JP5741672B2 - 電力変換回路 - Google Patents

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本発明は、かご型誘導モータなどの誘導性負荷に対し任意の電圧波形を与えるための電力変換回路に関する。
モータなどの誘導性負荷に任意の電圧波形を与える電力変換回路としては、例えばインバータ回路がある。特許文献1にはハーフブリッジ回路を2つ備えたインバータ回路が開示されている。ハーフブリッジ回路は、電源に対して直列に接続されたハイサイドスイッチング素子及びローサイドスイッチング素子、並びにハイサイドスイッチング素子に逆並列に接続された第1ダイオード及びローサイドスイッチング素子に逆並列に接続された第2ダイオードを備える。第1ダイオードはローサイドスイッチング素子のターンオフ時に負荷のエネルギを還流するために用いられる。第2ダイオードはハイサイドスイッチング素子のターンオフ時に負荷のエネルギを還流するために用いられる。
このような電力変換回路は、直流電源の2つの電位を適当なタイミングで負荷に与えることにより平均的な負荷電圧、及び負荷電流を制御する。
特開平6−165510号公報
ローサイドスイッチング素子がオン状態であると、電源、負荷、及びローサイドスイッチング素子からなる直列回路に電流が流れる。この状態でローサイドスイッチング素子をターンオフさせると、誘導性の負荷を流れる電流は急激には消滅せず流れ続けようとする。その結果、負荷と第1ダイオードを有する回路に電流が流れ続ける。この電流は還流電流と呼ばれる。
第1ダイオードに還流電流が流れているときに、ローサイドスイッチング素子のゲートにオン信号を伝送すると、ローサイドスイッチング素子は次第にオンしていく。このとき、還流電流が流れている第1ダイオードは内部のキャリアが消滅するまではオフ状態となれず、一定期間は順逆両方向に導通状態である。第1ダイオードが導通状態の期間中にローサイドスイッチング素子がオンすると、第1ダイオードとローサイドスイッチング素子により電源を短絡接続してしまうことがある。この現象は、ダイオードのリカバリと呼ばれる。そして瞬時的に流れる短絡電流はリカバリ電流と呼ばれる。
このようなリカバリ電流によりローサイドスイッチング素子にて大きな電流が消費されるため、スイッチング素子のスイッチング時の損失が増大する。この損失の増大は電力変換回路に供給される電源電圧の数や、ハーフブリッジ回路の数によらず、ダイオードがリカバリを起こす限り発生する。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、スイッチング素子のスイッチング時の損失を抑制することができる電力変換回路を提供することを目的とする。
第1の発明の電力変換回路は、ゼロ電圧スイッチング手段を備えない電力変換回路であって、電源の高電位側にコレクタが接続されたハイサイドスイッチング素子と、該電源の低電位側にエミッタが接続されたローサイドスイッチング素子と、該ハイサイドスイッチング素子のエミッタと該ローサイドスイッチング素子のコレクタが接続された第1接続点と、該ハイサイドスイッチング素子のコレクタにカソードが接続された第1ダイオードと、該ローサイドスイッチング素子のエミッタにアノードが接続された第2ダイオードと、該第1ダイオードのアノードと該第2ダイオードのカソードが接続された第2接続点と、該第1接続点と該第2接続点とを接続するインダクタンスと、該第1接続点と接続され、還流時に、該インダクタンスに蓄積されたエネルギを吸収するように構成されたスナバ回路と、該第1接続点に電位を供給するように該第1接続点に接続されたACスイッチを備えたことを特徴とする。
第2の発明の電力変換回路は、ゼロ電圧スイッチング手段を備えない電力変換回路であって、電源の高電位側にコレクタが接続されたハイサイドスイッチング素子と、該電源の低電位側にエミッタが接続されたローサイドスイッチング素子と、該ハイサイドスイッチング素子のコレクタにカソードが接続された第1ダイオードと、該ローサイドスイッチング素子のエミッタにアノードが接続された第2ダイオードと、該ハイサイドスイッチング素子のエミッタと該第1ダイオードのアノードを接続する第1インダクタンスと、該ローサイドスイッチング素子のコレクタと該第2ダイオードのカソードを接続する第2インダクタンスと、第1逆阻止スイッチング回路と、第2逆阻止スイッチング回路と、を備え、該第1逆阻止スイッチング回路のコレクタ側が該ハイサイドスイッチング素子のエミッタに接続され、該第2逆阻止スイッチング回路のエミッタ側が該ローサイドスイッチング素子のコレクタに接続されたことを特徴とする。
本発明によれば、スイッチング素子のスイッチング時の損失を抑制することができる。
本発明の実施の形態1に係る電力変換回路の回路図である。 本発明の実施の形態1に係る電力変換回路の変形例を示す回路図である。 本発明の実施の形態2に係る電力変換回路の回路図である。 本発明の実施の形態2に係る電力変換回路の変形例を示す回路図である。 図4に示された電力変換回路図の交流等価回路図である。 図4に示された電力変換回路図の交流等価回路図である。 本発明の実施の形態3に係る電力変換回路の回路図である。 本発明の実施の形態3に係る電力変換回路の変形例を示す回路図である。 本発明の実施の形態4に係る電力変換回路の回路図である。 本発明の実施の形態5に係る電力変換回路の回路図である。 図10の回路図において、出力電位が中点電位より高い期間の動作に関係する素子を抜き出した回路図である。 本発明の実施の形態5に係る電力変換回路の変形例を示す回路図である。 本発明の実施の形態6に係る電力変換回路の回路図である。
実施の形態1.
図1を参照して本発明の実施の形態1を説明する。なお、同一又は対応する構成要素には同一の符号を付して説明の繰り返しを省略する場合がある。他の実施の形態でも同様である。
図1は本発明の実施の形態1に係る電力変換回路の回路図である。電力変換回路10は出力端子Vo、ハイサイド端子Vh、及びローサイド端子Vlを備えている。出力端子Voは負荷の一端に接続され、ハイサイド端子Vh及びローサイド端子Vlは負荷の他端に接続される。
電力変換回路10はハイサイドスイッチング素子SW1(以後、スイッチング素子SW1という)とローサイドスイッチング素子SW2(以後、スイッチング素子SW2という)を備えている。スイッチング素子SW1とスイッチング素子SW2は例えばIGBTで形成されている。スイッチング素子SW1のコレクタは電源V1の高電位側に接続されている。スイッチング素子SW2のエミッタは電源V1の低電位側に接続されている。スイッチング素子SW1のエミッタと、スイッチング素子SW2のコレクタは第1接続点P1において接続されている。
スイッチング素子SW1のコレクタには第1ダイオードD1のカソードが接続されている。スイッチング素子SW2のエミッタには第2ダイオードD2のアノードが接続されている。第1ダイオードD1のアノードと第2ダイオードD2のカソードは第2接続点P2において接続されている。第2接続点P2には出力端子Voが接続されている。
第1接続点P1と第2接続点P2は、リカバリ抑制インダクタンスL1により接続されている。
第1接続点P1にはスナバ回路12が接続されている。スナバ回路12は、リカバリ抑制インダクタンスL1に蓄積されたエネルギを、還流時に還流するための経路を提供するものである。スナバ回路12はダイオード14及びダイオード20を備える。ダイオード14のアノードは第1接続点P1に接続されている。ダイオード14のカソードは、抵抗16を介して電源V1の高電位側に接続されるとともに、キャパシタ18を介して電源V1の低電位側に接続されている。
一方、ダイオード20のカソードは第1接続点P1に接続されている。ダイオード20のアノードはキャパシタ22を介して電源V1の高電位側に接続されるとともに、抵抗24を介して電源V1の低電位側に接続されている。ここで、キャパシタ18及び22の容量は、これらで充電される電圧がスイッチング素子(電力変換回路のいずれかのスイッチング素子を指す、以下同じ)の耐圧及び逆耐圧よりやや低めになるよう設定されている。
以後、電力変換回路10の動作について説明する。まず、負荷、出力端子Vo、第1ダイオードD1、及びハイサイド端子Vhの経路で還流電流が流れているときに、スイッチング素子SW2をターンオンする場合を考える。このとき、スイッチング素子SW2は、電源V1の高電位側→ハイサイド端子Vh→負荷→出力端子Vo→リカバリ抑制インダクタンスL1→スイッチング素子SW2→電源V1の低電位側の経路で電流を流すためにターンオンする。
スイッチング素子SW2がターンオンする際、電源V1の電圧はまず、リカバリ抑制インダクタンスL1に印加される。そのため、スイッチング素子SW2のコレクタ電流の上昇速度はリカバリ抑制インダクタンスL1によって制限されて、緩やかになる(ZCS(Zero Current Switching)状態という)。このとき、第1ダイオードD1は順逆両方向に導通状態であるが、スイッチング素子SW2のコレクタ電流が抑制されているため、第1ダイオードD1とスイッチング素子SW2で電源V1を短絡接続しリカバリを起こすことは無い。よって、スイッチング素子のスイッチング時の損失を抑制できる。
なお、スイッチング素子SW2のターンオン中にリカバリ抑制インダクタンスL1に蓄積されたエネルギは、スイッチング素子SW2を通る電流を一時的に若干上昇させる。しかしながらこの電流の上昇による損失増加は、リカバリ電流抑制による損失低減に比べると軽微である。
次に、スイッチング素子SW2をターンオフする場合について説明する。スイッチング素子SW2のゲートにターンオフ信号が入力されると、スイッチング素子SW2のコレクタ電流は次第に減少する。このとき、ターンオフサージ電圧によりスイッチング素子SW2がダメージを受けることを回避するために、リカバリ抑制インダクタンスL1に蓄積しているエネルギは、リカバリ抑制インダクタンスL1の外部に放出されなければならない。
本発明の実施の形態1に係る電力変換回路10の構成によれば、リカバリ抑制インダクタンスL1のエネルギは、第1接続点P1及びスナバ回路12のダイオード14を経由してスナバ回路12のキャパシタ18に充電される。よって、ターンオフサージ電圧によりスイッチング素子SW2がダメージを受けることを回避できる。
ここで、キャパシタ18に充電された電圧はスイッチング素子SW2に印加される。しかしながら、キャパシタ18の容量は、この容量により充電される電圧がスイッチング素子の耐圧及び逆耐圧よりやや低めになるよう設定されている。よってキャパシタ18に充電された電圧によりスイッチング素子SW2が劣化することを防止できる。なお、キャパシタ18に充電されたエネルギは、再びスイッチング素子SW2がオンされるときに、キャパシタ18、第2ダイオードD2、及びリカバリ抑制インダクタンスL1を経由してスイッチング素子SW2にて熱損失となる。
従って、スイッチング素子SW2のターンオフ時に、リカバリ抑制インダクタンスL1から放出され、キャパシタに充電されるエネルギは損失となる。しかしながら、リカバリ抑制インダクタンスL1によるリカバリ抑制の効果により、電力変換回路10のスイッチング動作全体としてみれば、大幅な損失の低減ができる。
ここまでは、スイッチング素子SW2のターンオン及びターンオフについて説明したが、スイッチング素子SW1の場合についても同様にスイッチング損失を低減することができるので説明を省略する。
なお、十分に短いリカバリ時間を有するダイオード(ファストリカバリダイオード)を用いた場合にはリカバリ電流が軽減される。しかしながら、ファストリカバリダイオードを用いると、導通損失が増加したり、リカバリ波形に含まれる周波数成分が高くなりノイズ(EMI)や電磁誘導損失(表皮効果)が表れたり、スナバ回路部品の選択肢が減少したりする弊害がある。ところが、本発明の実施の形態1に係る電力変換回路10の構成によれば、スイッチング素子に逆並列に接続するダイオードとして、ファストリカバリダイオードを用いることなくリカバリ電流を抑制できるため、上述の弊害を回避できる。
本発明の実施の形態1に係る電力変換回路10は、ハーフブリッジ回路に関するが本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明の実施の形態1に係る電力変換回路10を複数組み合わせることで、単相、3相、あるいはそれ以上の交流の相を有する電力変換回路を構成することができる。図2は本発明の実施の形態1に係る電力変換回路10の変形例を示す回路図である。図2に示すように、単相交流型の電力変換回路を構成してもよい。電力変換回路26は、負荷であるモータ28に対して図1の電力変換回路10が2つ接続されている構成である。
また、スイッチング素子はIGBTに限らず、少なくともダイオードのVfよりも大きい逆阻止性(電圧降下)を有するトランジスタであればよいので、例えばパワーMOSFETであってもよい。また、スイッチング素子はSiに限らずSiCなどで形成されてもよい。
実施の形態2.
図3を参照して本発明の実施の形態2を説明する。図3は本発明の実施の形態2に係る電力変換回路の回路図である。電力変換回路30は本発明の実施の形態1に係る電力変換回路による効果を得つつ、スイッチング素子を低価格化できる点が特徴である。
電力変換回路30はスナバ回路32を備える。スナバ回路32はダイオード34及びダイオード40を備える。ダイオード34のカソードはスイッチング素子SW1のエミッタに接続されている。ダイオード34のカソードとスイッチング素子SW1のエミッタとの接続点を第3接続点P3と称する。本実施の形態において、第3接続点P3と第1接続点P1の間には2つ目の損失抑制インダクタンスL2が配置されている。
上述したダイオード34のアノードは、ハイサイドキャパシタ36の一端及びハイサイド抵抗38の一端に接続されている。ハイサイドキャパシタ36の他端及びハイサイド抵抗38の他端は、スイッチング素子SW1のコレクタに接続されている。
ダイオード40のアノードはスイッチング素子SW2のコレクタに接続されている。ダイオード40のカソードは、ローサイドキャパシタ42の一端及びローサイド抵抗44の一端に接続されている。ローサイドキャパシタ42の他端及びローサイド抵抗44の他端は、スイッチング素子SW2のエミッタに接続されている。
このように、スイッチング素子SW1のコレクタとエミッタは、ダイオード34を介してハイサイドキャパシタ36により接続されている。またスイッチング素子SW2のコレクタとエミッタは、ダイオード40を介してローサイドキャパシタ42により接続されている。
次に、電力変換回路30の動作について説明する。スイッチング素子のターンオン時にリカバリ電流を抑制することは本発明の実施の形態1において説明したとおりなので省略する。ここでは、スイッチング素子SW2のターンオフについて説明する。スイッチング素子SW2のオン期間中は電源の高電位側→ハイサイド端子Vh→負荷→出力端子Vo→リカバリ抑制インダクタンスL1→スイッチング素子SW2→及び電源の低電位側の経路に電流が流れる。スイッチング素子SW2のゲートにターンオフ信号が入力されると、スイッチング素子SW2のコレクタ電流は次第に減少する。そして、リカバリ抑制インダクタンスL1に蓄積しているエネルギは、第1接続点P1及びダイオード40を経由して、ローサイドキャパシタ42へと流れる。
ここで、ローサイドキャパシタ42の初期電圧(スイッチング素子SW2がターンオフする前のオン状態での電圧)はほぼゼロである。そのため、リカバリ抑制インダクタンスL1に蓄積しているエネルギによりローサイドキャパシタ42が充電される。この充電により、スイッチング素子SW2のVceはすぐには増加しない(ZVS(Zero Voltage Switching)状態という)のでスイッチング素子SW2におけるターンオフ損失を減少させることができる。
リカバリ抑制インダクタンスL1から放出されローサイドキャパシタ42に充電されたエネルギは、ローサイド抵抗44において熱損失として消費される。よって、このエネルギがスイッチング素子SW2にて熱損失として消費されることを防止できるので、スイッチング素子SW2は高い耐熱性が必要なくなる。よってスイッチング素子SW2として、耐熱性の低い安価なものを用いて電力変換回路30のコストを低減することができる。スイッチング素子SW1についても同様に安価なものを用いることができる。
次に、損失抑制インダクタンスL2の機能について説明する。電源V1の高電位側→スイッチング素子SW1→損失抑制インダクタンスL2→リカバリ抑制インダクタンスL1→出力端子Vo→負荷→ローサイド端子Vl→電源V1の低電位側の経路で電流が流れている状態からスイッチング素子SW1をターンオフしたとする。そうすると、損失抑制インダクタンスL2とリカバリ抑制インダクタンスL1に蓄積されたエネルギは第1ダイオードD1を経由してハイサイドキャパシタ36を充電する。
次いで、スイッチング素子SW2をターンオンする場合には、ハイサイドキャパシタ36の充電電流がスイッチング素子SW2に流れ、スイッチング素子SW2のターンオン損失となることが懸念される。しかしながら、ハイサイドキャパシタ36とスイッチング素子SW2を結ぶ経路上には損失抑制インダクタンスL2が直列に接続されているため、ハイサイドキャパシタ36の充電電流が急激に立ち上がることはできない。よってスイッチング素子SW2のターンオン時にハイサイドキャパシタ36の充電電流が急激にスイッチング素子SW2に流れることは無いので、ターンオン損失を抑制できる。
本発明の実施の形態2に係る電力変換回路30では、リカバリ抑制インダクタンスL1と損失抑制インダクタンスL2の2つのインダクタンスを用いたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、リカバリ抑制インダクタンスL1と損失抑制インダクタンスL2を1つのインダクタンスに集約して電力変換回路を簡素な構成としてもよい。
インダクタンスを1つに集約した構成例を図4乃至図6に示す。図4は本発明の実施の形態2に係る電力変換回路の変形例を示す回路図である。この例では、インダクタンスLmが前述のリカバリ抑制インダクタンスL1と損失抑制インダクタンスL2の両方の役割を担う。図5は、図4に示された電力変換回路の交流等価回路図である。図6は、図4に示された電力変換回路の交流等価回路図である。図4乃至図6に示す電力変換回路図の構成によれば、インダクタンスを1つに集約して構成を簡素化しつつ、本発明の実施の形態2に係る電力変換回路30の効果を得ることができる。
実施の形態3.
図7を参照して本発明の実施の形態3を説明する。図7は本発明の実施の形態3に係る電力変換回路の回路図である。電力変換回路70は、スイッチング周波数の低い場合において、簡素な構成でスイッチング素子のスイッチング時の損失を抑制するものである。
電力変換回路70はスナバ回路72を備える。スナバ回路72は2つの小型ダイオード74及び2つの小型ダイオード76を備えている。2つの小型ダイオード74は直列に接続されたダイオード74a及び74bを備えている。ダイオード74aのカソードは第1ダイオードD1のカソードに接続されている。ダイオード74aのアノードはダイオード74bのカソードに接続されている。ダイオード74bのアノードは第1接続点P1に接続されている。
2つの小型ダイオード76は、直列に接続されたダイオード76a及び76bを備えている。ダイオード76aのカソードは第1接続点P1に接続されている。ダイオード76aのアノードはダイオード76bのカソードに接続されている。ダイオード76bのアノードは第2ダイオードD2のアノードに接続されている。
2つの小型ダイオード74の合成Vf(十分な電流を流すための順方向電圧)は第1ダイオードD1のVfより大きい。また、2つの小型ダイオード76の合成Vfは第2ダイオードD2のVfより大きい。
電源V1→スイッチング素子SW1→リカバリ抑制インダクタンスL1→負荷を経由する経路で電流が流れているときに、スイッチング素子SW1がターンオフする場合を考える。この場合、2つの小型ダイオード76及び第2ダイオードD2→第2接続点P2→負荷→及びローサイド端子Vlの経路で還流電流が流れる(還流電流の流れる方向は図7において実線矢印で示す方向である)。
2つの小型ダイオード76の合成Vfは第2ダイオードD2のVfよりも大きいので、リカバリ抑制インダクタンスL1の両端に電圧(Vfの差)が生じる。この電圧(Vfの差)によりリカバリ抑制インダクタンスL1のエネルギを前述の還流経路(図7の実線矢印で示した経路)で放出できる。
ここまでは、スイッチング素子SW1のターンオフ直後について説明したが、スイッチング素子SW2のターンオフの場合については上述の内容と同じである。スイッチング素子SW2のターンオフの場合には、図7の破線矢印で示す方向に還流電流が流れる。
このように本発明の実施の形態3に係る電力変換回路70の構成によれば、スナバ回路72として、2つの小型ダイオード74及び76を用いて電力変換回路70を簡素な構成としつつ、リカバリ抑制インダクタンスL1及びスナバ回路72により実施の形態1と同様の損失低減ができる。
スナバ回路72を構成する2つの小型ダイオード74及び76は、それぞれ2つのダイオードを有することとしたが、電力変換回路70の簡素化を妨げない限り、スナバ回路72のダイオードの数を増やしてもよい。スナバ回路72を構成するダイオードの数を増やすと、スナバ回路72におけるVfをさらに大きくでき、前述のVf差を大きくできる。よって、リカバリ抑制インダクタンスL1のエネルギ放出を迅速に行うことができる。リカバリ抑制インダクタンスL1のエネルギ放出を迅速化すれば2つの小型ダイオード74又は76に流れる電流もそれだけ迅速に無くなる。よって2つの小型ダイオード74又は76がリカバリを起こすことを迅速に防止できる。
図8は本発明の実施の形態3に係る電力変換回路70の変形例を示す回路図である。電力変換回路80は、前述のVf差をさらに大きくとってリカバリ抑制インダクタンスL1のエネルギ放出を迅速に行うことができるものである。電力変換回路80のスナバ回路82は、定電圧ダイオード84及び86を有する。定電圧ダイオード84は図7のダイオード74bに代えて接続されたものであり、接続方向はダイオード74bとは逆向きである。定電圧ダイオード86は図7のダイオード76bに代えて接続されたものであり、接続方向はダイオード76bとは逆向きである。
このようにスナバ回路82に定電圧ダイオード84及び86を接続するとVfを大きくすることができる。よって、例えば2つの小型ダイオード88のVfを第1ダイオードD1のVfよりも十分大きくできるので、リカバリ抑制インダクタンスL1のエネルギを迅速に放出させることができる。
実施の形態4.
図9を参照して本発明の実施の形態4を説明する。図9は本発明の実施の形態4に係る電力変換回路の回路図である。電力変換回路90は中点スイッチ型3レベルインバータ回路で形成されている。電力変換回路90は、高電位Vhigh、低電位Vlow、及び高電位と低電位の間の中点電位Vmidの3つの電位の供給を受けて動作する。中点電位Vmidは電源V1と電源V2の間から取り出される。中点電位Vmidの部分と第1接続点P1はACスイッチ92により接続されている。電力変換回路90には、本発明の実施の形態1に係る電力変換回路10と同様にリカバリ抑制インダクタンスL1とスナバ回路12が接続されている。
電力変換回路90は電源として電源V1及びV2の2つの電源を用いて高電圧で駆動するため、第1ダイオードD1及び第2ダイオードD2は高耐圧なダイオードである。一般に高耐圧なダイオードはリカバリ電流が大きくなる。しかしながら、電力変換回路90の構成によれば、リカバリ抑制インダクタンスL1によりリカバリ電流を抑制できるため、スイッチング素子のスイッチング時の損失を低減できる。その他、本発明の実施の形態1の場合と同等の効果を得ることができる。
実施の形態5.
図10及び図11を参照して本発明の実施の形態5を説明する。図10は本発明の実施の形態5に係る電力変換回路の回路図である。電力変換回路100は中点スイッチ型3レベルインバータ回路で形成されており、本発明の実施の形態4に係る電力変換回路90と同様に高電位Vhigh、低電位Vlow、及び高電位と低電位の間の中点電位Vmidの3つの電位供給を受ける。中点電位VmidはACスイッチ102の制御を受ける。ACスイッチ102は、スイッチング素子104及び106、並びにダイオード108及び110を備えている(以後、スイッチング素子104及び106をまとめてACスイッチ内スイッチング素子ということがある)。
中点電位Vmidの部分はスイッチング素子104、ダイオード108、インダクタンスLbを経由して出力端子Voに接続されている。ダイオード108のカソードとインダクタンスLbにはダイオード112のアノードが接続されている。ダイオード112のカソードはハイサイド端子Vhに接続されている。中点電位Vmidの部分は、スイッチング素子106、ダイオード110、インダクタンスLbを経由する経路でも出力端子Voに接続されている。
出力端子Voの電位が中点電位Vmidより高い期間は、中点電位Vmidと高電位Vhighのスイッチングによって電力変換回路100が動作する。出力端子Voの電位が中点電位Vmidをまたぐタイミングではこれら以外の通電パターンもあるが、全スイッチングの中ではその期間が短く、損失への影響は小さい。また、出力端子Voの電位が中点電位Vmidより低い期間は出力端子Voの電位が中点電位Vmidより高い期間と上下対称であるから、出力端子Voの電位が中点電位Vmidより高い期間の損失を低減出来れば同様に損失を低減できる。以下、電力変換回路100の損失低減の実現について、出力端子Voの電位が中点電位Vmidより高い期間の損失が低減出来ることによって説明する。
図11は、図10の回路図において出力端子Voの電位が中点電位Vmidより高い期間の動作に関係する素子を抜き出した回路図である。この期間においては、ダイオード112、第1スイッチング素子SW1、第1ダイオードD1、スイッチング素子106、及びダイオード108により2レベルインバータのような動作を行う。具体的には、負荷電流の向きに応じて、第1スイッチング素子SW1とスイッチング素子104が交互に通電するか、第1ダイオードD1とスイッチング素子106が交互に通電するかのどちらかとなる。
図11の回路図から明らかなように、第1ダイオードD1のリカバリは、第1ダイオードD1とスイッチング素子106の間にインダクタンスLaが接続されていることにより抑制される。また、ダイオード108のリカバリは、ダイオード108とスイッチング素子SW1の間にインダクタンスLa及びLbが接続されていることにより抑制される。ここで、ACスイッチ102中のダイオード108は、リカバリサージ電圧抑制のために高耐圧である。一般に高耐圧のダイオードはリカバリ電流が増加する。しかしながら、本発明の実施の形態5に係る電力変換回路100の構成によれば、インダクタンスLa及びLbの2つのインダクタンスによりダイオード108のリカバリ電流を抑制することができるため、損失を効果的に低減できる。
よって、本発明の実施の形態5に係る電力変換回路100の構成によれば、出力端子Voの電位が中点電位Vmidより高い期間の損失を低減できる。
図12は本発明の実施の形態5に係る電力変換回路の変形例を示す回路図である。例えば、図12に示す回路構成でも本発明の実施の形態5に係る電力変換回路100と同等の効果を得ることができる。なお、本発明の実施の形態5に係る電力変換回路100ではACスイッチ内スイッチング素子の両端に発生するサージ電圧に対するスナバ回路は含まないこととしたが、必要に応じてこれを付加することでさらなる損失低減ができる。
実施の形態6.
図13を参照して本発明の実施の形態6を説明する。図13は本発明の実施の形態6に係る電力変換回路の回路図である。電力変換回路130はダイオード132及び134を備える。ダイオード132のカソードは第1電源V1の高電位側に接続され、アノードはスイッチング素子SW2のエミッタに接続されている。ダイオード134のカソードはスイッチング素子SW3のコレクタに接続され、アノードは第2電源V2の低電位側に接続されている。ダイオード132及び134は、ACスイッチ内スイッチング素子のサージ電圧に対しスナバ回路として機能する。よって、特に大電流用途の中点スイッチ型3レベルインバータ回路において、有効なサージ電圧対策ができるため損失を低減できる。
10 電力変換回路、 12 スナバ回路、 SW1 ハイサイドスイッチング素子、 SW2 ローサイドスイッチング素子、 D1 第1ダイオード、 D2 第2ダイオード、 L1 リカバリ抑制インダクタンス

Claims (5)

  1. ゼロ電圧スイッチング手段を備えない電力変換回路であって、
    電源の高電位側にコレクタが接続されたハイサイドスイッチング素子と、
    前記電源の低電位側にエミッタが接続されたローサイドスイッチング素子と、
    前記ハイサイドスイッチング素子のエミッタと前記ローサイドスイッチング素子のコレクタが接続された第1接続点と、
    前記ハイサイドスイッチング素子のコレクタにカソードが接続された第1ダイオードと、
    前記ローサイドスイッチング素子のエミッタにアノードが接続された第2ダイオードと、
    前記第1ダイオードのアノードと前記第2ダイオードのカソードが接続された第2接続点と、
    前記第1接続点と前記第2接続点とを接続するインダクタンスと、
    前記第1接続点と接続され、還流時に、前記インダクタンスに蓄積されたエネルギを吸収するように構成されたスナバ回路と、
    前記第1接続点に電位を供給するように前記第1接続点に接続されたACスイッチを備えたことを特徴とする電力変換回路。
  2. ゼロ電圧スイッチング手段を備えない電力変換回路であって、
    電源の高電位側にコレクタが接続されたハイサイドスイッチング素子と、
    前記電源の低電位側にエミッタが接続されたローサイドスイッチング素子と、
    前記ハイサイドスイッチング素子のコレクタにカソードが接続された第1ダイオードと、
    前記ローサイドスイッチング素子のエミッタにアノードが接続された第2ダイオードと、
    前記ハイサイドスイッチング素子のエミッタと前記第1ダイオードのアノードを接続する第1インダクタンスと、
    前記ローサイドスイッチング素子のコレクタと前記第2ダイオードのカソードを接続する第2インダクタンスと、
    第1逆阻止スイッチング回路と、
    第2逆阻止スイッチング回路と、を備え、
    前記第1逆阻止スイッチング回路のコレクタ側が前記ハイサイドスイッチング素子のエミッタに接続され、
    前記第2逆阻止スイッチング回路のエミッタ側が前記ローサイドスイッチング素子のコレクタに接続されたことを特徴とする電力変換回路。
  3. 前記第1逆阻止スイッチング回路と前記第2逆阻止スイッチング回路の両端に発生するサージ電圧に対するスナバ回路を備えたことを特徴とする請求項2に記載の電力変換回路。
  4. 前記スナバ回路は、前記インダクタンスのエネルギによって充電されるキャパシタを備えたことを特徴とする請求項1に記載の電力変換回路。
  5. 前記キャパシタにより充電される電圧は、前記ハイサイドスイッチング素子又は前記ローサイドスイッチング素子の耐圧及び逆耐圧より低いことを特徴とする請求項4に記載の電力変換回路。
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