JP5741311B2 - 車両用ニーエアバッグ装置 - Google Patents
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Description
エアバッグ展開膨張時に、エアバッグドアの上下の立ち上がり壁がエアバッグ展開圧を受けて上下方向に外側に倒れ、フック部がフック挿通用孔から外れるおそれがある。万一、フック部がフック挿通用孔から外れると、エアバッグモジュールのケースの車両左右方向中央部が反車室側に変形し移動して、エアバッグの展開挙動が安定しなくなり、乗員拘束性能が低下する可能性が生じる。
エアバッグドアの上側立ち上がり壁および下側立ち上がり壁の立ち上がり先端部がインナ部材から離れていて自由端とされている。上側立ち上がり壁および下側立ち上がり壁はインナ部材と接続されていない。
カバーには、上下の立ち上がり壁の少なくとも上側立ち上がり壁のエアバッグと反対側から対向する部位に延びる、立ち上がり壁の倒れを抑制するためのストッパリブが形成されている。
上下のドア部の上側ドア部の上下方向幅は下側ドア部の上下方向幅より大に設定されている。
ティアラインのうち上側ドア部の周囲に対向するティアラインの上下方向幅は下側ドア部の周囲に対向するティアラインの上下方向幅より大に設定されている。
エアバッグが展開膨張する時、エアバッグがエアバッグドアの立ち上がり壁に展開圧をかけて立ち上がり壁をエアバッグと反対側に倒そうとするが、立ち上がり壁のエアバッグと反対側にはストッパリブが設けられているため、立ち上がり壁がストッパリブ部位以上にエアバッグと反対側に倒れることが防止される。立ち上がり壁が過大にエアバッグと反対側に倒れるとフック部が立ち上がり壁のフック挿通用孔から抜けてエアバッグが展開反力で反車室側に過大に移動しエアバッグの正常な展開膨張が阻害されるおそれがある。しかし、ストッパリブが設けられているため、フック部が立ち上がり壁のフック挿通用孔からの抜けが防止され、エアバッグは車室側に正常に展開膨張する。
エアバッグドアの立ち上がり壁の上下方向外側には車両左右方向に延びる空間があるが、そこに第1、第2のリブを有するストッパリブが挿入されるため、カバー装着時にストッパリブをエアバッグドアの立ち上がり壁の上下方向外側に円滑に挿入し配置することができる。
車両用ニーエアバッグ装置10は、車両の前面衝突時にグラブドアから車室内にエアバッグを展開膨張させ、乗員の膝部を前方から拘束して乗員を保護する装置である。
カバー55には、上下の立ち上がり壁43a、43bの少なくとも上側立ち上がり壁43aのエアバッグ51と反対側から対向する部位に延びるストッパリブ56が形成されている。
グラブドア60は、車車室70に面するアウタ部材20とアウタ部材20の反車室側に設けられたインナ部材30を有する。
(アウタ部材20)
図2に示すように、アウタ部材20の車室70側の面(車室側面)20aは、車室の意匠面の一部を構成している。アウタ部材20は硬質樹脂製であり、硬質樹脂はたとえばポリプロピレン(PP)である。アウタ部材20の車室側面20aは、高級感を得るために、表皮20cを備えていてもよい。表皮20cを備えている場合、アウタ部材20の車室側面20aは、表皮20cの車室側面になる。
アウタ部材20は、アウタ部材20に設けられたティアライン(「ティア」は「テア」ともいう。以下、同じ)21の内側のティアライン内側部22と、ティアライン21の外側のティアライン外側部23と、を備えている。
ティアライン外側部23は、ティアライン21の外側でアウタ部材20の面内方向に第2〜第4のラインの外側に位置する。
インナ部材30は、アウタ部材20と同じ樹脂材、すなわち硬質の樹脂材で作製される。インナ部材30は、図2に示すように、アウタ部材20の反車室側に配置される。アウタ部材20とインナ部材30とは、アウタ部材20とインナ部材30のいずれか少なくとも一方に形成したリブ63の先端部を他方に溶着部63aで固着することで、互いに固定される。なお、図示例は、アウタ部材20とインナ部材30とが互いに振動溶着された場合を示す。
エアバッグドア40は、アウタ部材20の反車室側に配置され、インナ部材30のエアバッグモジュール収納用空間部33に配置される。エアバッグドア40は、アウタ部材20およびインナ部材30に振動溶着等で固定される。エアバッグドア40は、アウタ部材20およびインナ部材30とは別工程で作製されてアウタ部材20およびインナ部材30に固定される。
スリット44は、ドア部41と一般部42の間に設けられる。スリット44は、エアバッグドア40を貫通している。スリット44は、エアバッグ装置10の正面視で、第4のライン21dを無くしたティアライン21の形状と略同じであり、略「H」形状である。
スリット44は、図3に示すように、エアバッグドア40の上下方向中央部かそれより下方で車両左右方向に直線状に延びる第1のスリット部44aと、第1のスリット部44aの車両左右方向両端から車両左右方向外側かつ上下方向に二股に分かれて直線状または湾曲線状に延びる第2のスリット部44bと、第2のスリット部44bの延び方向先端から上下方向に第2のスリット部44bから離れる方向に延び延び方向先端でエアバッグドア40の車両左右方向中央側に湾曲しヒンジ部45の車両左右方向端で終わる第3のスリット部44cと、を備えている。ヒンジ部45の部位では、一般部42とドア部41とはヒンジ部45のみでつながっており、一般部42のヒンジ部側の縁部とドア部41のヒンジ部側の縁部との間は、図8〜図10に示すように、スリット状の空間44dである。
ヒンジ部45は上下一対のドア部41a、41bの上下縁部で車両左右方向に延び、ヒンジ部45の車両左右方向両端部はスリット44の端部を形成している。アウタ部材20のティアライン21の第4のライン部21dは、エアバッグドア40のヒンジ部45の車室側でヒンジ部45に沿って車両左右方向に延びている。エアバッグ51の膨張展開時に、アウタ部材20の開裂はティアライン21の上下方向中央の第1のライン部21aの車両左右方向中央部で始まり、図3において矢印で示すように、第2のライン部21b、第3のライン部21c、第4のライン部21dへと進行する。アウタ部材20の開裂が第3のライン部21cから第4のライン部21dへと進行する時、ヒンジ部45の車両左右方向両端部を第4のライン部21dに沿って破断する力がかかる。ヒンジ部45がヒンジ部全長にわたって破断すると上下一対のドア部41a、41bと上下のティアライン内側部22a、22bが車室側に飛散するので、ヒンジ部45の全長にわたる破断は抑制されなければならない。
エアバッグモジュール50は、図2および図4に示すように、エアバッグ51と、インフレータ52と、エアバッグ51およびインフレータ52を支持するケース(リテーナ)53と、エアバッグ51を車室側から覆って保護する保護布54を備える。保護布54には、エアバッグ51の展開膨張時に保護布54が容易に破断できるように、切れ目54aが設けられている。
インフレータ52は、車両前面衝突時にエアバッグ51内に膨張用ガスを供給する。
インフレータ52は、ケース53の車両左右方向中央部にボルト締結、かしめ等で取り付けられ、固定される。
また、ケース53は金属製のフック部53aを備えている。フック部53aは、ケースの上下側面に沿ってケースの上下側面から上下方向に突出させて、車両左右方向に複数設けられている。ケース53は、フック部53aがエアバッグドア40の上下立ち上がり壁43a、43bに設けられたフック挿通用孔43cに挿通され係合されることで、エアバッグドア40に係合される。フック部53aとフック挿通用孔43cとの係合で、エアバッグ51の展開膨張時にケース53が車両左右方向中間部で反車室側に大きく撓み、移動することが抑制される。
カバー55は、アウタ部材20およびインナ部材30と同様に、硬質樹脂材の成形品からなる。カバー55は、インナ部材30のエアバッグモジュール収納用空間部33の開口部33aに取付けられるか嵌め込まれて、エアバッグモジュール収納用空間部33およびエアバッグモジュール50を反車室側から覆う。
カバー55はカバー上部と該カバー上部に対して車室側に折れ曲がり部55aで折れ曲がってグラブドア下部の反車室側面まで延びるカバー下部を有している。カバー下部がカバー上部に対して車室側に折れ曲がっていることにより、カバー下部でのグラブドア60の厚みが薄くなり、その分グラブボックス62の容積がカバー下部において車室側に拡大される。
エアバッグドア40の立ち上がり壁43はエアバッグ51が展開膨張する時にエアバッグ51から圧力を受けて上方に倒れ変形する。上側立ち上がり壁43aは下側立ち上がり壁43bに比べて立ち上がり長さが長いため倒れ量が大きい。図11に2点鎖線で示すように、上側立ち上がり壁43aがインナ部材30の延長部31に当たる位置まで倒れると、フック部53aが立ち上がり壁43のフック挿通用孔43cから外れてしまう。外れた状態でエアバッグ51からの圧力がケース53にかかると、ケーシング53が反車室側に変形して移動し、カバー53に当たりカバー55を外して、反車室側のグラブボックス62内にさらに変形、移動する。その結果、エアバッグ51の展開反力を正常に支持できなくなり、エアバッグ51の車室70への展開、膨張に支障が出るおそれがある。
ストッパリブ56をカバー55に設ける理由は、ストッパリブをインナ部材30に設けると、エアバッグモジュール50をエアバッグモジュール収納用空間部33に挿入するときにストッパリブがエアバッグモジュール50に干渉してエアバッグモジュール50の挿入を妨害するからである。ストッパリブ56をカバー55に設けた場合は、エアバッグモジュール50をエアバッグモジュール収納用空間部33に設置した後にカバー55をインナ部材30に設置するだけで自動的に、ストッパリブ56をエアバッグドア40の上下の立ち上がり壁43a、43bの少なくとも上側立ち上がり壁43aのエアバッグ51と反対側から対向する部位に挿入することができる。
グラブドア60は、閉状態で、上方にいくに従って車室70側(車両後方側)に傾いており、グラブドア60の上下端はインストルメントパネルの外形に位置を合わせてある。
エアバッグ51はグラブドア60から車両前後方向後方かつ斜め下方に展開膨張して乗員の膝部を拘束する。エアバッグ51が乗員の脛部のみを拘束することがないようにアウタ部材20の開裂位置、すなわち第1のライン21aのアウタ部材20に沿って見た上下方向位置が設定されている。
カバー55の折れ曲がり部55aに対応させて、インナ部材30の外形もアウタ部材20側に曲がっており、グラブドア60の下部が上部に比べて厚さが薄くなっている。
(全体の作用、効果)
図示略のセンサが車両の前面衝突を検知すると、その信号が車両の電子制御装置に送られ、電子制御装置からの出力信号により、インフレータ52が作動され、膨張用ガスをエアバッグ51に供給する。
エアバッグ51の展開膨張時に、エアバッグドア40のドア部41がエアバッグ51によって車室側に押され、エアバッグドア41の車室側に設けられたアウタ部材20がドア部41によって車室側に押され、ティアライン21で開裂する。アウタ部材20がティアライン21で開裂すると、エアバッグドア40のドア部41とそれに固着されたアウタ部材20のティアライン内側部22がエアバッグドア40のヒンジ部45まわりに車室側に上下方向に開き、それによってできた開口部を通してエアバッグ51がグラブドア60から車室側に車両前後方向後方斜め下方に展開して乗員の膝部を前方から拘束する。
ヒンジ部45の車両左右方向両端部には厚肉部45cが形成されているので、エアバッグ展開時に、エアバッグドア40のヒンジ部45に破断力が働いても、厚肉部45cが形成されていない場合に比べてヒンジ部45の車両左右方向端部からの破断が抑制される。
さらに、厚肉部45cが車両左右方向に互いに間隔をおいて複数条に形成されているので、端の1条の厚肉部45cが切断されても次の条の厚肉部45cで破断の進行が止まり、フェールセーフ作用がある。端の1条の厚肉部45cのみを設けた場合は端の1条の厚肉部45cが切断された場合にフェールセーフ作用がない。
図13に示すように、破断は厚肉部45cの側部にかかる破断力Fが第1の力F1より大きくなった時に始まり、破断の進行につれて破断力Fが低下していき、破断力Fがノッチによる破断が止まる第2の力F2(F2<F1)に低下するまで進行する。
1条の拡大幅厚肉部の場合は、図13で破線Cで示すように、破断力Fが第1の力F1より大の時に破断が始まり、破断の進行につれて破断力Fが低下する。そして、破断がヒンジ部45の左右方向中央部にまで進行してもなお破断力Fが第2の力F2より大の時には、破断線がヒンジ部全長Lの約1/2の部位まで進行した時に左右から進行してくる破断線がつながってヒンジ部45は全長にわたって破断してしまう。
エアバッグ51が展開膨張する時、エアバッグ51がエアアッグドア40の立ち上がり壁43に展開圧をかけて立ち上がり壁43をエアバッグ51と反対側に、図11の2点鎖線で示した位置に、倒そうとする。しかし、本発明では、図2、図11に示すように、立ち上がり壁43のエアバッグ51と反対側にはストッパリブ56が設けられているため、立ち上がり壁43がストッパリブ56に当たった位置以上にエアバッグ51と反対側に倒れることが防止される。
(その他の作用、効果)
20 アウタ部材
21 ティアライン
22 ティアライン内側部
23 ティアライン外側部
30 インナ部材
33 エアバッグモジュール収納用空間部
40 エアバッグドア
41 ドア部
41a 上側ドア部
41b 下側ドア部
42 一般部
43 立ち上がり壁
43a 上側立ち上がり壁
43b 下側立ち上がり壁
43c フック挿通用孔
44 スリット
45 ヒンジ部
45a 上側ヒンジ部
45b 下側ヒンジ部
50 エアバッグモジュール
51 エアバッグ
53a フック部
55 カバー
55a 折れ曲がり部
56 ストッパリブ
56a 第1のリブ
56b 第2のリブ
60 グラブドア
62 グラブボックス
70 車室
Claims (6)
- 内部に反車室側に開放するエアバッグモジュール収納用空間部が形成されたグラブドアと、
前記エアバッグモジュール収納用空間部の上下に反車室方向に立ち上がる上下の立ち上がり壁を有し該上下の立ち上がり壁にフック挿通用孔が形成されたエアバッグドアと、
前記エアバッグモジュール収納用空間部に配置されエアバッグと前記上下の立ち上がり壁のフック挿通用孔に挿通されるフック部とを有するエアバッグモジュールと、
前記グラブドアに取り付けられ前記エアバッグモジュール収納用空間部を反車室側から覆うカバーと、
を有する車両用ニーエアバッグ装置であって、
エアバッグドアの上側立ち上がり壁および下側立ち上がり壁の立ち上がり先端部がインナ部材から離れていて自由端とされ、上側立ち上がり壁および下側立ち上がり壁はインナ部材と接続されておらず、
前記カバーには、前記上下の立ち上がり壁の少なくとも上側立ち上がり壁の前記エアバッグと反対側から対向する部位に延びる、立ち上がり壁の倒れを抑制するためのストッパリブが形成されている車両用ニーエアバッグ装置。 - 前記ストッパリブは、車両左右方向に連続して延びる第1のリブと、該第1のリブから該第1のリブと直交する方向に前記立ち上がり壁側に延びる第2のリブとを有する請求項1記載の車両用ニーエアバッグ装置。
- 前記上下の立ち上がり壁のうち上側立ち上がり壁は下側立ち上がり壁より立ち上がり長さが長く設定されており、前記ストッパリブは前記上下の立ち上がり壁のうち前記上側立ち上がり壁に上側から対向する部位のみに設けられている請求項1または請求項2記載の車両用ニーエアバッグ装置。
- 前記グラブドアはグラブドア上部と該グラブドア上部より厚さが薄く設定されたグラブドア下部を有しており、前記カバーはカバー上部と折れ曲がり部で前記カバー上部に対して車室側に折れ曲がってグラブドア下部の反車室側面まで延びるカバー下部を有している請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用ニーエアバッグ装置。
- 前記エアバッグドアは一般部と該一般部に対して開閉可能な上下のドア部と該上下のド
ア部を前記一般部に開閉可能に連結する上下のヒンジ部とを有し、上下のドア部の各ドア部の周囲には上下のヒンジ部を除いてスリットが形成されており、前記上下の立ち上がり壁は上下のヒンジ部の前記一般部側から反車室側に立ち上がっており、
前記上下のドア部の上側ドア部の上下方向幅は下側ドア部の上下方向幅より大に設定されている請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車両用ニーエアバッグ装置。 - 前記グラブドアは車室に面するアウタ部材と該アウタ部材の反車室側に位置するインナ部材を有し、前記アウタ部材には前記上下のドア部の各ドア部の周囲部に車室側から対向する部位にエアバッグが展開膨張する時に破断されるティアラインが設けられており、
前記ティアラインのうち前記上側ドア部の周囲に対向するティアラインの上下方向幅は前記下側ドア部の周囲に対向するティアラインの上下方向幅より大に設定されている請求項5記載の車両用ニーエアバッグ装置。
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