JP5740982B2 - 波長分解ストークスベクトル測定装置および測定方法 - Google Patents

波長分解ストークスベクトル測定装置および測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、光信号の波長分解ストークスベクトル測定装置および方法に関し、特に、波長分解ストークスベクトル測定結果から算出する偏光度に基づいて測定精度を評価する、波長分解ストークスベクトル測定装置および方法に関する。
通信の高速・大容量化のニーズにこたえるため高速デジタル伝送技術が研究されている。光デジタル通信においては、光信号チャネルあたりの伝送速度が10Gbpsを超える光通信が実用化され、100Gbpsを超える伝送速度の光通信の研究開発も活発になってきている。40Gbpsを超えるような超高速の光デジタル通信システムになると、これまではあまり問題とされていなかった伝送路中で発生する偏波モード分散による信号波形の劣化が、受信信号品質に大きな影響を及ぼすようになっている。
偏波モード分散(PMD;Polarization Mode Dispersion)は、シングルモード光ファイバの意図しない微小な複屈折性により、2つの直交する偏波モード間に群遅延差が生じることに起因する分散である。長距離伝送に用いられるシングルモード光ファイバは、複屈折性をもたない等方性のファイバとして設計されている。しかし、その製造過程やケーブル化の過程、さらにはケーブル敷設の過程やシステムの運用の過程で、コアの楕円化や横方向の応力印加を受け、さらには部分的な温度変化の影響を受ける。このようなコアの楕円化、側圧や部分的な温度変化などによってシングルモード光ファイバは、意図しないわずかな複屈折性を持つこととなり、その大きさと方向が伝送方向にランダムに変化する。その結果、このような光ファイバ中を伝搬する光は、この複屈折性の影響を受けて各偏波成分が異なる時刻に出力端に到達することになる。
このPMDを精度よくモニタして、そのモニタ結果を、動的な波形歪み補償の制御信号に利用することや、障害回復のトリガ信号に利用することが重要視されている。
また、光の偏波状態の振る舞いを論じるために、ストークスベクトルと呼ばれるベクトルによって偏波状態を表現することが有効とされている。つまり、ストークスベクトルは光信号の偏波状態を表現する物理量であり、PMDを測定・評価するために利用される。ストークスベクトルは、4つのストークスパラメータで構成されており、それらのパラメータを演算することによりストークスベクトルが測定される。そして、ストークスベクトルは様々な偏波状態を表すことができる。
ストークスパラメータやストークスベクトルを測定することによりPMDに関わる光信号の品質をモニタして評価する技術が、例えば特許文献1乃至3に開示されている。
特許文献1は、入射光を分岐する際に偏波変動やPDL(Polarization dependent loss、偏光依存損失)が発生せず、ストークスパラメータを高精度で正確に測定するストークスパラメータ装置および測定方法を開示する。この特許文献1が開示するストークスパラメータ装置は、光分岐部において少なくとも1つ以上のプリズムを有し、そのプリズムはその稜(入射光学面)と信号光の光軸とのなす角度が45度よりも大きく形成されることを特徴としている。つまり、このストークスパラメータ装置は、入射角度を小さくすることで、入射された信号光を分割する際のPDL発生を抑制することができる。その結果、広範囲の波長帯域においてDOP(Degree of Polarization、偏光度)を高くすることができる。
特許文献2は、光通信システムにおいて偏波状態から推定される値を用いて光信号品質をモニタする光信号品質モニタ装置を開示する。この光信号品質モニタ装置は、偏波成分の高次成分が無視できない場合であっても、偏波成分に起因する光信号品質変動を精度よくモニタすることができる。特許文献2が開示する光信号品質モニタ装置は、伝送光信号の品質を、伝送光信号から測定した測定値にもとづく計測値から推定した品質判定値を用いて評価する。つまり、伝送光信号のストークスベクトルを光信号変調周波数帯域に亘って測定し、測定したストークスベクトルがポアンカレ球上に描く軌跡の光信号変調周波数帯域における長さを計測値として取得する。また同時に、その伝送光信号の偏波分散の一次成分であるDGD(Differential Group Delay、群遅延時間差)値を取得する。そして、取得した軌跡の長さと取得したDGD値とを用いて品質判定値を推定することを特徴とする。
測定中に偏波状態変動が生じるとストークスベクトル測定値が正しく求められない。そこで特許文献3は、偏波状態変動をモニタし、ストークスベクトルを短時間に、かつ高精度に測定する光信号品質モニタ装置を開示する。この光信号品質モニタ装置は、光周波数分解ストークスベクトルモニタと光周波数平均ストークスベクトルモニタを備える。光周波数平均ストークスベクトルモニタで、平均光強度から偏光成分を抽出してストークスベクトルを測定し、その測定結果から偏波状態変動の発生を判断する。そして、検知した偏波状態変動の発生に応じて、光周波数分解ストークスベクトルモニタが単位光周波数毎の光強度から偏光成分を抽出して測定した、ストークスベクトルの測定結果の信頼性を判断する。
特開2006-308286号公報 特開2009-260875号公報 特開2010-096632号公報
偏波モード分散(PMD)は波長依存性がない一次成分、波長依存性がある二次以上の高次成分に大別されることが多い。そのため、高次成分を含むPMDを測定・評価するためには、波長依存性ストークスベクトル(以降、波長分解ストークスベクトル)を求めることが必須となる。
特許文献1は、ストークスパラメータを高精度で正確に測定するストークスパラメータ装置および測定方法を開示するが、これは入射光を分岐する際に発生する偏波変動やPDL(偏光依存損失)を抑えることを主眼にした技術である。従って、波長分解ストークスベクトルを求めることは、特許文献1では考慮されていない。
波長分解ストークスベクトルは、測定する光信号をまず波長成分に分解し、その波長成分毎にストークスベクトルを測定することによって求めることができる。そして、波長分解ストークスベクトルの測定精度は、測定装置の波長分解能に依存することになる。
波長分解ストークスベクトルのある一定の測定精度を維持するために必要な波長分解能は、偏波状態、光信号速度に応じて異なる。光信号に付加されているPMDが大きいほど、波長分解ストークスベクトルの測定精度を維持するために必要な波長分解能は小さくなる。仮に十分な波長分解能が無かった場合、波長分解ストークスベクトルの測定結果より求まるPMDには、測定精度劣化による大きな誤差が含まれてしまう。
例えば、PMDが零(0)psの光信号の場合には波長分解能はnmオーダでも許容できるが、光信号速度が100GbpsでPMDが5psの光信号に要求される波長分解能は数10pmのオーダとなる。ここで、ある波長分解ストークスベクトル測定装置の波長分解能がある条件下において10pmであったとする。この波長分解ストークスベクトル測定装置であれば、前述のPMDが0psの光信号でも、光信号速度が100GbpsでPMDが5psの光信号でも対応可能であるといえるはずである。
しかしながら、この測定装置の波長分解能10pmは、ある条件下における値であって、常にこの値が維持出来ているとは限らない。なぜなら、環境温度や測定装置内部の光学系アライメントずれ等の要因によって、波長分解能が経時変化するためである。
ストークスベクトルは、測定する光信号から相異なる4つの偏波成分強度を抽出し、それらを演算することによって測定するのが一般的である。そのため、ストークスベクトル測定装置は偏波成分強度抽出部を備えている。例えば、光信号を4つに分岐して一度に4偏波成分強度を抽出する場合は、分光、偏光変調、光電変換、A/D(アナログ/デジタル)変換等の処理を行なう。つまり、測定装置内部には、ビームスプリッタ、ハーフミラー、フィルタ等からなる分岐手段や偏光素子および1/4波長板等の位相素子が光学系として用いられており、また、光電変換回路やAD変換回路も用いられている。
従って、波長分解ストークスベクトルの測定精度に影響を与える要因は、波長分解能の精度の他に、測定装置の偏波成分強度抽出部の精度も含まれる。
また、測定装置の偏波成分強度抽出部が、上記のように一度に4偏波成分強度を抽出する構造ではなく、偏波成分強度の測定を4回繰り返す構造の偏波成分強度抽出部を備えた測定装置もあり得る。このような場合には、それぞれの測定装置に固有の精度劣化要因を内在している。
例えば、測定装置に偏波成分強度抽出部が一つしか設けられておらず、偏波成分強度の測定を4回繰り返す場合には、この4回の測定中に光信号の偏波状態が時間変化する可能性がある。測定対象の光信号の偏波状態が時間変化すると時変性の精度劣化による誤差が発生する。また、光信号を4分岐して4つの偏波成分強度抽出部で一度に測定する場合には、4つのそれぞれの偏波成分強度抽出部の抽出性能に差があると固定の精度劣化による誤差が発生する。更に、偏波成分強度抽出部の抽出性能に温度特性があるような場合には、温度が時間変化することに起因する時変性の精度劣化による測定誤差が発生する。
このように、波長分解ストークスベクトルの測定精度は様々な要因により劣化し、しかも経時変化する可能性がある。従って、測定装置の一定以上の測定精度を維持するためには、常時、あるいは定期的に測定装置の精度をチェックすることが必要不可欠となる。
特許文献2が開示する光信号品質モニタ装置は、偏波成分の高次成分が無視できない場合であっても、伝送光信号の品質を評価することができることを主眼とした技術である。この技術は、ストークスベクトルがポアンカレ球上に描く軌跡の長さを計測値として取得し、その伝送光信号の偏波分散の一次成分であるDGD(群遅延時間差)値を取得して伝送光信号の品質を評価する。そのため、測定装置の精度を評価することは特許文献2には考慮されていない。
また、特許文献3が開示する光信号品質モニタ装置は、偏波状態変動をモニタすることによりストークスベクトルの測定結果の信頼性を判断する技術である。当該技術は、光周波数平均ストークスベクトルモニタの測定結果から偏波状態変動の発生を判断する。そして、偏波状態変動の発生に応じて、光周波数分解ストークスベクトルモニタが測定したストークスベクトルの測定結果の信頼性を判断する。つまり、この技術は、ストークスベクトルの測定結果の信頼性を判断することはできるが、測定装置の精度そのものを評価することは考慮されていない。
以上のように、これまでは、測定装置の波長分解能が十分かどうかを簡単に評価する方法や指標が存在しなかった。そのため、測定装置において要因毎に個別に調整を行った上で、装置のインパルス応答を測定するなどして測定精度(分解能)の評価を行っていた。また、測定装置内に測定精度を劣化させる要因となるものが多数あると、それだけ調整、評価の回数が増えることになる。更には、測定精度の経時変化に対応するために、測定装置の精度較正を定期的に実施することが必須となる。そのため、波長分解ストークスベクトルの測定精度の評価には、多くの時間・労力を必要とするという課題があった。
本発明の目的は、上記の課題を解決して、波長分解ストークスベクトルを測定し、その測定結果に基づいて測定結果の精度が十分かどうかを評価することができる波長分解ストークスベクトル測定装置および測定方法を提供することにある。
上記の目的を実現するために、本発明の一形態である波長分解ストークスベクトル測定装置は、入力した特定の波長帯域幅の光信号を、前記特定の波長帯域幅よりも狭い波長帯域幅で、複数の波長成分に分解して出力する波長掃引手段と、前記波長成分のそれぞれの光信号を入力し、それぞれの光信号の相異なる4つの偏光成分強度を抽出して出力する4偏光成分強度抽出手段と、前記波長成分のそれぞれの光信号の相異なる4つの前記偏光成分強度を入力して演算し、当該演算結果に基づいて前記波長成分のそれぞれの光信号の波長分解ストークスベクトルの測定と偏光度の算出を実行し、前記波長成分のそれぞれの光信号の偏光度の算出値と、前記波長成分の光信号の偏光度の理論値と、の差分値に基づいて前記波長分解ストークスベクトルの測定精度を評価して出力する演算手段と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の他の形態である波長分解ストークスベクトル測定方法は、入力した特定の波長帯域幅の光信号を、前記特定の波長帯域幅よりも狭い波長帯域幅で、複数の波長成分に分解し、前記波長成分のそれぞれの光信号の相異なる4つの偏光成分強度を抽出し、抽出した前記波長成分のそれぞれの光信号の相異なる4つの前記偏光成分強度に基づいて演算し、前記演算結果に基づいて前記波長成分のそれぞれの光信号の波長分解ストークスベクトルの測定と偏光度の算出を実行し、前記波長成分のそれぞれの光信号の偏光度の算出値と、前記波長成分の光信号の偏光度の理論値と、の差分値に基づいて前記波長分解ストークスベクトルの測定精度を評価して出力することを特徴とする。
本発明は、波長成分毎の光信号の偏光度の算出値をその理論値と比較して、その差分値を識別することで、波長分解ストークスベクトル測定装置の測定精度が十分かどうかを評価することができる。
第1の実施形態の波長分解ストークスベクトル測定装置の構成を示すブロック図である。 第1の実施形態の波長分解ストークスベクトル測定装置の動作を示すフロー図である。 第2の実施形態の波長分解ストークスベクトル測定装置の構成を示すブロック図である。 第2の実施形態の波長分解ストークスベクトル測定装置の接続形態を示すシステム構成図である。 第2の実施形態の波長分解ストークスベクトル測定装置の動作を示すフロー図である。 波長分解ストークスベクトル測定装置を用いた測定例の接続形態を示すシステム構成図である。 第3の実施形態の波長分解ストークスベクトル測定装置の構成を示すブロック図である。 モニタ部の動作を示すフロー図である。
本発明の波長分解ストークスベクトル測定装置および測定方法によれば、波長分解ストークスベクトルの測定精度の評価を簡単に行うことができる指標を定め、定常的に信頼性の高い波長分解ストークスベクトル測定結果を得ることができる。
本発明は、波長分解ストークスベクトル測定結果より算出される波長成分毎のDOP(Degree of Polarization、偏光度)を利用する。
本発明の原理は、十分狭い波長帯域毎に区切って観測した光信号の波長分解ストークスベクトルの測定結果よりDOPを算出し、そのDOPが理論値からどの程度ずれているかを識別することで、測定結果の精度が十分かどうかを評価する。つまり、特定の波長帯域幅の光信号を、その特定の波長帯域幅よりも狭い波長帯域幅で複数の波長成分に分解する。そして、その分解した各波長成分の光信号の波長分解ストークスベクトルの測定結果よりDOPを算出し、そのDOPが理論値からどの程度ずれているかを識別する。DOPの算出値と理論値とのずれに応じて、波長分解ストークスベクトルの測定結果の精度が十分かどうかを評価する。
特定の波長帯域幅の光信号を波長成分に分解する狭い波長帯域幅として、波長分解ストークスベクトル測定装置が有する波長分解能の波長帯域幅を用いる。このことは、特定の波長帯域幅の光信号の偏波状態がどうあれ、波長分解能で分解した各波長成分のDOPは、波長分解能が十分あれば、理論的には常時「DOP=1」となることを利用する。
後述する4つの偏光成分で表される偏波状態は波長成分によって異なる。そのため、測定対象の波長帯域幅の光信号には複数の波長成分が混在するので、複数の偏波状態が混在する。この測定対象の波長帯域幅の光信号を、例えばΔλの狭い波長帯域幅で単一の波長成分に分解できれば単一偏波状態に分離したことになるので「DOP=1」となる。また、分解に用いたΔλの波長帯域幅が十分に狭くなく、分解された光信号に他の波長成分が混ざる場合には「DOP<1」となる。
なお、光学における偏光に関する理論には、ジョーンズ法やミューラー法がある。
偏波モード分散(PMD;Polarization Mode Dispersion)は、2つの直交する偏波モード間に生じる群遅延差が波長成分毎に異なることに起因する。つまり、PMDは光信号帯域内で波長ごとに偏波状態が変化することによって発生する。従って、測定対象の波長帯域幅の光信号にたとえPMDがあったとしても、十分狭い波長帯域内だけを観測すれば、偏波状態が同一で偏波状態は変化していないと見なせるようになり、その観測範囲内でのPMDは零(0)となる。つまり、光信号帯域全体としては「DOP<1」であったとしても、十分狭い波長帯域毎に区切って観測した場合は、その観測範囲内における波長成分毎のDOPは常時「DOP=1」となる。
この場合、「十分」は、測定対象となるPMDによってその数値は異なり、測定対象となるPMDが大きければ、光信号帯域内で波長毎の偏波状態の変化が大きくなるので、より高い波長分解能が要求される。しかし、大まかにいえば、光デジタル通信の基幹伝送用の光信号を測定対象とする場合、数10pm程度の波長分解能を以って「十分な波長分解能」と言える。
また、偏光成分強度抽出部や測定精度に影響を与える要因となる部位の精度較正が十分に行われていて、測定装置が誤差要因のない理想的な状態になっている場合には、上記のDOPが誤差なく出力されるので、DOPは常時「DOP=1」となる。
従って、波長分解能で分解された各波長成分のDOPが理論値「1」からどの程度ずれているかを識別すれば、波長分解能不足や、偏光成分強度抽出部や測定精度に影響を与える要因となる部位に起因する精度劣化を評価することが可能となる。
なお、測定対象となる光信号を十分狭い波長帯域に区切られた複数の光信号に分解することを、「波長成分に分解する」と称する。また、分解された十分狭い波長帯域に区切られた光信号を「波長成分」または「波長成分の光信号」と称する。
本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の波長分解ストークスベクトル測定装置の構成を示すブロック図である。
尚、実施の形態は例示であり、開示の装置及びシステムは、以下の実施の形態の構成には限定されない。
本発明の第1の実施形態の波長分解ストークスベクトル測定装置1は、波長掃引手段11、4偏波成分強度抽出手段12および演算手段13を含んで構成される。
波長掃引手段11は、入力した特定の波長帯域幅の光信号を、その特定の波長帯域幅よりも狭い波長帯域幅で複数の波長成分に分解して出力する。4偏波成分強度抽出手段12は、複数に分解された波長成分のそれぞれの光信号を入力し、それぞれの光信号の相異なる4つの偏光成分強度を抽出して出力する。演算手段13は、波長成分のそれぞれの光信号の相異なる4つの偏光成分強度を入力して演算し、その演算結果に基づいて波長成分のそれぞれの光信号の波長分解ストークスベクトルの測定と偏光度の算出を実行する。また、演算手段13は、波長成分のそれぞれの光信号の偏光度の算出値と、波長成分の光信号の偏光度の理論値と、の差分値に基づいて波長分解ストークスベクトルの測定精度を評価して出力する。
図2は、第1の実施形態の波長分解ストークスベクトル測定装置の動作を示すフロー図である。第1の実施形態の波長分解ストークスベクトル測定装置は次のように動作する。
光信号を入力する(S101)。入力した特定の波長帯域幅の光信号を、その特定の波長帯域幅よりも狭い波長帯域幅で複数の波長成分に分解する(S102)。複数に分解された波長成分のそれぞれの光信号の相異なる4つの偏光成分強度を抽出する(S103)。抽出した波長成分のそれぞれの光信号の相異なる4つの偏光成分強度に基づいて演算し、その演算結果に基づいて波長成分のそれぞれの光信号の波長分解ストークスベクトルの測定と、偏光度の算出を実行する(S104)。波長成分のそれぞれの光信号の偏光度の算出値と、波長成分の光信号の偏光度の理論値と、の差分値に基づいて波長分解ストークスベクトルの測定精度を評価して出力する(S105)。
以上に説明したように、第1の実施形態の波長分解ストークスベクトル測定装置は、波長掃引手段11により特定の波長帯域幅の光信号を、その特定の波長帯域幅よりも狭い波長帯域幅で複数の波長成分に分解して十分狭い波長帯域毎に区切る。十分狭い波長帯域に区切られた各波長成分の光信号から、相異なる4つの偏光成分強度が4偏波成分強度抽出手段12により抽出される。演算手段13は、その抽出された相異なる4つの偏光成分強度を入力して演算を行い、波長分解ストークスベクトルの測定と偏光度の算出を実行する。そして、その偏光度の算出値が理論値からどの程度ずれているかが識別される。各波長成分の光信号の偏光度の算出値は、十分狭い波長帯域に分解されているので、測定装置の全ての要素が最適に調整されている場合には理論値である「1」となる。従って、偏光度の算出値が理論値「1」からどの程度ずれているかを識別することにより、使用した測定装置の測定精度を評価することができる。
次に、第2の実施形態の波長分散ストークスベクトル測定装置を説明する。
図3は、第2の実施形態の波長分散ストークスベクトル測定装置10の構成を示すブロック図である。
波長分散ストークスベクトル測定装置10は、波長掃引手段として可変光バンドパスフィルタ101を利用し、4偏波成分強度抽出手段102として、ポラリメータ(偏光計)とA/Dコンバータを利用した例である。また、波長分散ストークスベクトル測定装置10は、演算手段として演算部103およびモニタ部104を含む。
また、図4は、第2の実施形態の波長分解ストークスベクトル測定装置の接続形態を示すシステム構成図である。
図4に示すように、波長分解ストークスベクトル測定装置10は光ファイバ3を介して光信号源2と接続される。
光信号源2から出力される光信号は、光ファイバ3を通過することにより、偏波モード分散(PMD)が付加される。
ここで一般的に、PMDは一次成分である群遅延時間差と、高次成分である二次偏波モード分散に大別される。群遅延時間差はDGD(Differential Group Delay)と呼ばれ、二次偏波モード分散はSOPMD(Second Order Polarization Mode Dispersion)と呼ばれる。簡単のために、DGDのみを考慮した説明とする。なお、SOPMDが存在する場合でも動作に変わりはない。
光信号源2から出力される特定の波長帯域幅である光スペクトル幅Λの光信号が光ファイバ3を通過することにより、DGDがτ(ps)だけ付加されたとする。この光スペクトル幅Λ、DGD=τの光信号が、波長分解ストークスベクトル測定装置10に入力される。
光スペクトル幅Λの光信号は、波長分解ストークスベクトル測定装置10の波長掃引手段である可変光バンドパスフィルタ101に入力する。可変光バンドパスフィルタ101は、光スペクトル幅Λを複数の波長成分に分解するための狭い波長帯域幅として、当該測定装置が有する波長分解能の波長帯域幅を用いる。つまり、可変光バンドパスフィルタ101は、波長分解能に相当するΔλの波長帯域幅を透過光とするバンドパスフィルタであって、その透過光の中心波長を順次変更することができる。従って、光スペクトル幅Λの光信号は、可変光バンドパスフィルタ101において、Δλの波長分解能で、十分狭い波長帯域に区切られた複数の光信号に分解される。
可変光バンドパスフィルタ101でΔλ毎に分解された波長成分は、時系列で順次、4偏光成分強度抽出部102に入力され、各波長成分の光信号の相異なる4つの偏光成分強度が抽出される。つまり、光スペクトル幅Λの光信号は、n個(nは正の整数)のΔλの波長帯域幅を有する波長成分に分解される。そして、分解された各波長成分の光信号は、時刻t1のΔλはλ1成分、t2のΔλはλ2成分、・・・tnのΔλはλn成分というように、時系列で順次、4偏光成分強度抽出部102に入力される。そして、分解された各波長成分の光信号に対応する相異なる4つの偏光成分強度が抽出される。なお、分解された各波長成分の光信号の波長帯域幅はΔλであり、Δλ×n=Λという関係が成立する。
4偏光成分強度抽出部102に入力されたΔλ毎に分解された波長成分の光信号は、ポラリメータにより、相異なる4つの偏光成分に分けられ、それぞれの偏光成分強度が抽出される。なお、4偏光成分強度抽出部102は、入力した光信号を4つに分岐することなく、偏波成分強度の測定を4回繰り返すことにより相異なる4つの偏光成分強度を抽出する構造であってもよい。
ここで、相異なる4つの偏光成分とは、透過光成分(以下t成分)、垂直直線偏光成分(以下v成分)、45°直線偏光成分(以下q成分)、右回り円偏光成分(以下r成分)である。なお、透過光成分とは4偏光成分強度抽出部102を透過した光成分である。また、直線偏光とは光の電場の振動方向を含む面(電場ベクトル)が1つに特定されている偏光で、円偏光とは電場ベクトルが時間とともに回転するような偏光を言う。光の進行方向に対して電場ベクトルの回転が時計回りのものを「右回り」と称する。直線偏光の電場ベクトルの座標軸に対する傾きに応じて垂直直線偏光、45°直線偏光と称する。より正確には、入力光非信号偏光軸と、4偏光成分強度抽出部102に含まれる偏光成分抽出デバイスの偏光軸との間の角度に応じて垂直直線偏光、45°直線偏光と称する。
つまり、Δλの波長成分の光信号毎にt、v、q、rの4つの偏光成分強度が出力されることになる。従って、光スペクトル幅Λの光信号をΔλの波長分解能でn個の波長成分に分解して測定する場合、一回の測定で、演算部103には4×n個のデータが入力されることになる。
つまり、4偏光成分強度抽出部102では、Δλに分解された各波長成分の光信号の相異なる偏光成分(t、v、q、r成分)の強度がポラリメータで光学的に抽出され、光電変換されてアナログ電気信号として出力される。ポラリメータから出力されたアナログ電気信号はA/Dコンバータによりデジタル電気信号に変換され、t、v、q、rの各成分の強度がデジタル電圧値として演算部103に出力される。
演算部103は、4偏光成分強度抽出部102が出力した4n個のデータ(t、v、q、rの各成分の強度を示すデジタル電圧値)を入力して演算を行う。演算部103は、その演算結果に基づいて各波長成分の光信号の波長分解ストークスベクトルの測定およびDOPの算出を実行する。
各波長成分の光信号の波長分解ストークスベクトル(S0(λ)、S1(λ)、S2(λ)、S3(λ))は、式1の演算結果により波長分解ストークスベクトルとして測定される。
Figure 0005740982
式1で、It(λ)、Iv(λ)、Iq(λ)、Ir(λ)は、それぞれΔλ毎のt、v、q、rの各偏光成分強度を表す。
また、Δλに分解された各波長成分の光信号のDOPであるDOP(λ)は、上記の演算結果で得られたS0(λ)、S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)を用いて、式2により算出する。
Figure 0005740982
式2で算出されたDOP(λ)はデータ数がn個ある。演算部103は、n個あるDOP(λ)の最小値の抽出を行いモニタ部104に出力する。
モニタ部104は、演算部103が出力するDOP(λ)の最小値を理論値と比較することにより波長分散ストークスベクトル測定装置10の測定精度を評価する。つまり、モニタ部104は、DOP(λ)の最小値が、理論値「1」からどの程度ずれているかを識別することにより、上記のようにして測定した波長分解ストークスベクトルの測定精度を評価することができる。
このことは、前述したように、測定装置に入力された光信号にどのようなPMDが付加されていたとしても、十分狭い波長帯域毎に区切って観測した場合、その観測範囲内においては偏波状態が変化していないと見なせることを利用している。
2つの直交する偏波モード間に生じる群遅延差が波長成分毎に異なることに起因するPMDは、光信号帯域内で波長ごとに偏波状態が変化することによって発生する。つまり、PMDが付加された光信号は、その光スペクトル幅Λ内に複数の偏波状態が含まれることを意味する。しかし、光スペクトル幅Λの測定対象の波長帯域幅の光信号を十分高い波長分解能Δλによって分解し、単一の波長成分に分解できれば、そのΔλの範囲内であれば偏波状態が単一とみなすことができる。そのため、演算部103で算出したn個あるDOP(λ)は、測定装置の波長分解能Δλが十分高ければ、入力光信号のPMDに関わらず、理論的には、常時、すべての値が1となる。
逆に、測定装置の波長分解能Δλが十分でない場合には、Δλで分解された光信号に他の波長成分が混ざり、その区切られた波長帯域内の偏波状態が単一とみなせなくなるため、算出したDOP(λ)は1より小さくなる。
また、DOP(λ)は、式1、式2による演算で算出されるため、演算が正確でないと誤差が発生して1より小さくなる。
また、DOP(λ)は、It(λ)、Iv(λ)、Iq(λ)、Ir(λ)を用いた式1の演算結果である、S0(λ)、S1(λ)、S2(λ)、S3(λ)の測定値に基づいて式2から求められる。そのため、It(λ)、Iv(λ)、Iq(λ)、Ir(λ)を抽出するための測定が正確になされていない場合もDOP(λ)が1より小さくなる結果となる。
It(λ)、Iv(λ)、Iq(λ)、Ir(λ)を抽出するための測定が正確になされない場合として考えられるのは、4偏光成分強度抽出部102が正常に動作していない場合である。It(λ)、Iv(λ)、Iq(λ)、Ir(λ)の検出感度や検出効率、更には、t、v、q、rの各成分の損失量は本来均一であるべきである。しかし、それらにばらつきが生じることが原因と考えられる。つまり、4偏光成分強度抽出部102を構成するポラリメータの光学系の精度や受光素子、光電変換回路やA/D変換回路の特性のばらつき等が影響する。
従って、本実施形態の波長分散ストークスベクトル測定装置は、DOP(λ)の算出値が、理論値1からどの程度ずれているかを識別することにより、波長分解ストークスベクトルの測定精度を評価することができる。
この波長分散ストークスベクトル測定装置は波長分解能を予め知っておく必要はない。測定装置の波長分解能が直接わからなくても、波長分解能に強く依存する波長分解ストークスベクトルの測定結果から算出されたDOP(λ)を評価の指標に用いることにより、その測定装置の波長分解能の良否を間接的に推定することができる。
また、DOP(λ)のデータ数はn個あるが、実際には最悪値、すなわち最小値(min(DOP(λ)))のみを評価指標として用いればよい。前述したように、演算部103は、分解された波長ごとのDOPの最小値の抽出を行う。従って、min(DOP(λ))は、特別な外部装置を用意することなく、測定を妨げることなく、演算部103から出力されるので、モニタ部104はリアルタイムでその評価を実施することができる。
もちろん、最小値の抽出は、演算部103で行うことなくモニタ部104で行ってもかまわない。
図5は、第2の実施形態の波長分解ストークスベクトル測定装置10の動作を示すフロー図である。第2の実施形態の波長分解ストークスベクトル測定装置10は次のように動作する。
特定の波長帯域幅である光スペクトル幅Λの光信号を入力する(S201)。入力した光信号を波長分解能で複数の波長成分に分解する(S202)。複数に分解された各波長成分の光信号の相異なる4つの偏光成分強度を抽出する(S203)。抽出した波長成分のそれぞれの光信号の相異なる4つの偏光成分強度に基づいて演算し、その演算結果に基づいて波長成分のそれぞれの光信号の波長分解ストークスベクトルを測定する(S204)。測定した波長分解ストークスベクトルに基づいて、波長成分のそれぞれの光信号の偏光度を算出する(S205)。波長成分のそれぞれの光信号の算出した偏光度から最小値を抽出する(S206)。算出した偏光度の最小値と偏光度の理論値との差分値を識別する(S207)。識別した差分値に基づいて、算出した波長分解ストークスベクトルの測定精度を評価して出力する(S208)。
以上説明したように、本実施形態の波長分散ストークスベクトル測定装置は、光スペクトル幅Λの光信号を波長分解能Δλによって複数の波長成分に分解し、その波長成分毎の波長分解ストークスベクトルを測定する。測定した波長分解ストークスベクトルから波長成分毎のDOP(λ)を算出する。そして、DOP(λ)の最小値であるmin(DOP(λ))が、理論値「1」からどの程度ずれているかを識別することにより、波長分解ストークスベクトルの測定精度の良否を評価することができる。
例えば、算出値の最小値であるmin(DOP(λ))が0.8だったとすると、DOP(λ)の理論値は1なので、算出値と理論値との差分値は0.2となる。測定装置の波長分解能、偏波成分の光強度差、回路特性等を改善した結果、算出値の最小値であるmin(DOP(λ))が0.9になったとすると、算出値と理論値との差分値は0.1となる。この算出値と理論値との差分値が小さいほど波長分解ストークスベクトルの測定精度が良いことになる。
次に、本発明の実施形態の波長分散ストークスベクトル測定装置を用いた測定例を説明する。
図6は、波長分解ストークスベクトル測定装置を用いた測定例の接続形態を示すシステム構成図である。
この測定例は、波長分解ストークスベクトル測定装置の群遅延時間差(DGD)測定性能を評価する場合の例である。つまり、既知の偏波モード分散(PMD)を持った光信号を入力し、波長成分毎のDOPをモニタした状態で、光信号に付加するPMDを徐々に増加させていく。つまり、DGDを徐々に増加させる。これにより、モニタしているDOPがDGDの増加にしたがって低下する。そして、許容誤差内で測定が可能なDOPの低下量を予め許容低下量として定めておき、その許容低下量までDOPが低下したときのDGDを識別する。これにより、この波長分解ストークスベクトル測定装置で測定可能なDGDの測定範囲を、DGD測定性能として評価することができる。
図6を参照して以下に説明する。
波長分解ストークスベクトル測定装置10に入力する光信号に既知のPMDを付加する装置として、可変群遅延時間差(DGD)発生器4(以降は可変DGD発生器4)を、光信号源2と波長分解ストークスベクトル測定装置10との間に設置する。
可変DGD発生器4は、偏波コントローラ41、偏光ビームスプリッタ43、44および光遅延調整器42を含んで構成される。
偏波コントローラ41は、光信号源2が出力する光信号の偏波状態を、直線45°偏光に変換して偏光ビームスプリッタ43に出力する。偏光ビームスプリッタ43は、入力した光信号を直交関係にある二つの偏光成分X、Yに分解して出力する。例えばX成分が偏光ビームスプリッタ44に、Y成分が光遅延調整器42にそれぞれ出力される。光遅延調整器42は入力する光信号のY成分にτ(ps)の遅延を付加する。このτの遅延が付加された光信号のY成分と、遅延無しの光信号のX成分が偏光ビームスプリッタ44で合波され、DGD=τの光信号が生成される。
波長分解ストークスベクトル測定装置10では、波長分解能で分解された波長成分毎のDOPの最小値(min(DOP(λ)))がモニタされている。
前述したように、光信号をΔλの波長帯域毎に区切って観測した場合、付加されたDGDに対してそのΔλの観測範囲が十分狭い範囲で、偏波状態が変化していないと見なせる場合には、モニタしているmin(DOP(λ))が理論値1となる。
ここで、可変DGD発生器4が付加するDGD(τの値)を徐々に増加する。
すると、DGDがある値を超えると、波長分解ストークスベクトル測定装置10でモニタしているmin(DOP(λ))が理論値1から減少する。
これは、DGDが大きくなり、付加されたDGDに対してΔλの観測範囲が十分狭い範囲とはみなせなくなるからである。つまり、付加されたDGDが大きくなり、Δλの観測範囲内に含有される偏光状態が単一ではなくなることに起因する。このようになると、測定結果の誤差が増大し、測定精度が劣化することになる。
そこで、min(DOP(λ))=1を維持できる範囲のDGD(τの値)や、許容誤差内で測定が可能なmin(DOP(λ))の値(許容低下値)のときに付加されているDGD(τの値)を測定する。つまり、DGDを増加させて行き、min(DOP(λ))が1を下回る直前のDGDの値や、min(DOP(λ))が予め定めた許容誤差内で測定が可能とされている許容低下値に達する直前のDGDの値を測定する。
これにより、min(DOP(λ))が1を下回る直前に測定したDGDの値が、当該測定装置で誤差なく測定可能なDGDの最大値と判定することができる。また、min(DOP(λ))が予め定めた許容誤差内で測定が可能とされている許容低下値に達する直前に測定したDGDの値が、当該測定装置で予め定めた測定精度で測定可能なDGDの最大値と判定することができる。なお、上記のmin(DOP(λ))の許容低下値は、min(DOP(λ))の値と理論値1との差分値の許容最大値であるとも言える。
例えば、「この測定装置は、DGD0〜8psを測定誤差なく測定可能」と評価したり、「DGDの測定誤差0.1psを維持するDOPの許容低下値は0.05で、この条件で測定可能なDGDの最大値は10ps」と評価したりできる。なお、「DOPの許容低下値0.05」は、「DOPの許容最小値0.95」を意味する。
次に、第3の実施形態の波長分解ストークスベクトル測定装置を説明する。
図7は、第3の実施形態の波長分解ストークスベクトル測定装置の構成を示すブロック図である。
波長分散ストークスベクトル測定装置20は、可変光バンドパスフィルタ201、ポラリメータとA/Dコンバータを利用した4偏波成分強度抽出部202、演算部203、モニタ部204および較正制御部205を含んで構成される。
可変光バンドパスフィルタ201、4偏波成分強度抽出部202および演算部203は、第2の実施形態における可変光バンドパスフィルタ101、4偏波成分強度抽出部102および演算部103と同じ構成なので説明を割愛する。
第3の実施形態の波長分解ストークスベクトル測定装置20は、モニタ部204に特徴を有し、その制御で動作する較正制御部205を備える点において第2の実施形態と異なる。
モニタ部204は、演算部203が算出して抽出したDOPの最小値を入力する偏光度入力部、DOPの最小値を各種の閾値と比較する比較部および比較部での比較結果に基づく制御を実行するモニタ制御部を含む。
なお、演算部203は、算出した波長成分毎のDOPの算出値を出力するだけで、その最小値はモニタ部204で抽出する構成であってもよい。その場合、偏光度入力部は、演算部203から入力される波長成分毎のDOPの算出値から最小値を抽出し、そのDOPの最小値を比較部に送る。
比較部は、DOPの最小値の許容値を規定する第1の閾値および第2の閾値を備え、DOPの最小値と比較する。第1の閾値は、図6を参照して説明した測定例で判定したDOPの許容最小値で、DOPの最小値がこの値を下回った場合には許容値を超えて測定精度が劣化していると判断する閾値である。第2の閾値は、DOPの最小値が第1の閾値までは達しないが、DOPの最小値が理論値よりも低下して測定精度の劣化が認められると判断する、任意に設定する閾値である。
比較部は、DOPの最小値が、いずれの閾値にも達していない値、第1の閾値に達した値、第2の閾値に達した値のいずれかの比較結果をモニタ制御部に出力する。そして、モニタ制御部は、比較部が出力した比較結果情報に基づく処理を実行する。なお、上記の第1の閾値および第2の閾値は、DOPの許容低下値を基準にして、DOPの最小値と理論値1との差分値に基づく閾値であってもよい。つまり、第1の閾値は差分値の許容最大値(または許容低下値の最大値)であり、第2の閾値は、許容最大値には達していないが、測定精度の劣化が認められると判断できる、DOPの最小値と理論値1との差分値を任意に設定する。
モニタ部204の動作を図8を参照して説明する。
図8は、モニタ部204の動作を示すフロー図である。
モニタ部204は、演算部203からDOPの最小値を入力する(S301)。なお、前述したように、演算部203は、算出した波長成分毎のDOPの算出値を出力するだけで、その最小値はモニタ部204で抽出する構成であってもよい。
S302は後述する。
DOPの最小値は、前述した第1の閾値および第2の閾値に達しているか否かが比較される(S303)。比較部から出力される情報は、「いずれの閾値にも達していない」、「第1の閾値に達した」、「第2の閾値に達した」のいずれかの比較結果である。
比較結果が「いずれの閾値にも達していない」場合は、測定精度が維持されている状態を示すので、モニタ制御部は測定結果が有効であることを示す有効情報を出力する(S304)。
比較結果が「第1の閾値に達した」場合は、測定精度が劣化していると判断できる異常状態なので、アラームを出力する準備をする。つまり、この異常状態が偶発的な要因でないことを確認するために、発生の連続性を確認する(S305)。もし、予め定めた回数連続してこの異常状態が発生した場合(S305、YES)には、アラームを出力して装置の異常を外部に通知する。
比較結果が「第2の閾値に達した」場合は、異常状態には達していないが測定精度が劣化してきている状態を示している。そこで、一定の測定精度が維持できるように当該波長分解ストークスベクトル測定装置20の劣化要因となる部位を較正するように構成されている較正制御部205を制御する。例えば、較正制御部205は、光学系のアライメントずれを調整するためのアクチュエータとずれを検出するセンサを備え、モニタ制御部204は較正制御部205をフィードバック制御して自動的に一定の測定精度を維持することができるようにする。
このフィードバック制御を行うために、較正制御フラグに1を設定する(S307)。「較正制御フラグ=1」は、較正のためのフィードバック制御が行われていることを意味する。モニタ制御部204は較正制御部205に制御信号を送り較正のための制御動作を行わせる(S308)。この較正のためのフィードバック制御を開始した後に入力したDOPの最小値は、「較正制御フラグ=1」となっているので、S309の処理に進む。S309の処理では、入力したDOPの最小値が一定の改善した値を示しているか否かを確認する。入力したDOPの最小値が一定の改善した値を示している場合(S309、YES)には、較正制御フラグに0を設定して(S310)制御を終了する。一方、入力したDOPの最小値が一定の改善した値を示していない場合(S309、NO)には、モニタ制御部204は較正制御部205に再度制御信号を送り較正のための制御動作を行わせる(S308)。
なお、この較正制御部205の較正制御に基づくDOPの最小値が一定の改善した値を示しているか否かの確認は、DOPの最小値が第2の閾値までは低下していない第3の閾値を設定して判定してもよい。つまり、この場合、DOPの最小値が第2の閾値まで低下して較正制御が実施され、その結果、DOPの最小値が第3の閾値まで改善されたことを以って、「較正制御に基づくDOPの最小値が一定の改善した値を示した」と称する。
このように、第3の実施形態の波長分散ストークスベクトル測定装置20は、図6を参照して説明した測定例で判定したDOPの低下許容値を用いて、常時モニタしているDOPの値に応じた各種の制御を実行することができる。なお、上記において、比較結果が「第2の閾値に達した」場合は、較正制御部205のフィードバック制御を行うとして説明した。しかし、較正制御部205を設けることなく、比較結果が「第2の閾値に達した」場合に、較正の必要性を通知するメッセージを出力するようにしてもよい。
以上に説明したように本実施形態の波長分散ストークスベクトル測定装置において、測定精度の評価指標に用いる偏光度は波長分解ストークスベクトルより算出される物理パラメータである。そのため、本実施形態の波長分散ストークスベクトル測定装置は、精度監視のためだけに特別な機器は必要なく、低コストで測定精度の評価を行うことができる。しかもリアルタイムで、本来の測定を妨げることなく測定精度の評価を行うことができるため、本実施形態の波長分散ストークスベクトル測定装置は、簡単に精度チェックを行うことができる。
1、10、20 波長分解ストークスベクトル測定装置
2 光信号源
3 光ファイバ
4 可変群遅延時間差(DGD)発生器
11 波長掃引手段
12 4偏波成分強度抽出手段
13 演算手段
41 偏波コントローラ
42 光遅延調整器
43、44 偏光ビームスプリッタ
101、201 可変光バンドパスフィルタ
102、202 4偏波成分強度抽出部
103、203 演算部
104、204 モニタ部
205 較正制御部

Claims (5)

  1. 入力した特定の波長帯域幅の光信号を、前記特定の波長帯域幅よりも狭い波長帯域幅で、複数の波長成分に分解して出力する波長掃引手段と、
    前記波長成分のそれぞれの光信号を入力し、それぞれの光信号の相異なる4つの偏光成分強度を抽出して出力する4偏光成分強度抽出手段と、
    前記波長成分のそれぞれの光信号の相異なる4つの前記偏光成分強度を入力して演算し、当該演算結果に基づいて前記波長成分のそれぞれの光信号の波長分解ストークスベクトルの測定と偏光度の算出を実行し、前記波長成分のそれぞれの光信号の偏光度の算出値と、前記波長成分の光信号の偏光度の理論値と、の差分値に基づいて、前記波長分解ストークスベクトルの測定精度を評価して出力する演算手段と、
    を備え
    前記波長掃引手段は、当該波長分解ストークスベクトル測定装置が有する波長分解能の波長帯域幅の光を透過させる可変光バンドパスフィルタであり、
    前記演算手段は、
    前記波長成分のそれぞれの光信号の相異なる4つの前記偏光成分強度に基づく演算を実行して前記波長成分のそれぞれの光信号の前記波長分解ストークスベクトルを測定し、測定した前記波長分解ストークスベクトルに基づいて前記波長成分のそれぞれの光信号の偏光度を算出する演算部と、
    前記波長成分のそれぞれの光信号の偏光度の算出値の最小値と、前記波長成分の光信号の偏光度の理論値と、の差分値に基づいて、前記波長分解ストークスベクトルの測定精度を評価して出力するモニタ部と
    を含み、前記モニタ部は、許容値を超えて測定精度が劣化していると判断する前記差分値の第1の閾値と、前記第1の閾値までは達しないが、測定精度の劣化が認められると判断する、任意に設定する第2の閾値を用いて前記測定精度を評価する
    ことを特徴とする波長分解ストークスベクトル測定装置。
  2. 前記モニタ部は、
    前記演算部が算出した前記波長成分のそれぞれの光信号の偏光度の算出値を入力する偏光度入力部と、
    前記偏光度の算出値の最小値と前記偏光度の理論値との差分値を前記第1の閾値および前記第2の閾値と比較して、比較結果を出力する比較部と、
    前記比較結果が、前記差分値が前記第1の閾値に達した場合は、測定精度の劣化を外部に通知するアラームを出力し、前記比較結果が、前記差分値が前記第2の閾値に達した場合は、当該波長分解ストークスベクトル測定装置の劣化要因となる部位の較正を外部に指示する信号を出力するモニタ制御部と
    を含むことを特徴とする請求項に記載の波長分解ストークスベクトル測定装置。
  3. 当該波長分解ストークスベクトル測定装置の光学系のアライメントずれを調整するアクチュエータおよびずれを検出するセンサを備えて劣化要因となる部位を較正する較正制御部を更に備え、
    前記モニタ制御部は、前記比較結果が、前記差分値が前記第2の閾値に達した場合は、前記較正制御部に制御信号を送信して較正制御を実行させ、前記較正制御部の当該較正制御実行後の前記比較結果が、測定精度の改善が認められると判断する、任意に設定する第3の閾値に前記差分値が達するまでフィードバック制御を行うことを特徴とする請求項に記載の波長分解ストークスベクトル測定装置。
  4. 入力した特定の波長帯域幅の光信号を、前記特定の波長帯域幅よりも狭い波長帯域幅で、複数の波長成分に分解し、
    前記波長成分のそれぞれの光信号の相異なる4つの偏光成分強度を抽出し、
    抽出した前記波長成分のそれぞれの光信号の相異なる4つの前記偏光成分強度に基づいて演算し、
    前記演算結果に基づいて前記波長成分のそれぞれの光信号の波長分解ストークスベクトルの測定と偏光度の算出を実行し、
    前記波長成分のそれぞれの光信号の偏光度の算出値と、前記波長成分の光信号の偏光度の理論値と、の差分値に基づいて、前記波長分解ストークスベクトルの測定精度を評価して出力し、
    前記特定の波長帯域幅の光信号を複数の前記波長成分に分解する前記特定の波長帯域幅よりも狭い波長帯域幅は、当該波長分解ストークスベクトル測定装置が有する波長分解能の波長帯域幅であり、
    前記差分値は、前記偏光度の算出値の最小値と前記偏光度の理論値との差分値であって、
    前記波長分解ストークスベクトルの測定精度の評価は、
    許容値を超えて測定精度が劣化していると判断する前記差分値の第1の閾値と、前記第1の閾値までは達しないが、測定精度の劣化が認められると判断する、任意に設定する第2の閾値を設定し、
    前記差分値を、前記第1の閾値および前記第2の閾値と比較して前記測定精度を評価する
    ことを特徴とする波長分解ストークスベクトル測定方法。
  5. 前記差分値と、前記第1の閾値および前記第2の閾値との比較結果が、前記差分値が前記第1の閾値に達した場合は、測定精度の劣化を外部に通知するアラームを出力し、前記比較結果が、前記差分値が前記第2の閾値に達した場合は、当該波長分解ストークスベクトル測定装置の劣化要因となる部位の較正を外部に指示する信号を出力することを特徴とする請求項に記載の波長分解ストークスベクトル測定方法。
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