JP5745699B2 - トンネル磁気抵抗素子の製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、トンネル磁気抵抗素子の製造装置に関する。
トンネル磁気抵抗効果(TMR:Tunnel Magneto Resistance effect)技術を半導体素子と融合した集積化磁気メモリであるMRAM(Magnetic random access memory)が近年注目を集めている。MRAMに用いられるTMR素子としては、非特許文献1に示されるような、フリー層とリファレンス層の磁化方向が積層膜方向に対して垂直方向に磁化回転する面内磁化型(In-plane)の素子や、非特許文献2に示されるようなフリー層とリファレンス層の磁化方向が積層膜方向と同方向に磁化回転する垂直磁化型(Perpendicular)の素子が用いられる。さらに非特許文献3に示すようなフリー層の上部に酸化物層を形成する構造も報告されている。
TMR素子の製造においては、非特許文献1及び非特許文献2に示される構造のみならず、所望の成膜材料から成るターゲットをスパッタリングすることにより、対向する基板上に成膜するスパッタリング成膜(以下単にスパッタともいう)方法が広く用いられている(特許文献1)。
国際公開第2012/086183号
Young-suk Choi et al, Journal of Appl. Phys. 48(2009)120214 D.C.Worledge et al, Appl. Phys. Lett. 98 (2011)022501 Kubota et al, Journal of Appl. Phys. 111, 07C723 (2012)
しかしながら、上述の技術にはそれぞれ以下のような課題が存在する。
特許文献1に記載の製造方法では、垂直磁化型積層膜として、Ta、Ru、CoFeB、MgOの4種類の材料をスパッタした構造が示されているが、高密度化が進むとSTT(Spin Transfer Torque)−MRAM積層構造が複雑化し、より多くの積層膜を形成する必要がある。具体的には、非特許文献2に示される構造である。多くの積層膜をスパッタする場合、同一チャンバ内に滞在する時間を短縮しないとスループットが遅くなり、生産性が劣化し、半導体デバイスにおけるコストが増加する。そのため、多種材料をスループットや生産性の低下を抑制しつつスパッタし、且つ特性改善のためのアニール処理や酸化膜形成のための酸化処理を短時間で行われなければならないという課題がある。
また特許文献1には、基板導入室を含む1つの基板搬送チャンバに、酸化、加熱及び洗浄(エッチング)と、3つのターゲットを有したスパッタチャンバを4台接続した構成が示されている。この装置では、基板導入室が搬送チャンバ内へ連続して基板搬入を行うと到達真空度が劣化し、搬送チャンバ内で基板上に原子層オーダーの不純物が吸着してしまうという課題がある。また、このような不純物が界面へ吸着することにより、金属積層膜構造において、結晶欠陥の発生や特性劣化を招くという課題がある。
本願発明は上述した課題を契機として為されたものであり、磁性膜中への不純物の混入を低減可能なTMR素子の製造装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本願発明の一態様は、トンネル磁気抵抗素子の製造装置であって、外部との基板の搬入出を行うためのロードロック装置と、前記ロードロック装置と接続され、少なくとも1つの基板処理装置が接続された第1基板搬送装置と、前記第1基板搬送装置に設けられた第1排気手段と、前記第1基板搬送装置と接続され、複数の基板処理装置が接続された第2基板搬送装置と、前記第2基板搬送装置に設けられた第2排気手段とを備え、前記第2基板搬送装置に接続された複数の基板処理装置のうち少なくとも1つは酸化装置であることを特徴とする。
本発明により、磁性膜中への不純物の混入を低減することができる。よって、より多くの積層膜形成が必要な磁気抵抗素子構造の形成において、金属積層膜構造における結晶欠陥の発生や特性劣化を低減することができ、スループットや生産性を改善することができる。
本発明の一実施形態に係るTMR素子の製造装置を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係るTMR素子の製造装置を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係るTMR素子の製造装置を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係るTMR素子の製造装置を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係るTMR素子の製造装置を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係るTMR素子の製造装置を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係るゲートバルブ動作と基板搬送を制御するためのフロー図である。 本発明の一実施形態に係る製造装置を用いた場合の酸化フローの説明図である。 本発明の一実施形態に係る製造装置を用いた場合の酸化フローの説明図である。 本発明の一実施形態に用いられるスパッタリング装置を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る酸化装置を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る酸化装置を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る製造装置に用いられる制御装置を説明するための図である。
以下、本発明の製造装置等について、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。なお、実施形態間で共通する要素については説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1に本実施の形態に係るTMR素子の製造装置400の構成の一例を示す。製造装置400は、ロボットアーム427を有し、少なくとも1つの基板処理装置が接続された搬送装置403と、基板を搬送装置403に搬入するまたはプロセスが完了した基板を搬出するための搬送装置401と、搬出入室402A、402Bと、ロボットアーム428を有し、複数の基板処理装置が接続された搬送装置405とを備える。さらに、製造装置400は、搬送装置403から搬送装置405へ基板を搬出入するための載置室404Aおよび404Bを備えてもよい。搬出入室402Aおよび402Bは、製造装置400の外部に対して基板を搬入出するための所謂ロードロック(LL)室であり、それぞれ装置内を真空に排気するための排気装置と大気圧にするためのガス導入機構が接続されている。また、搬出入室402A、402Bと搬送装置403との間にそれぞれゲートバルブ415A、415Bが設けられている。
搬送装置403と搬送装置405とには、それぞれ装置内を真空に排気するための排気装置403a、405aが接続されている。この排気装置403a、405aは例えばターボ分子ポンプやクライオポンプ等の本実施形態に必要な真空度が得られる各種の排気装置を用いることができる。
なお、搬送装置405内の真空度が、搬送装置403内の真空度よりも高いことが好ましい。
搬送装置403と搬送装置405との間にはゲートバルブが設けられる。搬送装置403と搬送装置405との間に載置室404A、404Bを設けた場合、載置室404A、404Bと搬送装置405の間、又は、載置室404A、404Bと搬送装置403の間の、少なくともどちらか一方にゲートバルブを設けることで、搬送装置403と搬送装置405の空間が分離され、搬送装置405は高い真空度を維持することができる。本実施形態では、搬送装置403と搬送装置405との間には2基の載置室404Aおよび404Bが設けられ、搬送装置403、載置室404A、404Bおよび搬送装置405の各々の間にゲートバルブ420A、420B、421A、421Bを設け、より搬送装置405を高真空に維持可能な構成としている。また、搬送装置403と搬送装置405との間に位置するゲートバルブ420Aおよび420B、ならびにゲートバルブ421Aおよび421Bを同時に開閉させないことで、搬送装置405への基板搬入時に発生する真空度劣化がより抑制される。これにより搬送装置405の真空度をより安定で良好に保つことができる。
また、本実施形態に係る製造装置400は、TMR素子を形成する前に基板表面に付着している自然酸化膜や不純物を除去するためのエッチング装置406と、TMR素子の各種金属膜を形成するためのスパッタ装置としてスパッタリングターゲットカソードを5つ備えたスパッタ装置(5PVD)407とをさらに備えている。製造装置400は、スパッタリングターゲットカソードを2つ備えたスパッタ装置(2PVD)408と、金属膜を酸化するための酸化装置409とをさらに備えている。エッチング装置406は搬送装置403に接続され、スパッタ装置(5PVD)407は搬送装置403および搬送装置405に接続される。さらにスパッタ装置(2PVD)408が搬送装置405に接続されている。複数のスパッタリングカソードを備えたスパッタ装置である、スパッタ装置(5PVD)407やスパッタ装置(2PVD)408の搬送装置403および搬送装置405への接続については、行われる基板処理のプロセスに応じて適宜変更可能である。酸化装置409は、搬送装置405に接続されている。
エッチング装置406と搬送装置403との間にはゲートバルブ418が設けられており、スパッタ装置(5PVD)407と搬送装置403との間には、ゲートバルブ416、417が設けられている。また、スパッタ装置407と搬送装置405との間にはゲートバルブ422が設けられており、スパッタ装置(2PVD)408と搬送装置405との間にはゲートバルブ424が設けられており、酸化装置409と搬送装置405との間にはゲートバルブ423が設けられている。
本実施形態に係る製造装置400は、真空度劣化による界面への不純物吸着を抑制するため、基板の搬入出を行うLL室に接する搬送装置403とゲートバルブを介して接続される搬送装置405を設けている。このため搬送装置405を超高真空を保つことができる。酸化装置409は、搬送装置405に接続されていることで、特に素子特性に寄与する膜を形成又は処理する際に不純物の吸着を抑制することが可能であり、金属積層膜構造における結晶欠陥の発生や特性劣化を抑制してTMR素子を製造することができる。TMR素子の製造においては、酸化処理時において、基板に対して不純物の付着を低減することが求められる。本実施形態では、外部に対して基板を出し入れするLL室に直接接続されず、LL室に対して他の搬送装置(403)を介して接続された搬送装置405に酸化装置409を接続している。従って、反応装置405自体の真空度を高めることができ、非常に高い真空度を求められる酸化装置409を超真空が確立された搬送装置405に接続されることになる。その結果、多数の基板に対して連続成膜を行なっても、酸化装置409内を超真空に保つことができる。よって、上述のように、TMR素子の製造における酸化処理において、基板(成膜済みの膜)に対して不純物の吸着を低減することができる。
ここで、図10を用いて本実施形態に係るスパッタリング装置について説明する。スパッタリング装置1は真空排気可能な処理容器2と、処理容器2と排気口を介して隣接して設けられた排気チャンバ8と、排気チャンバ8を介して処理容器2内を排気する排気装置48と、を備えている。処理容器2内には、ターゲット4を、バックプレート5を介して保持するターゲットホルダ6が設けられている。ターゲットホルダ6の近傍には、ターゲットシャッター14がターゲットホルダ6を遮蔽するように設置されている。ターゲットシャッター14は、回転シャッターの構造を有している。ターゲットシャッター14には、ターゲットシャッター14の開閉動作を行うためのターゲットシャッター駆動機構33が設けられている。
さらに、処理容器2は、処理容器2内へ不活性ガス(Arなど)を導入するための不活性ガス導入系15と、反応性ガス(酸素、窒素など)を導入するための反応性ガス導入系17と、処理容器2の圧力を測定するための圧力計44とを備えている。各導入系には、ガスを供給するためのガス供給装置が接続されている。またガスを導入するための配管と、流量を制御するためのマスフローコントローラー(MFC)等を備え、制御装置(例えば、図13に示す制御装置)により制御される。
反応性ガス導入系17には反応性ガスを供給するための反応性ガス供給装置(ガスボンベ)18が接続されている。反応性ガス導入系17は、反応性ガスを導入するための配管と、不活性ガスの流量を制御するためのMFCと、ガスの流れを遮断したり開始したりするためのバルブ類とを有している。なお、反応性ガス導入系17は、そして必要に応じて減圧弁やフィルターなどを有しても良い。このような構成により、反応性ガス導入系17は、図示しない制御装置により指定されるガス流量を安定に流すことができる。
処理容器2の内面は電気的に接地されている。ターゲットホルダ6と基板ホルダ7の間の処理容器2の内面には電気的に接地された筒状のシールド40が設けられている。排気チャンバ8は、処理容器2と排気装置48との間を繋いでいる。ターゲット4の背後には、マグネトロンスパッタリングを実現するためのマグネット13が配設されている。マグネット13は、マグネットホルダ3に保持され、図示しないマグネットホルダ回転機構により回転可能となっている。ターゲットホルダ6には、スパッタ放電用電力を印加する電源12が接続されている。本実施形態においては、図15に示すスパッタリング装置1は、DC電源を備えているが、RF電源を備えていてもよい。
ターゲットホルダ6は、絶縁体34により接地電位の処理容器2から絶縁されている。ターゲット4とターゲットホルダ6との間に設置されているバックプレート5がターゲット4を保持している。ターゲットホルダ6の近傍には、ターゲットシャッター14がターゲットホルダ6を覆うように設置されている。ターゲットシャッター14は、基板ホルダ7とターゲットホルダ6との間を遮蔽する閉状態、または基板ホルダ7とターゲットホルダ6との間を開放する開状態にするための遮蔽部材として機能する。
基板ホルダ7の面上で、かつ基板10の載置部分の外縁側(外周部)には、リング形状を有する遮蔽部材(以下、「カバーリング21」ともいう)が設けられている。カバーリング21は、基板ホルダ7上に載置された基板10の成膜面以外の場所へスパッタ粒子が付着することを防止、ないしは低減する。基板ホルダ7には、基板ホルダ7を上下動したり、所定の速度で回転したりするための基板ホルダ駆動機構31が設けられている。基板10の近傍で、基板ホルダ7とターゲットホルダ6との間には、基板シャッター19が配置されている。シャッター19は、基板シャッター支持部材20により基板10の表面を覆うように支持されている。基板シャッター駆動機構32は基板シャッター支持部材20を回転及び並進させることにより、基板10の表面付近の位置において、ターゲット4と基板10との間にシャッター19を挿入する(閉状態)。シャッター19がターゲット4と基板10との間に挿入されることによりターゲット4と基板10との間は遮蔽される。また、基板シャッター駆動機構32の動作によりターゲットホルダ6(ターゲット4)と基板ホルダ7(基板10)との間からシャッター19が退避すると、ターゲットホルダ6(ターゲット4)と基板ホルダ7(基板10)との間は開放される(開状態)。基板シャッター駆動機構32は、基板ホルダ7とターゲットホルダ6との間を遮蔽する閉状態、または基板ホルダ7とターゲットホルダ6との間を開放する開状態にするために、シャッター19を開閉駆動する。開状態において、シャッター19は、シャッター収納部23に収納される。図15に示すようにシャッター19の退避場所であるシャッター収納部23が高真空排気用の排気装置48までの排気経路の導管に納まるようにすれば、装置面積を小さく出来て好適である。
(第2の実施形態)
図2に本実施形態に係るTMR素子の製造装置500の構成の一例を示す。製造装置500は、ロボットアーム527を有し、少なくとも1つの基板処理装置が接続された搬送装置403と、基板を搬送装置503に搬入するための、またはプロセスが完了した基板を搬出するための搬送装置501と搬出入室502A、502Bと、ロボットアーム528を有し、複数の基板処理装置が接続された搬送装置505と、搬送装置503から搬送装置505へ基板を搬出入するための載置室504A、504Bとを備えている。搬送装置503と搬送装置505とには、それぞれ装置内を真空に排気するための排気装置503a、505aが接続されている。この排気装置503a、505aは例えばターボ分子ポンプやクライオポンプ等の本実施形態に必要な真空度が得られる各種の排気装置を用いることができる。
さらに載置室504A、504Bと搬送装置505との間、および、載置室504A、504Bと搬送装置503との間の両方にゲートバルブ520A、520B、521A、521Bが設けられている。搬送装置505は高真空に維持されている。また、搬送装置505に対する基板搬入時に発生する真空度劣化がより抑制されている。搬送装置505の真空度をより安定で良好に保つことができる。また、搬出入室502A、502Bと搬送装置503との間にそれぞれゲートバルブ515A、515Bが設けられている。
また、製造装置500は、TMR素子を形成する前に、基板表面に付着している自然酸化膜や不純物を除去するためのエッチング装置506と、TMR素子の各種金属膜を形成するための4つのスパッタリングカソードを備えたスパッタ装置(4PVD)507とを備えている。さらに、製造装置500は、金属膜を酸化するための酸化装置508を備えている。
エッチング装置506と搬送装置503との間には、ゲートバルブ519が設けられており、スパッタ装置(4PVD)507と搬送装置503との間には、ゲートバルブ516、517、518が設けられている。また、スパッタ装置(4PVD)507と搬送装置505との間には、ゲートバルブ523、524、525、526とが設けられており、酸化装置508と搬送装置505との間には、ゲートバルブ522が設けられている。
搬送装置505はLL室に対して搬送装置503を介して接続されているため、搬送装置505内を高真空に維持することが可能である。このため、搬送装置505に接続されたスパッタ装置507で金属膜を成膜後に酸化装置508で酸化処理を行う場合、搬送装置505内で基板を搬送する際の基板表面への不純物の吸着を抑制できる。金属膜表面への不純物を抑制しつつ、該金属膜を酸化することで、原子層オーダーで均一性が良好な金属酸化膜を形成できる。また、搬送装置505に接続されたスパッタ装置507で金属積層膜を形成し、さらに搬送装置505に接続された別のスパッタ装置507で金属積層膜を形成する場合、界面の不純物吸着が少ないため、格子欠陥の少ない金属積層膜の製造が可能となる。特に垂直磁化膜においては多数の金属膜を積層させて形成するため、界面の不純物吸着が少ないことが重要であり、本実施形態に係る装置を用いることで垂直磁化膜の磁気特性の劣化を抑制し、高い抵抗変化率を持つTMR素子の作成が可能である。なお、載置室504Aおよび504Bにはクライオポンプがついていてもよい。
載置室504Aおよび504Bにクライオポンプを接続することにより、搬送装置505の真空度をさらに安定で良好に保つことができる。クライオポンプを載置室504Aおよび504Bに設けることにより、例えば、搬送装置505における水分分圧を下げることができ、金属積層膜の界面における不純物を低減できるため、垂直磁化膜の磁気特性の劣化を抑制し、高い抵抗変化率を持つTMR素子の形成が可能である。
さらに、搬送装置505に対して、基板載置室504A,504Aに隣接した位置に酸化装置508を配置することで、製造装置500が占める床面積を低減し、基板搬送装置505の真空度を向上させることが可能となる。
この点について図1および図2を用いて説明する。
図1の製造装置では、酸化装置409が、基板搬送装置404に対して遠く離れた位置で搬送装置405に接続されている。このような装置構成において、例えば多数の積層膜からなるSTT−TMRを下層から上層まで真空一貫で製造する場合、必要に応じて基板搬送装置405に更にスパッタ装置を増設する。ここで用いられるスパッタ装置は、図4でも説明した通り、多層の積層膜を真空一貫で形成するために複数のターゲットカソードを搭載したスパッタ装置が用いられる。複数のターゲットカソードを搭載したスパッタ装置を必要な数だけ接続したクラスタ型製造装置を使用することで、多層の積層膜を形成することができる。スパッタ装置は、多数のスパッタリングカソードを備えたスパッタ装置で、多数のスパッタリングターゲットを用いることで多層の積層膜を好適に作製できる。
しかし、多数のスパッタリングターゲットが配されたスパッタ装置は一般に大型であるため、基板載置室404Aまたは404Bに隣接した位置にスパッタ装置を配する場合、基板搬送装置403側に設けられたスパッタ装置407との接触を避けるために、基板搬送装置403と基板搬送装置405の間隔を大きく空ける必要がある。結果、装置の床面積が増加し、また搬送装置403、載置室404A、404B、搬送装置405の少なくとも1つを大型化する必要があり、真空度も低下しやすくなるかもしれない。特にターゲットカソードの数が多いスパッタ装置ほど大型化の問題は大きい。また本実施形態に係る搬送装置403および搬送装置405に接続された各スパッタ装置407は、各スパッタ装置407において搬送装置と接続されたゲートバルブと反対の側に排気室および排気装置を備えている。このようなスパッタ装置407の形態においてはさらに基板搬送装置403と基板搬送装置405の間隔を大きく空ける必要がある。
これに対し、図5に示すように、複数のターゲットを備えるスパッタ装置507に対して小型の酸化装置508を基板搬送装置505に隣接して配置することで、搬送装置503に接続されたスパッタ装置507との接触を避けるために必要な搬送装置503と搬送装置505の間隔を小さくできる。このため、各搬送装置の大型化を防ぎ、各搬送装置内の真空度を良好に保持できる。
本実施形態における製造装置では、各搬送装置の略中心に搬送手段としてロボットアーム527、528が設けられている。ロボットアーム527、528は搬送装置の略中心に回転軸を有し、該回転軸に設けられたアームを伸縮させることで基板を搬送する。本実施形態における搬送手段としてのロボットアーム527、528はアームを2本有しており、これらのアームは一体として回転してもよいし、各々が独立して回動可能に構成されてもよい。搬送装置における各処理装置および各載置室との接続面は、アームの伸縮方向に対して垂直であり、該接続面における基板の搬送口を可能な限り小さくするように構成される。このような構成により搬送装置505内の雰囲気をより高真空に維持することが可能となる。また、中心軸が回動する回動式アームを用いることで、中心軸が搬送装置内をスライドするスライド式アームに比べて発塵を抑制し、高真空を維持し易い。
また、本実施形態では、搬送手段の回転軸を中心として、搬送装置505に載置室や処理装置等を合計7つ、搬送装置503では合計8つ接続している。本実施形態のように、回転軸を中心として各装置との接続面が5角以上の多角形である搬送装置を用いた製造装置である場合、特に搬送装置503の載置室に隣り合わせて設けられた処理装置と、搬送装置505の載置室に隣り合わせて設けられた処理装置との接触が問題となり易い。このような場合においても、処理装置のうち比較的小型である酸化装置を、載置室504Aまたは504Bに隣り合わせて搬送装置505に設けることで、製造装置の大型化を抑制し、各搬送装置内の真空度を良好に保持できる。
(第3の実施形態)
図3に本実施形態に係るTMR素子の製造装置530の構成を示す。この製造装置530は、図2の製造装置500に設けられたスパッタ装置507の1つをアニール装置510に置き換えた構造となっている。このアニール装置510を用いて金属膜および金属酸化膜をアニールした結果、特にバリア層、フリー層およびリファレンス層の結晶性が改善でき、抵抗変化率を改善できる。これは、スパッタにより成膜された金属膜表面を高い真空度で維持された搬送装置505を用いて真空中に待機させることなくアニール装置510に搬送して処理が行われるため、界面への不純物吸着が抑制され、金属積層膜構造における結晶欠陥の発生や特性劣化を抑制することができたためと考えられる。また、アニール装置510は基板冷却機能を備えており、加熱後すぐに基板を冷却することができる。基板が高温のまま次のスパッタ処理を行った場合、スパッタされた金属膜が拡散し、原子層レベルの平坦性を劣化させ、特性劣化を引き起こすことがある。そのため、基板加熱処理後は、冷却することが必要となる場合もあり、図に示していないが、本発明の装置に、冷却装置を独立に備えても良い。アニール装置510としては、例えば国際公開WO2010/150590号に示される装置が好適に用いられる。
(第4の実施形態)
図4に本実施形態に係るTMR素子の製造装置600の構成を示す。この製造装置600は、図2の製造装置500に設けられたスパッタ装置507の1つを酸化装置511に置き換えた構造となっている。例えば、非特許文献3に示されるように、トンネルバリア層以外の酸化物層を有するTMR素子を製造する場合、酸化処理が2回必要となる。
ここで、酸化装置を1つだけ有する製造装置における、TMR素子の酸化プロセスを図14に示す。
図8は、図2に示す製造装置において非特許文献3に示されているTMR素子を製造する際の、酸化処理前後の処理および、基板間の各処理のタイミングの関係を示したものである。まず基板上に所定の膜が形成された後、酸化処理が行われる金属膜の成膜が行われる。その後該金属膜の酸化処理が行われる。そして再度、酸化処理が行われる金属膜の成膜が行われ、該金属膜の酸化処理が行われる。1つのTMR膜の作製において2回の酸化処理を要する場合、1つの酸化装置508を2回使用する必要がある。図8に示すように、1枚目と2枚目の酸化処理は、互いの金属膜を成膜している時間に交互に酸化処理を行うことで、基板が酸化処理のために待機する時間を短縮できる。ただし、3枚目は2枚目の酸化処理が完了するまでの間待機する必要が生じる。3枚目以降の処理の流れは1枚目と2枚目の反復であり、3枚目、5枚目、7枚目、と奇数の順番の基板において待機時間が生じてしまう。基板の待機時間が生じると、待機している間に基板表面に不純物の吸着等が生じるため、スループットが低下するだけでなく、素子特性の劣化が生じる。従って、図2の製造装置による成膜においては、従来に比べて十分に不純物の付着を低減することができ、結晶欠陥の発生や特性劣化を良好に低減することができるが、同じ装置で2回の酸化処理を行う形態よりも、スループットおよび素子特性改善をさらに実現できることが好ましい。
本実施の形態に係る製造装置600では、酸化装置が搬送装置505に2台接続されている。本実施形態に係る装置において、非特許文献3に示されているTMR素子を製造する際の、酸化処理前後の処理および、基板間の各処理のタイミングの関係を図9に示す。まず基板上に所定の膜が形成された後、酸化処理が行われる金属膜の成膜が行われる。その後、該金属膜は酸化装置511にて酸化処理が行われる。そして再度、酸化処理が行われる金属膜の成膜が行われ、該金属膜は酸化装置508にて酸化処理が行われる。2枚目以降の基板については、先行する基板の酸化処理が終了した酸化装置に搬入され、酸化処理が行われるため、図2に示す装置のように、先行する基板の酸化処理が終了するまで待機している時間を大幅に短縮することが可能となる。この結果、本実施形態に係る製造装置600は、スループットをさらに改善しつつ、さらに特性の優れたTMR素子を製造することができる。
このように、搬送装置505に接続される酸化装置は複数あるほうが生産性の向上や金属積層膜構造における結晶欠陥の発生や特性劣化の抑制の観点で望ましい。特に酸化処理が2回以上必要であるような場合には、生産性の向上や金属積層膜構造における結晶欠陥の発生や特性劣化の抑制の観点でさらに望ましい。酸化処理の回数と酸化装置の数が同じに設定されるほうが制御プログラムの簡素化の観点で好ましい。
なお、本実施形態においても、第3の実施形態で示したように、スパッタ装置507の1つをアニール装置510に置き換えてもよい。
(第5の実施形態)
上述した実施形態に係る装置では、搬送装置505と搬送装置503との間に載置室504Aおよび504Bが配される。このため、搬送装置503に比して搬送装置505が高真空に維持される。しかし、搬送装置505に酸化装置が設けられている形態では、酸化装置内に導入された酸素ガス等によって搬送装置505の真空度が低下しやすい。このような問題に対し、酸化装置において、基板に所定の酸化処理を行った後、酸化装置内が規定の真空度に達するまで排気を行うという方法が考えられるが、この方法に依れば、酸化装置内の排気が完了するまで次の酸化処理が行えず、スループットの低下を招く。
本実施形態は、酸化装置内の排気が十分に完了せずとも、他の基板への素子特性の劣化を抑制し、次の基板の酸化処理を可能とする。本実施形態について図5を用いて説明する。
各基板処理装置、載置室および各搬送装置の間には、各々の空間を隔離する開閉可能なゲートバルブ515A、515B、516、517、518、519、520A、520B、521A、521B、522、523、524、525、526が設けられる。本実施形態では製造装置700に備えられた制御装置(例えば、図13に示す制御装置900)により、上記各ゲートバルブと搬送装置503のロボットアーム527、搬送装置505のロボットアーム528が制御される。
制御装置(例えば、図13に示す制御装置900)は図7に示されるフローに従って、各ゲートバルブおよびロボットアーム527、528を制御する。
図7に示すフローについて以下で説明する。
まず、ステップS71にて、制御装置は、酸化装置508および酸化装置511の少なくとも一方にて酸化処理を実行する。ステップS72にて、制御装置は、酸化装置508および酸化装置511の少なくとも一方において、基板の酸化処理が完了した後に、他の被処理基板が、搬送装置505から搬送装置505に接続された他の酸化装置やスパッタ装置、載置室504Aおよび504Bの装置内に搬入されているか否かを判断する。未だ搬入されていない基板が存在する場合は、ステップS73にて、制御装置は、搬送装置505に存在する基板が各処理装置または載置室に搬入されたのを確認できるまで、酸化装置508、511内に基板を載置した状態で待機する。
なお、これから酸化処理が行われる他の基板は必ずしも酸化装置内への搬入が完了している必要は無いが、素子特性安定のために、酸化装置内に基板が搬入されていることが望ましい。
ステップS74にて、制御装置は、全ての基板がスパッタ装置内、他の酸化装置もしくは基板載置室504Aまたは504Bに搬入された後、各々に設けられたゲートバルブが閉じているかどうかを判断する。未だ閉じられていないゲートバルブが在る場合は、ステップS75にて、制御装置は、基板を該酸化装置内で待機させる。全てのゲートバルブが閉じられた後に、ステップS76にて、制御装置は、酸化処理が完了した基板が載置されている酸化装置と基板搬送装置505との間のゲートバルブを開き、ステップS77にて、搬送装置は、基板をロボットアーム528によって搬出する。その後、ステップS78にて、制御装置は、該酸化装置のゲートバルブを閉じる。各酸化装置内の雰囲気を均一に保つため、2つの酸化装置と搬送装置505の間に設けられた各々のゲートバルブは同時に開放させないことが望ましい。すなわち、制御装置は、酸化装置と搬送装置505との間に設けられたゲートバルブおよび搬送装置505と載置室504A、504Bとの間に設けられたゲートバルブの一方が開放されている間は、他方を開放しないように、上記ゲートバルブを制御する。
このようにして、基板処理後の酸化装置のゲートバルブ開放タイミングと、他のゲートバルブの開放タイミングを一致させないことで、酸素ガスの他の処理装置内への流入を抑制することができる。
なお、本実施形態で説明した効果は、第1または第2の形態のように酸化装置が1つの場合よりも、第3または第4の実施形態で説明したような酸化装置が複数である場合の方が効果が大きい。
(第6の実施形態)
上述の通り、特に第4または第5の実施形態では、搬送装置505に酸化装置が複数設けられているため、酸化装置内に導入された酸素ガス等によって搬送装置505の真空度が特に低下しやすい。また、第1または第2の実施形態でも、搬送装置505に酸化装置が接続されているため、酸化装置内に導入された酸素ガス等によって搬送装置505の真空度が低下しやすいという問題は起こり得る。本実施形態ではこの問題に対し、搬送装置505に接続された処理装置内に酸素ゲッタ効果を有する物質を用いたシールド等の構成部材を配することを特徴とする。
特にTMR素子の素子特性に大きな影響を及ぼすトンネルバリア層を構成するMgOよりも酸素ガスに対する吸着エネルギーが大きい物質を用いることが好ましい。MgOの酸素ガスに対する吸着エネルギーは約150kcal/molであり、これより大きい物質としてはTi、Ta、Mg、CrやZrなどが挙げられる。特に加工の容易性や効果的な酸素吸着などの観点からTi製の構成部材が好適である。
また、酸化によって磁気特性の劣化が生じる磁性膜に対しても酸素ゲッタ効果を有する物質が装置構成部材に用いられていると、更なる素子特性の改善が望める。そのような物質としてはTiやTaが挙げられる。
また、ゲッタ効果を有する構成部材をスパッタ装置内に設ける代わりにスパッタ装置内に酸素ゲッタ効果を有する物質を含有するターゲットを設けてもよい。そして、各スパッタ装置における基板への成膜処理前に、酸素ゲッタ効果を有する物質をスパッタにより装置内壁に付着させ、スパッタ装置内の酸素量を低減させる。
なお、必ずしも全てのスパッタ装置において、基板への成膜前にゲッタ膜のスパッタを行う必要は無いが、少なくとも、特にTMRの素子特性に大きな影響を及ぼすMgOや磁性膜の成膜前に行うことが望ましい。酸素ゲッタ効果を有する物質としてはTiやTaが好適である。またゲッタ膜の構成部材をスパッタ装置内に設けた上で、ゲッタ膜のスパッタを行ってもよい。
(第7の実施形態)
上述した各実施形態において搬送装置505に接続されたスパッタ装置507にRF電源を取り付け、直接反応性スパッタや酸化物ターゲットなどを使用したRFスパッタを併せて用いて形成しても良い。このRFスパッタは、所望のTMR素子に合わせ、複数の搭載ができる。つまり、スパッタ装置507に複数のRFカソードを設けることや、2層の酸化層が必要な場合は、2台のスパッタ装置507の各々に1台のRFカソードを設けることができる。また、上述の酸化処理とRFスパッタとを組み合わせても良い。
複数台のRFカソードを1つのチャンバに設置することにより、成膜速度は台数に比例して増加するため、スループットを向上させることができる。
さらに、図3に示すように、RFスパッタにより形成した絶縁膜をアニール装置510を用いてアニール処理を行っても良い。RFスパッタにより成膜された絶縁膜表面を高い真空度で維持された搬送装置505を用いて、速やかにアニール装置510に搬送して処理が行われるため、界面への不純物吸着が抑制され、金属積層膜構造における結晶欠陥の発生や特性劣化を抑制することができている。
(第8の実施形態)
本実施形態では、搬送装置505に接続される酸化装置508および511について、より搬送装置505を高真空に維持するのに適した酸化装置を用いている。図11、図12において、本実施形態に係る酸化装置800について説明する。
酸化装置800は、処理容器801と、処理容器内を排気するための排気部としての真空ポンプ802と、処理容器801内に設けられた基板803を保持するための基板ホルダ804と、処理容器801内に設けられた筒部材805と、処理容器801内に酸素ガスを導入する酸素ガス導入手段としてのガス導入部806と、基板搬送口807とを備えている。該基板搬送口807には図示しないスリットバルブが設けられている。
基板ホルダ804は、基板803を保持するための基板保持面804aと、該基板保持面804aが形成された載置部804bとを有しており、該基板保持面804a上に基板803が載置される。また、基板ホルダ804の内部には加熱装置としてのヒータ808が設けられている。また、基板ホルダ804には、基板ホルダ804と筒部材805との相対位置を変化させる位置変化手段としての基板ホルダ駆動部809が接続されている。基板ホルダ駆動部809は、基板ホルダ804を、矢印方向P(基板ホルダ804を酸化処理空間810に近づける方向、および基板ホルダ804を酸化処理空間810から遠ざける方向)に移動させる。本実施形態では、基板搬送時においては、基板ホルダ駆動部809の制御により、基板ホルダ804を図11に示す位置に移動させる。基板搬入時には、この状態で、基板搬送口807を介して基板803を処理容器801内に搬入し、基板保持面804a上に基板803を載置する。基板搬出時には、基板保持面804a上に保持された基板803を基板搬送口807を介して処理容器801から搬出する。一方、酸化処理時においては、基板ホルダ駆動部809の制御により、基板ホルダ804を図12に示す位置に移動させる。この状態で、ガス導入部806により酸化処理空間810に限定的に酸素ガスを導入することにより(処理容器801内の一空間に限定的に酸素ガスを導入することにより)、酸化処理が行われる。
ガス導入部806は、基板ホルダ804と対向する処理容器801の壁801aから離間して設けられ、多数の孔を有するシャワープレート811と、上記壁801aに設けられ、処理容器801内に酸素ガスを導入するガス導入口を有する酸素導入経路812と、シャワープレート811と壁801aとの間の空間であって、酸素導入経路812から導入された酸素ガスを拡散するためのガス拡散空間813とを有する。本実施形態では、拡散空間813に酸素ガスが導入されるように酸素導入経路812が設けられており、酸素導入経路812から導入され拡散空間813にて拡散された酸素ガスは、シャワープレート811を介して、基板面内に均等に供給される。なお、酸素導入経路812を複数設けても良い。
筒部材805は、処理容器801の壁801aの、酸素導入経路812が接続された部分を少なくとも含む領域801bおよびシャワープレート811をぐるりと囲むように壁801aに取り付けられ、壁801aから該壁801aと対向する側(ここでは基板ホルダ804側)に向かって延在する延在部805aを有する部材である。本実施形態では、筒部材805は、延在方向に垂直に切断した断面が円状である筒状部材であるが、該断面が多角形など他の形状であっても良い。また、筒部材805は、例えばAl製である。Alは筒部材805を容易に加工することができるので好ましい。また、他には例えば、TiやSUSであっても良い。また、筒部材805が壁801aに対して着脱可能に該筒部材805を構成しても良い。延在部805aにより囲まれた空間、すなわち、筒部材805の中空部にはシャワープレート811が設けられており、筒部材805のシャワープレート811よりも壁801a側の部分と、該壁801aにおける上記領域801bの少なくとも一部と、シャワープレート811とにより拡散空間813が形成されている。
シャワープレート811と筒部材805を設けることにより、基板803の表面に対してより均一に酸素ガスを供給することができ、酸化により生じるMgOの基板803面内における酸化分布の偏りを低減することができる。よって、RA分布を向上させることができる。
上記シャワープレート811の孔から酸化処理空間810へと酸素ガスが導入されるので、シャワープレート811は、ガス導入部806の、酸化処理空間内に酸素ガスを限定的に導入するための部分が設けられた領域(「酸素ガス導入領域」とも呼ぶ)と言える。
なお、一例としてシャワープレート811を設けない場合は、酸素ガスは、酸素導入経路812から酸化処理空間810内に限定的に導入されるので、領域801bが酸素ガス導入領域となる。
本実施形態では、酸素ガス導入領域、筒部材805、および基板ホルダ804(基板保持面804a)により、酸化処理空間810が形成されると言える。
また、筒部材805は、図12に示すように、該筒部材805の開口部805b内に基板ホルダ804が挿入された場合、延在部805aと基板ホルダ804の少なくとも一部(載置部804b)との間に間隙815が形成されるように設けられている。すなわち、筒部材805は、酸化処理空間810の形成時において、基板保持面804aを囲み、かつ基板保持面804aが形成された載置部804bと延在部805aとの間に間隙815が設けられるように構成されている。よって、ガス導入部806から酸化処理空間810内に導入された酸素ガスは、間隙815を通して酸化処理空間810から該酸化処理空間810の外部空間814に排気される。酸化処理空間810から間隙815を介して外部空間814へと排気された酸素ガスは、真空ポンプ802により処理容器801から排気される。
基板ホルダ駆動部809は、基板保持面804aが筒部材805の内部に収容されるように基板ホルダ804を矢印方向Pにおいて移動させ、基板保持面804a(載置部804b)が開口部805bに挿入された所定の位置で基板ホルダ804の移動を停止する。このようにして、図12に示すように、間隙815のみにより外部空間814と連通する酸化処理空間810が形成される。このとき、酸化処理空間810は、シャワープレート811と、延在部805aと、基板ホルダ804(基板保持面804a)とにより形成される。よって、本実施形態においては、本発明の囲み部は、シャワープレート811、および延在部805aである。よって、筒部材805は、酸化処理時において、ガス導入部806により導入された酸素ガスが処理容器801内の酸化処理空間810内に限定的に導入されるように、該酸化処理空間810をシャワープレート811と基板ホルダ804(基板保持面804a)と共に区画するための囲み部材である。
なお、上述のように一例としてシャワープレート811を設けない場合は、酸化処理空間810は、領域801bと、延在部805aと、基板ホルダ804とにより形成されるので、この場合は、本発明の囲み部は、処理容器801の内壁の一部である領域801b、および延在部805aである。
なお、本実施形態では、基板ホルダ駆動部809により基板ホルダ804と筒部材805との相対位置を変化させて酸化処理空間810を形成可能にすることが重要であり、そのために、基板ホルダ駆動部809を、基板ホルダ804を一軸方向である矢印方向Pにおいて移動可能に構成している。しかしながら、この構成に限定されず、少なくとも酸化処理時には基板保持面804aを筒部材805の内部に位置させて酸化処理空間810を形成でき、かつそれ以外(例えば、基板搬送時)には、基板保持面804aを筒部材805の外部に位置させることができれば、いずれの構成を採用しても良い。例えば、基板ホルダ804を固定し、筒部材805およびガス導入部806をユニット化し、該ユニットを、ユニット化された筒部材805およびガス導入部806を基板ホルダ804に近づけることによって酸化処理空間810を形成するように構成しても良い。あるいは、基板ホルダ804を、筒部材805の左右方向にもスライド移動可能に構成し、酸化処理空間810の形成時以外には、基板ホルダ804が開口部805bに対向しない位置に移動させるように構成しても良い。
本実施形態では、基板保持面804aの形状は円状であり、筒部材805の、延在部805aの延在方向と垂直に切断した断面は、基板保持面804a(載置部804b)の外形と相似形状である。すなわち、上記断面は円状である。また、酸化処理空間810の形成時において、シャワープレート811と基板保持面804aとは対向し、かつ間隙815もシャワープレート811と対向している。このとき、間隙815の大きさを基板保持面804aの周方向において同一にすることが好ましい。このように構成することで、基板保持面804aの周方向に形成される間隙815の全てにおいて排気コンダクタンスを同一の値にすることができる。すなわち、酸化処理空間810からの排気口として機能する間隙815の全周囲において均一に排気することができる。よって、酸化処理空間810の形成時において基板ホルダ804に載置された基板803の表面における酸素圧力を均一にすることができ、RA分布を向上させることができる。
また、本実施形態では、基板ホルダ駆動部809は、基板ホルダ804を筒部材805の内部において、延在部805aの延在方向に沿って移動させるように構成されている。すなわち、基板ホルダ駆動部809は、筒部材805の内部において、基板ホルダ804を酸素ガス導入領域としてのシャワープレート811に近づける方向、およびシャワープレート811から遠ざかる方向に移動させることができる。
また、本実施形態では、基板保持面804aを有し、基板ホルダ804の、間隙815を形成する領域である載置部804bは、間隙815が延在部805aの延在方向に沿って同一の大きさとなるように構成されている。すなわち、延在部805aの延在方向に沿って筒部材805の径は一定であり、かつ載置部804bの上記延在方向に沿った径も一定であり、筒部材805の内部において、基板ホルダ804の、延在部805aと最も近い部分である載置部804bを、シャワープレート811に近づける方向、および遠ざける方向に移動させても、間隙815における酸化処理空間810からのガスの排気コンダクタンスが変化しないように、基板ホルダ804および筒部材805は構成されている。よって、基板ホルダ804を筒部材805の内部において移動させても、酸化処理空間810から酸素ガスを同様に排気することができ、処理制御の複雑化を低減することができる。
さらに、本実施形態では、筒部材805の内壁部に、例えば電解研磨処理や化学研磨処理を施して滑らかにすることが好ましい。すなわち、本実施形態では、筒部材805の内壁は平坦化されている。このように筒部材805の内壁において、面粗さを低減することにより、筒部材805の内壁に対する酸素ガスの吸着、および該内壁に吸着した酸素ガスの放出を低減することができる。また、筒部材805の内壁表面に、酸素ガスが吸着しないような膜(例えば、酸化被膜など不動態膜)をコーティングすることも好ましい。このように、筒部材805の内壁表面に不動態膜を形成することにより、該内壁表面への酸素の吸着を低減することができる。例えば、筒部材805をAlとし、筒部材805の内側に対して上記化学研磨を行うと、筒部材805の内壁面を平坦化すると共に、酸化被膜を形成することができる。平坦化による効果と共に、該酸化被膜により、筒部材805への酸素の吸着を低減することができる。
また、本実施形態によれば、処理容器801の内部に、該処理容器801の内壁により区画される空間よりも小さい空間(酸化処理空間810)を形成し、該酸化処理空間810を区画する一部を基板保持面804aとし、該酸化処理空間810に基板保持面804aに保持された基板803を曝している。そして、該酸化処理空間810内に限定的に酸素ガスを供給して基板803の酸化処理を行う。このとき、筒部材805と基板ホルダ804との間に形成された間隙815により酸化処理空間810の排気を行っている。このように、本実施形態では、酸化処理の際に、処理容器801の限られた空間(酸化処理空間810)にのみ酸素ガスを供給し、酸化処理を行っているので、酸化処理のために酸素ガスが充満される空間が所定の圧力になるまでの時間を低減することができ、また排気にかかる時間も低減することができる。このため、酸化装置507と搬送室505の間で基板の搬送を行う際に、真空度の高い搬送室505への酸素ガスの流出を抑制することができ、より高品質の薄膜を成膜することが可能となる。
また、処理容器801の内部に該処理容器801の内壁により区画される空間よりも小さい空間(酸化処理空間810)を形成し、その中で酸化処理を行っているので、従来に比べて酸化処理が行われる空間を区画する部材の表面積を大幅に小さくすることができる。従って、酸化処理が行われる酸化処理空間810を形成する筒部材805に付着する酸素の付着量を低減することができ、排気後において、筒部材805の内壁から放出されてしまう酸素の量を大幅に低減することができる。この点も搬送室505の高真空度を維持する点で有利である。
さらに、処理容器801の内部に、該処理容器801の内壁とは別個の部材である筒部材805を用いて酸化処理空間810を区画しているので、酸化処理空間810の形状を自由に設定することができる。よって、酸化処理空間810の、基板803(基板保持面804a)の表面と平行に切断した断面形状を、基板803(基板保持面804a)の外形と相似形状にすることができる。従来では、処理容器が円筒状である場合において、基板(基板保持面)の外形が四角形である場合、酸化処理が行われる空間の、基板(基板保持面)の表面と平行に切断した断面は円形となり、基板(基板保持面)の外形とは異なる。これに対して、本実施形態では、例えば、処理容器801が円筒状であり、基板803(基板保持面804a)の外形が四角形である場合、その断面が四角形となる筒部材805を処理容器801の内部に取り付けることにより、酸化処理空間810の断面形状を基板803(基板保持面804a)の外形と相似形状にすることができる。このように、酸化処理空間810の断面形状と基板803(基板保持面804a)の外形とを相似形状にすれば、基板803(基板保持面804a)の周方向において間隙815の幅を同一にすることができ、排気コンダクタンスを同一にすることができる。よって、基板803表面の酸化分布を低減することができる。
このように本実施形態に係る酸化装置を用いることにより、基板の酸化処理に必要な酸素導入量を低減することができ、また所定の酸化処理が行われた後に酸素ガスを速やかに排気することが可能となる。このため、酸化装置508および511から搬送装置505に流出する酸素ガスの流量を低減することができ、搬送装置505をより高真空に維持することが可能となる。
(第9の実施形態)
本発明に係る基板処理システムにおいては、良質なトンネルバリア層を形成するために、より真空度の高い搬送装置505に酸化装置508が接続されている。しかしながら、真空度の高い搬送装置505に酸化装置508を接続した場合、酸化装置508から流出した酸素ガスにより搬送装置505内の酸素圧力が向上する可能性がある。このような問題は、特にスループット向上の観点から酸化装置508内における酸化処理後に酸化装置508内を十分に排気できない場合に生じ得る。
搬送装置505内の酸素圧力が上がると、スパッタ装置507にて薄膜を形成後に他の処理装置に基板を搬送する際に、薄膜界面に酸素が吸着し、あるいは意図しない酸化が生じ、デバイス特性を劣化させうる。特に、デバイスを構成する薄膜のうち、より清浄な雰囲気が求められる薄膜について、搬送装置505に接続された処理装置を用いて処理を行っているため、このような薄膜界面の酸素への曝露は極力低減されることが望ましい。
本実施形態では、基板が各処理装置間を搬送装置505を介して搬送される際に、基板が搬送装置505に滞在する時間を搬送装置503に比して短くすることで、薄膜界面が酸素に曝露される時間(酸素ガスへの曝露量)を低減している。本実施形態に係る基板処理システムを図6に示す。本実施形態に係る装置では、搬送装置503に設けられるロボットアーム527は2つであるのに対して、搬送装置505に設けられるロボットアーム528は1つとなっている。従来の装置では、単位時間あたりに処理可能な基板の枚数を増やすために搬送装置に設けられるロボットアームを2つ以上とし、基板処理システム内に滞在可能な基板の数を増やしていた。しかし、このような基板処理システムでは、ロボットアームが1つの場合に比べて搬送装置503および搬送装置505における基板の滞在時間が長くなる傾向にある。ロボットアームが2つ設けられた搬送装置を例として説明すると、第1の処理装置で基板処理が終了した後、2つのロボットアームの第1アームにより該第1の処理装置から第2の基板が搬出される。そして2つのロボットアームの第2アームで保持していた第1の基板を該第1の処理装置に搬入する。次に、第2アームを、第2の基板が次に搬入されるべき第2の処理装置の前で待機させる。第2の処理装置に在る第3の基板の処理が終了した後に、第3の基板を第2アームによって搬出する。そして第1アームに保持している第2の基板を第2の処理装置に搬入する。
このような搬送方法によれば、各処理装置で処理が終了した基板は、次の処理装置で処理されている基板の処理が終了するまで、搬送装置の該処理装置の前で待機することになる。この待機中に基板最表面に形成された薄膜表面は搬送装置内の酸素ガスに曝露されることになる。
本実施形態では、搬送装置503に設けられたロボットアーム527は2つであるのに対し、搬送装置505に設けられたロボットアーム528は1つとなっている。ロボットアームが1つである場合、各処理装置で処理が終了した基板は、次の処理装置にすぐに搬入される。もしくは次の処理装置で基板が処理中の場合は、該基板の処理が終了し、該基板をその次の処理装置に搬入した後に、基板の搬送が行われる。従って、基板が搬送装置内で待機する時間を無くし、基板が搬送装置内に滞在する時間を極力短縮することができる。
また搬送装置503にはロボットアームが2つ設けられているため、搬送装置503に接続された処理装置における基板処理時間と、搬送装置505に接続された処理装置における基板処理時間とを調整することで、スループットの低下を抑制しつつ、搬送装置505における基板の滞在時間を短縮することが可能となる。
(第10の実施形態)
上述した第9の実施形態では、搬送装置503に設ける搬送手段としてのロボットアームを2つ以上とし、搬送装置505に設ける搬送手段としてのロボットアームを1つとすることで、スループットの低下を抑制しつつ、搬送装置505における基板の滞在時間を低減した。
これに対して本実施形態では搬送装置505に設けられるロボットアームを2つ以上とした上で、搬送装置505における基板の滞在時間を低減することを目的とする。
なお、本実施形態の説明では、第9の実施形態において説明した2つのロボットアームを用いた場合の搬送方法については第1のモード、1つのロボットアームを用いた場合の搬送方法については第2のモードと呼称する。本実施形態では、搬送装置505に設けられたロボットアームで基板を搬送する際に、第1のモードと第2のモードとを切り替えることを特徴とする。
搬送装置505に接続された各処理装置において基板が処理されるが、各々の処理が終了して基板が搬送装置505に搬出される際の基板の最表面が、比較的酸素による影響が小さい処理も存在しうる。このような酸素による影響が小さい状態の基板を搬送装置505にて待機させたとしても素子に及ぼす影響は小さい。本実施形態では、搬送装置505に搬送された基板のうち、酸素による影響が比較的小さい状態においては第1のモードで搬送し、その後に酸素による影響が大きい膜が基板の最表面に形成されてからは第2のモードに移行することを特徴とする。
以下、非特許文献2に示される多層膜を本実施形態に係る基板処理システム850を用いて製造する例を用いて具体的に説明する。
まず、基板処理システム850に搬入された基板は搬送装置503に接続されたエッチング装置506にて、表面に付着した不純物等を除去する。次に搬送装置505に搬送され、スパッタ装置507Bに搬入される。スパッタ装置507BではRuCoFeおよびTaからなるシード層が形成され、基板表面を平坦化する。次に、スパッタ装置507Cに搬入され、磁化自由層であるCoFeB層およびその後の酸化処理によりトンネルバリア層となるMg層が形成される。このとき、載置室504Aまたは504Bからスパッタ装置507Bへの搬送、およびスパッタ装置507Bからスパッタ装置507Cへの搬送については、エッチング後の基板表面およびシード層表面が酸化による影響が小さいため、第1のモードで基板の搬送を行う。
基板にMg層が形成された後、基板は酸化装置508に搬入され、酸化処理が施されることでトンネルバリア層が形成される。その後、スパッタ装置507Dに搬入されて磁化固定層であるFe層およびCoFeB層が形成される。次にスパッタ装置507Eに搬送され、Ta層、Co層およびPt層が形成される。その後、基板は載置室504Aまたは504Bを経由して搬送装置503に搬送され、Pt層以降の膜がスパッタ装置507A、507F、507Gにより形成される。この製造工程において、酸化処理が施されてトンネルバリア層となるMg層や、トンネルバリア層であるMgO層、磁化固定層であるCoFeB層の表面が多量の酸素ガスに曝露されると、トンネルバリア層の品質が劣化し、あるいは磁化固定層における磁気特性が劣化する。従って、スパッタ装置507Cから酸化装置508に搬送される場合、酸化装置508からスパッタ装置507Dに搬送される場合、およびスパッタ装置507Dからスパッタ装置507Eに搬送される場合は、搬送装置505における滞在時間が短くなる第2のモードで搬送されることが望ましい。なお、第2のモードで搬送する場合、ある処理装置から次の処理装置への搬送の際には、該次の処理装置に基板が在ってはならない。従って、次の処理装置を空けるためにさらに次の処理装置を空ける必要がある。従って、第2のモードに切り替わった後は、基板が載置室504Aまたは504Bに搬送されるまで第2のモードで搬送されることになる。
なお、上述の例ではMg層およびMgO層、CoFeB層の表面が搬送装置505内の雰囲気に晒される場合について説明したが、非特許文献2に示されるようなTMR素子においては、トンネルバリア層の膜質およびそれに接する磁化自由層および磁化固定層の磁気特性が非常に重要となる。従ってこれらの膜が搬送装置505内の雰囲気に曝露される時間を短くするように第1のモードと第2のモードとの切り替えタイミングは決定される。
図13を用いて本発明の一実施形態に係る製造装置を動作させるための制御装置について説明する。制御装置は主制御部900を備え、主制御部900に具備された記憶装置901には、本発明に係る種々の基板処理プロセスを実行する制御プログラムが格納されている。例えば、制御プログラムは、マスクROMとして実装される。あるいは、ハードディスクドライブ(HDD)などにより構成される記憶装置901に、外部の記録媒体やネットワークを介して制御プログラムをインストールすることも可能である。主制御部900は、各処理装置、各搬送装置、載置室およびLL室の各々の間に設けられるゲートバルブの開閉動作や、搬送装置に設けられた搬送手段を制御する。その他に、各装置に設けられた排気装置やガス導入手段等も制御し得る。

Claims (4)

  1. 板の搬入出を行うためのロードロック装置と、
    前記基板を搬送する第1搬送部を内部に備え、前記ロードロック装置と接続された第1基板搬送装置と、
    前記基板を載置する基板載置部を内部に備え、前記第1基板搬送装置に接続された基板載置装置と、
    前記基板を搬送する第2搬送部を内部に備え、前記基板載置装置に接続された第2基板搬送装置と、
    前記第1基板搬送装置の第1接続面を介して接続され、前記基板にスパッタリング膜を形成するスパッタリング装置と、
    前記第2基板搬送装置の第2接続面を介して接続され、スパッタリング膜を酸化処理する酸化装置と、を備え、
    前記第1接続面と前記第2接続面は、前記基板載置装置を挟んで隣り合うように配置され、前記第1接続面に垂直かつ前記第1接続面の中心を通過し、重力方向に平行な面を第1仮想面とし、前記第2接続面に垂直かつ前記第2接続面の中心を通過し、重力方向に平行な面を第2仮想面とし、前記第1仮想面と前記第2仮想面の中央を通過する面を中央面と、定義すると、
    前記第1仮想面と前記第2仮想面は、前記第1接続面の前記スパッタリング装置が接続されている側で交差し、
    前記スパッタリング装置の一部は、前記中央面を超えるように配置される、ことを特徴とする製造装置。
  2. 前記基板載置装置と前記第2基板搬送装置との間に設けられた第1ゲートバルブと、
    前記第2基板搬送装置と前記酸化装置との間に設けられた第2ゲートバルブと、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記酸化装置において前記基板の酸化処理が終了した後に、前記第1ゲートバルブが閉じられていることを確認し、前記第1ゲートバルブが閉じられている状態で前記第2ゲートバルブを開放することを特徴とする請求項1に記載の製造装置。
  3. 前記制御部は、前記第1ゲートバルブまたは前記第2ゲートバルブの一方が開放されている間は、前記第1ゲートバルブまたは前記第2ゲートバルブの他方を開放しないことを特徴とする請求項2に記載の製造装置。
  4. 前記第2基板搬送装置内の真空度が前記第1基板搬送装置内の真空度よりも高いことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の製造装置。
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