JP5740946B2 - プレスクエンチ装置 - Google Patents
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Description
図7は、特許文献1に記載された寸法測定装置の構成を示す概略図である。
図7に示すように、寸法変化測定装置100は、伝達手段129及び直動部材117を有している。そして、ストッパ107,107によって固定された環状体(ワーク)101の外周面に対して先端面が突き当てられた伝達手段129に伴う直動部材117の変位を検知することで、環状体101の寸法変化を連続的に測定することができる。
そこで、本発明は上記の問題点に着目してなされたものであり、その目的は、焼入れ中のワークの寸法挙動を測定し、プレスクエンチの最適な条件を特定することができるプレスクエンチ装置を提供することにある。
前記ワークの周方向の対向する2n箇所(nは整数)に複数設置され、前記矯正型を前記ワークに挿入しない状態で前記ワークの焼き入れを行ったときの前記ワークの外径寸法又は内径寸法の経時的な変化を測定する寸法変化測定手段と、
該寸法変化測定手段の測定結果に基づいて寸法変化情報を作成し、この寸法変化情報から、プレスクエンチにおける矯正型挿入タイミング、前記ワークのマルテンサイト変態が停止したとみなせる状態の時間である最適冷却時間、及び最適金型寸法を算出する演算手段とを有し、
前記寸法変化測定手段は、前記冷却手段の上方に配置され、
一部が前記冷却手段内に配置され、前記ワークの外周面又は内周面に対して前記ワークの径方向で接触する複数の測定子と、
前記ワークの径方向に摺動する前記測定子の変位に伴って前記ワークの径方向の膨張又は収縮を検知する変位センサと、
前記ワークの径方向の膨張又は収縮に追随するように前記測定子を前記ワークの外周面又は内周面に付勢させる弾性手段とを有することを特徴としている。
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載のプレスクエンチ装置において、前記冷却手段が、冷却媒体を前記ワークに噴射することを特徴としている。
また、請求項4に係る発明は、請求項1又は2に記載のプレスクエンチ装置において、前記冷却媒体が、焼入れ油又は水溶性焼入れ水であることを特徴としている。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係るプレスクエンチ装置の第1の実施形態における構成を示すブロック図である。また、図2は、本発明に係るプレスクエンチ装置の第1の実施形態における構成を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。また、図3は、本発明に係るプレスクエンチ装置の第1の実施形態において測定した焼入れ時のワークの経時的な寸法変化を示すグラフである。
図1に示すように、本発明に係るプレスクエンチ装置1は、変位センサ13をそれぞれ備えた複数の寸法測定手段10と、演算手段20とを有する。
寸法測定手段10は、図2(a),(b)に示すように、平板形状のブラケットBの底面Bbに、該底面Bbの下方に設置された台座50に設置されるワークWの中心軸Aを基準にして互いに対向するように複数(n対個、nは整数)設けられる。寸法測定手段10は、支持部材11と、測定子12と、変位センサ13と、軸体14と、弾性体15とを有する。
支持部材11は、ブラケットBの底面Bbに設置され、ブラケットBの下方に向かって延びるように設けられている。
弾性体15は、支持部材11に対して測定子12が軸体14に沿って常に付勢されるようにするための手段である。具体的には、支持部材11及び測定子12に付勢するように軸体14に巻回された巻きばねである。
演算手段20は、受付手段21と、制御手段22と、寸法変化情報作成手段23と、データベース24と、出力手段25とを有する。
受付手段21は、各寸法測定手段10の変位センサ13に情報転送ラインで通信可能に接続されている。
制御手段22は、受付手段21によって各寸法測定手段10の変位センサ13から測定結果情報を受信したことを契機として、得られた測定結果情報を時間情報と共に寸法変化情報作成手段23に送信するように受付手段21に命令する手段である。また、寸法変化情報作成手段23によって得られた寸法変化情報をデータベース24に蓄積したり、出力手段24に対して外部に出力するように命令する手段である。
このような構成を有する本実施形態のプレスクエンチ装置を用いた測定方法は、寸法変化装置1を用いてロットの最初のワークWで、焼入れ時の経時的な寸法変化を測定し、最適な焼入れ条件を求め、次のワークからは、求められた最適焼入れ条件を用いて焼入れが行われる。具体的には、下記(a)〜(i)の順で行われる。以下、図1及び図2を参照しながら説明する。
(b)測定対象であるワークWに対して加熱炉で所定温度(例えば、860℃)まで加熱を行う。
(c)加熱されたワークWをプレスクエンチ装置に搬送する。具体的には、台座50の側壁53の上面が座面51の表面及び搬送路60の表面と面一になるように側壁53を固定した状態で、搬送路60から側壁53の上面を経て座面51に、加熱されたワークWを搬送する。
(e)ある一定時間焼入れ油を吐出し、ワークWの焼入れを行う。
(f)(e)のワークWの焼入れの間、4つ(2対)の変位センサ13でサンプリングを行う。ワークWが収縮中、測定子12は弾性手段15の伸び力によってワークWに押し当てられ、ワークWの膨張中には、測定子12は、ワークWの膨張に伴い、弾性手段15は縮む。この伸び、及び縮み量を、測定子12を介して変位センサ13が検知し、各変位センサ13で寸法が求められる。
各寸法測定手段10の変位センサ13で得られた寸法変化情報が演算手段20(受付手段21)に送信される。
(h)寸法変化情報作成手段23が測定結果情報から寸法変化情報を作成する。このとき、作成された寸法変化情報から、「最適金型寸法」、「最適金型挿入タイミング」、及び「最適冷却時間」が特定され、寸法変化情報と共にデータベース24に蓄積される。
このように、本実施形態によれば、ワークWの焼入れ中の外周面の寸法変化(焼入れ開始から焼入れ完了までの寸法変化)から、「寸法変化情報」、「最適金型寸法」、「最適金型挿入タイミング」、及び「最適冷却時間」を特定することができる。その結果、プレスクエンチ技術の最適条件の設定が容易となり、研磨工程での取り代を削減できるという効果を奏する。
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係るプレスクエンチ装置は、ワークWを円錐軸受の外輪(内輪)としたことが前述の第1の実施形態と異なるだけであるので、第1の実施形態と同じ符号を付した同様の構成及び動作については説明を省略する。図3は、本発明に係るプレスクエンチ装置の第2の実施形態を示す概略図である。本実施形態のプレスクエンチ装置1は、円錐軸受の焼入れ中の外径寸法を経時的に測定することで研磨工程での取り代を削減できるという効果を奏する。
本実施形態のように、ワークWを円錐軸受の外輪(内輪)とした結果得られた寸法変化情報によって、ワークWの外周面が焼入れ中にどれだけ寸法変化するかがわかる。したがって、その寸法変化情報に基づいて、前工程である旋削工程で事前にワークWの外周面に傾斜を設け、焼入れ完了時に傾斜を抑制することが可能である。
次に、本発明の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係るプレスクエンチ装置は、測定子がワークの内周面に付勢していることが前述の第1の実施形態と異なるだけであるので、第1の実施形態と同じ符号を付した同様の構成及び動作については説明を省略する。図5は、本発明に係るプレスクエンチ装置の第4の実施形態を示す概略図である。図5に示すように、本実施形態の寸法測定手段10は、前述の第1の実施形態と同様に、支持部材11と、測定子12と、変位センサ13と、軸体14と、弾性体15とを有する。
軸体14は、ワークWの中心軸Aに向かうように支持部材11に複数取り付けられる。これらの軸体14,14には、支持部材11と同様にブラケットBの下方に向かって延びるように配置された1つの測定子12が、支持部材11と所定間隔を有して平行になるように取り付けられている。測定子12は、台座50に載置されたワークWの内周面WIに当接する。軸体14には、支持部材11及び測定子12が外れないように、支持部材11の外側及び測定子12の内側にストッパーが形成されている。
弾性体15は、支持部材11に対して測定子12が軸体14に沿って常に付勢されるようにするための手段である。具体的には、支持部材11及び測定子12に付勢するように軸体14に巻回された巻きばねである。
このように、本実施形態によれば、ワークWの焼入れ中の内周面の寸法変化(焼入れ開始から焼入れ完了までの寸法変化)から、「寸法変化情報」、「最適金型寸法」、「最適金型挿入タイミング」、及び「最適冷却時間」を特定することができる。その結果、プレスクエンチ技術の最適条件の設定が容易となり、研磨工程での取り代を削減できるという効果を奏する。
次に、本発明の第4の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係るプレスクエンチ装置は、ワークの内径及び外径を焼入れ油の噴霧によって冷却する構成が前述の第1の実施形態と異なるだけであるので、第1の実施形態と同じ符号を付した同様の構成及び動作については説明を省略する。図6は、本発明に係るプレスクエンチ装置の第4の実施形態を示す概略図である。図6に示すように、前述の第1の実施形態においては、冷却媒体を充填し、ワークWを浸漬する焼入れ槽を「冷却手段」としたが、本実施形態のプレスクエンチ装置1では、冷却媒体をワークWに噴射する噴射装置70,80を設けた。噴射装置70は、ワークWの内周面に対して冷却媒体を噴射する噴射装置であり、噴射装置80は、ワークWの外周面に対して冷却媒体を噴射する噴射装置である。
このように、本実施形態によれば、ワークWを冷却媒体に浸漬させるのではなく、冷却媒体をワークWに噴射する噴射装置70,80を設けることで、ワークWの表面にほぼ同時に冷却媒体を噴射可能なため、ワークWの上部及び下部の冷却不均一による外径形状の傾斜の発生が緩和される、という効果を奏する。
10 寸法測定手段
11 ブラケット
12 測定子
13 変位センサ
14 弾性体
20 演算手段
21 受付手段
22 制御手段
23 寸法変化情報作成手段
W ワーク
Claims (4)
- 加熱手段によって所定の温度に加熱された鋼製環状のワークを、冷却手段を用いて焼き入れし、焼き入れ中の前記ワークの外周面又は端面の少なくとも一方に矯正型を挿入して拘束し、焼き入れ時の前記ワークの変形を矯正するプレスクエンチ装置において、
前記ワークの周方向の対向する2n箇所(nは整数)に複数設置され、前記矯正型を前記ワークに挿入しない状態で前記ワークの焼き入れを行ったときの前記ワークの外径寸法又は内径寸法の経時的な変化を測定する寸法変化測定手段と、
該寸法変化測定手段の測定結果に基づいて寸法変化情報を作成し、この寸法変化情報から、プレスクエンチにおける矯正型挿入タイミング、前記ワークのマルテンサイト変態が停止したとみなせる状態の時間である最適冷却時間、及び最適金型寸法を算出する演算手段とを有し、
前記寸法変化測定手段は、前記冷却手段の上方に配置され、
一部が前記冷却手段内に配置され、前記ワークの外周面又は内周面に対して前記ワークの径方向で接触する複数の測定子と、
前記ワークの径方向に摺動する前記測定子の変位に伴って前記ワークの径方向の膨張又は収縮を検知する変位センサと、
前記ワークの径方向の膨張又は収縮に追随するように前記測定子を前記ワークの外周面又は内周面に付勢させる弾性手段とを有することを特徴とするプレスクエンチ装置。 - 前記冷却手段が、冷却媒体に前記ワークを浸漬させることを特徴とする請求項1に記載のプレスクエンチ装置。
- 前記冷却手段が、冷却媒体を前記ワークに噴射することを特徴とする請求項1に記載のプレスクエンチ装置。
- 前記冷却媒体が、焼入れ油又は水溶性焼入れ水であることを特徴とする請求項2又は3に記載のプレスクエンチ装置。
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