[実施形態]
図1は、実施形態に係るエレベータシステムの概略構成例を示すブロック図、図2は、実施形態に係るエレベータシステムの乗場行先階登録装置の概略構成を示す図、図3は、実施形態に係るエレベータシステムのかご内操作盤の概略構成を示す図である。
図1に示す本実施形態のエレベータシステム1は、昇降路2を昇降可能な乗りかご3とその乗りかご3の動作を制御し運転状態を監視するエレベータ制御盤6とを含む複数のエレベータの運行サービスを行うものである。なお、以下の説明では、複数号機からなるエレベータシステム1は、4台の乗りかご3を備えるもの、つまり4台のエレベータを備えるものとして説明するが、これに限らず、2台、あるいは3台を備えるものであってもよいし、5台以上を備えるものであってもよい。また、以下の説明では、特に断りのない限り、複数の乗りかご3を区別せずに説明する。また、図1に示すエレベータシステム1は、1階から10階までの10階建ての建造物5に設けた場合として説明するが、建造物5の階数はこれに限定されない。
エレベータシステム1は、図1に示すように、昇降路2と、A号機、B号機、C号機及びD号機の4台からなる複数の乗りかご3と、乗り場4と、各乗りかご3に対応して配置され、乗りかご3の動作を制御し運転状態を監視するエレベータ制御盤6と、複数のエレベータを一括して管理するエレベータ群管理部(群管理制御部)8と、乗り場4の各階に配置され、利用者が操作を入力する乗場操作盤10と、各乗りかご3に配置され、利用者が操作を入力するかご内操作盤11と、を有する。
昇降路2は、建造物9の鉛直方向に沿って設けられる。乗りかご3は、メインロープが接続され昇降路2内に配置され、この昇降路2を昇降可能である。乗りかご3は、当該乗りかご3に対応して設けられるシーブに巻き掛けられたメインロープを介してカウンタウェイトと連結されており、巻上機の駆動によるシーブの回転に伴い、カウンタウェイトとともに互いに上下反対方向に昇降する。乗り場4は、乗りかご3が着床可能な各エレベータ停止階床に設けられ、利用者が乗りかご3に対して乗降したり、荷物を乗りかご3に対して積み下ろしたりするための場所である。
エレベータ制御盤6は、乗りかご3に対応して配置されている。つまり、エレベータ制御盤6は、1つの乗りかご3に対して1つ配置されている。エレベータ制御盤6は、対応する乗りかご3のかご内操作盤11や各種センサおよびエレベータ群管理盤8に電気的に接続され、相互に検出信号や駆動信号、制御指令等の情報の通信、授受を行う構成である。エレベータ制御盤6は、シーブを回転させる巻上機を制御し、乗りかご3の上下動作や停止動作を制御する。例えば、エレベータ制御盤6は、エレベータ群管理盤8から供給される指示に基づいて、停止階を決定し、当該停止階に向けて乗りかご3の昇降を制御する。また、エレベータ制御盤6は、乗りかご3のドア等の制御を行い、ドアの開閉動作を制御する。例えば、エレベータ制御盤6は、乗りかご3の位置、エレベータ群管理盤8から供給される指示やかご内操作盤11から送られてくる信号に基づいて、ドアの開閉を制御する。また、エレベータ制御盤6は、乗りかご3の運転状態として、乗車人数、乗車割合、停止予定の階、現在位置、移動方向等を監視する。なお、エレベータ制御盤6は、乗りかご3や巻上機やメインロープに配置された種々のセンサ、検出器から送られてくる情報に基づいて運転状態を検出し、監視する。
エレベータ群管理盤8は、複数のエレベータを一括して管理する。エレベータ群管理盤8は、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU(中央演算処理装置)、所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM(Read Only Memory)、CPUの演算結果を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、予め用意されたマップデータ、エレベータシステム1の仕様等の情報を記憶するバックアップRAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路を備えている。エレベータ群管理盤8は、各エレベータのエレベータ制御盤6、乗場操作盤10等のエレベータシステム1の各部と電気的に接続されている。また、エレベータ群管理盤8は、エレベータ制御盤6を介してかご内操作盤11とも電気的に接続されている。なお、エレベータ群管理版8は、かご内操作盤11とエレベータ制御盤6を介さずに電気的に接続されていてもよい。エレベータ群管理盤8は、各エレベータ制御盤6から送られてくる乗りかご3の運転状態や各乗りかご3に配置されたかご内操作盤11から送られてくる情報や各乗り場4に配置された乗場制御盤10から送られてくる情報に基づいて、各エレベータの動作を制御する。具体的には、エレベータ群管理盤8は、かご内操作盤11および乗場操作盤10から送られてきた行先階登録情報をどのエレベータの乗りかご3に対応させるかの割り当てを決定し、決定した情報を割り当てた乗りかご3に対応するエレベータ制御盤6に送る。この点については後述する。
乗場操作盤10は、乗り場4の各階に配置されている。なお、図1では乗場操作盤10を、各乗り場4に1つ配置した構成としたが、1つの乗り場4に複数配置してもよい。乗場操作盤10は、図2に示すように、利用者が操作を入力する乗場行先階登録装置10aと、利用者に案内等を表示する乗場表示装置10bと、を有する。
乗場行先階登録装置10aは、利用者による操作入力に応じていわゆる乗りかご3の呼び登録を行うものである。乗場行先階登録装置10aは、利用者が行先階を入力する操作部である行先階入力部を有する。行先階入力部は、例えば「1」から「9」と「0」と「B」と空欄の12個のボタンで構成されている。利用者は、行先階入力部の「1」から「9」と「0」と「B」とのボタンを組み合わせて入力することで、行先階を入力することができる。また、本実施形態では、1階から10階に乗り場4を設けた構成であるが、地下階もある場合、利用者は、「B」のボタンを入力することで、行先階として地下階を入力することができる。また、行先階入力部は、数字の「1」から「9」と「0」と「B」とのボタンで構成されるテンキーに限定されない。乗場行先階登録装置10aの行先階入力部は、入力対象の行先階のボタンが全て配置された構成、例えば「10F」、「15F」、「B1」のボタンなどが配列された構成でもよい。乗場行先階登録装置10aは、呼び登録として利用者の操作入力に応じて行先階登録情報を作成し、エレベータ群管理盤8に送信する。また、乗場行先階登録装置10aは、さらに人数を入力するボタンを設け、複数人分の行先階登録情報を一度に入力できるようにしてもよい。
乗場表示装置10bは、画像を表示する表示装置である。エレベータ群管理盤8から送られてくる乗りかご3の割り当て結果、つまり乗場行先階登録装置10aが送った行先階登録情報に基づいてエレベータ群管理盤8が決定した対応する乗りかご3の割り当ての情報を表示させる。つまり、乗場表示装置10bは、利用者が複数のエレベータの乗りかご3のうち、どの乗りかご3に乗るのかを示す画像(情報)を表示する。
乗場操作盤10は、乗場行先階登録装置10aで利用者が行先階入力部に入力した操作に基づいて行先階登録情報を作成し、作成した行先階登録情報をエレベータ群管理盤8に送る。また、乗場操作盤10は、作成した行先階登録情報をエレベータ群管理盤8に送った後、エレベータ群管理盤8から送られてくる行先階登録情報に対応する乗りかご3の割り当て情報を乗場表示装置10bに表示させる。
かご内操作盤11は、各乗りかご3の内部に配置されている。なお、図1ではかご内操作盤11を、各乗りかご3に1つ配置した構成としたが、1つの乗りかご3に複数配置してもよい。かご内操作盤11は、図3に示すように、利用者が操作を入力するかご内行先階登録装置11aおよび利用者に案内等を表示するかご内表示装置11bと、を有する。
かご内行先階登録装置11aは、利用者による操作入力に応じて行先階登録情報の作成、キャンセル(削除)および変更の少なくとも1つを行う装置である。かご内行先階登録装置11aは、乗場行先階登録装置10aと同様の構成であり、利用者が行先階を入力する操作部である行先階入力部を有する。利用者は、行先階入力部を操作することで行先階を入力することができる。また、利用者は、行先階入力部を操作することで、乗場行先階登録装置10aで入力した自身の行先階を入力することができ、乗場行先階登録装置10aを操作して入力した行先階登録情報を特定するための操作を入力することができる。かご内行先階登録装置11aは、利用者の操作入力に応じて行先階登録情報を作成し、エレベータ群管理盤8に送信する。また、かご内行先階登録装置11aは、利用者の操作入力に応じて利用者が乗場行先階登録装置10aで入力した行先階登録情報を特定し、当該行先階登録情報のキャンセル指示や変更指示も送信する。なお、かご内行先階登録装置11aは、行先階入力部を乗場行先階登録装置10aの行先階入力部とは異なる形状、ボタン構成としてもよい。また、かご内行先階登録装置11aは、自身が入力した行先階登録情報を特定するための操作を入力するか、新たに行先階登録情報を入力するかを示すつまり入力する情報を特定する操作を入力することができるボタンをさらに設けてもよい。
かご内表示装置11bは、画像を表示する表示装置である。エレベータ群管理盤8から送られてくる乗りかご3の割り当て結果、つまりかご内行先階登録装置11aが送った行先階登録情報に基づいてエレベータ群管理盤8が決定した対応する乗りかご3の割り当ての情報を表示させる。つまり、かご内表示装置11bは、利用者が複数のエレベータの乗りかご3のうち、どの乗りかご3に乗るのか、また、当該乗りかご3に乗り換えるために現在乗っている乗りかご3から降りる停止階の情報を示す画像(情報)を表示する。また、かご内表示装置11bは、エレベータ群管理盤8からかご内行先階登録装置11aが送った行先階登録情報に対応できない旨の情報や、行先階登録情報の変更ができない旨の情報が送られてきた場合、その情報を表示させる。
かご内行先階登録装置11aは、利用者が入力した操作を検出し、検出した操作に対応する操作信号をエレベータ制御盤6に送る。エレベータ制御盤6は、かご内行先階登録装置11aから送られた操作信号に基づいて制御を行う。
また、かご内操作盤11は、開ボタンや閉ボタン、非常呼び出しボタン等がさらに配置されている。かご内操作盤11は、開ボタンや閉ボタン、非常呼び出しボタンが操作されると、利用者が乗りかご3の開閉動作の操作および非常事態であることを通知する操作が入力されたこと示す操作信号をエレベータ制御盤6に送る。
上記のように構成されるエレベータシステム1は、利用者により乗場行先階登録装置10aを介してかご呼び操作が行われた場合に、乗場行先階登録装置10aが利用者の入力に基づいて行先階登録情報を作成し、エレベータ群管理盤8に送信する。エレベータ群管理盤8は、行先階登録情報や乗りかご3の現在の移動方向(昇降方向)に基づいて、利用者を乗車させる乗りかご3を決定し、当該乗りかご3を制御するエレベータ制御盤6に指示を送信する。エレベータ制御盤6は、エレベータ群管理盤8から送信された指示に基づいて巻上機を駆動し、当該利用者がいる乗り場4まで乗りかご3を移動させる。エレベータ制御盤6は、巻上機でメインロープを巻き上げることで、昇降路2内の乗りかご3を鉛直方向上下に昇降移動させ、任意の目的階の乗り場4に移動させる。
また、エレベータシステム1は、乗りかご3に乗っている利用者によりかご内行先階登録装置11aを介して行先階登録情報の入力、変更、キャンセルが行われた場合に、かご内行先階登録装置11aが当該操作に対応する情報をエレベータ群管理盤8に送信する。エレベータ群管理盤8は、新たに入力された、変更されたまたはキャンセルされた行先階登録情報や乗りかご3の現在の移動方向(昇降方向)に基づいて、利用者を降車させる停止階および乗車させる乗りかご3を決定し、当該乗りかご3を制御するエレベータ制御盤6に指示を送信する。エレベータ制御盤6は、エレベータ群管理盤8から送信された指示に基づいて巻上機を駆動し、当該利用者がいる乗り場4まで乗りかご3を移動させ、当該乗りかご3を任意の目的階の乗り場4に移動させる。また、エレベータ群管理盤8は、乗場行先階登録装置10aから送信される行先階登録情報(呼び登録)や乗りかご3の現在の移動方向に基づいて、A号機、B号機、C号機及びD号機からなる複数の乗りかご3の運行を効率的に割り振り、エレベータシステム1全体として効率的な運行サービスを行う。
次に、図4を用いて、エレベータシステム1の制御動作、具体的には行先階登録情報に基づいた乗りかご3の割り当ての決定方法の一例について説明する。図4は、実施形態に係るエレベータシステムにおける制御の一例を説明するフローチャートである。なお、図4は、任意の乗り場4の乗場行先階登録装置10aで登録された1つの行先階登録情報の処理である。エレベータシステム1は、図4に示す処理を繰り返し実行して、乗場行先階登録装置10aから送られる行先階登録情報、かご内行先階登録装置11aから送られる各種情報をエレベータ群管理盤8で処理し、各エレベータ制御盤6に指示を送り、各乗りかご3を制御する。
エレベータシステム1は、ステップS12として、乗場行先階登録装置10aで行先階の登録を検出する。つまり、エレベータシステム1は、乗場行先階登録装置10aで利用者が入力した呼び登録を検出する。行先階登録装置10aは、利用者が入力した行先階の情報に基づいて行先階登録情報を作成し、エレベータ群管理盤8に送る。
エレベータシステム1は、ステップS12で行先階の登録を検出し、行先階登録情報を作成したら、ステップS14として、群管理盤(エレベータ群管理盤8)にて、対応する乗りかご3を割り当てる。つまり、エレベータシステム1は、エレベータ君管理部8で、ステップS12で検出した行先階登録情報および各エレベータの運転状態(乗りかご3の位置、乗車状態)に基づいて、行先階登録情報に対応し、当該行先階登録情報を登録した利用者を乗車させる乗りかご3を決定する。
エレベータシステム1は、ステップS14で、乗りかご3を割り当てたら、ステップS16として、乗場表示装置10bにて登録された乗りかご3の号機を表示する。つまり、エレベータシステム1は、行先階登録情報に対して割り当てた乗りかご3の情報を、当該行先階登録情報を送信した乗場行先階登録装置10aに対応して配置された乗場表示装置10bに送り、乗場表示装置10bに当該行先階情報の利用者が乗車する乗りかご3の号機の情報を表示させる。
エレベータシステム1は、ステップS16で乗場表示装置11bにて登録された乗りかご号機を表示したら、ステップS18として、割り当てた乗りかご3を呼び出し階で停止させる。つまり、エレベータシステム1は、割り当てた乗りかご3の情報を表示させたら、割り当てた乗りかご3を制御し、呼び出し階(行先階登録情報が登録された乗場行先階登録装置10aがある乗り場4)で停止させ、利用者を乗車させる。具体的には、エレベータシステム1は、行先階登録情報に基づいた各種情報をエレベータ群管理盤8から割り当てた乗りかご3のエレベータ制御盤6に送り、エレベータ制御盤6で対応する乗りかご3の動作を制御する。つまり、エレベータ群管理盤8は、行先階登録情報に基づいて、呼び操作が入力された乗り場4の情報(利用者がいる乗り場4、呼び出し階の情報)、行先階と当該行先階に行く利用者の数、の情報をエレベータ制御盤6に送る。エレベータ制御盤6は、エレベータ群管理盤8から送られた情報に基づいて乗りかご3の動作を処理し、乗りかご3を指定された階に移動させる。エレベータ制御盤6は、既に指定された階に乗りかご3が停止している場合はそのまま停止した状態とする。また、エレベータ制御盤6は、停止階で乗りかご3のドアを開け、利用者を乗車させる。
エレベータシステム1は、ステップS18で乗りかご3を呼び出し階で停止させ、利用者を乗車させたら、ステップS20として登録行先階の変更操作ありかを判定する。ここで、登録行先階の変更操作とは、乗場行先階登録装置10aで登録された行先階登録情報をかご内行先階登録装置11aで変更する操作である。ここで、登録行先階の変更操作は、利用者がかご内行先階登録装置11aで、自身が登録した行先階登録情報の行先階を指定する。変更操作としては、例えばかご内行先階登録装置11aの自身の行先階を示すボタンを押す操作がある。
エレベータシステム1は、変更操作なし(No)と判定したら、ステップS21として行先階で停止する。つまり、エレベータシステム1は、ステップS12で検出した登録の行先階で乗りかご3を停止させ、利用者を下車させる。エレベータシステム1は、ステップS21で利用者を下車させたら、本処理を終了する。
エレベータシステム1は、ステップS20で変更操作あり(Yes)と判定したら、ステップS24として、複数の利用者が同じ行先階を登録しているかを判定する。つまり、ステップS20で行先階を変更する操作が行われた変更前の行先階(取り消される行先階)と同一の行先階の行先階登録情報が他にもあるかを判定する。エレベータシステム1は、ステップS24で同じ行先階が登録されている(Yes)と判定したら、ステップS26として変更を受け付けない決定をする。つまり、ステップS20で入力された新たな行先階に対応する処理を行わないことを決定する。
エレベータシステム1は、ステップS26で変更を受け付けない処理を実行したら、ステップS28として、次の停止階で停止する。つまり、エレベータシステム1は、エレベータ制御盤6により制御を行い、利用者が乗車している乗りかご3をエレベータ群管理盤8の指示により停止階となっている階で停止させる。なお、次の停止階が利用者の登録した変更前の行先階である場合は、変更前の行先階で停止する。
エレベータシステム1は、ステップS28で乗りかご3を停止させたら、ステップS30として利用者に下車を通知する。例えば、エレベータシステム1は、かご内表示装置11bに行先階変更操作を入力した利用者に対してメッセージを表示させ、利用者に下車と通知し、利用者を下車させる。エレベータシステム1は、ステップS30で利用者に下車を通知したら、本処理を終了する。この場合、利用者は、下車した停止階で乗場行先階登録装置10aに変更を希望した行先階の行先階登録情報を入力することで、目的とする行先階に移動することができる。
また、エレベータシステム1は、ステップS24で同じ行先階の登録がない(No)と判定したら、ステップS32として、登録を取り消す。つまり、エレベータシステム1は、ステップS12で検出し、かつ、ステップS20で行先階の変更操作が入力された行先階登録情報を、エレベータ制御盤6およびエレベータ群管理盤8から削除する。
エレベータシステム1は、ステップS32で登録を取り消したら、ステップS34として、かご内行先階登録装置11aで行先階の登録を検出する。つまり、エレベータシステム1は、かご内行先階登録装置11aで利用者が入力した行先階を検出する。なお、エレベータシステム1は、ステップS34でかご内表示装置11bに新たな行先階の入力を促すメッセージを表示し、利用者がかご内行先階登録装置11aに入力した新たな行先階を検出することで行先階の登録を検出する。なお、この行先階の情報を、ステップS20で検出した行先階変更操作時に同時に利用者に入力させるようにしてもよい。例えば、変更する元の行先階のボタンを押した後に、押されたボタンを新たな行先階の入力として検出してもよい。かご内行先階登録装置11aは、利用者が入力した行先階の情報に基づいて行先階登録情報を作成し、エレベータ群管理盤8に送る。
エレベータシステム1は、ステップS34で行先階の登録を検出し、行先階登録情報を作成したら、ステップS36として、群管理盤(エレベータ群管理盤8)にて、対応する乗りかご3を割り当てる。つまり、エレベータシステム1は、エレベータ君管理部8で、ステップS34で検出した行先階登録情報および各エレベータの運転状態(乗りかご3の位置、乗車状態)に基づいて、行先階登録情報に対応し、当該行先階登録情報を登録した利用者を乗車させる乗りかご3を決定する。また、エレベータ群管理盤8は、利用者が現在乗っている乗りかご3から新たに割り当てた乗りかご3に乗り換える階(乗り換え階)も決定する。なお、エレベータ群管理盤8は、該当する乗りかご3の他の行先階登録情報の処理のために停止階となっている階を乗り換え階とすることが好ましいが、これに限定されない。エレベータ群管理盤8は、それぞれの乗りかご3に新たな停止階を設定し、乗り換え階としてもよい。
エレベータシステム1は、ステップS36で、乗りかご3を割り当て、停止階を決定したら、ステップS38として、かご内表示装置11bにて乗り換え階と、乗り換える乗りかご号機を表示する。つまり、エレベータシステム1は、行先階登録情報に対して割り当てた乗りかごの情報と乗り換え階の情報とを、当該行先階登録情報を送信したかご内行先階登録装置11aに対応して配置されたかご内表示装置11bに送り、かご内表示装置11bに当該行先階情報の利用者が乗り換える乗りかご3の号機の情報と乗り換え階(利用者が下車する階)の情報を表示させる。
エレベータシステム1は、ステップS38でかご内表示装置11bに情報を表示させたら、ステップS40として当該乗りかご3を乗り換え階に停止させ、利用者を下車させる。エレベータシステム1は、ステップS40で利用者を下車させたら、本処理を終了する。なお、乗りかご3を下車した利用者は、乗り換え階に停止する新たに割り当てられた乗りかご3に乗車し、新たな行先階で下車する。
以上のように、エレベータシステム1は、乗りかご3内にもかご内行先階登録装置11aを設けることで、乗りかご3内で行先階登録情報を入力することができる。これにより、利用者は途中で行先階を変更することができ、登録した行先階に行かなくても適切な乗りかご3に乗り換えることができる。これにより、利用者の希望に沿った移動を実現することができ、利用者の利便性を向上させることができる。
また、上記実施形態のように、同一の行先階の利用者がいる場合は、変更操作を受け付けないことで、複雑な制御や登録を行うことなく変更操作を入力することができる。つまり、複数の行先階登録情報のうちどれが変更する操作かを特定しないで、一定の場合は操作を受け付けないことで、元の行先階を押す等の簡単な操作を変更操作と入力することができる。これにより、行先階の変更操作を迅速に入力することができる。
また、エレベータシステム1は、かご内行先階登録装置11aで作成された行先階登録情報を処理し、適切な乗りかご3と乗り換え階とを決定することで、エレベータシステム1の乗りかご3を効率よく運転することができる。また、停止階が増加することで、変更を入力していない利用者が行先階に到着する時間が長くなることを抑制することができる。なお、エレベータシステム1のエレベータ群管理盤8は、新たに入力された行先階が現在乗車している乗りかご3の停止階である場合、乗り換えをさせずに現在乗車している乗りかご3で利用者を新たな行先階に移動させる。
また、上記実施形態では、正しい乗りかご3に乗り、途中で行先階を変更する場合として説明したが、利用者は誤って割り当てられた乗りかご3ではない乗りかご3に乗っても新たな行先階登録情報を入力することも可能となる。これにより、利用者の希望に沿った移動を実現することができ、利用者の利便性を向上させることができる。また、エレベータシステム1は、利用者の変更操作の入力で誤った乗りかごに乗ったことを検出した場合、当該利用者の行先階登録情報に対して割り当てた乗りかご3の停止階から当該利用者の行先階登録情報の行先階をキャンセルつまり停止させないことで、乗りかご3の利用効率を向上させることができる。
エレベータシステム1は、かご内行先階登録装置11aで入力された行先階登録情報に対して割り当てられた乗りかご3の情報および乗り換え階の情報をかご内表示装置11bに表示させることで、利用者に的確に乗り換える乗りかご3および乗り換え階の情報を通理することができる。これにより利用者の利便性を向上させることができる。
なお、エレベータ群管理盤8が、割り当てる乗りかご3を決定する指標としては、種々の指標を用いることができ、例えば、かご内空きスペース、待ち時間、乗車時間、サービス時間、エネルギー効率のいずれかを最適化することを指標とすることができる。
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。