JP4798677B2 - Dc−dcコンバータ及びこれを用いたx線高電圧装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は,適宜の直流電源からインバータを介して交流電圧を変圧器に送りその出力を整流して直流電圧を所要の負荷に供給するDC−DCコンバータに関し、特に上記インバータの各スイッチング素子にかかる電圧変化率を小さくしてノイズを低減すると共に、上記スイッチング素子での電力損失を低減して高効率化を図ることができるDC−DCコンバータ及びこれを用いたX線高電圧装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年,電力損失や電磁ノイズの低減を目的として、スイッチング素子に印加される電圧がゼロの状態、あるいはスイッチング素子に流れる電流がゼロの状態で前記スイッチング素子をターンオン、ターンオフさせるソフトスイッチングと称される技術を用いたDC−DCコンバータが開発されている。従来この種のDC−DCコンバータとしては,特開平6-22551号に開示されたものがある。
【0003】
上記公報に記載されたDC−DCコンバータは、図15に示すように、直流電源1と、この直流電源1の正極に接続された第一のスイッチ20a及びその負極に接続された第二のスイッチ20bから成る第一の直列接続体を有すると共に上記正極に接続された第三のスイッチ20c及び負極に接続された第四のスイッチ20dから成り上記第一の直列接続体に並列接続された第二の直列接続体を有し且つ上記第一から第四のスイッチにそれぞれ逆並列接続された第一から第四のダイオード3a〜3dを有し上記直流電源1から直流を受電して交流に変換するインバータ4と、このインバータ4の出力側に接続された変圧器7と、この変圧器7の出力を直流に変換する整流器8と、この整流器8の出力側に接続された負荷17と、上記インバータ4の第一から第四のスイッチにはロスレス(無損失)スナバ回路として用いるコンデンサ22a〜22dをそれぞれ並列接続し、上記インバータ4の第一及び第二のスイッチの接続点と直流電源1の中性点との間並びに第三及び第四のスイッチの接続点と直流電源1の中性点との間のどちらか一方又は両方に補助回路としてリアクトル23a,23bを接続し、上記負荷に印加する電圧及び負荷に流す電流の設定信号に応じて上記第一から第四のスイッチ20a〜20dのオン/オフのタイミングを制御する手段とを有して成っていた。なお、図13において、符号5は共振回路としてのリアクトル、符号6は同じく共振用のコンデンサである。
【0004】
また,上記第一から第四のスイッチ20a〜20dとダイオード3a〜3dとで、それぞれ第一のアーム10aと、第二のアーム10bと、第三のアーム10cと、第四のアーム10dとが構成されている。また、上記整流器8は、四つのダイオード11a,11b,11c,11dで入力電圧を全波整流するようになっている。さらに,符号12は整流器8からの出力電圧を平滑して負荷に供給するためのコンデンサである。
【0005】
上記のように構成された従来のDC−DCコンバータに特開昭63-190556号公報に開示されている位相シフトPWM(Puls width Modulation)制御を適用し、リアクトル23a,23bのインダクタンスの値を適当に選択すれば、インバータ4の第一から第四のスイッチ20a〜20dについては常に逆並列ダイオードに電流が流れている状態でターンオン、そしてスイッチの順方向に電流が流れている状態でターンオフさせることが可能となり、デッドタイム期間(前記スイッチ20aと20b及び20cと20dとが同時にオンすることによって生じる電源短絡を防止するために設けた前記スイッチ20aと20bの両方及び20cと20dの両方をオフする期間)中にロスレススナバ回路を効果的に利用したソフトスイッチング動作が実現できる。
【0006】
次に、上記図15の回路に双方向補助スイッチ26aと26bを追加した図16に示す回路が知られている(R.W.De Doncker,et al :“The AuXillary Resonant CommutatedPole Converter”,IEEE-IAS(1990)、pp.1228-1235)。この双方向スイッチは、電力用半導体スイッチング素子とこの素子に逆並列に接続されたダイオードとから成る二組みの接続体をそれぞれ極性が逆方向になるように直列に接続して構成され、双方向スイッチ26aはスイッチング素子24a1とダイオード25a1及びスイッチング素子24a2とダイオード25a2とで構成され、双方向スイッチ26bはスイッチング素子24b1とダイオード25b1及びスイッチング素子24b2とダイオード25b2とで構成されており、これらのスイッチング素子24a1,24a2,24b1,24b2には絶縁ゲート形バイポーラトランジスIGBTのような自己消弧可能なスイッチング素子が適している。
【0007】
図15の回路においては、動作位相シフト角や負荷条件によってはリアクトル23a,23bに不必要に大きい電流が流れてしまい,スイッチ20a〜20dの導通損失やリアクトル23a,23bの損失の点で無駄の多い状態があったが、図16の回路はこれを改善するものである。すなわち、この回路では,図17に示すように、第一及び第二のスイッチのオン/オフのタイミングを基準としてその前後の一定の期間(図17中の△t)のみ(基準のタイミング前後のオン時間は同じ)補助スイッチ24a1あるいは24a2をオンさせる。そして,第一から第二のアーム10a,10bの各スイッチの電流の状態に応じて上記△tを制御することにより上記スイッチ20aと20bに対しソフトスイッチングの実現に必要な分だけ電流(以下、補助電流と呼ぶ)を流すことができる回路とすることによって電力変換効率の向上を図ったものである。第三及び第四のアームのスイッチ20cと20dについても同様に動作させることによってソフトスイッチングを実現できる。なお、図16の回路は、負荷範囲の非常に広い(負荷抵抗にして104倍も変化する)X線高電圧装置等へ適用した場合、全ての負荷条件において常に効率のよい動作が可能になるという点で大きなメリットがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図16の回路方式をX線高電圧装置やその他の産業用機器への適用を図った場合、以下に述べる困難な問題に直面する。すなわち、ここでは左右の補助回路27a,27bのうち,左側の補助回路27aについて考えると、通常の動作においては、補助スイッチ24a1,24a2は常にゼロ電流スイッチング(補助スイッチ24a1,24a2に流れる電流がゼロの状態でスイッチ動作を行うこと)を行う(図17参照)ため、リアクトル23aの両端には、該リアクトル23aのインダクタンスの値をLaとすると、このLaと図17に示した電流Iaの傾きとの積で決まる程度の電圧La(dIa/dt)しか印加されない。しかしながら、何らかの原因で、例えば直流電源1の電圧の変動等によりその中性点の電位がE/2でなくなったとすると、リアクトル23aの電流Iaが増加する際と減少する際とでその電流の傾き及びその絶対値が異なることとなり、補助スイッチ24a1,24a2は図18のようにゼロ電流スイッチングができなくなる。そうすると、リアクトル23aの両端にかかる最大電圧は、リアクトル23aに流れている電流Iaを遮断する際の遮断電流の傾きで決まる非常に高い電圧が発生することになる。
【0009】
また,上記電源変動以外でも、例えば本DC−DCコンバータを適用したシステムに異常が生じて該システムの異常処理を行う場合等において、インバータを突然停止しなければならない際等には、上記リアクトル(インダクタンス値La)に電流が流れている状態で第一〜第四のスイッチ20a〜20d及び上記補助スイッチ24a1,24a2を遮断しなければならない場合があり得るが、この時には最悪の場合にはIaがピーク値の時にその電流を遮断することとなり、上記の電源変動時以上にリアクトル(インダクタンスの値La)の両端に高い電圧が発生することとなる。
【0010】
このように、何らかの原因でIaをゼロでない電流で遮断するケースがあり得るが,その際上記のリアクトル23aの両端に高電圧が発生すると、リアクトル23aの片側の接続点である直流電源12の中点は比較的安定した電位であることを考えると、もう片側の接続点すなわち双方向スイッチとの接続点の電位が非常に高く(あるいは低く)なる。そうすると、補助スイッチ24a1,24a2及びそれらと逆並列接続されたダイオード25a1,25a2の両端には非常に高い電圧を発生することとなり、これが補助スイッチ24a1,24a2,あるいはそれらの逆並列接続ダイオード25a1,25a2の耐圧を越えた場合にはそれらが破壊されることが懸念される。しかしながら従来の装置においては、そのような点について、十分な配慮がなされていなかった。
【0011】
このように全ての負荷条件、動作条件でソフトスイッチングを実現するための補助回路として、リアクトルと双方向スイッチとを直列接続した回路(図16)を用いてDC−DCコンバータを構成した場合、直流電源の変動やシステムの異常処理時において、双方向スイッチが破壊される可能性があることに対し、従来の技術では配慮されていなかった。
【0012】
そこで本発明は、上記の問題点に対処し、簡便な方法で補助回路部品の破壊を防止し、信頼性の高いDC−DCコンバータを提供することを目的とする。
また、本発明は、上記DCーDCコンバータをX線高電圧装置に用いることによって、該X線高電圧装置を高効率で安全性、信頼性の高いものにすることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の手段によって達成される。
(1)直流電源と、電力用半導体スイッチング素子の電圧を略ゼロにして該スイッチング素子をターンオン及びターンオフさせるゼロ電圧スイッチング手段を備え、このゼロ電圧スイッチング手段により前記スイッチング素子をターンオン及びターンオフさせて前記直流電源の電圧を交流電圧に変換するインバータと、このインバータの出力側に接続された変圧器と、この変圧器の出力を直流に変換する整流器と、この整流器の出力側に接続された負荷と、この負荷に印加する電圧及び負荷に流す電流の設定信号に応じて上記インバータのスイッチング素子のターンオン、ターンオフのタイミングを制御する手段とを有して成るDC−DCコンバータにおいて、上記インバータに上記ゼロ電圧スイッチング手段の遮断時にこのゼロ電圧スイッチング手段に流れている電流を環流させる電流環流手段を設ける。
【0014】
(2)上記ゼロ電圧スイッチング手段を備えたインバータは、上記直流電源の正極に接続された第一のスイッチ及びその負極に接続された第二のスイッチから成る第一の直列接続体を有すると共に上記正極に接続された第三のスイッチ及びその負極に接続された第四のスイッチから成り上記第一の直列接続体に並列接続された第二の直列接続体を有し且つ上記第一から第四のスイッチにそれぞれ逆並列接続された第一から第四のダイオード及びコンデンサを有すると共に上記第一及び第二のスイッチのスイッチング素子のターンオン及びターンオフ時に前記第一及び第二のダイオードの順方向に電流を供給する第一の補助電流供給手段と、上記第三及び第四のスイッチのスイッチング素子のターンオン及びターンオフ時に前記第三及び第四のダイオードの順方向に電流を供給する第二の補助電流供給手段とを備えて成り、上記電流環流手段は上記第一及び第二の補助電流供給手段に流れている電流を還流させる手段である。
【0015】
(3)上記第一の補助電流供給手段は、上記第一及び第二のスイッチの接続点と上記直流電源の中性点との間に第一のリアクトルと第一の双方向スイッチとの直列接続体を接続して成り、上記第二の補助電流供給手段は、上記第三及び第四のスイッチの接続点と上記直流電源の中性点との間に第二のリアクトルと第二の双方向スイッチの直列接続体を接続して成り、上記電流環流手段は、上記第一及び第二の双方向スイッチをオン状態からオフにした時に上記第一及び第二の補助電流供給手段に流れている電流を還流させる手段である。
【0016】
(4)上記電流還流手段は、
1)上記第一のリアクトルと上記第一の双方向スイッチとの接続点に第一のダイオードのアノードと第二のダイオードのカソードとの直列接続体の接続点を接続し、上記第一のダイオードのカソードを上記直流電源の正極に接続し、上記第二のダイオードのアノードを上記直流電源の負極に接続して成る第一の電流環流手段と、上記第二のリアクトルと上記第二の双方向スイッチとの接続点に第三のダイオードのアノードと第四のダイオードのカソードとの直列接続体の接続点を接続し、上記第三のダイオードのカソードを上記直流電源の正極に接続し、上記第四のダイオードのアノードを上記直流電源の負極に接続して成る第二の電流環流手段とを有する。
【0017】
2)上記第一の双方向スイッチの一端に第一のダイオードのアノードと第二のダイオードのカソードとの直列接続体の接続点を接続し、上記第一のダイオードのカソードを上記直流電源の正極に接続し、上記第二のダイオードのアノードを上記直流電源の負極に接続して成る第一の電流環流手段と、上記第一の双方向スイッチのもう一方の一端に第三のダイオードのアノードと第四のダイオードのカソードとの直列接続体の接続点を接続し、上記第三のダイオードのカソードを上記直流電源の正極に接続し、上記第四のダイオードのアノードを上記直流電源の負極に接続して成る第二の電流環流手段と、上記第二の双方向スイッチの一端に第五のダイオードのアノードと第六のダイオードのカソードとの直列接続体の接続点を接続し、上記第五のダイオードのカソードを上記直流電源の正極に接続し、上記第六のダイオードのアノードを上記直流電源の負極に接続して成る第三の電流環流手段と、上記第二の双方向スイッチのもう一方の一端に第七のダイオードのアノードと第八のダイオードのカソードとの直列接続体の接続点を接続し、上記第七のダイオードのカソードを上記直流電源の正極に接続し、上記第八のダイオードのアノードを上記直流電源の負極に接続して成る第四の電流環流手段とを有する。
【0018】
(5)上記第一及び第二の双方向スイッチは、
1)それぞれ、スイッチング素子とこのスイッチング素子に逆並列に接続されたダイオードから成る二組みの接続体をこの接続体のスイッチング素子の導通方向が逆になるように直列に接続された接続体で構成して成る。
2)それぞれ、4つのダイオードから成る全波整流回路とこの全波整流回路の正極と負極との間にスイッチング素子を設け、この素子の正極を前記全波整流回路の正極に接続し、該スイッチング素子の負極を前記全波整流回路の負極に接続して成る。
【0019】
(6)上記双方向スイッチは上記(5)の1)の双方向スイッチであって、上記電流還流手段は、第一から第三までの三つのダイオードを含む第一の電流環流手段と、第四から第六までの三つのダイオードを含む第二の電流環流手段から成り、上記第一の電流環流手段は、上記第一のダイオードを上記第一の双方向スイッチの二組みの接続体の接続点から上記直流電源の正極に導通するように接続し、上記第二のダイオードを上記直流電源の負極から上記第一の双方向スイッチの一端に導通するように接続し、上記第三のダイオードを上記直流電源の負極から上記第一の双方向スイッチのもう一方の一端に導通するように接続して成り、上記第二の電流環流手段は、上記第四のダイオードを上記第二の双方向スイッチの二組みの接続体の接続点から上記直流電源の正極に導通するように接続し、上記第五のダイオードを上記第二の双方向スイッチの一端に導通するように接続し、上記第六のダイオードを上記直流電源の負極から上記第二の双方向スイッチのもう一方の一端に導通するように接続して成る。
【0020】
(7)上記双方向スイッチは上記(5)の1)の双方向スイッチであって、上記電流還流手段は、第一と第二のダイオードを含む第一の電流環流手段と、第三と第四のダイオードを含む第二の電流環流手段とから成り、上記第一の電流環流手段は、上記第一のダイオードを上記第一の双方向スイッチの二組みの接続体の接続点から上記直流電源の正極に導通するように接続し、上記第二のダイオードを上記直流電源の負極から上記第一の双方向スイッチの一端に導通するように接続し、上記第二の電流環流手段は、上記第三のダイオードを上記第二の双方向スイッチの二組みの接続体の接続点から上記直流電源の正極に導通するように接続し、上記第四のダイオードを上記直流電源の負極から上記第二の双方向スイッチの一端に導通するように接続して成る。
【0021】
(8)上記双方向スイッチは上記(5)の1)の双方向スイッチであって、上記電流還流手段は、第一から第三までの三つのダイオードを含む第一の電流環流手段と、第四から第六までの三つのダイオードを含む第二の電流環流手段から成り、上記第一の電流環流手段は、上記第一と第二のダイオードをそれぞれ上記第一の双方向スイッチの両端から上記直流電源の正極に導通するように接続し、上記第三のダイオードを上記直流電源の負極から上記双方向スイッチの二組みの接続体の接続点に導通するように接続し、上記第二の電流環流手段は、上記第四と第五のダイオードをそれぞれ上記第二の双方向スイッチの両端から直流電源の正極に導通するように接続し、上記第六のダイオードを上記直流電源の負極から上記双方向スイッチの二組みの接続体の接続点に導通するように接続して成る。
【0022】
(9)上記双方向スイッチは上記(5)の1)の双方向スイッチであって、上記電流還流手段は、第一と第二の二つダイオードを含む第一の電流環流手段と、第三から第四までの二つのダイオードを含む第二の電流環流手段から成り、上記第一の電流環流手段は、上記第一のダイオードを上記第一の双方向スイッチの一端から上記直流電源の正極に導通するように接続し、上記第二のダイオードを上記直流電源の負極から上記双方向スイッチの二組みの接続体の接続点に導通するように接続し、上記第二の電流環流手段は、上記第三のダイオードを上記第二の双方向スイッチの一端から上記直流電源の正極に導通するように接続し、上記第四のダイオードを上記直流電源の負極から上記双方向スイッチの二組みの接続体の接続点に導通するように接続して成る。
【0023】
(10)上記双方向スイッチは上記(5)の2)の双方向スイッチであって、上記電流還流手段は、第一と第二の二つダイオードを含む第一の電流環流手段と、第三と第四の二つのダイオードを含む第二の電流環流手段から成り、上記第一の電流環流手段は、上記第一のダイオードを上記第一の双方向スイッチの正極から上記直流電源の正極に導通するように接続し、上記第二のダイオードを上記直流電源の負極から上記双方向スイッチの負極に導通するように接続し、上記第二の電流環流手段は、上記第三のダイオードを上記第二の双方向スイッチの正極から上記直流電源の正極に導通するように接続し、上記第四のダイオードを上記直流電源の負極から上記双方向スイッチの負極に導通するように接続して成る。
【0024】
(11)上記双方向スイッチのスイッチング素子は、自己消弧可能なスイッチング素子である。
【0025】
(12)上記DC−DCコンバータの負荷はX線管とし、このDC−DCコンバータを用いてインバータ式X線高電圧装置を構成する。
【0026】
このように構成されたDC−DCコンバータは、補助回路の双方向スイッチの不意の遮断(オン状態からオフにすること)による過電圧を発生させることなく上記双方向スイッチの破壊を防止することができ、これをX線高電圧装置に適用することにより電力変換効率の向上、安全性、信頼性のを向上を図ることが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0028】
(実施例1)
図1は、本発明によるDC−DCコンバータをインバータ式X線高電圧装置に適用した第1の実施例を示す回路構成図である。このDC-DCコンバータを用いたX線高電圧装置は、商用電源を直流に変換するコンバータからの直流電圧をインバータ回路を用いて交流電圧に変換し、その出力を昇圧した後にこれを整流して直流の高電圧をX線管に印加してX線を放射するものであり、直流電源1と、インバータ4と、リアクトル5及びコンデンサ6と、高電圧変圧器7と、高電圧整流器8と,負荷としてのX線管17と、位相決定回路18及び位相制御回路19と、IGBT駆動回路21(21a〜21h)とを有して成り、共振型インバータ式X線高電圧装置と呼ばれるものである。
【0029】
次に上記構成要素のそれぞれの機能について簡単に説明する。直流電源1は、直流電圧を供給する装置であり、50Hzまたは60Hzの商用の交流電源の電圧を整流した後の直流電圧あるいはバッテリィなどから供給される直流電圧であるが、図1においては便宜上左右対称に二つずつの電源電圧E/2を図示している。
【0030】
インバータ4は、直流電圧を受電して高周波の交流電圧に変換すると共に出力の制御を行うもので、上記直流電源1の正極に接続された第一のスイッチとしてのIGBT20a及びその負極に接続された第二のスイッチとしてのIGBT20bから成る第一の直列接続体と上記正極に接続された第三のスイッチとしてのIGBT20c及び第四のスイッチとしてのIGBT20dから成り上記第一の直列接続体に並列接続された第二の直列接続体と上記各IGBT20a〜20dにそれぞれ逆並列接続された第一〜第四のダイオード3a〜3dとから成る。なお、上記各IGBT20a〜20dは、それぞれ駆動信号を与えることによってターンオン/オフするようになっている。そして、第一のIGBT20aと第一のダイオード3aとで第一のアーム10aを、第二のIGBT20bと第二のダイオード3bとで第二のアーム10bを、第三のIGBT20cと第三のダイオード3cとで第三のアーム10cを、第四のIGBT20dと第四のダイオード3dとで第四のアーム10dとが各々構成されている。そして、上記第一〜第四のIGBT20a〜20dには、ロスレススナバ回路として用いるコンデンサ22a〜22dがそれぞれ並列に接続されると共に、第一及び第二のIGBT20aと20bの接続点と直流電源1の中性点(電位E/2)との間、並びに第三及び第四のIGBT20cと20dの接続点と上記直流電源1の中性点との間のそれぞれに第一の補助回路27a及び第二の補助回路27bとが接続されている。上記第一の補助回路27aとしては、直流電源1の中性点にリアクトル23aの一端が接続され、そのリアクトル23aのもう一方の一端には補助スイッチとしてのIGBT24a1,24a2とこれに逆並列接続したダイオード25a1,25a2との組を二つ逆向きに直列接続した双方向スイッチ26aを直列接続すると共にその双方向スイッチ26aのもう片方の一端を第一及び第二のIGBT20a,20bの接続点に接続してある。
一方、第二の補助回路27bの構成も第一の補助回路27aと同様である。
【0031】
上記インバータ4の出力側にはリアクトル5が接続されると共に、このリアクトル5にはコンデンサ6が直列接続されている。そして、このリアクトル5のインダクタンスとコンデンサ6のキャパシタンスとで共振回路を構成している。上記リアクトル5及びコンデンサ6には高電圧変圧器7が接続されており、この変圧器7で前記インバータ4からの出力電圧を昇圧すると共に、その出力を絶縁している。整流器8は、上記変圧器7からの出力電圧を全波整流して直流に変換するもので、4つのダイオード11a〜11dから成る。さらに、上記整流器8の出力側には、X線管17が負荷として接続されている。また、符号12は,上記整流器8の出力電圧をX線管17に印加するための高電圧ケーブルの静電容量を示しており、上記整流器8からの出力を平滑する作用がある。なお、高電圧変圧器7の漏れインダクタンスとコンデンサ6のみで共振動作が可能であればリアクトル5は必ずしも必要ではない。
さらにコンデンサ6は高電圧変圧器7の漏れインダクタンスの影響で高周波の電流が上記高電圧変圧器7の巻線に十分に流れないことを改善する目的で挿入してあり、その必要のない場合は挿入しなくてもよい。
【0032】
そして、位相決定回路18及び位相制御回路19は、上記X線管17に印加する電圧及びX線管17に流す電流の設定信号に応じて上記第一〜第四のIGBT20a〜20dのオン/オフのタイミングを制御する信号を生成する手段となるもので、位相決定回路18は管電圧設定信号S1及び管電流設定信号S2によって各スイッチとしてのIGBT20a〜20dの動作位相を決めるものであり、位相制御回路19は上記位相決定回路18からの出力信号S3に応じて上記IGBT20a〜20dが動作する位相を制御する信号及び補助スイッチとしてのIGBT24a1,24a2,24b1,24b2のオン/オフのタイミングを制御する信号を、図示省略のコントローラから入力するX線曝射信号S4が入力された際に出力するものである。なお、符号21a〜21hは、上記位相制御回路19から出力される各制御信号に従ってそれぞれスイッチとしてのIGBT20a〜20d及び補助スイッチとしてのIGBT24a1,24a2,24b1,24b2を駆動する駆動回路である。
【0033】
ここで、本発明においては、上記第一の補助回路27a中のリアクトル23aと双方向スイッチ26aとの接続点に第一の保護ダイオード28aのアノード側と第二の保護ダイオード28bのカソード側とを共に接続し上記第一の保護ダイオード28aのカソード側を直流電源1の正極に接続し且つ上記第二の保護ダイオード28bのアノード側を直流電源1の負極に接続し、さらに第二の補助回路27b中のリアクトル23bと双方向スイッチ26bとの接続点に第三の保護ダイオード28cのアノード側と第四の保護ダイオード28dのカソード側とを共に接続し上記第三の保護ダイオード28cのカソード側を直流電源1の正極に接続し且つ上記第四の保護ダイオード28dのアノード側を直流電源1の負極に接続した構成としている。
【0034】
続いて、このように構成されたDC−DCコンバータの動作について説明する。
本発明による回路方式の補助スイッチとしてのIGBT24a1,24a2,24b1,24b2がゼロ電圧スイッチングを行う通常の(基本的)動作については,上記図16に示した回路(R.W.De Doncker,et al :“The AuXillary Resonant Commutated Pole Converter”,IEEE-IAS(1990)、pp.1228-1235)と同様であり、上述した保護ダイオード28a〜28dは通常動作に影響を与えない。ここで、補助スイッチとしてのIGBT24a1,24a2,24b1,24b2は、その動作条件に応じてソフトスイッチングが実現可能な最小限の補助電流をスイッチとしてのIGBT20a〜20dに供給するよう制御される(補助電流Iaの波形は図16に示している)。
【0035】
この補助スイッチとしてのIGBT24a1,24a2,24b1,24b2のオン/オフのタイミングは,位相決定回路18によって決定されたスイッチとしてのIGBT20a〜20dのオン/オフのタイミングを基準として、その前後にある一定の期間△t(ソフトスイッチングするために必要な最小限の期間)を設け、この△tの期間のみに補助スイッチとしてのIGBT24a1,24a2,24b1,24b2をオンさせることによりソフトスイッチングを可能とする。
【0036】
ここで,何らかの原因、例えば直流電源1の変動によりその中性点の電位が正確にE/2ではなくなり、補助電流の増加時と減少時とでその傾き(時間変化率)の絶対値が異なった場合を想定し、左側の補助回路27aの動作を考える。上記図15の回路動作によれば図16に示すような、補助スイッチ24a1,24a2はゼロ電流スイッチングは実現できず、ある値の電流を遮断するすることとなり、補助電流は図17のように非常に早い傾きを持つ。そうすると、リアクトル23aの両端には非常に高い電圧が発生する。例えばリアクトル23aのインダクタンスの値が10μH、遮断電流値が50A、補助スイッチのターンオフ時間を0.5μsとすれば,リアクトル23aの両端に発生する電圧Vaは、
となる。このような場合、リアクトル23aの一方の接続点である直流電源1の中性点の電位は比較的安定した電位であると見なすと、もう一方の接続点すなわちリアクトル23aと双方向スイッチ26aとの接続点の電位が非常に高く(あるいは非常に低く)なってしまう。
【0037】
これによって、保護ダイオード28a〜28dを設けていない従来の回路では、上記高電圧によって、双方向スイッチ26a,26bの両端には高い電圧が発生し、これが補助スイッ24a1,24a2,24b1,24b2あるいはダイオード25a1,25a2,25b1,25b2の耐圧を越える場合にはそれらが破壊されるものであった。さらに、装置の異常処理時等において第一〜第四のスイッチとしてのIGBT20a〜20d及び補助スイッチとしてのIGBT24a1,24a2,24b1,24b2を遮断しなければならなくなった際、最悪の場合には、補助電流がピーク値となった時にその電流を遮断する場合があり得る。このような場合には、さらに高い電圧がリアクトル23a,23bに発生してしまい、やはり補助スイッチ24a1,24a2,24b1,24b2やダイオードが破壊されてしまう。
【0038】
しかしながら、本発明の図1の実施例によれば、上記のように補助電流値がゼロでない時にその電流を遮断したとしても、保護ダイオード28a〜28dの効果により補助スイッチとしてのIGBT24a1,24a2,24b1,24b2あるいはダイオード25a1,25a2,25b1,25b2にかかる高電圧を抑制することが可能となり、装置の信頼性を高めることができるが、このことを図2を用いて説明する。ここでは,左側の補助回路27aについて、まず補助リアクトル23aに図示のように右方向に電流が流れている時にその電流を遮断する場合について考える。リアクトル23aの電流値(すなわち補助電流値)がIaの時にこの電流が遮断され、リアクトル23aの両端にはVaという高電圧が発生したとすると、直流電源1の中性点の電位はほぼ固定された電位と考えるとダイオード28aとダイオード28bとの接続点(以下接続点Pとする)の電位Epはほぼ,
Ep=E/2+Va
となる。
この時Vaが十分大きく、
Ep>E
となった時、保護ダイオード28aに順バイアスがかかって導通し、その電流は直流電源1に回生される(図2(a))。従って、リアクトル23aの両端の電圧が上昇する僅かな期間、すなわち補助電流遮断時からEp≦Eとなっている期間だけ双方向スイッチ27aの両端に電圧がかかることとなるが、双方向スイッチ27aの両端にかかる電圧の値はせいぜい直流電源の電圧程度しか発生しないことになる。また補助電流の方向が逆(左向き)の場合もこれと同様であり、接続点Pの電位であるEpが、
Ep=E/2−Va<0
となった時点で保護ダイオード28bが導通することにより、双方向スイッチ27aの過電圧が防止可能となる(図2(b))。
【0039】
また、上記補助回路のリアクトルと双方向スイッチの配置を入れ替えたとしても、補助電流の遮断時には図3に示すような経路で電流が流れることで補助スイッチの破壊は防止でき、本発明の目的は達せられる。
【0040】
図4は、図1の回路の変形例で、補助リアクトルに流れている電流を環流させるダイオード28a,28cを配置替えし、新たにダイオード28b’,28d’を設けたものである。すなわち、左側の補助回路27a及び電流環流回路について説明すると、 図1の回路のダイオード28aを双方向スイッチ26aのダイオード25a1と25a2の接続点と直流電源1の正極に接続し、第一のアーム10aと第二のアーム10bとの接続点に接続された双方向スイッチ26aとの接続点と直流電源1の負極間に新たにダイオード28b’を接続したものである。
【0041】
このような構成の回路においも、通常の動作及び補助リアクトルに流れている電流を環流される動作は上記図1と同じで、これに加えて、さらに図4の実施例では第一のアーム10aと第二のアーム10bとの接続点と双方向スイッチ26a間の配線に含まれているインダクタンス(以下、単に配線インダクタンスと呼ぶ)に流れている電流も還流させることができる。
【0042】
すなわち、
(1)補助リアクトルに流れている電流の環流経路
1)図4の右方向に流れている場合
補助リアクトル23a→ダイオード25a1→ダイオード28a→直流電源1→補助リアクトル23a
2)図4の左方向に流れている場合
補助リアクトル23a→直流電源1→ダイオード28b→補助リアクトル23a
【0043】
(2)配線インダクタンスに流れている電流の環流経路
1)図4の右方向に流れている場合
配線インダクタンス→ダイオード3a→直流電源1→ダイオード28b’→配線インダクタンス
2)図4の左方向に流れている場合
配線インダクタンス→ダイオード25a2→ダイオード28a→直流電源1→ダイオード3b→配線インダクタンス
となる。なお、直流電源1の中性点と双方向スイッチ間の配線のインダクタンスについては特に言及しなかったが、これは補助リアクトル23aに含めて考えれば良く、また補助電流の遮断時には上記(1),(2)で説明したような経路で電流が流れるので、補助回路のリアクトルと双方向スイッチの配置を入れ替えても良い。
【0044】
右側の補助回路27b及び電流環流回路についても上記左側の回路と同様であるので、これについては省略する。以上の図1,図4を基本として変形した各種の回路例を図5〜図7に示す。なお、上記したように、補助回路は右側、左側共に同様に動作するので、ここでは右側の補助回路のみを示す。
【0045】
(1)図5(a)は、補助回路の双方向スイッチを図1の双方向スイッチ26aのIGBT24a1,24a2とダイオード25a1,25a2の極性を逆にして構成したもので、このように双方向スイッチを構成しても動作は図1の双方向スイッチと同じである。
(2)図5(b)は、図1の回路における補助回路のリアクトル23aを第一のアーム10aと第二のアーム10bとの接続点と双方向スイッチ26aとの間に接続し、前記リアクトル23aの電流をダイオード28aと28bに環流させる回路である。
(3)図5(c)は、補助回路の双方向スイッチ26aを図5(a)のように構成し、リアクトル23aと環流ダイオード28a,28bを図5(b)と同じに配置した回路である。
(4)図5(d)は、図1の回路の第一のアーム10aと第二のアーム10bとの接続点と双方向スイッチ26aとの間に環流ダイオード28a’,28b’を設け、これらのダイオードによって前記第一のアーム10aと第二のアーム10bとの接続点と双方向スイッチ26a間に存在する配線のインダクタンス29aに流れている電流を環流させる経路を形成した回路である。
(5)図6(e)は、前記図5(d)の補助回路の双方向スイッチ26aを図5(a)のように構成したものである。
(6)図6(f)は、図4の回路における第一のアーム10aと第二のアーム10bとの接続点と双方向スイッチ26a間に存在する配線のインダクタンス29aを考慮したもので、このように構成することによって配線のインダクタンス29aに流れている電流を環流させることができる。
(7)図6(g)は、図6(f)の回路を変形したもので、該回路の双方向スイッチ26aを図5(a)のように構成し、この双方向スイッチ26aのIGBT24a1と24a2の接続点と直流電源の負極間に環流ダイオード28bを接続し、前記双方向スイッチ26aの両端と直流電源の正極間にそれぞれ環流ダイオード28a,28a’を接続したものである。このように構成してもその動作は図6(f)の回路と同じである。
(8)図6(h)は、図6(f)の回路から環流ダイオート28b’を除去した回路で、これは配線のインダクタンス29aが非常に小さく、この配線のインダクタンス29aに流れている電流を遮断時に発生する電圧が双方向スイッチ26aを構成する素子の定格電圧以下の場合に適用できる。
(9)図7(i)は、図6(g)の回路から環流ダイオート28a’を除去した回路で、これは配線のインダクタンス29aが非常に小さく、この配線のインダクタンス29aに流れている電流を遮断時に発生する電圧が双方向スイッチ26aを構成する素子の定格電圧以下の場合に適用できる。
(10)図7(j)は、図6(f)の回路において、補助回路のリアクトル23aを第一のアーム10aと第二のアーム10bとの接続点と双方向スイッチ26aとの間に接続し、環流ダイオート28bを除去したものである。これは、直流電源と補助回路間が非常に短く、部品配置の自由度を確保したい場合に有効である。
(11)図7(k)は、図6(g)の回路において、補助回路のリアクトル23aを第一のアーム10aと第二のアーム10bとの接続点と双方向スイッチ26aとの間に接続し、環流ダイオート28aを除去したものである。これは、直流電源と補助回路間が非常に短く、部品 配置の自由度を確保したい場合に有効である。
【0046】
このように、本発明の第1の実施例によれば、補助スイッチの遮断時に補助リアクトルに流れていた電流を還流させる手段、すなわち、上記実施例ではダイオード28a,28a’,28b,28b’,28c,28d,28d’を設けることによって、前記補助スイッチの遮断によって発生する過電圧を抑制して補助スイッチとしてのIGBT24a1,24a2,24b1,24b2あるいはダイオード25a1,25a2,25b1,25b2の破壊を防止することができる。
【0047】
そして、このDC−DCコンバータを負荷範囲の非常に広い(負荷抵抗にして104倍も変化する)X線高電圧装置に用いることによって、全ての負荷条件において常にスイッチングノイズ及びスイッチング損失の少ない効率のよい動作が可能になるという点で大きなメリットがある。
【0048】
(実施例2)
図8は、本発明によるDC−DCコンバータをインバータ式X線高電圧装置に適用した第2の実施例を示す回路構成図である。
【0049】
この図8に示す第2の実施例のDC−DCコンバータを用いたインバータ式X線高電圧装置は、上記第1の実施例の各回路の補助回路が異なるのみで、他は同一であるので、ここでは異なる部分についてのみ説明する。補助回路の双方向スイッチには、図9に示す双方向スイッチを用い、この双方向スイッチ42a,42bの正極から前記直流電源の正極の方向に導通するようにダイオード28a,28cを接続し、前記直流電源の負極から前記双方向スイッチの負極の方向に導通するようにダイオード28b,28dを接続したものである。
【0050】
先ず、図8の回路を説明する前に図9の双方向スイッチについて説明する。
図9の双方向スイッチは、同図(a)に示すように4つのダイオード41a1〜41a4から成る全波整流回路の正極と負極間に順方向に一つのスイッチ40a1を接続したものである。この構成の双方向スイッチは、図9(b)に示すような電流経路を形成し、双方向スイッチとして動作する。このような双方向スイッチを設けることによって、スイッチは一つとなり、回路を簡素化できる。
【0051】
図8において、第1の補助回路43aとしては、直流電源1の中性点にリアクトル23aの一端が接続され、そのリアクトル23aのもう一方の一端には、補助スイッチとしてのIGBT40a1とフルブリッジに組んだダイオード41a1,41a2,41a3,41a4とを組み合わせた双方向スイッチ42aの前記ダイオード41a1と41a2との接続点に接続すると共にその双方向スイッチ42aのもう一方の一端(ダイオード41a3 と41a4との接続点)を第一のアーム10aと第二のアーム10bとの接続点に接続する。一方、第二の補助回路43bも前記第一の補助回路と同様に構成され、直流電源1の中性点にリアクトル23bの一端が接続され、そのリアクトル23bのもう一方の一端には補助スイッチとしてのIGBT40b1とフルブリッジに組んだダイオード41b1,41b2,41b3,41b4とを組み合わせた双方向スイッチ42bの前記ダイオード41b1と41b2との接続点に接続すると共にその双方向スイッチ42bのもう一方の一端(ダイオード41b3と41b4との接続点)を第三のアーム10aと第四のアーム10bとの接続点に接続する。
【0052】
続いて、このように構成されたDC−DCコンバータの動作について説明する。
この第2の実施例による回路方式の補助スイッチとしてのIGBT40a1,40b1がゼロ電圧スイッチングを行う通常の(基本的)動作は、上記第1の実施例と同様に、補助回路のリアクトル23a,23bに流れている電流を環流させる保護ダイオード28a〜28dは通常動作に影響を与えない。ここで、補助スイッチとしてのIGBT40a1,40b1は,その動作条件に応じてソフトスイッチングが実現可能な最小限の補助電流をスイッチとしてのIGBT20a〜20dに供給するように制御される(補助電流Iaの波形は図16に示している)。これらの補助スイッチとしてのIGBT40a1,40b1のオン/オフのタイミングは、位相決定回路18によって決定されたスイッチとしてのIGBT20a〜20dのオン/オフのタイミングを基準として、その前後にある一定の期間△t(ソフトスイッチングするために必要な最小限の期間)を設け、この△tの期間のみに補助スイッチとしてのIGBT40a1,40b1をオンさせることによりソフトスイッチングを可能とする。
【0053】
ここで、何らかの原因、例えば直流電源1の変動によりその中性点の電位が正確にE/2ではなくなり、補助電流の増加時と減少時とでその傾き(時間変化率)の絶対値が異なった場合は、図18に示したように、補助スイッチ40a1,40b1はゼロ電圧スイッチングは実現できず、ある値の電流を遮断するすることとなり、補助電流は図18のように非常に早い傾きを持つ。そうすると、リアクトル23a,23bの両端には、上記第1の実施例で述べたと同様の非常に高い電圧が発生するが、上記のように補助電流値がゼロでない時にその電流を遮断したとしても、保護ダイオード28a〜28dの効果により補助スイッチとしてIGBT40a1,40b1あるいはダイオード41a1〜41a4,41b1〜41b4に印加される高電圧を抑制することが可能となり、上記補助回路のスイッチやダイオード等の破損を未然に防いで装置の信頼性を高めることができる。これについて図10を用いて説明する。ここでは、左側の補助回路43aについて、まず補助リアクトル23aに図10(a)に示すように、右方向に電流が流れている時にその電流を遮断する場合について考える。リアクトル23aの電流値(すなわち補助電流値)がIaの時にこの電流が遮断され、リアクトル23aの両端にはVaという高電圧が発生したとすると、直流電源1の中性点の電位はほぼ固定された電位と考えると、ダイオード41a1とダイオード41a2との接続点(以下接続点Qとする)の電位Eqはほぼ、
Eq=E/2+Va
となる。この時Vaが十分大きく、
Eq>E
となった時、双方向スイッチのダイオード41a1と保護ダイオード28aは順バイアス状態となって導通し、その電流は直流電源1に回生される(図10(a))。従って、リアクトル23aの両端の電圧が上昇する僅かな期間、すなわち補助電流遮断時からEq≦Eとなっている期間だけ双方向スイッチ42aの両端に電圧がかかることとなる。しかも、その際、双方向スイッチ42aの両端にかかる電圧の値は直流電源の電圧と同程度である。また、補助電流の方向が逆(左向き)の場合も上記と同様に,接続点Qの電位であるEqが、
Eq=E/2−Va<0
となった時点で、図10(b)に示すように、双方向スイッチのダイオード41a2と保護ダイオード28bが導通して、双方向スイッチ42aに印加される電圧を直流電源電圧と同程度に抑えることができる。
【0054】
なお、補助回路を形成するための各部品を接続する配線にはインダクタンス成分が存在するが、本発明による上記図8の第2の実施例ではこの配線のインダクタンスによって発生する過電圧も抑制する。図11はこれを説明するための全体の回路構成図で、左側の補助回路の23aは補助リアクトルで、これには直流電源と双方向スイッチ42a間の配線のインダクタンスも含むものとする。一方、双方向スイッチ42aと第一の直列接続体間の配線のインダクタンスによるリアクトルを29aとする。同様に、右側の補助回路の23bは補助リアクトルで、これには直流電源と双方向スイッチ42b間の配線のインダクタンスも含むものとする。一方、双方向スイッチ42bと第二の直列接続体間の配線のインダクタンスによるリアクトルを29bとする。次に、このように構成された補助回路に発生する過電圧を抑制する動作について図12を用いて説明する。
【0055】
先ず、左側の補助回路43aについて、補助リアクトル23a(配線のインダクタンス成分によって形成されるリアクトルも含む)及び双方向スイッチ42aと第一の直列接続体間の配線のインダクタンスによるリアクトル29aに、図12(a)に示すように右方向に電流が流れている時にその電流を遮断した場合は、保護ダイオード28aと双方向スイッチ42aのダイオード41a1は順バイアス状態となって導通し、リアクトル23a→ダイオード41a1→ダイオード28a→直流電源E/2の経路の第一の環流回路が形成されて前記リアクトル23aの電流は環流する。
【0056】
これと同時に、ダイオード28b,41a4,3aが順バイアス状態となって導通し、リアクトル29a→ダイオード3a→直流電源E/2→直流電源E/2→ダイオード28b→ダイオード41a4の経路の第二の環流回路が形成されて前記リアクトル29aの電流は環流する。
【0057】
同様に、補助リアクトル23a(配線のインダクタンス成分によって形成されるリアクトルも含む)及び双方向スイッチ42aと第一の直列接続体間の配線のインダクタンスによるリアクトル29aに、図12(b)に示すように左方向に電流が流れている時にその電流を遮断した場合は、保護ダイオード28bと双方向スイッチ42aのダイオード41a2は順バイアス状態となって導通し、リアクトル23a→直流電源E/2→ダイオード28b→ダイオード41a2の経路の第三の環流回路が形成されて前記リアクトル23aの電流は環流する。
【0058】
これと同時に、ダイオード28a,3b,41a3が順バイアス状態となって導通し、リアクトル29a→ダイオード41a3→ダイオード28a→直流電源E/2→直流電源E/2→ダイオード3bの経路の第四の環流回路が形成されて前記リアクトル29aの電流は環流する。
【0059】
以上のように、第一〜第四の環流回路が形成されて補助回路の各リアクトルに流れていた電流は上記回路を環流することになるので、補助回路には高電圧は発生することがなくなり、したがって補助回路部品の破損を未然に防ぐことができる。
以上の図8,図11を基本として変形した各種の回路例を図13(a)〜(d)に示す。なお、上記したように、補助回路は右側、左側共に同様に動作するので、ここでは右側の補助回路のみを示す。
【0060】
(1)図13(a)は、図8の回路における補助回路のリアクトル23aを第一のアーム10aと第二のアーム10bとの接続点と双方向スイッチ42aとの間に接続し、前記リアクトル23aの電流をダイオード28aと28bに環流させる回路である。
【0061】
(2)図13(b)は、図8の回路における補助回路のリアクトル23aを第一のアーム10aと第二のアーム10bとの接続点と双方向スイッチ42aとの間に接続し、双方向スイッチ42aとリアクトル23aとの接続点と直流電源の正極,負極間に環流ダイオード28a,28bを設けて、リアクトル23aの電流を環流させる。この回路は、直流電源と双方向スイッチ42a間の配線のインダクタタンスが非常に小さい場合に回路の簡略化に有効である。
【0062】
(3)図13(c)は、図8の回路において、環流ダイオード28a,28bを補助回路のリアクトル23aと双方向スイッチ42aとの接続点と直流電源の正極、負極間に設けた回路で、第一のアーム10aと第二のアーム10bとの接続点と双方向スイッチ42aとの間の配線のインダクタンスが小さい場合に、回路の簡略化に有効である。
【0063】
(4)図13(d)は、図11の回路において、環流ダイオードを双方向スイッチ42aの交流端に設けた場合である。すなわち、補助リアクトル23aと双方向スイッチ42aの接続点と直流電源の正極、負極間に環流ダイオード28a,28bを、第一のアーム10aと第二のアーム10bとの接続点と双方向スイッチ42aのもう一方の交流端との接続点と直流電源の正極、負極間に環流ダイオード28a,28bを設けたもので、このようにしても図11と同様に、第一のアーム10aと第 二のアーム10bとの接続点と双方向スイッチ42aとの間の配線のインダクタンスに流れる電流も環流させることができる。
【0064】
このように、本発明の第2の実施例によれば、補助スイッチの遮断時に補助リアクトルに流れていた電流を還流させる手段、すなわち、上記実施例ではダイオード28a,28a’,28b,28b’,28c,28dを設けることによって、前記補助スイッチの遮断によって発生する過電圧を抑制して補助スイッチとしてのIGBT40a1,40b1あるいはダイオード41a1〜41a4,41b1〜41b4の破壊を防止することができる。
【0065】
そして、このDC−DCコンバータを負荷範囲の非常に広い(負荷抵抗にして104倍も変化する)X線高電圧装置に用いることによって、全ての負荷条件において常にスイッチングノイズ及びスイッチング損失の少ない効率のよい動作が可能になるという点で大きなメリットがある。
【0066】
以上のように、補助回路を構成する以下に述べる、双方向スイッチの形態、双方向スイッチと補助リアクトルの配置、電流を還流させる手段の組み合わせによって種々の回路が構成できる。
【0067】
(1)双方向スイッチの形態
1)4つのダイオードから成る全波整流回路とこの全波整流回路の正極と負極との間にスイッチング素子を接続した双方向スイッチで、これを1S4D型と呼ぶことにする。この双方向スイッチは、スイッチング素子を1つで構成できるため、スイッチング素子及びこれを駆動するドライブ回路を含めて小型,安価にできる。
【0068】
2)スイッチング素子とこのスイッチング素子に逆並列に接続されたダイオードから成る二組みの接続体をこの接続体のスイッチング素子の負極同士を直列に接続した双方向スイッチで、これを2S2D(E)型と呼ぶことにする。この2S2D型は自己消弧スイッチ動作ができるためにスイッチング時のタイミングをとることが容易で、流れる電流の向きによって2つのスイッチを交互に動作できるため、スイッチの動作周波数を半分にできる。
【0069】
3)スイッチング素子とこのスイッチング素子に逆並列に接続されたダイオードから成る二組みの接続体をこの接続体のスイッチング素子の正極同士を直列に接続した双方向スイッチで、これを2S2D(C)型と呼ぶことにする。この2S2D(C)型は二つのスイッチング素子を駆動するドライブ回路を共有できるというメリットがある。
【0070】
(2)双方向スイッチと補助リアクトルの配置
1)補助リアクトルを直流電源の中性点側に接続する場合で、これを直流側リアクトル型と呼ぶことにする。補助回路のスイッチ群をまとめて配置することができ、配線実装の点で有利である。
【0071】
2)補助リアクトルをインバータ回路の主スイッチの中点に接続した場合で、これをスイッチ側リアクトル型と呼ぶことにする。補助回路のスイッチの一端を安定した電位に固定できる。
【0072】
3)補助リアクトルを直流電源の中性点とインバータ回路の主スイッチの中点の双方に設けた場合で、これを双方リアクトル型と呼ぶことにする。双方に存在する場合とは、補助リアクトルの外に、配線のインダクタンスなどのように、寄生的に回路に存在するインダクタンスを含み、これが補助スイッチを遮断した時に問題となるような過電圧を発生する場合である。
【0073】
(3)電流を還流させる手段
1)主にリアクトルに流れる電流を還流させるために、リアクトルの一端を直流電源の正負極に接続する方法で、これをリアクトルクランプ型と呼ぶことにする。これは回路図的にわかりやすいという特徴がある。
【0074】
2)主にリアクトルに流れる電流を補助スイッチによって遮断した場合に発生する該補助スイッチのスイッチング素子に印加される高電圧をクランプする様に、前記リアクトルに流れている電流を前記スイッチング素子の正極側から直流電源の正極側に、直流電源の負極側からスイッチング素子の負極側に環流するように環流用ダイオードを配置する方法で、これをスイッチクランプ型と呼ぶことにする。この環流手段はより少ないクランプダイオードで、確実にスイッチング素子を保護できるという特徴がある。
以上の双方向スイッチの種類,双方向スイッチと補助リアクトルの配置及び電流を還流させる手段別に整理すると図14のようになる。
【0075】
なお、上記第一及び第二の実施例では、第一から第四のスイッチのオン,オフのタイミングを制御する手段として、特開昭63-190556号公報に開示されている位相シフトPWM制御を適用した例について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、負荷に印加する電圧及び負荷に流す電流の設定信号に応じて上記第一から第四のスイッチの動作周波数を制御する方法、あるいは周波数と位相を併用して制御する方法や、コンデンサ6が不要な非共振形などにも適用できる。
【0076】
また、上記実施例においては,ソフトスイッチングを実現するための補助回路としてリアクトルと双方向スイッチとを直列接続したものを第一の直列接続体及び第二の直列接続体の両方に対して設けたが、各アーム10a〜10dの電流波形に応じて、どちらか片方をリアクトル23aあるいは23bだけの補助回路としてもよいし、またどちらか一方の補助回路を取り除いてもソフトスイッチングが可能な場合にはそのようにしても構わない。さらに、上記実施例においては、第一〜第四のスイッチ20a〜20d及び補助スイッチ24a1,24a2,24b1,24b2,40a1,40b1等にIGBTを用いたが、ここには適用する装置の仕様に合わせてMOSFETやバイポーラトランジスタ等他のスイッチング素子を利用することも可能である。
【発明の効果】
以上、本発明によれば、ソフトスイッチングDC−DCコンバータの電源やこの電源を用いたシステムの異常時等に該ソフトスイッチングDC−DCコンバータの補助回路の電流がゼロでない時にその電流を遮断する際の過電圧を抑制して前記補助回路の双方向スイッチを保護できるので、DC−DCコンバータ及びこれを用いたX線高電圧装置を高効率で安全性,信頼性の高いものにできるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるDC−DCコンバータをインバータ式X線高電圧装置に適用した第1の実施例を示す回路構成図。
【図2】図1の回路の動作説明図(補助リアクトルを直流電源側に接続した場合)。
【図3】図1の回路の動作説明図(補助リアクトルをインバータ回路のスイッチ側に接続した場合)。
【図4】図1の回路を変形した回路構成図。
【図5】図1、図4の回路を変形した回路図。
【図6】図1、図4の回路を変形した回路図。
【図7】図1、図4の回路を変形した回路図。
【図8】本発明によるDC−DCコンバータをインバータ式X線高電圧装置に適用した第2の実施例を示す回路構成図。
【図9】図8に用いた双方向スイッチの回路図とその動作説明図。
【図10】図8の回路の動作説明図。
【図11】補助回路の配線のインダクタンスを考慮した図8の回路の変形例を示す図。
【図12】図11の回路の動作説明図。
【図13】図8,図11の回路を変形した回路図。
【図14】双方向スイッチの種類,双方向スイッチと補助リアクトルの配置及び電流を還流させる手段別に整理した回路図番号。
【図15】従来のDC−DCコンバータを示す回路図。
【図16】図15の従来のDC−DCコンバータに補助スイッチを設けた従来の回路図。
【図17】図15の従来回路,あるいは図1,図8の本発明の実施例に示した回路の動作(通常の動作)を説明するためのタイミング線図。
【図18】図15の従来回路で電源電圧の変動があった場合の動作を説明するタイミング線図。
【符号の説明】
1…直流電源,3a…第一のダイオード,3b…第二のダイオード,3c…第三のダイオード,3d…第四のダイオード,4…インバータ,5…リアクトル,6…コンデンサ,7…変圧器,8…整流器,17…負荷としてのX線管,18…位相決定回路,19…位相制御回路,20a〜20d…スイッチとしてのIGBT,21a〜21h…IGBT駆動回路,22a〜22d…ロスレススナバ回路としてのコンデンサ,23a…第一のリアクトル,23b…第二のリアクトル,24a1,24a2,25a1,25a2…第一の双方向スイッチ26aを構成するIGBTとダイオード,24b1,24b2,25b1,25b2……第二の双方向スイッチ26bを構成するIGBTとダイオード,27a…第一の補助回路,27b…第二の補助回路,28a…保護ダイオード,28b,28b`…保護ダイオード,28c…保護ダイオード,28d,28d`…保護ダイオード,29a,29bc…配線のインダクタンス成分によるリアクトル,40a1,40a2,41a1,41a2,41a3,41a4…IGBTとダイオードとから成る双方向スイッチ,40b1,40b2,41b1,41b2,41b3,41b4…IGBTとダイオードとから成る双方向スイッチ
Claims (11)
- 直流電源と、スイッチング素子の電圧を略ゼロにして該スイッチング素子をターンオン及びターンオフさせるゼロ電圧スイッチング手段を備え、このゼロ電圧スイッチング手段により前記スイッチング素子をターンオン及びターンオフさせて前記直流電源の電圧を交流電圧に変換するインバータと、このインバータの出力側に接続された変圧器と、この変圧器の出力を直流に変換する整流器と、この整流器の出力側に接続された負荷と、この負荷に印加する電圧及び負荷に流す電流の設定信号に応じて上記インバータのスイッチング素子のターンオン、ターンオフのタイミングを制御する手段とを有して成るDC−DCコンバータにおいて、
上記インバータは、上記直流電源の正極に接続された第一のスイッチ及びその負極に接続された第二のスイッチから成る第一の直列接続体を有すると共に上記正極に接続された第三のスイッチ及びその負極に接続された第四のスイッチから成り上記第一の直列接続体に並列接続された第二の直列接続体を有し且つ上記第一から第四のスイッチにそれぞれ逆並列接続された第一から第四のダイオード及びコンデンサを有すると共に上記第一及び第二のスイッチのスイッチング素子のターンオン及びターンオフ時に前記第一及び第二のダイオードの順方向に電流を供給する第一の補助電流供給手段と、上記第三及び第四のスイッチのスイッチング素子のターンオン及びターンオフ時に前記第三及び第四のダイオードの順方向に電流を供給する第二の補助電流供給手段と、上記ゼロ電圧スイッチング手段の遮断時にこのゼロ電圧スイッチング手段に流れている電流を環流させる電流環流手段とを備え、
上記第一の補助電流供給手段は、上記第一及び第二のスイッチの接続点と上記直流電源の中性点との間に第一のリアクトルと第一の双方向スイッチとの直列接続体を接続して成り、
上記第二の補助電流供給手段は、上記第三及び第四のスイッチの接続点と上記直流電源の中性点との間に第二のリアクトルと第二の双方向スイッチの直列接続体を接続して成り、
上記電流環流手段は上記第一及び第二の補助電流供給手段に流れている電流を環流させる手段であって、上記第一及び第二の双方向スイッチをオン状態からオフにした時に上記第一及び第二の補助電流供給手段に流れている電流を環流させ、上記第一及び第二の双方向スイッチの両端にかかる電圧を上記直流電源の電圧以下とすることを特徴とするDC−DCコンバータ。 - 上記電流環流手段は、
上記第一のリアクトルと上記第一の双方向スイッチとの接続点に第一のダイオードのアノードと第二のダイオードのカソードとの直列接続体の接続点を接続し、上記第一のダイオードのカソードを上記直流電源の正極に接続し、上記第二のダイオードのアノードを上記直流電源の負極に接続して成る第一の電流環流手段と、
上記第二のリアクトルと上記第二の双方向スイッチとの接続点に第三のダイオードのアノードと第四のダイオードのカソードとの直列接続体の接続点を接続し、上記第三のダイオードのカソードを上記直流電源の正極に接続し、上記第四のダイオードのアノードを上記直流電源の負極に接続して成る第二の電流環流手段とを有して成る請求項1に記載のDC−DCコンバータ。 - 上記電流環流手段は、
上記第一の双方向スイッチの一端に第一のダイオードのアノードと第二のダイオードのカソードとの直列接続体の接続点を接続し、上記第一のダイオードのカソードを上記直流電源の正極に接続し、上記第二のダイオードのアノードを上記直流電源の負極に接続して成る第一の電流環流手段と、
上記第一の双方向スイッチのもう一方の一端に第三のダイオードのアノードと第四のダイオードのカソードとの直列接続体の接続点を接続し、上記第三のダイオードのカソードを上記直流電源の正極に接続し、上記第四のダイオードのアノードを上記直流電源の負極に接続して成る第二の電流環流手段と、
上記第二の双方向スイッチの一端に第五のダイオードのアノードと第六のダイオードのカソードとの直列接続体の接続点を接続し、上記第五のダイオードのカソードを上記直流電源の正極に接続し、上記第六のダイオードのアノードを上記直流電源の負極に接続して成る第三の電流環流手段と、
上記第二の双方向スイッチのもう一方の一端に第七のダイオードのアノードと第八のダイオードのカソードとの直列接続体の接続点を接続し、上記第七のダイオードのカソードを上記直流電源の正極に接続し、上記第八のダイオードのアノードを上記直流電源の負極に接続して成る第四の電流環流手段とを有して成る請求項1に記載のDC−DCコンバータ。 - 上記第一及び第二の双方向スイッチは、それぞれ、スイッチング素子とこのスイッチング素子に逆並列に接続されたダイオードから成る二組みの接続体をこの接続体のスイッチング素子の導通方向が逆になるように直列に接続された接続体で構成して成る請求項1に記載のDC−DCコンバータ。
- 上記第一及び第二の双方向スイッチは、それぞれ、4つのダイオードから成る全波整流回路とこの全波整流回路の正極と負極との間にスイッチング素子を設け、この素子の正極を前記全波整流回路の正極に接続し、該スイッチング素子の負極を前記全波整流回路の負極に接続して成る請求項1に記載のDC−DCコンバータ。
- 上記電流環流手段は、第一から第三までの三つのダイオードを含む第一の電流環流手段と、第四から第六までの三つのダイオードを含む第二の電流環流手段から成り、
上記第一の電流環流手段は、上記第一のダイオードを上記第一の双方向スイッチの二組みの接続体の接続点から上記直流電源の正極に導通するように接続し、上記第二のダイオードを上記直流電源の負極から上記第一の双方向スイッチの一端に導通するように接続し、上記第三のダイオードを上記直流電源の負極から上記第一の双方向スイッチのもう一方の一端に導通するように接続して成り、
上記第二の電流環流手段は、上記第四のダイオードを上記第二の双方向スイッチの二組みの接続体の接続点から上記直流電源の正極に導通するように接続し、上記第五のダイオードを上記第二の双方向スイッチの一端に導通するように接続し、上記第六のダイオードを上記直流電源の負極から上記第二の双方向スイッチのもう一方の一端に導通するように接続して成る請求項4に記載のDC−DCコンバータ。 - 上記電流環流手段は、第一と第二のダイオードを含む第一の電流環流手段と、第三と第四のダイオードを含む第二の電流環流手段とから成り、
上記第一の電流環流手段は、上記第一のダイオードを上記第一の双方向スイッチの二組みの接続体の接続点から上記直流電源の正極に導通するように接続し、上記第二のダイオードを上記直流電源の負極から上記第一の双方向スイッチの一端に導通するように接続し、
上記第二の電流環流手段は、上記第三のダイオードを上記第二の双方向スイッチの二組みの接続体の接続点から上記直流電源の正極に導通するように接続し、上記第四のダイオードを上記直流電源の負極から上記第二の双方向スイッチの一端に導通するように接続して成る請求項4に記載のDC−DCコンバータ。 - 上記電流環流手段は、第一から第三までの三つのダイオードを含む第一の電流環流手段と、第四から第六までの三つのダイオードを含む第二の電流環流手段から成り、
上記第一の電流環流手段は、上記第一と第二のダイオードをそれぞれ上記第一の双方向スイッチの両端から上記直流電源の正極に導通するように接続し、上記第三のダイオードを上記直流電源の負極から上記双方向スイッチの二組みの接続体の接続点に導通するように接続し、
上記第二の電流環流手段は、上記第四と第五のダイオードをそれぞれ上記第二の双方向スイッチの両端から直流電源の正極に導通するように接続し、上記第六のダイオードを上記直流電源の負極から上記双方向スイッチの二組みの接続体の接続点に導通するように接続して成る請求項4に記載のDC−DCコンバータ。 - 上記電流環流手段は、第一と第二の二つダイオードを含む第一の電流環流手段と、第三から第四までの二つのダイオードを含む第二の電流環流手段から成り、
上記第一の電流環流手段は、上記第一のダイオードを上記第一の双方向スイッチの一端から上記直流電源の正極に導通するように接続し、上記第二のダイオードを上記直流電源の負極から上記双方向スイッチの二組みの接続体の接続点に導通するように接続し、
上記第二の電流環流手段は、上記第三のダイオードを上記第二の双方向スイッチの一端から上記直流電源の正極に導通するように接続し、上記第四のダイオードを上記直流電源の負極から上記双方向スイッチの二組みの接続体の接続点に導通するように接続して成る請求項4に記載のDC−DCコンバータ。 - 上記電流環流手段は、第一と第二の二つダイオードを含む第一の電流環流手段と、第三と第四の二つのダイオードを含む第二の電流環流手段から成り、
上記第一の電流環流手段は、上記第一のダイオードを上記第一の双方向スイッチの正極から上記直流電源の正極に導通するように接続し、上記第二のダイオードを上記直流電源の負極から上記双方向スイッチの負極に導通するように接続し、
上記第二の電流環流手段は、上記第三のダイオードを上記第二の双方向スイッチの正極から上記直流電源の正極に導通するように接続し、上記第四のダイオードを上記直流電源の負極から上記双方向スイッチの負極に導通するように接続して成る請求項5に記載のDC−DCコンバータ。 - 請求項1乃至10のいずれか一項に記載のDC−DCコンバータの負荷はX線管であることを特徴とするX線高電圧装置。
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