JP5741345B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
そして、前記排気浄化装置の不活性状態において、前記開閉制御手段は前記吸気弁及び前記排気弁がともに開弁状態となる重複期間を設け、前記燃料噴射制御手段は前記燃料噴射弁からの燃料噴射を前記エンジンの吸気行程中に実施するとともに前記燃料噴射弁から噴射された燃料が少なくとも前記重複期間の発生した後に燃焼室に到達するように前記燃料噴射時期を設定して、前記エンジンの気筒内の空燃比を理論空燃比よりもリッチとする昇温制御を実施することを特徴としている。
(3)前記エンジンの点火時期を制御する点火制御手段を備え、前記点火制御手段は、前記昇温制御において前記エンジンの点火時期をリタードすることが好ましい。
(5)前記スロットル開度制御手段は、前記昇温制御において前記重複期間中の前記吸気ポートの圧力が排気ポートの圧力よりも高くなるように前記スロットルバルブの開度を増大させることが好ましい。
(7)前記排気浄化装置の温度が所定温度以上であるか否かを判定する温度判定手段を備え、前記温度判定手段により前記排気浄化装置の温度が前記所定温度以上であると判定されたら、前記スロットルバルブの開度と前記燃料噴射時期と前記吸気弁及び前記排気弁の前記重複期間とを、前記エンジンへの出力要求に応じた通常の制御とすることが好ましい。
[1−1.エンジン構造]
本実施形態のエンジンの制御装置は、図1に示すポート噴射式のエンジン10に適用される。ここでは、多気筒のエンジン10に設けられた複数のシリンダ(気筒)19のうちの一つを示す。シリンダ19内を往復摺動するピストン16は、コネクティングロッドを介してクランクシャフト17に接続される。
また、吸気ポート11には吸気弁14が設けられ、排気ポート12には排気弁15が設けられる。吸気弁14の開閉駆動により吸気ポート11と燃焼室とが連通又は遮断され、排気弁15の開閉駆動により排気ポート12と燃焼室とが連通又は遮断される。
シリンダ19の周囲には、その内部を冷却水が流通するウォータージャケット40が設けられる。冷却水はエンジン10を冷却するための冷媒であり、ウォータージャケット40とラジエータとの間を環状に接続する冷却水循環路内を流通している。
本エンジン10には、ロッカアーム35,37又はカム36,38の動作を制御する可変動弁機構6が設けられる。可変動弁機構6は、吸気弁14及び排気弁15のそれぞれについて、最大バルブリフト量及びバルブタイミングを個別に、又は、連動させつつ変更する機構である。可変動弁機構6は、ロッカアーム35,37の揺動量及び揺動のタイミングを変更する機構として、可変バルブリフト機構6aと可変バルブタイミング機構6bとを備える。
また、可変バルブタイミング機構6bは、吸気弁14や排気弁15の開閉時期(開閉のタイミング,バルブタイミングともいう)を変更する機構である。この可変バルブタイミング機構6bは、ロッカアーム35,37に揺動を生じさせるカム36,38又はカムシャフトの回転位相を変更する機能を有する。カム36,38又はカムシャフトの回転位相を変更することで、クランクシャフト17の回転位相に対するロッカアーム35,37の揺動のタイミングを連続的にずらすことが可能となる。
吸気ポート11内には、燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)18が設けられる。図1に示すように、インジェクタ18よりも吸気流の上流側には、インテークマニホールド(以下、インマニという)20が設けられる。このインマニ20には、吸気ポート11側へと流れる空気を一時的に溜めるためのサージタンク21が設けられる。サージタンク21よりも下流側のインマニ20は、複数のシリンダ19に向かって分岐するように形成され、その分岐点にサージタンク21が位置する。サージタンク21は、各々のシリンダ19で発生する吸気脈動や吸気干渉を緩和するように機能する。
スロットルボディ23のさらに上流側には、吸気通路25が接続される。また、吸気通路25のさらに上流側にはエアフィルタ28が介装される。これにより、エアフィルタ28で濾過された新気が吸気通路25及びインマニ20を介してエンジン10のシリンダ19に供給される。
クランクシャフト17には、その回転角θCRを検出するクランク角センサ33が設けられる。回転角θCRの単位時間あたりの変化量はエンジン10の実回転数Neに比例する。したがって、クランク角センサ33はエンジン10の実回転数Neを検出する機能を持つものといえる。ここで検出(または演算)された実回転数Neの情報は、エンジン制御装置1に伝達される。なお、クランク角センサ33で検出された回転角θCRに基づき、エンジン制御装置1で実回転数Neを演算する構成としてもよい。以下、エンジン10の実回転数Neのことを単にエンジン回転数Neとも呼ぶ。
この車両には電子制御装置として、エンジン制御装置(Engine Electronic Control Unit)1が設けられる。エンジン制御装置1は、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成され、車両に設けられた車載ネットワーク網の通信ラインを介して他の電子制御装置や可変動弁機構6,各種センサ類と接続される。
エンジン制御装置1には、上記の昇温制御を実施するための機能要素として、エンジン状態判定部1a,スロットル開度制御部1b,バルブタイミング制御部1c,燃料噴射制御部1d,点火制御部1e及び温度判定部1fが設けられる。
また、本実施形態では、排気圧を利用してシリンダ19内に吸気を過給するターボチャージャー31が設けられるため、スロットル開度の増大に加え、ターボチャージャー31を利用することにより容易に吸気ポート11の圧力が排気ポート12の圧力よりも高くされる。
本実施形態では、燃料噴射制御部1dは、エンジン状態判定部1aによって昇温制御が必要であると判定された場合に、燃料噴射を吸気行程中に行うように制御する(すなわち、燃料噴射時期を吸気行程中とする)。また、燃料噴射制御部1dは、インジェクタ18から噴射された燃料が少なくともバルブオーバラップの発生した後に燃焼室に到達するように燃料噴射時期を制御する。ここでは、バルブオーバラップの終了後(すなわち、すでに排気弁15は閉弁状態となっているとき)に、インジェクタ18から噴射された燃料が燃焼室に到達するように制御される。
本実施形態では、点火制御部1eは、エンジン状態判定部1aによって昇温制御が必要であると判定された場合に、点火時期をリタード(遅角)させるように制御する。ここでは、点火時期の遅角量は比較的大きく(例えば上死点後10度以上)に設定される。これにより、排気温度を上昇させる。なお、上記したスロットル開度制御部1bは、少なくともこの点火制御部1eによる点火時期のリタードに基づいてスロットルバルブ24の開度を増大させることにより、点火時期のリタードに伴うトルクの低下を抑制する。また、点火制御部1eは、昇温制御が終了されると、エンジン10への出力要求に応じた点火時期に制御される(すなわち、通常の制御に切り替えられる)。
本実施形態に係るエンジン制御装置1は上述のように構成されているので、昇温制御は例えば以下のように行われる。以下の説明では、昇温制御による作用を示した図2(a)〜(c)を用いる。図2(a)は排気行程において排気弁15のみが開弁状態であるときを示し、図2(b)は排気行程又は吸気行程において吸気弁14及び排気弁15がバルブオーバーラップしている状態を示し、図2(c)は吸気行程において吸気弁14のみが開弁状態であるときを示す。
図3はエンジン制御装置1で実行される制御手順を例示するフローチャートである。このフローは、エンジン制御装置1の内部において所定の周期で繰り返し実施される。また、下記の各ステップは、コンピュータのハードウェアに割り当てられた各機能(手段)が、ソフトウェア(コンピュータプログラム)によって動作することによって実施される。
図3に示すように、まず、ステップS10において、フラグF=0であるか否かを判定する。ここで、フラグFとは、上記した昇温制御が実施されているか否かをチェックするための変数であり、制御開始時はフラグF=0と設定されている。そのため、制御開始時はステップS10においてYESルートとなり、ステップS20へ進む。ステップS20において、冷却水温センサ41で冷却水の温度WTを検出する。次いで、ステップS30において、この冷却水温WTと所定の閾値とが比較され、エンジン10が冷態か否かが判定される。
したがって、本制御装置によれば、排気通路39において、吹き抜けた吸気中の酸素(O2)と燃焼によって多く生成された一酸化炭素(CO)とが反応するときの反応熱によって排気温度が上昇する。また、吹き抜けた吸気中の酸素(O2)は、排気通路39において未燃HCとも反応してさらに排気の温度が上昇する。つまり、エンジン10の冷態始動直後等の排気浄化装置32の不活性状態において排気の温度を急速に効率よく上げることができる。これにより、排気通路39に設けられた排気浄化装置32の触媒を速やかに昇温させることができる。一方、排気通路39においてCO及びHCがそれぞれO2と反応してCO2及びH2Oとなるため、有害なCO及びHCの排出を低減させることができる。
また、スロットルバルブ24の開度が、点火時期をリタードに基づいて増大されることで、点火時期のリタードによる出力(トルク)低下を抑制することができる。
なお、スロットルバルブ24によって吸気ポート11の圧力を排気ポート12の圧力よりも高める場合は、構成を簡素化することができる。また、ターボチャージャー31によって吸気ポート11の圧力を排気ポート12の圧力よりも高める場合は、容易に圧力差を作ることができる。
また、排気浄化装置32が昇温されたと判定されたら通常の制御に切り替えられるため、エンジンへの出力要求に応えることができ、効率よく出力を確保することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
上記実施形態では、吸気弁14及び排気弁15のそれぞれについて、可変バルブリフト機構6aと可変バルブタイミング機構6bとを備えた可変動弁機構6が設けられているが、少なくとも吸気弁14及び排気弁15の一方に可変バルブタイミング機構6bを備えた可変動弁機構が設けれていればよい。
また、上記の実施形態では、スロットルバルブ24及びターボチャージャー31の双方を用いて吸気ポート11側の圧力(吸気圧力)PINが排気ポート12側の圧力よりも高くなるようにしているが、スロットルバルブ24のみでも吸気を排気ポート12へ吹き抜けさせることができるため、ターボチャージャー31が設けられていないエンジンにも適用することができる。
1a エンジン状態判定部
1b スロットル開度制御部(スロットル開度制御手段)
1c バルブタイミング制御部(開閉制御手段)
1d 燃料噴射制御部(燃料噴射制御手段)
1e 点火制御部(点火制御手段)
1f 温度判定部(温度判定手段)
6 可変動弁機構
10 エンジン
11 吸気ポート
12 排気ポート
13 点火プラグ
14 吸気弁
15 排気弁
18 インジェクタ(燃料噴射弁)
19 シリンダ(気筒)
24 スロットルバルブ
25 吸気通路
31 ターボチャージャー(過給機)
32 排気浄化装置
39 排気通路
Claims (7)
- エンジンの吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の開閉時期を変更可能な可変動弁機構と、前記エンジンの吸気ポートに燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記エンジン内部に流入する吸気量を調節するスロットルバルブと、前記エンジンの排気通路に設けられ排気を浄化する排気浄化装置とを備えたエンジンの制御装置において、
前記可変動弁機構を制御する開閉制御手段と、
前記燃料噴射弁からの燃料噴射時期を制御する燃料噴射制御手段と、
前記スロットルバルブの開度を制御するスロットル開度制御手段と、を備え、
前記排気浄化装置の不活性状態において、前記開閉制御手段は前記吸気弁及び前記排気弁がともに開弁状態となる重複期間を設け、前記燃料噴射制御手段は前記燃料噴射弁からの燃料噴射を前記エンジンの吸気行程中に実施するとともに前記燃料噴射弁から噴射された燃料が少なくとも前記重複期間の発生した後に燃焼室に到達するように前記燃料噴射時期を設定して、前記エンジンの気筒内の空燃比を理論空燃比よりもリッチとする昇温制御を実施する
ことを特徴とする、エンジンの制御装置。 - 前記燃料噴射制御手段は、前記燃料噴射弁から噴射された燃料が前記重複期間の終了した後に前記燃料室に到達するように前記燃料噴射時期を設定し、前記重複期間は新気のみを前記排気通路へ吹き抜けさせる
ことを特徴とする、請求項1記載のエンジンの制御装置。 - 前記エンジンの点火時期を制御する点火制御手段を備え、
前記点火制御手段は、前記エンジンの冷態始動直後において前記エンジンの点火時期をリタードする
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のエンジンの制御装置。 - 前記スロットル開度制御手段は、少なくとも前記点火時期のリタードに基づいて前記スロットルバルブの開度を増大させる
ことを特徴とする、請求項3記載のエンジンの制御装置。 - 前記スロットル開度制御手段は、前記昇温制御において前記重複期間中の前記吸気ポートの圧力が排気ポートの圧力よりも高くなるように前記スロットルバルブの開度を増大させる
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエンジンの制御装置。 - 前記吸気を圧縮する過給機を備え、
前記過給機により前記昇温制御において前記重複期間中の前記吸気ポートの圧力を排気ポートの圧力よりも高くする
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンジンの制御装置。 - 前記排気浄化装置の温度が所定温度以上であるか否かを判定する温度判定手段を備え、
前記温度判定手段により前記排気浄化装置の温度が前記所定温度以上であると判定されたら、前記スロットルバルブの開度と前記燃料噴射時期と前記吸気弁及び前記排気弁の前記重複期間とを、前記エンジンへの出力要求に応じた通常の制御とする
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエンジンの制御装置。
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