JP5739849B2 - 飼料米及びその製造方法、飼料米を含む牛用飼料、牛用飼料を用いた肉牛の肥育方法 - Google Patents
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Description
図1に示すように、本実施形態の飼料米1は、籾殻付米10をその表面温度が約110℃になるまで焙煎し、焙煎後の籾殻付米10を破砕して、粒子径を約3.0mm以下(概ね1.0mm〜3.0mm)の粒状にしたものである。以下、飼料米1の製造装置及び製造工程について詳述する。
図2に示すように、飼料米の製造装置2は、昇降機20と、定量供給機21と、焙煎機22と、精選機23と、サイロ24と、石抜き機25と、破砕機26と、シフター27と、空気輸送機28と、製品タンク29と、を備える。
昇降機20は、投入した籾殻付米10を昇降させる装置である。本実施形態の製造装置2は、昇降機20(20a、20b)を2機備えていて、これら昇降機20は主として籾殻付米10を下方から上方へ運ぶために用いる。
定量供給機21は、所定量の籾殻付米10を焙煎機22に供給するための装置である。本実施形態においては、約50kgの籾殻付米10を測定して焙煎機22に供給する。なお、焙煎機22に供給する籾殻付米10の量は50kgに限られず、これより多くてもよい。
焙煎機22は、籾殻付米10を焙煎する装置である。なお、焙煎とは食品を乾煎りすること、すなわち、籾殻付米10を焙煎機22に入れ、ほぼ密閉状態(半密閉状態)で、水分を加えず外から高い温度に加熱する。なお、本実施形態においては、焙煎機22からの排気温度が約500℃となる状態にして籾殻付米10を焙煎する。そして、籾殻付米10の内部の水分が蒸発して、このとき、籾殻付米10が膨化する。なお、本実施形態の焙煎機22には、ガス焙煎機を用いているが、これに限られず、マイクロウェーブ等を使った電子焙煎機や、赤外線を使った焙煎機を用いてもよい。
精選機23は、焙煎した籾殻付米10を精選する。すなわち、籾殻付米10の籾殻には、ヒゲなどの不要部分が存在していて、籾殻付米10が焙煎された時に、このヒゲが黒く炭化する。炭化したヒゲは飼料には適さない。また、脱穀機により籾殻付米10を穂から外す時に出たワラなどが、籾殻付米10に混在する場合がある。そこで、精選機23によって、籾殻付米10を、例えば7mmの網と3mmの網とに通し、ワラ(7mmの網上に残る)と炭化したヒゲ(3mmの網下に落ちる)とを選別し除去して、精選した籾殻付米10を得る(7mmの網と3mmの網との間に残る)。
サイロ24は、焙煎した籾殻付米10を一時的に貯蔵する。ここで、焙煎して熱を持った籾殻付米10を、その自己熱を利用して自己焙煎させると同時に、籾殻付米10を自然冷却させる。なお、本実施形態では、焙煎した籾殻付米10を4〜5時間程サイロ24に貯蔵して、自己焙煎と自然冷却とを行う。
石抜き機25は、籾殻付米10に混在する小石や砂利等を除去するための装置である。石抜き機25は、籾殻付米10に空気(風)をあて、籾殻付米10と相対的に比重の大きい小石や砂利等とを分離させて小石や砂利等を除去する。同時に、籾殻付米10は空気(風)により冷却される。
破砕機26は、サイロ24及び石抜き機25を通過した籾殻付米10を破砕する装置である。破砕機26は、例えば、籾殻付米10の粒子径を2.0mmや3.0mm、4.0mmなど、設定により籾殻付米10の破砕の度合を調整できる。また、本実施形態の製造装置2は、破砕機26(26a、26b、26c)を3機備える。
シフター27は、破砕した籾殻付米10をふるいにかける装置であり、所定の篩目の篩網を用いて振動させ、篩網を通過したものと篩網に残ったものとを分離する。このように、シフター27は、例えば、籾殻付米10の粒子径を2.0mmや3.0mm、4.0mmなど、篩目の設定により籾殻付米10のふるいの度合を調整できる。また、本実施形態の製造装置2は、シフター27(27a、27b)を2機備える。
空気輸送機28は、空気を送りこむことにより、焙煎し破砕した籾殻付米10を製品タンク29まで輸送するためのものである。
製品タンク29は、焙煎し破砕した籾殻付米10を、製品出荷前に一時的に貯蔵するためのものである。なお、製品タンク29に送られた段階で、製品出荷目のチェックを残し、焙煎し破砕した籾殻付米10は、飼料米1としてほぼ完成している。
続き、製造装置2の全体構成について、籾殻付米10の流れに沿って説明する。製造装置2は、大きく分けて籾殻付米10を焙煎する機器を備える構成Aと、焙煎した籾殻付米10を破砕する構成Bとからなる。構成Aは、第一の昇降機20aと第二の昇降機20bとの間で、構成Bは、第二の昇降機20bと空気輸送機28との間である。
次に、本実施形態の飼料米1の製造工程について、図面に基づき説明する。
(ステップS1)
図3に示すように、飼料米1を製造するために、籾殻付米10を第一の昇降機20aの下方から投入する。
第一の昇降機20aに投入された籾殻付米10は、第一の昇降機20aにより上方に運ばれて、定量供給機21に供給される。続き、定量供給機21から所定量(本実施形態では、約50kg)の籾殻付米10が、焙煎機22に供給される。
そして、焙煎機22で籾殻付米10が焙煎される。本実施形態においては、例えば、籾殻付米10の表面温度が約110℃になるまで籾殻付米10を焙煎する。この場合、籾殻付米10は、焙煎機22で約3〜4分間焙煎されることとなる。このとき、籾殻付米10に含有されている水分量が約14〜18%から約5%〜8%に減少されるのと同時に、籾殻付米10が膨化して適度に柔らかくなる。また、膨化した籾殻付米10のα化度は約30%〜50%となる(本実施形態では42.8%となった(図4参照))。このようなα化度であれば、籾殻付米10を破砕したときに、籾殻付米10の全てが粉末状となることなく、粒子径を2.0mmや3.0mm、4.0mmなど、所定の大きさの粒状とすることができる。
焙煎機22で焙煎された籾殻付米10は、その後精選機23に運ばれて、精選機23により、籾殻付米10は7mmの網と3mmの網とに通され、ワラ(7mmの網上に残る)と炭化したヒゲ(3mmの網下に落ちる)とが選別されて除去され、精選された籾殻付米10を得る(7mmの網と3mmの網との間に残る)。
精選された籾殻付米10は、第二の昇降機20bの下方に投入され、第二の昇降機20bにより上方に運ばれた後、サイロ24に貯蔵される。ここで、ステップS4の工程により焙煎されて熱を持った籾殻付米10を、その自己熱を利用して自己焙煎させると同時に、自然冷却させる。なお、本実施形態では、焙煎した籾殻付米10を4〜5時間程サイロ24に貯蔵して、自己焙煎と自然冷却とを行う。
次に、籾殻付米10は、サイロ24から石抜き機25に運ばれて、石抜き機25により、籾殻付米10に混在する小石や砂利等が除去される。具体的には、籾殻付米10に空気(風)をあて、籾殻付米10と相対的に比重の大きい小石や砂利等とを分離させて小石や砂利等を除去する。同時に、籾殻付米10は空気(風)により冷却される。
そして、籾殻付米10は、石抜き機25を経て、その下方に配された第一の破砕機26aに運ばれて破砕される。本実施形態においては、例えば、籾殻付米10を3.0mmに破砕する設定としている。なお、籾殻付米を破砕する関係上、全ての籾殻付米10の粒子径を正確に3.0mmとすることは難しく、中には3.0mmよりも大きいものや小さいものも当然に存在する。
次に、破砕された籾殻付米10は、第一のシフター27aに運ばれる。本実施形態において、第一のシフター27aは、3.0mmの篩目の篩網を用いており、よって、籾殻付米10の粒子径が3.0mmよりも大きいものが篩網に残り、3.0mm以下のものが篩網から落ちて、これらが分離される。なお、粒子径が3.0mmよりも大きい籾殻付米10はステップS9へ、3.0mmmm以下の籾殻付米10はステップS10へ、進む。
第一のシフター27aに残った、粒子径が3.0mmよりも大きい籾殻付米10は、第二の破砕機26bに運ばれて再度破砕される。
そして、ステップS8において粒子径が3.0mm以下の籾殻付米10と、ステップS9を経て第二の破砕機26bで再度破砕された籾殻付米10とが、ともに空気輸送機28に運ばれる。
空気輸送機28に供給された籾殻付米10は、空気輸送機28内で下方から上方に輸送され、製品タンク29に供給される。なお、この時点で、焙煎され破砕された籾殻付米10は、飼料米1としてほぼ完成しおり、以下のステップS12〜ステップS14は、製品出荷前のチェック工程のようなものである。
製品タンク29に供給された籾殻付米10は、第二のシフター27bに運ばれる。本実施形態において、第二のシフター27bは、第一のシフター27aと同様、3.0mmの篩目の篩網を用いており、よって、籾殻付米10の粒子径が3.0mmよりも大きいものが篩網に残り、3.0mm以下のものが篩網から落ちて、これらが分離される。また、粒子径が3.0mmよりも大きい籾殻付米10はステップS13へ、3.0mm以下の籾殻付米10は製品出荷用の飼料米1としてステップS14へ、進む。
第二のシフター27bに残った粒子径が3.0mmよりも大きい籾殻付米10は、第三の破砕機26cに運ばれてさらに破砕され、空気輸送機28へ運ばれる(ステップS10に戻る)。
一方、ステップS12において粒子径が3.0mm以下の籾殻付米10は、製品出荷用の飼料米1となる。以上のステップS1〜ステップS14の工程により、原料である籾殻付米10が、飼料米1として生成される。なお、本実施形態のステップS12において、第二のシフター27b上に残る、粒子径が3.0mmよりも大きい籾殻付米10は非常に少ないため、ステップS1〜ステップS11の工程をもって飼料米1を完成としてもよい。
次に、飼料米1を用いた牛用飼料101について説明する。本実施形態の牛用飼料101は、主として肉牛に用いることを目的とする牛用飼料である。牛用飼料101は、従来のとうもろこしを主原料とする濃厚飼料に、飼料米1を、飼料米1が牛用飼料101全体の約30%となるように混合してなる。そして、このようにして生成した栄養バランスの優れた牛用飼料101を肉牛に給与して肉牛を肥育する。
以上説明したように、本実施形態の飼料米によれば、籾殻付米を焙煎することで、籾殻付米を膨化させ適度に柔らかくできる。また、この膨化した籾殻付米を破砕することで、適度なサイズの粒状とできる。これにより、全てを粉末状にした場合のように、腸の細毛に粉末が付着することによるガスの発生を抑え、また、胃ですぐに消化吸収されることがないため胃での消化吸収量を抑えられ、腸で消化吸収させることができる。したがって、牛がすぐに満腹状態となることを抑制して、牛に目的の分量の飼料を与えることができる。また、飼料米を混合した牛用飼料を給与して牛を肥育することで、牛の肉質や乳質の向上を図ることができる。くわえて、飼料米の原料に籾殻付米を用いることで、籾なしの米を用いた場合と比較し、栄養バランスに優れた飼料米とすることができ、これによっても牛の肉質や乳質の向上を図ることができる。
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。特に、本実施形態では、粒子径が3.0mm以下の飼料米としたが、飼料米の粒子径はこれに限られず、例えば4.0mm以下や、2.0mm以下、また、1.0mm〜3.0mmや、0.5mm〜2.5mmなどとしてもよい。なお、飼料米の粒子径は、例えば、破砕機とシフターの設定により種々可能である。また、本実施形態では、焙煎機により籾殻付米の表面温度が約110℃になるまで焙煎することとしているが、これに限られず、例えば籾殻付米の表面温度が90℃〜150℃や100℃〜130℃のうちの所定温度、115℃や120℃、125℃、128℃等になるまで焙煎することとしてもよい。また、本実施形態では、飼料米を牛用飼料全体の約30%混合することとしているが、例えば10%や60%などとしてもよく、100%としてもよい。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
10 籾殻付米
2 製造装置
20a、20b 昇降機
21 定量供給機
22 焙煎機
23 精選機
24 サイロ
25 石抜き機
26a、26b 破砕機(ロールミル)
26c 破砕機(高速度破砕機)
27a、27b シフター
28 空気輸送機
29 製品タンク
101 牛用飼料
Claims (10)
- 牛用飼料に用いる飼料米であって、
籾殻付米を焙煎し破砕して、粒状にしたことを特徴とし、
前記焙煎は、前記籾殻付米の表面温度が90℃〜150℃となるまで焙煎する、
飼料米。 - 前記焙煎は、前記籾殻付米の表面温度が100℃〜130℃となるまで焙煎することを特徴とする
請求項1記載の飼料米。 - 粒子径が4.0mm以下であることを特徴とする
請求項1または2記載の飼料米。 - 粒子径が3.0mm以下であることを特徴とする
請求項3記載の飼料米。 - 請求項1〜4のいずれか1項記載の飼料米を含むことを特徴とする
牛用飼料。 - 前記飼料米を、全体の1%〜60%含むことを特徴とする
請求項5記載の牛用飼料。 - 請求項5または6記載の牛用飼料を牛に給与することを特徴とする
牛の肥育方法。 - 牛用飼料に用いる飼料米の製造方法であって、
籾殻付米を前記籾殻付米の表面温度が90℃〜150℃となるまで焙煎する第一の工程と、
前記籾殻付米を破砕して粒状にする第二の工程と、
を備え、
前記第二の工程により前記籾殻付米の粒子径を4.0mm以下とすることを特徴とする
飼料米の製造方法。 - 前記第一の工程が、前記籾殻付米の表面温度が100℃〜130℃となるまで焙煎する工程であり、
前記第二の工程により前記籾殻付米の粒子径を3.0mm以下とすることを特徴とする
請求項8記載の飼料米の製造方法。 - さらに、破砕した前記籾殻付米をふるいにかける第三の工程を備え、
前記籾殻付米を、その粒子径が4.0mm以下または3.0mm以下など、所定の大きさになるまで、前記第二の工程と前記第三の工程とを繰り返すことを特徴とする
請求項8または9記載の飼料米の製造方法。
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