同じ位置に配置することで、静電容量結合を高め、回路インピーダンスを低下させて検出感度を高めることにより、遮水シート10の下側(内側)から上側(外側)へ貫通する電線を設けることなく、保護層50の施工後に遮水シート10の上側表面側から遮水シート10の検査を行うことが可能になるため、安全性の高い遮水シート検査装置を実現できる。
つぎに、本発明の第2実施形態について、図3に基づいて以下に説明する。
ここで、第2実施形態では、前述した第1実施形態と以下に説明する一部のみが異なるため、以下では、第1実施形態との間の相違点のみを説明する。
前述した第1実施形態では、下側電極30が遮水シート10の下側表面に1つ配置されているものとして説明した。しかしながら、第2実施形態では、図3に示すように、上側電極20(20A、20B)と同数の下側電極30が、遮水シート10の下側表面に配置されている。
下側電極30は、全て面状に形成されている。各下側電極30は、図3に示すように、遮水シート10を挟んで上側電極20(20A、20B)に対向する位置に配置されている。上側電極20(20A、20B)は、全て面状に形成されている。遮水シート10を挟んで対向配置される上側電極20(20A、20B)および下側電極30は、互いに同形状、同面積で形成されている。
なお、第1実施形態では、配置される下側電極30の個数が1つであり、第2実施形態では、下側電極30の個数が上側電極20と同数であるものとして説明したが、下側電極30の個数は、これらに限定されず、2つや3つなど如何なるものであってもよい。
つぎに、本発明の第3実施形態について、図4に基づいて以下に説明する。
ここで、第3実施形態では、前述した第1実施形態と以下に説明する一部のみが異なるため、以下では、第1実施形態との間の相違点のみを説明する。
第3実施形態では、図4に示すように、遮水シート10の上側表面および上側電極20(20A、20B)を全面的に覆うように、カバー60がさらに設けられている。なお、カバー60を上側電極20(20A、20B)毎に設けてもよい。カバー60は、樹脂などの遮水性があり電気的抵抗の大きい素材から形成されている。このように、カバー60を設けることによって、保護層50の内部の電流経路の影響を低減させることが計られている。
なお、第2実施形態において、上述したカバー60を設けてもよい。この点について、後述する第3実施形態乃至第9実施形態においても、同様である。
つぎに、本発明の第4実施形態について、図5および図6に基づいて以下に説明する。
ここで、第4実施形態では、前述した第1実施形態と以下に説明する一部のみが異なるため、以下では、第1実施形態との間の相違点のみを説明する。
第4実施形態では、上側電極20(20A、20B)のうち、遮水シート10を挟んで下側電極30に対向する上側電極20Aについては、第1実施形態と同様に面状に形成され、それ以外の上側電極20Bについては、図5に示すように、線状に形成されている。
第4実施形態の上側電極20Bは、図5に示すように、網目状(格子状)に遮水シート10の上側表面の全体に配置されている。なお、測定対象となる遮水シート10の一部の面のみに、上側電極20Bを配置してもよい。各上側電極20Bの交点部分には、上側電極20B間を絶縁する絶縁処理部23が形成されている。なお、図6では、絶縁処理部23の図示が省略されている。
第4実施形態の電極切換器42は、図5に示すように、複数の上側電極20Bの中から1つだけを選択して電流計41を介して交流電源40の他方に接続し、残りの全ての上側電極20Bを電流計41を介することなく交流電源40の他方に接続するものである。これに伴い、図5に示すように、電極切換器42の第1の切換端子42bは、交流電源40の他方に電流計41を介して共通に接続され、電極切換器42の第2の切換端子42cは、交流電源40の他方に電流計41を介することなく共通に接続されている。
上記のように構成された第4実施形態の遮水シート検査装置では、交流電源40の他方に電流計41を介して接続される上側電極20Bを電極切換器42によって順次切り換えて選択し、その都度、電流計41によって電流測定が行われる。そして、検出される電流値が大きくなる上側電極20Bの組み合わせ(縦横)を判定することで、保護層50の施工後に遮水シート10の接続不良箇所または破損位置を検出することができる。
なお、第4実施形態において、第2実施形態の複数の下側電極30の設置や、第3実施形態のカバー60の設置を適用してもよい。
また、第1実施形態では、電流計41が、上側電極20Aと交流電源40の一方との間に配置され、電極切換器42が、複数の上側電極20Bの中から1つだけを選択して交流電源40の他方に接続し、残りの全ての上側電極20Bを交流電源40の一方に接続するように構成されているものとして説明したが、当該電流計41の配置および電極切換器42の構成を第4実施形態に適用してもよい。
また、反対に、第4実施形態では、電極切換器42が、複数の上側電極20Bの中から1つだけを選択して電流計41を介して交流電源40の他方に接続し、残りの全ての上側電極20Bを電流計41を介することなく交流電源40の他方に接続するように構成されているものとして説明したが、当該電流計41の配置および電極切換器42の構成を第1実施形態に適用してもよい。この点について、前述した第2実施形態や、後述する第5実施形態乃至第9実施形態においても、同様である。
つぎに、本発明の第5実施形態について、図7に基づいて以下に説明する。
ここで、第5実施形態では、上側電極20Bの構成のみが前述した第1実施形態と異なるため、以下では、第1実施形態との間の相違点のみを説明する。
第5実施形態の上側電極20Bは、図7に示すように、点状または面状の第1電極21と、第1電極21の周囲に配置されるリング状の第2電極22とから構成されている。
第5実施形態では、図7に示すように、電極切換器42によって選択された上側電極20Bは、第1電極21が交流電源40の他方に接続され、第2電極22が交流電源40の一方に接続される。また、残りの全ての上側電極20Bは、第1電極21および第2電極22が交流電源40の一方に接続される。
第5実施形態では、遮水シート10の上側表面および上側電極20(20A、20B)を全面的に覆うように、カバー60がさらに設けられている。なお、カバー60を上側電極20(20A、20B)毎に設けてもよい。カバー60は、樹脂などの電気的抵抗の大きい素材から形成されている。なお、当該カバー60の設置は、必須ではない。
上記のように構成された第5実施形態では、第1実施形態における作用効果に加えて、上側電極20Bが第1電極21と第2電極22とから構成されていることにより、仮にリング状の第2電極22を設けない場合には、電極切換器42によって選択された上側電極20Bの第1電極21が交流電源40の他方に接続された際に当該第1電極21から保護層50内の他の上側電極20Bにも電流が流れることになるが、第5実施形態のように、第1電極21の周囲にリング状の第2電極22を設けた場合、電流の殆どが第2電極22に流れ込むため、保護層50の電気的特性(電気の流れ易さ、その分布)に影響されることを最小限に抑えて精度よく破損位置を検出することができる。さらに、カバー60を設けることにより、保護層50の内部の電流経路の影響をさらに低減させることができる。
なお、第5実施形態において、第2実施形態の複数の下側電極30の設置を適用してもよい。
つぎに、本発明の第6実施形態について、図8に基づいて以下に説明する。
ここで、第6実施形態では、導電性シート70をさらに設けた点のみが前述した第1実施形態と異なるため、以下では、第1実施形態との間の相違点のみを説明する。
第6実施形態では、図8に示すように、遮水シート10の内側に全面的に、換言すると、廃棄物を全面的に覆うように、導電性シート70が設けられている。
導電性シート70は、図8に示すように、下側電極30に電気的に接続されている。導電性シート70は、導電性を有するものであれば如何なるものでもよく、具体的態様としては、金属膜が挙げられるが、金網でも同様の効果が得られ、カーボン素材等の金属以外の材質であっても同様の効果が得られる。
上記のように構成された第6実施形態では、第1実施形態における作用効果に加えて、遮水シート10の下側表面、つまり、廃棄物の表面に電気抵抗の小さい導電性シート70が存在することから、廃棄物表面の電位分布を均一にすることができ、廃棄物の電気的特性(電気の流れやすさおよびその分布)の影響を受けることなく、精度よく破損位置を検出することができる。
なお、第6実施形態において、第2実施形態の複数の下側電極30の設置や、第3実施形態のカバー60の設置や、第4実施形態の上側電極20Bの構成や、第5実施形態の上側電極20Bの構成を適用してもよい。
つぎに、本発明の第7実施形態について、図9および図10に基づいて以下に説明する。
ここで、第7実施形態では、前述した第1実施形態と以下に説明する一部のみが異なるため、以下では、第1実施形態との間の相違点のみを説明する。
第7実施形態では、図9や図10に示すように、面状の下側電極30が2つ配置されている。2つの下側電極30は、遮水シート10を挟んで上側電極20(20A、20B)にそれぞれ対向配置されている。なお、下側電極30の個数は、2以上であれば如何なるものでもよい。また、第7実施形態では、これら2つの下側電極30に対向配置される上側電極20(20A、20B)についても、それぞれ、面状に形成されている。2つの下側電極30は、図9や図10に示すように、遮水シート10の内側において、導電性部材80によって接続されている。
上記のように構成された第7実施形態では、第1実施形態における作用効果に加えて、図9に示すように、2つの下側電極30に対向配置された上側電極20(20A、20B)を交流電源40を介して接続することにより、静電結合特性、つまりは回路インピーダンスを確認することができ、検出感度が高い状態で測定が行えていることを確認することができる。なお、回路インピーダンスの具体的な測定手段については、測定回路など如何なるものであってもよい。また、測定された静電結合特性から静電結合特性の経時的または周期的な変動を捕えて、遮水シート10の接続不良箇所または遮水シート10の破損箇所を検出するために測定した電流を補正する補正回路(補正手段、図示しない)をさらに設けてもよい。
ここで電気的に接続した2つの下側電極30は遮水シート10を敷設する前に接続を行っておく必要があり、遮水シート10の敷設後は接続を解除することはできないが、下側電極30同士を接続する導電性部材80が直接的に廃棄物に接触するようにしておくことで、図10に示すように、上側電極20Bの選択を切り替えることで、保護層50の施工後に遮水シート10の破損位置を検出することが可能である。
なお、第7実施形態において、第3実施形態のカバー60の設置や、第4実施形態の上側電極20Bの構成や、第5実施形態の上側電極20Bの構成を適用してもよい。
つぎに、本発明の第8実施形態であるについて、図11に基づいて以下に説明する。
ここで、第8実施形態では、前述した第7実施形態と以下に説明する一部のみが異なるため、以下では、第7実施形態との間の相違点のみを説明する。
第8実施形態では、図11に示すように、2つの下側電極30と、下側電極30に対向配置される2つの上側電極20(20A、20B)とが、底盤の面に配置され、すなわち、図11に示すように、遮水シート10によって廃棄物を覆った状態で、廃棄物の下面に位置するように配置されている。
これにより、第7実施形態の作用効果に加えて、第8実施形態では、下側電極30および上側電極20(20A、20B)に、上載荷重がかかるため、下側電極30および上側電極20(20A、20B)の密着性が向上して静電結合部のインピーダンスを小さくすることができる。
また、密着性が安定して、静電結合部のインピーダンスを安定させることができる。
さらに、廃棄物に含まれる水分は底盤に溜まるため、下側電極30および上側電極20(20A、20B)周辺の廃棄物のインピーダンスが低下し、静電結合部のインピーダンスを小さくすることができる。
つぎに、本発明の第9実施形態について、図12に基づいて以下に説明する。
ここで、第9実施形態では、前述した第1実施形態と以下に説明する一部のみが異なるため、以下では、第1実施形態との間の相違点のみを説明する。
第9実施形態では、図12に示すように、上側電極20(20A、20B)と同数の下側電極30が、遮水シート10の下側表面に配置されている。
下側電極30は、全て面状に形成されている。各下側電極30は、図12に示すように、遮水シート10を挟んで上側電極20(20A、20B)に対向する位置に配置されている。上側電極20(20A、20B)は、全て面状に形成されている。遮水シート10を挟んで対向配置される上側電極20(20A、20B)および下側電極30は、互いに同形状、同面積で形成されている。
第9実施形態では、図12に示すように、遮水シート10の上側表面および上側電極20(20A、20B)を全面的に覆うように、カバー60がさらに設けられている。なお、カバー60を上側電極20(20A、20B)毎に設けてもよい。カバー60は、樹脂などの電気的抵抗の大きい素材から形成されている。カバー60を遮水性のある素材から形成してもよい。このように、カバー60を設けることによって、保護層50の内部の電流経路の影響を低減させることが計られている。
第9実施形態では、電極切換器42によって選択した上側電極20Bの配置と測定される電流値の大きさから、廃棄物および廃棄物に含まれる水分のインピーダンスの分布を確認する検査回路(検査手段、図示しない)をさらに備えている。
上記のように構成された第9実施形態では、遮水シート10の破損箇所の有無などの検査を行う第1実施形態における作用効果に加えて、電極切換器42によって選択した上側電極20Bの配置と測定される電流値の大きさから、廃棄物および廃棄物に含まれる水分のインピーダンスの分布を確認することができる。
すなわち、第9実施形態においても、第1実施形態と同様に、交流電源40の他方に接続される上側電極20Bを電極切換器42によって順次切り換えて選択し、その都度、電流計41によって電流を測定するが、選択した上側電極20Bによる検出される電流の差は、選択したそれぞれの上側電極20Bと同位置に配置した、それぞれの下側電極30間のインピーダンス、つまりは、廃棄物およびそれに含まれる水分のインピーダンスの差によって生じる。したがって、選択した上側電極20Bの配置と測定される電流の大きさから、廃棄物およびそれに含まれる水分のインピーダンスの分布を確認することができる。特に、密閉された廃棄物自体のインピーダンスおよびその分布は安定であるため、インピーダンスの分布の変化から廃棄物に含まれる水分の分布を得ることができる。
なお、上述した第9実施形態では、上側電極20(20A、20B)と同数の下側電極30が、遮水シート10の下側表面に配置されているものとして説明したが、下側電極30の数量は、測定される電流値の大きさから廃棄物および廃棄物に含まれる水分のインピーダンスの分布を確認し得る数量であればよく、2以上であればよい。また、カバー60の設置は、必ずしも必須ではない。
以上のように、本発明の遮水シート検査装置の実施態様として、第1実施形態乃至第9実施形態を説明したが、支障が無い限り、各実施形態の特徴を適宜組み合わせることが可能である。
10 ・・・ 遮水シート
11 ・・・ シート破損部
20、20A、20B ・・・ 上側電極
21 ・・・ 第1電極
22 ・・・ 第2電極
23 ・・・ 絶縁処理部
30 ・・・ 下側電極
40 ・・・ 交流電源
41 ・・・ 電流計
42 ・・・ 電極切換器
50 ・・・ 保護層
60 ・・・ カバー
70 ・・・ 導電性シート
80 ・・・ 導電性部材

Claims (6)

  1. 遮水シートと、前記遮水シートの上側表面に配置される複数の上側電極と、前記遮水シートの下側表面に配置される少なくとも1つの面状の下側電極と、電源と、電流計と、電極切換手段と、前記遮水シートおよび前記複数の上側電極を覆う保護層とを含み、
    前記上側電極は、前記遮水シートを挟んで前記面状の下側電極に対向配置される面状の静電結合用の上側電極を少なくとも1つ含み、
    前記静電結合用の上側電極の1つは、前記電流計を介して前記電源の一方に接続され、
    前記電極切換手段は、前記電源の一方に接続された前記静電結合用の上側電極を除く前記複数の上側電極のうち1つの上側電極を順次選択して前記電源の他方に接続するとともに、残りの全ての上側電極を前記電源の一方に接続するように構成され、
    前記電極切換手段によって前記上側電極を順次選択して測定対象領域を移動させた際に、前記測定対象領域が前記遮水シートの接続不良箇所または前記遮水シートの破損箇所に近づいた際に電流経路が形成されて電流が流れること、および、前記遮水シートを挟んで対向配置された前記上側電極および前記下側電極の間の静電結合を利用して、前記遮水シートの上側表面から下側表面に貫通する電線を設けることなく、保護層の施工後に遮水シートの上側表面側から遮水シートの検査を行うことを特徴とする遮水シート検査装置。
  2. 遮水シートと、前記遮水シートの上側表面に配置される複数の上側電極と、前記遮水シートの下側表面に配置される少なくとも1つの面状の下側電極と、電源と、電流計と、電極切換手段と、前記遮水シートおよび前記複数の上側電極を覆う保護層とを含み、
    前記上側電極は、前記遮水シートを挟んで前記面状の下側電極に対向配置される面状の静電結合用の上側電極を少なくとも1つ含み、
    前記静電結合用の上側電極の1つは、前記電源の一方に接続され、
    前記電極切換手段は、前記電源の一方に接続された前記静電結合用の上側電極を除く前記複数の上側電極のうち1つの上側電極を順次選択して前記電源の他方に前記電流計を介して接続するとともに、残りの全ての上側電極を前記電源の他方に接続するように構成され、
    前記電極切換手段によって前記上側電極を順次選択して測定対象領域を移動させた際に、前記測定対象領域が前記遮水シートの接続不良箇所または前記遮水シートの破損箇所に近づいた際に電流経路が形成されて電流が流れること、および、前記遮水シートを挟んで対向配置された前記上側電極および前記下側電極の間の静電結合を利用して、前記遮水シートの上側表面から下側表面に貫通する電線を設けることなく、保護層の施工後に遮水シートの上側表面側から遮水シートの検査を行うことを特徴とする遮水シート検査装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の遮水シート検査装置において、
    前記遮水シートを挟んで対向配置される前記静電結合用の上側電極および前記下側電極の組は、少なくとも2つ設けられ、
    前記下側電極間を電気的に接続する導電性部材をさらに含み、
    前記静電結合用の上側電極および前記下側電極の組を2組選び、前記下側電極間を導電性部材によって電気的に接続して通電することで、前記静電結合用の上側電極および前記下側電極の間の静電結合特性を検査することを特徴とする遮水シート検査装置。
  4. 請求項3記載の遮水シート検査装置において、
    前記静電結合用の上側電極および前記下側電極の組を2組選び、前記下側電極間を導電性部材によって電気的に接続して通電することで、静電結合特性を測定して静電結合特性の経時的または周期的な変動を捕えて、遮水シートの接続不良箇所または遮水シートの破損箇所を検出するために測定した電流を補正する補正手段をさらに含むことを特徴とする遮水シート検査装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載の遮水シート検査装置において、
    前記導電性部材によって接続される2組の前記静電結合用の上側電極および前記下側電極の組は、前記遮水シートによって廃棄物を覆った状態で、前記廃棄物の下面に位置するように、前記遮水シートに対して配置されていることを特徴とする遮水シート検査装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の遮水シート検査装置において、
    前記遮水シートを挟んで対向配置される前記静電結合用の上側電極および前記下側電極の組は、少なくとも2つ設けられ、
    前記静電結合用の上側電極および前記下側電極の組を2組選び、前記下側電極間を電気的に接続して通電することで、廃棄物内の水分変動を電気的特性によって検査する検査手段をさらに含むことを特徴とする遮水シート検査装置。
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