JP5740202B2 - 幾何誤差同定装置 - Google Patents
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Description
そして、上記5軸制御マシニングセンタにおける幾何誤差を同定する方法としては、ボールバーと呼ばれる変位センサを用いて行う3軸円弧補間運動測定、すなわち直線軸2軸と回転軸1軸とを同期させて、テーブル上の所定点と主軸の相対間変位を保持したまま円運動させ、得られた円軌跡の中心偏差量から幾何誤差を同定する方法が一般的に知られている。しかしながら、この方法では、ボールバーという特殊な測定器が必要になるとともに、ボールバーの設置方法によって同定精度に与える影響が大きく、幾何誤差の正確な同定に高い技能が必要になるという問題がある。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御装置は、前記割出位置において前記ターゲットの径又は所定の2点間の距離を前記計測値として取得し、当該径又は所定の2点間の距離と前記設定値とを比較し、両者の差が所定値以内であると、取得した計測値が正しい計測にもとづく計測値であると判断することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記制御装置は、前記割出位置において前記ターゲットにおける所定点の座標を前記計測値として取得し、取得した前記座標と、前記ターゲットが前記割出位置に割り出された際に前記所定点が位置するであろう推定座標とを比較し、両者の差が所定値以内であると、取得した計測値が正しい計測にもとづく計測値であると判断することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記制御装置は、取得した複数の前記計測値のうち、正しい計測にもとづかない前記計測値を用いることなく、正しい計測にもとづく前記計測値のみを用いて前記幾何誤差を同定することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記制御装置は、正しい計測にもとづかない前記計測値については、当該計測値を取得した前記割出位置において正しい計測にもとづく計測値を新たに取得し、当該新たに取得した正しい計測値をも含めて前記幾何誤差を同定することを特徴とする。
多軸工作機械1のベッド2の上面には、Y軸案内3、3が形成されており、該Y軸案内3、3には、トラニオン構造のAC軸ユニット4がY軸方向へ移動可能に設置されている。AC軸ユニット4は、前面視で左右方向に幅広なU字状に形成されたクレードル5を備えてなるもので、該クレードル5は、左右に内蔵されたA軸駆動機構(図示せず)により、X軸方向と平行なA軸(回転軸)周りに旋回傾斜可能となっている。また、AC軸ユニット4は、クレードル5の上面に加工対象となるワークを保持するためのテーブル6を備えており、該テーブル6は、クレードル5に内蔵されたC軸駆動機構(図示せず)により、Z軸と平行なC軸(回転軸)周りに360度回転可能となっている。
そして、上記多軸工作機械1は、テーブル6上に固定されるワークをA軸周り及びC軸周りで旋回・回転させるとともにY軸方向へと移動させる一方、工具を取り付けた主軸11をX軸及びZ軸へと移動させることにより、ワークに対して多面加工を施すようになっている。
上記並進軸を3軸有する5軸制御マシニングセンタである多軸工作機械1における幾何誤差は、隣り合う軸間において並進3成分/回転3成分の合計6成分の誤差が存在してる。しかしながら、冗長となる誤差を考慮すると、多軸工作機械1において同定すべき幾何誤差は、図2に示す13個となる。
そこで、これらの幾何誤差を同定するため、まず図3に示すようにテーブル6の回転中心からRだけ離れた位置へターゲット球21を固定する。そして、A軸旋回中心がC軸中心線上にあるとすると、C軸中心線とA軸旋回中心との交点を座標原点とした場合におけるターゲット球21の中心座標[X0 Y0 Z0 A0 C0]は下記(式1)となる。
つまり、たとえばA軸の旋回角度が0degで、C軸、X軸、及びY軸による同時3軸円弧補間運動を行う場合、上記(式2)におけるθはC軸の割出角度と一致し、まず、Z成分のみを用いると、上記(式2)の1次成分は下記(式3)の関係式で表される。尚、下記(式3)におけるBXYC0_ZとCXYC0_Zとは、どちらもXYC同時3軸測定のZ成分により導いた上記(式2)における1次成分を表す。
また、上記実施形態ではターゲット球21の直径を計測値として取得するように構成しているが、ターゲット球21の半径を取得し、取得した半径と予め設定されている半径とを比較するような構成としてもよい。加えて、ターゲット球の代わりに立方体をターゲットとして採用することも可能である。この場合、立方体の対向面間の距離や所定の2点間の距離をターゲット球の直径の代わりとすればよいし、立方体の中心座標をターゲット球の中心座標とすればよい。
またさらに、S1においてAC軸ユニット4の動作範囲や主軸11のストローク範囲を超えて計測ポイントを設定してしまったことにより、円弧軌跡を求めるに際して必要な数の正しい計測値がないような場合にも、円弧軌跡の求める算出成分を変更、すなわち同定する幾何誤差を変更するようにしても何ら問題はない。
また、回転軸の1つであるA軸はクレードルの旋回軸に限定されず、360度回転可能な回転軸であってもよいし、ターゲットとタッチプローブの配置を入れ替えても幾何誤差の同定は可能である。
Claims (5)
- 工具を装着する主軸と、ワークを保持するテーブルとが、互いに直交する3方向の並進軸と、少なくとも1つの回転軸とによって相対移動することにより前記ワークを前記工具で加工する多軸工作機械において、前記主軸又は前記テーブルの一方に取り付けられたターゲットの割出位置を、前記主軸又は前記テーブルの他方に取り付けられたタッチプローブにより計測して計測値を取得し、複数の前記計測値にもとづいて前記多軸工作機械の幾何誤差を同定する制御装置を備えた幾何誤差同定装置であって、
前記制御装置は、取得した前記計測値と予め設定されている設定値とを比較することにより、前記計測値が正しい計測にもとづくものであるか否かを判断するとともに、正しい計測にもとづく前記計測値のみを用いた円弧軌跡を同定して前記幾何誤差を同定するとともに、前記円弧軌跡を同定するにあたり、前記正しい計測にもとづく計測値の数に応じて、前記円弧軌跡の成分次数を変更することを特徴とする幾何誤差同定装置。 - 前記制御装置は、前記割出位置において前記ターゲットの径又は所定の2点間の距離を前記計測値として取得し、当該径又は所定の2点間の距離と前記設定値とを比較し、両者の差が所定値以内であると、取得した計測値が正しい計測にもとづく計測値であると判断することを特徴とする請求項1に記載の幾何誤差同定装置。
- 前記制御装置は、前記割出位置において前記ターゲットにおける所定点の座標を前記計測値として取得し、取得した前記座標と、前記ターゲットが前記割出位置に割り出された際に前記所定点が位置するであろう推定座標とを比較し、両者の差が所定値以内であると、取得した計測値が正しい計測にもとづく計測値であると判断することを特徴とする請求項1に記載の幾何誤差同定装置。
- 前記制御装置は、取得した複数の前記計測値のうち、正しい計測にもとづかない前記計測値を用いることなく、正しい計測にもとづく前記計測値のみを用いて前記幾何誤差を同定することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の幾何誤差同定装置。
- 前記制御装置は、正しい計測にもとづかない前記計測値については、当該計測値を取得した前記割出位置において正しい計測にもとづく計測値を新たに取得し、当該新たに取得した正しい計測値をも含めて前記幾何誤差を同定することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の幾何誤差同定装置。
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