JP3763177B2 - ディーゼルエンジンの制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン始動時に燃料噴射手段からメイン噴射とこれに先行して少量の燃料を噴射するパイロット噴射とを行なわせるようにしたディーゼルエンジンの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば特開昭62−75047号公報に示されるように、ディーゼルエンジンの燃料噴射装置において、エンジン始動時に、メイン噴射に先行してパイロット噴射を行なうようにしたものは知られている。とくにこの公報に示された装置では、先ずパイロット噴射を行ない、かつ、このパイロット噴射により着火されたか否かを着火センサからの信号に基づいて判別し、着火された場合はメイン噴射を行なうが、着火されなかった場合はメイン噴射を停止することにより、未燃ガスが多量に排出されることを避け、白煙やスモークの発生を抑制するようにしている。
【0003】
また、例えば特開平5−156993号公報に示されるように、排気通路に排気ガス中のNOxを浄化する触媒を用いた排気ガス浄化装置を備えているディーゼルエンジンにおいて、上記触媒によるNOx浄化効率の向上を図るため、メイン噴射の後における排気弁開弁直前の時期に少量の燃料を噴射する後行程噴射を実行するようにした装置も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特開昭62−75047号公報に示されている装置では、始動時に失火が生じたときのエミッションの悪化を防止するために、パイロット噴射により着火されなかったときにはメイン噴射を停止するようにしているが、失火が生じたときにその後の着火性を高めるための対策は格別に施されておらず、始動促進に充分な効果を発揮するものではない。
【0005】
なお、上記の特開平5−156993号公報に示されている装置は、後行程噴射を行なうことにより触媒のNOx浄化効率の向上を図っているが、始動促進を図るものではない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、始動時に、メイン噴射に先行してパイロット噴射を行なうとともに、着火性をより一層高め、始動を促進することができるディーゼルエンジンの制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、エンジン始動時に燃料噴射手段からメイン噴射とこれに先行して少量の燃料を噴射するパイロット噴射とを行なわせるようにしたディーゼルエンジンの制御装置であって、エンジンの排気通路と吸気通路とを連通させる連通路と、この連通路を開閉する連通路開閉手段とを設けるとともに、この連通路開閉手段及び燃料噴射手段を制御する制御手段を設け、この制御手段により、少なくともエンジン冷間始動時においてクランキング開始時点から完爆によるエンジン回転数の上昇が生じる時点までの期間に、メイン噴射に先行してパイロット噴射を行なわせると共に、パイロット噴射とメイン噴射との間隔をエンジン初爆までに比べて初爆後の方を小さくするように燃料噴射手段を制御し、かつ、上記連通路開閉手段を開状態に制御するようにしたものである。
【0008】
この構成によると、少なくともエンジン冷間始動時におけるクランキング開始時点から完爆までの期間に、上記パイロット噴射により、メイン噴射による主燃焼のための火種が確保されることで着火性が向上されつつ、それでもなお失火が生じた場合、排気通路に排出された未燃焼の燃料が上記連通路から吸気通路を通って燃焼室に戻される。そして、この燃料は、既に排気通路に排出されるまでに圧縮温度で気化、霧化されるとともに上記連通路及び吸気通路を通る間に充分にミキシングされた状態となって、燃焼室内に着火性の良い可燃混合気を形成し、この可燃混合気が存在する状態で次の行程のパイロット噴射が行われることにより、着火性がより一層高められる。さらに、エンジン初爆後のパイロット噴射とメイン噴射との間隔を、エンジン初爆までに比べて小さくすることで、メイン噴射の燃焼による始動トルクが高められることによって始動が促進される。
【0009】
また、燃焼が行われたときには高温の排気ガスが上記連通路を通して還流され、つまり高温のEGRガスが導入されることにより燃焼室内の温度が上昇し、これによっても始動が促進される。
【0010】
この発明において、上記連通路の排気通路側端部を、排気通路上流の排気マニホールドもしくはその近傍の位置に接続しておくこと(請求項2)が好ましい。
【0011】
また、完爆によるエンジン回転数の上昇が生じた後で、かつ、エンジン回転数が通常のアイドル回転数よりも高められる冷間時のファーストアイドル運転に移行した場合は、上記制御手段により上記連通路開閉手段を閉状態に制御すること(請求項3)が好ましく、このようにすると、エンジン回転数を高めるべく燃料が増量されるファーストアイドル運転中の燃焼性の悪化が避けられる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るディーゼルエンジンの制御装置の実施形態を示している。この図において、1はディーゼルエンジンのエンジン本体であり、複数の気筒2を備えている。このエンジン本体1に対し、その各気筒2の燃焼室に燃料を噴射供給する燃料噴射装置が設けられ、当実施形態では所謂コモンレールタイプの燃料噴射装置が設けられている。すなわち、各気筒2に対してそれぞれ、制御信号に応じてソレノイドにより針弁が作動されることにより燃料噴射を行なうようになっている噴射ノズル(燃料噴射手段)3が配設されるとともに、高圧の燃料を蓄えるコモンレール4に上記各噴射ノズル3が接続されている。
【0022】
上記コモンレール4は燃料通路5を介して燃料圧送ポンプ6に接続され、この燃料圧送ポンプ6は図外の燃料タンクに接続されている。そして、上記燃料圧送ポンプ6から圧送された高圧の燃料がコモンレール4を経て各噴射ノズル3に供給されるようになっている。上記燃料通路5には、コモンレール4に送る燃料の圧力を調節することにより上記噴射ノズル3の噴射圧力を調節する圧力調節手段としての調圧バルブ7が設けられ、制御信号に応じた調圧バルブの作動により上記噴射圧力を変更することができるようになっている。さらに、コモンレール4には圧力センサ8が設けられ、この圧力センサ8によって上記噴射圧力が検出されるようになっている。
【0023】
また、上記エンジン本体1には、吸気通路10の下流の吸気マニホールド11が接続されるとともに、排気通路12の上流の排気マニホールド13が接続されている。上記吸気通路10の途中にはターボ過給機15のコンプレッサが介設され、排気通路12の途中にはターボ過給機15のタービンが介設されている。
【0024】
上記ターボ過給機15は排気ガスのエネルギーでタービンが駆動され、それに連動したコンプレッサの回転により吸気を過給するものであり、特に当実施形態では、タービン羽根が拡縮可能で、運転状態に応じて上記タービン羽根が拡縮されることにより低速域から高速域にまでわたって過給性能を高めることができるような構造の可変過給圧ターボが用いられている。そして、このターボ過給機15に対し、制御信号に応じて過給圧を調節する過給圧コントローラ16が設けられている。
【0025】
上記吸気通路10におけるターボ過給機15のコンプレッサの下流には過給気を冷却するインタークーラ17が設けられ、上記コンプレッサの上流には吸入空気量を検出するエアフローメータ18が設けられている。一方、排気通路12におけるターボ過給機15のタービンの下流には排気ガス浄化用の触媒19が設けられている。
【0026】
さらに、上記排気通路12と吸気通路10との間には、両通路を連通する連通路としてのEGR通路20が設けられ、このEGR通路20に、連通路開閉手段としてのEGRバルブ23が設けられている。このEGRバルブ23は、EGRバルブコントローラ24より作動されて、EGR量をコントロールするようになっている。
【0027】
当実施形態では、上記EGR通路20の排気通路側に第1EGR通路21と第2EGR通路22とが形成され、上記EGRバルブ23を介し、いずれか一方の通路21,22が吸気通路側に対して開かれ、あるいは両通路が閉じられるようになっている。上記第1EGR通路21は、排気通路中での温度低下が少ない排気ガスを還流させ得るように、排気マニホールド13もしくはその近傍の排気通路上流部に接続され、後述のように冷間始動時等に開かれるようになっている。また、上記第2EGR通路22は、比較的低温の排気ガスを還流させ得るように、排気通路12の下流側に接続されている。
【0028】
上記噴射ノズル3、調圧バルブ7、過給圧コントローラ16及びEGRバルブコントローラ24は、コントロールユニット(ECU)30により制御される。このコントロールユニット30には、上記圧力センサ8及びエアフローメータ18からの検出信号が入力されるとともに、エンジン回転数を検出する回転数センサ25、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ26、エンジン水温を検出する水温センサ27、触媒温度を検出する触媒温度センサ28、イグニッションスイッチ29a、スタータスイッチ29b等からの検出信号も入力されている。
【0029】
図2は制御系統を示す機能ブロック図である。この図において、上記コントロールユニット30は、始動判別手段31、温度状態判別手段32、噴射制御手段33及びEGR制御手段34を備えている。そして、上記両判別手段31,32による判別に基づき、上記両制御手段33,34により、少なくともエンジン冷間始動時においてクランキング開始時点から完爆によるエンジン回転数の上昇が生じる時点までの期間に、メイン噴射に先行してパイロット噴射を行なわせるように噴射ノズル3を制御するとともに、上記第1EGR通路21を吸気通路10に対して開通させる状態にEGRバルブ23を制御するようになっている。
【0030】
具体的に説明すると、上記始動判別手段31は、上記イグニッションスイッチ29a、スタータスイッチ29b、回転数センサ25等からの信号に基づいて始動状態を判別する。すなわち、エンジン始動時には、図3中に示すように、先ずイグニッションスイッチ29aがON(t0 時点)とされてから、スタータスイッチ29bがON(t1 時点)とされることによりエンジンがスタータにより極低回転で回されるクランキングが開始され、そのクランキング中にエンジンの初爆(t2 時点)によりエンジン回転数が多少上昇してから、さらに完爆に至ったとき(t3 時点)にエンジン回転数が急激に上昇し、エンジン冷間時であればファーストアイドル回転数まで上昇する。上記始動判別手段31はこのようなエンジンの挙動を調べ、クランキング前の状態と、クランキング開始から完爆によるエンジン回転数の上昇が生じる時点まで期間(t1 〜t3 )にある状態と、完爆後の状態とを判別するようになっている。
【0031】
上記温度状態判別手段32は、水温センサ27及び触媒温度センサ28からの信号に基づき、冷間始動時であるか温間始動時であるかを判別するとともに、触媒19が冷機状態か暖機状態かを判別するようになっている。
【0032】
上記噴射制御手段33は、上記始動判別手段31及び温度状態判別手段32による判別に基づき、クランキング開始から完爆によるエンジン回転数の上昇が生じる時点までの期間に、メイン噴射に先行してパイロット噴射を行なわせるように噴射ノズル3を制御する。すなわち、クランキング開始から完爆までの間の燃料噴射の制御として、図4に示すように、所定タイミングでメイン噴射Cを行なわせるとともに、これより前にパイロット噴射Bを行なわせる。この場合、少なくとも1回のパイロット噴射Bを行なわせればよいが、複数回のパイロット噴射を行なわせるようにしてもよく、後述のフローチャートに示す例ではパイロット噴射を2回行なわせ、つまり、図4に実線で示すパイロット噴射Bに加えてこれより前に破線で示すパイロット噴射A(以下、これをスプリット噴射Aと呼ぶ)を行なわせるようにしている。
【0033】
上記スプリット噴射Aは圧縮行程で燃焼室内の圧力が着火可能な圧力まで上昇するより前の時期、例えばBTDC30°CA(クランク角で上死点前30°)より前の時期に行なわれる。上記パイロット噴射Bは、BTDC30°CA以後で、かつTDC(上死点)より前に行なわれる。メイン噴射CはTDCより後に開始される。また、スプリット噴射A及びパイロット噴射Bの噴射量はメイン噴射Cの噴射量と比べて少なくされ、かつ、スプリット噴射Aよりもパイロット噴射Bの方が噴射量が多くされる。つまり、スプリット噴射Aの噴射量は後に詳述するような予混燃焼のための混合気形成に必要な範囲で少なくされる一方、パイロット噴射Bでは確実にメイン噴射時期まで持続させ得る燃料が得られるように、噴射量がスプリット噴射Aに比べて多くされる。
【0034】
さらに上記噴射制御手段33は、エンジン完爆後において触媒冷機状態にあるときに、上記各噴射A,B,Cに加えて後行程噴射Dを行なわせ、つまり、メイン噴射Cの後の膨張行程から圧縮行程にかけての期間内に噴射ノズル3から少量の燃料を噴射させるようになっている。
【0035】
また、上記EGR制御手段34は、上記始動判別手段31及び温度状態判別手段32による判別に基づき、冷間始動時においてクランキング開始から完爆によるエンジン回転数の上昇が生じる時点までの期間に、上記第1EGR通路21を吸気通路10に対して開通させるように、EGRバルブコントローラ24を制御する。
【0036】
従って、当実施形態では、図3中にも示すように、冷間始動時におけるクランキング開始から完爆までは多段噴射(スプリット、パイロット及びメインの各噴射)と上記第1EGR通路21を通してのEGRとが行なわれ、また、完爆後に暖機状態になるまでは多段噴射と後行程噴射とが行なわれるようになっている。
【0037】
次に、当実施形態の装置による始動時の燃料噴射の制御の一例を、図5のフローチャートによって説明する。
【0038】
このフローチャートに示す処理はイグニッションスイッチ29aのONによってスタートし(ステップS1)、先ずエンジン水温及び触媒温度が入力され(ステップS2)、エンジン水温が所定温度以下かこれより高いかにより冷間始動であるか温間始動であるかが判定される(ステップS3)。
【0039】
冷間始動であることが判定された場合には、ステップS4でスタータONとなったことが判定されたとき、ステップS5で始動時のメイン噴射タイミングT、要求噴射量Q及び噴射圧力Pが水温等に応じて決定されるとともに、ステップS6で、上記スプリット噴射A、パイロット噴射B及びメイン噴射Cを行なわせるように噴射パターンが決定される。つまり、各噴射A,B,Cのタイミング及び各噴射量が決定され、各噴射A,B,Cが実行される。また、このような燃料噴射の制御が行われるとともに、ステップS7で、第1EGR通路21が開かれるようにEGRバルブ23のソレノイドが制御される。
【0040】
続いてステップS8でエンジン回転数とその角速度変動が調べられ、これに基づいてステップS9で完爆に至ったか否かが判定され、完爆に至るまではステップS5〜S8の処理が繰り返される。
【0041】
ステップS9で完爆に至ったことが判定されたときには、ステップS10でEGR通路が閉じられるようにEGRバルブ23のソレノイドが制御されるとともに、ステップS11で後行程噴射Dの噴射量及び噴射タイミングが決定され、ステップS11で後行程噴射Dが実行される。さらに、ステップS13で触媒温度が検出されて、ステップS14で触媒温度が所定の暖機温度まで上昇したか否かが判定され、触媒温度か暖機温度より低い間はステップS11〜S13の処理が繰り返される。また、ステップS14で触媒温度か暖機温度に達したことが判定されたときは、ステップS15に移って、通常のアイドル運転時の制御状態であるアイドルマップ運転が行われる。
【0042】
一方、上記ステップS3で温間始動であることが判定された場合は、ステップS16でスタータONとなったことが判定されたとき、ステップS17で始動時のメイン噴射タイミングT、要求噴射量Q及び噴射圧力Pが水温等に応じて決定され、ステップS18で、上記スプリット噴射A、パイロット噴射B及びメイン噴射Cを行なわせるように噴射パターンが決定される。そして、この噴射パターンによる燃料噴射の制御が行われるとともに、ステップS19で、EGR通路が閉じられるようにEGRバルブ23のソレノイドが制御される。
【0043】
続いてステップS20でエンジン回転数とその角速度変動が調べられ、これに基づいてステップS21で完爆に至ったか否かが判定され、完爆に至るまではステップS17〜S20の処理が繰り返される。ステップS21で完爆に至ったことが判定されたときには、ステップS15に移って、通常のアイドル運転時の制御状態であるアイドルマップ運転が行われる。
【0044】
以上のようなディーゼルエンジンの制御装置においては、エンジン始動時におけるクランキング開始から完爆までの期間(図3中のt1 〜t3 の期間)に、少なくとも1回のパイロット噴射Bとメイン噴射Cが行なわれ、パイロット噴射Bで着火され、これが火種となってメイン噴射Cによる主燃焼が行われる。当実施形態ではスプリット噴射A、パイロット噴射B及びメイン噴射Cの多段噴射が行われることにより、着火性がより一層高められる。
【0045】
すなわち、先ず圧縮行程の上死点よりかなり前の時期にスプリット噴射Aが行われるが、この時点では筒内圧力が比較的低くて着火には至らず、噴射された燃料はピストン頂面やシリンダ壁面に付着した後に次第に蒸発して燃焼室内に予混合気(可燃混合気)を形成する。次にパイロット噴射Bが行われ、この時点では筒内圧力が高くなっているため、既に存在する予混合気が、比較的急激に短時間で燃焼するような、いわゆる予混燃焼を行なうことにより、着火性が高められる。この予混燃焼は短時間で終了するが、これを火種としてパイロット噴射Bによる燃料が未混合の状態から次第に燃焼しつつ拡散するような、いわゆる拡散燃焼を行ない、この拡散燃焼により燃焼期間が延びてその燃焼が上死点以後まで持続する。そして、このパイロット噴射Bによる燃焼が持続している間にメイン噴射が行われることにより、メイン噴射の燃料の燃焼が達成される。
【0046】
また、冷間始動時におけるクランキングから完爆までの間には、上記の多段噴射が行なわれる一方で、上記第1EGR通路21が開かれることにより、失火が生じたときにも外部への未燃ガスの排出が抑制されるとともに着火性がさらに高められる。
【0047】
すなわち、上記のように多段噴射で着火性が高められるものの、それでもなお失火が生じたときには、未燃ガスが排気通路12に排出される。この場合に、この未燃ガスは上記第1EGR通路21から吸気通路10を通って燃焼室に戻されることにより、外部への未燃ガスの排出が抑制されるとともに、燃焼室に戻されるガスはスプリット噴射Aと同様に予混合気を形成し、次の行程における着火性をより一層高めることができる。
【0048】
さらに、燃焼が行われたときには比較的高温の排気ガスが第1EGR21から還流され、この高温のEGRガスで筒内温度が高められることによっても始動を促進する作用が得られる。
【0049】
完爆後にファーストアイドル運転に移行するときには、EGRが停止されることにより、エンジン回転数を高めるべく燃料が増量されるファーストアイドル運転中にEGRによる燃焼性の悪化(スモークの発生)を招くことが避けられる。
【0050】
また、冷間始動時における完爆後で触媒19が冷機状態にあるときには、メイン噴射後の膨張行程から排気行程にかけての期間内に少量の燃料を噴射する後行程噴射が行なわれることにより、触媒19の暖機が促進される。すなわち、後行程噴射による少量の燃料が触媒19で反応して発熱することにより触媒19の温度上昇を促進するため、早期に触媒が暖機される。
【0051】
このようにして、エンジンの始動及び触媒19の暖機が促進されて、始動、暖機が完了するまでに要する時間が短縮されることにより、その間のHC等の排出量も少なくなる。
【0052】
なお、EGRの制御等は上記実施例に限定されず、例えば温間始動時にもクランキング開始から完爆までは上記第1EGR通路21を開くようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、エンジン始動時のクランキング開始から完爆までの期間に、多段噴射を行なう一方で第1EGR通路21を開いているが、高温のEGRガスを燃焼室に導入することで着火性の向上を図ることを目的として、図6に示すように、エンジンの初爆から完爆までの期間に、多段噴射(少なくとも1回のパイロット噴射とメイン噴射)とともに高温ガスのEGRを行なうようにしてもよい。
【0054】
この場合、エンジンの初爆は回転数変化等によって検出することができる。また、このような高温ガスの還流は、図1中に示す外部のEGR通路21によって行なってもよいが、内部EGRによって行なうようにしてもよい。つまり、図7に示すように吸気弁、排気弁の少なくとも一方に対してその開閉タイミングを変えることにより吸・排気弁の開弁オーバラップを変更可能とするバルブタイミング可変機構(VVT)41を設け、コントロールユニット30内のVVT制御手段40で上記バルブタイミング可変機構41を制御して、エンジンの初爆から完爆までの期間は上記開弁オーバラップを大きくすることにより、内部EGRを行なわせるようにしてもよい。
【0055】
また、燃焼室内の温度上昇によって着火性、燃焼性が高められると、パイロット噴射による燃焼の速度が速くなって、パイロット間隔(パイロット噴射とメイン噴射の間隔)を小さくすることができ、パイロット間隔を小さくするほどメイン噴射によるトルクが高められる。そのため、エンジン始動時の燃料噴射の制御として、初爆後にパイロット噴射を遅角させてパイロット間隔を初爆前に比べて小さくすることで、初爆後に始動トルクがより高められ、始動が促進されることとなる。
【0056】
【発明の効果】
本発明は、エンジンの排気通路と吸気通路とを連通させる連通路及び連通路開閉手段を設けるとともに、少なくともエンジン冷間始動時においてクランキング開始時点から完爆までの期間に、メイン噴射に先行してパイロット噴射を行なわせるように燃料噴射を制御し、かつ、上記連通路開閉手段を開状態に制御するようにしているため、上記期間に、上記パイロット噴射により主燃焼のための火種を確保して着火性を向上するとともに、失火が生じた場合に未燃ガスを燃焼室に戻すことで着火性をより一層高めることができる。さらに、エンジン初爆後のパイロット噴射とメイン噴射との間隔を、エンジン初爆までに比べて小さくすることで、メイン噴射の燃焼による始動トルクが高められる。従って、始動を促進することができる。また、始動中の失火時に外部への未燃ガスの排出が抑制されることと、始動時間が短縮されることとにより、エミッションも大幅に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るディーゼルエンジンの制御装置の全体構成を示す概略説明図である。
【図2】コントロールユニット内の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】エンジン始動後の回転数変化及び制御状態の変化を示す説明図である。
【図4】エンジン始動時における燃料噴射のパターン及び噴射タイミングを示す図である。
【図5】エンジン始動時の燃料噴射制御動作を示すフローチャートである。
【図6】別の実施形態によるエンジン始動後の回転数変化及び制御状態の変化を示す説明図である。
【図7】別の実施形態の機能ブロック図である。
【符号の説明】
1 エンジン本体
3 噴射ノズル
10 吸気通路
12 排気通路
19 触媒
20 EGR通路
23 EGRバルブ
25 エンジン回転数センサ
27 水温センサ
29a イグニッションスイッチ
29b スタータスイッチ
30 コントロールユニット
31 始動判別手段
32 温度状態判別手段
33 噴射制御手段
34 EGR制御手段

Claims (3)

  1. エンジン始動時に燃料噴射手段からメイン噴射とこれに先行して少量の燃料を噴射するパイロット噴射とを行なわせるようにしたディーゼルエンジンの制御装置であって、エンジンの排気通路と吸気通路とを連通させる連通路と、この連通路を開閉する連通路開閉手段とを設けるとともに、この連通路開閉手段及び燃料噴射手段を制御する制御手段を設け、この制御手段により、少なくともエンジン冷間始動時においてクランキング開始時点から完爆によるエンジン回転数の上昇が生じる時点までの期間に、メイン噴射に先行してパイロット噴射を行なわせると共に、パイロット噴射とメイン噴射との間隔をエンジン初爆までに比べて初爆後の方を小さくするように燃料噴射手段を制御し、かつ、上記連通路開閉手段を開状態に制御するようにしたことを特徴とするディーゼルエンジンの制御装置。
  2. 上記連通路の排気通路側端部を、排気通路上流の排気マニホールドもしくはその近傍の位置に接続したことを特徴とする請求項1記載のディーゼルエンジンの制御装置。
  3. 完爆によるエンジン回転数の上昇が生じた後で、かつ、エンジン回転数が通常のアイドル回転数よりも高められる冷間時のファーストアイドル運転に移行した場合は、上記制御手段により上記連通路開閉手段を閉状態に制御することを特徴とする請求項1または2記載のディーゼルエンジンの制御装置。
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