JP5743594B2 - 電気コネクタ - Google Patents
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Description
このようなバッテリー用の電気コネクタは、絶縁ハウジングと、このハウジングに収容される複数のコンタクトとで構成されている。このコンタクトは、通常、導電性の金属板を極細の帯板に打ち抜き加工した後に、均一なばね特性が得られるように、この帯板を折り曲げ加工した、いわゆるベローズコンタクトとなっている。
従って、電気コネクタの設計においては、コンタクトのばね部同士が接触しないようにばね部の形状、弾性係数、及びハウジング内部の形状の検討を行っているが、これらは、電気コネクタの小型化に必要な「弾性変位量が大きく、柔らかく、しかもワイピング効果の大きいばね特性」を設計する上で大きな制約条件になっている。ここで、ワイピング効果とは、コンタクトの接点が相手側端子部を押圧する過程で端面を摺動し、相手側端子部の酸化皮膜を除去する、セルフクリーニング機能を持つことをいう。
しかしながら、特許文献1乃至3を含めこれらの制約条件の解消に関するものは見当たらない。むしろ、特許文献1及び3は、コンタクトのばね部同士を接触させることを前提としたものである。
コンタクトは、帯板状金属板を曲げ加工することにより形成されるとともに、ハウジングの後方に配置された基部と、該基部の一端からハウジングの前方に伸びた弾性変位可能なばね部とを備え、
ばね部は、ハウジングの前面から外側前方に突出した接点部と、該接点部からばね部の自由端部側に連設されるとともに接点部より後方でハウジングの内部に配置された係合部と、接点部と基部の間に形成されるとともにその頂部がハウジングの内部で係合部に近接した近接湾曲部と、を備え、
ハウジングは、該ハウジングの前面に、コンタクトがハウジングに挿入されたとき係合部と係合しばね部に所定のプリロードを印加する係合受部を備え、
係合部は、近接湾曲部に対向する部分に凹部を有し、ばね部が前記ハウジングの後方に向かって弾性変位するとき、凹部の中に近接湾曲部を受け入れることによって近接湾曲部との接触を回避する、電気コネクタ。
係合部は、近接湾曲部に対向する部分に凹部を有しており、電子機器にバッテリーが装着され、ばね部がハウジングの後方に向かって弾性変位するとき、凹部の中に近接湾曲部を受け入れることによって、近接湾曲部との接触を回避することができる。
このとき、ばね部は、支点湾曲部を含めばね部全体を用いて弾性変位を行うことができるので、「大きな弾性変位量で、かつ柔らかいばね特性」に設定することができる。
すなわち、ばね部において最も接触しやすい係合部と、係合部に近接した近接湾曲部との接触を効果的に回避することができるため、係合部及びそれに連設された接点部の可動範囲を大きくし、このような回転動作を用いた複雑なばね部の動きを可能にし、「弾性変位量が大きく、柔らかく、しかもワイピング効果の大きいばね特性」を得ることができる。
各コンタクト10は、上下方向(Y方向)に延びるとともに、コンタクト収容孔33から前方(−X方向)に突出した接点湾曲部22を備えている。接点湾曲部22は、バッテリパック51が装着されたとき、電極端子52と電気的に接続される接点部である。
各コンタクト収容孔33は、何れも(本実施形態にあっては3個とも)同一形状に形成されている。コンタクト収容孔33は、上壁面33a、下壁面33b、対向する一対の上部側壁面33d、及び対向する一対の下部側壁面33cを有する。一対の上部側壁面33dは、上壁面33aから下側に伸び、お互いに略平行に対向している。一対の下部側壁面33cは、下壁面33bから上側に伸び、お互いに略平行に対向している。一対の上部側壁面33dの間の距離m2は、一対の下部側壁面33cの間の距離m1より大きい。
一対の肩部33eは、その前面31側の端部に、肩部33eから上壁面33aに向かって上壁面33aとの間に所定の隙間を設けるように突出した一対の突出壁36をそれぞれ有する。一対の突出壁36は、上壁面33a、下壁面33b、対向する一対の上部側壁面33d、及び対向する一対の下部側壁面33cとともに、コンタクト収容孔33の前面31における前方開口部33fを画定している。前方開口部33fは、略T字形に形成されている。
一対の溝部33hは、それぞれ幅Sに形成され、且つそれぞれの溝部底面33kの間は距離m3に形成されている。また、一対の溝部33hは、コンタクト収容孔33の後面32に開口しているが、前面31まで伸びていなくてもよい。
第2ばね部17は、第1ばね部15の一端から第2の湾曲部16によって曲げられて第1ばね部15に対向しつつ基部11の仮想延長面11aに向かって延びている。第3ばね部19は、第2ばね部17の一端から第3の湾曲部18によって曲げられて第2ばね部17に対向しつつ基部11の仮想延長面11aから遠ざかるように延びている。第4ばね部21は、第3ばね部19の一端から第4の湾曲部20によって曲げられて第3ばね部19から遠ざかるように前方に向かって延びている。
この構成により、一対のカギ形部24は、ばね部12の自由端部先端近傍に配置され、接点湾曲部22は、コンタクト10の最も前方(−X方向)に配置されている。
また、第2の接続部26及び一対のカギ形部24は、第3の湾曲部18に近接している。
切り欠き部28は、近接する第3の湾曲部18に対向している。
コンタクト10の各部は、厚みtに形成されている。
一対の側部25に設けられたそれぞれの突起部29の頂部間の幅d5は、コンタクト10のピッチ方向の最大幅を有し、一対のカギ形部24の幅(一対のカギ形部24の外側間の距離)である幅d4より大きい。
また、第1の湾曲部14、第2の湾曲部16、第3の湾曲部18及び第4の湾曲部20の幅は、全て同じ幅d7(幅d2)であってよい。
また、第1ばね部15、第2ばね部17、第3ばね部19及び第4ばね部21の幅は、前述の幅d7(幅d2)と同じであってもよい。
ハウジング30に組み付けられる前の段階では、コンタクト10の一対の側部25は、それぞれ、後方に延びた延長部25bに連設されている(図7参照)。各コンタクト10の延長部25bは、お互いに連接されていて、複数(本実施形態にあっては3個)の導電性のコンタクト10をピッチ方向(Z方向)に所定ピッチで互いに並列に保持している。
各コンタクト10が各コンタクト収容孔33に挿入されるとき、各コンタクト10の基部11に設けられている一対の側部25は、ハウジング30の各コンタクト収容孔33に設けられた一対の溝部33hにそれぞれ係合される。
また、一対のカギ形部24と上下方向(Y方向)反対側の第2の湾曲部16及び第4の湾曲部20の幅である幅d7は、コンタクト収容孔33の一対の下部側壁面33cの間の距離m1よりわずかに小さくなるように形成されている。
従って、各コンタクト10が各コンタクト収容孔33に挿入されるとき、ばね部12はコンタクト収容孔33に干渉せず、コンタクト収容孔33から前方に突出する第4ばね部21、接点湾曲部22、第1の接続部23及び第2の接続部26は、コンタクト収容孔33の前方開口部33fに干渉しない。
また、各コンタクト10の第4ばね部21、接点湾曲部22、第1の接続部23及び第2の接続部26、及び一対のカギ形部24を各コンタクト収容孔33の後面32を通過させるとき、各コンタクト収容孔33の後面32部分には面取り部34が設けられているため、各コンタクト10と各コンタクト収容孔33との間に多少の位置の誤差があってもスムーズに通過できる。
ここで、一対のカギ形部24の長さは、突出壁36と上壁面33aとの間の隙間より大きいため、一対のカギ形部24が突出壁36を通過することはできない。
この状態において、一対のカギ形部24は、コンタクト収容孔33に設けられた一対の突出壁36に当接して前方(−X方向)への移動が阻止されており、コンタクト10をコンタクト収容孔33に対して更に挿入することによって、ばね部12にプリロードを印加することができる。コンタクト10は、ばね部12に所定のプリロードを付加する位置(所定の位置)まで挿入される(図2参照)。
前述の通り、ばね部12の自由端部の接点湾曲部22、接点湾曲部22の一端に連設された第4ばね部21、接点湾曲部22の他端に連設された第1の接続部23及び第2の接続部26は、コンタクト収容孔33から前方に突出しており、第2の接続部26に連設されている一対のカギ形部24は、コンタクト収容孔33の内部に配置されている。
この状態において、一対のカギ形部24は、コンタクト収容孔33に設けられた一対の突出壁36に当接して前方(−X方向)への移動が阻止されており、ばね部12には所定のプリロードが印加されている。
接点湾曲部22は、電気コネクタ50において最も前方に突出しており、F方向に接近するバッテリパック51の電極端子52に対向している。
接点湾曲部22に接触したバッテリパック51の電極端子52からの押圧力がばね部12に印加されているプリロード以上になると一対のカギ形部24が一対の突出壁36から離れ、「接点湾曲部22、接点湾曲部22の一端に連設された第4ばね部21、及び接点湾曲部22の他端に連設された第1の接続部23、第2の接続部26及び一対のカギ形部24」は、一体となって、ばね部12の弾性変位によって後方(X方向)に後退する。
「接点湾曲部22、接点湾曲部22の一端に連設された第4ばね部21、及び接点湾曲部22の他端に連設された第1の接続部23、第2の接続部26及び一対のカギ形部24」が更に後退すると、第4の湾曲部20はコンタクト収容孔33の下壁面33bに設けられたストッパ35の急斜面35aに当接する。
図3に示すように、第4の湾曲部20は、ストッパ35の急斜面35aに当接した後、ストッパ35の位置で係止される。接点湾曲部22がF方向に進入するバッテリパック51の電極端子52から更に押圧力を受けると、「接点湾曲部22、接点湾曲部22の一端に連設された第4ばね部21、及び接点湾曲部22の他端に連設された第1の接続部23、第2の接続部26及び一対のカギ形部24」は、第4の湾曲部20を支点にして、接点湾曲部22が後退する方向(X方向)、すなわち図4において時計周り方向の回転動作を行う。接点湾曲部22は、この回転動作により、F方向に進入するバッテリパック51の電極端子52に押圧力を付与しつつ後退する。
従って、図4に示すように、バッテリパック51が回路基板61に装着されると、第2の接続部26及び一対のカギ形部24は、第3の湾曲部18に接触することなく、第3の湾曲部18の後方まで移動することができるため、接点湾曲部22の可動範囲を大きく設定することができる。
従って、ばね部12が弾性変位するとき、切り欠き部28を含め、コンタクト10のばね部12の各部に、位置ずれ、傾き(X軸を中心としたロール及びY軸を中心としたヨー)が生じることがなく、電気コネクタは安定した性能を発揮できる。
すなわち、先ず「接点湾曲部22、接点湾曲部22の一端に連設された第4ばね部21、及び接点湾曲部22の他端に連設された第1の接続部23、第2の接続部26及び一対のカギ形部24」は、ストッパ35によって係止された第4の湾曲部20を支点にして、接点湾曲部22が前進する方向(−X方向)、すなわち図4において反時計周り方向の回転動作を行う。接点湾曲部22は、この回転動作により、F方向と反対側に後退するバッテリパック51の電極端子52に押圧力を付与しつつ前進する。
第4の湾曲部20がストッパ35から離れると、「接点湾曲部22、接点湾曲部22の一端に連設された第4ばね部21、及び接点湾曲部22の他端に連設された第1の接続部23、第2の接続部26及び一対のカギ形部24」は、F方向と反対側に後退するバッテリパック51の電極端子52に押圧力を付与しつつ、一対のカギ形部24が一対の突出壁36に当接するまで、直線状に前進する。
バッテリパック51の電極端子52が接点湾曲部22に接触してから電極端子52からの荷重方向の押圧力がプリロードP0を上回ると接点湾曲部22は後方に向かって後退する(図2及び図3参照)。このとき、前述の通り、接点湾曲部22は荷重方向(X方向)に直線状に後退する。
また、電気コネクタ50では、接点部の荷重方向押圧力が最大の領域で接点部の荷重方向と直角方向の変位も最大になるので、好ましいワイピング効果を得ることができる。
第4の湾曲部20がストッパ35に当接すると(接点部の荷重方向変位=X1、荷重方向押圧力=P6に対応)、同様に、「接点湾曲部22、接点湾曲部22の一端に連設された第4ばね部21、及び接点湾曲部22の他端に連設された第1の接続部23、第2の接続部26及び一対のカギ形部24」は、第4の湾曲部20を支点とする回転動作を行う。「接点部の荷重方向変位=X2、荷重方向押圧力=P7」は、バッテリパック51が回路基板61に装着された状態を示す。グラフ(P5、P6、P7)は、(a)のグラフ(P0、P1、P2)と同一形状であり、プリロード変化分だけ荷重方向押圧力の方向に移動したものである。
すなわち、電気コネクタ50は、同じコンタクト10及び同じハウジング30を用いて、コンタクト10のハウジング30に対する固定位置(挿入量)を調整することによって、容易にばね部12に印加するプリロードを調整することができる。
この場合、(a)の設定と同様に、バッテリパック51の電極端子52が接点湾曲部22に接触してから電極端子52からの荷重方向の押圧力がプリロードP0を上回ると接点湾曲部22は後方に向かって後退する。
このように、ストッパ35の位置を調整することにより、同じコンタクト10を用いながら、接点湾曲部22の直線的な後退から第4の湾曲部20を支点とした回転動作に移行するタイミングを調整でき、荷重方向押圧力の大きさ及びその発生パターンを調整することができる。
このように、電気コネクタ50は、同じコンタクト10を用いながら、ハウジング30におけるストッパ35の形成位置を調整することにより、容易に、荷重方向押圧力の大きさ及びその発生パターン、及び接点部の荷重方向と直角方向の変位を調整することができる。
11 基部
12 ばね部
14 第1の湾曲部(逆湾曲部)
16 第2の湾曲部(正湾曲部)
18 第3の湾曲部(近接湾曲部、逆湾曲部)
20 第4の湾曲部(支点湾曲部、正湾曲部)
22 接点湾曲部(接点部)
24 一対のカギ形部(係合部)
26 第2の接続部
28 切り欠き部(凹部)
30 ハウジング
31 前面
33 コンタクト収容孔(内面)
33b 下壁面(内面)
35 ストッパ
36 一対の突出壁(係合受部)
50 電気コネクタ
52 電極端子(相手側端子部)
Claims (4)
- 導電性のコンタクトと、該コンタクトを包囲する絶縁性のハウジングと、を備えた電気コネクタであって、
前記コンタクトは、帯板状金属板を曲げ加工することにより形成されるとともに、前記ハウジングの後方に配置された基部と、該基部の一端から前記ハウジングの前方に伸びた弾性変位可能なばね部と、を備え、
前記ばね部は、前記ハウジングの前面から外側前方に突出した接点部と、該接点部から前記ばね部の自由端部側に連設されるとともに前記接点部よりも後方で前記ハウジングの内部に配置された係合部と、前記接点部と前記基部との間に形成される近接湾曲部であって、その頂部が前記ハウジングの内部で前記係合部に近接した近接湾曲部と、を備え、
前記ハウジングは、該ハウジングの内部に、前記コンタクトを収容するコンタクト収容孔を備えるとともに、該ハウジングの前面に、前記コンタクトが前記ハウジングに挿入されたときに前記係合部と係合し前記ばね部に所定のプリロードを印加する一対の係合受部を備え、
前記コンタクト収容孔の前方開口部は、一対の前記係合受部の間の部分が狭くなった形状を有し、
前記係合部は、一対の前記係合受部に係合する一対のカギ形部を有するとともに、前記近接湾曲部に対向する部分であって一対の前記カギ形部の間の部分に凹部を有し、
前記凹部は、矩形状を有し、
前記ばね部が前記ハウジングの後方に向かって弾性変位するときに、前記凹部の中に前記近接湾曲部を受け入れることによって前記係合部と前記近接湾曲部との接触を回避する、電気コネクタ。 - 請求項1に記載の電気コネクタであって、前記ばね部は、ある方向に湾曲した正湾曲部と逆方向に湾曲した逆湾曲部とを交互に有する、電気コネクタ。
- 請求項1又は2に記載の電気コネクタであって、前記ばね部は、前記接点部と前記近接湾曲部との間に形成される支点湾曲部であって、その頂部が前記ハウジングの内面の近傍に位置する支点湾曲部を備え、前記ハウジングは、その内面に、前記ばね部が前記ハウジングの後方に向かって弾性変位するときに前記支点湾曲部に当接し前記支点湾曲部を所定の位置で係止するストッパを備え、前記接点部が相手側端子部を押圧しながら後退するときに、前記接点部は、前記支点湾曲部が前記ストッパに当接するまでは前記ハウジングの後方に向かって直線状に後退し、前記支点湾曲部が前記ストッパに当接した後は前記支点湾曲部を支点とした回転動作を行う、電気コネクタ。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電気コネクタであって、前記係合受部は、前記コンタクトを前記ハウジングの後方から前記ハウジングに挿入するときに、前記接点部とは干渉せず、前記係合部とは干渉する位置に配置されている、電気コネクタ。
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