JP5742757B2 - エンジンの油温推定装置及びエンジンのベーパー発生状況推定装置 - Google Patents

エンジンの油温推定装置及びエンジンのベーパー発生状況推定装置 Download PDF

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Description

本発明は、エンジン始動時のエンジン油温の推定を行うエンジンの油温推定装置、及びエンジン始動時における燃料中のベーパーの発生状況を推定するエンジンのベーパー発生状況推定装置に関する。
エンジンが高温状態で停止されると、エンジン停止中に燃料配管(デリバリーパイプ)内の燃料の温度が上昇して、燃料中にベーパーが発生することがある。そして、そうした状態でエンジンが再始動されると、インジェクターに送られる燃料にベーパーが混入し、適量の燃料噴射を行えず、始動不良やラフアイドル(アイドル回転の不安定化)を招くことがある。そこで特許文献1に見られるように、エンジン始動時のエンジン潤滑油の温度(以下、エンジン油温と記載する)からベーパーの発生状況を推定し、ベーパーが発生している可能性が高いときには、燃料圧力を高めるといった、燃料中のベーパーを取り除くための処理を実施することがある。
ところで、エンジンには、エンジン冷却水の温度(以下、エンジン水温と記載する)を検出する水温センサーは備えていても、エンジン油温を直接検出する油温センサーは備えていないものがある。そこで従来、特許文献2には、エンジン水温等に基づいてエンジン始動時のエンジン油温を推定することが記載されている。より詳しくは、文献2のものでは、エンジン始動時のエンジン水温と吸気温の平均値に、それらの差に応じた補正を加えたものを、エンジン始動時のエンジン油温の推定値として求めている。
特開2007−218222号公報 特開2011−007114号公報
ところで、エンジンのアイドリングストップを行う車両やハイブリッド車両に搭載のエンジンのように、エンジンが間欠運転される場合には、エンジン水温とエンジン油温とが大きく乖離することがある。そのため、エンジン水温のみに基づいて推定を行うと、エンジン始動時のエンジン油温が実際よりも低い温度に推定されてしまう。そうした場合、実際にはベーパーが発生していても、それに対する処理が行われず、始動不良やラフアイドルを招いてしまうことになる。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、エンジン始動時のエンジン油温やベーパー発生状況をより的確に推定することのできるエンジンの油温推定装置及びベーパー発生状況推定装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、エンジン始動時のエンジン油温の推定を行うエンジンの油温推定装置において、エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも低かったときには、エンジン始動時のエンジン水温に基づいて同エンジン始動時のエンジン油温を推定し、エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも高かったときには、エンジン停止中のエンジン水温の低下量とエンジン停止時のエンジン油温とに基づいてエンジン始動時のエンジン油温を推定するようにしている。
十分に暖機される前にエンジンが停止されたときには、エンジン停止時のエンジン水温は、エンジン油温よりも高くなっている。一方、エンジン停止中、エンジンオイルとエンジン冷却水との間では、より高温な側からより低温な側へと熱が移動する。そのため、エンジン停止時のエンジン水温がエンジン油温よりも高ければ、エンジン停止中にエンジン油温がエンジン水温を超えることはなく、エンジン始動時のエンジン油温は必ず、そのときのエンジン水温以下となる。よって、このときには、エンジン始動時のエンジン水温に基づいて推定を行えば、実際よりも低い温度とならないようにエンジン始動時のエンジン油温を推定することができる。
一方、十分に暖機された後にエンジンが停止されたときには、エンジン停止時のエンジン油温は、そのときのエンジン水温よりも高くなる。上記のように、エンジン停止中、エンジンオイルとエンジン冷却水との間では、より高温な側からより低温な側へと熱が移動する。そのため、エンジン停止時のエンジン油温がエンジン水温よりも高温であれば、エンジン停止中のエンジン油温の低下幅は、少なくともそのときのエンジン水温の低下量以上となる。したがって、この場合には、その後のエンジン始動時におけるエンジン油温は必ず、エンジン停止時のエンジン油温からエンジン停止中のエンジン水温の低下量を引いた値以下となる。よって、このときのエンジン始動時のエンジン油温を、エンジン停止時のエンジン油温からエンジン停止中のエンジン水温の低下量を引いた値に基づいて推定すれば、実際よりも低い温度とならないようにエンジン始動時のエンジン油温を推定することができる。
このように、上記構成によれば、エンジン停止時のエンジン油温、エンジン水温の高低関係の如何に拘らず、実際よりも低い温度とならないようにエンジン始動時のエンジン油温を推定することができる。したがって、上記構成によれば、エンジン始動時のエンジン油温をより的確に推定することができる。
上記課題を解決するため、請求項2に記載の発明は、エンジン始動時のエンジン油温の推定を行うエンジンの油温推定装置において、エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも低かったときには、エンジン始動時のエンジン水温を同エンジン始動時のエンジン油温の推定値とし、エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも高かったときには、エンジン停止中のエンジン水温の低下量をエンジン停止時のエンジン油温から引いた値をエンジン始動時のエンジン油温の推定値とするようにしている。
上述したように、エンジン停止時にエンジン水温がエンジン油温よりも高かったときには、その後のエンジン始動時におけるエンジン油温は必ず、そのときのエンジン水温以下となる。一方、エンジン停止時にエンジン水温がエンジン油温よりも低かったときには、その後のエンジン始動時におけるエンジン油温は必ず、エンジン停止時のエンジン油温からエンジン停止中のエンジン水温の低下量を引いた値以下となる。よって、上記のようにエンジン始動時のエンジン油温を推定すれば、実際よりも低い温度とならないようにエンジン始動時のエンジン油温を推定することができる。したがって、上記構成によれば、エンジン始動時のエンジン油温をより的確に推定することができる。
なお、エンジン始動時のエンジン油温の推定結果をエンジン始動時における燃料中のベーパーの発生状況の推定に用いる場合には、エンジン始動時のエンジン油温を実際よりも低い温度に推定してしまうと、実際にはベーパーが発生していても、発生していないと推定されてしまい、それに対する処理が行われず、始動不良やラフアイドルを招いてしまうことになる。そのため、上記本発明の推定装置は、請求項3によるように、そのエンジン始動時のエンジン油温の推定結果が、同エンジン始動時における燃料中のベーパーの発生状況の推定に用いられる場合に特に有効である。
上記課題を解決するため、請求項4に記載の発明は、エンジン始動時における燃料中のベーパーの発生状況を推定するエンジンのベーパー発生状況推定装置において、エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも低かったときには、エンジン始動時のエンジン水温に基づいて前記ベーパーの発生状況を推定し、エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも高かったときには、エンジン停止中のエンジン水温の低下量とエンジン停止時のエンジン油温とに基づいて前記ベーパーの発生状況を推定している。
また、上記課題を解決するため、請求項5に記載の発明は、エンジン始動時における燃料中のベーパーの発生状況を推定するエンジンのベーパー発生状況推定装置において、エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも低かったときには、エンジン始動時のエンジン水温に基づいて前記ベーパーの発生状況を推定し、エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも高かったときには、エンジン停止中のエンジン水温の低下量をエンジン停止時のエンジン油温から引いた値に基づいて前記ベーパーの発生状況を推定している。
エンジン始動時における燃料中のベーパーの発生状況は、そのときのエンジン油温に基づいて推定することができる。一方、上述したように、エンジン停止時にエンジン水温がエンジン油温よりも高かったときには、その後のエンジン始動時におけるエンジン油温は必ず、そのときのエンジン水温以下となる。一方、エンジン停止時にエンジン水温がエンジン油温よりも低かったときには、その後のエンジン始動時におけるエンジン油温は必ず、エンジン停止時のエンジン油温からエンジン停止中のエンジン水温の低下量を引いた値以下となる。したがって、上記のようにベーパーの発生状況の推定を行えば、実際にはエンジン油温が高く、燃料中にベーパーが発生しているにも拘らず、ベーパーが発生していないと推定されることが好適に抑えられる。したがって、上記構成によれば、エンジン始動時における燃料中のベーパーの発生状況をより的確に推定することができる。
本発明の第1の実施の形態の全体構造を模式的に示す略図。 同実施の形態に採用される油温推定ルーチンの処理手順を示すフローチャート。 同実施の形態での車速補正値と車速との関係を示すグラフ。 同実施の形態での外気温補正値と外気温との関係を示すグラフ。 同実施の形態に採用される初期油温算出ルーチンの処理手順を示すフローチャート。 同実施の形態に採用されるベーパー排出制御ルーチンの処理手順を示すフローチャート。 エンジン始動後のエンジン水温及びエンジン油温の推移を示すグラフ。 エンジン停止時にエンジン水温がエンジン油温よりも高かったときのエンジン停止後のエンジン水温及びエンジン油温の推移を示すグラフ。 エンジン停止時にエンジン水温がエンジン油温よりも低かったときのエンジン停止後のエンジン水温及びエンジン油温の推移を示すグラフ。
以下、本発明を具体化した一実施の形態を、図1〜図9を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態の油温/ベーパー発生状況推定装置は、アイドリングストップ制御を行う車両に搭載のエンジンに適用されている。
まず、本実施の形態の推定装置の構成を、図1を参照して説明する。本実施の形態の推定装置の適用されるエンジンの燃料供給系は、燃料タンク1内に配設された燃料ポンプ2と、その燃料ポンプ2が汲み上げた燃料を貯留する燃料配管3とを備え、その燃料配管3から各気筒のインジェクター4に燃料が分配供給されるようになっている。燃料配管3には、余剰した燃料や燃料配管3内で発生した燃料蒸気(ベーパー)を排出するためのリリーフバルブ5が配設されている。
リリーフバルブ5は、エンジン制御を司る電子制御ユニット6により制御される。電子制御ユニット6は、エンジン制御にかかる各種演算処理を行う中央演算処理装置(CPU)、エンジン制御用のプログラムやデータが記憶された読み込み専用メモリー(ROM)、CPUの演算結果やセンサーの検出結果等を一時的に記憶するランダムアクセスメモリー(RAM)、通電遮断中にも記憶を保持するバックアップRAMを備えている。こうした電子制御ユニット6には、エンジン冷却水の温度(エンジン水温)を検出する水温センサー7、エンジン回転速度NEを検出するNEセンサー8、車速を検出する車速センサー9、外気温THAを検出する外気温センサー10等のセンサーの検出信号が入力されている。
なお、このエンジンには、エンジンオイルの温度(エンジン油温)を直接検出するセンサーは設置されておらず、電子制御ユニット6がエンジンの運転状況に基づき推定することでエンジン油温を求めている。このエンジン油温の推定は、図2に示す油温推定ルーチンの処理を通じて行われる。同ルーチンの処理は、エンジンの運転中、電子制御ユニット6により、規定の制御周期毎に繰り返し実行される。
さて、本ルーチンの処理が開始されると、まずステップS100において、現状のエンジン回転速度NE、エンジン負荷KLから油温定常値TKLOが算出される。油温定常値TKLOは、規定の車速、外気温において、現状のエンジン回転速度NE及びエンジン負荷KLでのエンジン運転が継続されたときに、最終的に収束するエンジン油温を示している。エンジン回転速度NE及びエンジン負荷KLと油温定常値TKLOとの関係は、予め実験等で求められ、その関係は、マップとして電子制御ユニット6のROMに記憶されている。
続いて、ステップS101において、現状の車速SPD、外気温THAに応じた油温定常値TKLOの補正が行われる。車速SPDが高いときには、走行風によってエンジンの冷却が進むため、エンジン油温は低下する。また、外気温THAが低いときにも、エンジンから外気への放熱量が増し、エンジンの冷却が進むため、エンジン油温は低下する。ここでの補正は、こうした車速SPD、外気温THAの影響による油温定常値TKLOの変化分を反映するために行われる。具体的には、ここでの補正は、車速SPDから算出された車速補正値KSPDと外気温THAから求められた外気温補正値KTHAを、ステップS100で求められた油温定常値TKLOから減算した値に、油温定常値TKLOの値を更新することで行われる。図3に示すように、車速補正値KSPDは、車速SPDが高いほど、大きい値に設定される。また図4に示すように、外気温補正値KTHAは、外気温THAが低いほど、大きい値に設定される。
次に、ステップS102において、油温推定値THOが下式(1)に基づき算出される。下式(1)において「THOP」は油温推定値THOの前回値、すなわち本ルーチンが前回実行されたときに算出された油温推定値THOの値を、「NSM」は、徐変係数を、それぞれ示している。すなわち、本ルーチンの実行毎に油温推定値THOは、油温定常値TKLOと同油温推定値THOとの差を徐変係数NSMで除算した値ずつ増減される。なお、徐変係数NSMは、油温定常値TKLOに対するエンジン油温の追従性に応じた係数となっており、その値はエンジン回転速度NEから求められている。

THO←THOP+(TKLO−THOP)/NSM …(1)

油温推定値THOが算出されると、続くステップS103において、その算出された油温推定値THOにより、油温記憶値THOBの値が更新される。油温記憶値THOBの値は、電子制御ユニット6のバックアップRAMに記憶され、エンジン停止中もその値が保持される。ちなみに、エンジン冷却水の検出値(水温検出値THW)も、このとき同時に、水温記憶値THWBとしてバックアップRAMに記憶される。そしてその後、今回の本ルーチンの処理が終了される。
以上のように、本実施の形態では、エンジンの運転状況に応じて油温推定値THOを増減させていくことで、エンジン油温の推定を行っている。こうしたエンジン油温の推定を行うには、エンジン始動時のエンジン油温(以下、「初期油温」と記載する)が必要となる。本実施の形態では、図4に示す初期油温算出ルーチンの処理を通じて、初期油温を求めている。同ルーチンの処理は、エンジン始動の開始時に電子制御ユニット6によって一度だけ実行される。
さて、本ルーチンの処理が開始されると、まずステップS200において、電子制御ユニット6のバックアップRAMから水温記憶値THWB及び油温記憶値THOBの値が読み込まれる。エンジン始動の開始時のバックアップRAMには、エンジン停止前における上記油温推定ルーチンの最後の実行時に記憶された水温記憶値THWB及び油温記憶値THOBの値が記憶されている。すなわち、このときに読み込まれた水温記憶値THWB及び油温記憶値THOBの値は、エンジン停止時のエンジン水温、エンジン油温となっている。
次のステップS201においては、水温センサー7の検出信号から現状の水温検出値THWが取得される。そして、続くステップS202において、ステップS200で読み込まれた水温記憶値THWB及び油温記憶値THOBの値が比較される。そして、水温記憶値THWBの値が油温記憶値THOBの値よりも大きいか否かが、すなわちエンジン停止時にエンジン水温がエンジン油温よりも高かったか否かが判断される。
ここで、エンジン停止時にエンジン水温がエンジン油温よりも高かったのであれば(S202:YES)、ステップS203に処理が進められる。そして、ステップS201で取得された現状の水温検出値THWが油温推定値THOに設定された後、今回の本ルーチンの処理が終了される。
一方、エンジン停止時にエンジン水温がエンジン油温よりも低かったのであれば(S202:NO)、ステップS204に処理が進められる。そしてそのステップS204において、ステップS200で読み込まれた油温記憶値THOBから、同ステップS200で読み込まれた水温記憶値THWBとステップS201で取得された水温検出値THWとの差を減算した値(THOB−(THWB−THW))が油温推定値THOに設定された後、今回の本ルーチンの処理が終了される。すなわち、このときの油温推定値THOの値は、エンジン停止中のエンジン水温の低下量をエンジン停止時のエンジン油温から引いた値に設定される。
以上の本ルーチンにより求められた油温推定値THOは、初期油温、すなわちエンジン始動時のエンジン油温の推定値であり、エンジン始動後の最初の油温推定ルーチンの実行時における油温推定値THOの算出に際して、同油温推定値の前回値THOPとして用いられる。
なお、本実施の形態では、電子制御ユニット6は、こうして求めた初期油温に基づき、燃料配管3に貯留された燃料中のベーパーの発生状況を推定している。そして、ベーパーが発生していると推定されたときには、リリーフバルブ5を開いて発生したベーパーを燃料配管3から排出するようにしている。
こうしたベーパー発生状況の推定及びその排出にかかる制御は、図6に示すベーパー排出制御ルーチンの処理を通じて行われる。同ルーチンの処理は、エンジン始動の開始時に、上記初期油温算出ルーチンの処理に引き続いて、電子制御ユニット6によって実行される。
本ルーチンの処理が開始されると、まずステップS300において、現状の水温検出値THWが規定の判定値α以上であるか、先の初期油温算出ルーチンの処理で求められた油温推定値THOが規定の判定値β以上であるかの少なくとも一方が成立しているか否かが判断される。ここでそれらの双方が成立していなければ(S300:NO)、エンジンの温度は低く、燃料配管3の燃料中にベーパーは発生していないとの判断がなされ、そのまま今回の本ルーチンの処理を終了する。一方、それらの一方又は双方が成立していれば(S300:YES)、エンジンの温度は高く、エンジン停止中に燃料配管3の燃料中にベーパーは発生している可能性が高いとの判断がなされ、ステップS301でリリーフバルブ5が開かれる。そして、リリーフバルブ5の開弁により、燃料配管3からベーパーを排出された後、今回の本ルーチンの処理が終了される。
以上のような本実施の形態では、ベーパー発生状況の推定に用いられる初期油温の算出態様を、エンジン停止時にエンジン水温がエンジン油温よりも高かったか否かによって変えている。次に、こうした初期油温の推定の妥当性を説明する。
図7に、エンジン始動後におけるエンジン水温、エンジン油温の推移を示す。エンジンが始動されると、エンジンの発生する熱で、エンジン水温及びエンジン油温は上昇する。ただし、エンジンオイルの比熱は、エンジン冷却水よりも高いため、エンジン始動後のエンジン油温の上昇は、エンジン水温よりも遅くなる。そのため、エンジン始動後、しばらくは、エンジン水温がエンジン油温よりも高い状態が続く。
エンジン水温がある程度以上に上昇すると、ラジエーターによるエンジン冷却水の冷却が開始され、エンジン水温は一定の値に収束する。エンジン油温もやがて収束するが、最終的にエンジン油温は、エンジン水温を上回る。したがって、完全に暖機された後、エンジンが停止された場合には、エンジン停止時のエンジン油温は、エンジン水温よりも高くなる。一方、暖機前にエンジンが停止された場合には、エンジン停止時のエンジン油温は、エンジン水温よりも低くなる。
図8に、エンジン油温がエンジン水温よりも低い低温停止後のエンジン停止中におけるエンジン油温及びエンジン水温の推移を示す。エンジン停止後、外気への放熱によりエンジンが冷却されるため、エンジン油温及びエンジン水温は次第に低下する。エンジン停止中のエンジンオイルとエンジン冷却水の間では、より高温な側からより低温な側への熱が移動する。そのため、エンジン停止時のエンジン油温がエンジン水温よりも低かったときには、エンジン停止中にエンジン油温がエンジン水温を上回ることはない。したがって、このときのエンジン始動時におけるエンジン油温は、確実にエンジン水温以下であることになる。よって、このときには、エンジン始動時のエンジン水温を初期油温としておけば、初期油温が実際よりも低い温度と推定されることは避けられる。
図9に、エンジン油温がエンジン水温よりも高い高温停止後のエンジン停止中におけるエンジン油温及びエンジン水温の推移を示す。このときのエンジン停止中には、より高温なエンジンオイルからエンジン冷却水へと熱が移動する。そのため、このときのエンジン停止中におけるエンジン油温の低下量ΔTHOは、同停止中におけるエンジン水温の低下量ΔTHWを下回ることはない。よって、このときには、エンジン停止時のエンジン油温からエンジン停止中のエンジン水温の低下量を引いた値を初期油温としておけば、初期油温が実際よりも低い温度と推定されることは避けられる。
一方、ベーパー発生状況の推定に初期油温を用いる場合、初期油温が実際よりも低い温度に推定されると、実際にはベーパーが発生していても、ベーパーは発生していないと判断され、燃料配管3内のベーパーがそのまま放置されて、始動不良やラフアイドルを招いてしまう。その点、初期油温が実際よりも低い温度と推定されないようにしておけば、そうした事態は回避される。
もっとも、上記態様で初期油温の推定を行う場合には、初期油温が実際よりも高い温度に推定されてしまうことはなる。ただし、初期油温の推定結果が実際よりも高温側にずれていても、低温側にずれてさえいなければ、エンジンの始動性にはあまり問題とはならない。また、初期油温の推定結果のずれは、その後の油温推定値THOの更新の繰り返しによって是正されるため、その影響は限定されたものとなる。
以上説明した本実施の形態のエンジンの油温/ベーパー発生状況推定装置によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施の形態では、エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも低かったときには、エンジン始動時のエンジン水温を初期油温として設定している。一方、エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも高かったときには、エンジン停止中のエンジン水温の低下量をエンジン停止時のエンジン油温から減算した値を初期油温として設定している。そのため、実際よりも低い温度とならないよう、初期油温を的確に推定することができる。
(2)本実施の形態では、エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも低かったときには、エンジン始動時のエンジン水温に基づいて燃料中のベーパーの発生状況の推定を行っている。また、エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも高かったときには、エンジン停止中のエンジン水温の低下量をエンジン停止時のエンジン油温から引いた値に基づいて燃料中のベーパーの発生状況の推定を行っている。そのため、実際にはベーパーが発生しているにも拘わらず、ベーパーが発生していないと誤判断されないよう、ベーパーの発生状況を的確に推定することができる。
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施の形態では、エンジン油温がエンジン水温よりも高い高温停止後のエンジン始動時には、エンジン停止時のエンジン油温からエンジン停止中のエンジン水温の低下量を減算した値を初期油温として求めていた。なお、高温停止後のエンジン停止中におけるエンジン水温及びエンジン油温の低下速度の差や比が予め判っている場合には、エンジン停止中のエンジン水温の低下量からエンジン停止中のエンジン油温の低下量を求めることができる。よって、そうした場合には、エンジン停止中のエンジン水温の低下量から求められたエンジン停止中のエンジン油温の低下量をエンジン停止時のエンジン油温から減算して初期油温を求めるようにすることで、初期油温をより的確に推定することが可能である。
・上記実施の形態では、ベーパーが発生していると判断されたときには、リリーフバルブ5を開いて燃料配管3からベーパーを排出するようにしていたが、他の方法でベーパーを排除するようにすることもできる。例えば燃料配管3内の燃料圧力を高めることでも、燃料配管3内で発生したベーパーを排除することが可能である。また、ベーパーを排除せずとも、インジェクター4の噴射時間を通常よりも長くすることなどでも、ベーパーの混入による燃料噴射量の減少を抑えて、始動不良やラフアイドルを防止することが可能である。
・上記実施の形態では、初期油温を一旦求めた後、その初期油温に基づいてベーパーの発生状況の推定を行うようにしていたが、初期油温を求めることなく、エンジン始動時のエンジン水温、或いはエンジン停止時のエンジン油温及びエンジン停止中のエンジン水温の低下量から、ベーパー発生状況の推定を行うようにしても良い。
・上記実施の形態では、初期油温をベーパー発生状況の推定に用いるようにしていたが、初期油温に基づくベーパー発生状況の推定を行わず、それ以外の用途に初期油温を用いるようにしても良い。
・エンジン運転中のエンジン油温の推定を、上記実施の形態とは異なるロジックで行うようにしても良い。
・エンジン油温を検出するセンサーが設置されたエンジンでも、センサーの活性化に一定の時間を要する場合等には、エンジン始動の開始時点では、センサーが有効に機能せず、初期油温を直接検出できないことがある。そうした場合には、初期油温は推定により求める必要があり、上記実施の形態での初期油温の推定ロジックを採用することで、初期油温を的確に求めることが可能となる。
・上記実施の形態では、エンジン停止時のエンジン油温を記憶しておき、エンジン停止中のエンジン水温の低下量をその記憶した値から減算することで、初期油温を求めていた。これ以外にも、エンジン停止時のエンジン油温とエンジン水温の差を記憶しておき、エンジン始動時のエンジン水温とその記憶した差を加算した値からエンジン停止中のエンジン水温の低下量を減算することでも、同様の初期油温の算出が可能である。
・上記実施の形態では、アイドリングストップ制御による間欠運転を行うエンジンに本発明を適用した場合を説明した。こうしたエンジンでは、エンジン始動の頻度が高く、またエンジンが短時間の運転で停止されることが多いため、初期温度推定値の低温側へのずれによる影響が大きくなる。そのため、こうしたエンジンでは、本発明の適用により、より顕著な効果が奏せられる。一方、ハイブリッド車両に搭載されるエンジンでも、同様にエンジン停止と再始動とが頻繁に繰り返されるため、本発明の適用による効果は、顕著なものとなる。もっとも、間欠運転が行われないエンジンでも、初期油温やベーパー発生状況の推定精度は、始動性やアイドル安定性などに影響するため、そうしたエンジンにおいても、本発明は有効なものとなる。
1…燃料タンク、2…燃料ポンプ、3…燃料配管、4…インジェクター、5…リリーフバルブ、6…電子制御ユニット、7…水温センサー、8…NEセンサー、9…車速センサー、10…外気温センサー。

Claims (5)

  1. エンジン始動時のエンジン油温の推定を行うエンジンの油温推定装置において、
    エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも低かったときには、エンジン始動時のエンジン水温に基づいて同エンジン始動時のエンジン油温を推定し、
    エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも高かったときには、エンジン停止中のエンジン水温の低下量とエンジン停止時のエンジン油温とに基づいてエンジン始動時のエンジン油温を推定する
    ことを特徴とするエンジンの油温推定装置。
  2. エンジン始動時のエンジン油温の推定を行うエンジンの油温推定装置において、
    エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも低かったときには、エンジン始動時のエンジン水温を同エンジン始動時のエンジン油温の推定値とし、
    エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも高かったときには、エンジン停止中のエンジン水温の低下量をエンジン停止時のエンジン油温から引いた値をエンジン始動時のエンジン油温の推定値とする
    ことを特徴とするエンジンの油温推定装置。
  3. 前記エンジン始動時のエンジン油温の推定結果は、同エンジン始動時における燃料中のベーパーの発生状況の推定に用いられる
    請求項1又は2に記載のエンジンの油温推定装置。
  4. エンジン始動時における燃料中のベーパーの発生状況を推定するエンジンのベーパー発生状況推定装置において、
    エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも低かったときには、エンジン始動時のエンジン水温に基づいて前記ベーパーの発生状況を推定し、
    エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも高かったときには、エンジン停止中のエンジン水温の低下量とエンジン停止時のエンジン油温とに基づいて前記ベーパーの発生状況を推定する
    ことを特徴とするエンジンのベーパー発生状況推定装置。
  5. エンジン始動時における燃料中のベーパーの発生状況を推定するエンジンのベーパー発生状況推定装置において、
    エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも低かったときには、エンジン始動時のエンジン水温に基づいて前記ベーパーの発生状況を推定し、
    エンジン停止時にエンジン油温がエンジン水温よりも高かったときには、エンジン停止中のエンジン水温の低下量をエンジン停止時のエンジン油温から引いた値に基づいて前記ベーパーの発生状況を推定する
    ことを特徴とするエンジンのベーパー発生状況推定装置。
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