JP5742752B2 - 超電導バルク磁石部材、及びその製造方法 - Google Patents

超電導バルク磁石部材、及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、超電導バルク体を利用した超電導バルク磁石部材、及びその製造方法に関する。
塊状(バルク状)の超電導体は、磁束のピン止め効果を利用することによって、永久磁石のような機能を発揮し、その磁力は従来の永久磁石に比べて非常に強力である。以下、このようなバルク状の超電導体を利用した磁石を超電導バルク磁石と呼ぶ。超電導バルク磁石は、コンパクトで強磁場という優れた特長があり、分析用の核磁気共鳴装置(NMR)、医療用の磁気共鳴イメージング装置(MRI)、船舶や風力発電用のモータや発電機などの磁石を利用する応用において、これらの機器を大幅にコンパクト化するものとして期待されている。
超電導バルク磁石の部材には、臨界温度(Tc)が高く、磁場中での臨界電流密度(Jc)が高い超電導バルク体が望ましい。RE-Ba-Cu-O系酸化物超電導体(REはY又は希土類元素から選ばれる1種又は2種以上の元素)の臨界温度Tcは90K程度と高いが、酸化物の一般的な製法である焼結法で作製されるバルク体は多数の結晶粒からなる多結晶状の超電導バルク体である。多結晶である場合には、結晶粒界が超電導電流を阻害するため、臨界電流密度Jcは77Kで1.0×103A/cm2以下であり、低い値である。
一方、Bi-Sr-Ca-Cu-O系酸化物超電導体の臨界温度Tcは110K程度と高いが、酸化物の一般的な製法である焼結法で作製されるバルク体は、同様に多結晶状の超電導バルク体であり、結晶粒界が超電導電流を阻害するため、臨界電流密度Jcは77Kで1.0×103A/cm2以下であり、低い値である。また、Mg-B系の金属超電導体は酸化物超電導体に比べると結晶粒界が超電導電流を阻害する程度は小さいが、臨界温度Tcが40K程度であり、低い値である。
これらの超電導体で結晶粒界がない単結晶状のバルク体を作製することは難しいが、特許文献1で開示されているように、溶融結晶成長法を適用することにより、単結晶状のRE1Ba2Cu3Oy(yは酸素量で、6.8≦y≦7.1)中にRE2BaCuO5が微細分散した組織を有する超電導バルク体を得ることができ、77K、1Tで臨界電流密度Jcが1.0×104A/cm2以上という磁場中でも高い特性を示す。従って、超電導バルク磁石部材には、臨界温度Tcと臨界電流密度Jcとが高い単結晶状のRE-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルク体が適していると考えられ、それを用いた応用開発が進んでいる。応用開発の進展と共に、より大きな超電導バルク磁石部材が求められるようになってきている。
特公平4−40289号公報
超電導バルク磁石部材に用いられる高品位のRE-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルク体は、上述したように、溶融結晶成長法にてバルク体全体が単結晶状になるように作製する必要がある。そのため、バルク体のサイズが大型化すると、種結晶以外から望ましくない結晶成長核が生成する確率が高まり、バルク体全体を単結晶状にすることが急激に難しくなるという問題がある。種結晶以外から望ましくない結晶成長核が生成されることを極力抑制するために、結晶成長を非常にゆっくり安定的に行わせると、バルク体を作製する時間が極端に長くなるという問題がある。さらに、バルク体のサイズが大型化すると、超電導バルク磁石部材が格段に重くなる。これらの問題のため、大きな超電導バルク磁石部材を必要とする応用開発がなかなか進まなかった。
そこで、本発明では、上記の問題を解決し、臨界温度及び臨界電流密度が優れ、短時間で簡便に作製できる大型の超電導バルク磁石部材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の超電導バルク体を利用した超電導バルク磁石部材は、以下のとおりである。
(1)中央部が単結晶状の超電導バルク体で、外周部が多結晶状の超電導バルク体からなり、前記外周部の多結晶状の超電導バルク体が、RE、Ba、Cu、Oからなる多結晶状の酸化物超電導バルク体、またはBi、Sr、Ca、Cu、Oからなる多結晶状の酸化物超電導バルク体、あるいはMg及びBからなる多結晶状の金属超電導バルク体であり、前記中央部の超電導バルク体と前記外周部の超電導バルク体との間に緩衝層が設けられていることを特徴とする超電導バルク磁石部材。
(2)前記中央部の単結晶状の超電導バルク体がRE1Ba2Cu3Oy(REはY及び希土類元素からなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素であり、yは酸素量で、6.8≦y≦7.1)中にRE2BaCuO5が微細分散した酸化物超電導バルク体からなることを特徴とする(1)に記載の超電導バルク磁石部材。
(3)前記緩衝層が、低融点金属層、樹脂層、またはグリース層であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の超電導バルク磁石部材。
(4)(1)〜(3)のいずれか1つに記載の超電導バルク磁石部材を製造する方法であって、
前記中央部の単結晶状の超電導バルク体を溶融結晶成長法で製造し、前記多結晶状の超電導バルク体を焼結法で製造し、前記製造された単結晶状の超電導バルク体と多結晶状の超電導バルク体とを、前記緩衝層にて接続して製造することを特徴とする超電導バルク磁石部材の製造方法。
本発明により、超電導バルク体を利用した超電導バルク磁石部材において、従来よりも短時間で作製できる高性能で大型の超電導バルク磁石部材を提供することができる。
本発明の実施形態に係る超電導バルク磁石部材の磁場分布例を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る超電導バルク磁石部材の一例を示す概念図である。 1種類の超電導バルク体で作製された超電導バルク磁石部材の一例を示す概念図である。 本発明の実施形態に係る超電導バルク磁石部材の別の態様を示す概念図である。 本発明の実施形態に係る超電導バルク磁石部材の別の態様を示す概念図である。
超電導バルク磁石部材を製造するにあたり、従来はバルク体全体を高い臨界電流密度Jcの超電導バルク体で構成しなければならないと考えてきた。高い臨界電流密度Jcの超電導バルク体は単結晶状に結晶成長させて製造する必要があるため、大型の超電導バルク磁石部材を作製することは難しく、その作製時間も非常に長くかかっていた。
一方、超電導バルク磁石の磁場強度分布を測定すると、バルク体の中央部は磁場強度が高く、外周部は磁場強度が低くなっている。このことから、バルク体の中央部は高い臨界電流密度Jcの超電導バルク体である必要があるが、外周部は必ずしも高い臨界電流密度Jcの超電導バルク体でなくてもよいことを見出し、本発明に至った。すなわち、中央部を高い臨界電流密度Jcの単結晶状の超電導バルク体とし、外周部を低い臨界電流密度Jcであるが中央部の単結晶状の超電導バルク体よりも容易に作製できる多結晶状の超電導バルク体とする。そして、それらを別々に作製して一体化することにより、従来よりも短時間で容易に大型の超電導バルク磁石部材を作製することができる。
ここで高い臨界電流密度Jcとは、77Kでは1Tの磁場下で1.0×104A/cm2以上、40K以下では1Tの磁場下で1.0×105A/cm2以上とする。一方、低い臨界電流密度Jcとは、77Kでは1Tの磁場下で1.0×104A/cm2未満、40K以下では1Tの磁場下で1.0×105A/cm2未満とする。
図1は、円板形状の超電導バルク磁石部材1の磁場分布を示す模式図である。
超電導バルク磁石部材1の中央部2とは、磁場の最も高いピークを示す場所を含む超電導バルク磁石部材の領域のことである。超電導バルク磁石部材1の外周部3とは、中央部を取り囲む領域のことである。超電導バルク磁石は強磁場を発生するものであるので、強磁場を発生する中央部2の径方向の長さ4が外周部3の径方向の幅5よりも大きい方が好ましい。
以下に、本発明の実施形態について、図に沿って説明する。
図2は、本実施形態における超電導バルク磁石部材1の一例を示す概念図である。
図2に示す例は、円板形状の超電導バルク磁石部材1であり、中央部と外周部とが異なる超電導バルク体で構成されている。中央部超電導バルク体6は、単結晶状のRE1Ba2Cu3Oy(REはY及び希土類元素からなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素であり、yは酸素量で、6.8≦y≦7.1)中にRE2BaCuO5が微細分散した酸化物超電導バルク体である。これに対して外周部超電導バルク体7は、RE、Ba、Cuからなる多結晶状の酸化物超電導バルク体、Bi、Sr、Ca、Cuからなる多結晶状の酸化物超電導バルク体、あるいはMg、Bからなる多結晶状の金属超電導バルク体である。なお、図3は、1種類の超電導バルク体で作製された超電導バルク磁石部材8の例を示しており、超電導バルク磁石部材8全体が、単結晶状のRE1Ba2Cu3Oy中にRE2BaCuO5が微細分散した酸化物超電導バルク体で構成される。
図2に示す超電導バルク磁石部材1の外周部超電導バルク体7は、臨界温度Tc及び臨界電流密度Jcが低く、単独で用いた場合に従来は超電導バルク磁石部材に適さないと考えられていた材料である。実際、超電導バルク磁石部材を工業的に比較的よく使用されている沸点77Kの液体窒素を冷媒として使用した場合、その温度(77K)で外周部超電導バルク体が捕捉する磁場特性はほぼゼロである。このため、図3の超電導バルク磁石部材8と比べると図2の構成の超電導バルク磁石部材の磁場特性は低いものになる。
さらに、超電導特性は低温化するほど向上するが、外周部超電導バルク体7だけを用いて超電導バルク磁石部材を構成しても、40K以下の温度領域で1〜3T程度の磁場を捕捉できるのみである。1〜3T程度の磁場特性は、高品位の酸化物超電導バルク体では77Kで得られるため、40K以下の温度領域までわざわざ冷却するする利点がない。
このように本実施形態に係る超電導バルク磁石部材1は、40K以下の極低温領域で使用すると効果が顕著になり、さらに30K以下の極低温領域で使用するとより効果が顕著となるが、10K未満の温度まで冷却すると超電導バルク磁石部材の比熱が非常に小さくなり、わずかな熱擾乱で超電導転移(クエンチ現象)を起こしやすくなるため、使用条件としては10K以上の温度領域が好ましい。
本実施形態のように、外周部超電導バルク体7をRE、Ba、Cuからなる多結晶状の酸化物超電導バルク体、Bi、Sr、Ca、Cuからなる多結晶状の酸化物超電導バルク体、あるいはMg及びBからなる多結晶状の金属超電導バルク体で構成すれば、40K以下の温度領域においては、図3に示すような全体が高品位の酸化物超電導バルク体で構成された超電導バルク磁石部材8と同様の特性を有する。
前述したように、超電導バルク磁石部材の磁場分布は、中央部が高く、外周部が低くなる。したがって、臨界電流密度Jcの高い高品位の酸化物超電導バルク体を高磁場の中央部に配置し、臨界温度Tc及び臨界電流密度Jcの低いRE、Ba、Cuからなる多結晶状の酸化物超電導バルク体、あるいはBi、Sr、Ca、Cuからなる多結晶状の酸化物超電導バルク体、あるいはMg及びBからなる多結晶状の金属超電導バルク体を低磁場の外周部に配置することにより、効率の良い配置とすることができる。
さらに本実施形態のように超電導バルク磁石部材を構成することにより、超電導バルク体の作製時間を大幅に短縮することができる。図3に示すような高品位のRE-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルク体は、溶融結晶成長法にて試料全体が単結晶状になるように作製する必要があるが、本実施形態では、例えば図2に示すように中央部の比較的小さい部分のみを単結晶状に結晶成長させればよい。
サイズの大きい外周部に用いる外周部超電導バルク体7は、時間のかかる溶融結晶成長法で単結晶状に作製する必要はなく、多結晶状バルク体でよいので焼結法などで短時間に作製することができる。さらに、中央部超電導バルク体6と外周部超電導バルク体7とを別々に同時並行的に作製することも可能なので、図3に示すように、超電導バルク磁石部材8全体を単結晶状に結晶成長させる場合に比べると、作製時間を大幅に短縮できる。
本実施形態の超電導バルク磁石部材1の外周部を構成する外周部超電導バルク体7に、Mg及びBからなる多結晶状の金属超電導バルク体を用いると、酸化物超電導バルク体に比べて比重が1/2〜1/3程度と小さいため、超電導バルク磁石部材1を軽量化する点で好ましい。なお、Mg及びBからなる多結晶状の金属超電導バルク体とは、Mg及びBを主成分とする金属超電導バルク体であって、炭素やSiCなどの炭素化合物、あるいはベンゼンやリンゴ酸などの有機物などのピン止め点となる添加物を含んでいてもよい。
本実施形態に係る超電導バルク磁石部材1は、中央部と外周部とが材料系や特性の異なる超電導バルク体で構成されるものであるが、別の超電導バルク体で構成すると、臨界温度Tcまたは臨界電流密度Jcの低い超電導バルク体によって発生磁場や使用温度領域が制約されるため、従来は材料系や特性が異なる2つ以上の超電導バルク体で超電導バルク磁石部材を構成するという発想がなかった。本実施形態のように互いに異なる超電導バルク体で超電導バルク磁石部材を構成すると、異なる超電導バルク体間の境界で熱応力や電磁応力によって材料が劣化する可能性があるため、境界に緩衝層を設ける。境界に設けられる緩衝層としては、特に、低融点金属層、樹脂層、及びグリース層は熱応力や電磁応力を緩衝するため好ましく、材料が劣化することを抑制できる。
なお、図2に示した例では、円板形状の超電導バルク磁石部材1について説明したが、超電導バルク磁石部材の形状は円板形状に限定するものではない。例えば、図4に示すようにリング形状であってもよく、図5に示すように四角形状であってもよい。
(実施例1)
本実施例では、中央部にGd-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルク体を用い、外周部にMg-B系金属超電導バルク体を用いた例について説明する。まず、中央部の超電導バルク体については、市販されている純度99.9質量%のガドリニウム(Gd)、バリウム(Ba)、銅(Cu)のそれぞれの酸化物の粉末を、Gd:Ba:Cu=1.6:2.3:3.3のモル比で秤量し、それに白金を0.5質量%及び銀を10質量%加えた。この秤量粉を2時間かけて十分混練してから、大気中にて1173Kで8時間仮焼した。次に、金型を用いて仮焼粉を円板形状に成形した。この成形体を1423Kまで加熱して溶融状態にし、30分間保持した後、降温途中で種付けを行い、1278K〜1252Kの温度領域を100時間かけて徐冷し結晶成長させ、直径65mmの単結晶状バルク体を得た。そして、この単結晶状バルク体を直径60mm、高さ20mmの円板形状に加工し、酸素気流中において723Kで100時間熱処理した。
一方、外周部の超電導バルク体については、まず、市販されている純度99.9質量%のマグネシウム(Mg)及び硼素(B)の粉末をMg:B=1:2のモル比で秤量し、この秤量粉を1時間かけて十分混練した。この混合粉をステンレス製の金型に入れ密閉し、金型ごと電気炉に入れ、1123Kで6時間焼結させ、外直径70mm、内直径60mm、高さ20mmのリング形状バルク体を得た。そして、得られた中央部の超電導バルク体と外周部の超電導バルク体とを、低融点金属(商品名:Uアロイ、(株)大阪アサヒメタル工場製、融点333K)で接続した。
また、比較のため、試料全体がGd-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルク体である超電導バルク磁石部材を作製した。その作製方法は、前述した中央部の超電導バルク体の作製方法とほぼ同じであるが、まず、直径80mmの単結晶状バルク体を溶融結晶成長法で作製し、それを直径70mmに加工した。粉体の量が多くなったため、混練時間を2倍の4時間とし、仮焼時間を1.5倍の12時間とした。さらに、単結晶状に結晶成長させる領域が大きくなったので、結晶成長時間を5割増しの150時間とした。しかも最初に作製した直径80mmのバルク体が多結晶化したため、別のバルク体にて単結晶状バルク体を作り直して従来例品とした。本従来例品に比べて、本実施例品では約3割作製時間を短縮できている。
本実施例品と従来例品との性能を比較するため、77K及び20Kにおいて捕捉する磁場特性を評価した。なお、着磁方法は磁場中冷却法で、着磁時の最大印加磁場は5Tで、試料は液体窒素あるいは冷凍機にて冷却した。捕捉磁場特性は、77Kでは、本実施例品で円錐形状の磁場分布で磁場ピーク値は2Tであり、従来例品で円錐形状の磁場分布で磁場ピーク値は2.4Tであったが、20Kでは、本実施例品及び従来例品ともに、円錐台形状の磁場分布で磁場ピーク値は4.5Tでほぼ同じ値であった。従って、本比較によって、超電導バルク体を利用した超電導バルク磁石部材において、従来よりも短時間で簡便に作製できる高性能で大型の超電導バルク磁石部材を提供できることが明らかになった。さらに、本実施例品と従来例品の重量を比較すると、従来例品が500gであるのに対して、本実施例品は405gで約2割軽量であった。従って、本比較によって、超電導バルク体を利用した超電導バルク磁石部材において、従来よりも軽量な大型超電導バルク磁石部材を提供できることが明らかになった。
(実施例2)
本実施例では、中央部にGd-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルク体を用い、外周部に多結晶状のY-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルク体を用いた例について説明する。まず、中央部の超電導バルク体については、市販されている純度99.9質量%のガドリニウム(Gd)、バリウム(Ba)、銅(Cu)のそれぞれの酸化物の粉末を、Gd:Ba:Cu=1.6:2.3:3.3のモル比で秤量し、それに白金を0.5質量%及び銀を15質量%加えた。この秤量粉を4時間かけて十分混練してから、大気中にて1173Kで12時間仮焼した。次に、金型を用いて仮焼粉を円板形状に成形した。この成形体を1423Kまで加熱して溶融状態にし、30分間保持した後、降温途中で種付けを行い、1278K〜1252Kの温度領域を150時間かけて徐冷し結晶成長させ、直径85mmの単結晶状バルク体を得た。そして、この単結晶状バルク体を直径80mm、高さ20mmの円板形状に加工し、酸素気流中において723Kで100時間熱処理した。
一方、外周部の超電導バルク体については、まず、市販されている純度99.9質量%のイットリウム(Y)、バリウム(Ba)、銅(Cu)のそれぞれの酸化物の粉末を、Y:Ba:Cu=1:2:3のモル比で秤量し、この秤量粉を2時間かけて十分混練してから、大気中にて1173Kで8時間仮焼した。次に、金型を用いて仮焼粉をリング形状に成形し、この成形体を1173Kで8時間焼結させ、外直径100mm、内直径80mm、高さ20mmのリング形状バルク体を得た。そして、得られた中央部の超電導バルク材と外周部の超電導バルク体とを、エポキシ系樹脂(商品名:スタイキャスト2850FT)で接続した。
また、比較のため、試料全体がGd-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルク体である超電導バルク磁石部材を作製した。その作製方法は、前述した中央部の超電導バルク体の作製方法とほぼ同じであるが、まず、直径110mmの単結晶状バルク体を溶融結晶成長法で作製し、それを直径100mmに加工した。粉体の量が多くなったため、混練時間を1.5倍の6時間とし、仮焼時間を1.5倍の18時間とした。さらに、単結晶状に結晶成長させる領域が大きくなったので、結晶成長時間を5割増しの225時間とした。しかも直径110mmのバルク体が3回多結晶化したため、作り直して4回目に単結晶化にしたバルク体を従来例品とした。本従来例品に比べて、本実施例品では約4割作製時間を短縮できている。
本実施例品と従来例品との性能を比較するため、77K及び40Kにおいて捕捉する磁場特性を評価した。なお、着磁方法は磁場中冷却法で、着磁時の最大印加磁場は5Tで、試料は液体窒素あるいは冷凍機にて冷却した。捕捉磁場特性は、77Kでは、本実施例品で円錐形状の磁場分布で磁場ピーク値は2.4Tであり、従来例品で円錐形状の磁場分布で磁場ピーク値は2.8Tであったが、40Kでは、本実施例品及び従来例品ともに、円錐台形状の磁場分布で磁場ピーク値は4.6Tでほぼ同じ値であった。従って、本比較によって、超電導バルク体を利用した超電導バルク磁石部材において、従来よりも短時間で簡便に作製できる高性能で大型の超電導バルク磁石部材を提供できることが明らかになった。
(実施例3)
本実施例では、中央部にEu-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルク体を用い、外周部に多結晶状のBi-Sr-Ca-Cu-O系酸化物超電導バルク体を用いた例について説明する。まず、中央部の超電導バルク体については、市販されている純度99.9質量%のユーロピウム(Eu)、バリウム(Ba)、銅(Cu)のそれぞれの酸化物の粉末を、Eu:Ba:Cu=1.5:2.25:3.25のモル比で秤量し、それに白金を0.4質量%及び銀を20質量%加えた。この秤量粉を2時間かけて十分混練してから、大気中にて1173Kで8時間仮焼した。次に、金型を用いて仮焼粉を円板形状に成形した。この成形体を1423Kまで加熱して溶融状態にし、30分間保持した後、降温途中で種付けを行い、1293K〜1267Kの温度領域を80時間かけて徐冷し結晶成長させ、直径55mmの単結晶状バルク体を得た。そして、この単結晶状バルク体を外直径50mm、内直径30mm、高さ20mmのリング形状に加工し、酸素気流中において703Kで100時間熱処理した。
一方、外周部の超電導バルク体については、まず、市販されている純度99.9質量%のビスマス(Bi)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、銅(Cu)のそれぞれの酸化物の粉末を、Bi:Sr:Ca:Cu=2:2:2:3のモル比で秤量し、この秤量粉を2時間かけて十分混練してから、大気中にて1173Kで8時間仮焼した。次に、金型を用いて仮焼粉をリング形状に成形し、この成形体を1173Kで8時間焼結させ、外直径60mm、内直径50mm、高さ20mmのリング形状バルク体を得た。そして、得られた中央部の超電導バルク体と外周部の超電導バルク体とを、シリコン系の真空グリースで接続した。
また、比較のため、試料全体がEu-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルク体である超電導バルク磁石部材を作製した。その作製方法は、前述した中央部の超電導バルク体の作製方法とほぼ同じであるが、まず、直径65mmの単結晶状バルク体を溶融結晶成長法で作製し、それを外直径60mm、内直径30mmに加工した。粉体の量が多くなったため、混練時間を2倍の4時間とし、仮焼時間を1.5倍の12時間とした。さらに、単結晶状に結晶成長させる領域が大きくなったので、結晶成長時間は5割増しの120時間とした。しかも直径65mmのバルク体が2回多結晶化したため、作り直して3回目に単結晶化にしたバルク体を従来例品とした。本従来例品に比べて、本実施例品では約3割作製時間を短縮できている。
本実施例品と従来例品との性能を比較するため、77K及び30Kにおいて捕捉する磁場特性を評価した。なお、着磁方法は磁場中冷却法で、着磁時の最大印加磁場は7Tで、試料は液体窒素あるいは冷凍機にて冷却した。捕捉磁場特性は、77Kでは、本実施例品で円錐形状の磁場分布で磁場ピーク値は1.6Tであり、従来例品で円錐形状の磁場分布で磁場ピーク値は2Tであったが、30Kでは、本実施例品及び従来例品ともに、円錐台形状の磁場分布で磁場ピーク値は6.5Tでほぼ同じ値であった。従って、本比較によって、超電導バルク体を利用した超電導バルク磁石部材において、従来よりも短時間で簡便に作製できる高性能で大型の超電導バルク磁石部材を提供できることが明らかになった。
(実施例4)
本実施例では、四角形状の超電導バルク磁石部材であって、中央部に(Gd-Dy)-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルク体を用い、外周部にMg-B系金属超電導バルク体を用いた例について説明する。まず、中央部の超電導バルク体については、市販されている純度99.9質量%のガドリニウム(Gd)、ディスプロシウム(Dy)、バリウム(Ba)、銅(Cu)のそれぞれの酸化物の粉末を、Gd:Ba:Cu=0.8:0.8:2.3:3.3のモル比で秤量し、それに白金を0.5質量%及び銀を10質量%加えた。この秤量粉を2時間かけて十分混練してから、大気中にて1173Kで8時間仮焼した。次に、金型を用いて仮焼粉を円板形状に成形した。この成形体を1423Kまで加熱して溶融状態にし、30分間保持した後、降温途中で種付けを行い、1278K〜1252Kの温度領域を100時間かけて徐冷し結晶成長させ、直径60mmの単結晶状バルク体を得た。そして、この単結晶状バルク体を一辺40mm、高さ15mmの正四角形状に加工し、酸素気流中において723Kで100時間熱処理した。
一方、外周部の超電導バルク体については、まず、市販されている純度99.9質量%のマグネシウム(Mg)及び硼素(B)の粉末をMg:B=1:2のモル比で秤量し、この秤量粉を1時間かけて十分混練した。この混合粉をステンレス製の金型に入れ密閉し、金型ごと熱間等方圧加圧炉に入れ、1073K、200MPaで4時間焼結させ、一辺60mm、高さ15mmの正四角形状バルク体を作製し、内側に一辺40mmの四角形状の穴を開けた。そして、中央部の超電導バルク体と外周部の超電導バルク体とを、低融点金属(商品名:Uアロイ、(株)大阪アサヒメタル工場製、融点333K)で接続した。
また、比較のため、試料全体が(Gd-Dy)-Ba-Cu-O系酸化物超電導バルク体である超電導バルク磁石部材を作製した。その作製方法は、前述した中央部の超電導バルク体の作製方法とほぼ同じであるが、まず、直径85mmの単結晶状バルク体を溶融結晶成長法で作製し、それを一辺60mmの正四角形状に加工した。粉体の量が多くなったため、混練時間を2倍の4時間とし、仮焼時間を1.5倍の12時間とした。さらに、単結晶状に結晶成長させる領域が大きくなったので、結晶成長時間は5割増しの150時間とした。しかも最初に作製した直径85mmのバルク体が多結晶化したため、別のバルク体にて単結晶状バルク体を作り直して従来例品とした。本従来例品に比べて、本実施例品では約3割作製時間を短縮できている。
本実施例品と従来例品との性能を比較するため、77K及び25Kにおいて捕捉する磁場特性を評価した。なお、着磁方法は磁場中冷却法で、着磁時の最大印加磁場は7Tで、試料は液体窒素あるいは冷凍機にて冷却した。捕捉磁場特性は、77Kでは、本実施例品で円錐形状の磁場分布で磁場ピーク値は1.3Tであり、従来例品で円錐形状の磁場分布で磁場ピーク値は2Tであったが、25Kでは、本実施例品及び従来例品ともに、円錐台形状の磁場分布で磁場ピーク値は6Tでほぼ同じ値であった。従って、本比較によって、超電導バルク体を利用した超電導バルク磁石部材において、従来よりも短時間で簡便に作製できる高性能で大型の超電導バルク磁石部材を提供できることが明らかになった。さらに、本実施例品と従来例品の重量を比較すると、従来例品が350gであるのに対して、本実施例品は215gで約4割軽量であった。従って、本比較によって、超電導バルク体を利用した超電導バルク磁石部材において、従来よりも軽量な大型超電導バルク磁石部材を提供できることが明らかになった。
1 超電導バルク磁石部材
2 中央部
3 外周部
4 径方向の長さ
5 径方向の幅
6 中央部超電導バルク体
7 外周部超電導バルク体
8 超電導バルク磁石部材

Claims (4)

  1. 中央部が単結晶状の超電導バルク体で、外周部が多結晶状の超電導バルク体からなり、前記外周部の多結晶状の超電導バルク体が、RE、Ba、Cu、Oからなる多結晶状の酸化物超電導バルク体、またはBi、Sr、Ca、Cu、Oからなる多結晶状の酸化物超電導バルク体、あるいはMg及びBからなる多結晶状の金属超電導バルク体であり、前記中央部の超電導バルク体と前記外周部の超電導バルク体との間に緩衝層が設けられていることを特徴とする超電導バルク磁石部材。
  2. 前記中央部の単結晶状の超電導バルク体がRE1Ba2Cu3Oy(REはY及び希土類元素からなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素であり、yは酸素量で、6.8≦y≦7.1)中にRE2BaCuO5が微細分散した酸化物超電導バルク体からなることを特徴とする請求項1記載の超電導バルク磁石部材。
  3. 前記緩衝層が、低融点金属層、樹脂層、またはグリース層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超電導バルク磁石部材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の超電導バルク磁石部材を製造する方法であって、
    前記中央部の単結晶状の超電導バルク体を溶融結晶成長法で製造し、前記多結晶状の超電導バルク体を焼結法で製造し、前記製造された単結晶状の超電導バルク体と多結晶状の超電導バルク体とを、前記緩衝層にて接続して製造することを特徴とする超電導バルク磁石部材の製造方法。
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