JP5737734B1 - パイル織物および製造方法 - Google Patents

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Abstract

一般的な衣服生地と同程度の軽さと薄さと、タオル地のような吸水性、保温性、通気性、肌触り感等とを両立するパイル織物を提供する。パイル高が一般的なタオル地(比較例)に比べて低い(第1構成)。比較例に比べて細番手の綿糸よりパイルが形成される(第2構成)。比較例に比べてパイル密度が高い(第3構成)。綿糸に水溶性糸を逆方向により撚り合わせ、製織後、水溶性糸を除去することにより、綿糸に撚り戻しが発生する(第4構成)。

Description

本発明はパイル織物およびパイル織物の製造方法に関する。
パイルを有する織物としてタオルがある。織物生地の経糸を2つに分け、一方を強く張り、もう一方を緩く張って、緩く張った方の経糸をループ状に弛ませることによってパイルを形成する。パイルはループ状であり、糸と糸の間に隙間があるため、空気を多く含み、適度な弾力性を備える。パイルを有することにより、タオルは吸水性、保温性、通気性、肌触り感等に優れている。
従来技術では、このようなパイル特性を生かすべく、ソフトで且つボリューム感に優れたタオルが開示されている(例えば、特許文献1)。
ところで、発明者はタオル業界の革新的な発展に絶えず努力してきた。その一つとして、タオル地のもつ吸水性、保温性、通気性、肌触り感を生かすべく、タオル地の衣服への適用を検討している。タオル地の衣服についてはバスローブが既に市販されているが、更に、発明者はシャツ等の衣服に適用しようとしている。
一般的な、シャツや肌着、室内着や寝衣の生地には、天竺、フライス、メリヤス、カノコなどの編み物や、ローン、ガーゼ、オックスフォード、ツイル、サテン、ネルなどの織物がある。
パイル織物を衣服に適用する場合、一般的な衣服生地と同程度の軽さと薄さにする必要がある。
しかしながら、一般的なタオル地は一般的な衣服生地に比べて、重量が2〜3倍と重く、また厚さは5〜10倍と厚い(後述)。衣服は日常的に着るものである。衣服が重いと、重量が負担となって、快適性や着用感を維持できない。また、衣服に適用する場合、縫製の容易さも要求される。生地が厚いと縫製がしにくい。
タオル地の重さと厚さに係る課題を解決する手段として、パイル高を低くする(パイル長を短くする、用語の意義については後述する)ことが考えられる。パイルの短い(低い)タオルとしてスポーツタオルがある。スポーツタオルは汗を吸収することを目的とするため、風呂上がりの水分を吸収することを目的とするバスタオル程の吸水性は求められていない。一方で、薄く軽いため、スポーツなど、携帯性が要求される場面で有用である。
特開平8−013283号公報
携帯性を重視して薄く作られたスポーツタオルの生地を衣服に適用しようとすると、タオルの持つ肌触り感が失われる。肌触り感は主観的要素であるが、パイル高とパイル糸径の比で近似できる。すなわち、パイル高が低くなると、パイルの剛性が強くなり過ぎ、ゴワゴワした感じが生じるおそれがある。スポーツタオルで汗を拭くときは気にならない程度の触感でも、常時肌に接触する衣服には適していない。
本発明は上記課題を解決するものであり、一般的な衣服生地と同程度の軽さと薄さを維持し、かつ、タオル地のような吸水性、保温性、通気性、肌触り感等を有するパイル織物を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明のパイル織物は、50番手以上100番手以下の綿糸により形成され、パイル高mm未満の、パイルを有する。
好ましくは、前記綿糸は、60番手以上90番手以下である。
パイル高を低くし、細番手の綿糸を用いることにより、薄く、軽くすることができる。
より好ましくは、前記パイルのパイル密度はインチ当たり巾方向40本以上60本以下、かつ、織方向18本以上22本以下である。
これにより、パイルの特長を損なわない。
好ましくは、前記パイルの綿糸には、水溶性糸が逆方向により撚り合わされている。すなわち、水溶性糸を有する中間製品である。
好ましくは、前記パイルは、前記綿糸に逆方向により撚り合わされていた水溶性糸が除去されて形成される。
好ましくは、前記水溶性糸は、前記綿糸の撚りに対し、逆方向に30%以上170%以下の範囲で前記綿糸に撚り合わされている。
水溶性糸は製織時の補強になる。水溶性糸除去後には、撚り戻しが発生する。
上記課題を解決する本発明は、パイル織物の製造方法であって、50番手以上100番手以下の綿糸に水溶性糸を逆方向により撚り合わせて交撚糸を形成し、前記交撚糸により、パイル高5mm未満のパイルを有する織物を形成し、前記織物から前記水溶性糸を除去する。
本発明のパイル織物は、一般的な衣服生地と同程度の軽さと薄さを維持し、かつ、タオル地のような吸水性、保温性、通気性、肌触り感等を有する。その結果、本発明のパイル織物を衣服に適用できる。
比較例と実施形態の比較
〜構成概要〜
本実施形態においては、パイル高が一般的なタオル地(比較例1、詳細後述)に比べて低い(第1構成)。比較例1に比べて細番手の綿糸によりパイルが形成される(第2構成)。比較例1に比べてパイル密度が高い(第3構成)。綿糸に水溶性糸を逆方向により撚り合わせ、製織後、水溶性糸を除去することにより、綿糸に撚り戻しが発生する(第4構成)。
〜第1構成(低パイル)およびその作用〜
一般的なタオル地(比較例1)のパイル高は、5〜12mm程度であり、5〜7mm程度である例が多い。これは、パイル高が高くなるほど吸水性や肌触り感が向上するためである。
一方、比較例1のパイル高を5mm未満にすると、剛性が高くなりすぎて、柔らかな肌触り感が得られない。
これに対し、本実施形態では、パイル高は0.8mm以上5mm未満である。
5mm超であると比較例と同様であり、軽さと薄さに係る効果が得られない。0.8mm未満であると、パイルによる効果(吸水性、保温性、通気性など)が得られない。
上記範囲により、軽さおよび薄さに係る効果とパイルによる効果の両方を実現できる。更に、1.5mm以上3mm以下であると効果は確実になる。
生地が軽くなることで、衣服としての着用感が得られる。
生地が薄くなることで、縫製が容易になる。
〜第2構成(細番手)およびその作用〜
比較例1のパイル糸には、20〜30番手の太番手の綿糸が用いられている。双糸を用いる場合は、30〜60番手となる。これは、パイル糸が太くなるほど吸水性が向上するためである。
これに対し、本実施形態では、パイル糸に50番手以上100番手以下の綿糸を用いる。
50番手未満(50番手より太い)であると肌触り感に係る比較例1に対する顕著な違いが得られない。100番手超(100番手より細い)であると、充分な保温性や吸水性が得られない。また、製織能力の点からも100番手以下であることが好ましい。
上記範囲により、パイル高に対するパイル糸径の比が小さくなる。これにより、パイルが肌に触れたときに適度に変形し、柔らかい肌触り感を実現できる。一方、充分な保温性や吸水性も維持できる。
細番手であることにより、更なる軽量化を図ることができる。
さらに、60番手以上90番手以下の綿糸を用いると効果は確実になる。
また、本実施形態では、地組織に用いる糸(経糸、緯糸)も比較例1よりも30〜50%細い糸を用いる。
〜第3構成(高密度)およびその作用〜
比較例1では、インチ当たりのパイル数が、巾方向に対して32−33本、織り方向に対して16−17本である。地組織の密度は、経糸がインチ当たり32−33本、緯糸がインチ当たり48−50本である。
このパイル密度を上記第2構成(細番手)に適用すると、透けが目立ち、パイル保持性も弱い。また、生地強度も充分でない。縫製して衣服とした場合に縫製強度も充分でない。
これに対し、本実施形態では、インチ当たりのパイル数が、巾方向に対して40−60本、織り方向に対して18−22本であり、地組織の密度は、経糸がインチ当たり40−60本、緯糸がインチ当たり54−66本である。
比較例1よりもパイル密度、地組織密度を高めることにより、上記第1構成および第2構成を採用しても、生地重量に対するパイル糸重量の比率が所定範囲内に維持される。その結果、パイル織物の特長が損なわれない。
一方、高密度なほど重量が増えるが、上記第1構成および第2構成による軽量化の効果が大きいため、全体として軽量化の効果が維持される。
また、高密度であることにより、充分なパイル保持性、生地強度、縫製強度も確保できる。
〜第4構成(水溶性糸と撚り戻し)およびその作用〜
第2構成(細番手)を採用することで、現在広く使われている自動織機の場合、高速で製織することができない。すなわち、糸が細すぎて製織時における糸の強度が充分でない。
これに対し、本実施形態では、細番手の綿糸に水溶性糸を逆方向により撚り合わせて交撚糸を形成し、この交撚糸により、パイルを有する織物を形成する。水溶性糸が細番手の綿糸を補強することにより、現在広く使われている自動織機により、高速で製織できる。
水溶性糸は、逆方向に30%以上170%以下の範囲で綿糸に撚り合わされている。製織後、織物から水溶性糸を除去する。
水溶性糸撚り30%は、綿糸の撚り100回に対し、水溶性糸の撚り30回ということを示す。
その結果、水溶性糸除去後の綿糸には、元の綿糸の撚りに対して撚り戻しが発生し、−70%以上70%以下の撚りになる。
なお、たとえば、水溶性糸を綿糸に逆方向に30%撚り合わせると、水溶性糸除去後の綿糸の撚りは70%(=100−30)になる。水溶性糸を綿糸に逆方向に170%撚り合わせると、水溶性糸除去後の綿糸の撚りは−70%(=100−170)になる。撚りがマイナスになるということは、元の綿糸の撚りと逆方向に撚られることを意味する。
糸を撚り戻すと、撚りが緩くなり、柔らかい肌触り感が向上する。
なお、水溶性糸撚り30%未満であると、充分な補強効果が得られないおそれがある。また、水溶性糸撚り100%を超えると元の綿糸を逆方向に撚ることになる。したがって、水溶性糸撚り170%を超えると、柔らかい肌触り感向上に係る効果が充分でなくなる。
〜検証試験〜
本実施形態と比較例1(タオル地)および比較例2(一般衣服生地)とを比較することにより、本実施形態の効果を検証する。
図1は、比較例1と本実施形態との比較をする概念図である。上図は比較例1を示し、下図は実施例を示す。
本実施形態の一例として、実施例1および実施例2を試作した。実施例1および実施例2は、パイル高1.8mm、80番手の綿糸によるパイル、パイル密度ヨコ47本/インチ、タテ20本/インチの構成を備える。実施例1は撚り戻し後の撚りを70%とし、実施例2は撚り戻し後の撚りを0%(無撚糸)とする。
比較例1は、薄手タオル等に用いられるタオル地である。比較例1−1は、パイル高5.0mm、20番手の綿糸によるパイル、パイル密度ヨコ32本/インチ、タテ16本/インチ、撚糸の構成を備える。比較例1−2はパイル高7.0mm、30番手の綿糸によるパイル、パイル密度ヨコ33本/インチ、タテ17本/インチ、無撚糸の構成を備える。
比較例2は、室内用衣服や寝衣に用いられている一般な生地である。
比較例2−1は、綿天竺である。綿天竺は、肌着やTシャツの素材として用いられている。一般な衣服生地としては、通気性や吸水性に優れている。
比較例2−2は、綿ローンである。綿ローンは、春夏物の寝衣(パジャマ)や春夏物のカラーシャツの素材として幅広く用いられている。一般な衣服生地としては、薄さや軽さの点で優れている。
比較例2−3は、綿ネルである。綿ネルは、秋冬物の寝衣や秋冬物のカラーシャツの素材として幅広く用いられている。一般な衣服生地としては、保温性に優れている。
比較結果を表1に示し、比較結果に対する所見を述べる。
Figure 0005737734
・生地の厚さについて
比較例1と比較例2を比較すると、比較例1は比較例2より5〜10倍厚い。すなわち、比較例1においては縫製が容易でない。比較例1は衣服に適用できない。
これに対し、本実施形態では、上記第1構成により、生地を薄くできる。比較例2と比較するとやや厚いものの、容易に縫製できる程度の薄さになっている。
・軽量性について
比較例1と比較例2を比較すると、比較例1は比較例2より2〜3倍重い。すなわち、比較例1においては重量が負担となり着用性が充分でない。
これに対し、本実施形態では、上記第1構成および第2構成により、生地を軽くできる。
本実施形態を比較例1と比較すると、およそ50%以下の軽さである。発明者は、別途需要者アンケートを行い、2割以上軽量化すれば、軽量化について実感できることを確認している。比較例1も薄手で軽量性を特徴とするが、本実施形態においては、軽量性が飛躍的に向上する。したがって、本実施形態は、定量的に軽いというだけでなく、需要者が軽さを実感できるものである。特に、子供や老人や女性など、力の弱い需要者にとっては、軽量感の違いは顕著になる。
本実施形態を比較例2と比較すると、最も軽い比較例2−2と同程度である。比較例2と比較しても、本実施形態は、需要者が軽さを実感できるものである。
なお、上記第3構成は、重量が増えるように作用するが、上記第1構成および第2構成による軽量化の効果が大きいため、全体として軽量化の効果が維持される。
・吸湿性および吸水性について
一般に、タオルの吸水性は、ボリュームが大きいほど高くなる。したがって、本発明検討段階において、パイル糸を細番手にし、パイル高を低くすることにより、ボリュームが小さくなり、吸湿性および吸水性が低下するおそれがあると思われた。しかし、本実施形態を比較例1と比較すると、ほぼ同等の水準にあるといえる。具体的には、吸水機能を発揮することを目的とする比較例1−1と比較すると、比較例1−1の吸湿性および吸水性よりやや低い。重量比が50%以下であることを考慮すると、ほぼ同等といえる。比較例1−2と比較すると、本実施形態の吸湿性および吸水性の方が高い。
本実施形態においては、上記第3構成により、生地重量に対するパイル糸重量の比率が所定範囲内に維持され、パイル織物の特長を維持する。その結果、吸湿性および吸水性を有する。
本実施形態を比較例2と比較すると、1.8倍から3倍という一般衣服生地では得られない格段の吸水性を有している。
・通気性について
本実施形態においては、上記第2構成および第4構成により、パイル間の隙間が広くなる。その結果、通気性を有する。
なお、上記第3構成は、パイル間の隙間を狭くするように作用するが、上記第2構成および第4構成による効果が大きいため、全体として通気性が維持される。
本実施形態を比較例1と比較すると、比較例1−1より通気性が良く、比較例1−2に近い通気性を有する。すなわち、パイル織物の特長を維持する。
本実施形態を比較例2と比較すると、最も通気性に優れる比較例2−1以上の通気性を有する。
・保温性について
一般に、パイル織物の保温性は、ボリュームが大きいほど高くなる。したがって、本発明検討段階において、パイル糸を細番手にし、パイル高を低くすることにより、ボリュームが小さくなり、保温性は犠牲になる(低下する)ものと思われた。しかし、本実施形態を比較例1と比較すると、重量比は50%以下であるのに対し、保温性は15〜35%の低下に留まった。すなわち、パイル織物の保温性を維持している。
本実施形態においては、上記第3構成により、生地重量に対するパイル糸重量の比率が所定範囲内に維持され、パイル織物の特長を維持する。その結果、保温性を有する。
本実施形態を比較例2と比較すると、最も保温性に優れる比較例2−3と同等または同等以上の保温性を有する。
・接触冷温感について
接触冷温感とは、生地が肌に触れたときの温感に関する指標である。数値が大きくなるほど、肌から生地への熱移動が多くなり、冷たく感じる。逆に、数値が小さくなるほど、肌から生地への熱移動が少なくなり、肌に触れたときのヒヤリとした感じがなくなる。一般に、2試料間の差が0.03W/cm以下であれば、有意差はないと判断される。
本実施形態を比較例1と比較すると、比較例1−1と同程度であり、比較例1−2に対しても極端な差はない。すなわち、パイル織物の特長を維持する。
本実施形態を比較例2と比較すると、熱移動量が4〜5割と少なく、肌に触れた際の冷たさを感じにくい。本実施形態は、格段の接触温感を有している。
・肌触り感について
本実施形態においては、上記第2構成および第4構成により、柔らかい肌触り感が得られる。
〜効果まとめ〜
本実施形態においては、一般的な衣服生地(比較例2)と同程度または同等以上の軽さと薄さを実現できる。
本実施形態においては、一般的なタオル地(比較例1)と同程度または同等以上の吸湿性、吸水性、通気性、保温性、接触温感、肌触り感を実現できる。
すなわち、本実施形態は、軽さ、薄さ、吸湿性、吸水性、通気性、保温性、接触温感、肌触り感の衣服に必要な諸機能をバランスよく備える。言い換えると、一の機能を向上させるために別の機能が犠牲になるといったトレードオフの関係にならない。
衣服に適用すると、今までにない快適性、着用性を発揮する。すなわち、夏季においては、吸湿性、吸水性、通気性を発揮し、体温上昇や発汗に対して衣服内気候を維持する。またパイルがあるため、肌との接触面積が少なく、汗によるべたつきが少ない。冬季においては、保温性、接触温感を発揮し、肌に触れたときのヒヤリとした感じがなく、体温を保持する。また、季節を問わず軽量性を発揮する。
また、縫製容易な薄さを有し、充分なパイル保持性、生地強度、縫製強度も有する。すなわち、実用性も高い。
〜その他の構成〜
上記第2構成および第4構成をとることにより、毛羽の脱落のおそれがある。
ところで、綿花を分解すると、種々の長さの繊維が取れる。一般に、長い繊維綿であるほど、糸にした場合に継ぎ目が少なく、強度が出る。
一般的には、有効繊維長20mm以上25mm以下の綿花をミックスし、有効繊維長の平均値が22mm〜23mmの綿糸が用いられている。
これに対し、本実施形態では、有効繊維長30mm以上42mm以下の綿花を撚って形成される。より好ましくは、有効繊維長34mm以上42mm以下の綿花を撚って形成される。
発明者は、検証実験を繰り返し、有効繊維長30mm以上であれば、実用に耐える強度が得られ、毛羽の脱落を抑制できるとの結論を得た。更に、有効繊維長34mm以上であれば、綿花の種類に因らず、確実に実用的な強度が得られる。
一方、有効繊維長42mmは、一般的な綿花の繊維長上限である。個体差はあるものの、長さ42mmを超える繊維は得られない。
これにより上記第2構成および第4構成を採用した場合でも、毛羽の脱落を抑制できる。
<補足事項>
〜補足1〜
一般にタオル業界では、ボリューム感があるタオルほど高級感があるとして好まれる傾向にある。また、太番手になるほど、ボリューム感が出てくる。したがって、当業者の関心は、如何に太番手を用いるかにあった。タオル取引の実情においても、タオル相場も重量当たりで決められている傾向にある。従って、当業者に細番手の綿糸をパイルに用いる発想はなかった。
ところで、発明者は、バスローブのようなバス用品以外に、シャツ等日常的に着られる衣服にもタオル地を適用することを検討してきた。その過程において、細番手に着目した。
すなわち、本発明は、当業者の技術指向と反対側を目指すものであり、当業者が容易に想到することは困難である。
ところで、タオルは、風呂上がりの体を拭くのに用いられることが多く、衣服業界の当業者がタオル地に着目することはない。本願は、衣服業界には今までなかった全く新しい衣服生地を提供するものである。
〜補足2〜
薄さや軽さと、パイルの諸機能とは、相反する傾向にある。本実施形態は、上記構成1〜4のバランスにより、両立を実現するものである。
発明者は、数多くの検証実験をおこない実験結果を考察する過程を繰り返して、上記構成1〜4のバランスを見出した。すなわち本発明は当業者が容易に想到することは困難である。
〜補足3〜
生地の両面にパイルを有し、パイルで表面が覆われている生地としては、トリコット、吊編みなどの編み生地があるが、重量がある。重量を軽くするためには密度を粗くしなければならず、また強度を保持するためにはパイル以外の組織にポリエステルを用いなければいけない。
さらに、パイル編み生地は伸縮性があり、地組織に方向性が乏しいため生地に張りがなく、着用時に生地の重さで下に垂れるような状態となり、シルエットが崩れる。また、肌に密着しやすいため、フィット感はあるが、通気性や保温性に乏しい場合がある。
したがって、発明者はタオル地に着目した。
〜補足4〜
本願明細書では、「パイル長が短い」ことを「パイル高が低い」と表現している。
ところで、パイル糸は、緯糸の間から立ち上がり、緯糸2本分離れて、緯糸間から戻る。これによりループを形成する。一般にパイル1本当たりの長さとは、1本のパイルの始まり(立ち上がり)から終わり(戻り)までの糸の長さをいう。
なお、「パイル長」は「パイル高」と同じ意味であるが、「パイル1本当たりの長さ」と混乱するおそれがあるため、本願では「パイル高」に統一した。
また、パイルはループ状となるため膨らんだりし、また糸の撚りにより縮んだりして、パイル高の実測値は一定にならない。一方、パイル1本当たりの長さは、製織時の筬打ちの距離(Reed Loose)によって決定されるものであり、織機の設定によって正確に規定出来る。したがって、パイル1本当たりの長さの半分を便宜的にパイル高とする。
本発明は、シャツ、室内着、寝衣、ベビー用衣服などの、衣服への適用に好適である。例えばカラーシャツ、ポロシャツ、パジャマ、室内着、肌着などに用いることが出来る。特にパジャマ、室内着、肌着など適している。
衣服の素材として幅広く用いることが出来るほか、用途を限定せず、寝具、服飾品等の縫製品に適用してもよい。

Claims (7)

  1. 50番手以上100番手以下の綿糸により形成され、
    パイル高3mm以下の
    ループ状のパイルを有することを特徴とするパイル織物。
  2. 前記綿糸は、60番手以上90番手以下である
    ことを特徴とする請求項1記載のパイル織物。
  3. 前記パイルのパイル密度はインチ当たり巾方向40本以上60本以下、かつ、織方向18本以上22本以下である
    ことを特徴とする請求項1または2記載のパイル織物。
  4. 前記パイルの綿糸には、水溶性糸が逆方向により撚り合わされている
    ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載のパイル織物。
  5. 前記パイルは、前記綿糸に逆方向により撚り合わされていた水溶性糸が除去されて形成される
    ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載のパイル織物。
  6. 前記水溶性糸は、前記綿糸の撚りに対し、逆方向に30%以上170%以下の範囲で前記綿糸に撚り合わされている
    ことを特徴とする請求項4または5記載のパイル織物。
  7. 50番手以上100番手以下の綿糸に水溶性糸を逆方向により撚り合わせて交撚糸を形成し、
    前記交撚糸により、パイル高3mm以下のループ状パイルを有する織物を形成し、
    前記織物から前記水溶性糸を除去する
    パイル織物の製造方法。
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